(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】送信装置、基地局及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/14 20090101AFI20240611BHJP
H04W 28/06 20090101ALI20240611BHJP
【FI】
H04W28/14
H04W28/06
(21)【出願番号】P 2022177699
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2020525155の分割
【原出願日】2018-06-20
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】大出 高義
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
(72)【発明者】
【氏名】青木 信久
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-541485(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141478(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信データを保持するバッファを有し、送信データに対してPDCPレイヤの処理を実行する第1レイヤ処理部と、
送信データに対してMACレイヤの処理を実行する第2レイヤ処理部と、
前記第1レイヤ処理部及び前記第2レイヤ処理部によって処理された送信データを送信可能な送信部と、
前記PDCPレイヤにおいて、定められる第1の廃棄時間よりも短い時間である第2の廃棄時間を示す情報をRRCレイヤの信号を受信する受信部、とを有し、
前記第1レイヤ処理部は、
前記第2の廃棄時間が経過した場合に、前記バッファに保持された送信データを廃棄
し、
前記第1の廃棄時間は、複数の第1の候補から何れかが選択され、
前記第2の廃棄時間は、複数の第2の候補から何れかが選択され、
前記複数の第1の候補のうちの最小の値は、前記複数の第2の候補のうちの最大の値より大きい、
ことを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記複数の第2の候補のうちの最小の値は、前記MACレイヤの優先制御に用いられるPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)の最大送信時間の複数の第3の候補のうち最大の値と同じである、
ことを特徴とする請求項
1記載の送信装置。
【請求項3】
前記最大送信時間は、
RLC(Radio Link Control)レイヤにおいてあらかじめ定められた廃棄時間よりも短い時間である
ことを特徴とする請求項
2記載の送信装置。
【請求項4】
前記第1レイヤ処理部は、
前記バッファに保持された送信データの再送回数が、RLCレイヤの再送制御に用いられる最大再送回数に到達した場合に、前記バッファに保持された送信データを廃棄する
ことを特徴とする請求項1記載の送信装置。
【請求項5】
RRC(Radio Resource Control)シグナリングによって移動局を制御する基地局であって、
送信データが移動局のバッファに保持されてからPDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤの処理として破棄されるまでの時間であって、前記PDCPレイヤにおいて定められた第1の廃棄時間よりも短い時間である第2の廃棄時間を示す情報を前記RRCレイヤの信号で通知
し、
前記第1の廃棄時間は、複数の第1の候補から何れかが選択され、
前記第2の廃棄時間は、複数の第2の候補から何れかが選択され、
前記複数の第1の候補のうちの最小の値は、前記複数の第2の候補のうちの最大の値より大きい、
ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
移動局と、前記移動局をRRC(Radio Resource Control)シグナリングによって制御する基地局とを有する無線通信システムであって、
前記移動局は、
送信データを保持するバッファを有し、送信データに対してPDCPレイヤの処理を実行する第1レイヤ処理部と、
送信データに対してMACレイヤの処理を実行する第2レイヤ処理部と、
前記第1レイヤ処理部及び前記第2レイヤ処理部によって処理された送信データを送信可能な送信部と、
前記PDCPレイヤにおいて、定められる第1の廃棄時間よりも短い時間である第2の廃棄時間を示す情報をRRCレイヤの信号を受信する受信部、とを有し、
前記第1レイヤ処理部は、
前記第2の廃棄時間が経過した場合に、前記バッファに保持された送信データを廃棄
し、
前記第1の廃棄時間は、複数の第1の候補から何れかが選択され、
前記第2の廃棄時間は、複数の第2の候補から何れかが選択され、
前記複数の第1の候補のうちの最小の値は、前記複数の第2の候補のうちの最大の値より大きい、
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、基地局及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、モバイル端末(スマートフォンやフィーチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開に合わせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5G又はNR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~11)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められている。(非特許文献12~39)。現在、3GPPが規定する5Gの標準仕様の初版がリリースされている。
【0004】
上述したように、多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、eMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、Massive MTC(Machine Type Communications)及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートが想定されている。
【0005】
また、無線通信システムの通信規格では、一般に、無線通信の機能を一連の層(レイヤ)に分割したプロトコルスタック(階層型プロトコルとも称される)として、仕様が規定される。例えば、第一層として物理層が規定され、第二層としてデータリンク層が規定され、第三層としてネットワーク層が規定される。LTE(Long Term Evolution)などの第4世代移動体通信システムでは、第二層は複数の副層に分割されており、MAC(Medium Access Control)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤから構成される。また、第4世代移動体通信システムにおいて、第一層はPHY(Physical)レイヤから構成されており、第三層はRRC(Radio Resource Control)レイヤから構成される(RRCレイヤは制御プレーンのみ)。なお、MACレイヤ、RLCレイヤ、PDCPレイヤについては、上述したように第二層の副層であることから、これらをMACサブレイヤ、RLCサブレイヤ、PDCPサブレイヤと称しても良い。
【0006】
無線通信システムの送信装置における各レイヤは、上位レイヤからのデータブロック(サービスデータユニット(SDU:Service Data Unit)とも称される)に対して、ヘッダを付すなどの所定のプロトコルに準拠した処理を行うことで、プロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)を生成し、下位レイヤに転送する。例えば、LTEのRLCレイヤでは、上位レイヤであるPDCPレイヤからのデータブロックであるPDCP-PDUをRLC-SDUとし、下位レイヤから通知されるTB(Transport Block)長に収まる範囲で複数のRLC-SDUを連結するなどして、RLC-PDUを生成する。このようなRLC-PDUは、RLCレイヤにおけるシーケンス番号(SN:Sequence Number)を有するRLCヘッダが付された上で、下位レイヤであるMACレイヤに転送される。
【0007】
無線通信システムの受信装置における各レイヤは、下位レイヤからのデータブロック(すなわちPDU)を受けて、ヘッダを除去するなどして取り出したデータブロック(すなわちSDU)を上位レイヤへ転送する。例えば、LTEのRLCレイヤでは、下位レイヤであるMACレイヤからのデータブロック(MAC-SDU又はRLC-PDUとも称される)に付されたRLCヘッダを参照して、1個のRLC-PDUに格納された複数のRLC-SDUを再構成するなどの処理が行われ、上位レイヤであるPDCPレイヤにRLC-SDUを転送する。その際、上位レイヤに対してRLC-SDUの順序を補償するために、RLC-SDUの再構成において、RLCヘッダが有するRLCシーケンス番号に基づく整序処理が行われる。そして、RLCシーケンス番号に抜けが生じたことを検知した場合、送信装置に対してRLC-PDUの再送を要求するRLC再送制御が実行される。
【0008】
5Gの仕様では、MACレイヤにおいて、LCP(Logical Channel Prioritization)と呼ばれる上りデータの優先制御が実施される(非特許文献22)。LCPでは、例えば、要求遅延に応じた優先的な無線リソース割り当てに伴う特性劣化(スターベーション)の発生を抑制するために、各データに対する優先制御が実施される。具体的には、各データが伝送される論理チャネル(LCH:Logical CHannel)に対し、ビットレート等のパラメータが設定され、これらのパラメータ(要求条件でもある)を満足するように優先制御が実施される。ただし、個々のチャネルについて優先制御を実施すると、粒度が過剰に細かくなって端末装置のデータ処理量が多くなる。そこで、要求条件が同じ論理チャネルを集約してLCG(Logical Channel Group)を生成し、LCGごとに優先制御が実施されることがある。
【0009】
また、無線通信システムでは送信装置がデータを送信するまでに、例えばRLCレイヤ又はPDCPレイヤにおいて、データが一時的にバッファに保持されることがある。バッファに保持されたデータは、例えばあらかじめ設定された廃棄タイマが満了すると廃棄される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】3GPP TS 36.133 V15.2.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.211 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.0.1(2018-04)
【文献】3GPP TS 36.323 V14.5.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 36.425 V14.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.1.1(2018-04)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.410 V0.9.0(2018-04)
【文献】3GPP TS 38.413 V0.8.0(2018-04)
【文献】3GPP TS 38.420 V0.8.0(2018-04)
【文献】3GPP TS 38.423 V0.8.0(2018-04)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.1.0(2018-03)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.1.1(2018-04)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-04)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V14.3.1(2017-07)
【文献】3GPP TR 38.912 V14.1.0(2017-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V14.3.0(2017-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、RLCレイヤ又はPDCPレイヤにおいてデータがバッファに保持される場合、バッファに滞留するデータによって、データに要求される遅延条件が満たされないことがあるという問題がある。例えば、廃棄タイマが例えば10msなどの比較的長い時間に設定されている場合、バッファに滞留するデータが廃棄されるまでの時間が増大しHOL(Head of Line blocking)が生じる。この結果、例えば要求される遅延量が1ms未満のデータ(低遅延データ)が新規に発生すると、低遅延データが送信されるまでに時間がかかり、遅延要求が満たされないことがある。
【0012】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、低遅延データの遅延要求を満たすことができる送信装置、基地局及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願が開示する送信装置は、1つの態様において、送信データを保持するバッファを有し、送信データに対してMACレイヤの処理を実行する第1レイヤ処理部と、送信データに対してPDCPレイヤの処理を実行する第2レイヤ処理部と、前記第1レイヤ処理部及び前記第2レイヤ処理部によって処理された送信データを送信可能な送信部と、前記PDCPレイヤにおいて、定められる第1の廃棄時間よりも短い時間である第2の廃棄時間を示す情報をRRCレイヤの信号を受信する受信部、とを有し、前記第1レイヤ処理部は、前記第2の廃棄時間が経過した場合に、前記バッファに保持された送信データを廃棄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願が開示する送信装置、基地局及び無線通信システムの1つの態様によれば、低遅延データの遅延要求を満たすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るバッファ制御方法を示すフロー図である。
【
図3】
図3は、実施の形態2に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、最大送信時間の具体例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係るバッファ制御方法を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る内容の標準仕様書への記載例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係るバッファ制御方法を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、実施の形態3に係る内容の標準仕様書への記載例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願が開示する送信装置、基地局及び無線通信システムの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。以下においては、送信装置の一例として端末装置を挙げて説明するが、送信装置は必ずしも端末装置に限定されず、例えば基地局装置も送信装置に含まれる。また、特に区別する場合を除いて、各レイヤのSDU(Service Data Unit)及びPDU(Protocol Data Unit)を単に「パケット」という。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る端末装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示す端末装置100は、プロセッサ110、メモリ120及び無線通信部130を有する。
【0018】
プロセッサ110は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備え、端末装置100の全体を統括制御する。具体的には、プロセッサ110は、アプリケーション処理部111、第1レイヤ処理部112及び第2レイヤ処理部113を有する。
【0019】
アプリケーション処理部111は、種々のアプリケーションの処理を実行する。例えば、アプリケーション処理部111は、端末装置100から図示しない基地局装置へ向かう上り回線によって伝送される送信データを生成する。送信データには、例えば要求される遅延量が1ms未満の低遅延データも含まれる。
【0020】
第1レイヤ処理部112は、第1レイヤの処理を実行する。例えば、第1レイヤ処理部112は、アプリケーション処理部111によって生成された送信データのパケット(SDU)に第1レイヤのヘッダを付加し、第1レイヤのPDUを生成する。ここで、第1レイヤ処理部112は、バッファを有しており、処理対象のパケットをバッファに一時的に保持する。そして、第1レイヤ処理部112は、バッファに保持されたパケットの廃棄を制御する。
【0021】
具体的には、第1レイヤ処理部112は、パケットがバッファに格納されると、このパケットを廃棄する条件を規定する第1の情報を設定する。このとき、第1レイヤ処理部112は、第2レイヤ処理部113において送信制御に用いられる第2の情報を取得し、第2の情報に応じて第1の情報を設定する。すなわち、第1レイヤ処理部112は、異なるレイヤ(例えば下位レイヤ)である第2レイヤのパラメータを用いて、パケットの廃棄条件を設定する。
【0022】
パケットの廃棄条件を設定した後、第1レイヤ処理部112は、廃棄条件が満たされるか否かを監視し、廃棄条件が満たされる場合には、該当するパケットをバッファから廃棄する。
【0023】
第2レイヤ処理部113は、第1レイヤよりも下位の第2レイヤの処理を実行する。例えば、第2レイヤ処理部113は、第1レイヤ処理部112によって生成された第1レイヤのPDUをSDUとして、このSDUに第2レイヤのヘッダを付加し、第2レイヤのPDUを生成する。第2レイヤ処理部113は、第2の情報を用いてパケットの送信制御を行う。すなわち、第2レイヤ処理部113は、例えば第2の情報に従ってパケットの送信の優先制御をしたり、再送制御をしたりする。上述したように、第2の情報は、第1レイヤ処理部112のパケットの廃棄条件の設定に用いられる。
【0024】
メモリ120は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などを備え、プロセッサ110が処理を実行するために使用する情報を記憶する。
【0025】
無線通信部130は、プロセッサ110によって生成される送信データに対して、例えばD/A(Digital/Analog)変換及びアップコンバートなどの無線送信処理を施し、アンテナを介して無線送信する。また、無線通信部130は、アンテナを介して無線受信した受信データに対して、例えばダウンコンバート及びA/D(Analog/Digital)変換などの無線受信処理を施し、プロセッサ110へ出力する。
【0026】
次いで、上記のように構成された端末装置100におけるバッファ制御方法について、
図2に示すフロー図を参照しながら説明する。以下のバッファ制御方法は、第1レイヤ処理部112が有するバッファの制御方法である。
【0027】
アプリケーション処理部111によって生成される送信データは、第1レイヤ処理部112へ出力され、所定長のパケットに分割された上で、第1レイヤ処理部112が有するバッファに格納される(ステップS101)。パケットがバッファに格納される際には、それぞれのパケットについて、廃棄条件を規定する第1の情報が設定される(ステップS102)。すなわち、第1レイヤ処理部112によって、第2レイヤ処理部113による送信制御に用いられる第2の情報が取得され、第2の情報に応じて第1の情報が設定される。
【0028】
パケットの廃棄条件が設定されると、第1レイヤ処理部112は、パケットに対して第1レイヤの処理を実行しつつ、バッファに格納された各パケットについて、廃棄条件が満たされるか否かを監視する(ステップS103)。すなわち、第1の情報によって示される廃棄条件が満たされるか否かが監視され、パケットが廃棄条件を満たす場合には(ステップS103Yes)、このパケットが第1レイヤ処理部112によって廃棄される(ステップS104)。これにより、第1レイヤのパケットが下位の第2レイヤの送信制御に用いられるパラメータに応じた廃棄条件で廃棄され、第1レイヤのバッファにおけるパケットの滞留時間が短縮される。結果として、新たな送信データとして低遅延データが発生した場合でも、低遅延データのパケットに対する第1レイヤの処理が迅速に実行され、少ない遅延で低遅延データを送信することが可能となる。また、バッファにおけるパケットの滞留時間が短縮される結果、バッファサイズを小さくすることができる。
【0029】
以上のように、本実施の形態によれば、第1レイヤのパケットの廃棄条件を規定する第1の情報を、第2レイヤの送信制御に関する第2の情報に応じて設定し、廃棄条件を満たすパケットを第1レイヤのバッファから廃棄する。このため、バッファにおけるパケットの滞留時間を短縮することができ、新規の送信データとして低遅延データが発生した場合でも、低遅延データが送信されるまでの遅延を削減することができる。結果として、低遅延データの遅延要求を満たすことができる。
【0030】
なお、上記実施の形態1においては、主に第1レイヤのバッファに関するバッファ制御方法について説明したが、第1レイヤ及び第2レイヤとは異なる他のレイヤ処理部(例えば、第3レイヤ処理部)がバッファを有していても良い。そして、第3レイヤのバッファにパケットが格納される場合には、第3レイヤのバッファに対して上記実施の形態1で説明したバッファ制御方法が適用されても良い。この場合、既に無線伝送中の初送のパケット及び再送パケットには、このバッファ制御方法が適用されなくても良い。
【0031】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係る端末装置100の構成を示すブロック図である。
図3において、
図1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図3に示す端末装置100においては、プロセッサ110の内部構成が
図1に示す端末装置100と異なる。すなわち、
図3に示すプロセッサ110は、アプリケーション処理部111に加えて、PDCP処理部201、RLC処理部202及びMAC処理部203を有する。
【0032】
PDCP処理部201は、PDCPレイヤの処理を実行する。例えば、PDCP処理部201は、アプリケーション処理部111によって生成された送信データのパケット(PDCP-SDU)にPDCPレイヤのヘッダを付加し、PDCP-PDUを生成する。PDCP処理部201は、バッファを有しており、処理対象のパケットをバッファに一時的に保持する。そして、PDCP処理部201は、バッファに保持されたパケットの廃棄を制御する。
【0033】
具体的には、PDCP処理部201は、パケットがバッファに格納されると、このパケットを廃棄するまでの時間を規定する廃棄タイマを設定する。また、PDCP処理部201は、MAC処理部203において送信制御に用いられる最大送信時間を取得し、最大送信時間に応じて、上記の廃棄タイマとは別にパケットの廃棄までの時間を設定する。すなわち、PDCP処理部201は、PDCPレイヤよりも下位レイヤであるMACレイヤのパラメータを用いて、パケットの廃棄条件を設定する。
【0034】
パケットの廃棄条件を設定した後、PDCP処理部201は、廃棄条件が満たされるか否かを監視し、廃棄条件が満たされる場合には、該当するパケットをバッファから廃棄する。
【0035】
RLC処理部202は、PDCPレイヤよりも下位のRLCレイヤの処理を実行する。例えば、RLC処理部202は、PDCP処理部201によって生成されたPDCP-PDUをRLC-SDUとして、このRLC-SDUにRLCレイヤのヘッダを付加し、RLC-PDUを生成する。RLC処理部202が実行するRLCレイヤの処理には、例えばパケットの再送制御などが含まれる。
【0036】
RLC処理部202は、バッファを有しており、例えばプリプロセッシングが行われる際、アプリケーション処理部111によって生成された送信データのパケットをPDCP処理部201の代わりにバッファに一時的に保持する。このため、RLC処理部202は、PDCP処理部201と同様に、バッファに保持されたパケットの廃棄を制御しても良い。
【0037】
MAC処理部203は、PDCPレイヤ及びRLCレイヤよりも下位のMACレイヤの処理を実行する。例えば、MAC処理部203は、RLC処理部202によって生成されたRLC-PDUをMAC-SDUとして、このMAC-SDUにMACレイヤのヘッダを付加し、MAC-PDUを生成する。MAC処理部203が実行するMACレイヤの処理には、例えばパケットのスケジューリングや優先制御などが含まれる。MAC処理部203が実行する優先制御では、例えば論理チャネルの優先度を制御するLCP(Logical Channel Prioritization)が実行される。具体的には、要求されるQoS(Quality of Service)が同一の論理チャネルが集約されてLCG(Logical Channel Group)が生成され、LCGごとに優先制御が実施される。
【0038】
MACレイヤのLCPでは、例えば以下の(1)~(3)の3つのパラメータによって優先制御が実施される。
【0039】
(1)allowedSCS-List:低遅延データを送信するLCGのサブキャリアスペースを指定するパラメータである。
【0040】
(2)maxPUSCH-Duration:LCGによる無線伝送において使用されるPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)の最大送信時間を示すパラメータである。より具体的には、PUSCHを用いた送信が許可されるタイミングから実際にPUSCHによって送信が実行されるタイミングまでの時間がこのパラメータによって規定される。設定されるmaxPUSCH-Durationが小さいほど、低遅延が要求されるLCGであるといえる。maxPUSCH-Durationとしては、複数の候補から選択された値が設定される。すなわち、例えば
図4に示すように、maxPUSCH-Durationの候補としては、0.02ms、0.04ms、0.0625ms、0.125ms、0.25ms及び0.5msがあり、この中からLCGの優先度に応じた値が設定される。
【0041】
(3)configuredGrantType1Allowed:LCGによる無線伝送において使用される無線リソースが、例えば周期的な無線リソースのようにあらかじめ決定された無線リソースであるか、例えばULグラント(UL grant)によって動的に決定される無線リソースであるかを示すパラメータである。
【0042】
上述したように、maxPUSCH-Durationによって示される最大送信時間は、PDCP処理部201のパケット廃棄までの時間として、廃棄タイマとは別に設定される。
【0043】
次いで、上記のように構成された端末装置100におけるバッファ制御方法について、
図5に示すフロー図を参照しながら説明する。以下のバッファ制御方法は、PDCP処理部201が有するバッファの制御方法である。
図5において、
図2と同じ部分には同じ符号を付す。
【0044】
アプリケーション処理部111によって生成される送信データは、PDCP処理部201へ出力され、所定長のパケットに分割された上で、PDCP処理部201が有するバッファに格納される(ステップS101)。パケットがバッファに格納される際には、それぞれのパケットについて、廃棄までの時間を規定する廃棄タイマが設定される(ステップS201)。廃棄タイマは、アプリケーションにとってのデータの期限に対応しており、例えば10ms程度の時間が設定されても良い。
【0045】
また、PDCP処理部201によって、MAC処理部203における優先制御のパラメータの1つである最大送信時間が取得される(ステップS202)。この最大送信時間は、上記の廃棄タイマとは別に、パケットが廃棄されるまでの時間として用いられる。すなわち、PDCP処理部201によって、下位のMACレイヤの制御に用いられるパラメータが取得され、取得されたパラメータに応じてパケットの廃棄までの時間が設定される。
図4に示したように、最大送信時間は、1ms未満の比較的短い時間である。
【0046】
パケットの廃棄までの時間が設定されると、PDCP処理部201は、パケットに対してPDCPレイヤの処理を実行しつつ、バッファに格納された各パケットについて、廃棄条件が満たされるか否かを監視する。
【0047】
具体的には、パケットごとに設定された廃棄タイマが満了したか否かが判定される(ステップS203)。この判定の結果、廃棄タイマが満了した場合には(ステップS203Yes)、このパケットがPDCP処理部201によって廃棄される(ステップS104)。一方、廃棄タイマが満了していない場合には(ステップS203No)、パケットの受信が成功したことが通知されたか否かが判定される(ステップS204)。すなわち、PDCPレイヤでは、定期的に状態報告(SR:Status Report)が受信側の装置から送信されるため、この状態報告によってパケットの受信が成功したか否かが判別可能である。そこで、PDCP処理部201によって、パケットの受信が成功したことが通知されている場合には(ステップS204Yes)、このパケットがPDCP処理部201によって廃棄される(ステップS104)。一方、受信成功の通知がない場合には(ステップS204No)、バッファにパケットが格納されてから最大送信時間が経過したか否かが判定される(ステップS205)。すなわち、MACレイヤにおける優先制御のための最大送信時間が経過したか否かが判定される。そして、パケットが格納されてから最大送信時間が経過している場合には(ステップS205Yes)、このパケットがPDCP処理部201によって廃棄される(ステップS104)。
【0048】
このように、廃棄条件が満たされるか否かが監視され、廃棄条件を満たすパケットがバッファから廃棄されることにより、PDCPレイヤのバッファにおけるパケットの滞留時間が短縮される。特に、PDCPレイヤよりも下位のMACレイヤの優先制御において用いられる最大送信時間が廃棄条件として利用されることにより、アプリケーションに対応する廃棄タイマよりも短い時間でパケットが廃棄され、無線伝送の遅延を低減することができる。換言すれば、新たな送信データとして低遅延データが発生した場合でも、低遅延データのパケットに対するPDCPレイヤの処理が迅速に実行され、少ない遅延で低遅延データを送信することが可能となる。
【0049】
以上のように、本実施の形態によれば、PDCPレイヤのパケットの廃棄条件を規定する時間を、MACレイヤの優先制御のための最大送信時間に応じて設定し、格納されてから最大送信時間が経過したパケットをPDCPレイヤのバッファから廃棄する。このため、バッファにおけるパケットの滞留時間を短縮することができ、新規の送信データとして低遅延データが発生した場合でも、低遅延データが送信されるまでの遅延を削減することができる。結果として、低遅延データの遅延要求を満たすことができる。
【0050】
なお、上記実施の形態2に係るバッファ制御方法によれば、例えば、非特許文献24(TS38.323)に記載のSDU廃棄に関する項目を例えば
図6のように改めることができる。つまり、PDCP-SDUのための廃棄タイマが満了した場合、状態報告によってPDCP-SDUの受信が成功したことが確認された場合、又はmaxPUSCH-Durationが経過した場合にPDCP-SDUが廃棄されるように規定しても良い。
【0051】
また、上記実施の形態2においては、主にPDCPレイヤのバッファに関するバッファ制御方法について説明したが、上述したように、RLC処理部202もバッファを有する。そして、例えばプリプロセッシングが行われる場合には、RLCレイヤのバッファにパケットが格納されるため、RLCレイヤのバッファに対して上記実施の形態2で説明したバッファ制御方法が適用されても良い。この場合、既に無線伝送中の初送のパケット及び再送パケットには、このバッファ制御方法が適用されなくても良い。
【0052】
また、上記実施の形態2においては、性質が似ているレイヤ間(例えば、レイヤ2のうちのPDCPレイヤとMACレイヤ間)のクロスレイヤに収まる処理が実行されるので、性質が異なるレイヤ間(例えば、アプリケーションレイヤとレイヤ2間)の処理が実行されるよりもプロトコル(例えば、端末プロトコル)を簡素にすることができる。
【0053】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る端末装置の構成は、実施の形態2に係る端末装置100(
図3)と同様であるため、その説明を省略する。実施の形態3においては、PDCP処理部201におけるバッファ制御方法が実施の形態2とは異なる。
【0054】
図7は、実施の形態3に係るバッファ制御方法を示すフロー図である。以下のバッファ制御方法は、PDCP処理部201が有するバッファの制御方法である。
図7において、
図2、5と同じ部分には同じ符号を付す。
【0055】
アプリケーション処理部111によって生成される送信データは、PDCP処理部201へ出力され、所定長のパケットに分割された上で、PDCP処理部201が有するバッファに格納される(ステップS101)。パケットがバッファに格納される際には、それぞれのパケットについて、廃棄までの時間を規定する廃棄タイマが設定される(ステップS201)。廃棄タイマは、アプリケーションにとってのデータの期限に対応しており、例えば10ms程度の時間が設定されても良い。
【0056】
また、PDCP処理部201によって、RLC処理部202における再送制御のパラメータの1つである最大再送回数が取得される(ステップS301)。この最大再送回数は、パケットの再送を制御するRLCレイヤにおいて、再送が許容される最大の回数である。すなわち、RLCレイヤでは、パケットが正しく受信されないことを示すNACKが受信側の装置から返送された場合にパケットの再送が実行されるが、再送が無制限に繰り返されるとスループットが低下するため、許容される最大の再送回数が設定されることがある。このため、PDCP処理部201によって、下位のRLCレイヤの制御に用いられる最大再送回数が取得され、取得された最大再送回数に応じてパケットの廃棄条件が設定される。
【0057】
パケットの廃棄条件が設定されると、PDCP処理部201は、パケットに対してPDCPレイヤの処理を実行しつつ、バッファに格納された各パケットについて、廃棄条件が満たされるか否かを監視する。
【0058】
具体的には、パケットごとに設定された廃棄タイマが満了したか否かが判定される(ステップS203)。この判定の結果、廃棄タイマが満了した場合には(ステップS203Yes)、このパケットがPDCP処理部201によって廃棄される(ステップS104)。一方、廃棄タイマが満了していない場合には(ステップS203No)、パケットの受信が成功したことが通知されたか否かが判定される(ステップS204)。すなわち、PDCPレイヤでは、定期的に状態報告が受信側の装置から送信されるため、この状態報告によってパケットの受信が成功したか否かが判別可能である。そこで、PDCP処理部201によって、パケットの受信が成功したことが通知されている場合には(ステップS204Yes)、このパケットがPDCP処理部201によって廃棄される(ステップS104)。一方、受信成功の通知がない場合には(ステップS204No)、バッファに格納されたパケットの再送回数が最大再送回数に到達したか否かが判定される(ステップS302)。すなわち、RLCレイヤにおける再送制御のための最大再送回数に到達したか否かが判定される。そして、パケットの再送回数が最大再送回数に到達している場合には(ステップS302Yes)、このパケットがPDCP処理部201によって廃棄される(ステップS104)。
【0059】
このように、廃棄条件が満たされるか否かが監視され、廃棄条件を満たすパケットがバッファから廃棄されることにより、PDCPレイヤのバッファにおけるパケットの滞留時間が短縮される。特に、PDCPレイヤよりも下位のRLCレイヤの再送制御において用いられる最大再送回数が廃棄条件として利用されることにより、再送が失敗に終わるパケットが早期に廃棄され、無線伝送の遅延を低減することができる。換言すれば、新たな送信データとして低遅延データが発生した場合でも、低遅延データのパケットに対するPDCPレイヤの処理が迅速に実行され、少ない遅延で低遅延データを送信することが可能となる。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、PDCPレイヤのパケットの廃棄条件を、RLCレイヤの再送制御のための最大再送回数に応じて設定し、再送回数が最大再送回数に到達したパケットをPDCPレイヤのバッファから廃棄する。このため、バッファにおけるパケットの滞留時間を短縮することができ、新規の送信データとして低遅延データが発生した場合でも、低遅延データが送信されるまでの遅延を削減することができる。結果として、低遅延データの遅延要求を満たすことができる。
【0061】
なお、上記実施の形態3に係るバッファ制御方法によれば、例えば、非特許文献24(TS38.323)に記載のSDU廃棄に関する項目を例えば
図8のように改めることができる。つまり、PDCP-SDUのための廃棄タイマが満了した場合、状態報告によってPDCP-SDUの受信が成功したことが確認された場合、又は再送回数がRLCレイヤの最大再送回数を示すmaxRetxThresholdに到達した場合にPDCP-SDUが廃棄されるように規定しても良い。
【0062】
また、上記各実施の形態においては、上位のレイヤのバッファにおけるパケットの廃棄条件を決定する情報が下位のレイヤの処理部から取得されるものとしたが、必ずしも下位のレイヤの処理部から情報が取得されなくても良い。すなわち、例えばRRC(Radio Resource Control)シグナリングによって、パケットの廃棄条件を決定する情報が基地局装置から通知されるようにしても良い。具体的には、例えば2ビットで表される第2の廃棄タイマとして(0.5ms,1ms,2ms,3ms)のいずれかの値を示すパラメータ(例えばdiscardTimer2などの名称が規定されたパラメータでも良い)がRRCにおいて規定され、いずれかの値がRRCシグナリング(例えば、RRC Reconfiguration message, RRC setup messageなど)によって通知されても良い。また、第2の廃棄タイマを3ビットで表されるパラメータとして、上記実施の形態2のmaxPUSCH-Durationと同様の候補から値が指定されたり、さらに他の値が追加された候補から値が指定されたりしても良い。
【0063】
また、RRCシグナリングによって、廃棄タイマの値をスケーリングするスケーリングファクタがRRCにおいて規定され、スケーリングファクタの値が通知されても良い。例えばPDCPレイヤの廃棄タイマとして設定可能な値が(10ms,20ms,30ms,40ms,50ms,60ms,75ms,100ms,150ms,200ms,250ms,300ms,500ms,750ms,1500ms,無限)である場合、スケーリングファクタとして0.002が通知されると、廃棄タイマの各値に0.002が乗算されて廃棄条件に用いられるようにしても良い。この場合、廃棄条件として用いることが可能な値は(0.02ms,0.04ms,0.06ms,0.08ms,0.1ms,0.12ms,0.15ms,0.2ms,0.3ms,0.4ms,0.5ms,0.6ms,1.0ms,1.5ms,3.0ms,無限)となる。したがって、廃棄タイマの値をそのまま用いるよりも、パケットが廃棄されるまでの時間が短縮され、低遅延データの遅延要求を満たすことができる。スケーリングファクタは、複数の候補から動的に選択されるようにしても良い。
【0064】
また、従来から規定されているパラメータが変更されても良い。例えばPDCPレイヤの従来の廃棄タイマとして設定可能な値が(10ms,20ms,30ms,40ms,50ms,60ms,75ms,100ms,150ms,200ms,250ms,300ms,500ms,750ms,1500ms,無限)であることを参考にして、無限を削除し1msを追加しても良い。この結果、廃棄タイマとして設定可能な値は(1ms,10ms,20ms,30ms,40ms,50ms,60ms,75ms,100ms,150ms,200ms,250ms,300ms,500ms,750ms,1500ms)となる。
【0065】
なお、上記実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせた場合、第1レイヤをPDCPレイヤ、第2レイヤをMACレイヤとしても良い。また、第1の情報を廃棄タイマの値、第2の情報をmaxPUSCH-Durationとしても良い。また、上記実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせた場合、第1レイヤをPDCPレイヤ、第2レイヤをMACレイヤ、第3レイヤをRLCレイヤとしても良い。
【符号の説明】
【0066】
110 プロセッサ
111 アプリケーション処理部
112 第1レイヤ処理部
113 第2レイヤ処理部
120 メモリ
130 無線通信部
201 PDCP処理部
202 RLC処理部
203 MAC処理部