(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】物品仕分け設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240611BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B65G1/137 E
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2023073636
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2021189915の分割
【原出願日】2018-07-13
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森 広幸
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-187605(JP,A)
【文献】特開2003-309163(JP,A)
【文献】特開平11-143537(JP,A)
【文献】特開2018-090347(JP,A)
【文献】特開2017-030393(JP,A)
【文献】特開2008-195482(JP,A)
【文献】特開2000-163126(JP,A)
【文献】特開2011-178486(JP,A)
【文献】特開2005-177905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する複数の収納部と、
物品を支持する支持部を備えた複数の物品搬送車と、
予め設定された受渡レーンと、
前記収納部に収納された物品を前記物品搬送車の前記支持部に移載するため、又は前記物品搬送車の前記支持部に支持された物品を前記収納部に移載するための複数の作業エリアと、を備え、
前記作業エリアの夫々が前記収納部及び前記受渡レーンに隣接すると共に、前記受渡レーンに沿って複数の前記作業エリアが並ぶように配置され、
前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と平行して前記物品搬送車が走行可能な他のレーンを更に備え、
前記物品搬送車は、床面を無軌道で走行するように構成されると共に、前記受渡レーンと前記他のレーンとの間でレーンチェンジ可能に構成され
、
前記他のレーンは、少なくとも2つのレーンを含み、
前記受渡レーンと前記他のレーンとを含めた少なくとも3つのレーンが、互いに並列に隣接して配置されている、物品仕分け設備。
【請求項2】
前記作業エリアでは、前記収納部に収納された物品を、前記受渡レーンにある前記物品搬送車の前記支持部へ移載するピッキング作業が行われ、
前記他のレーンに、前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と並行して前記物品搬送車が走行可能な分岐レーン及び完了レーンが含まれ、
前記受渡レーンと前記
分岐レーンと前記完了レーンとが、互いに並列に
隣接して配置され、
前記分岐レーンは、前記ピッキング作業が完了しておらず、前記受渡レーンに戻る前記物品搬送車が走行するためのレーンであり、
前記完了レーンは、前記ピッキング作業が完了した前記物品搬送車が走行するためのレーンである、請求項1に記載の物品仕分け設備。
【請求項3】
前記受渡レーンは、複数の前記作業エリアの夫々に対応したレーンエリアを有し、
複数の前記物品搬送車は、複数の前記レーンエリアのそれぞれに1台以上の前記物品搬送車が存在するように走行する、請求項1又は2に記載の物品仕分け設備。
【請求項4】
前記他のレーンに、前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と並行して前記物品搬送車が走行可能な完了レーンが含まれ、
前記物品搬送車は、前記受渡レーンから前記完了レーンにレーンチェンジ可能に構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項5】
前記他のレーンに、前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と並行して前記物品搬送車が走行可能な分岐レーンが含まれ、
前記物品搬送車は、前記受渡レーンから前記分岐レーンにレーンチェンジ可能で且つ前記分岐レーンから前記受渡レーンにレーンチェンジ可能に構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項6】
複数の前記収納部と前記受渡レーンとが、上下方向視で複数の前記作業エリアを挟んで互いに反対側に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項7】
複数の前記収納部と前記受渡レーンとが、上下方向視で複数の前記作業エリアに対して同じ側に配置されると共に、上下方向視で重複するように配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項8】
前記物品搬送車の走行方向における前記受渡レーンよりも下流側に、前記複数の物品搬送車が互いの走行順序を入れ替え可能な入替エリアが設けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項9】
前記作業エリアの夫々に少なくとも1つの仮置き部が設けられ、
前記仮置き部は、少なくとも1つの物品を保持する保持状態と、保持していた物品を排出する排出状態と、に状態変更可能に構成され、
前記物品搬送車が前記仮置き部に対応する位置に無い状態では、前記仮置き部は保持状態となり、
前記物品搬送車が前記仮置き部に対応する位置に在る状態で、前記仮置き部は排出状態となる、請求項1から8のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する複数の収納部と、物品を移載する作業が行われる複数の作業エリアと、を備えた物品仕分け設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品仕分け設備の従来例が、特開2011-246234号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の物品仕分け設備は、複数の作業エリアの夫々に作業者が配置され、複数の作業エリアに沿って集品容器(集品容器10)を搬送するコンベヤ(第1直進搬送ライン21A)が設置されている。作業エリアの作業者は、物品を収納部から取り出して集品容器へ投入する移載作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した物品仕分け設備では、例えば、特定の作業エリアにおける移載作業に遅れが生じたためにコンベヤを停止させた場合では、全ての集品容器の搬送が停止する。これにより、他の作業エリアにおいても移載作業を行えない場合が生じ得るため、各作業エリアにおける移載作業の効率が低下することになる場合がある。また、例えば、コンベヤの全体に亘って集品容器が並ぶ状態で搬送される為、作業エリアで作業する場合に、コンベヤにおける作業エリアに対応する部分に、作業対象ではない集品容器も含めて全ての集品容器が並ぶ状態で搬送される。そのため、作業対象ではない集品容器が搬送される分だけ、移載作業の対象となる集品容器の流通効率が低下し、それに応じて作業エリアにおける移載作業の効率も低下する。このように、上記した物品仕分け設備では、作業エリアにおける作業効率を高めるために改善の余地があった。
【0005】
そこで、作業エリアにおける作業効率を更に高めることができる物品仕分け設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、物品仕分け設備の特徴構成は、
物品を収納する複数の収納部と、
物品を支持する支持部を備えた複数の物品搬送車と、
予め設定された受渡レーンと、
前記収納部に収納された物品を前記物品搬送車の前記支持部に移載するため、又は前記物品搬送車の前記支持部に支持された物品を前記収納部に移載するための複数の作業エリアと、を備え、
前記作業エリアの夫々が前記収納部及び前記受渡レーンに隣接すると共に、前記受渡レーンに沿って複数の前記作業エリアが並ぶように配置され、
前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と平行して前記物品搬送車が走行可能な他のレーンを更に備え、
前記物品搬送車は、床面を無軌道で走行するように構成されると共に、前記受渡レーンと前記他のレーンとの間でレーンチェンジ可能に構成され、
前記他のレーンは、少なくとも2つのレーンを含み、
前記受渡レーンと前記他のレーンとを含めた少なくとも3つのレーンが、互いに並列に隣接して配置されている点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、受渡レーンに沿って走行する物品搬送車の支持部によって物品が支持されて搬送される。そのため、例えば、特定の作業エリアにおいて物品を移載する移載作業に遅れが生じた等によって当該移載作業の対象となる物品搬送車を停車させた場合であっても、当該物品搬送車より先行している物品搬送車や、当該物品搬送車と間隔を空けて走行している後続の物品搬送車は、停止することなく走行を継続することができる。従って、他の作業エリアの作業者は、これらの物品搬送車に対する移載作業を継続して行うことができる。そのため、一部の作業エリアにおける移載作業の遅れによって他の作業エリアにおける作業効率までが低下することを抑制できる。また、例えば、物品を移載する作業が完了した物品搬送車を受渡レーンから離脱するように走行させることで、受渡レーンにおける移載作業の対象となる物品搬送車の割合を高めることができる。これにより、作業エリアにおける作業効率を高めることができる。
【0008】
【0009】
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態における物品仕分け設備の平面図
【
図2】第1の実施形態における物品仕分け設備の一部を拡大した平面図
【
図3】第1の実施形態における物品仕分け設備の側面図
【
図5】第1の実施形態におけるレーンチェンジを示す図
【
図6】第1の実施形態における支持部を回転させる前後の状態を示す物品搬送車の平面図
【
図7】第1の実施形態におけるレーンチェンジによる合流を示す図
【
図8】第2の実施形態における物品仕分け設備の側面図
【
図9】第2の実施形態における物品仕分け設備の平面図
【
図10】第3の実施形態における物品仕分け設備の平面図
【
図11】第3の実施形態における物品仕分け設備の側面図
【
図12】第3の実施形態における仮置き部が支持部に物品を支持させる前後の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1の実施形態
物品仕分け設備の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の物品仕分け設備は、物品Wを収納する複数の収納部1を備えた物品収納棚2と、物品Wを支持する支持部3を備え、且つ、予め設定された走行レーンL1(「受渡レーン」に相当)に沿って走行する複数の物品搬送車4と、収納部1と走行レーンL1にある物品搬送車4の支持部3との間で物品Wを移載する作業が行われる複数の作業エリアE1と、を備えている。本実施形態では、作業エリアE1において、収納部1から走行レーンL1にある物品搬送車4の支持部3に物品Wを移載するピッキング作業が行われる。
また、物品仕分け設備は、物品収納棚2に収納されている物品Wの管理や、物品搬送車4の制御等を行う制御装置H(
図4参照)を備えている。
【0012】
物品搬送車4の走行方向における走行レーンL1よりも下流側に入替エリアE2が設けられている。走行レーンL1では、当該走行レーンL1に沿って物品搬送車4が列をなして走行する。これに対して、入替エリアE2では、物品搬送車4が走行方向や走行経路の制限を受けずに走行し、複数の物品搬送車4が列をなさずに走行しつつ走行順序の入れ換え可能なエリアとなっている。走行レーンL1には、複数の作業エリアE1の数以上の台数の物品搬送車4が走行しており、複数の物品搬送車4は、複数のレーンエリアLEのそれぞれに1台以上の物品搬送車4が存在するように走行する。好ましくは、走行レーンL1には、複数の作業エリアE1の数より多い台数の物品搬送車4が走行するようにすると良い。例えば、複数の作業エリアE1の数の2倍以上の台数の物品搬送車4が走行レーンL1を走行する構成とすると好適である。
【0013】
物品仕分け設備には、走行レーンL1に加えて、この走行レーンL1に沿って走行する物品搬送車4と並行して物品搬送車4が走行可能な分岐レーンL2及び完了レーンL3が備えられている。分岐レーンL2及び完了レーンL3は、走行レーンL1と並行に設定されている。走行レーンL1、分岐レーンL2、及び完了レーンL3では、物品搬送車4が同じ方向に走行する。
図2に示すように、走行レーンL1は、複数の作業エリアE1の夫々に対応したレーンエリアLEを有している。
【0014】
図1に示すように、走行レーンL1、分岐レーンL2、及び完了レーンL3の下流側の端部が、入替エリアE2に接続されている。また、戻りレーンL4の上流側の端部が、入替エリアE2に接続されている。戻りレーンL4の下流側の端部が、走行レーンL1及び分岐レーンL2の上流側の端部に接続されている。物品搬送車4は、走行レーンL1、分岐レーンL2、又は完了レーンL3の下流側の端部から入替エリアE2に進入し、入替エリアE2から戻りレーンL4の上流側の端部に進入する。また、物品搬送車4は、戻りレーンL4の下流側の端部から走行レーンL1又は分岐レーンL2の上流側の端部に進入する。このように、走行レーンL1、分岐レーンL2、及び完了レーンL3と入替エリアE2と戻りレーンL4とにより、物品搬送車4が走行するループ状の経路が形成されている。
【0015】
戻りレーンL4の下流側の端部に、物品搬送車4が容器Cを受け取る容器受取部6が備えられており、戻りレーンL4の上流側の端部に、物品搬送車4が容器Cを渡す容器渡し部7が備えられている。物品搬送車4は、物品Wが収容されていない空の容器Cを容器受取部6から受け取り、走行レーンL1を走行している間に作業者Mによって容器Cに物品Wが収容され、物品Wを収容した容器Cを容器渡し部7に渡す。本実施形態では、物品搬送車4の支持部3は、上述のように容器受取部6から受け取った2つの容器Cにより構成されている。
【0016】
以下、物品仕分け設備について説明を加えるが、
図2に示すように、走行レーンL1に沿う方向を第1方向Xとし、第1方向Xにおける物品搬送車4が走行する方向(走行方向前方)を第1方向第1側X1とし、その反対側を第1方向第2側X2として説明する。また、上下方向Z視で第1方向Xに対して直交する方向を第2方向Yとし、第2方向Yにおける作業エリアE1に対して物品収納棚2が存在する方向を第2方向第1側Y1とし、その反対側を第2方向第2側Y2として説明する。尚、本実施形態では、第2方向第1側Y1が、走行レーンL1に対して作業エリアE1が存在する作業側に相当する。
【0017】
分岐レーンL2は、走行レーンL1に対して第2方向第2側Y2に隣接する状態で形成されている。完了レーンL3は、分岐レーンL2に対して第2方向第2側Y2に隣接する状態で形成されている。複数の作業エリアE1は、走行レーンL1に対して第2方向第1側Y1に隣接する状態で形成されている。複数の物品収納棚2は、複数の作業エリアE1に対して第2方向第1側Y1に隣接する状態で形成されている。走行レーンL1、分岐レーンL2、完了レーンL3、及び複数の作業エリアE1は、それぞれ、第1方向Xに沿って形成されている。また、複数の物品収納棚2も、第1方向Xに沿って設置されている。
【0018】
図3に示すように、物品収納棚2は、物品Wを収納する収納部1を上下方向Zに複数並べた状態で備えている。ここでは、収納部1の夫々は、第2方向第2側Y2に向かうに従って下方に傾斜する姿勢で備えられており、収納部1の第2方向第1側Y1に載せられた物品Wが自重で収納部1の第2方向第2側Y2の端部まで移動するように構成されている。尚、本実施形態では、物品Wは収納用容器Dに収容した状態で物品収納棚2に収納されている。
【0019】
複数の収納部1には、複数種類の物品Wが種類別に収納されており、1つの収納部1には1種類の物品Wが収納されている。収納部1における第2方向第2側Y2の端部には、表示部9が備えられている。この表示部9は、ピッキング作業において物品Wを取り出す収納部1であることを示す対象収納部表示や当該収納部1から取り出す物品Wの数を示す取出し数表示等を表示可能に構成されている。表示部9は、制御装置H(
図4参照)により制御される。
【0020】
図1及び
図2に示すように、作業エリアE1は、第1方向Xに沿って複数備えられている。複数の作業エリアE1の夫々に対応して物品収納棚2が設置されている。作業エリアE1の夫々は、収納部1及び走行レーンL1に隣接している。そして、走行レーンL1に沿って複数の作業エリアE1が並ぶように配置されている。
【0021】
第2方向Yにおける走行レーンL1と複数の作業エリアE1との間には、走行レーンL1と複数の作業エリアE1とを仕切る仕切り体11が設置されている。また、複数の作業エリアE1の夫々に対応して、ピッキング作業を行う物品搬送車4を指示する指示ランプ12が備えられている。指示ランプ12は、対応する作業エリアE1と走行レーンL1との間の位置で且つ対応する作業エリアE1の第1方向Xの中央部と同じ位置に設置されている。指示ランプ12は、対応するレーンエリアLEにピッキング作業の対象となる物品搬送車4が存在する場合に点灯し、対応するレーンエリアLEにピッキング作業の対象となる物品搬送車4が存在しない場合は消灯する。指示ランプ12は、制御装置H(
図4参照)により制御される。
【0022】
作業エリアE1の夫々には、作業者Mが配置されており、作業エリアE1の作業者Mは、自身が担当している作業エリアE1に対応する複数の収納部1の何れかから物品Wを取り出し、その物品Wを自身が担当しているレーンエリアLEにある物品搬送車4の支持部3に載せるようにして、ピッキング作業を行う。表示部9の表示により、物品Wを取り出す収納部1の位置及びその収納部1から取り出す物品Wの個数を作業者Mが認識することができるようになっている。また、指示ランプ12の点灯により、収納部1から取り出した物品Wを支持させる物品搬送車4を作業者Mが認識することができるようになっている。尚、レーンエリアLEに複数の物品搬送車4が存在する場合は、指示ランプ12の点灯の仕方(例えば光の色や点灯パターン等)によっていずれの物品搬送車4に物品Wを支持させるべきかを作業者が認識できる構成であると好適である。或いは、図示は省略するが、各作業エリアE1に複数の指示ランプ12が設置されていてもよい。
【0023】
図4に示す制御装置Hは、収納部1に収納されている物品Wの種類の情報である収納物品情報を記憶している。制御装置Hは、上位のコントローラからピッキング指令が出力されると、ピッキング指令と収納物品情報とに基づいて、ピッキング情報を物品搬送車4に送信するように構成されている。ピッキング情報は、ピッキング作業を行うレーンエリアLEを示す情報、ピッキング作業において物品Wを載せる支持部3の位置(第1支持体3A又は第2支持体3B)を示す情報、支持部3に載せる物品Wの種類を示す種類情報、及び、支持部3に載せる物品Wの個数を示す数情報、の少なくとも1つを含む。
【0024】
図3に示すように、物品搬送車4は、床面F上を走行する走行部16と、この走行部16に支持された支持部3と、を備えている。
図4に示すように、走行部16は、床面Fに設置された基準位置情報を読み取る読取部18と、支持部3が支持している物品Wの重量を計測する秤量部19と、走行部16を制御する制御部20と、を備えている。基準位置情報は、各レーンL1~L4上の基準となる位置を示す情報である。本実施形態では、基準位置情報は、床面Fに表示された2次元コードによって構成されており、より具体的には、2次元コードを表示したタグ(例えば、
図7に示す第1タグT1や第2タグT2)が床面Fに貼り付けられて構成されている。基準位置情報には、その位置が基準位置であることを示す情報の他、物品搬送車4が走行可能な経路全体の中での位置(座標や番地等)を示すアドレス情報を含んでいる。
【0025】
図6に示すように、支持部3は、個別に物品Wを支持する第1支持体3Aと第2支持体3Bとを備えており、第1支持体3Aと第2支持体3Bとは、水平方向に互いに隣接して配置されている。本実施形態では、第1支持体3Aや第2支持体3Bは、それぞれ容器Cにより構成されており、走行部16に載置されている。
【0026】
走行部16は、上下方向Z視で物品搬送車4が走行する走行方向に対して直交する方向に並ぶ一対の走行輪22と、この一対の走行輪22に対して走行方向の両側に設置された一対の従動輪23と、走行輪22を回転駆動させる走行用モータ24(
図4参照)と、を備えている。物品搬送車4が第1方向Xに沿って直進走行している状態では、一対の走行輪22は第2方向Yに並んでおり、従動輪23は、一対の走行輪22に対して第1方向Xの両側に設置されている。走行部16は、走行用モータ24によって一対の走行輪22の双方を正転方向に回転させることで前進走行し、走行用モータ24によって一対の走行輪22の双方を逆転方向に回転させることで後進走行する。
【0027】
また、走行部16は、走行用モータ24によって一対の走行輪22の双方を正転方向に回転させる場合に、その回転させる速度を変更することで、物品搬送車4の走行速度を変更可能に構成されている。そして、複数の物品搬送車4は、互いに独立して走行可能であり、互いに独立して走行速度を変更可能に構成されている。本実施形態では、物品搬送車4は、第1速度と、第1速度より高速の第2速度と、第1速度より低速の第3速度と、に走行速度を変更可能に構成されている。本実施形態では、第3速度を、物品搬送車4が停止する速度としている。
【0028】
走行部16は、走行用モータ24によって一対の走行輪22を異なる回転速度で回転させることで、物品搬送車4は、走行する向きの変更しながら走行することが可能となっている。物品搬送車4は、走行レーンL1を走行している場合に走行する向きを変更することで、
図5に矢印(1)で示すように、走行するレーンを走行レーンL1から分岐レーンL2にレーンチェンジすることができ、分岐レーンL2を走行している場合に走行する向きを変更することで、
図5に矢印(2)で示すように、走行するレーンを分岐レーンL2から走行レーンL1にレーンチェンジすることができる。このように、物品搬送車4は、走行レーンL1から分岐レーンL2にレーンチェンジ可能で且つ分岐レーンL2から走行レーンL1にレーンチェンジ可能に構成されている。また、物品搬送車4は、走行レーンL1を走行している場合に走行する向きを変更することで、
図5に矢印(3)で示すように、走行するレーンを走行レーンL1から完了レーンL3にレーンチェンジすることができる。このように、物品搬送車4は、走行レーンL1から完了レーンL3にレーンチェンジ可能に構成されている。
【0029】
図6に示すように、物品搬送車4は、支持部3を上下方向Zに沿う軸心周りに回転可能に構成されている。物品搬送車4は、走行レーンL1において、第1支持体3Aが第2支持体3Bより第2方向第1側Y1に位置するように支持部3を回転させた第1回転状態(
図6において右側に示す状態)と、第2支持体3Bが第1支持体3Aより第2方向第1側Y1に位置するように支持部3を回転させた第2回転状態(
図6において左側に示す状態)と、に支持部3を回転させる。本実施形態は、物品搬送車4の走行部16が一対の走行輪22を使って旋回することで、支持部3を第1回転状態と第2回転状態とに回転させるように構成されている。
【0030】
制御部20は、制御装置Hから送信されたピッキング情報に基づいて、走行部16を制御する走行制御、及び、ピッキング作業が完了したか否かを判別する判別制御、を実行する。走行制御では、制御部20は、ピッキング作業を行う1つ又は複数のレーンエリアLEを順次走行するように、走行部16を制御する。判別制御では、制御部20は、ピッキング作業を行う1つ又は複数のレーンエリアLEの夫々において、ピッキング作業が完了したか否かを判別する。物品搬送車4は、走行制御の実行中に読取部18によって基準位置情報を読み取った場合に、自車の識別コードと共に基準位置情報を制御装置Hに送信する。制御装置Hは、複数の物品搬送車4から送信された識別コード及び基準位置情報に基づき、複数の物品搬送車4の位置を把握できるようになっている。
【0031】
制御部20には、物品Wの重量を示す重量情報が記憶されており、秤量部19は、複数の支持部3の重量を各別に計量可能、或いは複数の支持部3の全体の重量を計量可能に構成されている。判別制御では、制御部20は、秤量部19が計量した重量の変化と、ピッキング情報に示された支持部3に支持させるべき物品Wの種類情報と、当該種類情報に示された種類の物品Wの重量情報と、ピッキング情報に示された物品Wの数情報と、に基づいて、種類情報が示す種類の物品Wが、数情報が示す個数だけ指定した支持部3に対して正しく載せられたか否か、つまりは、ピッキング作業が完了したか否かを判別する。
【0032】
走行制御では、制御部20は、ピッキング作業を行うレーンエリアLEのみを走行し、ピッキング作業を行わないレーンエリアLEは走行せずに当該レーンエリアLEに対して第2方向第2側Y2にある分岐レーンL2又は完了レーンL3を走行するように、走行部16を制御する。具体的には、走行制御では、次のように走行部16を制御する。
【0033】
複数のレーンエリアLEの内の最も第1方向第2側X2のレーンエリアLEにおいてピッキング作業を行う場合は、自車は戻りレーンL4から走行レーンL1に進入して走行レーンL1を第1速度で走行する。また、複数のレーンエリアLEの内の最も第1方向第2側X2のレーンエリアLEにおいてピッキング作業を行わない場合は、自車は戻りレーンL4から分岐レーンL2に進入して分岐レーンL2を第2速度で走行する。そして、自車が各レーンを走行する場合において、自車の前方側(第1方向第1側X1)を走行する物品搬送車4が自車より低速の場合は、当該物品搬送車4に対して設定間隔を空けた状態で自車が追従するように、自車の走行速度を物品搬送車4と同じ走行速度とする。尚、本実施形態では、設定間隔は、物品搬送車4の第1方向Xの幅より狭い間隔に設定している。
【0034】
そして、自車が走行レーンL1のレーンエリアLEを走行する場合において、判別制御により、ピッキング作業が完了していないと判別した場合は、自車はレーンエリアLEを第1速度で走行する。そして、自車が走行レーンL1のレーンエリアLEを走行する場合において、判別制御により、ピッキング作業が完了したと判別した場合は、自車はレーンエリアLEを第2速度で走行する。このように、走行制御を実行することで、物品搬送車4は、レーンエリアLEの夫々において、当該レーンエリアLEに対応する作業エリアE1において自車の支持部3に対するピッキング作業が全て完了するまでは第1速度で走行し、自車の支持部3に対するピッキング作業が全て完了した後は、第1速度より高速の第2速度で走行する。
【0035】
そして、自車がレーンエリアLEを走行する場合において、判別制御により、ピッキング作業が完了していないと判別しているにも拘らず、物品搬送車4がレーンエリアLEの第1方向第1側X1の端部に到達した場合は、自車は第3速度に減速させる(停止させる)。これにより、当該レーンエリアLEに対応する作業エリアE1において自車の支持部3に対するピッキング作業が完了する前に、物品搬送車4が当該レーンエリアLEから出てしまうことを規制する。
【0036】
レーンエリアLEにおけるピッキング作業が完了した場合において、走行レーンL1の全体における自車に対するピッキング作業が全て完了した場合は、
図5の矢印(3)に示すように、走行レーンL1から完了レーンL3にレーンチェンジする。このように、完了レーンL3にレーンチェンジした場合は、物品搬送車4は、完了レーンL3を第2速度で走行して入替エリアE2まで走行する。
【0037】
レーンエリアLEにおけるピッキング作業が完了した場合において、当該レーンエリアLEに対して第1方向第1側X1に隣接する次のレーンエリアLEにおいて自車がピッキング作業を行う場合は、
図5の矢印(4)で示すように、自車は第2速度でレーンエリアLEをそのまま走行する。このように自車が走行レーンL1を走行し、隣接するレーンエリアLEに自車が進入するに伴って、自車の走行速度を第1速度に減速する。
【0038】
また、レーンエリアLEにおけるピッキング作業が完了した場合において、当該レーンエリアLEに対して第1方向第1側X1に隣接する次のレーンエリアLEでのピッキング作業を行わない場合は、
図5の矢印(1)で示すように、走行レーンL1から分岐レーンL2にレーンチェンジする。このように、分岐レーンL2にレーンチェンジした場合は、
図5の矢印(2)で示すように、分岐レーンL2を第2速度で走行した後、第1速度に減速して次にピッキング作業を行うレーンエリアLEの第1方向第2側X2の端部(以下、合流箇所Gと称する)に合流するようにレーンチェンジする。
【0039】
次に、分岐レーンL2を走行している物品搬送車4が走行レーンL1にレーンチェンジする場合について説明する。
図7に示すように、走行レーンL1における合流箇所Gの手前の基準位置に第1タグT1が備えられている。第1タグT1には、当該第1タグT1が設置されている位置及び当該位置が基準位置であることを示す基準位置情報が示されている。走行レーンL1を走行し且つ合流箇所Gに進入する前の物品搬送車4の読取部18によって第1タグT1の基準位置情報を読み取ることが可能となっている。また、分岐レーンL2における合流箇所Gの手前の基準位置に第2タグT2が備えられている。第2タグT2には、当該第2タグT2が設置されている位置及び当該位置が基準位置であることを示す位置情報が示されている。分岐レーンL2を走行し且つ合流箇所Gに進入する前の物品搬送車4の読取部18によって第1タグT1の基準位置情報を読み取ることが可能となっている。本実施形態では、第2タグT2は、分岐レーンL2を走行している物品搬送車4が走行レーンL1に合流するまでの走行距離と走行レーンL1を走行している物品搬送車4がそのまま走行レーンL1を走行する場合の走行距離との差DIFに相当する距離分、第1タグT1よりも第1方向第1側X1に設置されている。なお本例では、差DIFは、走行レーンL1と分岐レーンL2との第2方向Yの間隔に等しい。
【0040】
走行レーンL1を走行する物品搬送車4は、第1タグT1の基準位置情報を読み取った場合は、自車の識別コードと当該基準位置情報とを制御装置Hに送信する。分岐レーンL2を走行する物品搬送車4は、合流する合流箇所Gに対応する第2タグT2の基準位置情報を読み取った場合は、自車の識別コードと当該基準位置情報とに加えて合流情報を制御装置Hに送信する。制御装置Hは、走行レーンL1を走行する物品搬送車4と分岐レーンL2を走行する物品搬送車4との内、先に基準位置情報を読み取った物品搬送車4を優先的に合流箇所Gに進入させる。
【0041】
制御装置Hは、走行レーンL1を走行する物品搬送車4を優先的に合流箇所Gに進入させる場合において、当該物品搬送車4が第1タグT1の基準位置情報を読み取ってから合流箇所Gを通過するまでに、分岐レーンL2を走行して第2タグT2の基準位置情報を読み取った物品搬送車4が存在する場合は、走行レーンL1を走行していた物品搬送車4が合流箇所Gを通過してから、当該分岐レーンL2を走行する物品搬送車4に対して合流許可の情報を送信する。
【0042】
制御装置Hは、分岐レーンL2を走行する物品搬送車4を優先的に合流箇所Gに進入させる場合は、当該物品搬送車4に対しては合流許可の情報を送信する。また、制御装置Hは、分岐レーンL2を走行する物品搬送車4を優先的に合流箇所Gに進入させる場合において、当該物品搬送車4が第2タグT2の基準位置情報を読み取ってから合流箇所Gを通過するまでに、走行レーンL1を走行して第1タグT1の基準位置情報を読み取った物品搬送車4が存在する場合は、当該走行レーンL1を走行する物品搬送車4に対して合流禁止の情報を送信し、分岐レーンL2を走行していた物品搬送車4が合流箇所Gを通過してから、当該走行レーンL1を走行する物品搬送車4に合流許可の情報を送信する。
【0043】
走行レーンL1を走行する物品搬送車4は、第1タグT1の基準位置情報を制御装置Hに送信した後、制御装置Hからの合流禁止の情報を受信しない場合は、そのまま合流箇所Gに進入する。また、走行レーンL1を走行する物品搬送車4は、第1タグT1の基準位置情報を制御装置Hに送信した後、制御装置Hからの合流禁止の情報を受信した場合は、合流箇所Gの手前で停止し、制御装置Hからの合流許可の情報を受信するのに伴って、合流箇所Gに進入する。
【0044】
分岐レーンL2を走行する物品搬送車4は、第2タグT2の基準位置情報を制御装置Hに送信した後、制御装置Hから合流許可の情報を受信した場合は、そのまま合流箇所Gに進入する。また、分岐レーンL2を走行する物品搬送車4は、第2タグT2の基準位置情報を制御装置Hに送信した後、制御装置Hから合流許可の情報を受信しない場合は、合流箇所Gの手前で停止し、制御装置Hからの合流許可の情報を受信するのに伴って、合流箇所Gに進入する。
【0045】
次に、走行制御の実行中の支持部3の回転について説明する。制御部20は、走行制御においてレーンエリアLEを走行する場合に、そのレーンエリアLEにおいて行うピッキング作業により物品Wが載せられる支持体(例えば、第1支持体3A)が物品搬送車4の中心より第2方向第1側Y1に位置する場合は、回転状態を現状(第1回転状態)に維持する。一方、制御部20は、レーンエリアLEにおいて行うピッキング作業により物品Wが載せられる支持体(例えば、第1支持体3A)が物品搬送車4の中心より第2方向第2側Y2に位置する場合は、回転状態を切り替える。この場合、例えば、
図6に示すように、制御部20は、走行部16を制御して、支持部3の向きを第2回転状態から第1回転状態に切り替える。
【0046】
次に、制御装置Hは、複数の物品搬送車4が予め設定された順序で容器Cを容器渡し部7に渡すようにするための物品搬送車4の制御について説明する。制御装置Hは、最も先に容器渡し部7に容器Cを渡す物品搬送車4に対して、渡し情報を送信する。物品搬送車4は、渡し情報を受信するに伴って容器渡し部7に容器Cを渡し、容器Cの渡しが完了するに伴って完了情報を制御装置Hに送信する。制御装置Hは、物品搬送車4から完了情報を受信するに伴って、次に容器渡し部7に容器Cを渡す物品搬送車4に対して、渡し情報を送信する。このように、制御装置Hが複数の物品搬送車4に対して順次渡し情報を送信することで、複数の物品搬送車4が予め設定された順序で容器渡し部7に容器Cを渡すように、物品搬送車4が制御される。
【0047】
2.第2の実施形態
次に、物品仕分け設備の第2の実施形態について、
図8及び
図9を用いて説明する。本実施形態では、走行レーンL1が、作業エリアE1に対して第2方向第1側Y1に配置されており、作業エリアE1に対して走行レーンL1と収納部1とが同じ側に配置されている点で、上記第1の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る物品仕分け設備について、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0048】
分岐レーンL2は、走行レーンL1に対して第2方向第1側Y1に隣接する状態で形成されている。完了レーンL3は、分岐レーンL2に対して第2方向第1側Y1に隣接する状態で形成されている。複数の作業エリアE1は、走行レーンL1に対して第2方向第2側Y2に隣接する状態で形成されている。複数の物品収納棚2は、複数の作業エリアE1に対して第2方向第1側Y1に隣接する状態で形成されている。走行レーンL1と複数の物品収納棚2とは、上下方向視で重なっており、物品収納棚2の下方に走行レーンL1が設定されている。
【0049】
第1の実施形態における走行レーンL1は一直線状に形成されており、全体的が分岐レーンL2及び作業エリアE1に隣接している。これに対して、本実施形態における走行レーンL1は、波状に形成されており、部分的に分岐レーンL2及び作業エリアE1に隣接している。尚、本実施形態では、第2方向第2側Y2が、走行レーンL1に対して作業エリアE1が存在する作業側に相当する。尚、本実施形態では、物品収納棚2の支柱を避けるために走行レーンL1を波状に形成したが、物品収納棚2の支柱と干渉しない場合は、走行レーンL1を、上下方向Z視で物品収納棚2と重なる位置に、第1方向Xに沿って一直線状に形成してもよい。
【0050】
3.第3の実施形態
次に、物品仕分け設備の第3の実施形態について、
図10から
図12を用いて説明する。本実施形態では、作業エリアE1に仮置き部31を設置している点で、上記第1の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る物品仕分け設備について、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0051】
図10及び
図11に示すように、作業エリアE1の夫々に少なくとも1つの仮置き部31が設けられている。本実施形態では、作業エリアE1の夫々に2つの仮置き部31が設けられている。仮置き部31は、物品Wを収容する収容部32と、収容部32に収容した物品Wを支持する開閉体33と、開閉体33を操作するアクチュエータ(図示せず)と、を備えている。開閉体33は、水平方向に沿う姿勢となって物品Wを支持する支持姿勢と、収容部32から下方に延びる姿勢となって物品Wを支持しない支持解除姿勢と、に切り換え可能に構成されている。仮置き部31は、開閉体33を支持姿勢とすることで、少なくとも1つの物品Wを保持する保持状態となり、開閉体33を支持解除姿勢とすることで、保持していた物品Wを排出する排出状態となる。このように、仮置き部31は、保持状態と排出状態とに状態変化可能に構成されている。
【0052】
図12に仮想線で示すように、物品搬送車4が仮置き部31に対応する位置に無い状態では、仮置き部31は保持状態となり、
図12に実線で示すように、物品搬送車4が仮置き部31に対応する位置に在る状態で、仮置き部31は排出状態となる。具体的には、ピッキング作業を行う物品搬送車4が仮置き部31に到達するに伴って、当該物品搬送車4又は制御装置Hから排出情報を仮置き部31に送信する。仮置き部31は、排出情報を受信するに伴って保持状態から排出状態に状態変化し、保持していた物品Wを物品搬送車4の支持部3に支持させる。そして、排出状態に状態変化してから設定時間後に保持状態に状態変化する。なお、これらの状態変化は、仮置き部31が備える制御部(図示せず)が、開閉体33を操作するアクチュエータを制御することにより行われる。
【0053】
指示ランプ12は、仮置き部31の夫々に対応して備えられている。本実施形態では、指示ランプ12は、ピッキング作業を行う仮置き部31を指示する。指示ランプ12の点灯により、収納部1から取り出した物品Wを支持させる仮置き部31を作業者Mが認識することができるようになっている。このように、本実施形態では、作業エリアE1の作業者Mは、自身が担当している作業エリアE1に対応する複数の収納部1の何れかから物品Wを取り出し、その物品Wを自身が担当しているレーンエリアLEにある仮置き部31に支持させるようにして、ピッキング作業を行う。仮置き部31に保持された物品Wは、上記のとおり、物品搬送車4が仮置き部31に到達するに伴って、当該物品搬送車4の支持部3に支持される。このように、本実施形態では、仮置き部31を用いて、収納部1から走行レーンL1にある物品搬送車4の支持部3に物品Wを移載するピッキング作業を行う。
【0054】
4.その他の実施形態
次に、物品仕分け設備のその他の実施形態について説明する。
【0055】
(1)上記実施形態では、作業エリアE1に作業者Mを配置して作業者Mによってピッキング作業を行ったが、作業エリアE1に移載ロボットを配置して移載ロボットによってピッキング作業を行うようにしてもよい。また、作業者Mを配置した作業エリアE1と、移載ロボットを配置した作業エリアE1と、の双方を備えてもよい。ちなみに、作業者Mを配置した作業エリアE1と、移載ロボットを配置した作業エリアE1と、の双方を備える場合、作業者Mを配置した作業エリアE1に対するレーンエリアLEを走行する物品搬送車4の走行速度と、移載ロボットを配置した作業エリアE1に対するレーンエリアLEを走行する物品搬送車4の走行速度とを異ならせてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態では、走行レーンL1に加えて、分岐レーンL2と完了レーンL3とを備える構成について説明したが、これに限定されず、例えば、走行レーンL1のみを備える構成としてもよい。或いは、走行レーンL1に加えて分岐レーンL2と完了レーンL3との内のいずれか一方のみを備える構成としてもよい。
【0057】
(3)上記実施形態では、走行制御における物品搬送車4の走行速度を、第1速度と第2速度と第3速度との3段階の速度に変更可能に構成したが、走行制御における物品搬送車4の走行速度を、2段階の速度又は4段階以上の速度に変更可能に構成してもよい。また、上記実施形態では、第3速度は第1速度より遅い速度であればよく、物品搬送車4が停止する速度でなくてもよい。また、走行制御における物品搬送車4の走行速度は適宜変更してもよい。
【0058】
(4)上記実施形態では、支持部3は、第1支持体3Aと第2支持体3Bとの2つの支持体を備えたが、支持部3は、支持体を1つのみ備えてもよく、支持体を3つ以上備えてもよい。
【0059】
(5)上記実施形態では、指示ランプ12を、走行レーンL1と作業エリアE1との間に設置したが、指示ランプ12の設置位置は適宜変更してもよい。例えば、指示ランプ12を、複数の物品搬送車4の夫々に設置してもよい。
【0060】
(6)上記実施形態では、物品搬送車4の全体を上下方向Zに沿う軸心周りに回転させることで、支持部3を第1回転状態と第2回転状態とに回転させたが、このような構成には限定されない。例えば、物品搬送車4に、走行部16に対して、上下方向Zに沿う軸心周りに回転可能なターンテーブルを備え、このターンテーブルに支持部3を支持させた構成としてもよい。この場合、走行部16に対してターンテーブルを回転させることで、支持部3を第1回転状態と第2回転状態とに回転させるようにしてもよい。
【0061】
(7)上記実施形態では、物品仕分け設備を、複数の収納部1に収納されている物品Wを物品搬送車4の支持部3に収集するピッキング作業を行うピッキング設備としたが、これには限定されない。例えば、物品仕分け設備を、複数の物品搬送車4の支持部3に支持されている物品Wを収納部1に収集するアソート作業を行うアソート設備としてもよく、或いは、ピッキング作業とアソート作業との双方を行う設備としてもよい。
【0062】
(8)上記実施形態では、物品収納棚2を流動棚とし、収納部1を、第2方向第2側Y2に向かうに従って下方に傾斜する姿勢で備え、収納部1の第2方向第1側Y1に載せられた物品Wが自重で収納部1の第2方向第2側Y2の端部まで移動するように構成したが、このような構成には限定されない。例えば、収納部1に収納された物品Wが第2方向Yに移動しない通常の棚を用いた物品収納棚2としてもよい。
また、上記実施形態では、物品収納棚2が収納部1を備えた構成について説明したにが、収納部1が設けられる場所は適宜変更してもよい。例えば、自動倉庫から出庫された物品Wが搬送される出庫ステーションを収納部1としてもよい。また、上記実施形態では、物品Wを、収納用容器Dに収容した状態で収納部1に収納した構成について説明したが、物品Wを収納部1に収納する状態は適宜変更してもよい。例えば、物品Wを平パレット上に載置した状態で収納部1に収納してもよい。
【0063】
(9)上記実施形態では、制御部20は、判別制御において、秤量部19が計量した重量の変化と、ピッキング情報に示された支持部3に支持させるべき物品Wの種類情報と、当該種類情報に示された種類の物品Wの重量情報と、ピッキング情報に示された物品Wの数情報と、に基づいて、ピッキング作業が完了したか否かを判別した。しかし、判別制御におけるピッキング作業が完了したか否かの判別は適宜変更してもよい。例えば、指示ランプ12の近傍に、テープスイッチ等で構成された操作部を備え、ピッキング作業が完了した作業者Mが操作部を操作することで、その操作部を操作した情報である操作情報が物品搬送車4に送信されるように構成する。そして、制御部20は、判別制御において、物品搬送車4が操作情報を受信した場合に、ピッキング作業が完了したと判別するようにしてもよい。また、物品Wに、物品Wの種類を示す情報をバーコード等の二次元コードで表示しておき、作業者Mは、物品搬送車4の支持部3に物品Wを載せる場合にその物品Wの二次元コードをリーダによって読み取るように構成する。そして、制御部20は、判別制御において、ピッキング情報に示された支持部3に支持させるべき物品Wの種類情報と、ピッキング情報に示された物品Wの数情報と、リーダが読み取った情報である読取情報と、に基づいて、ピッキング作業が完了したと判別してもよい。
【0064】
(10)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0065】
5.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品仕分け設備の概要について説明する。
【0066】
物品仕分け設備は、
物品を収納する複数の収納部と、
物品を支持する支持部を備えた複数の物品搬送車と、
予め設定された受渡レーンと、
前記収納部と前記受渡レーンにある前記物品搬送車の前記支持部との間で物品を移載する作業が行われる複数の作業エリアと、を備え、
前記作業エリアの夫々が前記収納部及び前記受渡レーンに隣接すると共に、前記受渡レーンに沿って複数の前記作業エリアが並ぶように配置され、
前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と平行して前記物品搬送車が走行可能な他のレーンを更に備え、
前記物品搬送車は、前記受渡レーンに沿った何れの箇所においても、前記受渡レーンと前記他のレーンとの間でレーンチェンジ可能に構成されている。
【0067】
この構成によれば、受渡レーンに沿って走行する物品搬送車の支持部によって物品が支持されて搬送される。そのため、例えば、特定の作業エリアにおいて物品を移載する移載作業に遅れが生じた等によって当該移載作業の対象となる物品搬送車を停車させた場合であっても、当該物品搬送車より先行している物品搬送車や、当該物品搬送車と間隔を空けて走行している後続の物品搬送車は、停止することなく走行を継続することができる。従って、他の作業エリアの作業者は、これらの物品搬送車に対する移載作業を継続して行うことができる。そのため、一部の作業エリアにおける移載作業の遅れによって他の作業エリアにおける作業効率までが低下することを抑制できる。また、例えば、物品を移載する作業が完了した物品搬送車を受渡レーンから離脱するように走行させることで、受渡レーンにおける移載作業の対象となる物品搬送車の割合を高めることができる。これにより、作業エリアにおける作業効率を高めることができる。
【0068】
ここで、
前記受渡レーンは、複数の前記作業エリアの夫々に対応したレーンエリアを有し、
複数の前記物品搬送車は、複数の前記レーンエリアのそれぞれに1台以上の前記物品搬送車が存在するように走行すると好適である。
【0069】
この構成によれば、複数の作業エリアのそれぞれにおいて、対応するレーンエリアに存在する1台以上の物品搬送車に対する移載作業を行うことができる。従って、複数の作業エリアにおいて並行して移載作業を行うことができる割合を高めることができ、作業エリアにおける作業効率を高めることが可能となる。
【0070】
また、
前記複数の物品搬送車の夫々は、互いに独立して走行速度を変更可能に構成されていると好適である。
【0071】
この構成によれば、先行する物品搬送車との間隔や各作業エリアにおける移載作業の進捗状態等に応じて、各物品搬送車の走行速度を適宜変更することができる。従って、例えば、2台の物品搬送車の間の無駄な間隔を小さくしたり、移載作業を行い易いように物品搬送車の走行速度を調節したり、移載作業に支障のない範囲で物品搬送車の走行速度を速くしたりすることが可能となる。これにより、物品搬送車の流通効率を高めることができ、作業エリアにおける作業効率を高めることが可能となる。
【0072】
また、
前記受渡レーンは、複数の前記作業エリアの夫々に対応したレーンエリアを有し、
前記物品搬送車は、前記レーンエリアの夫々において、当該レーンエリアに対応する作業エリアにおいて自車の前記支持部に対する移載作業が全て完了するまでは第1速度で走行し、自車の前記支持部に対する移載作業が全て完了した後は、前記第1速度より高速の第2速度で走行すると好適である。
【0073】
この構成によれば、支持部に対する移載作業中の物品搬送車は低速の第1速度で走行させ、支持部に対する移載作業が完了した物品搬送車は高速の第2速度で走行させるため、走行中の物品搬送車に対する移載作業の容易性を確保しつつ、受渡レーンにおける物品搬送車の平均走行速度を全体として高めることができる。これにより、物品搬送車の流通効率を高めることができ、作業エリアにおける作業効率を高めることが可能となる。
【0074】
また、
前記他のレーンに、前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と並行して前記物品搬送車が走行可能な完了レーンが含まれ、
前記物品搬送車は、前記受渡レーンから前記完了レーンにレーンチェンジ可能に構成されていると好適である。
【0075】
この構成によれば、例えば、物品の移載作業が全て完了した物品搬送車を、受渡レーンから完了レーンにレーンチェンジさせて完了レーンを走行させることで、受渡レーンにおけるにおける移載作業の対象となる物品搬送車の割合を高めることができる。これにより、作業エリアにおける作業効率を高めることができる。
【0076】
また、
前記他のレーンに、前記受渡レーンに沿って走行する前記物品搬送車と並行して前記物品搬送車が走行可能な分岐レーンが含まれ、
前記物品搬送車は、前記受渡レーンから前記分岐レーンにレーンチェンジ可能で且つ前記分岐レーンから前記受渡レーンにレーンチェンジ可能に構成されていると好適である。
【0077】
この構成によれば、複数の作業エリアのうち、自車に対する移載作業を行わない作業エリアでは物品搬送車に受渡レーンではなく分岐レーンを走行させ、自車に対する移載作業を行う作業エリアについてのみ物品搬送車に受渡レーンを走行させることが可能となる。
これにより、受渡レーンにおけるにおける移載作業の対象となる物品搬送車の割合を高めることができ、作業エリアにおける作業効率を高めることができる。
【0078】
また、
前記支持部は、個別に物品を支持する第1支持体と第2支持体とを備え、
前記第1支持体と前記第2支持体とは、水平方向に互いに隣接して配置され、
前記受渡レーンに対して前記作業エリアが存在する側を作業側として、
前記物品搬送車は、前記支持部を上下方向に沿う軸心周りに回転可能に構成され、
前記物品搬送車は、前記受渡レーンにおいて、前記第1支持体が前記第2支持体より前記作業側に位置するように前記支持部を回転させた第1回転状態と、前記第2支持体が前記第1支持体より前記作業側に位置するように前記支持部を回転させた第2回転状態と、に前記支持部を回転させると好適である。
【0079】
この構成によれば、第1支持体に対して移載作業を行う必要がある場合には、物品搬送車が第1回転状態となるようにすることで、第1支持体に対する移載作業を行い易くすることができ、第2支持体に対して移載作業を行う必要がある場合には、物品搬送車が第2回転状態となるようにすることで、第2支持体に対する移載作業を行い易くすることができる。つまり、この構成によれば、個別に物品を支持する2つの支持体を支持部に備えつつ、これら2つの支持体の双方に対する移載作業を容易に行うことができる。
【0080】
また、
前記物品搬送車は、前記支持部に支持された物品の重量を量る秤量部を備えていると好適である。
【0081】
この構成によれば、秤量部によって支持部に支持された物品の重量を量ることで、支持部に物品が支持されたか否かの判別や、別途物品の重量情報を取得可能な場合には、支持された物品の重量から当該物品の種類を判別することが可能となる。
【0082】
また、
前記物品搬送車の走行方向における前記受渡レーンよりも下流側に、前記複数の物品搬送車が列をなさずに走行しつつ互いの走行順序を入れ替え可能な入替エリアが設けられていると好適である。
【0083】
この構成によれば、入替エリアにおいて複数の物品搬送車の走行順序を入れ替えることができるため、この入替エリアより上流側である受渡レーンにおいては、複数の物品搬送車の走行順序が規定の順序と異なっていてもよい。そのため、受渡レーンにおける物品搬送車の走行順序の自由度を高めることができながら、入替エリアよりも下流側においては複数の物品搬送車を規定の順序とすることができる。
【0084】
また、
前記作業エリアの夫々に少なくとも1つの仮置き部が設けられ、
前記仮置き部は、少なくとも1つの物品を保持する保持状態と、保持していた物品を排出する排出状態と、に状態変更可能に構成され、
前記物品搬送車が前記仮置き部に対応する位置に無い状態では、前記仮置き部は保持状態となり、
前記物品搬送車が前記仮置き部に対応する位置に在る状態で、前記仮置き部は排出状態となると好適である。
【0085】
この構成によれば、物品搬送車が前記仮置き部に対応する位置に無い状態では、仮置き部に物品を保持させ、当該仮置き部に保持させた物品を、物品搬送車が仮置き部に対応する位置に在る状態となった際に排出し、当該物品搬送車の支持部に支持させることができる。これにより、物品搬送車が作業エリアにいない状態でも、作業者は、当該物品搬送車に対応する物品の収納部からの取り出しを行うことができる。従って、作業エリアにおける作業効率を高めることができる。
【0086】
また、
複数の前記収納部と前記受渡レーンとが、上下方向視で複数の前記作業エリアを挟んで互いに反対側に配置されていると好適である。
【0087】
また、
複数の前記収納部と前記受渡レーンとが、上下方向視で複数の前記作業エリアに対して同じ側に配置されると共に、上下方向視で重複するように配置されていると好適である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示に係る技術は、物品を収納する複数の収納部と、物品を移載する作業が行われる複数の作業エリアと、を備えた物品仕分け設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1:収納部
3:支持部
3A:第1支持体
3B:第2支持体
4:物品搬送車
19:秤量部
31:仮置き部
E1:作業エリア
E2:入替エリア
L1:走行レーン
L2:分岐レーン
L3:完了レーン
LE:レーンエリア
W:物品
Z:上下方向