(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】磁気センサパッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240611BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240611BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20240611BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20240611BHJP
G01R 33/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01L23/12 501S
H01L23/30 R
G01R33/02 U
G01R33/06
(21)【出願番号】P 2022557264
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2021032819
(87)【国際公開番号】W WO2022085319
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2020176519
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】勝部 彰夫
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143208(JP,A)
【文献】特開2019-102651(JP,A)
【文献】特開2017-009566(JP,A)
【文献】実開平5-79964(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/29
G01R 33/02
G01R 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子が設けられた第1表面を有し、該第1表面に沿って磁気検出素子が配置された磁気センサチップと、
前記接続端子と電気的に接続され、前記第1表面に沿いつつ前記第1表面と直交する方向から見て前記磁気センサチップの縁より外側まで延在している接続配線層と、
前記第1表面と直交する方向から見て前記磁気センサチップの縁より外側の位置にて前記接続配線層と電気的に接続され、前記磁気センサチップに間隔をあけて前記磁気センサチップに沿って延在している柱状電極と、
前記接続配線層の磁気センサチップ側の面とは反対側の面と接しつつ、前記第1表面を覆う絶縁層と、
前記柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面と電気的に接続された接続電極とを備え
、
前記絶縁層および前記接続配線層は、プリント配線板から形成されている、磁気センサパッケージ。
【請求項2】
前記絶縁層は、厚みが10μm以下の薄膜で構成されている、請求項1に記載の磁気センサパッケージ。
【請求項3】
前記柱状電極の前記端面および前記接続電極の各々と電気的に接続され、前記柱状電極の前記端面に沿う方向に延在している延長配線層をさらに備える、請求項1
または請求項
2に記載の磁気センサパッケージ。
【請求項4】
前記磁気センサチップの少なくとも周面を覆うモールド樹脂部をさらに備え、
前記磁気センサチップの前記第1表面とは反対側の第2表面は、研削面であり、前記モールド樹脂部から露出している、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の磁気センサパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージングされた磁場センサの構成を開示した先行文献として、特開2018-119955号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された磁場センサは、ダイの第1の表面内に配設された磁場感知素子と、ダイの第2の表面に接するはんだボールとを含む。シリコン貫通電極は、ダイを貫通して、磁場感知素子とはんだボールとを互いに接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された磁気センサパッケージにおいては、ダイの第1の表面内に磁気検出素子が配設されているため、磁気センサパッケージの表面から磁気検出素子までの距離を小さくして、磁気センサパッケージの表面近傍の磁界に対する磁気検出精度を高くできる可能性がある。
【0005】
磁気センサパッケージを基板に実装した際、磁気センサパッケージの構成部材同士の線膨張係数の違いによって磁気センサパッケージが撓むことにより応力が発生する。特許文献1に記載された磁気センサパッケージにおいては、はんだボールからシリコン貫通電極を通じて磁気検出素子に応力が伝達されるため、磁気検出素子までの応力伝達経路が短く、磁気検出素子に負荷される応力値が高くなり、磁気検出精度を高く維持することができない。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、基板に実装された際の基板との接続箇所から磁気検出素子に伝達される応力を低減して高い磁気検出精度を維持することができる、磁気センサパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づく磁気センサパッケージは、磁気センサチップと、接続配線層と、柱状電極と、絶縁層と、接続電極とを備える。磁気センサチップは、接続端子が設けられた第1表面を有する。磁気センサチップにおいては、第1表面に沿って磁気検出素子が配置されている。接続配線層は、接続端子と電気的に接続され、上記第1表面に沿いつつ上記第1表面と直交する方向から見て磁気センサチップの縁より外側まで延在している。柱状電極は、上記第1表面と直交する方向から見て磁気センサチップの縁より外側の位置にて接続配線層と電気的に接続され、磁気センサチップに間隔をあけて磁気センサチップに沿って延在している。絶縁層は、接続配線層の磁気センサチップ側の面とは反対側の面と接しつつ、上記第1表面を覆っている。接続電極は、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面と電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板に実装された際の基板との接続箇所から磁気検出素子に伝達される応力を低減して高い磁気検出精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
【
図2】
図1の磁気センサパッケージをII-II線矢印方向から見た平面図である。
【
図3】
図1の磁気センサパッケージを矢印III方向から見た底面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージが備える磁気センサの第1表面を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージが備える磁気センサチップの回路構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、プリント配線板上に柱状電極を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、プリント配線板上に磁気センサチップを実装した状態を示す縦断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、プリント配線板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、モールド樹脂部を磁気センサチップおよび柱状電極とともに研削した状態を示す縦断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、絶縁層を研削した状態を示す縦断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
【
図13】
図12の磁気センサパッケージを矢印XIII方向から見た平面図である。
【
図14】
図12の磁気センサパッケージを矢印XIV方向から見た底面図である。
【
図15】本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートが設けられた支持基板上に磁気センサチップおよび柱状電極を実装した状態を示す縦断面図である。
【
図16】本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、支持基板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
【
図17】本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートを剥離させて支持基板を取り外した後、接続配線層および絶縁層を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図18】本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図19】本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
【
図20】本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートが設けられた支持基板上に磁気センサチップおよび柱状電極を実装した状態を示す縦断面図である。
【
図21】本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、支持基板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
【
図22】本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、モールド樹脂部を磁気センサチップおよび柱状電極とともに研削した状態を示す縦断面図である。
【
図23】本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートを剥離させて支持基板を取り外した後、接続配線層および絶縁層を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図24】本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図25】本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
【
図26】
図25の磁気センサパッケージを矢印XXVI方向から見た底面図である。
【
図27】本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートが設けられた支持基板上に磁気センサチップおよび柱状電極を実装した状態を示す縦断面図である。
【
図28】本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、支持基板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
【
図29】本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートを剥離させて支持基板を取り外した後、接続配線層および絶縁層を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図30】本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に延長配線層を形成した状態を示す縦断面図である。
【
図31】本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、延長配線層上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施の形態に係る磁気センサパッケージについて図を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
図2は、
図1の磁気センサパッケージをII-II線矢印方向から見た平面図である。
図3は、
図1の磁気センサパッケージを矢印III方向から見た底面図である。
【0012】
図1~
図3に示すように、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージ100は、磁気センサチップ110と、接続配線層120と、柱状電極130と、絶縁層150と、接続電極140とを備える。
【0013】
磁気センサチップ110は、直方体状の形状を有している。磁気センサチップ110は、第1表面111、第1表面111とは反対側の第2表面113、および、第1表面111と第2表面113とを互いに接続する周面を有する。
【0014】
図4は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージが備える磁気センサの第1表面を示す平面図である。
図4に示すように、磁気センサチップ110の第1表面111には、4つの接続端子112が設けられている。4つの接続端子112は、磁気センサチップ110の第1表面111の四隅に1つずつ配置されている。4つの接続端子112は、電源端子Vcc、接地端子GND、第1出力端子V+および第2出力端子V-から構成されている。
【0015】
磁気センサチップ110においては、第1表面111に沿って磁気検出素子が配置されている。磁気センサチップ110は、シリコン、ガラスまたはセラミックなどで構成されたセンサ基板を含み、センサ基板上に磁気検出素子および4つの接続端子112が形成されている。磁気検出素子は、たとえばSiO2からなる保護層で覆われている。4つの接続端子112の各々の上方に位置する部分の保護層には、開口が形成されている。
【0016】
本実施の形態においては、磁気検出素子は、TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子であるが、磁気検出素子は、TMR素子に限られず、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子またはGMR(Giant Magneto Resistance)素子などの磁気抵抗素子、またはホール素子であってもよい。
【0017】
図5は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージが備える磁気センサチップの回路構成を示す図である。
図5に示すように、磁気センサチップ110は、4つのTMR素子からなるホイートストンブリッジ型のブリッジ回路を有している。具体的には、可変抵抗R1と固定抵抗R2との2つの直列接続体が、電源端子Vccと接地端子GNDとの間に並列接続されている。一方の直列接続体においては、固定抵抗R2と可変抵抗R1との接続点に第1出力端子V+が接続されている。他方の直列接続体においては、可変抵抗R1と固定抵抗R2との接続点に第2出力端子V-が接続されている。可変抵抗R1は、検出対象磁界が作用すると、抵抗値が小さくなる。固定抵抗R2は、検出対象磁界が作用しても、抵抗値がほとんど低下しない。
【0018】
磁気センサチップ110が上記の回路構成を有することにより、第1出力端子V+と第2出力端子V-との間に、検出対象磁界の強さに依存する電位差が発生する。なお、磁気センサチップ110は、可変抵抗R1および固定抵抗R2を1つずつ含むハーフブリッジ回路を有していてもよい。
【0019】
図1および
図2に示すように、接続配線層120は、接続端子112と電気的に接続され、第1表面111に沿いつつ第1表面111と直交する方向から見て磁気センサチップ110の縁より外側まで延在している。本実施の形態においては、4つの接続配線層120が、4つの接続端子112に1対1で対応して電気的に接続されている。第1表面111と直交する方向から見て、4つの接続配線層120のうちの2つの接続配線層120は、磁気センサチップ110の縁のうちの1辺と直交しており、残りの2つの接続配線層120は、上記1辺と平行に位置する他の1辺と直交している。
【0020】
具体的には、接続配線層120は、直方体状の形状を有している。ただし、第1表面111と直交する方向から見た接続配線層120の形状は、矩形に限られず、楕円形などであってもよい。接続配線層120は、絶縁層150の磁気センサチップ側の面上に設けられている。本実施の形態においては、絶縁層150および接続配線層120は、プリント配線板から形成されている。
【0021】
接続配線層120における接続端子112と対向する部分は、接続導体180によって互いに電気的に接続されている。接続配線層120は、金または銅などの導電材料で構成されている。接続導体180は、はんだまたは金などの導電材料で構成されている。
【0022】
柱状電極130は、第1表面111と直交する方向から見て磁気センサチップ110の縁より外側の位置にて接続配線層120と電気的に接続され、磁気センサチップ110に間隔をあけて磁気センサチップ110の周面に沿って延在している。本実施の形態においては、4つの柱状電極130が、4つの接続配線層120に1対1で対応して電気的に接続されている。
【0023】
具体的には、柱状電極130は、円柱状の形状を有している。ただし、柱状電極130の形状は、円柱状に限られず、角柱状でもよい。柱状電極130は、接続配線層120の磁気センサチップ側の面に接続されている。柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面は、磁気センサチップ110の第2表面113と略同一平面上に位置している。柱状電極130は、金または銅などの導電材料で構成されている。
【0024】
絶縁層150は、接続配線層120の磁気センサチップ側の面とは反対側の面と接しつつ、磁気センサチップ110の第1表面111を覆っている。絶縁層150の磁気センサチップ側の面と第1表面111とは、互いに間隔をあけて対向している。絶縁層150の厚みの寸法は、20μm以下である。
【0025】
プリント配線板において、柱状電極130の周囲に位置する部分は、ソルダーレジスト170によって覆われている。すなわち、絶縁層150および接続配線層120の各々の一部は、ソルダーレジスト170によって覆われている。ソルダーレジスト170の厚みの寸法は、20μm以下である。
【0026】
磁気センサパッケージの表面となる、絶縁層150の磁気センサチップ側とは反対側の面と、磁気検出素子との間隔は、50μm以下である。
【0027】
絶縁層150は、ガラスエポキシ基板から形成されている。ただし、絶縁層150を構成する材料は、これに限られず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂またはウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物であってもよい。
【0028】
接続電極140は、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面と電気的に接続されている。接続電極140は、はんだまたは金などの導電材料で構成されている。
【0029】
磁気センサパッケージ100は、磁気センサチップ110の少なくとも周面を覆うモールド樹脂部160をさらに備えている。モールド樹脂部160は、第1表面111と直交する方向における、絶縁層150の磁気センサチップ側の面上の位置から磁気センサチップ110の第2表面113の位置までの間の部分を埋めている。磁気センサチップ110においては、第2表面113のみモールド樹脂部160に覆われておらず露出している。第2表面113は、研削された研削面である。柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面は、モールド樹脂部160に覆われていない。モールド樹脂部160は、たとえばエポキシ樹脂などの主成分にシリカ充填材などが加えられた熱硬化性成形材料で構成されている。
【0030】
以下、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージ100の製造方法について説明する。
【0031】
図6は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、プリント配線板上に柱状電極を形成した状態を示す縦断面図である。
図6に示すように、絶縁層150および接続配線層120を含むプリント配線板上に、めっきによって柱状電極130を形成する。なお、柱状電極130は、接続配線層120上に実装されてもよい。絶縁層150の接続配線層側とは反対側の面は、ソルダーレジスト190に覆われている。
【0032】
図7は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、プリント配線板上に磁気センサチップを実装した状態を示す縦断面図である。
図7に示すように、磁気センサチップ110の接続端子112と接続配線層120とが接続導体180を介して電気的に接続されるように、プリント配線板上に磁気センサチップ110をフリップチップ実装する。
【0033】
図8は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、プリント配線板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
図8に示すように、プリント配線板上の磁気センサチップ110をモールド樹脂部160内に埋め込む。
【0034】
図9は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、モールド樹脂部を磁気センサチップおよび柱状電極とともに研削した状態を示す縦断面図である。
図9に示すように、モールド樹脂部160を絶縁層側とは反対側から研削するとともに、磁気センサチップ110および柱状電極130の各々の絶縁層側とは反対側も研削することにより、磁気センサチップ110の第2表面113および柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面の各々を露出させる。
【0035】
図10は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、絶縁層を研削した状態を示す縦断面図である。
図10に示すように、プリント配線板のソルダーレジスト190および絶縁層150を研削して、ソルダーレジスト190を除去するとともに絶縁層150を薄くする。
【0036】
図11は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
図11に示すように、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面上に、めっき法、蒸着法または印刷法によって、接続電極140を形成する。最後にダイシングなどによって個片化することにより、
図1に示す磁気センサパッケージ100を製造することができる。
【0037】
本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージ100においては、磁気センサチップ110は、接続端子112が設けられた第1表面111を有する。磁気センサチップ110においては、第1表面111に沿って磁気検出素子が配置されている。接続配線層120は、接続端子112と電気的に接続され、第1表面111に沿いつつ第1表面111と直交する方向から見て磁気センサチップ110の縁より外側まで延在している。柱状電極130は、第1表面111と直交する方向から見て磁気センサチップ110の縁より外側の位置にて接続配線層120と電気的に接続され、磁気センサチップ110に間隔をあけて磁気センサチップ110に沿って延在している。絶縁層150は、接続配線層120の磁気センサチップ側の面とは反対側の面と接しつつ、第1表面111を覆っている。接続電極140は、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面と電気的に接続されている。
【0038】
磁気センサチップ110の第1表面111に沿って磁気検出素子が配置されており、上記の構成により、磁気センサパッケージ100の表面から磁気検出素子までの間隔を50μm以下まで小さくして、磁気センサパッケージ100の表面近傍の磁界に対する磁気検出精度を高くできる。
【0039】
また、磁気センサパッケージ100が基板に実装された際、基板との接続箇所である接続電極140から柱状電極130および接続配線層120を通じて磁気検出素子に応力が伝達されるため、接続電極140から磁気検出素子までの応力の伝達経路を長くすることができ、ひいては、磁気検出素子に伝達される応力を低減して高い磁気検出精度を維持することができる。
【0040】
さらに、柱状電極130を磁気センサチップ110の外側に配置しているため、柱状電極130を流れる電流によって柱状電極130の周囲に発生する磁界が、磁気検出素子に作用することを抑制することができる。これによっても、磁気センサパッケージ100は、高い磁気検出精度を維持することができる。
【0041】
本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージ100においては、絶縁層150および接続配線層120は、プリント配線板から形成されている。これにより、簡易な製造方法によって磁気センサパッケージ100を製造することが可能となる。
【0042】
本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージ100においては、磁気センサチップ110の第2表面113は、研削面であり、モールド樹脂部160から露出している。これにより、磁気センサパッケージ100を薄型化することができる。
【0043】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージについて図を参照して説明する。本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージは、絶縁層が薄膜で構成されている点が主に、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージ100と異なるため、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージ100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0044】
図12は、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
図13は、
図12の磁気センサパッケージを矢印XIII方向から見た平面図である。
図14は、
図12の磁気センサパッケージを矢印XIV方向から見た底面図である。
図13においては、絶縁層を透視して図示している。
【0045】
図12~
図14に示すように、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージ200は、磁気センサチップ110と、接続配線層120と、柱状電極130と、絶縁層250と、接続電極140とを備える。
【0046】
接続配線層120は、磁気センサチップ110の第1表面111上から第1表面111に沿いつつ磁気センサチップ110の縁の外側まで延在している。磁気センサチップ110の接続端子112と接続配線層120とは、互いに直接接続されている。
【0047】
絶縁層250は、接続配線層120の磁気センサチップ側の面とは反対側の面と接しつつ、磁気センサチップ110の第1表面111を覆っている。絶縁層250は、接続配線層120の磁気センサチップ側の面とは反対側の面の全体を覆っている。絶縁層250の磁気センサチップ側の面と第1表面111とは、互いに直接接触している。第1表面111上に位置する絶縁層150の厚みの寸法は、10μm以下である。
【0048】
磁気センサパッケージの表面となる、絶縁層250の磁気センサチップ側とは反対側の面と、磁気検出素子との間隔は、20μm以下である。本実施の形態においては、磁気センサチップ110の全体が、モールド樹脂部160に埋め込まれている。
【0049】
以下、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージ200の製造方法について説明する。
【0050】
図15は、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートが設けられた支持基板上に磁気センサチップおよび柱状電極を実装した状態を示す縦断面図である。
図15に示すように、接着シート291が設けられた支持基板290上に磁気センサチップ110および柱状電極130を実装する。磁気センサチップ110の第1表面111は、接着シート291と直接接触している。なお、柱状電極130は、接着シート291上にめっきすることで形成してもよい。
【0051】
図16は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサパッケージの製造方法において、支持基板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
図16に示すように、支持基板290上の磁気センサチップ110および柱状電極130をモールド樹脂部160内に埋め込む。柱状電極130の支持基板側とは反対側の端面は、露出している。柱状電極130の端面を露出させる方法として、柱状電極130の端面が露出する厚みとなるようにモールド樹脂部160を成型してもよいし、柱状電極130がモールド樹脂部160に埋め込まれるように成型した後、モールド樹脂部160を研削することにより、柱状電極130の端面を露出させてもよい。
【0052】
図17は、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートを剥離させて支持基板を取り外した後、接続配線層および絶縁層を形成した状態を示す縦断面図である。
図17に示すように、接着シート291を剥離させて支持基板290を取り外した後、磁気センサチップ110の接続端子112および柱状電極130の各々と接続配線層120が電気的に接続されるように、スパッタリング法または蒸着法などによって成膜し、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることにより、接続配線層120を形成する。さらに、磁気センサチップ110の第1表面111および接続配線層120を覆うように絶縁層250をスパッタリング法または蒸着法などによって成膜する。絶縁層250は、SiO
2またはSiNなどで構成されている。
【0053】
図18は、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
図18に示すように、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面上に、めっき法、蒸着法または印刷法によって、接続電極140を形成する。最後にダイシングなどによって個片化することにより、
図12に示す磁気センサパッケージ200を製造することができる。
【0054】
本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージ200においては、絶縁層250は、厚みが10μm以下の薄膜で構成されているため、磁気センサパッケージ100の表面から磁気検出素子までの間隔を20μm以下まで小さくして、磁気センサパッケージ200の表面近傍の磁界に対する磁気検出精度を高くできる。
【0055】
また、磁気センサパッケージ200が基板に実装された際、基板との接続箇所である接続電極140から柱状電極130および接続配線層120を通じて磁気検出素子に応力が伝達されるため、接続電極140から磁気検出素子までの応力の伝達経路を長くすることができ、ひいては、磁気検出素子に伝達される応力を低減して高い磁気検出精度を維持することができる。
【0056】
さらに、柱状電極130を磁気センサチップ110の外側に配置しているため、柱状電極130を流れる電流によって柱状電極130の周囲に発生する磁界が、磁気検出素子に作用することを抑制することができる。これによっても、磁気センサパッケージ200は、高い磁気検出精度を維持することができる。
【0057】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージについて図を参照して説明する。本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージは、磁気センサチップの第2表面が研削面である点が、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージ200と異なるため、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージ200と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0058】
図19は、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
図19に示すように、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージ300においては、第2表面113のみモールド樹脂部160に覆われておらず露出している。第2表面113は、研削された研削面である。
【0059】
以下、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージ300の製造方法について説明する。
【0060】
図20は、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートが設けられた支持基板上に磁気センサチップおよび柱状電極を実装した状態を示す縦断面図である。
図20に示すように、接着シート291が設けられた支持基板290上に磁気センサチップ110および柱状電極130を実装する。磁気センサチップ110の第1表面111は、接着シート291と直接接触している。なお、柱状電極130は、接着シート291上にめっきすることで形成してもよい。
【0061】
図21は、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、支持基板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
図21に示すように、支持基板290上の磁気センサチップ110および柱状電極130をモールド樹脂部160内に埋め込む。
【0062】
図22は、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、モールド樹脂部を磁気センサチップおよび柱状電極とともに研削した状態を示す縦断面図である。
図22に示すように、モールド樹脂部160を絶縁層側とは反対側から研削するとともに、磁気センサチップ110および柱状電極130の各々の絶縁層側とは反対側も研削することにより、磁気センサチップ110の第2表面113および柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面の各々を露出させる。
【0063】
図23は、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートを剥離させて支持基板を取り外した後、接続配線層および絶縁層を形成した状態を示す縦断面図である。
図23に示すように、接着シート291を剥離させて支持基板290を取り外した後、磁気センサチップ110の接続端子112および柱状電極130の各々と電気的に接続されるように接続配線層120をスパッタリング法または蒸着法などによって成膜し、フォトリソグラフィ法によってパターニングする。さらに、磁気センサチップ110の第1表面111および接続配線層120を覆うように絶縁層250をスパッタリング法または蒸着法などによって成膜する。
【0064】
図24は、本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
図24に示すように、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面上に、めっき法、蒸着法または印刷法によって、接続電極140を形成する。最後にダイシングなどによって個片化することにより、
図19に示す磁気センサパッケージ300を製造することができる。
【0065】
本発明の実施の形態3に係る磁気センサパッケージ300においては、磁気センサチップ110の第2表面113は、研削面であり、モールド樹脂部160から露出している。これにより、磁気センサパッケージ300を薄型化することができる。
【0066】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージについて図を参照して説明する。本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージは、柱状電極と接続電極との間に延長配線層が設けられている点が主に、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージ200と異なるため、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージ200と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0067】
図25は、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの構成を示す断面図である。
図26は、
図25の磁気センサパッケージを矢印XXVI方向から見た底面図である。
【0068】
図25および
図26に示すように、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージ400は、磁気センサチップ110と、接続配線層120と、柱状電極130と、絶縁層250と、接続電極140と、延長配線層420とを備える。
【0069】
延長配線層420は、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面および接続電極140の各々と電気的に接続され、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面に沿う方向に延在している。延長配線層420は、モールド樹脂部160の絶縁層側とは反対側の表面に沿って延在している。柱状電極130と接続電極140とは、延長配線層420を介して互いに電気的に接続されている。
【0070】
以下、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージ400の製造方法について説明する。
【0071】
図27は、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートが設けられた支持基板上に磁気センサチップおよび柱状電極を実装した状態を示す縦断面図である。
図27に示すように、接着シート291が設けられた支持基板290上に磁気センサチップ110および柱状電極130を実装する。磁気センサチップ110の第1表面111は、接着シート291と直接接触している。なお、柱状電極130は、接着シート291上にめっきすることで形成してもよい。
【0072】
図28は、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、支持基板上を樹脂モールドした状態を示す縦断面図である。
図28に示すように、支持基板290上の磁気センサチップ110および柱状電極130をモールド樹脂部160内に埋め込む。柱状電極130の支持基板側とは反対側の端面は、露出している。本実施の形態においては、磁気センサチップ110の全体が、モールド樹脂部160に埋め込まれている。
【0073】
図29は、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、接着シートを剥離させて支持基板を取り外した後、接続配線層および絶縁層を形成した状態を示す縦断面図である。
図29に示すように、接着シート291を剥離させて支持基板290を取り外した後、磁気センサチップ110の接続端子112および柱状電極130の各々と電気的に接続されるように接続配線層120をスパッタリング法または蒸着法などによって成膜し、フォトリソグラフィ法によってパターニングする。さらに、磁気センサチップ110の第1表面111および接続配線層120を覆うように絶縁層250をスパッタリング法または蒸着法などによって成膜する。
【0074】
図30は、本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージの製造方法において、柱状電極の接続配線層側とは反対側の端面上に延長配線層を形成した状態を示す縦断面図である。
図30に示すように、柱状電極130と延長配線層420が電気的に接続されるように、スパッタリング法または蒸着法などによって成膜し、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることにより、延長配線層420を形成する。
【0075】
図31は、本発明の実施の形態2に係る磁気センサパッケージの製造方法において、延長配線層上に接続電極を形成した状態を示す縦断面図である。
図31に示すように、延長配線層420上に、めっき法、蒸着法または印刷法によって、接続電極140を形成する。最後にダイシングなどによって個片化することにより、
図25に示す磁気センサパッケージ400を製造することができる。
【0076】
本発明の実施の形態4に係る磁気センサパッケージ400においては、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面および接続電極140の各々と電気的に接続され、柱状電極130の接続配線層側とは反対側の端面に沿う方向に延在している延長配線層420をさらに備える。
【0077】
これにより、磁気センサパッケージ400が基板に実装された際、基板との接続箇所である接続電極140から延長配線層420、柱状電極130および接続配線層120を通じて磁気検出素子に応力が伝達されるため、接続電極140から磁気検出素子までの応力の伝達経路を長くすることができ、ひいては、磁気検出素子に伝達される応力を低減して高い磁気検出精度を維持することができる。
【0078】
また、柱状電極130と接続電極140とは、延長配線層420を介して互いに電気的に接続されているため、延長配線層420の配置に応じて接続電極140の形成位置を調整することが可能となり、接続電極140の形成位置の自由度を高くすることができる。
【0079】
上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
100,200,300,400 磁気センサパッケージ、110 磁気センサチップ、111 第1表面、112 接続端子、113 第2表面、120 接続配線層、130 柱状電極、140 接続電極、150,250 絶縁層、160 モールド樹脂部、170,190 ソルダーレジスト、180 接続導体、290 支持基板、291 接着シート、420 延長配線層、2018 特開、GND 接地端子、R1 可変抵抗、R2 固定抵抗、V+ 第1出力端子、V- 第2出力端子、Vcc 電源端子。