(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】代理申請サーバ装置、代理申請システム、代理申請方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240611BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2022561743
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2020042006
(87)【国際公開番号】W WO2022102003
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】野崎 哲央
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩史
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136682(JP,A)
【文献】特開2001-283144(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0080423(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段で受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する判定要求手段と、
前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する結果受信手段と、
前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する申請手段と、
を備えた代理申請サーバ装置。
【請求項2】
前記申請要求は、前記手続きの内容と前記利用者の属性と前記手続対象者の属性とを含む、
請求項1に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項3】
前記判定要求手段は、前記判定要求の要否を前記申請要求に基づき判定し、前記判定要求が必要である場合、前記判定要求を前記行政システムに送信し、前記判定要求が必要でない場合、前記判定要求を実行せず、前記申請手段に前記申請要求の送信を実行させる、
請求項2に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項4】
前記行政システムは、複数の行政機関それぞれの個別のシステムである複数の個別システムを含み、
前記判定要求手段は、前記判定要求の要否及び送信先とする前記個別システムを前記申請要求に基づき判定し、前記判定要求が必要である場合、前記判定要求を前記送信先とする前記個別システムに送信し、前記判定要求が必要でない場合、前記判定要求を実行せず、前記申請手段に前記申請要求の送信を実行させる、
請求項2に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項5】
前記属性は、前記利用者が前記手続対象者の親権者である情報、未成年後見人である情報、成年後見人である情報のいずれかを含み、
前記判定要求手段は、前記申請要求に基づき前記利用者が前記手続対象者の親権者、未成年後見人、成年後見人のいずれかであるか否かを判定し、前記手続対象者の親権者、未成年後見人、成年後見人のいずれかである場合に、前記判定要求を実行せず、前記申請手段に前記申請要求の送信を実行させる、
請求項2~4のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項6】
前記申請要求は、前記利用者が予め前記手続きについて前記手続対象者から代理申請の同意を得ていることを前記行政システムに登録済みである又は登録することを示す同意情報を含み、
前記判定要求手段は、前記申請要求に前記同意情報が含まれる場合、前記判定要求を実行せず、前記申請手段に前記申請要求の送信を実行させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項7】
前記判定要求手段は、前記判定要求のほかに、前記利用者と前記手続対象者との関係性を示す情報である関係情報を前記行政システムに要求し、
前記申請手段は、前記判定要求に対する応答として前記正規申請者であると確認された場合でも、前記行政システムからの応答として受信した前記関係情報が所定条件を満たす場合には、前記申請要求を前記行政システムに送信しない、
請求項1~6のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項8】
前記行政システムは、複数の行政機関それぞれの個別のシステムである複数の個別システムを含み、
前記判定要求手段は、前記関係情報の要求先とする前記個別システムを前記申請要求に基づき判定し、判定した前記要求先とする前記個別システムに前記関係情報を要求する、
請求項7に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項9】
前記判定要求手段での判定に用いる、前記正規申請者の定義を設定する設定手段をさらに備えた、
請求項1~8のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置と、前記端末装置と、前記行政システムと、を備えた代理申請システム。
【請求項11】
コンピュータが、利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する要求受信ステップと、
前記コンピュータが、前記要求受信ステップで受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する判定要求ステップと、
前記コンピュータが、前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する結果受信ステップと、
前記コンピュータが、前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する申請ステップと、
を備えた代理申請方法。
【請求項12】
コンピュータに、
利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する要求受信ステップと、
前記要求受信ステップで受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する判定要求ステップと、
前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する結果受信ステップと、
前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する申請ステップと、
を実行させるためのプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、代理申請サーバ装置、代理申請システム、代理申請方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
市町村の役所での手続きの申請に関し、特許文献1には、窓口における複雑な手続を介することなく、住民票等を必要とする者が直接的にこれらの証明書を取得することができる証明書発行システムが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、個別の処理部門での手続者の待ち時間を短縮することを目的とし、総合窓口の端末とサーバと複数の処理装置とを備えた行政システムが記載されている。特許文献2に記載のサーバでは、総合窓口の端末から、申請者のライフイベントと、該ライフイベントに応じた登録情報の入力がなされる場合に、ライフイベントと関連する1又は複数の手続きとの対応関係を記憶する記憶部を参照する。このサーバでは、この参照により、入力された申請者のライフイベントと関連づけられた手続きを特定し、特定した該手続きを処理する処理装置に対して、入力された申請者の登録情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-284261号公報
【文献】特開2015-046129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載のシステムでは、家族に関する手続きを代理で申請することは可能であるものの、特許文献1,2に記載のシステムはそれぞれ、市町村の役所等の行政機関に出向いて手続きを行うシステム、職員向けのシステムとして構築されたものである。よって、利用者が行政機関に出向かなくても家族に関する手続きを代理で申請することが可能なシステムが求められる。
【0006】
本開示の目的は、利用者が行政機関やその窓口に出向かなくても、家族に関する手続きを代理で申請することが可能な代理申請サーバ装置、代理申請システム、代理申請方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様に係る代理申請サーバ装置は、要求受信手段(要求受信部)、判定要求手段(判定要求部)、結果受信手段(結果受信部)、及び申請手段(申請部)を備える。前記要求受信手段は、利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する。前記判定要求手段は、判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する。前記判定要求は、前記要求受信手段で受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する要求である。前記結果受信手段は、前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する。前記申請手段は、前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する。
【0008】
本開示の第2の態様に係る代理申請方法は、要求受信ステップ、判定要求ステップ、結果受信ステップ、及び申請ステップを備える。前記要求受信ステップは、コンピュータが、利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する。前記判定要求ステップは、前記コンピュータが、判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する。前記判定要求は、前記要求受信ステップで受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する要求である。前記結果受信ステップは、前記コンピュータが、前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する。前記申請ステップは、前記コンピュータが、前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する。
【0009】
本開示の第3の態様に係る非一時的なコンピュータ可読媒体は、コンピュータに、要求受信ステップ、判定要求ステップ、結果受信ステップ、及び申請ステップを実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。前記要求受信ステップは、利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する。前記判定要求ステップは、判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する。前記判定要求は、前記要求受信ステップで受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する要求である。前記結果受信ステップは、前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する。前記申請ステップは、前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、利用者が行政機関やその窓口に出向かなくても、家族に関する手続きを代理で申請することが可能な代理申請サーバ装置、代理申請システム、代理申請方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る代理申請サーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の代理申請サーバ装置における一処理例を説明するためのフロー図である。
【
図3】実施形態2に係る代理申請サーバ装置を備えた代理申請システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態2に係る代理申請サーバ装置を備えた代理申請システムの他の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図4の代理申請サーバ装置における一処理例を説明するためのフロー図である。
【
図6】
図4の端末装置における申請時の表示画像の一例を示す図である。
【
図7】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、実施形態において、同一又は同等の要素には、同一の符号を付すことがあり、重複する説明は適宜省略される。
【0013】
<実施形態1>
実施形態1について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、実施形態1に係る代理申請サーバ装置の一構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る代理申請サーバ装置(以下、代理申請サーバ)1は、要求受信部1a、判定要求部1b、結果受信部1c、及び申請部1dを備えることができる。
【0015】
要求受信部1aは、利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する。ここでの親族は、その国の法律上の親族を指す。日本国では民法上の親族を指す。即ち、親族は六親等内の血族及び配偶者と、三親等内の姻族とを含むことができる。
【0016】
行政機関は、国、地方公共団体などのいずれの行政機関であってもよく、また手続きの種類も問わない。なお、端末装置の利用者は、代理申請サーバ1へのログインのためのアカウント情報や端末機器情報などを用いて特定することができる。ログインには任意の方法を用いることができ、例えばIDとパスワードを使った認証や、指紋、顔画像、虹彩静脈等を用いた生体認証などであってもよい。
【0017】
判定要求部1bは、判定要求を、行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する。ここで用いられるネットワークは、端末装置との接続のためのネットワークとは基本的に異なるネットワークとすることができ、よりセキュリティレベルの高いネットワークとすることができる。
【0018】
上記判定要求は、要求受信部1aで受信した申請要求について、利用者が手続対象者について上記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する要求である。この判定は、受信した申請要求に含まれる情報のうち正規申請者であるかの判定に必要な情報、例えば利用者と手続対象者(親族)との関係及び手続きの内容に基づき、行政システムで実施される。
【0019】
結果受信部1cは、上記判定要求への応答として行政システムから判定結果を受信する。申請部1dは、上記判定結果が正規申請者であることを示している場合、行政システムに上記申請要求を送信する。正規申請者でない場合には、エラーを端末装置に返すなどすればよい。
【0020】
なお、申請部1dで送信される申請要求は、端末装置から受信した申請要求そのものとすることができるが、そのものでなくてもよく、不要な情報は削除され、場合によっては必要な情報が補填されることもできる。
【0021】
このように、本実施形態に係る代理申請サーバ1は、オンラインで利用者から当該利用者の親族に関する手続きの申請を受け付け、当該利用者と手続きが申請された親族について代理申請が可能か否かの判定を外部システムである行政システムに要求する。そして、代理申請サーバ1は、その判定結果を受信して、その判定結果に応じて上記親族に関する手続きを認め、その行政システムに対して上記申請要求を送信することで上記手続きの申請を行う。
【0022】
つまり、本実施形態では、利用者が代理申請の正規申請者か否かの判定を、その利用者自身が行政機関に出向く必要なく、オンライン操作を行うだけで代理申請サーバ1が代行し、続く手続きの申請自体も代理申請サーバ1が代行することになる。
【0023】
なお、上記申請要求に対して行政システムは、対応する手続きを遂行し、その手続きが文書を発行するものであれば、郵送するか、或いは電子データとして代理申請サーバ1に返信されることができる。
【0024】
代理申請サーバ1は、その全体を制御する制御部(図示せず)を備えることができる。その制御部は要求受信部1a、判定要求部1b、結果受信部1c、及び申請部1dを有することができる。例えば、代理申請サーバ1は、この制御部が別途設けられた通信インタフェース等の通信部と協働して、各部1a~1dの処理を実行するように構成することができる。この制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、作業用メモリ、及び制御用のプログラムを記憶した不揮発性の記憶装置などによって実現することができる。このプログラムはCPUを各部1a~1dの一部又は全部として機能させるためのプログラムとすることができる。また、この制御部はIC(Integrated Circuit)を含んで構成することができる。
【0025】
また、代理申請サーバ装置1は、単体の装置として構成することができるが、各機能を分散したような分散システムとして構築することもできる。また、本実施形態では、上述した代理申請サーバ1、端末装置、及び行政システムを備えた代理申請システムを構築することができる。
【0026】
次に、
図2を参照しながら代理申請サーバ1の処理例について説明する。
図2は、代理申請サーバ1の一処理例を説明するためのフロー図である。
【0027】
まず、要求受信部1aが、利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、その利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する(ステップS1)。次いで、判定要求部1bが、判定要求を、行政システムにネットワークを介して送信する(ステップS2)。上記判定要求は、要求受信部1aで受信した申請要求について、その利用者がその手続対象者について上記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する要求である。
【0028】
次いで、結果受信部1cが、上記判定要求への応答として上記行政システムから判定結果を受信する(ステップS3)。そして、申請部1dが、上記判定結果が正規申請者であることを示している場合、上記行政システムに上記申請要求を送信し(ステップS4)、処理を終了する。
【0029】
なお、ステップS1、S2、S3、S4はそれぞれ要求受信ステップ、判定要求ステップ、結果受信ステップ、申請ステップと称することができ、本開示はこれらのステップを備えた代理申請方法を含む。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、利用者が行政機関やその窓口に出向かなくてもオンラインで、家族(子供、親等)に関する手続きを代理で申請することが可能になる。
【0031】
<実施形態2>
実施形態2について、
図3~
図6を参照しながら実施形態1との相違点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例や効果が適用できる。
図3は、実施形態2に係る代理申請サーバ装置を備えた代理申請システムの一構成例を示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように、本実施形態に係る代理申請システム(以下、本システム)は、代理申請サーバ1の一例である代理申請サーバ装置(代理申請サーバ)10と、それにネットワークN1を介して接続された行政システム20と、を備える。行政システム20は、手続きの処理や個人情報の管理などを行う行政サーバを備えることができる。
【0033】
さらに、本システムでは、代理申請サーバ10はネットワークN2を介して、利用者が使用する端末装置30と接続可能になっており、代理申請を行いたい任意の利用者が自身の端末装置30を用いて代理申請を依頼することになる。
【0034】
なお、実施形態1で説明したように、端末装置30の利用者は、代理申請サーバ10へのログインのためのアカウント情報や端末機器情報などを用いて特定することができる。また、本システムは、このように利用者の特定が可能であるため、代理申請に関して手続きに必要な料金(行政機関へ支払う料金)も請求可能な電子決済システムに接続しておけばその料金も端末装置30で請求することができる。また、本システムは、電子決済システムに接続しておくことで、代理申請サーバ10を運営する企業が代行料金を課金することもできる。
【0035】
代理申請サーバ10は、要求受信処理部11、判定要求処理部12、結果受信処理部13、申請処理部14、第1通信部15、及び第2通信部16を備えることができる。第1通信部15、第2通信部16は、それぞれネットワークN1、ネットワークN2に接続して通信を行うための通信インタフェースとすることができる。
【0036】
要求受信処理部11及び第2通信部16は、要求受信部1aの一例であり、端末装置30からネットワークN2を介して、その利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する。なお、要求受信処理部11は第2通信部16を介してこのような通信を行うが、以下では要求受信処理部11が通信を行うものとして説明する。
【0037】
手続きとしては、給付金(特別定額給付金等)の申請、身体障害者申請、児童手当申請、国民健康保険申請、国民年金申請、後期高齢者医療申請、埋火葬申請、転入、転居、転出、出生、死亡、世帯主変更などの様々な手続きが挙げられる。また、手続きとしては、転入に伴う小中学校の調整を行う手続き、税金の相続人の代表者を指定する手続きなども挙げられる。無論、本システムは、対応させる手続きを一部に限って構築することもできる。なお、申請要求は、代理申請がどのような関係性でも認められていないような手続きについてのものも一旦受け付けるように構成することができるが、その場合にはエラーを端末装置30に返すなどすればよい。
【0038】
例えば、端末装置30は、利用者の操作に従い、代理申請サーバ10が提供する手続きの申請要求の代行を依頼するサイトから自身の氏名、手続対象者の氏名、手続きの内容など必要事項を受け付け、代理申請サーバ10に送信する。代理申請サーバ10は上記申請要求としてこれを受信すればよい。
【0039】
判定要求処理部12及び第1通信部15は、判定要求部1bの一例であり、ネットワークN1を介して判定要求を行政システム20に送信する。上記判定要求は、要求受信処理部11で受信した申請要求について、その利用者がその手続対象者について上記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する要求である。なお、判定要求処理部12は第1通信部15を介してこのような通信を行うが、以下では判定要求処理部12が通信を行うものとして説明する。なお、結果受信処理部13や申請処理部14についても同様である。
【0040】
結果受信処理部13及び第1通信部15は、結果受信部1cの一例であり、ネットワークN1を介して、上記判定要求への応答として判定結果を行政システム20から受信する。申請処理部14及び第1通信部15は、申請部1dの一例であり、上記判定結果が正規申請者であることを示している場合、ネットワークN1を介して申請要求を行政システム20に送信する。
【0041】
また、申請要求は、手続きの内容と利用者の属性と手続対象者の属性とを含むことが好ましい。例えば、申請要求は、手続きの内容と利用者の世帯における属性(世帯での続柄、扶養の有無等)と手続対象者の上記世帯における属性(上記世帯での続柄、扶養の有無等)とを含むことができる。他の属性に関しては後述する。
【0042】
手続対象者の世帯の続柄として利用者の世帯についての続柄として含んだ例を挙げているのは、利用者の世帯と同一か否か(非同一世帯)を確認できる情報としておくとよいためである。手続きによっては、同一世帯のみ代理申請が可能である手続きや扶養の関係にある場合にのみ代理申請が可能である手続きも存在するためである。なお、利用者と手続対象者とは、両者が非同居の場合など異なる世帯間でも扶養者と被扶養者の関係となることがある。また、同一世帯か否かは、利用者と手続対象者についての住所又は居所を申請要求に含めることでも判定することができる。なお、同一世帯の定義自体は、手続きの内容、例えばどの行政機関に対する手続きであるのかなどによって変わることがある。
【0043】
このように、申請要求に手続きの内容だけでなく世帯の属性を含めることで、本システムでは、行政システム20(例えば住民記録システム)において同一世帯であるかの判定や扶養の有無の判定が可能となる。無論、行政システム20は、住民記録システムに限ったものではなく、例えば、自治体の住民情報システムなどの、個人番号制度に関する特定個人を扱う事務のシステム国民の情報を扱う任意のシステムとすることができる。
【0044】
よって、本システムでは、オンラインで利用者から当該利用者の親族に関する手続きの申請を受け付け、当該利用者と手続きが申請された親族が同一世帯の住民か否かの判定を行政システム20に依頼し、その判定結果を得ることができる。そして、本システムでは、その判定結果に応じて上記親族に関する手続きを認め、その行政システム20に対して申請要求を送信することで上記手続きの申請を行う。
【0045】
また、行政システム20では、世帯情報等の個人情報を利用することに関する同意が予め得られた利用者について、個人情報を利用することができるようにすることが好ましい。この場合、個人情報の利用に同意した利用者又は利用者及び手続対象者については、世帯判定等の、判定要求に応じた判定を行う。換言すれば、行政システム20では、個人情報を利用することに同意していない利用者に関する判定は失敗し、その場合には、判定結果として失敗したことが代理申請サーバ10に返信されることになる。
【0046】
また、判定要求処理部12は、判定要求の要否を受信した申請要求に基づき判定し、判定要求が必要である場合、判定要求を行政システム20に送信することが好ましい。判定は、上述した手続きの内容と利用者の世帯における属性(世帯での続柄、扶養の有無等)と手続対象者の上記世帯における属性(上記世帯での続柄、扶養の有無等)に基づき実行することができる。この判定は、法律に従うように実行することができる。
【0047】
また、判定要求処理部12は、判定要求が必要でない場合、判定要求を実行せず、申請処理部14に申請要求の送信を実行させることになる。これにより、行政システム20での判定が不要な申請要求について、行政システム20への判定要求を送信しないため、ネットワーク負荷を下げることができる。
【0048】
さらに、代理申請サーバ1は、判定要求処理部12での判定に用いる、正規申請者の定義を設定する設定部17をさらに備えることが好ましい。設定部17は、より単純な例として、同意が必要な代理申請手続きを設定可能にしておけばよい。また、設定部17は、判定要求処理部12での判定に用いる、利用者及び手続対象者の間の世帯上の関係性と代理申請に同意が必要な手続きの内容との対応関係を設定することもできる。
【0049】
ここで、代理申請の同意は、法律上の同意が必要な代理申請に限ることができるが、将来の法律改正により行政のロジックが変わることがあるため、設定部17を備えることは有益となる。その他、手続きの内容、同一世帯の定義や他の用語の定義なども、法律の改定によっても変わる可能性がある。そして、それによって正規申請者の定義(同意が必要な場合には同意が得られている場合が正規申請者に該当することになる)も変わる可能性があるため、このような設定部17を備えることは法律の改定に対応できるため有益である。
【0050】
次に、
図4を参照しながら、本実施形態に係る代理申請システムの他の構成例について説明する。
図4は、本実施形態に係る代理申請サーバを備えた代理申請システムの他の構成例を示すブロック図である。
【0051】
図4に示すように、本システムは、他の構成例として、ネットワークN1に複数のシステム(個別システム)を接続しておくことができ、代理申請サーバ10を複数の個別システムに対応させた代理申請サーバ10aを備えることができる。
【0052】
つまり、
図3の行政システム20は、複数の行政機関それぞれの個別のシステムである複数の個別システムを含むことができる。複数の個別システムとして、ここでは、住民記録システム21、税(国税以外)システム22、福祉システム23、国民健康保険システム24、選挙システム25、国税システム26を備えた例を挙げる。但し、個別システムの取捨選択は本システムに対応させる手続きに応じて設計しておけばよい。各個別システムはサーバを有することができる。
【0053】
ここで例示した個別システム21~26の間には、例えばマイナンバー制度の個人番号(マイナンバー)を共通として利用しているものの、互いにアクセス制限があることがある。そのため、代理申請サーバ10aが個別システム21~26のそれぞれと必要なやりとりを行うことで、スムーズに代理申請処理を進めるようにする。
【0054】
具体的には、判定要求処理部12は、判定要求の要否及び送信先とする個別システムを申請要求に基づき判定し、判定要求が必要である場合、判定要求を送信先とする個別システムに送信する。判定要求処理部12は、判定要求が必要でない場合、判定要求を実行せず、申請処理部14に申請要求の送信を実行させる。
【0055】
ここでの判定も、上述した手続きの内容と利用者の世帯における属性(世帯での続柄、扶養の有無等)と手続対象者の上記世帯における属性(上記世帯での続柄、扶養の有無等)に基づき実行することができる。この判定は、法律に従うように、つまり判定可能な情報を管理する行政機関の個別システムが送信先となるように、実行することができる。
【0056】
特に、複数の個別システムに対応させることで、情報の確認を必要な行政機関に行うことができる。実際、上述のように各行政機関の間での情報のやりとりについてはアクセス制限があることが多いため、有益である。また、複数の個別システムに対応させることで、利用者にとって自身が代理申請の正規申請者か否かの判定を行政機関に直接依頼する必要がなく、代理申請サーバ10aがその判定を代行することができる。よって、利用者が手続き先の行政機関だけでなく複数の行政機関に確認等のために出向く必要があるような手続きでもオンラインで手続きができ、有益である。
【0057】
また、申請要求は、判定要求処理部12は、申請要求に基づき利用者が手続対象者の親権者、未成年後見人、成年後見人のいずれかであるか否かを判定することもできる。但し、そのためには、申請要求に含まれる属性が、利用者が手続対象者の親権者である情報、未成年後見人である情報、成年後見人である情報のいずれかを含む必要がある。無論、過去に同様の申請があった場合には、その情報を代理申請サーバ10aの図示しない記憶部に格納しておき、参照することもできる。
【0058】
そして、判定要求処理部12は、手続対象者の親権者、未成年後見人、成年後見人のいずれかである場合に、判定要求を実行せず、申請処理部14に申請要求の送信を実行させるとよい。利用者と手続対象者とのこのような条件は、代理申請の同意が基本的に必要のない条件であるため、代理申請サーバ10aは判定要求を経ることなく、申請要求を行うことができ、ネットワーク負荷を下げることができる。但し、手続きによってはそれらの3つの関係に該当しても代理申請ができない手続きについては、このような処理を行わないようにしておくとよい。
【0059】
また、申請要求は、利用者が予め手続きについて手続対象者から代理申請の同意を得ていることを行政システム20に登録済みである又は登録することを示す同意情報を含むことができる。前者の、登録済みであることを示す同意情報は、登録済みであることを記した情報であればよい。後者の、登録することを示す同意情報は、同意を記した同意文書のファイルとすることができる。
【0060】
そして、判定要求処理部12は、申請要求に同意情報が含まれる場合、判定要求を実行せず、申請処理部14に申請要求の送信を実行させる。無論、前者の、登録済みであることを示す同意情報が申請要求に含まれている場合には、判定要求処理部12は判定要求を実行することもできる。その場合には、行政システム20が同意の登録があるため、正規申請者である旨の判定結果を返すことになる。
【0061】
また、同意情報は、全ての代理申請に同意、特定種類のものについて選択的に代理申請に同意、申請対象の手続きだけ同意など、複数の種類があり、これらの種類のそれぞれに対応して判定要求を実行するか否かを決定することが好ましい。特に同意する種類の情報は、代理申請サーバ10aの図示しない記憶部に格納しておくことで、次回からそれを参照して、判定要求を実行するか否かを決定することができるため、有益となる。
【0062】
また、このような同意する種類の情報は、利用者が手続対象者の親権者、未成年後見人、成年後見人のいずれかであることを示す情報として利用することができ、逆に後者の情報を前者の情報として利用することもできる。
【0063】
また、判定要求処理部12は、判定要求のほかに、利用者と手続対象者との関係性を示す情報である関係情報を行政システム20に要求することもできる。そして、申請処理部14は、判定要求に対する応答として正規申請者であると確認された場合でも、行政システム20からの応答として受信した関係情報が所定条件を満たす場合には、申請要求を行政システム20に送信しないようにする。
【0064】
ここで、所定条件を満たすとは、関係情報が例えば利用者が手続対象者に対してDV(Domestic Violence)を行っていることを示す情報である場合などが該当する。無論、このような関係情報を個別システム(又は行政システム20)に要求しなくても、判定要求によって正規申請者ではないと判定されてその結果を代理申請サーバ10a(又は代理申請サーバ10)が受けることは可能である。
【0065】
また、関係情報を取得する例においては、判定要求処理部12は、関係情報の要求先とする個別システムを申請要求に基づき判定し、判定した要求先とする個別システムに前記関係情報を要求すればよい。所定条件を満たす場合について、関係情報が例えば利用者が手続対象者に対してDVを行っていることを示す情報である場合を例示したが、本システムを個別システムに接続しておくことで次のような効果を奏する。
【0066】
即ち、代理申請サーバ10aは、このような関係情報が記録されている個別システム(例えば福祉システム23)に関係情報を要求して取得しておけば、事前にDV関係にあることを知ることができる。そして、代理申請サーバ10aは、手続対象の個別システム(例えば住民記録システム21)に申請要求した場合にDV関係であることを理由に正規申請者でないと判定されることを無くすことができる。
【0067】
DV関係以外にもこのような除外条件として様々な条件が適用でき、その中には代理申請サーバ10aにおいて上記関係情報の取得を必要とせず他の情報を必要とするものもある。例えば、年収が所定金額以上である場合、或る税金(例えば固定資産税)を滞納している場合などには、次のように処理することができる。即ち、代理申請サーバ10aが利用者及び/又は手続対象者の情報を要求して取得することで、特定の手続き(例えば給付金の請求手続き)の代理申請について申請要求を行わないようにすることもできる。また、選挙で投票していない人に対しては、或る特定の手続きの代理申請については申請要求を行わないようにすることもできる。
【0068】
また、利用者の属性や手続対象者の属性について一部の例を挙げたが、それも含め、例えば以下のような様々な属性の1又は複数とすることができ、様々な属性の1又は複数の組み合わせに基づき、判定要求の要否を決定することができる。また、代理申請が可能か否かも行政システム20又は個別システムで、法律に則り様々な属性の1又は複数の組み合わせに基づき判定されることになる。
【0069】
属性の例としては、住所、生年月日(又は年齢)、所得、家族構成(世帯の続柄を含む)、氏名、福祉の受給情報(児童手当の支給の有無、障がいの有無、生活保護の有無)、DV、扶養の有無、国民健康保険の資格の有無が挙げられる。また、属性の例としては、国保の滞納、税の滞納情報、固定資産の情報、介護の等級情報、成年後見人なども挙げられる。
【0070】
また、過去の申請について親権者等の説明で触れたが、同様の考え方は、全ての手続きについての判定要求の要否の判定に利用することができる。過去に同様の申請があった場合には、その情報(関係情報や同意情報であってもよい)を代理申請サーバ10aの図示しない記憶部に格納しておき、参照することで判定要求を経ずに済む。但し、本システムの利用開始時などに、利用者に対してそのような情報の利用についての承諾を得るようにしておくことがよい。
【0071】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、
図4の代理申請サーバ10aの処理例について説明する。
図5は、
図4の代理申請サーバ10aにおける一処理例を説明するためのフロー図である。
図6は、
図4の端末装置30における申請時の表示画像の一例を示す図である。
【0072】
まず、要求受信処理部11が、端末装置30からネットワークを介して、利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する(ステップS11)。このとき又は事前に、代理申請サーバ10aは本人確認を行うことが望ましい。例えば、申請要求は、利用者と手続対象者とのそれぞれについての、行政機関で取り扱う個人情報を含むことが望ましく、特にマイナンバーのような国で共通して使用される個人番号を含むことが望ましい。申請要求への含め方は、マイナンバーカードのICを読み取ることにより実行することもできる。いずれの場合でもマイナンバーの情報を代理申請サーバ10aで受信する場合には特にネットワークN2のセキュリティを高くしておく必要がある。
【0073】
ここで、端末装置30における申請要求の一例について説明する。端末装置30では、代理申請サーバ10aにアクセスして、表示部31に例えば
図6に示す画像32を表示させることができる。画像32は代理申請サーバ10aが提供したものである。
【0074】
画像32には必要事項が入力可能な入力欄が設けられており、利用者は入力欄に入力を行う。無論、例えば性別は選択可能に表示させておいてもよいし、手続き名も選択可能にプルダウンメニューなどで表示させておいてもよい。また、その場合、代理申請が不能な手続きについてはプルダウンメニューに表示させないことが望ましい。さらに、一旦、申請者(利用者)の情報及び手続き対象者の情報を入力した状態で、代理申請サーバ10aがそれらの情報に基づき、把握可能な範囲での代理申請可能な手続きに絞って、プルダウンメニューに表示させることもできる。無論、選択可能な表示方法はプルダウンメニューに限らず、また選択不能な手続きについては非表示の代わりに色を薄くするなどして表示させてもよい。
【0075】
そして、利用者は、最終的に代理申請ボタン33を選択することで、代理申請サーバ10a側で上記ステップS11の処理が完了する。
【0076】
ステップS11に続き、判定要求処理部12が、申請要求に基づき判定要求が必要か否かを判定する(ステップS12)。ステップS12でNOの場合には、ステップS18に進み、申請要求に含まれる手続きの対象の行政システムである個別システムに申請要求を送信し、処理を終了する。
【0077】
ステップS12でYESの場合、判定要求処理部12が判定要求の送信先の行政システム(個別システム)の判定と関係情報の要求先の行政システム(個別システム)の判定とを実行する(ステップS13)。次いで、判定要求処理部12が、判定要求及び関係情報要求を、それぞれ対応する個別システムに送信する(ステップS14)。次いで、結果受信処理部13が、上記判定要求への応答として個別システムから判定結果を受信し、上記関係情報要求への応答として個別システムから関係情報を受信する(ステップS15)。
【0078】
次いで、申請処理部14が、受信した判定結果が正規申請者であることを示しているか否かを判定し(ステップS16)、示していない場合には、エラーを端末装置30に送信するなどして処理を終了する。ステップS16でYESの場合には、申請処理部14は、関係情報から例えば利用者が手続対象者に対してDV等を行っている除外者であるか否かの判定を行い(ステップS17)、YESの場合にはエラーを端末装置30に送信するなどして処理を終了する。ステップS17でNOの場合には、申請処理部14は、申請要求に含まれる手続きの対象の個別システムに申請要求を送信し(ステップS18)、処理を終了する。なお、ステップS18の送信後は送信した旨の情報を端末装置30に返すとよい。
【0079】
このように判定要求処理部12、結果受信処理部13、及び申請処理部14は、オンライン上で利用者が対象の手続きについて手続対象者の代理をして問題ないかを確認することができ、問題なければ個別システムに申請を行うことができる。
【0080】
例えば、代理申請サーバ10aは、利用者と当該利用者が入力した手続対象者(例えば親、子供など)が同一世帯の住民か否かを判定することができる。具体的には、代理申請サーバ10aは、利用者と手続対象者の2人の氏名を住民記録システム21に判定要求に含めて送信し、これにより両者が同一世帯の住民か否かの判定を住民記録システム21に依頼する。住民記録システム21は、世帯に関する情報を保持しているため、2人が同一世帯の住民か否かを判定し、その結果を代理申請サーバ10aに送信する。代理申請サーバ10aは、その結果を受けて正規申請者であれば(この場合、2人が同一世帯であれば)、利用者の代理手続きを認め、住民記録システム21に手続きを申請する。
【0081】
ここでは処理の流れについて、世帯情報(世帯の続柄情報)を利用する例を挙げて説明したが、上述したように他の情報にも適用可能である。例えば、代理申請に用いられる情報は、世帯の続柄だけでなく、扶養の有無のような税に関連した情報やDVの申請のような情報であってもよい。つまり、代理申請が許可される条件は、世帯情報(世帯の続柄、又は世帯の続柄且つ扶養の有無など)に基づく条件だけでなく、他の属性に基づく条件であってもよい。例えば、上述したように利用者が手続対象者に対するDV申告がなされている者である場合には、当該利用者と手続対象者が同一世帯の人物でも手続きを拒否することができる。
【0082】
<他の実施形態>
各実施形態において、代理申請サーバ装置、代理申請システム、代理申請方法について説明したが、その装置構成、システム構成、処理手順等は例示したものに限らず、装置の機能や方法のステップが含まれていればよい。また、各実施形態において使用した用語(特に法律用語)については国によって異なることがあるが、各国においてはここで使用した用語に対応して用いられる用語を指すことになる。また、各実施形態で説明した各装置は、次のようなハードウェア構成を有していてもよい。
図7は、装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0083】
図7に示す装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース(I/F)103を有することができる。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。各実施形態で説明した各装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、例えば、他の装置との情報の送受はI/F103としての通信インタフェースを介して行うことができる。また、装置100への操作のための入出力はI/F103としての入出力インタフェースを介して行うことができる。
【0084】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0085】
さらに、上述した実施形態において、代理申請方法の手順を例示したように、本開示は代理申請方法としての形態も採り得る。なお、その他の例については、各実施形態で説明した通りである。また、上記プログラムは、コンピュータに(代理申請サーバ装置として機能させるコンピュータに)、上述したような代理申請方法を実行させるためのプログラムであると言える。
【0086】
なお、本開示は上記の各実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0087】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0088】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する要求受信部と、
前記要求受信部で受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する判定要求部と、
前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する結果受信部と、
前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する申請部と、
を備えた代理申請サーバ装置。
(付記2)
前記申請要求は、前記手続きの内容と前記利用者の属性と前記手続対象者の属性とを含む、
付記1に記載の代理申請サーバ装置。
(付記3)
前記判定要求部は、前記判定要求の要否を前記申請要求に基づき判定し、前記判定要求が必要である場合、前記判定要求を前記行政システムに送信し、前記判定要求が必要でない場合、前記判定要求を実行せず、前記申請部に前記申請要求の送信を実行させる、
付記2に記載の代理申請サーバ装置。
(付記4)
前記行政システムは、複数の行政機関それぞれの個別のシステムである複数の個別システムを含み、
前記判定要求部は、前記判定要求の要否及び送信先とする前記個別システムを前記申請要求に基づき判定し、前記判定要求が必要である場合、前記判定要求を前記送信先とする前記個別システムに送信し、前記判定要求が必要でない場合、前記判定要求を実行せず、前記申請部に前記申請要求の送信を実行させる、
付記2に記載の代理申請サーバ装置。
(付記5)
前記属性は、前記利用者が前記手続対象者の親権者である情報、未成年後見人である情報、成年後見人である情報のいずれかを含み、
前記判定要求部は、前記申請要求に基づき前記利用者が前記手続対象者の親権者、未成年後見人、成年後見人のいずれかであるか否かを判定し、前記手続対象者の親権者、未成年後見人、成年後見人のいずれかである場合に、前記判定要求を実行せず、前記申請部に前記申請要求の送信を実行させる、
付記2~4のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
(付記6)
前記申請要求は、前記利用者が予め前記手続きについて前記手続対象者から代理申請の同意を得ていることを前記行政システムに登録済みである又は登録することを示す同意情報を含み、
前記判定要求手段は、前記申請要求に前記同意情報が含まれる場合、前記判定要求を実行せず、前記申請手段に前記申請要求の送信を実行させる、
付記1~5のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
(付記7)
前記判定要求部は、前記判定要求のほかに、前記利用者と前記手続対象者との関係性を示す情報である関係情報を前記行政システムに要求し、
前記申請部は、前記判定要求に対する応答として前記正規申請者であると確認された場合でも、前記行政システムからの応答として受信した前記関係情報が所定条件を満たす場合には、前記申請要求を前記行政システムに送信しない、
付記1~6のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
(付記8)
前記行政システムは、複数の行政機関それぞれの個別のシステムである複数の個別システムを含み、
前記判定要求部は、前記関係情報の要求先とする前記個別システムを前記申請要求に基づき判定し、判定した前記要求先とする前記個別システムに前記関係情報を要求する、
付記7に記載の代理申請サーバ装置。
(付記9)
前記判定要求部での判定に用いる、前記正規申請者の定義を設定する設定部をさらに備えた、
付記1~8のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置。
(付記10)
付記1~9のいずれか1項に記載の代理申請サーバ装置と、前記端末装置と、前記行政システムと、を備えた代理申請システム。
(付記11)
コンピュータが、利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する要求受信ステップと、
前記コンピュータが、前記要求受信ステップで受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する判定要求ステップと、
前記コンピュータが、前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する結果受信ステップと、
前記コンピュータが、前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する申請ステップと、
を備えた代理申請方法。
(付記12)
コンピュータに、
利用者が使用する端末装置からネットワークを介して、前記利用者の親族である手続対象者についての行政機関への手続きの申請要求を受信する要求受信ステップと、
前記要求受信ステップで受信した前記申請要求について、前記利用者が前記手続対象者について前記手続きの代理申請を行うことが法律上可能な正規申請者であるか否かを判定する判定要求を、前記行政機関のシステムである行政システムにネットワークを介して送信する判定要求ステップと、
前記判定要求への応答として前記行政システムから判定結果を受信する結果受信ステップと、
前記判定結果が前記正規申請者であることを示している場合、前記行政システムに前記申請要求を送信する申請ステップと、
を実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0089】
1、10、10a 代理申請サーバ装置
1a 要求受信部
1b 判定要求部
1c 結果受信部
1d 申請部
11 要求受信処理部
12 判定要求処理部
13 結果受信処理部
14 申請処理部
15 第1通信部
16 第2通信部
20 行政システム
21 住民記録システム
22 税システム
23 福祉システム
24 国民健康保険システム
25 選挙システム
26 国税システム
30 端末装置
31 表示部
32 画像
33 代理申請ボタン
100 装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 インタフェース
N1、N2 ネットワーク