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特許7501608学習支援装置、学習支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】学習支援装置、学習支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 7/544 20060101AFI20240611BHJP
   G06F 15/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G06F7/544
G06F15/02 315S
G06F15/02 330K
G06F15/02 315G
G06F15/02 315R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022205003
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2018079408の分割
【原出願日】2018-04-17
(65)【公開番号】P2023052016
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤江 直樹
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-309619(JP,A)
【文献】特開2010-211658(JP,A)
【文献】特開2016-062244(JP,A)
【文献】特開2008-243069(JP,A)
【文献】特開2003-296285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0078000(US,A1)
【文献】特開昭61-275958(JP,A)
【文献】特開2009-043190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 7/544
G06F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との対応関係を数値例で示す数表が表示された第1電子付箋を、前記関数式に対応するグラフが描画された第2電子付箋と対応付けて、所定の表示エリアに表示させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記第1電子付箋に表示された前記数表中における前記従属変数側の何れかの数値例を他の数値に置き換える置換入力を受け付けた場合に、前記関数式に基づいて前記グラフ上における前記他の数値に対応する座標位置に所定のマークを表示させる、
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記置換入力を受け付けた場合に、前記関数式に基づいて前記数表中における前記他の数値に対応する前記独立変数側の数値例を更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記他の数値に対応する前記独立変数側の数値例を更新する場合に前記他の数値に対応する前記独立変数側の新たな数値例が1つだけでない場合は、前記新たな数値例を表示させない代わりに前記数表中にエラーを表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記制御手段は、第3電子付箋に前記関数式が入力された場合に前記第1電子付箋を前記所定の表示エリアに表示させる、
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の学習支援装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1電子付箋を前記第3電子付箋と視覚的に紐づけて表示させるとともに前記第2電子付箋を前記第3電子付箋と視覚的に紐づけて表示させることにより、前記第1電子付箋を前記第2電子付箋と視覚的に対応付けて表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の学習支援装置。

【請求項6】
情報システムが実行する学習支援方法であって、
所定の関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との対応関係を数値例で示す数表が表示された第1電子付箋を、前記関数式に対応するグラフが描画された第2電子付箋と対応付けて、所定の表示エリアに表示させる制御処理を含み、
前記制御処理は、前記第1電子付箋に表示された前記数表中における前記従属変数側の何れかの数値例を他の数値に置き換える置換入力を受け付けた場合に、前記関数式に基づいて前記グラフ上における前記他の数値に対応する座標位置に所定のマークを表示させる、
ことを特徴とする学習支援方法。
【請求項7】
コンピュータを、
所定の関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との対応関係を数値例で示す数表が表示された第1電子付箋を、前記関数式に対応するグラフが描画された第2電子付箋と対応付けて、所定の表示エリアに表示させる制御手段として機能させ、
前記制御手段は、前記第1電子付箋に表示された前記数表中における前記従属変数側の何れかの数値例を他の数値に置き換える置換入力を受け付けた場合に、前記関数式に基づいて前記グラフ上における前記他の数値に対応する座標位置に所定のマークを表示させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援装置、学習支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブブラウザ上で利用可能なグラフ描画アプリケーションが知られている。例えば、ウェブブラウザ上で動作するアプリケーションに関する非特許文献1によれば、ユーザが式リストに入力した数式に基づいて演算が行なわれ、演算の結果に基づくグラフが表示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Desmos,desmos ユーザーガイド,堀川由人 訳[online],[平成30年4月17日検索]、インターネット<URL:http://desmos.s3.amazonaws.com/Desmos_User_Guide_JA.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなグラフ描画アプリケーションにおいて、例えば「y=f(x)」で表される関数式と対応するグラフとを表示させた状態から、さらに関数式の独立変数xとその従属変数yの数値の関係を表形式で表した数表を表示させる技術が知られている。
【0005】
その場合、数表中の独立変数xの欄のいずれかに、任意の数値を上書きして入力することで、隣接する従属変数yの欄に、当該独立変数xの従属変数yの数値が表示されることとなる。
【0006】
しかしながら、数表中では、数表中の従属変数yの欄に任意の数値を上書きして入力することで、隣接する独立変数xの欄に該当する数値を表示させることは想定しておらず、また、そのような逆関数の演算は独立変数xが一意に得られない場合も多々あり得る。
【0007】
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、関数式に基づいた演算結果を理解し易く表示することが可能な学習支援装置、学習支援方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る学習支援装置は、所定の関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との対応関係を数値例で示す数表が表示された第1電子付箋を、前記関数式に対応するグラフが描画された第2電子付箋と対応付けて、所定の表示エリアに表示させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記第1電子付箋に表示された前記数表中における前記従属変数側の何れかの数値例を他の数値に置き換える置換入力を受け付けた場合に、前記関数式に基づいて前記グラフ上における前記他の数値に対応する座標位置に所定のマークを表示させる、ことを特徴とする。
また、本発明に係る学習支援方法は、情報システムが実行する学習支援方法であって、所定の関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との対応関係を数値例で示す数表が表示された第1電子付箋を、前記関数式に対応するグラフが描画された第2電子付箋と対応付けて、所定の表示エリアに表示させる制御処理を含み、前記制御処理は、前記第1電子付箋に表示された前記数表中における前記従属変数側の何れかの数値例を他の数値に置き換える置換入力を受け付けた場合に、前記関数式に基づいて前記グラフ上における前記他の数値に対応する座標位置に所定のマークを表示させる、ことを特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、所定の関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との対応関係を数値例で示す数表が表示された第1電子付箋を、前記関数式に対応するグラフが描画された第2電子付箋と対応付けて、所定の表示エリアに表示させる制御手段として機能させ、前記制御手段は、前記第1電子付箋に表示された前記数表中における前記従属変数側の何れかの数値例を他の数値に置き換える置換入力を受け付けた場合に、前記関数式に基づいて前記グラフ上における前記他の数値に対応する座標位置に所定のマークを表示させる、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成の一例を示す図。
図2】同実施形態に係る通信装置とサーバーの間で実行される、関数式の入力から逆関数の実行に至る処理の流れを示すシーケンス図。
図3】同実施形態に係るサーバーが実行する逆関数演算処理を説明するフローチャート。
図4】同実施形態に係る表示出力部に表示されるメニュー一覧表示を例示する図。
図5】同実施形態に係る表示出力部に表示される関数式が入力途中の数式付箋を例示する図。
図6】同実施形態に係る表示出力部に表示される数式付箋とグラフ付箋とを例示する図。
図7】同実施形態に係る表示出力部に表示される数表付箋、グラフ付箋と数表付箋とを例示する図。
図8】同実施形態に係る従属変数の数値を入力中の状態を例示する図。
図9】同実施形態に係る従属変数の数値に対応する独立変数を数表付箋中で表示している状態を例示する図。
図10】同実施形態に係る従属変数の数値を入力中の他の状態を例示する図。
図11】同実施形態に係る従属変数の数値に対応する独立変数が得られずにエラー表記を行っている状態を例示する図。
図12】同実施形態に係るサーバーが実行する逆関数演算の他の処理内容を示すフローチャート。
図13】同実施形態に係る通信装置とサーバーの間で実行される、関数式の入力から逆関数を実行してエラー表示を行なう変形例2での処理の流れを示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態らに係るクライアント装置及びサーバー装置を含むシステム全体の構成の一例を示す図である。システム1は、通信装置10と、サーバー20とを含む。通信装置10は、インターネット等の通信ネットワークNを介してサーバー20と通信可能に接続される。通信装置10は、例えばタブレット端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)などであっても良い。
【0012】
システム1において、通信装置10に入力されたグラフ表示/数表作成のためのデータが、通信装置10からサーバー20に送信される。サーバー20は、当該データに基づいてグラフ表示/数表作成のための演算を実行し、演算の結果を通信装置10に送信する。通信装置10は、当該演算の結果にもとづいてグラフ描画/数表作成を実行する。
【0013】
通信装置10は、プロセッサ11と、メインメモリ12と、ストレージ13と、入力部14と、通信部15と、表示出力部16とを有している。これらのそれぞれは、システムバス17を介して互いに接続されている。
【0014】
プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)などの集積回路であって良い。プロセッサ11は、ストレージ13に予め記憶されている通信機器制御プログラム、ウェブブラウザ上で動作するプログラムなどの各種プログラムを読み出してメインメモリ12に展開して保持させた上で、入力部14からの入力信号や通信部15による受信信号に応じて各種プログラムを実行することで、各部の動作を制御する。各種プログラムは、通信ネットワークN上の(不図示)のウェブサーバーから通信部15を介してストレージ13にダウンロードされても良い。
【0015】
入力部14は、キーボードやマウスなどの外部入力装置、あるいは通信装置10の表示出力部16がタッチパネル機能を有しているものとして、表示出力部16に表示されるキー入力部への操作座標を入力するものとしても良い。プロセッサ11の操作により、入力インタフェイス(I/F)からシステムバス17を介してプロセッサ11に入力信号が入力される。
【0016】
表示出力部16は、液晶ディスプレイなどの外部表示装置、あるいは通信装置10の液晶ディスプレイなどの表示部を含む。表示出力部16には、プロセッサ11からシステムバス17、出力インタフェイス(I/F)を介して出力信号が伝送される。
【0017】
サーバー20は、プロセッサ21と、メインメモリ22と、大容量ストレージ23と、通信部24とを有している。これらのそれぞれは、システムバス25を介して互いに接続されている。サーバー20も、その入力(I/F)や出力(I/F)を介して(不図示)の認識装置や出力装置に接続されて良い。
【0018】
プロセッサ21は、CPUなどの集積回路であって良い。プロセッサ21は、大容量ストレージ23に予め記憶されているか、あるいはダウンロードされたサーバー制御プログラムなどの各種プログラムを読み出し、メインメモリ22に展開して保持させた上で、プログラムの命令を取り出して解読し、その命令の内容によって各部の動作を制御する。また、プロセッサ21は、グラフ描画/数表作成のための計算処理プログラムに従って、通信装置10からの入力データに基づく演算処理を実行する。
【0019】
本実施形態では、ユーザーは、通信装置10で動作するウェブブラウザにおいてサーバー20のアドレスを指定し、これにより、サーバー20へのリクエストが送信される。通信装置10のウェブブラウザは、サーバー20から受信したレスポンスに基づいてグラフ表示/数表作成のためのウェブアプリケーションの画面を構築する。また、通信装置10のウェブブラウザは、数式等のデータの入力受付けに応じてサーバー20へのリクエストを発行し、サーバー20が計算処理プログラムにしたがって実行した演算の結果をサーバー20からのレスポンスとして受信する。
【0020】
換言すれば、サーバー20は、通信装置10からの演算のリクエストに応答して、計算プログラムに従ってプロセッサ21で実行した演算の結果をレスポンスとして通信装置10に送信する。さらに、通信装置10は、受信した演算の結果を用いて、ウェブブラウザ上で動作するプログラムにしたがってプロセッサ11でグラフ表示/数表作成を行なう。
【0021】
このように、通信装置10のウェブブラウザ上で動作するプログラムとサーバー20の計算処理プログラムとにより、グラフ描画/数表作成のためのウェブアプリケーションとしての機能が実現される。
【0022】
以下、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態では、クライアント装置、すなわち通信装置10は数式等のデータの入力受付やグラフ描画/数表作成の処理のみを実行し、グラフ描画/数表作成のための演算処理を実行しない。演算処理は、クライアント装置と通信ネットワークNで接続されたサーバー装置、すなわちサーバー20で実行される。これにより、精度の良い、或いは複雑な演算アルゴリズムを公開せずに、サーバー装置からクライアント装置に演算結果を提供してクライアント装置でグラフ描画/数表作成をすることが可能となる。また、これにより、処理負荷の大きい演算処理をサーバー装置により実行することで、クライアント装置の処理負担を抑制することも可能となる。
【0023】
以下、本実施形態では、操作系の説明を統一するために、通信装置10を、例えばモバイルタイプのPCで構成するものとし、入力部14がキーボードとポインティングデバイスとしてのマウスとを有する場合を例にとって説明する。
【0024】
図2は、クライアント装置である通信装置10と、サーバー装置であるサーバー20との間でウェブアプリケーションに基づいて実行される、関数式の入力からグラフ描画、数表作成と、作成した数表上で逆関数を実行するまでに至る処理の流れを示すシーケンス図である。
【0025】
通信装置10では、グラフ描画/数表作成のアプリケーションを立ち上げた上で、表示出力部16の画面の任意の位置で、例えばダブルタップ操作、あるいはマウスの右クリック操作等により、メニュー一覧表示MDを表示させた状態から(ステップC101)、関数式アイコンを選択して指定する(ステップC102)。
【0026】
(1つの数値のみが得られる場合)
図4乃至図9は、図3に示す逆関数により1つのみの答えが得られる場合の、表示出力部16の表示画面での一連の表示状態を示す。
図4は、通信装置10の表示出力部16の任意の位置、例えば左上側に寄った位置に表示されるメニュー一覧表示MDを例示するものである。ここでは、メニュー一覧表示MDが、演算付箋アイコンIC1、数式付箋アイコンIC2、グラフ付箋アイコンIC3、数表付箋アイコンIC4、幾何付箋アイコンIC5、及びメモ付箋アイコンIC6から構成されるものとする。
【0027】
演算付箋アイコンIC1は、記号「√α」で示すように、本実施形態では「付箋」と称する表示領域を表示させるための操作アイコンであり、この演算付箋アイコンIC1を選択することで、四則演算や各種関数等の演算を実行するための演算付箋が表示される。
【0028】
数式付箋アイコンIC2は、記号「f(x)」で示すように、関数式を入力する、後述する数式付箋を表示させるための操作アイコンである。
【0029】
グラフ付箋アイコンIC3は、簡易なx,y座標軸上の二次曲線で示すように、入力した関数式やプロット座標値等に応じたグラフ付箋を表示させるための操作アイコンである。
【0030】
数表付箋アイコンIC4は、関数式における独立変数の値と従属変数の値との対応関係を示す数表付箋を表示させるための操作アイコンである。関数式が「y=x」の場合、独立変数がx、従属変数がyとなる。
【0031】
幾何付箋アイコンIC5は、表示出力部16に任意の幾何図形を表示する幾何付箋を表示させるための操作アイコンである。
【0032】
メモ付箋アイコンIC6は、特に他の付箋との関わり合いがない、任意の手書き入力や文字入力等を受付けるメモ付箋を表示させるための操作アイコンである。
【0033】
メニュー一覧表示MD中から、数式付箋アイコンIC2を操作した場合に、メニュー一覧表示MDが非表示になり、代わって、数式付箋MP10が表示出力部16に表示される(ステップC102)。表示領域には、その先頭位置にカーソルCが表示される以外は、何も入力されていない状態である。
【0034】
この状態から、通信装置10の入力部14により任意の関数式、例えば「y=x」を入力すると、それらの入力がプロセッサ11により受付けられる(ステップC103)。
【0035】
図5は、関数式「y=x」を入力した直後の、数式付箋MP10での状態を例示するものである。数式付箋MP10の式中の続く位置にカーソルCを表示することで、さらなる入力を促している。
【0036】
その後、数式付箋MP10へ入力した関数式「y=x」を確定させる操作として、例えば、入力部14のキーボードの「Enter」キーを押下することにより、数式付箋MP10へ入力した「y=x」が確定された関数式としてプロセッサ11により受付けられるとともに、通信装置10からサーバー20に対して、入力された関数式と、グラフの表示エリアを指定するデータが、グラフデータの作成をリクエストする指示と共に送信される。
【0037】
なお、グラフの表示エリアに関しては、ユーザーが任意に入力して設定できる一方で、特に表示エリアの指定を行なわずに、関数式入力のみにより確定させることができる。このように、特にユーザーがグラフの表示エリアを指定しない場合には、通信装置10側のプログラムでデフォルト値として、予め用意された値、例えば「-7≦x,y≦7」のデータが、自動的に関数式のデータに関連付けられて、共にサーバー20に対して送信される。
【0038】
サーバー20では、通信装置10から関数式とグラフエリアのデータをリクエストの情報と共に受付けると、対応する関数式に従ったグラフエリア範囲内のプロット点位置の座標データ列をグラフ描画のためのグラフデータとして作成する(ステップS101)。
【0039】
この場合、サーバー20では、設定されているグラフエリアと、表示出力部16での表示解像度とにより、作成するプロット点位置のx座標のサンプリング間隔及びy座標の算出精度等を自動設定する。
【0040】
サーバー20は、作成したプロット点位置の座標データ列からなるグラフデータを、通信装置10からのリクエストに応答するものとして通信装置10に返信する(ステップS102)。
【0041】
通信装置10では、サーバー20から返送されてきたグラフデータに基づき、プロセッサ11があらたにグラフ付箋MP20を作成し、表示出力部16の表示画面上で、数式付箋MP10と関連付けるようにして、作成したグラフ付箋MP20を表示させる(ステップC104)。
【0042】
図6は、図5の状態から関数式を確定し、対応するグラフ付箋MP20を表示させた状態を例示する図である。数式付箋MP10と対応して、あらたにグラフ付箋MP20が表示されると共に、これらが関連付けられているものとして、例えばスプライン曲線を用いた太線状のリンクLKにより接続されている状態を表示している。
【0043】
グラフ付箋MP20は、プロセッサ11がサーバー20側から受信したグラフデータに基づき、xy座標平面において、複数のプロット点位置の座標データ列に基づく点のプロットを行なうと共に、必要に応じてプロットした点間を直線補間することで、この場合は3次元曲線によるグラフが得られることになる。
【0044】
通信装置10では、数式付箋MP10にポインタを位置させた状態でさらにマウスの右クリック操作を行なうことにより、数式付箋MP10に付帯して、上記図4のメニュー一覧表示MDにおけるグラフ付箋アイコンIC3、及び数表付箋アイコンIC4と同様のアイコンが表示される。
【0045】
ここで数表付箋アイコンIC4に相当するアイコンを指定してマウスをクリック操作すると、入力された関数式と、数表データの作成をリクエストする指示とがサーバー20に対して送信される(ステップC105)。
【0046】
サーバー20では、例えば初期値として独立変数x=1,2,3,4,5の場合の従属変数yの値をそれぞれ算出して、独立変数と従属変数とを対応させた数表データを作成し(ステップS103)、作成した数表データを通信装置10に対して返信する(ステップS105)。
【0047】
サーバー20からの数表データを受信した通信装置10では、得た数表データに基づき、プロセッサ11があらたに数表付箋MP30を作成し、表示出力部16の表示画面上で、上記数式付箋MP10、グラフ付箋MP20と関連付けるようにして、作成した数表付箋MP30を表示させる(ステップC106)。
【0048】
図7は、図6の状態からさらに数表付箋MP30を表示させた状態を例示する図である。数式付箋MP10、グラフ付箋MP20と対応して、あらたに数表付箋MP30が表示されると共に、これらが関連付けられているものとして、数式付箋MP10から数表付箋MP30に対して、例えばスプライン曲線を用いた太線状のリンクLKにより接続されている状態を表示している。数表付箋MP30には、独立変数が左側の列に表示され、従属変数が右側の列に表示される。したがって、入力された関数式が「y=x」であるとき、独立変数であるxが第1列、従属変数であるyが第2列に表示される。
【0049】
なお、同図では、入力部14のマウスの操作に応じて、ポインタPTを数表付箋MP30の第5行の第2列(従属変数y側の列)の入力欄の近傍に位置させた状態を例示している。
【0050】
この表示状態から、従属変数yの値を入力するべく、入力部14のマウスの右クリック操作すると、数表付箋MP30の第5行の第2列の値「125」が仮選択状態となる。
【0051】
図8は、ここで、入力部14のキーボードによりあらたに数値「3.375」を、数表付箋MP30の第2行の第2列の入力欄へ入力中の状態を例示している。数値「3.375」を入力した直後においては、まだ確定のための操作がなされておらず、さらなる数値入力を促すためのカーソルCが次桁位置に合わせて表示されている。
【0052】
この表示状態から入力数値を確定するべく、キーボードの「Enter」キーを操作することで、プロセッサ11では入力を確定する。このとき、プロセッサ11は、数値の入力が確定された列が独立変数側又は従属変数側の何れであるかを判定する。関数式がy=f(x)、つまり、左辺が「y」であり、右辺が変数xを含み且つ変数yを含まない数式であるとき、xが独立変数、yが従属変数であるとして、上記の判断を行う。関数式がx=g(y)、つまり、左辺が「x」であり、右辺が変数yを含み且つ変数xを含まない数式であるとき、yが独立変数、xが従属変数であるとして、上記の判断を行なう。本実施例では、サーバー20に対して、入力された数値「3.375」と、従属変数y側の列において数値の入力が確定されたと判断結果とを、送信する(ステップC107)。
【0053】
入力された関数式と、入力された数値と、数値の入力が確定された列が従属変数側であるとの判定結果と、を受信したサーバー20では、プロセッサ21が、受信した関数式(y=x)を、数値の入力が確定された側ではない独立変数xで解いた結果である数式を出力する求解処理を実行する(ステップS106)。
【0054】
さらに、プロセッサ21は、上記の独立変数xで解いた結果である数式へ、受信した数値を代入した数値計算の結果が1つのみ算出できた場合は、受信した数値に対応する値として、その数値計算の結果を通信装置10に返送する。また、それ以外の場合はエラー表記を行なうための情報を通信装置10に返送する(ステップS107)。上記の求解処理を、クライアント装置ではなく、サーバー装置で行なうことにより、複雑な演算アルゴリズムを公開せずに隠蔽できる。
【0055】
図3は、数表への数値入力が確定されたことに応じて、サーバー20側で実行される逆関数演算の処理内容を説明するフローチャートである。
【0056】
その当初にプロセッサ21は、まず、数値の入力が確定された列が独立変数側であるか、または従属変数側の何れであるかを判断する(ステップS200)。数値の入力が確定された列が従属変数の側ではなかった場合、すなわち、独立変数側であった場合(ステップS200のNo)、受信した関数式を、数値の入力が確定された側ではない従属変数で解く必要はないので、プロセッサ21は、受信した関数式へ、受信した数値を代入した数値計算の結果を直接求め、求めた計算結果を通信装置10に返送する(ステップS208)。
【0057】
またステップS200において、数値の入力が確定された列が従属変数側であると判断した場合(ステップS200のYes)、受信した関数式を、数値の入力が確定された側ではない独立変数で解く必要があるので、次にプロセッサ21は、受信した関数式の種類がy=f(x)であるか否かを判断する(ステップS201)。
【0058】
受信した関数式の種類が、y=f(x)であると判断した場合(ステップS201のYes)、プロセッサ21は、受信した関数式(y=f(x))を、数値の入力が確定された側ではない独立変数(x)で解いた結果である数式を出力する求解処理を実行する(ステップS202)。
【0059】
また、ステップS201で、受信した関数式の種類がy=f(x)ではないと判断した場合(ステップS201のNo)、プロセッサ21は、続いて受信した関数式の種類がx=g(y)であるか否かを判断する(ステップS203)。
【0060】
受信した関数式の種類がx=g(y)であると判断した場合(ステップS203のYes)、プロセッサ21は、受信した関数式(x=g(y))を、数値の入力が確定された側ではない独立変数(y)で解いた結果である数式を出力する求解処理を実行する(ステップS204)。
【0061】
ステップS202及びステップS204の処理実行後、プロセッサ21は、関数式を変数で解いた数式が解として求まったか否かを判断する(ステップS205)。
【0062】
解としての数式が求まったと判断した場合(ステップS205のYes)、次にプロセッサ21は、解として求まった数式が周期関数であるか否かを判断する(ステップS206)。
【0063】
例えば、関数式y=sin(x)について求解処理を実行すると、x=arcsin(y)が解として求められる。x=arcsin(y)は周期関数であるので、例えばx=1となるyの値は周期的に複数個存在することになる。このように、解として求まった数式が周期関数である場合、受信した数値(従属変数)に対応する独立変数の数値計算の結果が1つのみでないことは明らかである。
【0064】
解として求まった数式が周期関数ではないと判断した場合(ステップS206のYes)、さらにプロセッサ21は、解の数式が1つのみであるか否かを判断する(ステップS207)。
【0065】
解の数式が1つのみであると判断した場合(ステップS207のYes)、プロセッサ21は求まった算出結果の数値を通信装置10に対して返信し(ステップS208)、以上でこの図3の処理を終了する。
【0066】
また、上記ステップS203において、受信した関数式の種類がx=g(y)ではないと判断した場合(ステップS203のNo)、ステップS205において、解の数式が求まらなかったと判断した場合(ステップS205のNo)、ステップS206において、解として求まった数式が周期関数であると判断した場合(ステップS206のNo)、及びステップS207において、解の数式が1つのみではなく、複数あると判断した場合(ステップS207のNo)、プロセッサ21はエラー表記を実行させるための記号データを通信装置10に対して返信し(ステップS209)、以上でこの図3の処理を終了する。
【0067】
逆関数の演算処理の結果となる数値またはエラー表記の記号データをサーバー20から受信した通信装置10では、図9に示すように、表示出力部16で表示している数表付箋MP30中の、数値入力を受けた従属変数y列と対応する同一行での独立変数x列の位置(第2行の第1列)に、サーバー20から受信した数値「1.5」を表示させる(ステップC108)。
【0068】
(複数の数値が得られる場合)
次に図10及び図11を用いて、逆関数演算処理により1つのみの解の数式が得られない場合、すなわち解の数式が複数得られる場合の、表示出力部16の表示画面でのエラー表記に関する一連の表示状態についても説明する。
【0069】
図10に示すように、数式付箋MP10において、関数式「y=x2」が入力された、対応する数表付箋MP30の状態から、さらに数表付箋MP30の第5行の第2列に従属変数yの値としてあらたに数値「1」を入力中の状態を例示している。
【0070】
この表示状態から入力数値を確定すると、プロセッサ11は、サーバー20に対して、入力された関数式「x=y2」と、入力された数値「1」と、従属変数x側の列において数値の入力が確定されたとの判断結果とを、送信する(ステップC107)。
【0071】
入力された関数式と、入力された数値と、数値の入力が確定された列が従属変数側であるとの判定結果と、を受信したサーバー20では、上記図3を用いて説明した処理に従って、プロセッサ21が、受信した関数式(x=y2)を、数値の入力が確定された側ではない独立変数yで解いた結果である数式を出力する求解処理を実行する(ステップS106)。
【0072】
この場合、プロセッサ21は、上記図3のステップS201で、受信した関数式の種類がy=f(x)でないと判断し(ステップS201のNo)、且つ、ステップS203で、受信した関数式の種類がx=g(y)であると判断して(ステップS203のYes)、受信した関数式(x=g(y))を、数値の入力が確定された側ではない独立変数(y)で解いた結果である数式を出力する求解処理を実行する(ステップS204)。
【0073】
ステップS204の求解処理において、プロセッサ21により、数式「y=√(x),-√(x)」が解として求められ(ステップS205のYes)、且つ、解として求まった数式は、関数式に含まれる独立変数及び従属変数とは無関係な変数を含まないので(ステップS206のYes)、プロセッサ21は、処理をステップS207へ進める。
【0074】
ステップS204の求解処理において、プロセッサ21により、2つの数式「y=√(x),-√(x)」が解として求められるので、ステップS207で、プロセッサ21は、解の数式が1つではないと判断し(ステップS207のNo)、エラー表記を実行させるための記号データを通信装置10に対して返信する(ステップS209)。またステップS209で、上記2つの数式「y=√(x),-√(x)」へ従属変数xの値「1」を代入して得られる数値計算の結果である2つの独立変数yの値「-1,1」を、通信装置10に対して返信して良い。以上で、この図3の処理を終了する。
【0075】
サーバー20からエラー表記の記号データの返信を受けた通信装置10では、表示出力部16で表示している数表付箋MP30中の、数値入力を受けた従属変数x列と対応する同一行での独立変数y列の位置(第5行の第1列)に、サーバー20から受信したエラー表記の記号を表示させる。
【0076】
図11は、エラー表記の記号の表示例である。図11では、数表付箋MP30中の第5行の第1列の入力欄に、感嘆符を中央に配した三角形のエラー記号ESを表示している。また、エラー記号ESよりも表示面積が大きいエラー理由シンボル「ERROR」EPUを合わせて表示することで、エラーであることを、より一層わかりやすく表現している。エラー記号ES及びエラー理由シンボルEPUは、少なくともいずれか一つが表示されていればよい。
【0077】
また、ステップC108で、通信機器10は、図11に示すように、ステップC107で入力が確定された従属変数xの値「1」と、ステップS209で受信した独立変数yの値「1,-1」とに基づいて、表示出力部16に表示中のグラフ付箋MP20中のグラフエリアへ2つの座標(1,1)、(1,-1)に対応する2点をプロットしてよい。また、グラフ付箋MP20中、これらの2点を点滅表示させるか、数表付箋MP30中、2点に対応する入力欄(第5行の第1列、第2列)をグラフエリア内の2点と同じ色で表示させるか、あるいは点滅表示や反転表示をさせてもよい。これにより、例えば、エラー表示中に、グラフ付箋MP20中、複数の点が点滅表示しているときは、解として得られた数値が1つのみではないことを理由としてエラー表示されたことを、視覚的にわかりやすく報知することができる。
【0078】
(変形例1)
なお、前述した如くエラー表記を行なうに際しても、図3で示したように、受信した関数式の種類がy=f(x)ではなく、受信した関数式の種類がx=g(y)でもないと判断した場合(ステップS203のNo)、解の数式が求まらなかったと判断した場合(ステップS205のNo)、解として求まった数式が周期関数であると判断した場合(ステップS206のNo)、及び求まった解の数式が1つのみではなく、複数あると判断した場合(ステップS207のNo)のいずれも同一のエラー表記を行なうのではなく、それらのエラーの内容によって、エラー表記を区別して表示させることも考えられる。
【0079】
図12は、図3の処理に代えてサーバー20側で実行する、数表中への数値入力の確定に伴って逆関数の演算処理を実行する場合の処理内容を示すフローチャートである。
【0080】
その当初にプロセッサ21は、まず、数値の入力が確定された列が独立変数側であるか、または従属変数側の何れであるかを判断する(ステップS300)。数値の入力が確定された列が従属変数の側ではなかった場合、すなわち、独立変数側であった場合(ステップS300のNo)、受信した関数式を、数値の入力が確定された側ではない従属変数で解く必要はないので、プロセッサ21は、受信した関数式へ、受信した数値を代入した数値計算の結果を直接求め、求めた計算結果を通信装置10に返送する(ステップS308)。
【0081】
またステップS300において、数値の入力が確定された列が従属変数側であると判断した場合(ステップS300のYes)、受信した関数式を、数値の入力が確定された側ではない独立変数で解く必要があるので、次にプロセッサ21は、受信した関数式の種類がy=f(x)であるか否かを判断する(ステップS301)。
【0082】
受信した関数式の種類が、y=f(x)であると判断した場合(ステップS301のYes)、プロセッサ21は、受信した関数式(y=f(x))を、数値の入力が確定された側ではない独立変数(x)で解いた結果である数式を出力する求解処理を実行する(ステップS302)。
【0083】
また、ステップS301で、受信した関数式の種類がy=f(x)ではないと判断した場合(ステップS301のNo)、プロセッサ21は、続いて受信した関数式の種類がx=g(y)であるか否かを判断する(ステップS303)。
【0084】
受信した関数式の種類がx=g(y)であると判断した場合(ステップS303のYes)、プロセッサ21は、受信した関数式(x=g(y))を、数値の入力が確定された側ではない独立変数(y)で解いた結果である数式を出力する求解処理を実行する(ステップS304)。
【0085】
ステップS302及びステップS304の処理実行後、プロセッサ21は、関数式を変数で解いた数式が解として求まったか否かを判断する(ステップS305)。
【0086】
解としての数式が求まったと判断した場合(ステップS305のYes)、次にプロセッサ21は、解として求まった数式が周期関数ではないかどうかを判断する(ステップS306)。
【0087】
解として求まった数式が周期関数ではないと判断した場合(ステップS306のYes)、さらにプロセッサ21は、解の数式が1つのみであるか否かを判断する(ステップS307)。
【0088】
解の数式が1つのみであると判断した場合(ステップS307のYes)、プロセッサ21は、ステップS106で受信した数値を、求まった解の数式へ代入し、その数値計算の結果である独立変数の数値を、通信装置10に対して返信する(ステップS308)。以上でこの図12の処理を終了する。
【0089】
また、上記ステップS303において、受信した関数式の種類がy=f(x)ではなく、受信した関数式の種類がx=g(y)でもないと判断した場合(ステップS303のNo)、プロセッサ21は、ステップS308で行なうような数値計算を行なうことができないので、受信した関数に未対応であることを示すエラー表記の記号データを、通信装置10に対して返信する(ステップS309)。
【0090】
逆関数演算処理の結果としてのエラー表記の記号データをサーバー20から受信した通信装置10では、表示出力部16で表示している数表付箋MP30中の、数値入力を受けた従属変数側の列と同一行の独立変数側の列の入力欄に、サーバー20から受信したエラー表記の記号を表示させる(ステップC108)。
【0091】
ステップS309で、サーバー20は、受信した関数に未対応であることを示すデータのみを送信し、ステップC108で、通信装置10は、受信したデータに対応するエラー表記の記号を、ストレージ13に予め記憶している複数のエラー表記の記号の中から選択し、これを表示してもよい。
【0092】
さらに、上記ステップS305において、関数式を変数で解いた数式が解として求まらなかったと判断した場合(ステップS305のNo)、プロセッサ21は、「No Solution(答えなし)」のエラー表記の記号データを、通信装置10に対して返信する(ステップS310)。
【0093】
逆関数演算処理の結果としてのエラー表記の記号データをサーバー20から受信した通信装置10では、表示出力部16で表示している数表付箋MP30中の、数値入力を受けた従属変数側の列と同一行の独立変数側の列の入力欄に、サーバー20から受信したエラー表記の記号を表示させる(ステップC108)。
【0094】
また、ステップS306において、解として求まった数式が周期関数であると判断した場合(ステップS306のNo)、プロセッサ21は、解として求められた周期関数、及びその時点でのグラフエリアの範囲に基づいて、グラフエリアの範囲内に存在する全ての数値解(座標値)を求める処理を実行し、求められた全ての数値解を示す数値を通信装置10に対して返信する(ステップS311)。
【0095】
なお、通信装置10は、ユーザ操作に基づいてグラフエリアの範囲が変更される度に、変更後のグラフエリアの範囲を示すデータをサーバー20へ送信し、サーバー20は、グラフエリアの範囲の変更を示すデータを受信する度に、大容量ストレージ23に記憶されているグラフエリアの範囲を示すデータを更新してよい。
【0096】
逆関数演算処理の結果としての数値データをサーバー20から受信した通信装置10では、表示出力部16で表示している数表付箋MP30中の、数値入力を受けた従属変数側の列と同一行の独立変数側の列の入力欄に、サーバー20から受信した数値を表示させる(ステップC108)。数表付箋MP30の入力欄に表示しきれない場合は、その一部のみを表示し、該当の入力欄を選択するユーザ操作に応じて、全ての数値を表示させてよい。
【0097】
また、ステップC108で、通信機器10は、図11に示すように、ステップC107で入力が確定された従属変数の値と、ステップS209で受信した独立変数の値とに基づいて、表示出力部16に表示中のグラフ付箋MP20中のグラフエリアへ1つ以上の座標に対応する1つ以上の点をプロットしてよい。また、前述と同様、グラフ付箋MP20中、これら1つ以上の点を点滅表示させ、数表付箋MP30中、1つ以上の点に対応する入力欄をグラフエリア内の1つ以上の点と同じ色で表示させ、点滅表示させ、或いは反転表示させるものとしてもよい。
【0098】
さらに、上記ステップS307において、解の数式が1つのみではなく、複数あると判断した場合(ステップS307のNo)、プロセッサ21は、解として求められた複数の数式に基づいて、複数の数式のそれぞれに対応する数値解(座標値)を求める処理を実行し、求められた複数の数値解を示す数値を通信装置10に対して返信する(ステップS312)。
【0099】
逆関数演算処理の結果としての複数の数値データをサーバー20から受信した通信装置10では、表示出力部16で表示している数表付箋MP30中の、数値入力を受けた従属変数側の列と同一行の独立変数側の列の入力欄に、サーバー20から受信した複数の数値を表示させる(ステップC108)。
【0100】
数表付箋MP30の入力欄に表示しきれない場合は、その一部のみを表示すると共に、他にも数値があることを所定の記号等で合わせて表示し、その表示に対応して該当の入力欄を選択するユーザ操作がある間は、全ての数値を一時的に当該入力欄より広い範囲を用いて表示させてよい。
【0101】
このように複数の答えが得られた場合やエラーの内容に応じて区別したエラー表記等を行なうことで、逆関数演算に対する理解をより深めることができる。
【0102】
(変形例2)
なお、サーバー20は、通信機器10からのリクエストを受付けて数表データを作成する時点で、指定されている独立関数及び従属変数を含む関数式に基づいて、その関数式を任意の変数で解いて逆関数を求める求解処理を実行し、求解処理によりエラーを生じるか否かのエラー判定、及び、このエラー判定によりエラーを生じると判定した場合はさらにエラーの種類を予め算出しておくものとしても良い。
【0103】
以下、そのような変形例2についても説明しておく。
図13は、図2に代えて、クライアント装置である通信装置10と、サーバー装置であるサーバー20との間でウェブアプリケーションに基づいて実行される、関数式の入力からグラフ描画、数表作成と、作成した数表上で逆関数を実行するまでに至る処理の流れを示すシーケンス図である。
【0104】
通信装置10では、グラフ描画/数表作成のアプリケーションを立ち上げた上で、表示出力部16の画面の任意の位置で、例えばダブルタップ操作、あるいはマウスの右クリック操作等により、メニュー一覧表示MDを表示させた状態から(ステップC501)、関数式アイコンを選択して指定する(ステップC502)。
【0105】
通信装置10では、数式付箋アイコンが操作された場合時点で、メニュー一覧表示MDが非表示になり、代わって、数式付箋MP10が表示出力部16に表示される。
【0106】
この状態から、通信装置10の入力部14により任意の関数式を入力すると、それらの入力がプロセッサ11により受付けられる。入力した関数式を確定させる操作がなされると、その確定された関数式がプロセッサ11により受付けられ、通信装置10からサーバー20に対して、入力された関数式と、グラフの表示エリアを指定するデータが、グラフデータの作成をリクエストする指示と共に送信される(ステップC503)。
【0107】
サーバー20では、通信装置10から関数式とグラフエリアのデータをリクエストの情報と共に受付けると、対応する関数式に従ったグラフエリア範囲内のプロット点位置の座標データ列をグラフ描画のためのグラフデータとして作成する(ステップS501)。
【0108】
サーバー20は、作成したプロット点位置の座標データ列からなるグラフデータを、通信装置10からのリクエストに応答するものとして通信装置10に返信する(ステップS502)。
【0109】
通信装置10では、サーバー20から返送されてきたグラフデータに基づき、プロセッサ11があらたにグラフ付箋MP20を作成し、表示出力部16の表示画面上で、数式付箋MP10と関連付けるようにして、作成したグラフ付箋MP20を表示させる(ステップC504)。
【0110】
通信装置10では、数式付箋MP10にポインタを位置させた状態でさらにマウスの右クリック操作を行なうことにより、数式付箋MP10に付帯して、メニュー一覧表示MDにおけるグラフ付箋アイコンIC3、及び数表付箋アイコンIC4と同様のアイコンが表示される。
【0111】
ここで数表付箋アイコンIC4に相当するアイコンを指定してマウスをクリック操作すると、入力された関数式と、数表データの作成をリクエストする指示とがサーバー20に対して送信される(ステップC505)。
【0112】
サーバー20では、例えば初期値として独立変数x=1,2,3,4,5の場合の従属変数yの値をそれぞれ算出して、独立変数と従属変数とを対応させた数表データを作成する(ステップS503)。
【0113】
ここでサーバー20は、さらに、当該関数式を独立変数xで解いた結果である数式を出力する求解処理を、図3のステップS201~S207で説明したように実行する(ステップS504)。このステップS504で、サーバー20は、当該関数式を独立変数xで解いた結果である数式を出力する求解処理を、図12のステップS301~S307及びS309で説明したように実行してもよい。
【0114】
さらに、プロセッサ21は、上記の独立変数xで解いた結果である数式が1つのみである場合は、その数式を一時的に記憶しておく。また、独立変数xで解いた結果である数式が1つのみである場合を除いて、つまり、受信した関数式の種類がy=f(x)ではなく、受信した関数式の種類がx=g(y)でもないと判断した場合、解の数式が求まらなかったと判断した場合、解として求まった数式が周期関数であると判断した場合、及び求まった解の数式が1つのみではなく、複数あると判断した場合には、エラー表記を行なうための情報を通信装置10に返送する(ステップS505)。
【0115】
なお、ステップS504で、プロセッサ21は、当該関数式を独立変数xで解いた結果である数式を出力する求解処理を、図12のステップS301~S307で説明したように実行してもよい。上記の独立変数xで解いた結果である数式が1つのみである場合、解として求まった数式が周期関数であると判断した場合、及び求まった解の数式が1つのみではなく、複数あると判断した場合には、各数式を一時的に記憶しておく。また、上記の場合を除いて、つまり、受信した関数式の種類がy=f(x)ではなく、受信した関数式の種類がx=g(y)でもないと判断した場合、及び解の数式が求まらなかったと判断した場合には、ステップS505で、その内容に応じたエラーの種別を含んだエラー表記を行なうための情報を通信装置10に返送してよい。
【0116】
加えてサーバー20は、ステップS503で作成した数表データを通信装置10に対して送信する(ステップS506)。
【0117】
通信装置10では、サーバー20からエラー表記を行なうための情報が送信されてきた場合には、その情報をメインメモリ12へ記憶しておく(ステップC506)。
【0118】
さらに通信装置10では、サーバー20から数表データを受信すると、得た数表データに基づき、プロセッサ11があらたに数表付箋MP30を作成し、表示出力部16の表示画面上で、上記数式付箋MP10、グラフ付箋MP20と関連付けるようにして、作成した数表付箋MP30を表示させる(ステップC507)。
【0119】
次に、数表付箋MP30の表示状態から、ユーザー操作により、数表中の従属変数側の列の何れかの入力欄が選択されたか否かを判断する(ステップC508)。数表中の従属変数側の列の何れかの入力欄が選択されると、プロセッサ11は、この時点では、サーバー20との通信は行わず、直前のステップC506での処理によりサーバー20側からエラー表記を行なうための情報を受信して記憶しているか否かを判断する(ステップC509)。
【0120】
エラー表記を行なうための情報を記憶しており、エラー表示を行なうと判断した場合、プロセッサ11は、その記憶しているエラー情報をメインメモリ12より読み出して、当該エラー情報に基づくエラー表示を表示出力部16へ行なう。具体的には、数表中、数値が入力された列と同一行におけるもう一方の変数の列の位置に、エラーの種別に応じて、例えば図11で示したような、感嘆符を中央に配した三角形のエラー記号ESと、エラー記号ESよりも表示面積が大きいエラー理由シンボル「ERROR」EPUとを合わせて表示する(ステップC510)。
【0121】
一方で、ステップC509でのエラー判断の結果、エラー表記を行なうための情報を記憶しておらず、エラー表示は行なわないと判断した場合、プロセッサ11は、数表中の何れかの入力欄への数値の入力が確定されるまで待機する。何れかの入力欄への数値の入力が確定されたと判断すると、入力された数値と、入力があった列の位置とを、サーバー20に対して送信する(ステップC509)。
【0122】
サーバー20では、プロセッサ21が、通信装置10から受信した数値と、入力があった列の位置とに基づき、直前のステップS504で記憶しておいた数式に基づいて対応する変数の数値を計算処理により算出する(ステップS507)。
【0123】
そして、算出した結果となる数値を通信装置10に対して返信する(ステップS508)。
【0124】
逆関数の演算処理の結果となる数値をサーバー20から受信した通信装置10では、表示出力部16で表示している数表付箋MP30中の、数値入力を受けた変数の列と対応する同一行でのもう一方の変数の列の位置に、サーバー20から受信した数値を表示させる(ステップC510)。
【0125】
このように、サーバー20側のプロセッサ21が、数表付箋MP30を表示するためのデータを作成した時点で、逆関数演算により正しい変数が得られるか否かを予め算出しておき、エラー非表示となる場合には、通信装置10とサーバーー20間での通信を省略して、通信装置10側でエラー表示を即時実行できるものとして、特にエラー表示時の通信装置10における応答性を高めることができる。
【0126】
以上詳述した如く本実施形態によれば、答えが得られない場合も含めて、逆関数の演算を実行し、結果を理解し易く表示することが可能となる。
【0127】
また特に上記実施形態においては、逆関数演算の演算結果となる変数が1つのみ得られた場合に得られた変数を上記数表中の変数部に表示させ、それ以外の場合には、上記数表中の変数部でエラー表示させるものとしたので、特に数表表示を行なうエリアの容量を大きく設定できない場合に、簡潔な表示態様での実現が可能となる。
【0128】
加えて上記実施形態では、数表付箋MP30を対応する数式付箋MP10、グラフ付箋MP20とリンクLKにより視覚的にも関連付けて表示するものとしたため、表示画面上での相互の関連性をより簡易に視認できる。
【0129】
なお、上記実施形態では、通信装置10側での操作例について、通信装置10を例えばモバイルタイプのPCで構成するものとし、入力部14がキーボードとポインティングデバイスとしてのマウスとを有する場合を例にとって説明したが、本発明は具体的な操作例等を限定するものではないことは勿論である。
【0130】
その他、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0131】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
データ処理システムの制御部により実行されるデータ処理方法であって、
関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との関係を示す数表を、表示部の表示画面に表示させ、
前記関数式に基づく求解処理を実行することにより求められる該関数式の逆関数と、前記表示部の表示画面に表示された前記数表中の従属変数の表示領域へ入力された数値とに基づいて求められる数値解が1つだけである場合、前記数値の入力操作を受け付けたことに応じて、前記1つの数値解を報知し、
前記求められる数値解が1つだけでない場合、前記数表中の前記従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、エラーを報知する、
ことを含む、データ処理方法。
[請求項2]
前記数表中の従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、前記関数式に基づく該求解処理を実行することにより求められた該関数式の逆関数が周期関数であることを示す情報に基づいて、既定の又は設定された座標範囲内の全ての数値解を報知する、
ことを含む、請求項1に記載のデータ処理方法。
[請求項3]
前記数表中の従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、前記関数式に基づく該求解処理を実行することにより求められた該関数式の逆関数が1つだけではないことを示す情報に基づいて、複数の逆関数に応じた複数の数値解を報知する、
ことを含む、請求項1又は2に記載のデータ処理方法。
[請求項4]
前記関数式に基づくグラフを、前記表示部の表示画面に表示させ、
報知される1つ以上の前記数値解に対応する前記グラフの部分を識別表示する、
ことを含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載のデータ処理方法。
[請求項5]
データ処理システムの制御部により実行されるデータ処理方法であって、
関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との関係を示す数表を、表示部の表示画面に表示させ、
前記表示部の表示画面に表示された前記数表中の従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、前記関数式に基づく求解処理を実行することにより該関数式の逆関数を求められなかったことを示す情報に基づいて、該関数式の逆関数を求められなかったことを報知する、
ことを含む、データ処理方法。
[請求項6]
制御部を備えるデータ処理システムであって、
前記制御部は、
関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との関係を示す数表を、表示部の表示画面に表示させ、
前記関数式に基づく求解処理を実行することにより求められる該関数式の逆関数と、前記表示部の表示画面に表示された前記数表中の従属変数の表示領域へ入力された数値とに基づいて求められる数値解が1つだけである場合、前記数値の入力操作を受け付けたことに応じて、前記1つの数値解を報知し、
前記求められる数値解が1つだけでない場合、前記数表中の前記従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、エラーを報知する、
ことを含む、データ処理システム。
[請求項7]
1つ以上の制御部を備えるデータ処理システムであって、
前記1つ以上の制御部は、
関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との関係を示す数表を、表示部の表示画面に表示させ、
前記表示部の表示画面に表示された前記数表中の従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、前記関数式に基づく求解処理を実行することにより該関数式の逆関数を求められなかったことを示す情報に基づいて、該関数式の逆関数を求められなかったことを報知する、
ことを含む、データ処理システム。
[請求項8]
データ処理システムの制御部により読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
前記データ処理システムの制御部によって、
関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との関係を示す数表を、表示部の表示画面に表示させ、
前記関数式に基づく求解処理を実行することにより求められる該関数式の逆関数と、前記表示部の表示画面に表示された前記数表中の従属変数の表示領域へ入力された数値とに基づいて求められる数値解が1つだけである場合、前記数値の入力操作を受け付けたことに応じて、前記1つの数値解を報知させ、
前記求められる数値解が1つだけでない場合、前記数表中の前記従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、エラーを報知させる、
コンピュータプログラム。
[請求項9]
データ処理システムの制御部により読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
前記データ処理システムの制御部によって、
関数式により対応付けられる独立変数と従属変数との関係を示す数表を、表示部の表示画面に表示させ、
前記表示部の表示画面に表示された前記数表中の従属変数の表示領域への操作を受け付けたことに応じて、前記関数式に基づく求解処理を実行することにより該関数式の逆関数を求められなかったことを示す情報に基づいて、該関数式の逆関数を求められなかったことを報知させる、
コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0132】
1…システム、
10…通信装置、
11…プロセッサ、
12…メインメモリ、
13…ストレージ、
14…入力部、
15…通信部、
16…表示出力部、
17…システムバス、
20…サーバー、
21…プロセッサ、
22…メインメモリ、
23…大容量ストレージ、
24…通信部、
25…システムバス、
IC1…演算付箋アイコン、
IC2…数式付箋アイコン、
IC3…グラフ付箋アイコン、
IC4…数表付箋アイコン、
IC5…幾何付箋アイコン、
IC6…メモ付箋アイコン、
LK…リンク、
MD…メニュー一覧表示、
MP10…数式付箋、
MP20…グラフ付箋、
MP30…数表付箋、
N…ネットワーク、
PT…ポインタ
図1
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