(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】プログラム、表示制御方法、サーバ装置、及び、システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0481 20220101AFI20240611BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20240611BHJP
G09B 5/08 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06F3/0484
G09B5/08
(21)【出願番号】P 2022183030
(22)【出願日】2022-11-16
(62)【分割の表示】P 2020054582の分割
【原出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 真人
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特許第7180630(JP,B2)
【文献】特開2019-185690(JP,A)
【文献】特開2016-167148(JP,A)
【文献】特開2019-061504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0347059(US,A1)
【文献】特開2015-108962(JP,A)
【文献】特開2014-149833(JP,A)
【文献】特開2019-185682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048-3/04895
G09B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
ユーザ操作に応じて指定された種別の付箋オブジェクトを表示装置に表示させる付箋オブジェクト表示処理と、
前記付箋オブジェクト表示処理により表示されている互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクト同士を関連付ける関連付け処理と、
前記関連付け処理により関連付けられた複数の前記付箋オブジェクトのグループである関連付けグループが複数ある場合において、ユーザ操作に応じて、前記複数の前記関連付けグループのうちの1つの関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトを他の関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトに対して優先して表示させる第1の表示態様で、前記複数の前記関連付けグループに含まれる複数の前記付箋オブジェクトを前記表示装置に表示させる優先表示処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記複数の付箋オブジェクトを所定のサイズ以内の表示領域に表示させる表示要求、又は、前記複数の表示要素を携帯用の端末装置の表示部に表示させる表示要求を受けた場合に、前記優先表示処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記複数の付箋オブジェクトを、付箋オブジェクトの種別に応じて複数の種別グループにグループ分けする第1のグルーピング処理と、
前記複数の付箋オブジェクトを、互いに異なる種別の付箋オブジェクト間の関連付けに応じて前記複数の関連付けグループにグループ分けする第2のグルーピング処理と、
前記複数の付箋オブジェクトを、前記種別グループ毎に整列した状態で表示させる整列処理と、
を実行させ、
前記第1のグルーピング処理、前記第2のグルーピング処理、および前記整列処理が実行された状態でのユーザ操作に応じて前記優先表示処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラムにおいて、
前記付箋オブジェクト表示処理により表示される複数の前記付箋オブジェクトは、グラフの種別に対応する数学的要素を含むグラフ付箋オブジェクト、数式の種別に対応する数学的要素を含む数式付箋オブジェクト、及び数表の種別に対応する数学的要素を含む数表付箋オブジェクトを含み、
前記数学的要素は、予め決められた別の数学的要素と関連付け自在であり、
前記複数の種別グループは、前記付箋オブジェクトに含まれる前記数学的要素の種別に応じてグループ分けされたものであり、
前記複数の関連付けグループは、前記複数の付箋オブジェクトに含まれる複数の数学的要素間の関連付けに応じてグループ分けされたものである
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
前記複数の付箋オブジェクトに含まれる前記数学的要素の種別と、前記複数の付箋オブジェクトに含まれる前記複数の付箋オブジェクト間の関連付けとを、記憶部に記憶する記憶処理を実行させ、
前記第1のグルーピング処理は、前記記憶部に記憶した前記複数の付箋オブジェクトの種別に基づいて、前記複数の種別グループにグループ分けすることを含み、
前記第2のグルーピング処理は、前記複数の付箋オブジェクト間の関連付けに基づいて、前記複数の関連付けグループにグループ分けすることを含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
前記第1の表示態様は、前記1つの関連付けグループを前記複数の関連付けグループの最前面に表示する態様である
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
前記第1の表示態様は、前記他の関連付けグループを最小化表示する態様、又は、非表示にする態様である
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項3に記載のプログラムにおいて、
前記整列処理は、前記複数の種別グループをある方向に並べる処理を含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
ユーザによるフリック操作又はスワイプ操作に応じて、前記第1の表示態様で優先される関連付けグループを、前記1つの関連付けグループから前記他の関連付けグループのいずれかに切り替える切り替え処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のプログラムを配布するサーバ装置。
【請求項11】
コンピュータが、
ユーザ操作に応じて指定された種別の付箋オブジェクトを表示装置に表示させる付箋オブジェクト表示処理と、
前記付箋オブジェクト表示処理により表示されている互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクト同士を関連付ける関連付け処理と、
前記関連付け処理により関連付けられた複数の前記付箋オブジェクトのグループである関連付けグループが複数ある場合において、ユーザ操作に応じて、前記複数の前記関連付けグループのうちの1つの関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトを他の関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトに対して優先して表示させる第1の表示態様で、前記複数の前記関連付けグループに含まれる複数の前記付箋オブジェクトを前記表示装置に表示させる優先表示処理と、
を実行することを特徴とする表示制御方法。
【請求項12】
ユーザ操作に応じて指定された種別の付箋オブジェクトを表示装置に表示させる付箋オブジェクト表示処理と、
前記付箋オブジェクト表示処理により表示されている互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクト同士を関連付ける関連付け処理と、
前記関連付け処理により関連付けられた複数の前記付箋オブジェクトのグループである関連付けグループが複数ある場合において、ユーザ操作に応じて、前記複数の前記関連付けグループのうちの1つの関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトを他の関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトに対して優先して表示させる第1の表示態様で、前記複数の前記関連付けグループに含まれる複数の前記付箋オブジェクトを前記表示装置に表示させる優先表示処理と、
を実行する1または複数の制御部を備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、プログラム、表示制御方法、サーバ装置、及び、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、欧米を中心に学校教育へのICT(Information and Communication Technology)機器の導入が進んでいる。これに伴い、例えば、特許文献1に記載されるように、学校の授業や定期試験に電子教材が利用されるケースが増加しており、今後も、電子教材の利用拡大が予想されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電子教材は、通常、パソコンやタブレットなどある程度大きな画面サイズの表示装置を想定して設計されている。このため、例えば、スマートフォンなど、想定された画面サイズよりも小さな画面サイズの端末から電子教材を利用すると、電子教材の視認性が著しく低下し、ひいては、操作性が低下してしまうことがある。
【0005】
このような課題は、学校教育で利用される電子教材に限らず、グラフィカルユーザインターフェースを提供する様々なアプリケーションにおいて同様に生じ得る。
【0006】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、画面サイズによらず高い視認性を実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、ユーザ操作に応じて指定された種別の付箋オブジェクトを表示装置に表示させる付箋オブジェクト表示処理と、前記付箋オブジェクト表示処理により表示されている互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクト同士を関連付ける関連付け処理と、前記関連付け処理により関連付けられた複数の前記付箋オブジェクトのグループである関連付けグループが複数ある場合において、ユーザ操作に応じて、前記複数の前記関連付けグループのうちの1つの関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトを他の関連付けグループに含まれる互いに異なる種別の複数の前記付箋オブジェクトに対して優先して表示させる第1の表示態様で、前記複数の前記関連付けグループに含まれる複数の前記付箋オブジェクトを前記表示装置に表示させる優先表示処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、画面サイズによらず高い視認性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】クライアント端末10の物理構成を例示したブロック図である。
【
図3】サーバ20の物理構成を例示したブロック図である。
【
図4】比較的大きな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面を例示した図である。
【
図5】オブジェクト情報を管理するデータベース内のデータD1を例示した図である。
【
図6】付箋オブジェクトの作成手順の一例を説明するための図である。
【
図7】付箋オブジェクトの作成手順の一例を説明するための別の図である。
【
図8】付箋オブジェクトの作成手順の一例を説明するための更に別の図である。
【
図9】比較的小さな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面での操作の一例を示した図である。
【
図10】比較的小さな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面での別の操作の一例を示した図である。
【
図11】比較的小さな画面サイズのクライアント端末10に表示される別のアプリケーション画面での操作の一例を示した図である。
【
図12】アプリケーション画面の画面サイズを変更する操作の一例を示した図である。
【
図13】システム1が行う処理のフローチャートの一例である。
【
図14】
図13に示す表示処理のフローチャートの一例である。
【
図15】オブジェクト情報を管理するデータベース内のデータD2を例示した図である。
【
図16】比較的大きな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面の別の例を示した図である。
【
図17】オブジェクト情報を管理するデータベース内のデータD3を例示した図である。
【
図18】比較的大きな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面の別の例を示した図である。
【
図19】比較的小さな画面サイズのクライアント端末10に表示されるコメント付箋を含むアプリケーション画面での操作の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、システム1の構成を例示した図である。
図2は、クライアント端末10の物理構成を例示したブロック図である。
図3は、サーバ20の物理構成を例示したブロック図である。
図1から
図3を参照しながら、システム1の構成について説明する。
【0013】
システム1は、特に限定しないが、例えば、利用者からの入力に応じてさまざまな数学的演算を行い、グラフや数表などを用いて演算結果を表示するシステムである。システム1は、
図1に示すように、ネットワーク30を介して接続された、クライアント端末10と、サーバ20と、を含んでいる。ネットワーク30は、例えば、インターネットであるが、専用回線などのその他の種類のネットワークであってもよい。以降では、システム1がWebアプリケーションシステムである場合を例に説明するが、システム1は、クライアントサーバシステムであってもよい。
【0014】
クライアント端末10は、表示装置を備えた端末であり、システム1の利用者によって操作される。システム1がWebアプリケーションシステムの場合であれば、クライアント端末10には、Webブラウザがインストールされていればよい。クライアント端末10は、例えば、利用者の入力に応じてサーバ20へ要求を送信し、要求に対するサーバ20からの応答に基づいて利用者へアプリケーション画面を提供する。
【0015】
なお、クライアント端末10は、
図1に示すように、ノート型のコンピュータ10aであってもよく、タブレット型のコンピュータ10bであってもよく、スマートフォンであるコンピュータ10cであってもよい。また、クライアント端末10はモバイル端末に限らず、例えば、据え置き型のコンピュータであってもよい。
【0016】
クライアント端末10は、例えば、
図2に示すように、プロセッサ11と、記憶装置12と、入力装置13と、表示装置14と、通信装置15を備えている。
【0017】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含む電気回路であり、記憶装置12に記憶されているプログラム12aを実行する。なお、プロセッサ11には、GPU(Graphics processing unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)などの他の種類のプロセッサが含まれてもよい。
【0018】
記憶装置12は、例えば、任意の半導体メモリであり、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを含んでいる。また、記憶装置12は、磁気記憶装置、光学記憶装置、その他の種類の記憶装置を含んでもよい。記憶装置12には、プロセッサ11によって実行されるプログラム12aが記憶されている。なお、記憶装置12に記憶されているプログラム12aは、例えば、ネットワーク30及び通信装置15を介してサーバ20からダウンロードされたものであってもよい。
【0019】
入力装置13は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどを含んでいるが、マイクなどの音声入力装置を含んでもよく、他の種類の入力装置を含んでもよい。表示装置14は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイなどであるが、マトリクスLEDパネルなどの他の種類の表示装置であってもよい。通信装置15は、例えば、Wi-Fi(登録商標)モジュールなどの無線通信装置であるが、有線通信装置であってもよい。
【0020】
サーバ20は、クライアント端末10からの要求を処理して処理結果をクライアント端末10へ送信するサーバ装置である。サーバ20は、単一の装置として構成されてもよく、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバなどを含む複数の装置の集合であってもよい。また、サーバ20は、分散コンピューティングシステムとして構成されてもよい。
【0021】
サーバ20は、例えば、
図3に示すように、プロセッサ21と、記憶装置22と、入力装置23と、表示装置24と、通信装置25を備えている。
【0022】
プロセッサ21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含む電気回路であり、記憶装置22に記憶されているプログラム22aを実行する。なお、プロセッサ21には、GPU(Graphics processing unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)などの他の種類のプロセッサが含まれてもよい。
【0023】
記憶装置22は、例えば、任意の半導体メモリであり、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを含んでいる。また、記憶装置22は、磁気記憶装置、光学記憶装置、その他の種類の記憶装置を含んでもよい。記憶装置22には、プロセッサ21によって実行されるプログラム22aと後述するオブジェクト情報22bが記憶されている。また、記憶装置22には、クライアント端末10に配布され、クライアント端末10で実行されるプログラム12aが記憶されていてもよい。
【0024】
入力装置23は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどを含んでいるが、マイクなどの音声入力装置を含んでもよく、他の種類の入力装置を含んでもよい。表示装置24は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイなどであるが、マトリクスLEDパネルなどの他の種類の表示装置であってもよい。通信装置25は、無線通信装置であっても有線通信装置であってもよい。
【0025】
以上のように構成されたシステム1では、利用者がクライアント端末10にインストールされたWebブラウザを起動し所定のURLを入力することで、クライアント端末10は、サーバ20が提供するWebブラウザ上で動作するプログラム12aを記憶装置12へダウンロードして実行することができる。また、URLで特定されるWebアプリケーションにアクセスすることもできる。また、利用者がWebブラウザに表示されるアプリケーション画面上で種々の操作を行うことで、クライアント端末10は、サーバ20へ要求を送信することができ、サーバ20から応答に基づいてアプリケーション画面を更新することができる。
【0026】
図4は、比較的大きな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面を例示した図である。
図5は、オブジェクト情報を管理するデータベース内のデータD1を例示した図である。以下、
図4及び
図5を参照しながら、比較的大きな画面サイズのクライアント端末10、例えば、ノート型のコンピュータ10aが、サーバ20へアクセスしたときに表示されるアプリケーション画面について説明する。
【0027】
図4に示すウィンドウW1は、Webブラウザのウィンドウである。ウィンドウW1には、複数の表示要素(以降、付箋オブジェクトと記す。)が配置されたアプリケーション画面が表示されている。アプリケーション画面に表示される付箋オブジェクトの各々は、ID、オブジェクト名、種別、座標、関連No.などのプロパティを有している。クライアント端末10では、これらのプロパティを使って付箋オブジェクト、及び、付箋オブジェクト間の関係がWebブラウザ上に表示される。なお、付箋オブジェクトの各々は、グラフ、数式及び数表の中から選ばれる数学的要素を含んでいる。さらに、付箋オブジェクトに含まれる数学的要素は、予め決められた別の数学的要素と関連付け自在である。
【0028】
付箋オブジェクトのプロパティについてさらに詳細に説明する。IDは、付箋オブジェクトを一意に特定する情報である。オブジェクト名は、付箋オブジェクトに付された編集可能な名称である。種別は、付箋オブジェクトの種別を示す情報であり、
図4及び
図5では、“グラフ”、“数式”、“数表(数式)”、“数表(プロット)”の4種類の種別が例示されている。座標は、付箋オブジェクトを代表する座標であり、特に限定しないが、例えば、付箋オブジェクトの左上の角の位置における座標である。関連No.は付箋オブジェクト間の関連付けを特定する情報である。互いに関連付けられた付箋オブジェクト同士は、同じ関連No.を有している。その他にも、付箋オブジェクトを特徴づける種々のプロパティが存在する。その他のプロパティには、例えば、付箋オブジェクトのサイズなど全ての付箋オブジェクトに共通して存在するプロパティ、特定の種別の付箋オブジェクトに特有のプロパティなどが含まれる。
【0029】
これらのプロパティは、オブジェクト情報22bとして記憶装置22に記憶されている。より具体的には、例えば、
図5に示すように、テーブル形式のデータD1としてデータベースに格納されている。なお、
図5に示す例では、カラムC1、カラムC2、カラムC3、カラムC4、カラムC5のそれぞれに、付箋オブジェクトのID、オブジェクト名、種別、座標、関連No.が格納されている。このようにサーバ20でオブジェクト情報22bが管理されることで、利用者は、自身が作成した付箋オブジェクトを、任意のクライアント端末10のWebブラウザ上に表示させることができる。
【0030】
付箋オブジェクトについて種別ごとにさらに詳細に説明する。
図4に表示されている付箋オブジェクトのうち種別が“グラフ”である付箋オブジェクト(以降、グラフ付箋と記す。)は、グラフ付箋G1とグラフ付箋G2である。これらのグラフ付箋は、関数グラフ又は統計グラフ又はその両方を表示する付箋オブジェクトである。なお、グラフ付箋G1には、関数グラフと統計グラフが表示されている。グラフ付箋G1に表示されている関数グラフは、2つの一次関数のグラフであり、グラフ付箋G1に表示されている統計グラフは、散布図である。グラフ付箋G2には、関数グラフのみが表示されている。グラフ付箋G2に表示されている関数グラフは、二次関数のグラフである。
【0031】
図4に表示されている付箋オブジェクトのうち種別が“数式”である付箋オブジェクトは、数式付箋F1と数式付箋F2である。これらの数式付箋は、利用者によって入力された関数の数式を表示する付箋オブジェクトである。なお、数式付箋F1には、2つの数式(y=x、y=-3x)が表示されている。数式付箋F2には、1つの数式(y=x
2)が表示されている。
【0032】
図4に表示されている付箋オブジェクトのうち種別が“数表(関数)”である付箋オブジェクトは、数表付箋T1と数表付箋T2である。これらの数表付箋は、数式付箋に入力された関数の独立変数(x)と従属変数(y)の組を表形式で表示する付箋オブジェクトである。なお、数表付箋T1には、1つの独立変数(x)と2つの従属変数(y:=x、y:=-3x)の組が表示されている。数表付箋T2には、1つの独立変数(x)と1つの従属変数(y:=x
2)の組が表示されている。
【0033】
図4に表示されている付箋オブジェクトのうち種別が“数表(統計)”である付箋オブジェクトは、数表付箋TP1である。この数表付箋は、利用者によって値が入力された数表を表示する付箋オブジェクトである。数表付箋TP1には、グラフ付箋G1に表示されている統計グラフのプロット点を特定する2つの変数x、yの組が表示されている。
【0034】
なお、
図4に表示されているメニューリストMは、上述した4つの種別の付箋オブジェクトのそれぞれに対応するメニュー(メニューM1~メニューM4)を含んでいる。メニューリストMは、例えば、アプリケーション画面上の付箋オブジェクトが存在しない領域をクリックすることで表示される。なお、メニューM1は、グラフ付箋を追加するためのメニューである。メニューM2は、数式付箋を追加するためのメニューである。メニューM3は、種別が“数表(関数)”の数表付箋を追加するためのメニューである。メニューM4は、種別が“数表(統計)”の数表付箋を追加するためのメニューである。
【0035】
図6から
図8は、付箋オブジェクトの作成手順の一例を説明するための図である。以下、
図6から
図8を参照しながら、
図4に示すウィンドウW1上に表示される複数の付箋オブジェクトをアプリケーション画面上に作成する手順を説明する。
【0036】
まず、アプリケーション画面上に付箋オブジェクトが表示されていない状態で、利用者がアプリケーション画面上の任意の領域を押下すると、メニューリストMが表示される。その後、利用者がメニューリストM上のメニューM1を押下すると、
図6の上段に示すように、グラフ付箋G1が作成され、アプリケーション画面上に表示される。このとき、グラフ付箋G1には、グラフは表示されておらず、グラフの目盛りのみが表示される。
【0037】
利用者がグラフ付箋G1を押下すると、グラフ付箋G1上に複数のメニューが表示される。さらに、利用者が左側に配置されているメニューGM1を押下すると、
図6の中段に示すように、数式付箋F1が作成され、アプリケーション画面上にグラフ付箋G1と関連付けて表示される。なお、付箋オブジェクト間の関連付けは、関連する付箋オブジェクト間をつなぐ線を表示することによって表現されている。
【0038】
次に、利用者が数式付箋F1に数式(y=x)を入力すると、
図6の下段に示すように、グラフ付箋G1上に数式付箋F1に入力した数式のグラフが表示される。さらに、利用者が数式付箋F1に2つの目の数式(y=-3x)を入力すると、
図7の上段に示すように、グラフ付箋G1上に数式付箋F1に入力した2つ目の数式のグラフが表示される。
【0039】
その後、利用者がグラフ付箋G1上に表示される複数のメニューのうち真ん中に配置されているメニューGM2を押下すると、
図7の下段に示すように、数表付箋T1が作成され、アプリケーション画面上に数式付箋F1と関連付けて表示される。数表付箋T1内には、グラフ付箋G1上でのグラフ表示に使用された独立変数と従属変数の複数の組がリスト表示される。
【0040】
さらに、利用者がグラフ付箋G1上に表示される複数のメニューのうち右側に配置されているメニューGM3を押下すると、
図8の上段に示すように、数表付箋TP1が作成され、アプリケーション画面上にグラフ付箋G1と関連付けて表示される。
【0041】
利用者が数表付箋TP1内に変数x、yの組み合わせを入力すると、
図8の下段に示すように、入力された情報に対応するグラフ上の位置にプロット点が描画され、その結果、グラフ付箋G1上の散布図が表示される。
【0042】
以上のような操作をグラフ付箋G2、数式付箋F2、数表付箋T2の作成のために繰り返すことで、
図4に示すウィンドウW1上に表示されるアプリケーション画面が表示され、サーバ20の記憶装置22に作成されたデータベース内には、
図5に示すD1が格納される。
【0043】
図9から
図11は、比較的小さな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面での操作例を示した図である。以下、
図9及び
図10を参照しながら、比較的小さな画面サイズのクライアント端末10、例えば、スマートフォンであるコンピュータ10cが、サーバ20へアクセスしたときに表示されるアプリケーション画面について説明する。以降では、比較的大きな画面サイズのコンピュータ10aを用いて作成された
図4に示す複数の付箋オブジェクトのオブジェクト情報22bをサーバ20から読み出して、コンピュータ10cでアプリケーション画面を表示する場合を例に説明する。
【0044】
コンピュータ10cは、まず、サーバ20が提供するWebアプリケーションにアクセスし、コンピュータ10aで作成された複数の付箋オブジェクトのオブジェクト情報22bを取得する。その後、以下の処理を行うことで、小さな画面でも高い視認性を実現し、ひいては、高い操作性を実現可能なアプリケーション画面を表示する。
【0045】
コンピュータ10cは、まず、複数の付箋オブジェクトを、付箋オブジェクトの種別に応じて複数の種別グループにグループ分けする第1のグルーピング処理を行う。即ち、第1のグルーピング処理は、記憶装置22に記憶されている複数の数学的要素の種別に基づいて、複数の種別グループにグループ分けすることを含んでいる。具体的には、コンピュータ10cは、付箋オブジェクトの種別プロパティに基づいてグループ分けする。この例では、グラフ付箋G1とグラフ付箋G2を含むグラフ群Gと、数式付箋F1と数式付箋F2を含む数式群Fと、数表付箋T1と数表付箋T2を含む数表群Tと、数表付箋TP1を含む数表群TPの、計4つの種別グループが作成される。
【0046】
コンピュータ10cは、さらに、複数の付箋オブジェクトを、付箋オブジェクト間の関連付けに応じて複数の関連付けグループにグループ分けする第2のグルーピング処理を行う。即ち、第2のグルーピング処理は、複数の数学的要素間の関連付けに基づいて、複数の関連付けグループにグループ分けすることを含んでいる。具体的には、コンピュータ10cは、付箋オブジェクトの関連付けNo.プロパティに基づいてグループ分けする。この例では、グラフ付箋G1と数式付箋F1と数表付箋T1と数表付箋TP1を含む第1関連付けグループと、グラフ付箋G2と数式付箋F2と数表付箋T2を含む第2関連付けグループの、計2つの関連付けグループが作成される。
【0047】
次に、コンピュータ10cは、作成された4つの種別グループを整列する整列処理を行う。整列処理は、例えば、複数の種別グループをある方向に並べる処理を含んでいてもよい。複数の種別グループを並べるある方向(以降、整列方向と記す。)は、例えば、
図9に示すように、コンピュータ10cの表示装置14の長手方向であってもよい。また、例えば、Webブラウザのサイズを調整した場合など、コンピュータ10cの表示装置14の一部にアプリケーション画面が表示される場合には、整列方向は、アプリケーション画面が表示される表示領域(この例では、Webブラウザの表示領域)の長手方向であることが望ましい。換言すると、整列方向は、表示装置14に含まれる表示領域の長手方向であることが望ましい。これにより、スクロール操作をしない場合において、より多くの種類の異なる種別グループの付箋オブジェクトを、一画面内に表示できる。
【0048】
また、通常、アプリケーション画面には上下左右が定められているが、整列方向は、コンピュータ10cの表示装置14に表示されるアプリケーション画面の上下方向であってもよい。例えば、
図9に示す場合には、上下方向は、コンピュータ10cの表示装置14の長手方向と一致する。同じコンピュータ10cの向きを90度回転させて構えた場合には、上下方向は、コンピュータ10cの表示装置14の短手方向と一致する。これにより、一般的なWebブラウザにおける表示画面の通常のスクロール方向と、整列方向とが一致するため、良好な視認性及び操作性を維持することができる。
【0049】
なお、種別グループの整列順は、例えば、グラフ群G、数式群F、数表群T、数表群TPといった順番など、予め決められた順番であってもよい。また、種別グループの整列順は、例えば、同種のオブジェクトの数が多い順番など、任意の基準によって自動的に決定されてもよい。さらに、種別グループの整列順は、利用者が指定した順番であってもよい。
【0050】
最後に、コンピュータ10cは、複数の関連付けグループのうちの1つの関連付けグループを他の関連付けグループに対して優先する表示態様(以降、第1の表示態様と記す。)で、整列した複数の種別グループに属する複数の付箋オブジェクトを表示装置14に表示させる第1の表示処理を行う。1つの関連付けグループを他の関連付けグループに対して優先する表示態様、即ち、第1の表示態様は、他の関連付けグループに対して優先する1つの関連付けグループ(以降、優先グループと記す。)を複数の関連付けグループの最前面に表示する態様である。より具体的には、
図9及び
図10に示すような、優先グループを複数の関連付けグループの最前面に表示した上で、他の関連付けグループを優先グループの背面に表示する態様であってもよい。この場合、
図9及び
図10に示すように、異なる関連付けグループに属し、かつ、同じ種別グループに属する複数の付箋オブジェクト同士を、重なるように表示する態様であってもよい。これにより、優先グループ以外の関連付けグループが、優先グループに含まれる何れかの種別グループと同じ種別グループの付箋オブジェクトを含むかどうかを、一目見るだけで判断できる。また、
図11に示すような、優先グループを複数の関連付けグループの最前面に表示した上で、他の関連付けグループをアイコン化するなどして最小化表示したり、非表示にする態様であってもよい。即ち、本明細書において、“1つの関連付けグループを複数の関連付けグループの最前面に表示する”には、その1つの関連付けグループが最前面に表示されている限り該当し、他の関連付けグループに属する複数の付箋オブジェクトが表示されているか否かを問わない。1つの関連付けグループ(優先グループ)を最前面に表示することで、優先グループの付箋オブジェクトが他のグループの付箋オブジェクトに遮られて見えないという事態を回避することができる。
【0051】
なお、優先グループは、例えば、関連付けグループに属する付箋オブジェクトの座標情報に基づいて決定されてもよい。即ち、後述する第2の表示態様における複数の付箋オブジェクトの配置に基づいて決定してもよい。例えば、オブジェクト情報22bに含まれる座標情報から最も基準座標(例えば、表示領域の最も左上など)に近い座標を有する付箋オブジェクトを特定し、その特定された付箋オブジェクトが属する関連付けグループを、優先グループに決定してもよい。また、優先グループは、その他の任意の基準によって自動的に決定されてもよい。自動的に決定されることで、優先グループを決定するための利用者の追加の操作を不要にすることができる。さらに、利用者が指定した関連付けグループを優先グループに決定してもよい。
【0052】
以上のように、コンピュータ10cは、第1のグルーピング処理、第2のグルーピング処理、整列処理、第1の表示処理を行うことで、例えば、
図9に示すように、1つの関連付けグループに属する付箋オブジェクトを優先して表示することができる。ある付箋オブジェクトに利用者が注目している場合、その付箋オブジェクトに関連付けられた付箋オブジェクトは、関連のない付箋オブジェクトよりも、利用者に参照される可能性が高い。例えば、
図9のグラフ付箋G1に利用者が注目している場合であれば、そのグラフ付箋G1に表示されているグラフの数式や数値をすぐに確認することができれば便利である。1つの関連付けグループに属する付箋オブジェクトが優先して表示されることで、注目している付箋オブジェクトに関連付けられた付箋オブジェクトも、注目している付箋オブジェクトと同様に、優先して表示される。このため、利用者は、これらの付箋オブジェクトを同時に又は素早く確認することができる。従って、コンピュータ10cのように小さな画面を有する場合であっても不便なくアプリケーションを利用することが可能であり、画面サイズによらず高い視認性を実現することができる。
【0053】
また、コンピュータ10cが、整列処理において複数の種別グループをある方向に並べることで、優先グループに属する付箋オブジェクトの全てが画面に収まらない場合であっても、利用者は、簡単な操作で関連付けられた付箋オブジェクトを容易に確認することが可能となる。具体的には、例えば、
図9に示すように、利用者は、種別グループの整列方向にフリック操作又はスワイプ操作を行ってアプリケーション画面をスクロールするだけで、アプリケーション画面に収まりきらなかった付箋オブジェクトを画面内に表示させて確認することができる。特に、
図9に示すように、表示領域の長手方向に複数の種別グループを並べることで、優先グループに属する複数の付箋オブジェクトを表示領域内で効率的に表示することができるため、それらの付箋オブジェクトを順番に見ていく場合に、フリック操作やスワイプ操作の回数を最小限に抑えることが可能となる。従って、より高い操作性を実現することが可能となる。
【0054】
さらに、コンピュータ10cは、所定操作に応じて、優先グループを、ある1つの関連付けグループから他の関連付けグループのいずれかに切り替える切り替え処理を行う。この場合、所定操作は、フリック操作又はスワイプ操作を含んでもよい。具体的には、例えば、
図10及び
図11に示すように、種別グループの整列方向と交差する方向に、利用者がフリック操作又はスワイプ操作を行うことで、優先グループが切り替わることが望ましい。コンピュータ10cでは、
図9から
図11に示すように、利用者のフリック操作又はスワイプ操作の方向に応じて、画面のスクロールと優先表示の対象とする関連付けグループの切り替えとが適宜行われる。従って、利用者は直感的にアプリケーション画面を操作することが可能であり、システム1によって高い操作性が実現される。
【0055】
なお、
図10及び
図11には、優先グループが、第1関連付けグループ(グラフ付箋G1と数式付箋F1と数表付箋T1と数表付箋TP1)から第2関連付けグループ(グラフ付箋G2と数式付箋F2と数表付箋T2)へ切り替わる様子が示されている。
図10は、優先グループ以外の関連付けグループを優先グループの背面に表示する例であり、
図11は、優先グループ以外の関連付けグループを最小化してアイコン(アイコンI1~アイコンI3)を表示する例である。どちらの場合も、利用者に優先グループ以外の関連付けグループの存在を利用者に認識させることができる。
図10に例示される表示態様では、優先グループ以外の関連付けグループが優先グループの背面に表示されているため、フリック操作やスワイプ操作による優先グループの切り替えをイメージしやすく、利用者が切り替え操作をより感覚的に把握しやすい。また、
図11に例示される表示態様では、優先グループ以外の関連付けグループが最小化されているため、
図10に例示される表示態様に比べて優先グループを見やすく表示することができる。
【0056】
コンピュータ10cは、第1の表示処理を行う前に、さらに、リサイズ処理を行ってもよい。リサイズ処理は、複数の付箋オブジェクトの少なくとも一部をリサイズすることによって、複数の付箋オブジェクトの幅であって整列方向と直交する所定方向(直交方向)の幅を、表示装置14に含まれる表示領域の所定方向(直交方向)の幅に収める処理である。例えば、複数の付箋オブジェクトのうち一部の付箋オブジェクトの幅がコンピュータ10cの表示領域の幅に収まらない場合には、その一部の付箋オブジェクトの幅のみを小さくすることで、表示領域内に収めてもよく、すべてのオブジェクトを一律に縮小して表示領域内に収めてもよい。これにより、整列方向と直交する方向に画面をスクロールする操作を利用者に強いることがないため、高い視認性を実現し、ひいては、高い操作性を実現することができる。
【0057】
以上では、比較的大きな画面サイズを有するコンピュータ10aで作成した複数の付箋オブジェクトを比較的小さな画面サイズを有するコンピュータ10cに表示する場合に、第1の表示態様で複数の付箋オブジェクトを表示する例を示したが、比較的大きな画面サイズを有するコンピュータ10aに第1の表示態様で複数の付箋オブジェクトを表示してもよい。例えば、
図12に示すように、Webブラウザのウィンドウサイズが調整された場合に、ウィンドウサイズが所定のサイズ以下まで小さくなったときに、第1の表示態様で複数の付箋オブジェクトを表示してもよい。なお、
図12には、ウィンドウサイズが最大化されたウィンドウW1、及び、ウィンドウW1から少し横幅を縮めたウィンドウW2では、オブジェクト情報22bの座標プロパティに従って複数の付箋オブジェクトが配置される様子が、ウィンドウW2からさらに横幅を縮めたウィンドウW3では、第1の表示態様で複数の付箋オブジェクトが表示される様子が、示されている。
【0058】
図13は、システム1が行う処理のフローチャートの一例である。
図14は、
図13に示す表示処理のフローチャートの一例である。以下、
図12及び
図13を参照しながら、画面サイズによらず高い視認性を実現し、ひいては、高い操作性を実現するためにシステム1が行う上述した表示制御方法の具体的な処理手順の一例を説明する。なお、以降では、
図13及び
図14に示す各工程の処理がクライアント端末10で行われる場合を例に説明するが、表示処理を除く処理の一部又は全部はサーバ20で行われてもよい。
【0059】
図13に示す処理は、例えば、クライアント端末10のプロセッサ11が、サーバ20からダウンロードされたプログラム12aを実行することにより行われる。まず、プロセッサ11は、表示要求を検出したか否かを判定する(ステップS1)。例えば、Webブラウザの更新ボタンの押下などによってWebブラウザがWebページをリロードした場合には、プロセッサ11は、表示要求を検出したと判定する。
【0060】
表示要求を検出すると、プロセッサ11は、
図14に示す表示処理を行う(ステップS2)。表示処理が開始されると、まず、プロセッサ11は、判定処理を行う(ステップS11)。即ち、プロセッサ11は、判定処理部の一例である。判定処理は、所定条件を満たしているかを判定する処理であり、所定条件は、第1の表示態様で表示することが望ましいと判断するための条件である。
【0061】
ステップS11では、プロセッサ11は、表示領域のサイズ(例えば、Webブラウザのウィンドウサイズ)を取得してもよく、表示領域のサイズが所定のサイズ以内であることを所定条件として、所定条件を満たすか否かを判定してもよい。また、プロセッサ11は、クライアント端末10の情報を取得してもよく、取得した情報に基づいてクライアント端末10がスマートフォンと推定されることを所定条件として、所定条件を満たすか否かを判定してもよい。クライアント端末10の情報は、例えば、クライアント端末10のハードウェアの情報であってもよく、クライアント端末10にインストールされたOSの情報やWebブラウザの情報などソフトウェアの情報であってもよい。これらの情報からクライアント端末10がスマートフォンか否かを推定してもよい。プロセッサ11が判定処理を行うことで、適切な表示態様で複数の付箋オブジェクトを表示することが可能となる。
【0062】
プロセッサ11は、所定条件を満しているときには(ステップS12:YES)、第1のグルーピング処理(ステップS13)、第2のグルーピング処理(ステップS14)、整列処理(ステップS15)、リサイズ処理(ステップS16)を行う。即ち、プロセッサ11は、第1のグルーピング処理部、第2のグルーピング処理部、整列処理部、リサイズ処理部の一例である。なお、第1のグルーピング処理、第2のグルーピング処理、整列処理、リサイズ処理の詳細については、上述したとおりである。
【0063】
その後、プロセッサ11は、優先グループ決定処理を行う(ステップS17)。即ち、プロセッサ11は、優先グループ決定処理部の一例である。ステップS17では、プロセッサ11は、特に限定しないが、例えば、付箋オブジェクトの座標情報に基づいて優先グループを決定する。具体的には、例えば、最も基準座標に近い座標を有する付箋オブジェクトを特定し、その特定された付箋オブジェクトが属する関連付けグループを、優先グループに決定する。
【0064】
優先グループが決定されると、プロセッサ11は、第1の表示処理を行う(ステップS18)。即ち、プロセッサ11は、第1の表示処理部の一例である。なお、第1の表示処理の詳細については、上述したとおりである。第1の表示処理が終了すると、ステップS2の表示処理が終了する。
【0065】
一方、プロセッサ11は、所定条件を満していないときには(ステップS12:NO)、複数の付箋オブジェクトの座標情報を取得し(ステップS19)、座標情報がない付箋オブジェクトについては座標情報を作成する(ステップS20)。なお、付箋オブジェクトのプロパティに座標情報がないケースとしては、例えば、アプリケーション画面が第1の表示態様で表示されている場合に、新たな付箋オブジェクトを作成した場合などが想定される。具体的には、利用者がコンピュータ10cの表示領域内の付箋オブジェクトが表示されていない領域をクリックすることで任意の付箋オブジェクトを追加した場合や、優先グループのグラフ付箋上のメニューを選択して他の付箋オブジェクトを追加した場合などが相当する。この場合、付箋オブジェクトを新たに追加する操作を受け付けたコンピュータ10cは、追加される新たな付箋オブジェクトの種別を特定する種別情報(種別プロパティ)を作成し、その情報をサーバ20に送信することによって記憶装置22に記憶させる処理を実行する。
図15に示すデータベース内のデータD2は、第1の表示態様で優先表示されたグラフ付箋G2上のメニューを選択することで新たに数表オブジェクトTP2が追加されたときのデータを示している。ここで注目すべきは、データD2では、数表オブジェクトTP2に対応するカラムC4の座標情報が空であることである。なお、第1の表示態様で付箋オブジェクトが表示されていない領域をクリックすることで任意の付箋オブジェクトが追加された場合には、カラムC4の座標情報に加えてカラムC5の関連No.も空である。その後、コンピュータ10aで再度アプリケーション画面を表示した場合に、ステップS20の処理が行われる。なお、ステップS20の処理は、コンピュータ10aで再度アプリケーション画面を表示するまでに行わればよく、必ずしも表示処理の直前に行われなくてもよい。ステップS20で作成される座標情報は、例えば、
図16に示す数表付箋TP2のように、その座標情報に従って付箋オブジェクトを配置した場合に、その付箋オブジェクトが他の付箋オブジェクトと重複しないように作成される。その結果、
図17に示すように、データベース内のデータはデータD3のように更新され、新たに追加された数表オブジェクトTP2に座標情報が作成されて記憶される。
【0066】
座標情報の取得及び作成が終了すると、プロセッサ11は、第2の表示処理を行い(ステップS21)、ステップS2の表示処理が終了する。第2の表示処理は、第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で複数の付箋オブジェクトを、表示装置14に表示させる処理である。具体的には、プロセッサ11は、複数の付箋オブジェクトを互いに重ならないように表示装置14に表示させる。より具体的には、プロセッサ11は、複数の付箋オブジェクトを各付箋オブジェクトの座標情報に従って表示装置14に表示させる。このような表示態様では、表示領域のサイズが十分に大きい場合には、すべての付箋オブジェクトを一度に表示することができる。
【0067】
プロセッサ11は、ステップS1において表示要求を検出しない場合には、さらに、切り替え要求を検出したか否かを判定する(ステップS3)。例えば、第1の表示態様で複数の付箋オブジェクトが表示されているときに
図10に示すようなスワイプ操作が行われた場合には、プロセッサ11は、切り替え要求を検出したと判定する。
【0068】
切り替え要求を検出すると、プロセッサ11は、切り替え処理を行う(ステップS4)。なお、切り替え処理の詳細については、上述したとおりである。これにより、第1の表示態様で切り替え前とは異なる関連付けグループが優先的に表示される。
【0069】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して、または実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。即ち、プログラム、表示制御方法、及び、システムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0070】
上述した実施形態では、他の付箋オブジェクトと関連付け可能な付箋オブジェクトのみが作成される例を示したが、
図18及び
図19に示すように、他の付箋オブジェクトと関連付けできない付箋オブジェクトが作成されてもよい。
【0071】
図18に示すウィンドウW5に表示されたアプリケーション画面は、比較的大きな画面サイズのクライアント端末10に表示されるアプリケーション画面の一例であり、他の付箋オブジェクトと関連付けられないコメント付箋Txが含まれる点と、メニューリストMにメニューM5が含まれる点が、
図4に示すアプリケーション画面と異なっている。メニューM5は、コメント付箋を追加するためのメニューである。
図19には、コメント付箋Txを含む複数の付箋オブジェクトが第1の表示態様で表示された様子が示されている。コメント付箋Txは特定の関連付けグループに属さないため、第1の表示態様では、
図19に示すように、すべての関連付けグループとともに表示されてもよい。即ち、第1の表示態様では、優先グループに属する付箋オブジェクトとコメント付箋Txが優先して表示されてもよい。
【0072】
上述した実施形態では、優先グループを切り替え前後で種別グループの並び順が変更されない例を示したが、種別グループの並び順は、優先グループが切り替わる度に決定されてもよい。例えば、優先グループに属する付箋オブジェクトの座標情報から種別グループの並び順を決定してもよい。より具体的には、優先グループに属する付箋オブジェクトを基準座標に近いものから順に並べることで得られた並び順を採用してもよい。
【0073】
また、上述した実施形態において、フリック操作又はスワイプ操作に替えて、表示装置に表示される特定のアイコンのタップ操作や、クライアント端末10が備える特定のキーを用いた操作に基づいて、同様の機能を実行可能に構成されてよい。
【0074】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
コンピュータに、
複数の表示要素を表示要素の種別に応じてグループ分けした複数の種別グループを整列する整列処理と、
前記複数の表示要素を要素間の関連付けに応じてグループ分けした複数の関連付けグループのうちの、1つの関連付けグループを他の関連付けグループに対して優先する第1の表示態様で、整列した前記複数の種別グループに属する前記複数の表示要素を表示装置に表示させる第1の表示処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
[付記2]
付記1に記載のプログラムにおいて、
前記複数の表示要素の各々は、グラフ、数式及び数表の中から選ばれる数学的要素を含み、
前記数学的要素は、予め決められた別の数学的要素と関連付け自在であり、
前記複数の種別グループは、前記数学的要素の種別に応じてグループ分けされたものであり、
前記複数の関連付けグループは、前記複数の表示要素に含まれる複数の数学的要素間の関連付けに応じてグループ分けされたものである
ことを特徴とするプログラム。
[付記3]
付記1に記載のプログラムにおいて、
コンピュータに、さらに、
前記複数の表示要素を、表示要素の種別に応じて前記複数の種別グループにグループ分けする第1のグルーピング処理と、
前記複数の表示要素を、要素間の関連付けに応じて前記複数の関連付けグループにグループ分けする第2のグルーピング処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
[付記4]
付記3に記載のプログラムにおいて、
前記複数の表示要素の各々は、グラフ、数式及び数表の中から選ばれる数学的要素を含み、
前記数学的要素は、予め決められた別の数学的要素と関連付け自在であり、
前記コンピュータに、さらに、
前記複数の表示要素に含まれる前記数学的要素の種別と、前記複数の表示要素に含まれる前記複数の数学的要素間の関連付けとを、記憶部に記憶する記憶処理を実行させ、
前記第1のグルーピング処理は、前記記憶部に記憶した前記複数の数学的要素の種別に基づいて、前記複数の種別グループにグループ分けすることを含み、
前記第2のグルーピング処理は、前記複数の数学的要素間の関連付けに基づいて、前記複数の関連付けグループにグループ分けすることを含む
ことを特徴とするプログラム。
[付記5]
付記1乃至付記4のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記第1の表示態様は、前記1つの関連付けグループを前記複数の関連付けグループの最前面に表示する態様である
ことを特徴とするプログラム。
[付記6]
付記1乃至付記5のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記第1の表示態様は、前記他の関連付けグループを最小化表示する態様、又は、非表示にする態様である
ことを特徴とするプログラム。
[付記7]
付記1乃至付記6のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記整列処理は、前記複数の種別グループをある方向に並べる処理を含む
ことを特徴とするプログラム。
[付記8]
付記7に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
前記複数の表示要素の少なくとも一部をリサイズすることによって、前記複数の表示要素の幅であって前記ある方向との直交方向の幅を、前記表示装置に含まれる表示領域の前記直交方向の幅に収めるリサイズ処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
[付記9]
付記7又は付記8に記載のプログラムにおいて、
前記ある方向は、前記表示装置における表示領域の長手方向である
ことを特徴とするプログラム。
[付記10]
付記1乃至付記9のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
所定操作に応じて、前記第1の表示態様で優先される関連付けグループを、前記1つの関連付けグループから前記他の関連付けグループのいずれかに切り替える切り替え処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
[付記11]
付記10に記載のプログラムにおいて、
前記所定操作は、フリック操作又はスワイプ操作を含むこ
とを特徴とするプログラム。
[付記12]
付記1乃至付記11のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
所定条件を満たしているかを判定する判定処理を実行させ、
前記所定条件を満たしていると判定した場合に、前記整列処理と、前記第1の表示処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
[付記13]
付記1乃至付記12のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
所定条件を満たしているかを判定する判定処理を実行させ、
前記所定条件を満たしていないと判定した場合に、前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で前記複数の表示要素を、前記表示装置に表示させる第2の表示処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
[付記14]
付記13に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
前記第1の表示態様で優先される関連付けグループを、前記第2の表示態様における前記複数の表示要素の配置に基づいて決定する優先グループ決定処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
[付記15]
付記13又は付記14に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
前記第1の表示処理により前記複数の表示要素を前記第1の表示態様で前記表示装置に表示中に、表示要素を新たに追加する操作を受け付けたことに応じて、追加される新たな表示要素の種別を特定する種別情報を、記憶部に記憶する種別記憶処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
[付記16]
付記15に記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、さらに、
前記新たな表示要素が前記第2の表示態様で前記表示装置に表示されるまでに、前記新たな表示要素の前記第2の表示態様における配置を特定する配置情報を、前記新たな表示要素の種別を特定する前記種別情報に関連付けて、前記記憶部に記憶する配置記憶処理を実行させる
ことを特徴とするプログラム。
[付記17]
付記16に記載のプログラムにおいて、
前記配置記憶処理は、前記第2の表示態様において前記新たな表示要素が前記複数の表示要素のいずれにも重ならない位置に配置されるように、前記新たな表示要素の配置を特定する前記配置情報を作成することを含む
ことを特徴とするプログラム。
[付記18]
付記13乃至付記17のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記判定処理は、前記表示装置に含まれる表示領域のサイズを取得する処理を含み、
前記所定条件は、前記表示領域のサイズが所定のサイズ以内であることである
ことを特徴とするプログラム。
[付記19]
付記13乃至付記17のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、
前記判定処理は、前記表示装置を含む端末の情報を取得する処理を含み、
前記所定条件は、前記端末の情報に基づいて前記端末がスマートフォンと推定されることである
ことを特徴とするプログラム。
[付記20]
付記1乃至付記19のいずれか1つに記載のプログラムを配布するサーバ装置。
[付記21]
コンピュータが、
複数の表示要素を表示要素の種別に応じてグループ分けした複数の種別グループを整列し、
前記複数の表示要素を要素間の関連付けに応じてグループ分けした複数の関連付けグループのうちの、1つの関連付けグループを他の関連付けグループに対して優先する第1の表示態様で、整列した前記複数の種別グループに属する前記複数の表示要素を表示装置に表示させる
ことを特徴とする表示制御方法。
[付記22]
複数の表示要素を表示要素の種別に応じてグループ分けした複数の種別グループを整列する整列部と、
前記複数の表示要素を要素間の関連付けに応じてグループ分けした複数の関連付けグループのうちの、1つの関連付けグループを他の関連付けグループに対して優先する第1の表示態様で、整列した前記複数の種別グループに属する前記複数の表示要素を表示装置に表示させる第1の表示制御部と、を備える
ことを特徴とするシステム。
【符号の説明】
【0075】
1・・・システム
10・・・クライアント端末
10a~10c・・・コンピュータ
11、21・・・プロセッサ
12、22・・・記憶装置
12a、22a・・・プログラム
14、24・・・表示装置
20・・・サーバ
22b・・・オブジェクト情報
G・・・グラフ群
G1、G2・・・グラフ付箋
F・・・数式群
F1、F2・・・数式付箋
T・・・数表群
T1、T2・・・数表付箋
TP・・・数表群
TP1、TP2・・・数表付箋
Tx・・・コメント付箋
I1~I3・・・アイコン