(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】重荷重用タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240611BHJP
B60C 15/06 20060101ALI20240611BHJP
B60C 15/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B60C19/00 J
B60C15/06 N
B60C15/06 B
B60C15/06 F
B60C15/00 K
B60C19/00 G
(21)【出願番号】P 2023078989
(22)【出願日】2023-05-12
(62)【分割の表示】P 2022101569の分割
【原出願日】2022-06-24
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 将行
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-046057(JP,A)
【文献】特開2022-050717(JP,A)
【文献】特開2018-069843(JP,A)
【文献】特開2020-183187(JP,A)
【文献】特開2021-030894(JP,A)
【文献】特開2023-085087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
B60C 15/06
B60C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビードと、
一対の前記ビードの間を架け渡すカーカスと、
リムと接触する一対のチェーファーと、
前記ビードと前記チェーファーとの間に位置する一対のスチール補強層と、
前記スチール補強層と前記チェーファーとの間に位置する一対の繊維補強層と、
RFIDタグを含むタグ部材と
を備え、
前記ビードが、コアと、前記コアの径方向外側に位置するエイペックスとを備え、
前記カーカスがカーカスプライを備え、
前記カーカスプライが、一対の前記ビードの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なり前記ビードで折り返される一対の折り返し部とを備え、
前記スチール補強層がスチールコードを含み、
前記繊維補強層が有機繊維コードを含み、
前記スチール補強層が、前記折り返し部の径方向内側から前記ビードの径方向内側部分を包むように配置され、
前記スチール補強層の外端が、前記折り返し部の端の径方向内側に位置し、
前記繊維補強層の内端が、前記スチール補強層の内端の径方向内側に位置し、
前記繊維補強層の外端が、径方向において、前記折り返し部の端と前記エイペックスの外端との間に位置し、
前記繊維補強層が、第一補強プライと第二補強プライとを備え、
前記第一補強プライの内端が前記繊維補強層の内端であり、前記第二補強プライの外端が前記繊維補強層の外端であり、
前記折り返し部の端の径方向外側において前記タグ部材が前記エイペックスに接触し、
前記RFIDタグが、径方向において、前記折り返し部の端と、前記エイペックスの外端との間に位置し、
前記第二補強プライの外端が前記第一補強プライの外端の径方向外側に位置し、
前記RFIDタグが、前記第一補強プライの外端の径方向外側に位置する、
重荷重用タイヤ。
【請求項2】
前記エイペックスの外端がタイヤの最大幅位置の径方向内側に位置する、
請求項1に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項3】
前記第一補強プライの外端が前記折り返し部の端の径方向外側に位置する、
請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項4】
前記第一補強プライの外端から前記折り返し部の端までの径方向距離が5.0mm以上15mm以下である、
請求項3に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項5】
前記エイペックスの外端の径方向高さの、前記繊維補強層の外端の径方向高さに対する比が1.15以上1.80以下である、
請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項6】
前記チェーファーの外端の径方向高さの、前記繊維補強層の外端の径方向高さに対する比が0.70以上1.20以下である、
請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項7】
前記第一補強プライの外端から前記第二補強プライの外端までの径方向距離が5.0mm以上15mm以下である、
請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項8】
前記RFIDタグが、前記繊維補強層の外端の径方向外側に位置する、
請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【請求項9】
前記カーカスの軸方向外側に位置し、前記チェーファーの径方向外側に位置する、一対のサイドウォールを備え、
前記エイペックスと前記サイドウォールとの間において、前記タグ部材の少なくとも一部が前記エイペックス及び前記サイドウォールのそれぞれと接する、
請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造管理、顧客情報、走行履歴等のデータを管理するために、RFID(Radio Frequency Identification)タグをタイヤに内蔵することが提案されている。RFIDタグをタイヤに内蔵する技術について様々な検討が行われている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
損傷防止の観点から、タイヤにおいて屈曲の程度が小さい部分にRFIDタグは設けられる。重荷重用タイヤの場合、ビード部が高い剛性を有する。RFIDタグの配置位置としてビード部が検討される。
【0005】
タイヤは、一対のビードの間を架け渡すカーカスを備える。カーカスはカーカスプライを備える。カーカスプライはビードで折り返される。重荷重用タイヤの場合、カーカスプライの折り返し部は、その端がビードのエイペックスと重複するように配置される。
【0006】
カーカスプライは並列した多数のカーカスコードを含む。重荷重用タイヤでは、スチールコードがカーカスコードとして用いられる。スチールコードのような金属要素のそばにRFIDタグを配置すると電波に乱れが生じることが懸念される。
重荷重用タイヤでは、RFIDタグをビード部にセットする場合、金属要素からの距離を確保できる観点から、折り返し部の端とエイペックスの端との間のゾーンにおいて、エイペックスの軸方向外側にRFIDタグを配置することが検討される。
【0007】
積載量が多く大きな荷重がタイヤに作用する場合や、偏摩耗に対するケアが必要な場合、スチールコードの層で構成されるスチール補強層に、ナイロン繊維等の有機繊維からなるコードの層で構成される繊維補強層を加えた構造がビード部に適用される。通常、繊維補強層は2枚の補強プライで構成される。繊維補強層の追加により、エイペックスの軸方向外側には、補強プライの端が2か所、追加される。補強プライの端には歪みが集中しやすい。そのため、繊維補強層をビード部に追加したタイヤでは、補強プライの端又はRFIDタグを起点とする損傷が生じることがないよう手当てが必要である。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、耐久性への影響を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる、重荷重用タイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る重荷重用タイヤは、一対のビードと、一対の前記ビードの間を架け渡すカーカスと、リムと接触する一対のチェーファーと、前記ビードと前記チェーファーとの間に位置する一対のスチール補強層と、前記スチール補強層と前記チェーファーとの間に位置する一対の繊維補強層と、RFIDタグを含むタグ部材とを備える。前記ビードは、コアと、前記コアの径方向外側に位置するエイペックスとを備える。前記カーカスはカーカスプライを備え、前記カーカスプライが、一対の前記ビードの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なり前記ビードで折り返される一対の折り返し部とを備える。前記スチール補強層はスチールコードを含み、前記繊維補強層は有機繊維コードを含む。前記スチール補強層は、前記折り返し部の径方向内側から前記ビードの径方向内側部分を包むように配置される。前記スチール補強層の内端及び外端は、径方向において、前記折り返し部の端と前記コアとの間に位置する。前記繊維補強層の内端は、前記スチール補強層の内端の径方向内側に位置する。前記繊維補強層の外端は、径方向において、前記折り返し部の端と前記エイペックスの外端との間に位置する。前記繊維補強層は、第一補強プライと第二補強プライとを備える。前記第一補強プライの内端が前記繊維補強層の内端であり、前記第二補強プライの外端が前記繊維補強層の外端である。前記折り返し部の端の径方向外側において前記タグ部材は前記エイペックスに接触する。前記RFIDタグは、径方向において、前記折り返し部の端と、前記エイペックスの外端との間に位置する。前記第二補強プライの外端は前記第一補強プライの外端の径方向外側に位置する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐久性への影響を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる、重荷重用タイヤが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る重荷重用タイヤの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0013】
本発明のタイヤはリムに組まれる。タイヤの内部には空気が充填され、タイヤの内圧が調整される。リムに組まれたタイヤはタイヤ-リム組立体とも呼ばれる。タイヤ-リム組立体は、リムと、このリムに組まれたタイヤとを備える。
【0014】
本発明において、タイヤを正規リムに組み、タイヤの内圧を正規内圧に調整し、このタイヤに荷重をかけていない状態は、正規状態と称される。
【0015】
本発明においては、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、測定される。この測定では、左右のビード間の距離が、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致するように、タイヤはセットされる。
【0016】
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
【0017】
正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
【0018】
正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
【0019】
本発明において、タイヤのトレッド部とは、路面と接地する、タイヤの部位である。ビード部とは、リムに嵌め合わされる、タイヤの部位である。サイドウォール部とは、トレッド部とビード部との間を架け渡す、タイヤの部位である。タイヤは、部位として、トレッド部、一対のビード部及び一対のサイドウォール部を備える。
【0020】
本発明において、タイヤを構成する要素のうち、架橋ゴムからなる要素の複素弾性率は、JIS K6394の規定に準拠して測定される。測定条件は下記の通りである。
初期歪み=10%
動歪み=±1%
周波数=10Hz
モード=伸長モード
温度=70℃
この測定では、試験片(長さ40mm×幅4mm×厚さ1mm)はタイヤからサンプリングされる。試験片の長さ方向は、タイヤの周方向と一致させる。タイヤから試験片をサンプリングできない場合には、測定対象の要素の形成に用いられるゴム組成物を170℃の温度で12分間加圧及び加熱して得られる、シート状の架橋ゴム(以下、ゴムシートとも称される。)から試験片がサンプリングされる。
本発明において複素弾性率は、70℃での複素弾性率で表される。
【0021】
[本発明の実施形態の概要]
[構成1]
本発明の一態様に係る重荷重用タイヤは、一対のビードと、一対の前記ビードの間を架け渡すカーカスと、リムと接触する一対のチェーファーと、前記ビードと前記チェーファーとの間に位置する一対のスチール補強層と、前記スチール補強層と前記チェーファーとの間に位置する一対の繊維補強層と、RFIDタグを含むタグ部材とを備え、前記ビードが、コアと、前記コアの径方向外側に位置するエイペックスとを備え、前記カーカスがカーカスプライを備え、前記カーカスプライが、一対の前記ビードの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なり前記ビードで折り返される一対の折り返し部とを備え、前記スチール補強層がスチールコードを含み、前記繊維補強層が有機繊維コードを含み、前記スチール補強層が、前記折り返し部の径方向内側から前記ビードの径方向内側部分を包むように配置され、前記スチール補強層の内端及び外端が、径方向において、前記折り返し部の端と前記コアとの間に位置し、前記繊維補強層の内端が、前記スチール補強層の内端の径方向内側に位置し、前記繊維補強層の外端が、径方向において、前記折り返し部の端と前記エイペックスの外端との間に位置し、前記繊維補強層が、第一補強プライと第二補強プライとを備え、前記第一補強プライの内端が前記繊維補強層の内端であり、前記第二補強プライの外端が前記繊維補強層の外端であり、前記折り返し部の端の径方向外側において前記タグ部材が前記エイペックスに接触し、前記RFIDタグが、径方向において、前記折り返し部の端と、前記エイペックスの外端との間に位置し、前記第二補強プライの外端が前記第一補強プライの外端の径方向外側に位置する。
【0022】
このようにタイヤを整えることにより、RFIDタグは、屈曲の程度が小さいビード部に配置される。この配置はRFIDタグの損傷リスクの低減に貢献する。カーカスプライとRFIDタグとの間にエイペックスが位置する。カーカスプライと間隔をあけてRFIDタグは配置される。カーカスプライに含まれるカーカスコードがスチールコードであったとしても、電波に乱れが生じにくい。RFIDタグと通信機器(図示されず)との間に良好な通信環境が形成される。RFIDタグへのデータの書き込み及び、RFIDタグに記録されたデータの読み取りが、正確に行われる。
【0023】
このタイヤでは、エイペックスの軸方向外側に、繊維補強層を構成する2枚の補強プライの外端、すなわち第一補強プライの外端と、第二補強プライの外端とが位置する。しかもこのエイペックスの軸方向外側にはRFIDタグも配置される。そのため、2枚の補強プライの配置の状況によっては、補強プライの外端や、RFIDタグを起点とする損傷が生じることが懸念される。RFIDタグに損傷が生じる恐れもある。
【0024】
しかしこのタイヤでは、第二補強プライの外端が第一補強プライの外端と一致することなくこの第一補強プライの外端から離して配置される。そのため、これらの外端への歪の集中が抑制される。繊維補強層がビード部の剛性を高めるので、ビード部に荷重が作用した際のビード部の変形も抑制される。そのため、RFIDタグに対しても歪が集中しにくい。このタイヤでは、エイペックスの軸方向外側に繊維補強層及びRFIDタグを設けたことによる、耐久性への影響が抑制される。そして、RFIDタグの損傷リスクも低減される。
【0025】
このタイヤは、耐久性への影響を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる。
【0026】
[構成2]
好ましくは、前述の[構成1]に記載のタイヤにおいて、前記エイペックスの外端はタイヤの最大幅位置の径方向内側に位置する。
このようにタイヤを整えることにより、RFIDタグは最大幅位置PWの径方向内側に配置される。このタイヤでは、RFIDタグに歪が集中することが抑制されるので、RFIDタグの存在を起因とする損傷の発生が抑制される。そして、RFIDタグに損傷が発生することも抑制される。このタイヤでは、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグの損傷リスクの低減も図れる。
【0027】
[構成3]
好ましくは、前述の[構成1]又は[構成2]に記載のタイヤにおいて、前記第一補強プライの外端が前記折り返し部の端の径方向外側に位置する。
このようにタイヤを整えることにより、折り返し部の端、第一補強プライの外端そして第二補強プライの外端が、径方向にこの順でしかも分散して配置される。このタイヤでは、ビード部に荷重が作用した際の、歪みの集中が効果的に抑制される。RFIDタグへの歪みの集中も抑制されるので、RFIDタグの損傷リスクがさらに低減される。このタイヤでは、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグの損傷リスクも低減される。
【0028】
[構成4]
より好ましくは、前述の[構成3]に記載のタイヤにおいて、前記第一補強プライの外端から前記折り返し部の端までの径方向距離が5.0mm以上15mm以下である。
このようにタイヤを整えることにより、第一補強プライの外端及び折り返し部の端への歪の集中が効果的に抑えられる。第一補強プライの外端と折り返し部の端との間隔が適切に維持されるので、繊維補強層及び折り返し部がビード部の剛性を効果的に高める。ビード部に荷重が作用した際のビード部の変形が効果的に抑制されるので、RFIDタグに対して歪が集中しにくい。このタイヤでは、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグの損傷リスクが効果的に低減される。
【0029】
[構成5]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成4]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記エイペックスの外端の径方向高さの、前記繊維補強層の外端の径方向高さに対する比が1.15以上1.80以下である。
このようにタイヤを整えることにより、エイペックスによるタイヤの撓みへの影響を考慮しつつ、タグ部材の配置スペースが確保できる。このタイヤは、繊維補強層の外端と干渉しにくい位置にRFIDタグを配置できる。そのため、RFIDタグに対して歪が集中しにくい。このタイヤでは、良好な乗り心地を維持しながら、RFIDタグの損傷リスクが効果的に低減される。
【0030】
[構成6]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成5]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記チェーファーの外端の径方向高さの、前記繊維補強層の外端の径方向高さに対する比が0.70以上1.20以下である。
このようにタイヤを整えることにより、繊維補強層からのチェーファーの突出が抑制される。そのため、チェーファーにタグ部材が干渉したとしても、クリースの発生が抑制される。ビード部の剛性が適切に維持されるので、ビード部に荷重が作用した際のビード部の変形が抑制される。繊維補強層の外端や、RFIDタグへの歪の集中が抑えられるので、このタイヤでは、耐久性への影響が抑制される上に、RFIDタグの損傷リスクも低減される。
【0031】
[構成7]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成6]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記第一補強プライの外端から前記第二補強プライの外端までの径方向距離は5.0mm以上15mm以下である。
このようにタイヤを整えることにより、第一補強プライの外端及び第二補強プライの外端への歪の集中が抑えられる。さらに繊維補強層の径方向外側部分の剛性が適切に維持されるので、繊維補強層がビード部の剛性を効果的に高めることができる。ビード部の変形が効果的に抑制されるので、RFIDタグに対して歪が集中しにくい。このタイヤでは、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグの損傷リスクが効果的に低減される。
【0032】
[構成8]
好ましくは、前述の[構成1]から[構成7]のいずれかに記載のタイヤにおいて、前記RFIDタグが前記第一補強プライの外端の径方向外側に位置する。
このようにタイヤを整えることにより、RFIDタグは、折り返し部の端から離して配置される。電波に乱れが生じにくいので、RFIDタグと通信機器(図示されず)との間に良好な通信環境が形成される。
【0033】
[構成9]
好ましくは、前述の[構成1]に記載のタイヤにおいて、前記RFIDタグが、前記繊維補強層の外端の径方向外側に位置する。
このようにタイヤを整えることにより、RFIDタグが繊維補強層の外端と干渉することが抑制される。このタイヤでは、RFIDタグにも、繊維補強層の外端にも、歪は集中しにくい。このタイヤでは、繊維補強層及びRFIDタグによる耐久性への影響が効果的に抑制される。そして、RFIDタグの損傷リスクがさらに低減される。
【0034】
[本発明の実施形態の詳細]
図1は、本発明の一実施形態に係る重荷重用タイヤ2(以下、単に「タイヤ2」とも称する。)の一部を示す。このタイヤ2は、トラック、バス等の車両に装着される。
図1においてタイヤ2はリムR(正規リム)に組まれた状態にある。
【0035】
図1は、タイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面(以下、子午線断面)の一部を示す。
図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。
図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。
図2は
図1に示された断面の一部を示す。
図2はタイヤ2のビード部を示す。
【0036】
図1において径方向に延びる一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表す。
図1及び2において軸方向に延びる実線BBLは、ビードベースラインである。ビードベースラインは、リムRのリム径(JATMA等参照)を規定する線である。
【0037】
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のチェーファー8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、一対のクッション層16、ストリップ層18、一対のスチール補強層20、層間ストリップ22、インナーライナー24、一対の繊維補強層26及びタグ部材28を備える。
【0038】
トレッド4はカーカス12の径方向外側に位置する。トレッド4はトレッド面30において路面と接地する。トレッド4には溝32が刻まれる。
トレッド4は、ベース部34と、このベース部34の径方向外側に位置するキャップ部36とを備える。ベース部34は低発熱性の架橋ゴムで構成される。キャップ部36は耐摩耗性及びグリップ性能が考慮された架橋ゴムで構成される。キャップ部36がトレッド面30を含む。
【0039】
図1において符号PCで示される位置は赤道である。赤道PCはトレッド面30と赤道面との交点である。このタイヤ2のように赤道面上に溝32が位置する場合、溝32がないと仮定して得られる仮想トレッド面に基づいて赤道PCが特定される。
正規状態のタイヤ2において得られる、ビードベースラインから赤道PCまでの径方向距離がこのタイヤ2の断面高さ(JATMA等参照)である。
【0040】
それぞれのサイドウォール6はトレッド4の端に連なる。サイドウォール6はトレッド4の径方向内側に位置する。サイドウォール6はカーカス12の軸方向外側に位置する。符号PSで示される位置は、サイドウォール6の内端である。
サイドウォール6は耐カット性が考慮された架橋ゴムで構成される。サイドウォールの複素弾性率は2.0MPa以上6.0MPa以下である。
【0041】
符号PWで示される位置はタイヤ2の軸方向外端(以下、外端PW)である。模様や文字等の装飾が外面にある場合、外端PWは、装飾がないと仮定して得られる仮想外面に基づいて特定される。タイヤ2は外端PWにおいて最大幅を示す。
本発明においては、正規状態のタイヤ2において得られる、外端PWが最大幅位置とも呼ばれる。そして、正規状態のタイヤ2において得られる、第一の外端PWから第二の外端PW(図示されず)までの軸方向距離が、このタイヤ2の断面幅(JATMA等参照)である。
【0042】
図1において符号Hで示される長さはビードベースラインから最大幅位置PWまでの径方向距離である。径方向距離Hは最大幅位置PWの径方向高さとも呼ばれる。
正規状態のタイヤ2において、最大幅位置PWの径方向高さHの、断面高さに対する比は0.40以上0.60以下である。
【0043】
それぞれのチェーファー8はサイドウォール6の径方向内側に位置する。チェーファー8はリムRと接触する。符号PBで示される位置はチェーファー8の外端である。
チェーファー8は耐摩耗性が考慮された架橋ゴムで構成される。チェーファー8の複素弾性率は10MPa以上15MPa以下である。チェーファー8はサイドウォール6よりも硬質である。
【0044】
それぞれのビード10はチェーファー8の軸方向内側に位置する。ビード10はサイドウォール6の径方向内側に位置する。ビード10は、コア38と、エイペックス40とを備える。
【0045】
コア38は周方向にのびる。コア38は、巻き回されたスチール製のワイヤを含む。コア38は略六角形の断面形状を有する。
エイペックス40はコア38の径方向外側に位置する。エイペックス40はコア38から径方向外向きにのびる。エイペックス40は外向きに先細りである。エイペックス40の外端PAはチェーファー8の外端PBの径方向外側に位置する。
【0046】
エイペックス40は内側エイペックス42と外側エイペックス44とを備える。内側エイペックス42はコア38の径方向外側に位置する。外側エイペックス44は内側エイペックス42の径方向外側に位置する。
【0047】
内側エイペックス42は外向きに先細りである。内側エイペックス42は硬質な架橋ゴムで構成される。内側エイペックス42の複素弾性率は60MPa以上90MPa以下である。
【0048】
外側エイペックス44は、内側エイペックス42の外端PU付近において厚い。外側エイペックス44はこの厚い部分から内向きに先細りであり、外向きに先細りである。
外側エイペックス44の内端PG1はコア38の近くに位置する。外側エイペックス44の外端PG2はエイペックス40の外端PAでもある。
【0049】
外側エイペックス44は架橋ゴムで構成される。外側エイペックス44は内側エイペックス42よりも軟質である。外側エイペックス44の複素弾性率は3.0MPa以上6.0MPa以下である。
【0050】
このタイヤ2のエイペックス40はエッジストリップ46をさらに備える。
エッジストリップ46は外側エイペックス44の軸方向外側に位置し、エイペックス40の外側面の一部を構成する。エッジストリップ46は、繊維補強層26の外端PR1(又はチェーファー8の外端PB)と、外側エイペックス44の内端PG1との間に位置する。
エッジストリップ46は架橋ゴムで構成される。エッジストリップ46は、チェーファー8より軟質であり、外側エイペックス44より硬質である。エッジストリップ46の複素弾性率は7.0MPa以上12MPa以下である。
【0051】
カーカス12は、トレッド4、一対のサイドウォール6、及び一対のチェーファー8の内側に位置する。カーカス12は一対のビード10の間を架け渡す。このタイヤ2のカーカス12はラジアル構造を有する。
【0052】
カーカス12は少なくとも1枚のカーカスプライ48を備える。このタイヤ2のカーカス12は1枚のカーカスプライ48からなる。カーカスプライ48はビード10で折り返される。
【0053】
カーカスプライ48はプライ本体50と一対の折り返し部52とを備える。プライ本体50は一対のビード10の間、すなわち、第一のビード10と第二のビード10(図示されず)の間、を架け渡す。それぞれの折り返し部52は、プライ本体50に連なり、ビード10で折り返される。このタイヤ2の折り返し部52は、軸方向内側から外側に向かってビード10で折り返される。折り返し部52の端PFはチェーファー8の外端PBの径方向内側に位置する。プライ本体50と折り返し部52との間にビード10が挟まれる。
【0054】
図示されないが、カーカスプライ48は並列された多数のカーカスコードを含む。これらカーカスコードはトッピングゴムで覆われる。それぞれのカーカスコードは赤道面と交差する。カーカスコードの材質はスチールである。言い換えれば、カーカスコードとしてスチールコードが用いられる。
【0055】
図1において符号Nで示される長さは、ビードベースラインから折り返し部52の端PFまでの径方向距離である。径方向距離Nは、折り返し部52の端PFの径方向高さとも呼ばれる。
このタイヤ2では、折り返し部52の端PFの径方向高さNの、最大幅位置PWの径方向高さHに対する比(N/H)は0.25以上0.45以下である。
【0056】
ベルト14は4枚のベルトプライ54を備える。4枚のベルトプライ54は、第一ベルトプライ54A、第二ベルトプライ54B、第三ベルトプライ54C及び第四ベルトプライ54Dである。これらベルトプライ54は径方向に並ぶ。
このタイヤ2では、第二ベルトプライ54Bが最も広い幅を有し、第四ベルトプライ54Dが最も狭い幅を有する。
【0057】
図示されないが、各ベルトプライ54は並列した多数のベルトコードを含む。それぞれのベルトコードは赤道面に対して傾斜する。ベルトコードの材質はスチールである。言い換えれば、ベルトコードとしてスチールコードが用いられる。
【0058】
それぞれのクッション層16は、ベルト14の端において、ベルト14とカーカス12との間に位置する。クッション層16は、軟質な架橋ゴムで構成される。
【0059】
ストリップ層18はトレッド4の径方向内側においてカーカス12とベルト14との間に位置する。軸方向においてストリップ層18は第一のクッション層16と第二のクッション層16との間に位置する。ストリップ層18は架橋ゴムで構成される。
【0060】
それぞれのスチール補強層20はビード部に位置する。スチール補強層20はビード10とチェーファー8との間に位置する。スチール補強層20はカーカス12と繊維補強層26との間に位置する。スチール補強層20はビード10で折り返される。スチール補強層20は、折り返し部52の径方向内側からビード10の径方向内側部分を包むように配置される。スチール補強層20の内端20s及び外端20fは、径方向において、折り返し部52の端PFとコア38との間に位置する。
図示されないが、スチール補強層20は並列した多数の第一フィラーコードを含む。第一フィラーコードの材質はスチールである。スチール補強層20はスチールコードを含む。スチール補強層20においてスチールコードはトッピングゴムで覆われる。
【0061】
スチール補強層20の外端20fは軸方向において折り返し部52と繊維補強層26との間に位置する。外端20fは折り返し部52の端PFの径方向内側に位置する。内端20sは軸方向においてインナーライナー24とプライ本体50との間に位置する。内端20sの径方向位置は外端20fのそれと概ね一致していればよく、内端20sが外端20fの径方向外側に位置していてもよく、外端20fの径方向内側に位置していてもよい。
【0062】
それぞれの層間ストリップ22は軸方向において繊維補強層26とエイペックス40との間に位置する。層間ストリップ22は、折り返し部52の端PFとスチール補強層20の外端20fとを覆う。
層間ストリップ22は、折り返し部52の端PFの径方向外側においてエイペックス40と接触する。言い換えれば、層間ストリップ22とエイペックス40との接触面は、エイペックス40の外側面(又は、層間ストリップ22の内側面)の一部を構成する。
層間ストリップ22は、スチール補強層20の外端20fの径方向外側において繊維補強層26と接触する。言い換えれば、層間ストリップ22と繊維補強層26との接触面は、繊維補強層26の内側面(又は、層間ストリップ22の外側面)の一部を構成する。
層間ストリップ22は架橋ゴムで構成される。層間ストリップ22はサイドウォール6より硬質であり、チェーファー8より軟質である。層間ストリップ22の複素弾性率は7.0MPa以上12MPa以下である。
【0063】
インナーライナー24はカーカス12の内側に位置する。インナーライナー24は、架橋ゴムからなるインスレーション(図示されず)を介してカーカス12の内面に接合される。インナーライナー24はタイヤ2の内面を構成する。インナーライナー24は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。
【0064】
それぞれの繊維補強層26はビード部に位置する。繊維補強層26はスチール補強層20とチェーファー8との間に位置する。
繊維補強層26の内端PR2は、プライ本体50の軸方向内側において、インナーライナー24とスチール補強層20との間に位置する。繊維補強層26の内端PR2はスチール補強層20の内端20sの径方向内側に位置する。繊維補強層26の内端PR2は外側エイペックス44の内端PG1の径方向内側に位置する。
繊維補強層26の外端PR1はその内端PR2の径方向外側に位置する。繊維補強層26の外端PR1は、径方向において、折り返し部52の端PFとエイペックス40の外端PAとの間に位置する。
繊維補強層26の軸方向外側部分は、軸方向において、スチール補強層20及び層間ストリップ22と、チェーファー8との間に位置する。この軸方向外側部分はチェーファー8に接触する。軸方向外側部分とチェーファー8との接触面は、繊維補強層26の外側面(又は、チェーファー8の内側面)の一部を構成する。
【0065】
繊維補強層26は、2枚の補強プライ56、すなわち第一補強プライ58及び第二補強プライ60を備える。このタイヤ2では、2枚の補強プライ56のうち、第一補強プライ58がビード10側に位置し、第二補強プライ60がタイヤ2の外面側に位置する。第一補強プライ58に第二補強プライ60が積層される。第一補強プライ58と第二補強プライ60との接触面は、第一補強プライ58の外面(又は、第二補強プライ60の内面)の一部を構成する。
第一補強プライ58の内端58sが繊維補強層26の内端PR2である。第二補強プライ60の外端60fが繊維補強層26の外端PR1である。
【0066】
図示されないが、それぞれの補強プライ56は並列した多数の第二フィラーコードを含む。第二フィラーコードは有機繊維からなるコード、すなわち、有機繊維コードである。有機繊維としてはナイロン繊維が好ましい。繊維補強層26を構成する2枚の補強プライ56はそれぞれ有機繊維コードを含み、有機繊維コードはトッピングゴムで覆われる。
このタイヤ2では、第一補強プライ58に含まれる有機繊維コードが第二補強プライ60に含まれる有機繊維コードと交差するように、第一補強プライ58と第二補強プライ60とは重ね合わされる。
【0067】
タグ部材28はビード10の軸方向外側に位置する。このタイヤ2では、タグ部材28は第一のサイドウォール6の側にのみに設けられる。第一のサイドウォール6の側と、第二のサイドウォール6の側との両方にタグ部材28が設けられてもよい。損傷リスクの低減の観点から、一対のサイドウォール6のうち、第一のサイドウォール6の側に、タグ部材28が設けられるのが好ましい。
【0068】
図3はタグ部材28の平面図である。
図4は
図3のIV-IV線に沿った断面図である。
タグ部材28はプレート状である。タグ部材28は長さ方向に長く、幅方向に短い。
図1に示されるように、タイヤ2においてタグ部材28は、その幅方向の第一端28sがタイヤ2の径方向外側に、第二端28uが内側に位置するように配置される。このタイヤ2では、第一端28sが外端とも呼ばれ、第二端28uが内端とも呼ばれる。
【0069】
タグ部材28はRFIDタグ62を含む。
図3においてRFIDタグ62は、説明の便宜のために実線で示されるが、その全体が保護体64で覆われる。タグ部材28は、RFIDタグ62と保護体64とを備える。RFIDタグ62はタグ部材28の中心に位置する。保護体64は架橋ゴムで構成される。保護体64は外側エイペックス44の剛性と同程度の剛性を有する。このタイヤ2では、良好な通信環境の形成が考慮され、保護体64には高い電気抵抗を有する架橋ゴムが用いられる。保護体64は絶縁性の高いゴムからなる。
【0070】
詳述しないが、RFIDタグ62は、送受信回路、制御回路、メモリ等をチップ化した半導体チップ66と、アンテナ68とから構成される小型軽量の電子部品である。RFIDタグ62は、質問電波を受信すると、これを電気エネルギーとして使用し、メモリ内の諸データを応答電波として発信する。このRFIDタグ62は、受動式無線周波数識別トランスポンダの一種である。
【0071】
タグ部材28は、RFIDタグ62が架橋ゴムで被覆されたプレート状の部材である。RFIDタグ62の損傷リスクの低減と、良好な通信環境の形成の観点から、タイヤ2におけるタグ部材28の厚さは好ましくは1.0mm以上2.5mm以下である。このタイヤ2におけるタグ部材28の厚さは、RFIDタグ62の半導体チップ66におけるタグ部材28の最大厚さで表される。
なお、タイヤ2に埋め込む前のタグ部材28の長さTLは60mm以上80mm以下である。幅TWは10mm以上20mm以下である。
【0072】
図2において符号TUで示される位置は、RFIDタグ62(具体的には、半導体チップ66)の径方向内端である。符号TSで示される位置は、半導体チップ66の径方向外端、すなわち、RFIDタグ62の径方向外端である。
本発明においては、タイヤ2におけるRFIDタグ62の内端TUが、基準とする位置(以下、基準位置)の径方向外側に位置する場合が、RFIDタグ62が基準位置に対して径方向外側に位置する場合である。タイヤ2におけるRFIDタグ62の外端TSが基準位置の径方向内側に位置する場合が、RFIDタグ62が基準位置に対して径方向内側に位置する場合である。
【0073】
このタイヤ2では、タグ部材28は、折り返し部52の端PFの径方向外側において、エイペックス40の軸方向外側に位置する。タグ部材28はエイペックス40に接触する。タグ部材28とエイペックス40との境界はエイペックス40の外側面の一部を構成する。詳細には、タグ部材28は外側エイペックス44の軸方向外側に位置し、この外側エイペックス44に接触する。タグ部材28と外側エイペックス44との境界は外側エイペックス44の外側面の一部を構成する。
そしてRFIDタグ62は、径方向において、折り返し部52の端PFとエイペックス40の外端PAとの間に位置する。
【0074】
このタイヤ2のRFIDタグ62は、屈曲の程度が小さいビード部に配置される。この配置はRFIDタグ62の損傷リスクの低減に貢献する。
このタイヤ2では、カーカスプライ48とRFIDタグ62との間にエイペックス40が位置する。金属要素であるカーカスコードを含むカーカスプライ48と間隔をあけて、RFIDタグ62は配置される。電波に乱れが生じにくいので、RFIDタグ62と通信機器(図示されず)との間に良好な通信環境が形成される。RFIDタグ62へのデータの書き込み及び、RFIDタグ62に記録されたデータの読み取りが、正確に行われる。
【0075】
前述したように、このタイヤ2のビード部には、スチール補強層20に加え、繊維補強層26が設けられる。そのため、エイペックス40の軸方向外側には、繊維補強層26を構成する2枚の補強プライ56の外端、すなわち第一補強プライ58の外端58fと、第二補強プライ60の外端60fとが位置する。しかもこのエイペックス40の軸方向外側にはRFIDタグ62も配置される。そのため、2枚の補強プライ56の配置の状況によっては、補強プライ56の外端や、RFIDタグ62を起点とする損傷が生じることが懸念される。RFIDタグに損傷が生じる恐れもある。
【0076】
このタイヤ2では、第二補強プライ60の外端60fが第一補強プライ58の外端58fの径方向外側に位置する。第二補強プライ60の外端60fが第一補強プライ58の外端58fと一致することなくこの第一補強プライ58の外端58fから離して配置されるので、外端58f及び外端60fへの歪の集中が抑制される。繊維補強層26がビード部の剛性を高めるので、ビード部に荷重が作用した際のビード部の変形も抑制される。そのため、RFIDタグ62に対しても歪が集中しにくい。このタイヤ2では、エイペックス40の軸方向外側に繊維補強層26及びRFIDタグ62を設けたことによる、耐久性への影響が効果的に抑制される。そして、RFIDタグの損傷リスクも低減される。
【0077】
このタイヤ2は、耐久性への影響を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる。
【0078】
図2において符号Xで示される長さは第一補強プライ58の外端58fから第二補強プライ60の外端60fまでの径方向距離である。
このタイヤ2では、径方向距離Xは5.0mm以上15mm以下であるのが好ましい。
径方向距離Xが5.0mm以上に設定されることにより、第一補強プライ58の外端58f及び第二補強プライ60の外端60fが適切な間隔をあけて配置される。外端58f及び外端60fへの歪の集中が抑えられる。このタイヤ2では、良好な耐久性が維持される。この観点から、径方向距離Xは8.0mm以上であるのがより好ましい。
径方向距離Xが15mm以下に設定されることにより、第一補強プライ58の外端58fと第二補強プライ60の外端60fとの間隔が適切に維持される。繊維補強層26の径方向外側部分の剛性が適切に維持される。この繊維補強層26はビード部の剛性を効果的に高める。ビード部に荷重が作用した際のビード部の変形が効果的に抑制されるので、RFIDタグ62に対して歪が集中しにくい。このタイヤ2では、RFIDタグ62の損傷リスクが効果的に低減される。この観点から、径方向距離Xは12mm以下であるのがより好ましい。
【0079】
このタイヤ2では、エイペックス40の外端PAは最大幅位置PWの径方向内側に位置する。前述したように、RFIDタグ62は、径方向において、折り返し部52の端PFとエイペックス40の外端PAとの間に位置する。したがって、RFIDタグ62はその全体が、最大幅位置PWの径方向内側に位置する。このタイヤ2では、RFIDタグ62は、大きな歪みが生じる最大幅位置PWに配置されない。RFIDタグ62に歪が集中することが抑制されるので、RFIDタグ62の存在を起因とする損傷の発生が抑制される。RFIDタグ62に損傷が発生することも抑制される。このタイヤ2では、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグ62の損傷リスクの低減も図れる。この観点から、エイペックス40の外端PAは最大幅位置PWの径方向内側に位置するのが好ましい。
【0080】
図2において符号L1で示される長さは、ビードベースラインから外側エイペックス44の外端PG2までの径方向距離である。径方向距離L1は、外側エイペックス44の外端PG2の径方向高さとも呼ばれる。前述したように、外側エイペックス44の外端PG2はエイペックス40の外端PAでもある。この径方向距離L1はエイペックス40の外端PAの径方向高さとも呼ばれる。
【0081】
このタイヤ2では、良好な耐久性の維持の観点から、エイペックス40の外端PAの径方向高さL1の、最大幅位置PWの径方向高さHに対する比(L1/H)は0.95以下であるのが好ましい。エイペックス40がビード部の剛性を高めることに効果的に貢献できる観点から、この比(L1/H)は0.55以上であるのが好ましい。
【0082】
このタイヤ2では、RFIDタグ62の外端TSはエイペックス40の外端PAの径方向内側に位置する。これにより、RFIDタグ62は最大幅位置PWから十分に離して配置される。そのため、このRFIDタグ62に歪みが集中することが効果的に抑制される。このタイヤ2では、RFIDタグ62を起点とする損傷だけでなく、RFIDタグ62の損傷も効果的に抑制される。このタイヤ2では、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグ62の損傷リスクの低減も図れる。この観点から、RFIDタグ62(具体的には、RFIDタグ62の外端TS)はエイペックス40の外端PAの径方向内側に位置するのが好ましい。この場合、RFIDタグ62に歪みが集中することを効果的に抑制できる観点から、タグ部材28の外端28sがエイペックス40の外端PAの径方向内側に位置するのがより好ましい。
【0083】
このタイヤ2では、第一補強プライ58の外端58fは折り返し部52の端PFの径方向外側に位置する。前述したように、第二補強プライ60の外端60fは第一補強プライ58の外端58fの径方向外側に位置する。このタイヤ2では、折り返し部52の端PF、第一補強プライ58の外端58fそして第二補強プライ60の外端60fが、径方向にこの順でしかも分散して配置される。このタイヤ2では、ビード部に荷重が作用した際の、歪みの集中が効果的に抑制される。RFIDタグ62への歪みの集中も抑制されるので、RFIDタグ62の損傷リスクがさらに低減される。このタイヤ2では、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグ62の損傷リスクも低減される。この観点から、第一補強プライ58の外端58fは折り返し部52の端PFの径方向外側に位置するのが好ましい。
【0084】
図2において符号Yで示される長さは第一補強プライ58の外端58fから折り返し部52の端PFまでの径方向距離である。
このタイヤ2では、径方向距離Yは5.0mm以上15mm以下であるのが好ましい。
径方向距離Yが5.0mm以上に設定されることにより、第一補強プライ58の外端58f及び折り返し部52の端PFが適切な間隔をあけて配置される。外端58f及び端PFへの歪の集中が効果的に抑えられる。このタイヤ2では、良好な耐久性が維持される。この観点から、径方向距離Yは8.0mm以上であるのがより好ましい。
径方向距離Yが15mm以下に設定されることにより、第一補強プライ58の外端58fと折り返し部52の端PFとの間隔が適切に維持される。繊維補強層26及び折り返し部52がビード部の剛性を効果的に高める。ビード部に荷重が作用した際のビード部の変形が効果的に抑制されるので、RFIDタグ62に対して歪が集中しにくい。このタイヤ2では、RFIDタグ62の損傷リスクが効果的に低減される。この観点から、径方向距離Yは12mm以下であるのがより好ましい。
【0085】
図2において符号Q1で示される長さは、ビードベースラインから繊維補強層26の外端PR1までの径方向距離である。径方向距離Q1は、繊維補強層26の外端PR1の径方向高さとも呼ばれる。前述したように、繊維補強層26の外端PR1は第二補強プライ60の外端60fである。この径方向距離Q1は第二補強プライ60の外端60fの径方向高さでもある。
【0086】
このタイヤ2では、エイペックス40の外端PAの径方向高さL1の、繊維補強層26の外端PR1の径方向高さQ1に対する比(L1/Q1)は1.15以上1.80以下であるのが好ましい。
比(L1/Q1)が1.15以上に設定されることにより、タグ部材28の配置スペースが確保される。このタイヤ2は、繊維補強層26の外端PR1と干渉しにくい位置にRFIDタグ62を配置できる。そのため、RFIDタグ62に対して歪が集中しにくい。このタイヤ2では、RFIDタグ62の損傷リスクが効果的に低減される。この観点から、比(L1/Q1)は1.30以上であるのがより好ましい。
比(L1/Q1)が1.80以下に設定されることにより、エイペックス40(詳細には、外側エイペックス44)によるタイヤの撓みへの影響が抑制される。このタイヤ2では、良好な乗り心地が維持される。この観点から、比(L1/Q1)は1.60以下であるのがより好ましい。
【0087】
図2において符号R1で示される長さは、ビードベースラインからチェーファー8の外端PBまでの径方向距離である。径方向距離R1は、チェーファー8の外端PBの径方向高さとも呼ばれる。
【0088】
図2においてチェーファー8の外端PBは繊維補強層26の外端PR1の径方向内側に位置する。このタイヤ2では、外端PBが外端PR1の径方向外側に配置されてもよい。
ところで、チェーファー8は、リムR側から径方向外向きに拡がる要素である。チェーファー8の外端PBは、タイヤ2の製造においてクリースと呼ばれる波打ちが生じやすい箇所である。そのため、繊維補強層26の外端PR1の径方向高さQ1に対して、チェーファー8の外端PBの径方向高さR1が高すぎると、クリースが生じることが懸念される。これに対して、径方向高さQ1に対して径方向高さR1が低すぎると、ビード部の剛性が低下する恐れがある。この場合、耐久性の低下や、RFIDタグ62の損傷リスクが高まることが懸念される。
【0089】
しかしこのタイヤ2では、クリース、耐久性、そしてRFIDタグ62の損傷リスクを考慮して、繊維補強層26の外端PR1に対してチェーファー8の外端PBが配置される。具体的には、チェーファー8の外端PBの径方向高さR1の、繊維補強層26の外端PR1の径方向高さQ1に対する比(R1/Q1)は0.70以上1.20以下であるのが好ましい。
比(R1/Q1)が1.20以下に設定されることにより、繊維補強層26からのチェーファー8の突出が抑制される。そのため、チェーファー8にタグ部材28が干渉したとしても、クリースの発生が抑制される。この観点から、比(R1/Q1)は1.10以下であるのがより好ましい。
比(R1/Q1)が0.70以上に設定されることにより、ビード部の剛性が適切に維持される。ビード部に荷重が作用した際のビード部の変形が抑制されるので、繊維補強層26の外端PR1や、RFIDタグ62への歪の集中が抑えられる。このタイヤ2では、耐久性への影響が抑制される上に、RFIDタグ62の損傷リスクも低減される。この観点から、比(R1/Q1)は0.80以上であるのがより好ましい。
【0090】
このタイヤ2では、RFIDタグ62の位置TUは第一補強プライ58の外端58fの径方向外側にある。言い換えれば、RFIDタグ62は第一補強プライ58の外端58fの径方向外側に位置する。これにより、折り返し部52の端PFからトレッド4側に離してRFIDタグ62は配置される。電波に乱れが生じにくいので、RFIDタグ62と通信機器(図示されず)との間に良好な通信環境が形成される。この観点から、RFIDタグ62は第一補強プライ58の外端58fの径方向外側に位置するのが好ましい。
【0091】
RFIDタグ62は第一補強プライ58の外端58fの径方向外側に位置する場合、タグ部材28の外端28sは繊維補強層26の外端PR1の径方向内側に位置していてもよいし、タグ部材28の外端28sの位置が径方向において繊維補強層26の外端PR1の位置と一致していてもよい。このタグ部材28の外端28sが繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置していてもよい。繊維補強層26の外端PR1に歪みが集中することが効果的に抑制できる観点から、タグ部材28の外端28sが繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置するのが好ましい。
【0092】
このタイヤ2では、RFIDタグ62の位置TUは繊維補強層26の外端PR1の径方向外側にある。言い換えれば、RFIDタグ62は繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置する。これにより、RFIDタグ62は、繊維補強層26の外端PR1からトレッド4側に離して配置される。RFIDタグ62が繊維補強層26の外端PR1と干渉することが抑制される。このタイヤ2では、RFIDタグ62にも、繊維補強層26の外端PR1にも、歪は集中しにくい。このタイヤ2では、繊維補強層26及びRFIDタグ62による耐久性への影響が効果的に抑制される。そして、RFIDタグの損傷リスクがさらに低減される。この観点から、RFIDタグ62は繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置するのが好ましい。
【0093】
RFIDタグ62は繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置する場合、タグ部材28の内端28uは繊維補強層26の外端PR1の径方向内側に位置していてもよいし、タグ部材28の内端28uの位置が径方向において繊維補強層26の外端PR1の位置と一致していてもよい。このタグ部材28の内端28uが繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置していてもよい。繊維補強層26の外端PR1に歪みが集中することが効果的に抑制できる観点から、タグ部材28の内端28uが繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置するのが好ましい。
【0094】
図2において符号Zで示される長さは繊維補強層26の外端PR1からRFIDタグ62の内端TUまでの径方向距離である。
このタイヤ2では、RFIDタグ62が繊維補強層26の外端PR1の径方向外側に位置する場合、径方向距離Zは5.0mm以上であるのが好ましい。これにより、RFIDタグ62が繊維補強層26の外端PR1から適切な距離をあけて配置される。このタイヤ2では、RFIDタグ62及び繊維補強層26の外端PR1に歪みが集中することが効果的に抑制される。このタイヤ2では、良好な耐久性が維持される上に、RFIDタグ62の損傷リスクも低減される。この観点から、径方向距離Zは8.0mm以上であるのがより好ましい。このタイヤ2では、径方向距離Zの好ましい上限は、繊維補強層26の外端PR1からエイペックス40の外端PAまでのゾーンの長さによって適宜決められる。
【0095】
このタイヤ2では、内側エイペックス42の外端PUが、径方向において、折り返し部52の端PFとRFIDタグとの間に位置する。これにより、硬質な内側エイペックス42がビード部の剛性を効果的に高める。そして、RFIDタグ62に作用する歪が効果的に低減される。このタイヤ2は、RFIDタグ62の損傷リスクを効果的に低減できる。この観点から、内側エイペックス42の外端PUは、径方向において、折り返し部52の端PFとRFIDタグとの間に位置するのが好ましい。この場合、RFIDタグ62の損傷リスクをさらに低減できる観点から、内側エイペックス42の外端PUが、径方向において、折り返し部52の端PFとRFIDタグとの間に位置し、さらにこの内側エイペックス42の外端PUが径方向において折り返し部52の端PFと繊維補強層26の外端PR1との間に位置するのがより好ましい。
【0096】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、耐久性への影響を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる、重荷重用タイヤ2が得られる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0098】
[実施例1-2及び比較例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた重荷重用タイヤ(タイヤサイズ=315/80R22.5)を得た。
【0099】
繊維補強層は2枚の補強プライで構成された。それぞれの補強プライに含まれる第二フィラーコードには、ナイロン繊維からなる有機繊維コードが使用された。
エイペックスの外端の径方向高さL1は90mmに設定された。チェーファーの外端の径方向高さR1は65mmに設定された。ビードベースラインから第一補強プライの外端までの径方向距離は52mmに設定された。第一補強プライの外端から折り返し部の端までの径方向距離Yは10mmに設定された。
タグ部材は、エイペックスの外側面に接触させる形でセットされた。特に、RFIDタグに作用する歪が小さく、良好な通信環境が形成される、外側エイペックスの外端と折り返し部の端との間のゾーンにタグ部材はセットされた。
タグ部材の位置を変えるとともに、第二補強プライの外端の位置を変えて、繊維補強層の外端の径方向高さQ1と、第一補強プライの外端から前記第二補強プライの外端までの径方向距離Xとを下記の表1に示される通りに調整して、実施例1-2及び比較例1が準備された。
いずれも、タグ部材の外端はエイペックスの外端の径方向内側に配置された。
【0100】
実施例1では、タグ部材はその全体が、繊維補強層の外端とエイペックスの外端との間に位置するように配置された。RFIDタグが繊維補強層の外端の径方向外側に位置することが、表1の位置の欄に「out」で表されている。
【0101】
実施例2では、第一補強プライの外端と第二補強プライの外端との間にRFIDタグが位置し、タグ部材の外端が繊維補強層の外端の径方向外側に位置するように、タグ部材が配置された。RFIDタグは繊維補強層の外端の径方向内側に位置するので、このことが、表1の位置の欄に「in」で表されている。
【0102】
比較例1では、実施例1と同様、タグ部材はその全体が、繊維補強層の外端とエイペックスの外端との間に位置するように配置された。ビードベースラインに対するRFIDタグの位置は、実施例1のそれと同じである。
【0103】
[耐久性]
試作タイヤをリム(サイズ=22.5×9.00)に組み込み空気を充填し、タイヤの内圧を正規内圧に調整した。このタイヤを、110℃に調整した乾燥空気の雰囲気で、3日間加熱した。常温まで冷却した後、このタイヤをドラム試験機に装着した。正規荷重の2倍の荷重をタイヤに負荷し、このタイヤを40km/hの速度でドラム(半径=1.7m)上を走行させた。ビード部に損傷が生じるまでの走行距離を計測した。その結果が下記の表1に指数で示されている。数値が大きいほど耐久性に優れる。1万km以上走行できることを合格基準とした。表1の「NG」は、走行距離が1万kmに達しなかったことを表す。
【0104】
[読取性]
試作タイヤをリム(サイズ=22.5×9.00)に組み込み、空気を充填し、タイヤの内圧を正規内圧に調整した。このタイヤをドラム試験機に装着した。正規荷重の2倍の荷重をタイヤに負荷し、このタイヤを40km/hの速度でドラム(半径=1.7m)上を走行させた。1万km走行後、読取装置を用いてRFIDタグの読み取りが可能であるかの確認を行った。その結果が、読取可能であった場合が「G」で、読取不可能であった場合が「NG」で下記の表1に示されている。「-」は、走行中にタイヤが損傷し、読取性の評価を実施できなかったことを表す。
【0105】
【0106】
表1に示されるように、実施例では、耐久性への影響を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できることが確認されている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上説明された、耐久性への影響を抑制しつつ、良好な通信環境の形成及びRFIDタグの損傷リスクの低減を達成できる技術は種々のタイヤに適用されうる。
【符号の説明】
【0108】
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・チェーファー
10・・・ビード
12・・・カーカス
20・・・スチール補強層
22・・・層間ストリップ
26・・・繊維補強層
28・・・タグ部材
38・・・コア
40・・・エイペックス
42・・・内側エイペックス
44・・・外側エイペックス
46・・・エッジストリップ
48・・・カーカスプライ
50・・・プライ本体
52・・・折り返し部
56・・・補強プライ
58・・・第一補強プライ
60・・・第二補強プライ
62・・・タグ
64・・・保護体
66・・・半導体チップ
68・・・アンテナ