IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ いすゞ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-流体圧装置及び車両 図1
  • 特許-流体圧装置及び車両 図2
  • 特許-流体圧装置及び車両 図3
  • 特許-流体圧装置及び車両 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】流体圧装置及び車両
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
F15B11/02 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023035450
(22)【出願日】2023-03-08
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】岡 祐介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】北本 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀生
(72)【発明者】
【氏名】竹本 翔一
(72)【発明者】
【氏名】本田 拓
(72)【発明者】
【氏名】淺坂 雅史
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-051601(JP,A)
【文献】特開2015-028367(JP,A)
【文献】特開2022-159022(JP,A)
【文献】特許第7160009(JP,B2)
【文献】特許第7400915(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられており、流体を制御して前記車両の作動部を作動させる力を発生させる流体圧装置であって、
前記流体を貯留するタンクと、
前記タンクから前記流体を吸引する吸引ポート及び前記流体を吐出する複数の吐出ポートを有し、前記流体を前記複数の吐出ポートのうちの少なくとも一つから吐出するポンプと、
内部空間がピストンによって第1室と第2室とに仕切られ、前記ピストンに連結された出力軸が移動することによって前記出力軸に接続された前記作動部を作動させる複動シリンダと、
前記流体を貯留するアキュムレータと、
前記ポンプに接続された複数の通路であって、
前記複数の吐出ポートのうちの第1吐出ポートと前記アキュムレータとを接続する蓄圧通路と、
前記蓄圧通路から分岐し、前記複動シリンダの前記第1室に接続する分岐通路と、
前記ポンプから前記第2室に前記流体を供給するシリンダ通路と、
を有する、複数の通路と、
前記分岐通路に設けられた減圧弁と、
を備え、
前記減圧弁は、
前記出力軸を第1方向に移動させる場合、前記アキュムレータから前記第1室に向かって流れる前記流体を減圧して前記流体を前記第1室に流出させ、
前記出力軸を第2方向に移動させる場合、前記第1室から流入する前記流体を前記タンク内に排出し、
前記ポンプは、
前記出力軸を前記第1方向に移動させる場合、前記シリンダ通路を介して前記第2室内の前記流体を吸引する、
流体圧装置。
【請求項2】
前記ポンプは、
前記出力軸を前記第2方向に移動させる場合、前記シリンダ通路を介して前記第2室に向けて前記流体を吐出する、
請求項に記載の流体圧装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体圧装置を有する車両。
【請求項4】
前記車両は、フォーク及び前記フォークを支持するフォーク支持体を有し、
前記フォーク支持体は、前記出力軸と接続されており、
前記流体圧装置は、
前記出力軸を前記第1方向に移動させることにより、前記フォーク支持体を前記車両の前方へと傾けて前記フォークを前傾させ、
前記出力軸を前記第2方向に移動させることにより、前記フォーク支持体を前記車両の後方へと傾けて前記フォークを後傾させる、
請求項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には流体圧装置が設けられている。特許文献1には、第1チャンバー及び第2チャンバーが形成され、爪を前傾又は後傾させるための複動シリンダを有する流体圧回路装置において、アキュムレータと第1チャンバーを接続する連通路に、連通路の内部圧力を所定圧力に調整する圧力調整弁が設けられている構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7160009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すフォークリフトの場合、複動シリンダ内のピストンを動かすときに、ポンプが油の吐出と吸引との両方を行う必要があり、ポンプの作動量が増加する。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ポンプを効率的に作動させることができる流体圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両に設けられており、流体を制御して前記車両の作動部を作動させる力を発生させる流体圧装置であって、前記流体を貯留するタンクと、前記タンクから前記流体を吸引する吸引ポート及び前記流体を吐出する複数の吐出ポートを有し、前記流体を前記複数の吐出ポートのうちの少なくとも一つから吐出するポンプと、内部空間がピストンによって第1室と第2室とに仕切られ、前記ピストンに連結された出力軸が移動することによって前記出力軸に接続された前記作動部を作動させる複動シリンダと、前記流体を貯留するアキュムレータと、前記ポンプに接続された複数の通路であって、前記複数の吐出ポートのうちの第1吐出ポートと前記アキュムレータとを接続する蓄圧通路と、前記蓄圧通路から分岐し、前記複動シリンダの前記第1室に接続する分岐通路と、を有する、複数の通路と、前記分岐通路に設けられた減圧弁と、を備え、前記減圧弁は、前記出力軸を第1方向に移動させる場合、前記アキュムレータから前記第1室に向かって流れる前記流体を減圧して前記流体を前記第1室に流出させ、前記出力軸を第2方向に移動させる場合、前記第1室から流入する前記流体を前記タンク内に排出する、流体圧装置を提供する。
【0007】
また、前記複数の通路は、前記ポンプから前記第2室に前記流体を供給するシリンダ通路をさらに有し、前記ポンプは、前記出力軸を前記第1方向に移動させる場合、前記シリンダ通路を介して前記第2室内の前記流体を吸引してもよい。
【0008】
また、前記ポンプは、前記出力軸を前記第2方向に移動させる場合、前記シリンダ通路を介して前記第2室に向けて前記流体を吐出してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、流体圧装置を有する車両を提供する。
【0010】
また、前記車両は、フォーク及び前記フォークを支持するフォーク支持体を有し、前記フォーク支持体は、前記出力軸と接続されており、前記流体圧装置は、前記出力軸を前記第1方向に移動させることにより、前記フォーク支持体を前記車両の前方へと傾けて前記フォークを前傾させ、前記出力軸を前記第2方向に移動させることにより、前記フォーク支持体を前記車両の後方へと傾けて前記フォークを後傾させてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、流体圧装置において、ポンプを効率的に作動させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る車両の構成を示す。
図2】流体圧装置が出力軸を第1方向に移動させる場合の流体の流れを示す。
図3】流体圧装置が出力軸を第2方向に移動させる場合の流体の流れを示す。
図4】流体圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[車両Aの構成]
図1は、本実施形態に係る車両Aの構成を示す図である。車両Aは、例えばフォークリフトである。車両Aは、作動部1及び流体圧装置Sを有する。
【0014】
作動部1は、フォーク11及びフォーク支持体12を有する。フォーク11は、車両Aの高さ方向において移動可能である。フォーク11は、前傾又は後傾した状態に変位することが可能である。
【0015】
フォーク支持体12は、フォーク11を支持する。フォーク支持体12は、例えばマストである。フォーク支持体12は、車両Aの前方において車両Aの高さ方向に延在している。フォーク支持体12は、車両Aの高さ方向において移動可能な状態でフォーク11を支持する。フォーク支持体12は、後述する複動シリンダ25の出力軸252と接続されている。
【0016】
フォーク支持体12は、出力軸252によって動かされ、前傾又は後傾する。このようにフォーク支持体12が前傾又は後傾することで、フォーク11が前傾又は後傾する。
【0017】
流体圧装置Sは、車両Aに設けられている。流体圧装置Sは、流体を制御して作動部1を作動させる力を発生させる装置である。流体圧装置Sは、例えば油圧装置である。流体は、例えば油である。流体圧装置Sは、流体を制御することによりフォーク11を上昇又は下降させたり、フォーク11を前傾又は後傾させたりすることができる。
【0018】
[流体圧装置Sの構成]
図2は、流体圧装置Sが出力軸252を第1方向に移動させる場合の流体の流れを示す図である。図3は、流体圧装置Sが出力軸252を第2方向に移動させる場合の流体の流れを示す図である。図4は、流体圧回路図である。
【0019】
流体圧装置Sは、図1及び図2に示すように、タンク21、ポンプ22、油圧モータ23、単動シリンダ24、複動シリンダ25、アキュムレータ26、複数の通路27、及び減圧弁28を有する。
【0020】
タンク21は、流体を貯留する。タンク21は、流体を貯留できる形状であればどのような形状であってもよい。
【0021】
ポンプ22は、吸引ポート221及び複数の吐出ポート222を有する。吸引ポート221は、タンク21から流体を吸引するポートである。吐出ポート222は、流体を吐出するポートである。ポンプ22は、電力により駆動する駆動源を有し、この駆動源が駆動することで、1つ又は複数の吐出ポート222から流体を吐出する。また、ポンプ22は、吐出と吸引とを同時に行うことができる。
【0022】
図1に示すように、本実施形態では、ポンプ22は、複数の吐出ポート222を有する。複数の吐出ポート222は、第1吐出ポート223及び第2吐出ポート224を含む。
【0023】
ポンプ22は、通路27を介して、油圧モータ23、単動シリンダ24、複動シリンダ25及びアキュムレータ26に接続されている。
【0024】
ポンプ22は、上記のとおり、流体を複数の吐出ポート222のうちの少なくとも一つから吐出する。ポンプ22は、流体を各吐出ポート222から、油圧モータ23、単動シリンダ24、複動シリンダ25、及びアキュムレータ26に向けて吐出する。ポンプ22は、各吐出ポート222から吐出する流体の流量を調節可能である。
【0025】
ポンプ22は、吸引ポート221を介して流体を吸引し、吐出ポート222を介して流体を吐出するだけでなく、次のようにも動作する。ポンプ22は、吸引ポート221を介して流体を吐出し、吐出ポート222を介して流体を吸引することもできる。また、ポンプ22においては、例えば複数の吐出ポート222のうちの一つの吐出ポート222を介して流体を吐出し、複数の吐出ポート222のうちの他の一つの吐出ポート222を介して流体を吸引することもできる。
【0026】
油圧モータ23は、車両Aのタイヤを駆動させるためのモータである。油圧モータ23は、ポンプ22の複数の吐出ポート222のうちの1つの吐出ポート222と接続されている。
【0027】
単動シリンダ24は、フォーク11を作動させるためのシリンダである。具体的には、単動シリンダ24は、フォーク11を上昇させるためのシリンダである。単動シリンダ24は、リフトシリンダである。単動シリンダ24は、ポンプ22の複数の吐出ポート222のうちの1つの吐出ポート222と接続されている。
【0028】
複動シリンダ25は、フォーク支持体12を作動させるためのシリンダである。具体的には、複動シリンダ25は、フォーク支持体12を前傾又は後傾させるためのシリンダである。複動シリンダ25は、チルトシリンダである。複動シリンダ25は、ポンプ22の複数の吐出ポート222のうちの2つの吐出ポート222と接続されている。詳細は後述する。
【0029】
図2は、複動シリンダ25の構造及び、流体圧装置Sを示す模式図である。複動シリンダ25は、ピストン251、出力軸252、及びシリンダ本体253を有する。ピストン251は筒状のシリンダ本体253内に配置されている。ピストン251は、複動シリンダ25のシリンダ本体253内に移動可能な状態で収容されている。シリンダ本体253の内部空間はピストン251によって第1室254と第2室255とに仕切られている。
【0030】
第1室254は、ポンプ22の第1吐出ポート223及びアキュムレータ26と接続されている。第1室254の内部は流体で満たされている。
【0031】
第2室255は、ポンプ22の第2吐出ポート224と接続されている。第2室255の内部も、第1室254と同様、流体で満たされている。
【0032】
出力軸252は、ピストン251と作動部1とを接続する。出力軸252の一端は、ピストン251に連結されている。出力軸252の他端は、作動部1に接続されている。具体的には、出力軸252の他端は、フォーク支持体12に接続されている。なお、出力軸252はフォーク支持体12に直接接続されていてもよいし、他の部材が介在した状態でフォーク支持体12に接続されていてもよい。
【0033】
複動シリンダ25は、出力軸252が移動することによって出力軸252に接続された作動部1を作動させる。具体的には、複動シリンダ25は、ピストン251に連結された出力軸252が移動することによって出力軸252に接続されたフォーク支持体12を車両Aの前方又は後方へと傾けてフォーク11を前傾又は後傾させる。複動シリンダ25は、2つの室内の流体の圧力が適宜変更されることでピストン251を移動させて出力軸252を動かす。したがって、ポンプ22、アキュムレータ26及び後述する減圧弁28を利用して各室の流体圧を適正に調整することが重要となる。この流体圧制御については後述する。
【0034】
アキュムレータ26は、流体を貯留する。具体的には、アキュムレータ26は、高圧の流体を貯留する。アキュムレータ26は、エネルギー回生用として車両Aに設けられている。アキュムレータ26には、例えば、車両Aの減速時、又は、フォーク11を下降させる時にポンプ22から高圧の流体が供給される。また、アキュムレータ26には、ポンプ22から流体が適宜供給されることで、アキュムレータ26内の流体が高圧な状態に維持される。アキュムレータ26は、ポンプ22の第1吐出ポート223と接続されている。
【0035】
複数の通路27は、ポンプ22に接続されている通路である。複数の通路27内には、流体が流れる。複数の通路27は、蓄圧通路271、分岐通路272、及びシリンダ通路273を有する。蓄圧通路271は、複数の吐出ポート222のうちの第1吐出ポート223とアキュムレータ26とを接続する通路である。蓄圧通路271の一端は、ポンプ22の第1吐出ポート223に接続されている。蓄圧通路271の他端は、アキュムレータ26に接続されている。流体圧装置Sの動作時における蓄圧通路271における流体の圧力は、例えば10MPa~30MPaである。
【0036】
分岐通路272は、蓄圧通路271から分岐し、複動シリンダ25の第1室254に接続する通路である。分岐通路272の一端は、蓄圧通路271に接続されている。分岐通路272の他端は、複動シリンダ25の第1室254に接続されている。
【0037】
シリンダ通路273は、ポンプ22から複動シリンダ25の第2室255に流体を供給する通路である。シリンダ通路273は、複数の吐出ポート222のうちの第2吐出ポート224と複動シリンダ25の第2室255とを接続する。シリンダ通路273の一端は、ポンプ22の第2吐出ポート224に接続されている。シリンダ通路273の他端は、複動シリンダ25の第2室255に接続されている。
【0038】
(ポンプ22による複動シリンダ25の駆動)
減圧弁28は、分岐通路272に設けられている。以下、減圧弁28の機能について、複動シリンダ25の駆動についての説明とともに説明する。図2に示すように、減圧弁28は、出力軸252を第1方向に移動させる場合、アキュムレータ26から第1室254に向かって流れる流体を減圧して流体を第1室254に流出させる。減圧弁28は、具体的には、10MPa~30MPaである蓄圧通路271の流体を、例えば3MPa程度に減圧して分岐通路272の複動シリンダ25側に流出させる。第1方向は、第1室254側から第2室255側に向かう方向である。
【0039】
図2に示すように、出力軸252を第1方向(図2における右側)に移動させる場合、第1室254を陽圧とし、第2室255を陰圧とする必要がある。そこで、ポンプ22は、シリンダ通路273を介して第2室255内の流体を吸引する。具体的には、ポンプ22は、出力軸252を第1方向に移動させる場合、シリンダ通路273を介して第2室255内の流体を第2吐出ポート224から吸引する。また、ポンプ22は、吸引ポート221からタンク21内に流体を排出する。
【0040】
流体圧装置Sにおいては、上述したように、出力軸252を第1方向に移動させる場合、ポンプ22の第1吐出ポート223から流体を吐出させることなく、アキュムレータ26から第1室254に向かって流体を流す。
【0041】
これにより、ピストン251及び出力軸252が移動し、その結果、フォーク支持体12を前傾させることができる。
【0042】
一方、図3に示すように、ポンプ22は、出力軸252を第1方向とは反対向きの第2方向に移動させる場合、シリンダ通路273を介して第2室255に向けて流体を吐出する。第2方向は、第2室255側から第1室254側に向かう方向である。具体的には、ポンプ22は、出力軸252を第2方向に移動させる場合、吸引ポート221からタンク21内の流体を吸引し、第2吐出ポート224からシリンダ通路273を介して第2室255に向けて流体を吐出する。
【0043】
図3に示すように、減圧弁28は、出力軸252を第2方向に移動させる場合、第1室254から流入する流体をタンク21内に排出する。このとき、ポンプ22は、第1吐出ポート223から流体を吸引しない。
【0044】
これにより、ピストン251及び出力軸252が移動し、その結果、フォーク支持体12を後傾させることができる。
【0045】
流体圧装置Sにおいては、上述したように減圧弁28は、出力軸252を第2方向に移動させる場合、第1室254から流入する流体をタンク21内に排出する。その結果、流体圧装置Sにおいては、出力軸252を第2方向に移動させる場合、ポンプ22で第1室254から流体を吸引する必要がない。したがって、流体圧装置Sにおいては、出力軸252を第2方向に移動させる場合、ポンプ22の複数の吐出ポート222を介して流体の吐出と吸引との両方を行う必要がないため、ポンプ22の作動量が減少する。よって、流体圧装置Sにおいては、ポンプ22を効率的に作動させることができる。
【0046】
流体圧装置Sは、以上のとおり、出力軸252を第1方向に移動させることにより、フォーク支持体12を車両Aの前方へと傾けてフォーク11を前傾させる。また、流体圧装置Sは、出力軸252を第2方向に移動させることにより、フォーク支持体12を車両Aの後方へと傾けてフォーク11を後傾させる。車両Aにおいては、流体圧装置Sが、このように作動することにより、フォーク11を前傾又は後傾させることができる。
【0047】
[本実施形態に係る流体圧装置Sによる効果]
本実施形態に係る流体圧装置Sは、分岐通路272に設けられた減圧弁28を有する。そして、減圧弁28は、出力軸252を第1方向に移動させる場合、アキュムレータ26から第1室254に向かって流れる流体を減圧して流体を第1室254に流出させる。また、減圧弁28は、出力軸252を第2方向に移動させる場合、第1室254から流入する流体をタンク21内に排出する。
【0048】
流体圧装置Sにおいては、このように減圧弁28は、出力軸252を第2方向に移動させる場合、第1室254から流入する流体をタンク21内に排出する。その結果、流体圧装置Sにおいては、出力軸252を第2方向に移動させる場合、ポンプ22で第1室254から流体を吸引する必要がない。したがって、流体圧装置Sにおいては、出力軸252を第2方向に移動させる場合、ポンプ22の複数の吐出ポート222を介して流体の吐出と吸引との両方を行う必要がないため、ポンプ22の作動量が減少する。よって、流体圧装置Sにおいては、ポンプ22を効率的に作動させることができる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0050】
A・・・車両
1・・・作動部
11・・・フォーク
12・・・フォーク支持体
S・・・流体圧装置
21・・・タンク
22・・・ポンプ
221・・・吸引ポート
222・・・吐出ポート
223・・・第1吐出ポート
224・・・第2吐出ポート
23・・・油圧モータ
24・・・単動シリンダ
25・・・複動シリンダ
251・・・ピストン
252・・・出力軸
253・・・シリンダ本体
254・・・第1室
255・・・第2室
26・・・アキュムレータ
27・・・通路
271・・・蓄圧通路
272・・・分岐通路
273・・・シリンダ通路
28・・・減圧弁
【要約】      (修正有)
【課題】流体圧装置において、ポンプを効率的に作動させる。
【解決手段】流体圧装置Sは、タンク21と、複数の吐出ポート222を有するポンプ22と、内部空間がピストン251によって第1室254と第2室255に仕切られ、ピストン251に連結された出力軸252が移動することによって出力軸252に接続された作動部を作動させる複動シリンダ25と、アキュムレータ26と、第1吐出ポート223とアキュムレータ26を接続する蓄圧通路271及び蓄圧通路271から分岐し、第1室254に接続する分岐通路272を有する複数の通路27と、分岐通路272に設けられた減圧弁28を備え、減圧弁28は、出力軸252を第1方向に移動させる場合、アキュムレータ26から第1室254に向かって流れる流体を減圧して第1室254に流出させ、出力軸252を第2方向に移動させる場合、第1室254から流入する流体をタンク21内に排出する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4