(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】生体検知デバイス、および生体情報取得装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240611BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A61B5/02 310H
A61B5/16 110
(21)【出願番号】P 2022550084
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035035
(87)【国際公開番号】W WO2022059083
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-18
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、国立研究開発法人科学技術振興構「スーパーバイオイメージャーのモジュール化技術およびデータクリーニング技術の開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真奈
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0035943(US,A1)
【文献】国際公開第2018/043638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体を測定対象とするセンサと、
前記センサと同等の入出力を有し、かつ、前記生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサと、
前記センサおよび前記疑似センサを配置された1枚の基板を含む1または複数の基板と
を備え
、
1つの前記センサと、2つの前記疑似センサとを備え、
2つの前記疑似センサが、1つの前記センサを挟んで対称の位置に、1つずつ配置されている
生体検知デバイス。
【請求項2】
前記センサは光学式センサであり、前記生体からの信号を検知するための機能は、受光素子によって実現される
ことを特徴とする請求項
1に記載の生体検知デバイス。
【請求項3】
前記疑似センサは、前記センサの前記受光素子を、前記生体からの信号がないときの前記受光素子に相当する等価回路に前記受光素子を置換することで得られた
ことを特徴とする請求項
2に記載の生体検知デバイス。
【請求項4】
前記疑似センサは、前記センサの前記受光素子を黒塗料により覆うことで得られた
ことを特徴とする請求項
2に記載の生体検知デバイス。
【請求項5】
前記生体の皮膚に貼り付けられた状態で使用される
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の生体検知デバイス。
【請求項6】
前記センサから出力される測定データ、および、前記疑似センサから出力される非生体データに基づいて、生体データを生成する
ことを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の生体検知デバイス。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の生体検知デバイスが備えたセンサおよび疑似センサを用いて、生体データの測定を行う測定手段と、
前記生体データを分析することによって、生体情報を取得する分析手段と
を備えた生体情報取得装置。
【請求項8】
前記測定手段は、前記センサから出力される測定データ、および、前記疑似センサから出力される非生体データを、前記生体検知デバイスから受信して、前記生体データと前記非生体データとの間の差分を計算することによって、前記生体データを得る
ことを特徴とする請求項
7に記載の生体情報取得装置。
【請求項9】
前記測定手段は、前記センサから出力される測定データ、および、前記疑似センサから出力される非生体データに基づいて得られる生体データを、前記生体検知デバイスから受信する
ことを特徴とする請求項
7に記載の生体情報取得装置。
【請求項10】
生体を測定対象とするセンサと、前記センサと同等の入出力を有し、かつ、前記生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサと、前記センサおよび前記疑似センサを配置された1枚の基板を含む1または複数の基板とを備えた生体検知デバイスが備えた前記センサおよび前記疑似センサを用いて、生体データの測定を行う測定手段と、
前記生体データを分析することによって、生体情報を取得する分析手段と
を備え、
前記測定手段は、前記センサから出力される測定データ、および、前記疑似センサから出力される非生体データを、前記生体検知デバイスから受信して、前記生体データと前記非生体データとの間の差分を計算することによって、前記生体データを得る
生体情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体検知デバイス、生体情報取得装置、生体情報取得方法、および記録媒体に関し、特に、生体検知デバイスから受信した生体データに基づいて、生体情報を取得する生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康管理等を目的として、生体検知デバイスから様々なバイタル信号(以下、生体データと呼ぶ)を受信して、受信した生体データを分析することによって、生体の心身に関する情報(以下、生体情報と呼ぶ)を取得する生体情報取得装置が普及しつつある。
【0003】
生体情報取得装置が生体データから取得する生体情報の一例には、生体の心拍に基づく脈波の情報がある。脈波の情報は、健康情報そのものの指標としてだけでなく、ストレスなどの内面情報を推定することにも利用できる。
【0004】
生体検知デバイスの中には、センサを採用しているものがある。例えば、特許文献1には、複数の発光素子と、1つの受光素子とを備えた光学式のセンサモジュールが記載されている。スマートウォッチまたはデータロガーなどのスマートデバイスは、生体検知デバイスの一例である。
【0005】
生体検知デバイスは、リストバンド型(腕時計型とも呼ぶ)を採用している例が多い。リストバンド型の生体検知デバイスは、生体への装着が簡単であるためである。しかしながら、リストバンド型の生体検知デバイスは、生体の年齢および体型などの影響を受けやすいというデメリットを持つ。具体的には、リストバンド型の生体検知デバイスの多くは、成人男性向けの仕様になっているため、ユーザが女性であったり、老人であったり、年少者であったりする場合、生体検知デバイスとユーザの腕との間に隙間が生じて、正確な生体データを検知することが困難になる。
【0006】
一方、皮膚に直接貼り付けられる貼付型の生体検知デバイスは、リストバンド型の生体検知デバイスよりも皮膚への密着度が大きいため、皮膚への負担が少ないこと、および、データ欠損が少ないことなどが利点として期待されており、現在でも多くの開発が行われている。
【0007】
以上のように、人体の生体データを取得するための生体検知デバイスとしては、装着の簡便性からはリストバンド型が、得られるデータの正確性からは貼付型が選択され、どちらも多くの研究開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-094412号公報
【文献】特表2006-521888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
貼り付け型の生体検知デバイスを用いて、生体データの測定を行う場合、人体の動作に応じたノイズが生体データに重畳する。加えて、生体検知デバイスそのものの伸び縮み、またはねじれなどを原因としたノイズも生じる。特に、貼り付け型の生体検知デバイスに柔軟性を持たせるために、生体検知デバイスが備えたセンサは、薄い回路基板に配置される場合が多い。人体の動作により、薄い回路基板は弾性的に変形し、配線抵抗および容量が変化する。その結果、センサの出力に揺らぎが生じ、人体の動作に応じたノイズが生じる。このようなノイズの発生を予測することは、現実に不可能であるため、あらかじめ定められた演算処理だけで、生体データのノイズを確実に取り除くことは困難である。しかしながら、高品質な生体情報を得るためには、ノイズの少ない高品質な生体データが必要である。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高品質な生体データから高精度な生体情報を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係わる生体検知デバイスは、生体を測定対象とするセンサと、前記センサと同等の入出力を有し、かつ、前記生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサと、前記センサおよび前記疑似センサを配置された1枚の基板を含む1または複数の基板とを備えている。
【0012】
本発明の一態様に係わる生体情報取得装置は、本発明の一態様に係わる生体検知デバイスが備えたセンサおよび疑似センサを用いて、生体データの測定を行う測定手段と、前記生体データを分析することによって、生体情報を取得する分析手段とを備えている。
【0013】
本発明の一態様に係わる生体情報取得方法は、本発明の一態様に係わる生体検知デバイスが備えたセンサおよび疑似センサを用いて、生体データの測定を行い、前記生体データを分析することによって、生体情報を取得することを含む。
【0014】
本発明の一態様に係わる記録媒体は、本発明の一態様に係わる生体検知デバイスが備えたセンサおよび疑似センサを用いて、生体データの測定を行うことと、前記生体データを分析することによって、生体情報を取得することとをコンピュータに実行させるためのプログラムを格納している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、高品質な生体データから高精度な生体情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】生体検知デバイスおよび生体情報取得装置を備えたシステムの構成を概略的に示す。
【
図2】実施形態1に係わる生体情報取得装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係わる生体検知デバイスのセンサが出力する測定データの一例、および、疑似センサが出力する非生体データの一例を示すグラフである。
【
図4】測定データおよび非生体データに基づいて算出される生体データの一例を示すグラフである。
【
図5】実施形態1に係わる生体情報取得装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態2に係わる生体検知デバイスの構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態2に係わる生体検知デバイスが備えたセンサの回路の一例を示す。
【
図8】実施形態2に係わる生体検知デバイスが備えたセンサの回路構成および疑似センサの回路構成の一例を概略的に示す。
【
図9】実施形態3に係わる生体検知デバイスの構成を示すブロック図である。
【
図10】実施形態3に係わる生体検知デバイスの一変形例の構成を示すブロック図である。
【
図11】実施形態3に係わる生体検知デバイスの他の一変形例の構成を示すブロック図である。
【
図12】実施形態4に係わる生体検知デバイスの構成を示すブロック図である。
【
図13】実施形態4に係わる生体検知デバイスが備えたセンサの回路構成および疑似センサの回路構成の一例を概略的に示す。
【
図14】実施形態5に係わるシステムの構成を概略的に示す。
【
図15】実施形態1から5のいずれかに係わる生体情報取得装置のハードウェア構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、実施形態の詳細な説明を記載する。
【0018】
(全ての実施形態および変形例に共通)
図1は、後述する実施形態1~5およびその変形例に共通のシステム1の構成を概略的に示す。
図1に示すように、システム1は、生体検知デバイス100(100A,100B)および生体情報取得装置10を備えている。
図1において、生体検知デバイス100(100A,100B)は、のちに説明する生体検知デバイス100、生体検知デバイス100A、生体検知デバイス100Bのいずれかを示す。生体情報取得装置10と、生体検知デバイス100(100A,100B)とは、それぞれの通信機能によって、無線または有線で通信可能である。
【0019】
生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100(100A,100B)に対し、制御信号を送信することによって、以下で説明するように、生体検知デバイス100(100A,100B)を動作させる。
【0020】
生体検知デバイス100(100A,100B)は、一例として、図示しない生体(一例では人間)に対し、光信号を入射する。光信号は、生体の皮膚を透過して、生体内の組織によって、一部は散乱され、また一部は吸収される。そして、散乱または反射された光は、生体から外部へ放出される。生体検知デバイス100(100A,100B)は、生体から外部へ放出された光を検知する。生体検知デバイス100(100A,100B)は、検知した光に基づく測定データおよび非生体データ(後述する)を取得して、生体情報取得装置10へ測定データおよび非生体データを送信する。
【0021】
生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100(100A,100B)から、測定データおよび非生体データを受信して、測定データおよび非生体データに基づく生体データを算出し、生体データを分析することによって、生体情報を取得する。なお、測定データおよび非生体データに基づいて、生体データを算出する方法の具体例も、実施形態1以降で説明する。
【0022】
生体情報とは、生体の心身に関する情報であり、特に、生体の健康状態に係わる測定可能な指標である。例えば、生体情報は、脈拍、血流量、血中酸素濃度、脳波、呼吸数、血圧、または発汗量である。生体情報取得装置10は、このように取得した生体情報を、外部機器(例えばディスプレイ)へ出力してもよい。なお、生体情報取得装置10が実行する具体的な処理の一例について、後述する実施形態1で説明する。
【0023】
(変形例)
一変形例では、生体検知デバイス100(100A,100B)は、センサ200(
図6)が出力する測定データ、および、疑似センサ250(
図6)が出力する非生体データに基づいて、生体データを生成する。そして、生体検知デバイス100(100A,100B)は、生体データを生体情報取得装置10へ送信する。この場合、生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100(100A,100B)から受信した生体データそのものを分析する。
【0024】
〔実施形態1〕
図2~
図5を参照して、実施形態1について説明する。
【0025】
(生体情報取得装置10)
図2は、本実施形態1に係わる生体情報取得装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、生体情報取得装置10は、測定部11および分析部12を備えている。
【0026】
測定部11は、実施形態2において説明する生体検知デバイス100が備えたセンサ200および疑似センサ250(
図6)を用いて、生体データの測定を行う。測定部11は、測定手段の一例である。生体データは、上述した生体情報を含んでいる。分析部12は、生体データを分析することによって、生体情報を取得する。分析部12は分析手段の一例である。
【0027】
本実施形態1では、生体検知デバイス100は、生体を測定対象とするセンサ200と、センサ200と同等の入出力を有し、かつ、生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサ250とを有する。生体検知デバイス100の一例として、センサ200は、固定の波長または波長域の光を生体へ投射する。以下、本実施形態1に係わる生体検知デバイス100は、1組以上のセンサ200と疑似センサ250を備えているものとして説明する。
【0028】
測定部11は、生体検知デバイス100の1組以上のセンサ200と疑似センサ250を制御する。
【0029】
まず、測定部11は、生体情報取得装置10が対象とする生体情報の内容に応じて、生体検知デバイス100を用いた生体データの測定を継続する時間を決定する。
【0030】
一例として、生体情報取得装置10が生体情報として脈波の情報を取得する場合に、測定部11が測定を継続する時間の目安について説明する。脈波の測定には、いくつもの方法が知られている。一般的には、血管中の容積の変化、血球などの成分の変化、血管の伸縮の変化などから算出することが多く、これらの変化を随時センシングして、脈波波形を導き出す。したがって、上記容積の変化、血球などの成分の変化、血管の伸縮の変化などをセンシングできる波長を選択する必要がある。
【0031】
上記の場合、測定部11は、少なくとも1つの脈波が取得できる時間にわたって測定を行うことが必要である。たいていの人では、一分間の脈拍が40(1.5秒間に1拍)から100(0.6秒間に1拍)の場合が多い。そのため、おおむね1秒から数秒間の測定が必要となる。
【0032】
一例では、測定部11は、まず、1つ以上のセンサ200を用いて、生体に対し、検査信号を入力する。具体的には、測定部11は、1つ以上のセンサ200がそれぞれ備えた1つ以上の発光素子(図示せず)から、検査信号として、センサ200から固定の波長又は波長域の光を出射させ、1つ以上のセンサ200がそれぞれ備えた1つ以上の受光素子によって、生体からの反射を受光する。例えば、受光素子には、光導電セル、光起電力セル、フォトレジスタ、フォトダイオード、およびフォトトランジスタが含まれる。なお、センサ200の回路構成のいくつかの例を後で説明する(
図7~
図8)。
【0033】
検査信号は、生体の皮膚を透過して、生体内の組織によって、その一部を散乱され、また他の一部を吸収される。1つ以上のセンサ200は、それぞれ、1つ以上の受光素子によって、生体内から外部へ出射される光を受光する。1つ以上のセンサ200は、1つ以上の受光素子が受光した光に基づく測定データ(
図3)を取得する。そして、1つ以上のセンサ200は、それぞれ、測定部11へ測定データを送信する。測定データには、生体情報を含んだ生体データに対し、ノイズが重畳したものである。すなわち、測定データは、生体情報を含んだ生体データと、生体情報を含まない非生体データ(ノイズ)とを含む。
【0034】
一方、1つ以上の疑似センサ250は、それぞれ、組となるセンサ200と同期しており、センサ200が測定データを取得するのと同じタイミングで、非生体データ(
図3)を取得する。1つ以上の疑似センサ250は、センサ200と同等の入出力を有し、かつ、生体からの信号を検知するための機能を持たない。一例では、疑似センサ250は、センサ200が備えた受光素子が光を検知しないように、黒塗料などの光を遮蔽する材料で受光素子を覆うことによって得られる。より一般的に、疑似センサ250は、センサ200の機能素子が機能しないようにすることで得られる。あるいは、疑似センサ250は、センサ200の受光素子を、受光素子が受光していないときの受光素子と同等の抵抗値を持つ抵抗に置換することでも得られる。より一般的に、疑似センサ250は、センサ200の機能素子に代えて、機能素子が生体からの信号を検知していないときの機能素子の等価回路を備えていてもよい。上記の例において、機能素子とは、センサ200が生体からの信号を検知するための機能を実現する回路素子の総称である。非生体データは、測定データから、生体データを除いたノイズ成分に相当する。すなわち、非生体データは、生体情報を含まない。
【0035】
このように、測定部11は、1組のセンサ200および疑似センサ250から、測定データおよび非生体データを受信する。上述の手順で、測定部11は、生体検知デバイス100が備えたN組(Nは1以上の整数)のセンサ200および疑似センサ250を共に動作させる。これにより、測定部11は、生体検知デバイス100から、N組の測定データおよび非生体データを得られる。
【0036】
次に、測定部11は、生体検知デバイス100から得たN組の測定データおよび非生体データに基づいて、生体データを算出する。
【0037】
まず、測定部11は、所定の条件に基づいて、N組の測定データと非生体データのうち、1組を選択する。一例では、測定部11は、特定の時刻における各組の測定データと非生体データの差分を計算し、算出した値が最も大きい組を選択する。測定部11は、所定の条件に基づいて選択した1組の測定データと非生体データとの差分を計算することで、生体データ(
図4)を得る。なお、測定部11が生体データを算出する方法の流れを、後で説明する。
【0038】
センサ200から出力される測定データと、疑似センサ250から出力される非生体データとの差分を計算することによって、測定データからノイズ成分が除去される。その結果、測定部11は、ノイズの小さい高品質な生体データを得ることができる。
【0039】
あるいは、後の実施形態3で説明するように、測定部11は、生体検知デバイス100から、生体データそのものを取得してもよい。この場合、生体検知デバイス100が、測定データおよび非生体データに基づく生体データを生成し、生体情報取得装置10へ生体データを送信する。
【0040】
その後、測定部11は、算出あるいは取得した生体データを、分析部12へ出力する。
【0041】
図3は、1つのセンサ200から得られる測定データの一例、および、このセンサ200と組となった1つの疑似センサ250から得られる非生体データの一例をそれぞれ示すグラフである。
図3において、測定データを実線で示し、非生体データを破線で示している。
【0042】
図4は、測定データと非生体データとの差分を計算することによって得られた生体データの一例を示すグラフである。ただし、
図4に示す生体データは、
図3に示す測定データおよび非生体データから得られたものではない。
図4に示す生体データでは、生体の脈波に基づく周期構造が表れている。
【0043】
分析部12は、測定の結果として得られた生体データを分析することによって、生体情報を取得する。分析部12は分析手段の一例である。
【0044】
一例では、分析部12は、測定部11から、測定データおよび非生体データに基づく生体データ(
図4)を受信する。
【0045】
分析部12は、生体情報を取得するために、生体データを分析する。例えば、分析部12は、特許文献1または2に記載された方法で、生体データを分析することによって、前述のような生体情報を取得する。分析部12は、取得した生体情報を、外部機器(例えば、ディスプレイデバイス)へ出力してもよい。
【0046】
(生体情報取得装置10の動作)
図5を参照して、実施形態1に係わる生体情報取得装置10の動作を説明する。
図5は、生体情報取得装置10の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
図5に示すように、まず、測定部11は、生体検知デバイス100が備えた1組以上のセンサ200および疑似センサ250を用いて、生体データの測定を行う(S1)。
【0048】
測定部11は、測定の結果として得られた生体データを、分析部12へ出力する。一変形例では、測定部11は、生体検知デバイス100から生体データを受信し、生体検知デバイス100から受信した生体データそのものを、分析部12へ出力してもよい。
【0049】
次に、分析部12は、測定部11から取得した生体データを分析し、上で例示した生体情報を取得する(S2)。以上で、生体情報取得装置10の動作は終了する。
【0050】
ここまでは、本実施形態1に係わる生体情報取得装置10について、説明してきた。実施形態2では、システム1(
図1)において、生体情報取得装置10と通信する生体検知デバイス100(100A,100B)について説明する。
【0051】
〔実施形態2〕
図6~
図8を参照して、実施形態2について説明する。
【0052】
(生体検知デバイス100)
図6は、本実施形態2に係わる生体検知デバイス100の構成の一例を示すブロック図である。一例では、生体検知デバイス100は、生体に取り付けられた状態で使用される。
図6に示す生体検知デバイス100は、生体を測定対象とするセンサ200と、センサ200と同等の入出力を有し、かつ、生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサ250と、センサ200および疑似センサ250を配置された基板101とを備えている。しかしながら、生体検知デバイス100が備えた基板の枚数は限定されない。例えば、生体検知デバイス100は、センサ200および疑似センサ250を配置された基板101を含む複数の基板を備えていてもよい。また、
図6に示す一例では、1組のセンサ200と疑似センサ250のみを示している。しかしながら、生体検知デバイス100は、2組以上(複数組)のセンサ200と疑似センサ250を備えていてよい。
【0053】
センサ200は、生体情報取得装置10が生体データを測定するために用いられてよい。生体情報を含む生体データを何らかの形で測定できれば、センサ200はどのような種類のものであってもよい。センサ200の具体例として、光学式センサや、抵抗センサ、容量センサなどがあげられる。
【0054】
例えば、抵抗センサおよび容量センサは、皮膚など人体に電極を取り付けたり、貼り付けたりして使用するもので、人体に発生する微弱電圧、微弱電流、それが発生することによって変化する容量成分を検知するものである。一方、光学式センサは、発光素子から発する波長の光を人体が透過、または反射した光を受光素子が受け取ることで、透過光もしくは反射光の光吸収の変化からバイタル信号(すなわち生体データ)を取得する。
【0055】
一例では、発光素子と受光素子が組み合わせられた光学式センサとして、センサ200を構成することができる。この場合、発光素子は、例えば、電流を流すと光を発するLED(light emitting diode)であり、無機材質のLEDから、有機材質のLEDまで、発光素子として用いることができる。発光素子は、ある固定波長の光を発することが可能であれば、材質、形状に制限されるものではない。受光素子としては、光を電気・電流に変換することができる光電変換素子を用いることができる。受光素子も、無機材質のものでも有機材質のものでもどちらであってもよく、特定の任意の波長に受光感度を有するものであれば、材質・形状に制限されるものではない。
【0056】
生体検知デバイス100を装着した生体の体動により、基板101は弾性的に変形する。基板101の変形によって、基板101上に配置されたストレッチャブル配線の回路抵抗の抵抗値が変化する。これらの変化は、センサ200の出力の変化として検出される。つまり、生体検知デバイス100を装着した生体の体動により、センサ200の出力にノイズが重畳する。
【0057】
疑似センサ250は、概念的には、センサ200から、センシング機能を取り除いた構造を具備する。一例では、センサ200は、センシングの機能を持つ発光素子および受光素子を備えている。本例では、センサ200が備えた受光素子に黒塗料を塗布することにより、受光素子が光を検知しないようにする。言い換えれば、受光素子の受光量を常にゼロにする。これにより、疑似センサ250ができる。加えて、発光素子を、発光素子に相当する抵抗などの受動素子に置換してもよい。受光素子が光を検知しないように、受光素子に黒塗料を塗布することは、概念的には、
図7に示すフォトレジスタ(受光素子の一例)を、受光量がゼロであるときのフォトレジスタの抵抗値と同じ抵抗値を持つ抵抗に置換することに相当する。
【0058】
基板101が弾性的に変形したとき、センサ200の回路および疑似センサ250の回路のそれぞれの配線が、微小に伸縮する。このように、テンションにより伸縮可能な配線は、ストレッチャブル(stretchable)配線と呼ばれる。ストレッチャブル配線が伸縮したとき、ストレッチャブル配線に相当する回路抵抗R1の抵抗値も変化する。その結果、センサ200および疑似センサ250の各出力は、
図3に例示するように、時間的に変化する。センサ200の出力は、生体からの信号を受信する受光素子、および、生体の動作にともなうストレッチャブル配線の回路抵抗の両方に依存する。一方、疑似センサ250の出力は、生体の動作にともなうストレッチャブル配線の回路抵抗のみに依存する。ただし、
図3では、センサ200の出力と疑似センサ250の出力とを規格化している。生体が動くとともに、基板101の変形の仕方が時間的に変化するので、回路抵抗の抵抗値も時間的に変化する。この変化が、センサ200の出力におけるノイズとして観測される。
【0059】
一例では、センサ200の回路を構成するストレッチャブル配線の長さおよび太さは、疑似センサ250の回路を構成するストレッチャブル配線の長さおよび太さと全く同じである。このため、センサ200および疑似センサ250は、常に、同じ回路抵抗R1を有する。他の例では、センサ200は、トランジスタ構造を有するアクティブ型であってもよい。この場合、センサ200は、抵抗などの受動素子のほか、機能素子とトランジスタで構成される。一方、疑似センサ250は、受光素子の代わりの抵抗R2以外は、センサ200と同一の構造、形態、形状を有する。
【0060】
疑似センサ250の材料としては、センサ200と全く同じものを用いてもよい。例えば、センサ200は光学式センサであり、機能素子は受光素子である。一例では、センサ200は、受光機能を発現するための光電材料からなる受光層を、金属およびワイヤで形成されたストレッチャブル配線で結合した構造を有する。
【0061】
図6に示す生体検知デバイス100の一例では、センサ200の近傍に疑似センサ250を配置する。これにより、疑似センサ250の出力は、センサ200から出力される測定データに含まれるノイズ成分を再現する。
【0062】
なお、
図6では、生体検知デバイス100が備えたセンサ200および疑似センサ250以外の要素を省略している。しかしながら、生体検知デバイス100は、1組以上のセンサ200と疑似センサ250のほか、電源素子、演算素子、通信素子、およびメモリなどをさらに備えていてもよい(後述する実施形態3および実施形態4)。
【0063】
(センサ200の一例;光学式センサ)
本実施形態2に係わるセンサ200が、光学式センサである場合について説明する。センサ200は、ある固定波長(以下、λと記載する)の発光を行うことができる1つ以上の発光素子と、波長λを包含する波長域に感度を有する1つの受光素子とを備える。なお、生体検知デバイス100が備えた1組以上のセンサ200と疑似センサ250は、それぞれ、1つ以上の発光素子および1つの受光素子を備えているが、センサ200ごとに、上述の波長λは異なっていてもよい。あるいは、生体検知デバイス100が備えた1つ以上のセンサ200のうち、一部のセンサ200について、波長λは共通である一方、残りのセンサ200について、波長λは互いに異なっていてもよい。
【0064】
一例では、生体検知デバイス100が備えた1組以上のセンサ200と疑似センサ250は、互いに異なる固定波長(λ=λ1,λ2,・・・)で発光する1つ以上の発光素子を備えている。一方、1つ以上の受光素子は、1組以上のセンサ200と疑似センサ250に共通する波長域で感度を有する。1つ以上の受光素子が感度を有する波長域は、それぞれのセンサ200が備えた1つ以上の発光素子が出力する光の固定波長(λ=λ1,λ2,・・・)をすべて包含する。それぞれのセンサ200は、1つ以上の発光素子が出力する固定波長(λ=λ1,λ2,・・・)の光に基づく生体データを生成する。
【0065】
センサ200が備えた発光素子として、一例では、電流を流すと光を発するLEDが使用されてよい。しかしながら、発光素子は、特定の波長域または波長の光を発することが可能であれば、材質または形状について制限されない。発光素子として、無機材質のものも、有機材質のものでも、どちらも用いることができる。
【0066】
発光素子の発光強度としては、人体(生体)を経由して得られる反射光が受光素子で受光できる程度であれば特に制限はないが、発光素子に設定された順電流の標準値以下での発光が望ましい。具体的には、発光素子として、一実施例に記載したLEDが使用される場合、発光素子は、本LEDの順電流の標準値(一例では20mA)以下で使用されることが望ましい。
【0067】
センサ200が備えた受光素子としては、光を電気・電流に変換することができる光電変換素子が用いられる。受光素子も、発光素子と同様に、無機材質のものでも、有機材質のものでも、どちらでも利用が可能である。また、受光素子は、1組以上のセンサ200と疑似センサ250がそれぞれ備えた発光素子が出力する光の波長(λ=λ1,λ2,・・・)をすべて包含する波長域に感度を有するものであれば、材質および形状について制限されない。ただし、受光素子は、発光素子の発光がカバ―する波長または波長域において、十分な感度を有することが必要である。
【0068】
センサ200による測定の周期は、脈波に基づく生体データを検出できるのであれば、特に制限されない。しかしながら、測定の周期が長すぎると、脈波の検出精度が低くなる。他方、測定の周期が短くても、測定精度に悪影響を及ぼすことは少ないが、測定によるデータ量の増加、消費電力の増大を引き起こす。そのため、周波数換算で10Hz~200Hzの周期で、測定を行うことが望ましい。
【0069】
続いて、波長λを決定する方法の具体例を以下で説明する。
【0070】
血液中の血しょうの量に関しては、主に血しょう中の水分のモニタが可能となるように、血球などの成分の変化に関しては、赤血球、白血球、血小板などの各血球成分のモニタが可能となるように、また、血管の伸縮をモニタする場合には、血管壁のモニタが可能となるように、波長λを決定する。例えば、赤血球中の色素成分であるヘモグロビンは600nm以下に光の吸収があるため、λを600nm以下に決定する。一方、血しょうなどの水分は赤外領域の光をよく吸収するので、赤外光に相当する波長(具体的には750nm以上)をλとして選択する。しかしながら、λが成分の最大吸収波長から外れても、成分の変化がモニタ出来ればよいので、上記よりも幅広い波長域から、波長λを選択可能である。
【0071】
したがって、λとしては、紫外線として人体に悪影響を及ぼすと考えられている380nm以下の波長、あるいは、人体の他の構成成分による吸収の影響が大きくなる1000nm以上の領域を除いた380nm~1000nmの範囲から選択可能である。しかしながら、血球成分の変化をモニタしたほうがより正確性は向上するので、λは500nm~600nmの緑色の光に相当する波長であることが望ましい。
【0072】
(センサ200および疑似センサ250の回路構成)
図7は、センサ200の回路の一例を示す。
図7において、「フォトレジスタ」は、受光量によって抵抗値が変わる電子部品の一種であり、これは受光素子(機能素子の一例)に相当する。また、Voutは、センサ200の出力を示している。そのほか、Vinは入力、R1は回路抵抗をそれぞれ表す。生体検知デバイス100を装着した生体の動作を原因として、センサ200の基板101が弾性的に変形する。
図7に示す回路抵抗R1が、回路基板の変形によって一時的に変化することにより、センサ200の出力(Vout)に揺らぎが生じる。この揺らぎが生体からの信号にノイズを発生させる。
【0073】
図8は、組となるセンサ200および疑似センサ250のそれぞれの回路構成の具体例を示す。
図8に示すセンサ200の回路構成は、
図7に示す回路の模式図である。ただし、
図8では、
図7に示す端子1-2を結ぶ回路の一部を示すが、端子1-2の中間から、Voutへ向かって右に伸びる回路の一部を省略している。疑似センサ250の回路は、概念的には、
図7に示すセンサ200の回路から、受光素子(フォトレジスタ)を除いて、受光素子の受光量がゼロであるときの抵抗値と同じ抵抗値を持つ抵抗R2に置換したものである。受光素子から置換された抵抗R2は、
図7に示す回路抵抗R1と直列接続される。生体検知デバイス100を装着した生体の動作を原因として、疑似センサ250の回路抵抗R1も、基板101の変形によって一時的に変化することにより、Voutに揺らぎが生じる。センサ200の出力の揺らぎと、疑似センサ250の出力の揺らぎとは、原因が同じであるから、これらの揺らぎのパターンは共通する。特に、基板101上で、疑似センサ250がセンサ200の近傍に配置されている場合、センサ200の出力の揺らぎの大きさと、疑似センサ250の出力の揺らぎの大きさとが同程度になる。
【0074】
図8は、パッシブ型のセンサ200の回路構成の一例を概略的に示す。
図8では、センサ200は、端子1-2(黒丸)と機能素子で構成されている。一方、疑似センサ250は、端子1-2の間に機能素子の代わりに、抵抗R2を備えている。抵抗R2は、光電変換機能が働いていないときの機能素子に相当する。この点で、センサ200の回路構成と、疑似センサ250の回路構成とは相違する。
図8に示すセンサ200の機能素子が、
図6に示すセンサ200の機能素子に相当する。
【0075】
センサ200がON/OFFを切り替え可能なアクティブ型である場合、
図7に示すセンサ200の回路には、TFT(thin-film-transistor)と、TFTのゲートと接続される別の入力が追加される。TFTのソースとドレインは、入力Vinと回路抵抗R1との間に接続される。なお、TFTは、センシング機能とは無関係であるため、機能素子に相当しない。この場合も、疑似センサ250の回路は、センサ200の回路から、受光素子(フォトレジスタ)を抵抗R2に置換したものになる。
【0076】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、生体検知デバイス100は、生体を測定対象とするセンサ200と、センサ200と同等の入出力を有し、かつ、生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサ250とを備えている。また、生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100が備えたセンサ200および疑似センサ250を用いて、生体データの測定を行う測定部11と、生体データを分析することによって、生体情報を取得する分析部12とを備えている。生体検知デバイス100のセンサ200は、生体を測定することによって、生体情報を含む測定データを得る。しかし、測定データは、生体の予期できない動きによるノイズも含む。一方、生体検知デバイス100の疑似センサ250は、センサ200から、生体からの信号を検知するための機能を除いて構成されている。したがって、疑似センサ250は、生体情報を含まないノイズのみの非生体データを得ることができる。
【0077】
生体情報取得装置10は、測定データおよび非生体データの差分から、測定データからノイズ成分の除去された高品質な生体データを得ることができる。あるいは、生体検知デバイス100が測定データおよび非生体データから生体データを生成する場合、生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100から、高品質な生体データそのものを得ることができる。
【0078】
よって、生体情報取得装置10は、高品質な生体データから高精度な生体情報を得ることができる。
【0079】
〔実施形態3〕
本実施形態3では、前記実施形態2で説明した生体検知デバイス100の一つの下位概念、あるいは、生体検知デバイス100が提示する概念に含まれる詳細な構成の一例を説明する。
【0080】
本実施形態3で説明する生体検知デバイス100A(100A´,100A″)と、生体情報取得装置10との関係は、前記実施形態2で説明した生体検知デバイス100と、生体情報取得装置10との間の関係と同じである。すなわち、本実施形態3において、生体情報取得装置10の構成及び動作は、前記実施形態1と変わりがない。そのため、以下では、生体情報取得装置10の構成および動作についての説明を省略する。
【0081】
(生体検知デバイス100A)
図9は、本実施形態3に係わる生体検知デバイス100Aの構成を概略的に示す。
図9に示す生体検知デバイス100Aは、基板101、1組のセンサ200と疑似センサ250、電源素子300、演算素子400、通信素子500、およびメモリ600を備えている。すなわち、生体検知デバイス100Aは、前記実施形態2で説明した生体検知デバイス100(
図6)と比較して、電源素子300、演算素子400、通信素子500、およびメモリ600を備えている点が異なる。
【0082】
生体検知デバイス100Aでは、センサ、疑似センサ250、電源素子、演算素子400、通信素子500、およびメモリ600が全て、1枚の基板101の上に配置されている。
【0083】
図9は、1組のセンサ200と疑似センサ250のみを示している。しかしながら、生体検知デバイス100Aは、複数組のセンサ200と疑似センサ250を備えていてもよい。
【0084】
疑似センサ250とセンサ200の位置関係に関しては、特に規定はされない。しかしながら、センサ200と疑似センサ250とが、あまり接近しすぎると、お互いの干渉が生じ、一方、離れすぎると、生体検知デバイス100Aを生体に装着させたときにセンサ200に与えられる変形と、疑似センサ250に与えられる変形との間に、乖離が生じ得る。そのため、疑似センサ250とセンサ200とは、数μmから1cm以内の間隔で、基板101上に配置されることが望ましい。
【0085】
なお、1つのセンサ200と1つの疑似センサ250とが1組であることは必須でない。すなわち、複数のセンサ200に対し、1つの疑似センサ250が1組を形成していてもよいし、1つのセンサ200に対し、複数の疑似センサ250が1組となっていてもよい。前者の一例では、複数のセンサ200が、同じ疑似センサ250を共有する。また、後者の一例では、複数の疑似センサ250が、センサ200の近傍に配置される。後者については、実施形態4で詳細に説明する。
【0086】
生体検知デバイス100Aが、複数組のセンサ200と疑似センサ250を備えている場合、複数のセンサ200および複数の疑似センサ250が、それぞれ、1枚の基板101上でライン状に配置されていてもよい。あるいは、複数組のセンサ200と複数の疑似センサ250が、1枚の基板上でマトリクス状に配置されてもよい(変形例1)。ただし、複数のセンサ200および複数の疑似センサ250を基板101上にどのように配置するかについては、基板101の物理的なサイズおよび形状を除くと、特に制限されない。
【0087】
基板101の材料としては、センサ200およびその他の素子を搭載できる形状および材質であれば特に限定されるものではない。生体検知デバイス100Aを生体に装着するもしくは貼り付けることを考慮すると、基板101は、フレキシブルな材質のほうが望ましく、例えば、フィルム基板、薄型のガラスエポキシ樹脂等が考えられる。
【0088】
電源素子300としては、重さ、形状、および、一次側電源かあるいは二次側電源かなど、多くの選択肢を有する。しかしながら、センサ200、疑似センサ250、演算素子400、および通信素子500への十分な電力供給が可能であれば、電源素子は限定されない。例えば、電源素子300は、乾電池、ボタン電池、またはリチウムイオン蓄電池等、ごく一般的な電源素子であってよい。
【0089】
演算素子400としては、センサ200および疑似センサ250もしくは生体検知デバイス100Aに搭載されたセンサ200および疑似センサ250のドライバを制御可能であれば、特に限定されない。センサ200から得られる測定データと、疑似センサ250から得られる非生体データとの差分を得る処理を、生体検知デバイス100A上で行ってもよいが、生体情報取得装置10で行ってもよいし、もしくは後述の情報中継装置150(実施形態5)で行うこともできる。生体検知デバイス100A上で、生体データを得るためには、演算素子400が、測定データと非生体データとの差分を計算する処理を実行する必要がある。
【0090】
通信素子500は、生体検知デバイス100Aと、生体情報取得装置10との間で通信を行うためのものである。通信素子500は、センサ200もしくは生体検知デバイス100Aと、生体情報取得装置10との間で、各種データおよび制御信号の授受が可能であれば、形式および仕様に制限はない。
【0091】
一例では、通信量(信号量)、通信距離、および消費電力に基づいて、無線形式または有線形式の通信素子500が選択される。例えば、無線形式として、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、およびBluetoothLE(登録商標)などがあげられる。もちろん、有線形式の通信素子500を選択することも可能であるが、その場合、生体検知デバイス100Aの設計及び特性が著しく制限される。このことから、通信素子500としては、無線形式のものが選択されることが好ましい。
【0092】
メモリ600は、生体データを一時的に保存し、通信素子500は、オフラインで生体情報取得装置10との間で生体データを送受信する。この場合、生体検知デバイス100A上で、メモリ600に格納された生体データの処理を行う。また、演算素子400は、生体検知デバイス100Aのメモリ600に読み込んだプログラムを実行することにより、生体検知デバイス100Aの各部の動作を制御する。
【0093】
(生体検知デバイス100Aの変形例)
図10および
図11を参照して、本実施形態3に係わる生体検知デバイス100Aの変形例を説明する。
【0094】
(変形例1)
図10は、生体検知デバイス100Aの変形例を示す。
図10に示す生体検知デバイス100A´では、複数組のセンサ200と疑似センサ250が、1枚の基板101上でマトリクス状に配置されている。なお、
図10では、2組のセンサ200と疑似センサ250のみを示している。しかしながら、生体検知デバイス100A´は、基板101上で縦方向及び/または横方向に、多数の組のセンサ200と疑似センサ250を備えていてもよい。
【0095】
図10に示す生体検知デバイス100A´の構成によれば、複数組のセンサ200と疑似センサ250がマトリクス状に配置されている。生体情報取得装置10は、複数組のセンサ200と疑似センサ250から、それぞれ、測定データおよび非生体データとともに、各センサ200の位置情報(あるいは識別情報)を得る。
【0096】
生体情報取得装置10は、測定データおよび非生体データと、各センサ200の位置情報とに基づいて、センサ200の位置ごとの生体データを得ることができる。また、生体情報取得装置10は、センサ200の位置ごとの生体データに基づいて、生体の面における生体情報を取得することができる。例えば、生体情報取得装置10は、生体データおよびセンサ200の位置情報に基づいて、生体の皮膚の下での静脈の分布を示す生体情報を取得することができる。
【0097】
(変形例2)
図11に示す他の生体検知デバイス100A″は、2つの基板101A,101Bを備えている。生体検知デバイス100A″では、1組以上のセンサ200と疑似センサ250が、基板101A上に(ライン状に)配置されている一方、1組以上のセンサ200と疑似センサ250を除く構成要素が、基板101B上に配置されている。
【0098】
図11に示す生体検知デバイス100A″の構成によれば、1組以上のセンサ200と疑似センサ250が、1枚の基板101A上に配置されており、他の構成要素(
図11では、電源素子300、演算素子400、通信素子500、メモリ600)が、他の基板101B上に配置されている。そのため、生体検知デバイス100A″の形状を柔軟に設計することができる。また、生体検知デバイス100A″から、基板101Aだけを取り外す(一方、基板101Bを取り外さない)ことによって、故障したセンサ200および疑似センサ250を容易に交換することができる。
【0099】
(変形例3)
なお、生体検知デバイス100が複数の基板101を備えている場合、それぞれの基板101にどの素子を搭載するのかは、各基板101の大きさ、重さ等を考慮して、自由に設計することが可能である。一例では、
図11に示す生体検知デバイス100A″のように、センサ200および疑似センサ250以外の構成素子をまとめて別の基板101Bに搭載してもよい。あるいは、電源素子300だけを、別の基板101Bに搭載してもよい。
【0100】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、生体検知デバイス100A(100A´,100A″)は、生体を測定対象とするセンサ200と、センサ200と同等の入出力を有し、かつ、生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサ250とを備えている。また、生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100A(100A´,100A″)が備えたセンサ200および疑似センサ250を用いて、生体データの測定を行う測定部11と、生体データを分析することによって、生体情報を取得する分析部12とを備えている。
【0101】
生体検知デバイス100A(100A´,100A″)のセンサ200は、生体を測定対象とする測定によって、生体情報を含む測定データを得る。しかし、測定データは、生体の予期できない動きによるノイズも含む。一方、生体検知デバイス100A(100A´,100A″)の疑似センサ250は、センサ200から、生体からの信号を検知するための機能を除いて構成されているので、ノイズのみの非生体データを得ることができる。
【0102】
生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100A(100A´,100A″)から、測定データおよび非生体データを得て、これらの間の差分から、測定データに重畳したノイズ成分の除去された高品質な生体データを得ることができる。あるいは、生体検知デバイス100A(100A´,100A″)が、測定データおよび非生体データに基づいて生体データを生成する場合、生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100A(100A´,100A″)から、高品質な生体データそのものを得ることができる。
【0103】
よって、生体情報取得装置10は、高品質な生体データから高精度な生体情報を得ることができる。
【0104】
〔実施形態4〕
本実施形態4では、前記実施形態2で説明した生体検知デバイス100の一つの下位概念、あるいは、前記実施形態3およびその変形例に基づいて説明した生体検知デバイス100A(100A´,100A″)の構成とは別の構成の一例を説明する。
【0105】
本実施形態4で説明する生体検知デバイス100Bと生体情報取得装置10との関係は、前記実施形態1で説明した生体検知デバイス100と生体情報取得装置10との間の関係と同じである。すなわち、本実施形態4において、生体情報取得装置10の構成及び動作は、前記実施形態1と変わりがない。そのため、以下では、生体情報取得装置10の構成および動作の説明を省略する。
【0106】
(生体検知デバイス100B)
図12は、本実施形態4に係わる生体検知デバイス100Bの構成を概略的に示す。
図12に示す生体検知デバイス100Bは、前記実施形態3で説明した生体検知デバイス100A(
図9)と比較して、1つのセンサ200に対して、組となる2つの疑似センサ250を備えている点が異なる。なお、生体検知デバイス100Bは、前記実施形態3において説明した生体検知デバイス100A(100A´,100A″)(
図9~
図11)と同様に、複数組のセンサ200と疑似センサ250を備えていてもよい。
【0107】
(センサ200および疑似センサ250の回路構成)
図13は、それぞれ、組となるセンサ200および2つの疑似センサ250(
図13では第1の疑似センサおよび第2の疑似センサ)のそれぞれの回路構成の一例を示す。
図13に示すセンサ200および疑似センサ250の回路構成は、模式図である。
【0108】
図13に示す回路構成は、前記実施形態2で説明した
図7に示す回路構成と比較して、疑似センサ250の回路が1本追加されている。
図13では、2つの疑似センサ250(の回路)が、組となる1つのセンサ200を挟んで、対称の位置に配置されている。
【0109】
生体検知デバイス100Bは、センサ200から得られた測定データと、第1及び第2の疑似センサ250のそれぞれから得られた非生体データとに基づいて、生体データを生成する。一例では、生体データは、センサ200から得られる測定データと、第1及び第2の疑似センサ250からそれぞれ得られる非生体データの平均値との間の差分を計算することによって得られてもよい。
【0110】
あるいは、前記実施形態1において説明したように、生体情報取得装置10の測定部11(
図2)が、測定データおよび非生体データに基づいて、生体データを算出してもよい。この場合、生体情報取得装置10は、センサ200から測定データを受信するとともに、2つの疑似センサ250から、非生体データを受信する。
【0111】
一例では、測定部11は、生体検知デバイス100Bと同様の手法で、測定データおよび非生体データに基づいて、生体データを算出する。具体的には、測定部11は、まず、第1及び第2の疑似センサ250からそれぞれ得られる非生体データの平均値を算出する。そして、測定部11は、センサ200から得られる測定データと、算出した非生体データの平均値との差分を計算することによって、生体データを得る。
【0112】
上記の構成によれば、第1及び第2の疑似センサ250からそれぞれ得られる非生体データの平均値を算出する。センサ200から得られる測定データと、算出した非生体データの平均値との差分を計算する。これにより、センサ200と各疑似センサ250との間の位置関係に基づくノイズの変化の影響を低減することができ、高品質な生体データを得ることができる。以下で、その理由を詳細に説明する。
【0113】
図13において、第1の疑似センサ250から、センサ200へ向かう上方向に、ノイズが小さくなる傾向があるとする。例えば、生体検知デバイス100Bが、人間(生体の一例)の腕の周方向に巻き付けるように貼付されているとする。一般的に、人間の腕の周方向の曲率は一様ではなく、腕の内側(手のひらへとつながる側)は比較的に平坦であり、腕の内側から外側へ向かうにつれて、曲率が徐々に高まる。このような場合において、第2の疑似センサ250が、人間の腕の内側に配置され、センサ200、第1の疑似センサ250の順で、人間の腕の外側に向かって配置されている場合、生体に取り付けられた生体検知デバイス100Bの歪みが、第1の疑似センサ250、センサ200、第2の疑似センサ250の順に小さくなる。ただし、歪みの大きさの順番は、生体に対する生体検知デバイス100Bの取り付け方によって異なる。この場合、第1の疑似センサ250が検知するノイズはセンサ200が検知するノイズよりも大きく、一方で、第2の疑似センサ250が検知するノイズはセンサ200が検知するノイズよりも小さくなる。
【0114】
したがって、第1及び第2の疑似センサ250からそれぞれ得られる非生体データの平均値を算出することで、2つの疑似センサ250から得られる非生体データの平均値は、センサ200から得られる測定データに含まれるノイズ成分に近づく。そのため、センサ200から得られる測定データと、2つの疑似センサ250から得られる非生体データの平均値との差分を計算することによって、両者のノイズ成分がうまく打ち消しあう。その結果、高品質な生体データを得ることができる。
【0115】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、生体検知デバイス100Bは、生体を測定対象とするセンサ200と、センサ200と同等の入出力を有し、かつ、生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサ250とを備えている。また、生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100Bが備えたセンサ200および疑似センサ250を用いて、生体データの測定を行う測定部11と、生体データを分析することによって、生体情報を取得する分析部12とを備えている。
【0116】
生体検知デバイス100Bのセンサ200は、生体を測定対象とする測定によって、生体情報を含む測定データを得る。しかし、測定データは生体データに加えて、生体の予期できない動きによるノイズも含む。一方、生体検知デバイス100Bの疑似センサ250は、センサ200から、生体からの信号を検知するための機能を除いて構成されているので、生体情報を含まないノイズのみの非生体データを得ることができる。
【0117】
生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100Bから、測定データおよび非生体データを得る。そして、生体情報取得装置10は、これらの間の差分から、測定データに重畳したノイズ成分の除去された高品質な生体データを得ることができる。あるいは、生体検知デバイス100Bが測定データおよび非生体データから生体データを生成する場合、生体情報取得装置10は、生体検知デバイス100Bから、高品質な生体データそのものを得ることができる。
【0118】
よって、生体情報取得装置10は、高品質な生体データから高精度な生体情報を得ることができる。
【0119】
また、本実施形態の構成によれば、センサ200から得られる測定データと、2つの疑似センサ250から得られる非生体データの平均値との差分を計算する。これにより、測定データに含まれるノイズ成分と非生体データの平均値とがうまく打ち消しあう。その結果、高品質な生体データを得ることができる。
【0120】
(生体検知デバイス100(100A,100B)の実施例)
以下では、前記実施形態2で説明した生体検知デバイス100、前記実施形態3で説明した生体検知デバイス100A、および前記実施形態4で説明した生体検知デバイス100Bのいずれかの一実施例を説明する。もちろん、前記実施形態3の変形例1または変形例2で説明した生体検知デバイス100A´,100A″も、生体検知デバイス100Aと同様である。
【0121】
本実施例では、ローム社のSMLMN2ECTT86C LEDをセンサ200の発光素子とし、SMLMN2ECTT86C LED用センサをセンサ200の受光素子として用いた。
【0122】
大きさ25mm×35mm、厚さ0.1mmのガラスエポキシ基板(これは基板101に対応する)上に、2mmの間隔を空けつつ、マトリクス状に5行×2列、合計10個のセンサ200を搭載した。さらに、同一のガラスエポキシ基板上に、LIR1655型ボタン電池(電源素子300の一例)およびBLE素子(通信素子500の一例)を搭載した。生体検知デバイス100(100A,100B)を被験者(生体)の肘に貼り付けたのち、生体検知デバイス100(100A,100B)を周波数換算で128Hzの周期で動作させることにより、生体データを測定する。被験者が肘を延ばしたり縮めたりしながら、生体検知デバイス100(100A,100B)により生体データを測定する。その結果、被験者(生体)が肘を延ばしたり縮めたりする動きによって生じたノイズを低減された高品質な生体データを測定することができた。
【0123】
〔実施形態5〕
本実施形態5では、
図1に示すシステム1とは別の構成を持つシステム2について説明する。
【0124】
図14は、本実施形態5に係わるシステム2の構成を概略的に示す。
図14に示すように、システム2は、生体情報取得装置10、および生体検知デバイス100(100A,100B)に加えて、情報中継装置150をさらに備えている。本実施形態5に係わる生体情報取得装置10の構成及び動作は、前記実施形態1~4と共通である。なお、システム2は、生体検知デバイス100Aに変えて、生体検知デバイス100A´(
図10)、または生体検知デバイス100A″(
図11)を備えていてもよい。
【0125】
情報中継装置150は、生体情報取得装置10と生体検知デバイス100(100A,100B)との間の通信を中継する。情報中継装置150としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの情報通信機器が用いられる。しかしながら、情報中継装置150は、生体データの測定の対象者(生体)の状況、または、通信環境などに基づいて、任意に決定されてよい。
【0126】
本実施形態5では、生体検知デバイス100(100A,100B)および情報中継装置150のどちらも、センサ200を制御することができる。生体検知デバイス100(100A,100B)が1組以上のセンサ200と疑似センサ250を制御する場合、生体検知デバイス100(100A,100B)が備えた演算素子400を利用する。一方、情報中継装置150が1組以上のセンサ200と疑似センサ250を制御する場合には、例えば、FPGA(field-programmable gate array)などを利用して、センサ200を制御するためのコンピュータプログラムを実行する。
【0127】
後者の場合、情報中継装置150は、生体検知デバイス100(100A,100B)から生体データを受信し、生体情報取得装置10へ生体データを転送する。また、情報中継装置150は、生体情報取得装置10から、生体検知デバイス100(100A,100B)を制御するための制御信号を受信して、制御信号に基づいて、生体検知デバイス100(100A,100B)の制御を実行する。
【0128】
さらに、生体情報取得装置10または情報中継装置150と、生体検知デバイス100(100A,100B)との間の通信を中継するために、スマートフォンなどのモバイル情報通信機器(図示せず)を用いてもよい。この場合、生体検知デバイス100(100A,100B)からの情報をいったんモバイル情報通信機器が受信し、モバイル情報通信機器(図示せず)から、生体情報取得装置10または情報中継装置150へ、生体検知デバイス100(100A,100B)からの情報を転送してもよい。
【0129】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、生体情報取得装置10と生体検知デバイス100(100A,100B)との間の通信を、情報中継装置150が中継する。そのため、生体情報取得装置10と生体検知デバイス100(100A,100B)とが直接的に通信を行う必要がないので、システム2の設計に関する自由度が向上する。
【0130】
(ハードウェア構成について)
前記実施形態1~5で説明した生体情報取得装置10の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば
図15に示すような情報処理装置900により実現される。
図15は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0131】
図15に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0132】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~5で説明した生体情報取得装置10の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0133】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、前記実施形態において説明した生体情報取得装置10が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0134】
〔付記〕
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0135】
(付記1)
生体を測定対象とするセンサと、
前記センサと同等の入出力を有し、かつ、前記生体からの信号を検知するための機能を持たない疑似センサと、
前記センサおよび前記疑似センサを配置された1枚の基板を含む1または複数の基板と
を備えた生体検知デバイス。
【0136】
(付記2)
1つの前記センサと、2つの前記疑似センサとを備え、
2つの前記疑似センサが、1つの前記センサを挟んで対称の位置に、1つずつ配置されている
ことを特徴とする付記1に記載の生体検知デバイス。
【0137】
(付記3)
前記センサは光学式センサであり、前記生体からの信号を検知するための機能は、受光素子によって実現される
ことを特徴とする付記1または2に記載の生体検知デバイス。
【0138】
(付記4)
前記疑似センサは、前記センサの前記受光素子を、前記生体からの信号がないときの前記受光素子に相当する抵抗に前記受光素子を置換することで得られた
ことを特徴とする付記3に記載の生体検知デバイス。
【0139】
(付記5)
前記疑似センサは、前記センサの前記受光素子を黒塗料により覆うことで得られた
ことを特徴とする付記3に記載の生体検知デバイス。
【0140】
(付記6)
前記生体の皮膚に貼り付けられた状態で使用される
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1項に記載の生体検知デバイス。
【0141】
(付記7)
前記センサから出力される測定データ、および、前記疑似センサから出力される非生体データに基づいて、生体データを生成する
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の生体検知デバイス。
【0142】
(付記8)
付記1から7のいずれか1項に記載の生体検知デバイスが備えたセンサおよび疑似センサを用いて、生体データの測定を行う測定手段と、
前記生体データを分析することによって、生体情報を取得する分析手段と
を備えた生体情報取得装置。
【0143】
(付記9)
前記測定手段は、前記センサから出力される測定データ、および、前記疑似センサから出力される非生体データを、前記生体検知デバイスから受信して、前記生体データと前記非生体データとの間の差分を計算することによって、前記生体データを得る
ことを特徴とする付記8に記載の生体情報取得装置。
【0144】
(付記10)
前記測定手段は、前記センサから出力される測定データ、および、前記疑似センサから出力される非生体データに基づいて得られる生体データを、前記生体検知デバイスから受信する
ことを特徴とする付記8に記載の生体情報取得装置。
【0145】
(付記11)
付記1から7のいずれか1項に記載の生体検知デバイスが備えたセンサおよび疑似センサを用いて、生体データの測定を行い、
前記生体データを分析することによって、生体情報を取得する
ことを含む生体情報取得方法。
【0146】
(付記12)
付記1から7のいずれか1項に記載の生体検知デバイスが備えたセンサおよび疑似センサを用いて、生体データの測定を行うことと、
前記生体データを分析することによって、生体情報を取得することと
をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した、一時的でない記録媒体。
【符号の説明】
【0147】
10 生体情報取得装置
11 測定部
12 分析部
100 生体検知デバイス
100A 生体検知デバイス
100B 生体検知デバイス
101 基板
101A 基板
101B 基板
200 センサ
250 疑似センサ