(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/06 20060101AFI20240611BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B66B1/06 F
B66B1/06 E
B66B3/00 P
B66B3/00 G
(21)【出願番号】P 2023143140
(22)【出願日】2023-09-04
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-106953(JP,A)
【文献】特開2010-247983(JP,A)
【文献】特開2008-265898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0055828(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2434138(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-31/02
A61N 1/39
G06Q 50/10-50/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられたエレベータの乗場を撮像した乗場画像および前記エレベータのかご内を撮像したかご画像の少なくとも一方である検出対象画像から、被救助者、自動体外式除細動器を有する自走型装置、および、前記建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々の、前記建物における位置を特定する特定部と、
位置が特定された前記利用者であって、前記自動体外式除細動器を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた前記利用者を、適格者として選定する選定部と、
前記適格者に対する、前記適格者と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、および、前記自走型装置に対する、前記自走型装置と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、の少なくともいずれかを通知する通知部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記選定部は、さらに、前記被救助者の位置への移動に要する時間が相対的に短い前記利用者を、前記適格者として選定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記エレベータの複数号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、
前記通知部は、
前記被救助者の位置と異なる階床の前記適格者および前記自走型装置に対して、前記被救助者の位置の階床を行先階とするかご呼びが前記エレベータ制御部によって登録された指定号機への乗車指示を含む前記救助指示を通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記通知部は、
前記被救助者の位置と同じ階床の前記適格者および前記自走型装置に対して、前記被救助者の位置への移動指示を含む前記救助指示を通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記エレベータの複数号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、
前記エレベータ制御部は、
前記適格者が前記エレベータの複数号機のいずれかの号機に乗車中である場合、前記適格者が乗車している号機の次の行先階を前記被救助者の位置の階床に設定し、
前記自走型装置が前記エレベータの複数号機のいずれかの号機に乗車中である場合、前記自走型装置が乗車している号機の次の行先階を前記被救助者の位置の階床に設定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記エレベータの複数号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、
前記通知部は、
特定された前記被救助者の位置が前記エレベータの複数号機のいずれかの号機内である場合、前記適格者および前記自走型装置に対して、前記被救助者と同じ号機のかごへの乗車指示を含む前記救助指示を通知し、
前記エレベータ制御部は、
前記被救助者の位置として特定された号機を、前記適格者および前記自走型装置の乗車後に、前記建物外への搬送路を有する基準階床まで移動させる、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記エレベータの号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、
前記エレベータ制御部は、
前記被救助者の位置として前記エレベータの複数号機のいずれかの号機内が特定され、前記適格者が前記被救助者の位置として特定された号機と異なる号機に乗車中である場合、前記被救助者の位置として特定された号機、および、前記適格者が乗車中の号機を前記建物外への搬送路を有する基準階床まで移動させ、
前記通知部は、
前記自走型装置に対して前記基準階床まで移動するように制御された前記エレベータの号機への乗車指示を含む前記救助指示を通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記通知部は、前記適格者に対して、前記被救助者を検出した時点を含む期間に撮像された前記検出対象画像を含む前記救助指示を通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記選定部は、複数の前記適格者を選定し、
前記通知部は、選定された複数の前記適格者のそれぞれに対し、前記救助指示を通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
建物に設けられたエレベータの乗場を撮像した乗場画像および前記エレベータのかご内を撮像したかご画像の少なくとも一方である検出対象画像から、被救助者、自動体外式除細動器を有する自走型装置、および、前記建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々の、前記建物における位置を特定する特定ステップと、
位置が特定された前記利用者であって、前記自動体外式除細動器を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた前記利用者を、適格者として選定する選定ステップと、
前記適格者に対する、前記適格者と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、および、前記自走型装置に対する、前記自走型装置と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、の少なくともいずれかを通知する通知ステップと、
を含む、情報処理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被救助者に対する迅速な救助を支援する情報処理システムおよび情報処理システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかご内または乗場において持病を有する人などが発作を起こして倒れる場合がある。特許文献1には、自動体外式除細動器(AED;Automated External Defibrillator)が必要となった乗場に、AEDが取り付けられているかごを優先的に呼び寄せるための緊急呼び釦を備えるエレベータ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているエレベータ装置は、AEDを被救助者がいる階床に優先的に移動させるものの、AEDを使用した処置を実施可能な者が現場にいるとは限らない。
【0005】
AEDなどを使用した処置を迅速かつ適切に行うことが、被救助者の救命率の向上につながるため、AEDを使用した処置を実施可能な適格者が、被救助者がいる場所に迅速に到着することが望ましい。
【0006】
他方、近年では自走能力を有する装置が様々な場面で活用されている。例えば、AEDを有する自走型装置は、建物内の所定場所に設置されているAEDよりも有用である場合がある。
【0007】
本発明は、AEDおよびAEDを適切に使用可能な適格者の少なくともいずれかを被救助者の居る場所に到着させることが可能なエレベータシステムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理システムは、建物に設けられたエレベータの乗場を撮像した乗場画像および前記エレベータのかご内を撮像したかご画像の少なくとも一方である検出対象画像から、被救助者、自動体外式除細動器を有する自走型装置、および、前記建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々の、前記建物における位置を特定する特定部と、位置が特定された前記利用者であって、前記自動体外式除細動器を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた前記利用者を、適格者として選定する選定部と、前記適格者に対する、前記適格者と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、および、前記自走型装置に対する、前記自走型装置と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、の少なくともいずれかを通知する通知部と、を備える。
【0009】
また、本開示の一態様に係る情報処理システムの制御方法は、建物に設けられたエレベータの乗場を撮像した乗場画像および前記エレベータのかご内を撮像したかご画像の少なくとも一方である検出対象画像から、被救助者、自動体外式除細動器を有する自走型装置、および、前記建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々の、前記建物における位置を特定する特定ステップと、位置が特定された前記利用者であって、前記自動体外式除細動器を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた前記利用者を、適格者として選定する選定ステップと、前記適格者に対する、前記適格者と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、および、前記自走型装置に対する、前記自走型装置と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、の少なくともいずれかを通知する通知ステップと、を含む。
【0010】
本発明の各態様に係る情報処理システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理システムをコンピュータにて実現させる情報処理システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、被救助者の居る場所に、AEDおよびAEDを適切に使用可能な適格者の少なくともいずれかを到着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】情報処理システムが行う処理の流れの概略を説明するためのフローチャートである。
【
図6】情報処理システムが行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】情報処理システムが行う乗場処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【
図8】情報処理システムが行うかご内処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0014】
(情報処理システム100)
自動体外式除細動器(以下、AED)は、心室細動などの不整脈が発生している心臓に電圧を付与することによって、心臓を正常な状態に戻す医療機器である。発作によって建物内において倒れた人(以下、被救助者)の近くに無い場合がある。また、仮にAEDが被救助者の近くにある場合であっても、AEDを用いた処置を実施可能な人(以下、適格者)がその場に居るとは限らない。すなわち、被救助者の救助には、AEDおよび適格者の両方が必要である。
【0015】
本発明の実施形態に係る情報処理システム100は、AED31を用いた処置を実施可能な適格者およびAED31を有する自走型装置3のそれぞれに対して、救助を要する被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示を通知する。これにより、情報処理システム100は、適格者および自走型装置3に対して、被救助者を救助するための適切な救助指示を通知することができる。通知された救助指示に従えば、自走型装置3および適格者は、被救助者の居る場所に円滑に到着することができる。
【0016】
図1は、情報処理システム100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理システム100は、群管理制御装置1、自走型装置管理装置2、AED31を有する自走型装置3、エレベータ制御装置4、エレベータ5、撮像装置6、および携帯端末7を備えていてもよい。
【0017】
情報処理システム100において、群管理制御装置1、自走型装置管理装置2、自走型装置3、エレベータ制御装置4、撮像装置6、および携帯端末7は、情報伝送可能なネットワークを介して接続されている。情報処理システム100には、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどのネットワークが用いられていてもよい。
【0018】
本実施形態では、エレベータ制御装置4、エレベータ5、および撮像装置6がそれぞれ複数設けられている構成を例に挙げて説明する。なお、情報処理システム100が備える自走型装置管理装置2、自走型装置3、撮像装置6、および携帯端末7は、それぞれ1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0019】
<自走型装置管理装置2>
自走型装置管理装置2は、自走型装置3の移動を含む各種動作を管理する。自走型装置管理装置2は、自走型装置3に対して各種指示を送信し、自走型装置3からの連絡を受信する。各種指示には、例えば、エレベータ5の利用を含む移動指示が含まれ得る。例えば、群管理制御装置1から自走型装置3に対する救助指示を通知する場合、自走型装置管理装置2が群管理制御装置1から救助指示を受信して、当該救助指示を自走型装置3に送信する構成であってもよい。群管理制御装置1からの救助指示には、自走型装置3を指定号機への乗車指示を含む救助指示が含まれ得る。ここで、指定号機は、群管理制御装置1によって指定されたエレベータ5の号機である。
【0020】
自走型装置管理装置2は、コンピュータを利用して構成され、制御部21および記憶部22を備えている。記憶部22は、自走型装置管理装置2において用いられる各種情報を記憶する。
図1に示すように、記憶部22は、自走型装置情報221を記憶している。
【0021】
自走型装置情報221は、自走型装置3の現在の動作状況および位置に関する情報である。
図4は、自走型装置情報221の一例を示す図である。ここでは、自走型装置3が1台である場合を例に挙げて説明するが、自走型装置3の数は複数であってもよい。
【0022】
自走型装置情報221には、「自走型装置ID」、「状況」、および「現在の位置」が含まれていてもよい。「自走型装置ID」は、自走型装置3の各々を識別可能な識別情報であってもよい。「状況」は、自走型装置3の現在の動作状況を示す情報である。
図4において、自走型装置ID「Robot1」の自走型装置3は、現在5階にて待機中である。ここで、自走型装置3の動作状況は、自走型装置3の移動状況、および救助指示への対応状況などであってもよい。
【0023】
制御部21は、一例において、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部21は、記憶部22に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM(Random Access Memory)等のメモリに展開して各種機能を実行する。制御部21は、自走型装置管理部211を備えている。
【0024】
自走型装置管理部211は、群管理制御装置1から自走型装置3に対する救助指示を受信し、当該救助指示に含まれる移動指示に基づいて、自走型装置3に移動を指示する。移動指示には、エレベータ5を用いた移動指示(すなわち、指定号機への乗車指示など)が含まれ得る。この場合の救助指示には、自走型装置3に乗車させる指定号機に関する情報が含まれる。自走型装置管理部211は、自走型装置3に対して救助指示を通知したことに応じて、自走型装置情報221を更新してもよい。例えば、自走型装置管理部211は、救助指示を自走型装置3に送信した場合、自走型装置情報221の「状況」を「救助対応中」および「AED準備中」などに更新してもよい。
【0025】
自走型装置管理部211は、自走型装置3から各種情報を取得する。例えば、自走型装置3から指定号機への乗車が完了した旨を示す乗車完了報告、および指定号機からの降車が完了した旨を示す降車完了報告などを受信してもよい。自走型装置管理部211は、自走型装置3に対する救助指示の通知を完了した旨を、群管理制御装置1に実時間で報告する構成であってもよい。また、自走型装置管理部211は、乗車完了報告および降車完了報告を自走型装置3から受信した旨を群管理制御装置1に実時間で報告する構成であってもよい。これにより、群管理制御装置1は、救助指示を通知した自走型装置3の状況を取得することができる。
【0026】
自走型装置管理部211は、群管理制御装置1から受信した救助指示、および自走型装置3から取得した各種報告などに基づいて、自走型装置情報221を更新する。例えば、自走型装置管理部211は、自走型装置3からA号機への乗車を完了した旨の乗車完了報告を受信した場合、自走型装置情報221の「現在の位置」を「A号機」と更新する。
【0027】
自走型装置管理部211は、群管理制御装置1からの指示に従い、自走型装置情報221に含まれる情報を群管理制御装置1に送信してもよい。これにより、群管理制御装置1は、自走型装置3の現在の正確な位置を取得することができる。
【0028】
<自走型装置3>
自走型装置3は、AED31を有し、自律走行可能な装置である。自走型装置3は、脚部、車輪、およびキャタピラなどのうちのいずれかを用いた走行機能および/または歩行機能を備えるロボットであってもよい。自走型装置3は、エレベータ5を利用して階床間を移動することも可能である。
【0029】
自走型装置3は、指定号機への乗車指示を受信した場合、乗場に移動して指定号機に乗車し、乗車完了報告を自走型装置管理装置2に送信してもよい。また、自走型装置3は、指定号機から降車し、降車完了報告を自走型装置管理装置2に送信してもよい。あるいは、自走型装置3は、乗車完了報告および降車完了報告を群管理制御装置1に送信してもよい。これにより、群管理制御装置1は、指定号機に自走型装置3を着実に乗車させて運行することができる。
【0030】
ここでは、情報処理システム100において、自走型装置3に対する救助指示が自走型装置管理装置2から自走型装置3に通知される構成について説明したが、この構成に限定されない。例えば、群管理制御装置1から直接自走型装置3に救助指示を通知する構成であってもよい。
【0031】
<エレベータ制御装置4およびエレベータ5>
エレベータ制御装置4は、後述の群管理制御装置1(エレベータ制御部115)からの制御信号(例えば、行先階の設定など)に基づいて、巻上機等の動作を制御することにより、かご51の上昇、下降、停止、走行速度等を制御する。
【0032】
エレベータ5は、エレベータ制御装置4の制御に従い、かご51の階床間の移動、および扉の開閉を行う。
【0033】
<撮像装置6>
撮像装置6は、建物内に設けられ、建物内を撮像する装置である。撮像装置6には、建物の各階床に設置され、エレベータ5の乗場を撮像可能な乗場カメラ61、およびエレベータ5のかご51の内部に設置けられ、かご51の内部を撮像可能なかご内カメラ62が含まれていてもよい。以下、「号機内」は「かご51の内部」を意図している。
【0034】
以下では、撮像装置6が、乗場カメラ61およびかご内カメラ62を含んでいる場合を例に挙げて説明する。乗場カメラ61によって撮像された画像を「乗場画像」と記し、かご内カメラ62によって撮像された画像を「かご画像」と記す。なお、乗場画像か、かご画像か、を区別しない場合、撮像装置6によって撮像された画像を「検出対象画像」と記す。撮像装置6は、検出対象画像を含む検出情報を、群管理制御装置1に実時間で送信する。検出情報には、検出対象画像を撮像した撮像装置6に固有の撮像装置IDが対応付けられている。
【0035】
なお、情報処理システム100は、撮像装置6が乗場カメラ61およびかご内カメラ62の双方を含む構成に限定されない。例えば、情報処理システム100は、撮像装置6として、乗場カメラ61のみ、またはかご内カメラ62のみを含んでいてもよい。すなわち、検出対象画像は、乗場画像およびかご画像の少なくとも一方である。
【0036】
撮像装置6は、一例において、検出対象画像を解析して、写っている人の顔を検出する機能、および写っている人の姿勢などを判定する機能を備えるAIカメラであってもよい。このような撮像装置6は、検出対象画像に人が写っている場合、当該人の顔を検出し、その人の姿勢を判定することが可能である。例えば、撮像装置6は、検出対象画像において検出された人の顔画像を含む検出情報を群管理制御装置1に送信してもよい。また、検出対象画像において検出された人の姿勢が立位および座位ではなく臥位であると判定した場合、撮像装置6は、被救助者を検出した旨の情報を含む検出情報を群管理制御装置1に送信してもよい。これにより、群管理制御装置1は、建物内において被救助者が検出された旨の検出情報を速やかに群管理制御装置1に送信することができる。
【0037】
なお、撮像装置6は、検出対象画像を解析して、自走型装置3が検出された旨の情報を含む検出情報を群管理制御装置1に送信してもよい。これにより、群管理制御装置1は、自走型装置3の位置を速やかに群管理制御装置1に送信することができる。
【0038】
<携帯端末7>
携帯端末7は、利用者の各々が用いている通信装置である。携帯端末7は、群管理制御装置1から受信した各種指示および連絡を利用者に提示する機能を備えている。携帯端末7は、例えば、スマートフォンおよびタブレットなどであってもよい。
【0039】
<群管理制御装置1>
群管理制御装置1は、エレベータ制御装置4との通信を介してエレベータ5の運行を統合的に制御する。群管理制御装置1は、コンピュータを利用して構成され、制御部11および記憶部12を備える。
【0040】
まず、記憶部12について説明する。記憶部12は、群管理制御装置1において用いられる各種情報を記憶する。
図1に示すように、記憶部12は、利用者情報121、撮像装置情報122、および検出情報123を記憶している。
【0041】
利用者情報121は、建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々に関する情報である。
図2は、利用者情報121の一例を示す図である。
【0042】
利用者情報121には、「利用者ID」、「顔画像」、「連絡先情報」、「AEDを用いた処置の実施可否」、および「現在の位置」が含まれていてもよい。「利用者ID」は、建物を利用する者として登録済の利用者の各々を識別可能な利用者識別情報であってもよい。あるいは、「利用者ID」は、各利用者の氏名であってもよい。
【0043】
「顔画像」は、利用者毎の顔を撮像した画像データであってもよい。「顔画像」は、情報処理システム100において、検出情報123に含まれる顔画像と、利用者情報121の各利用者の顔画像との照合に利用され得る。
【0044】
「連絡先情報」は、下記利用者に対する各種指示を各利用者が用いている携帯端末7に送信する場合に用いられる。各種指示は、音声であってもよいし、メッセージおよびメールなどであってもよい。
図2に示すように、「連絡先情報」は、各利用者の電話番号および電子メールアドレスなどであってもよい。
【0045】
「AEDを用いた処置の実施可否」は、各利用者に関する、AED31を用いた処置を実施できるか否かを示す情報である。例えば、建物を利用する者に対して定期的にAED31を用いた処置に関する講習が実施される場合、「AEDを用いた処置の実施可否」は、定期的に更新され得る。例えば、
図2において、利用者ID「10001」の利用者は、AEDを用いた処置を実施可能であるが、利用者ID「10002」の利用者は、実施不可能である。
【0046】
なお、
図2は、「AEDを用いた処置の実施可否」が、「可」および「不可」のいずれかである場合を例示しているが、この構成に限定されない。例えば、「AEDを用いた処置の実施可否」は、AED31を用いた処置に対する習熟度を示す情報であってもよく、例えば、AED31を実際に使用した回数、および、AED31を用いた処置に関する講習を受講した回数などであってもよい。
【0047】
「現在の位置」は、各利用者の建物内における現在の位置を示す情報である。各利用者の現在の位置は、撮像装置6からの検出情報に含まれる検出対象画像に基づいて特定され得る。検出情報は、撮像装置6から即時的に送信されるため、「現在の位置」は随時更新され得る。例えば、
図2において、利用者ID「10001」の利用者は、現在建物の1階、利用者ID「10002」の利用者は、現在建物の5階に存在している。また、
図2において、利用者ID「10003」の利用者は、現在B号機に乗車して移動中である。なお、「現在の位置」が空欄である場合、利用者が、外出中であったり、出勤前または退勤後であったりする(すなわち、建物内に存在しない)ことを意味する。例えば、
図2において、利用者ID「10006」および利用者ID「10008」などの利用者は、現在建物内に存在しないことを意味する。
【0048】
撮像装置情報122は、撮像装置6の各々を識別可能な撮像装置IDおよび設置場所に関する情報である。
図3は、撮像装置情報122の一例を示す図である。
【0049】
撮像装置情報122には、
図3に示すように、乗場カメラ61に関する撮像装置情報122a、およびかご内カメラ62に関する撮像装置情報122bが含まれていてもよい。撮像装置情報122には、「撮像装置ID」および「設置場所」が含まれていてもよい。
【0050】
「撮像装置ID」は、撮像装置6の各々を識別可能な撮像装置識別情報であってもよい。「設置場所」は、撮像装置6の各々が設定されている場所を示す情報である。例えば、
図3において、撮像装置ID「Camera-B1」は地下1階の乗場に設置されている乗場カメラ61であり、撮像装置ID「Camera-A」はA号機のかご51内に設置されているかご内カメラ62である。「撮像装置ID」および「設置場所」は、検出情報123を送信した撮像装置6の位置の特定に利用され得る。情報処理システム100は、被救助者を検出した旨の情報が含まれる検出情報を送信した撮像装置6の位置を特定することによって、被救助者の位置を特定することができる。
【0051】
検出情報123は、撮像装置6から受信した検出情報である。検出情報123は、受信した検出情報の各々と、受信した時刻(または撮像装置6から送信された時刻)とを対応付けた情報であってもよい。情報処理システム100は、検出情報に基づいて、被救助者の検出、および各利用者の建物内の位置の特定などを随時行うことができる。
【0052】
以下では、群管理制御装置1が、自走型装置3の現在の位置に関する情報を自走型装置管理装置2から適宜取得する構成を例に挙げて説明する。しかし、これに限定されず、群管理制御装置1は、撮像装置6から自走型装置3が検出された旨の情報を含む検出情報を受信する構成であってもよい。この場合、記憶部12に自走型装置3の現在の位置に関する情報が格納されていてもよい(図示せず)。
【0053】
続いて、制御部11について説明する。制御部11は、一例において、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部11は、記憶部12に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM(Random Access Memory)等のメモリに展開して各種機能を実行する。制御部11は、取得部111、特定部112、選定部113、通知部114、およびエレベータ制御部115を備えている。
【0054】
取得部111は、各種情報を取得し、取得した情報を適宜、記憶部12に格納し管理する。例えば、取得部111は、撮像装置6から検出情報を実時間で取得し、記憶部12の検出情報123に格納する。また、取得部111は、自走型装置管理装置2から、自走型装置3の動作状況および位置の情報を取得する。
【0055】
特定部112は、被救助者、AED31を有する自走型装置3、および、複数の利用者の各々の、建物における位置を特定する。具体的には、特定部112は、撮像装置6から取得した検出情報に含まれる検出対象画像(または顔画像)と、利用者情報121に含まれる各利用者の顔画像とを照合して、検出対象画像に写っている利用者を特定する。また特定部112は、当該検出情報を送信した撮像装置6の撮像装置IDに基づいて、当該撮像装置6の位置を特定することによって、検出対象画像に写っている利用者の現在の位置を特定する。同様に、特定部112は、検出情報に基づいて、被救助者の位置を特定する。
【0056】
また、特定部112は、自走型装置管理装置2から取得した自走型装置情報221に含まれる情報に基づいて、自走型装置3の建物における位置を特定する。あるいは、特定部112は、自走型装置3が写っている検出対象画像を含む検出情報を送信した撮像装置6の撮像装置IDに基づいて、当該撮像装置6の位置を特定することによって、自走型装置3の現在の位置を特定してもよい。
【0057】
選定部113は、位置が特定された利用者であって、AED31を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた利用者を、適格者として選定する。被救助者に対するAED31を用いた処置は、できるだけ迅速に行われることが望ましい。そこで、選定部113は、被救助者の位置への移動に要する時間が相対的に短い利用者を、適格者として選定してもよい。選定部113が選定する適格者は1人であってもよいし、複数人であってもよい。これにより、被救助者の位置に迅速に到着可能な利用者を適格者として選定することができる。なお、移動に要する時間は、一例において、被救助者の位置までの距離および階床の離れ具合を考慮して見積もられる。
【0058】
通知部114は、適格者に対する救助指示、および自走型装置3に対する救助指示、の少なくともいずれかを通知する。ここで、適格者に対する救助指示は、適格者と被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示であり、自走型装置3に対する救助指示は、自走型装置3と被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示である。
【0059】
通知部114は、被救助者の位置と異なる階床の適格者および自走型装置3に対して、指定号機への乗車指示を含む救助指示を通知してもよい。この場合、指定号機は、被救助者の位置の階床を行先階とするかご呼びが後述のエレベータ制御部115によって登録されていてもよい。この構成によれば、情報処理システム100は、被救助者の位置の階床とは異なる階床からの適格者および自走型装置3の迅速な移動を支援することができる。一方、被救助者の位置と同じ階床の適格者および自走型装置3に対して、通知部114は、被救助者の位置への移動指示を含む救助指示を通知してもよい。
【0060】
通知部114は、特定された被救助者の位置がエレベータ5の複数号機のいずれかの号機内である場合、適格者および自走型装置3に対して、被救助者と同じ号機への乗車指示を含む救助指示を通知してもよい。
【0061】
建物における基準階床(例えば1階)は、建物外への搬送路を有するため、被救助者を建物外の医療施設等に円滑に搬送することも可能となる。そこで、通知部114は、自走型装置3に対して基準階床まで移動するように制御されたエレベータの号機への乗車指示を含む救助指示を通知してもよい。
【0062】
通知部114は、適格者に対して、被救助者を検出した時点を含む期間に撮像された検出対象画像を含む救助指示を通知してもよい。この構成によれば、情報処理システム100は、被救助者の位置に到着前の適格者に、被救助者が倒れたときの状況を知らせることができる。これにより、適格者は、被救助者に対してより適切な処置を行うことができる。
【0063】
通知部114は、選定部113が複数の適格者を選定した場合、選定された適格者のそれぞれに救助指示を通知してもよい。これにより、被救助者の位置に最も早く到着した適格者が、被救助者に対してより適切な処置を行うことができる。
【0064】
エレベータ制御部115は、エレベータ5の複数号機の各々の運行を制御するための制御信号をエレベータ制御装置4に送信する。エレベータ制御部115は、適格者および自走型装置3が被救助者の位置に迅速に移動できるように、エレベータ5の号機の運行を制御可能である。
【0065】
エレベータ制御部115は、適格者がエレベータ5の複数号機のいずれかの号機に乗車中である場合、適格者が乗車している号機の次の行先階を被救助者の位置の階床に設定してもよい。また、エレベータ制御部115は、自走型装置3がエレベータの複数号機のいずれかの号機に乗車中である場合、自走型装置3が乗車している号機の次の行先階を被救助者の位置の階床に設定してもよい。この構成によれば、情報処理システム100は、被救助者の位置が乗場と特定された場合において、適格者および自走型装置3の迅速な移動を支援することができる。
【0066】
エレベータ制御部115は、被救助者の位置として特定された号機を、適格者および自走型装置3の乗車後に、基準階床まで移動させてもよい。この構成によれば、情報処理システム100は、被救助者の位置がかご51内と特定された場合において、適格者および自走型装置3を被救助者と同じ号機に乗車させ、基準階床まで移動させる。これにより、情報処理システム100は、被救助者の位置へ、適格者と自走型装置3とを迅速に移動させて、AED31を使用した処置の迅速な実施を可能としつつ、被救助者、適格者、および自走型装置3を基準階床に移動させることができる。
【0067】
被救助者の位置としてエレベータ5の複数号機のいずれかの号機内が特定され、適格者が被救助者の位置として特定された号機と異なる号機に乗車中である場合が想定され得る。このような場合、被救助者と適格者とを基準階床に移動させてもよい。すなわち、エレベータ制御部115は、被救助者の位置として特定された号機、および適格者が乗車中の号機を、建物外への搬送路を有する基準階床まで移動させてもよい。
【0068】
(情報処理システム100が行う処理の概略)
情報処理システム100が行う処理について説明する。
図5は情報処理システム100が行う処理の流れの概略を説明するためのブローチャートである。
【0069】
まず、特定部112は、(1)被救助者、(2)自走型装置3、および(3)建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々の、建物における位置を特定する(ステップS1:特定ステップ)。
【0070】
次に、選定部113は、AED31を用いた処置を実施可能であることが対応付けられた利用者を適格者として選定する(ステップS2:選定ステップ)。
【0071】
次に、通知部114は、下記(1)および(2)のうち少なくともいずれかを通知する(ステップS3:通知ステップ)。
(1)適格者に対する救助指示であって、適格者と被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示。
(2)自走型装置3に対する救助指示であって、自走型装置3と被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示。
【0072】
上記構成によれば、情報処理システム100は、AED31を用いた処置を実施可能な適格者を選定し、適格者およびAED31を有する自走型装置3に対して、被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示を通知する。これにより、情報処理システム100は、適格者およびAED31がどこにいるのかに応じて、被救助者を救助するための救助指示を、適格者および自走型装置3の少なくともいずれかに対して適切に通知することができる。
【0073】
次に、情報処理システム100が、被救助者の建物における位置を特定する処理について、
図6を用いて説明する。
図6は、情報処理システム100が行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0074】
建物内に設置されている撮像装置6が被救助者を検出した場合(ステップS11にてYES)、当該撮像装置6は、被救助者を検出した旨を示す検出情報を群管理制御装置1に送信する(ステップS12)。
【0075】
群管理制御装置1(特定部112)は、検出情報を受信した場合(ステップS13にてYES)、当該検出情報を送信した撮像装置6の設置場所を特定する(ステップS14)。
【0076】
次に、群管理制御装置1は、特定された設置場所が乗場である場合(ステップS15にてYES)、後に説明する乗場処理を行い(ステップS16)、特定された設置場所がかご51内である場合(ステップS15にてNO)、後に説明するかご内処理を行う(ステップS17)。
【0077】
図6は、撮像装置6が被救助者を検出した場合にのみ検出情報を群管理制御装置1に送信する構成について説明したが、情報処理システム100は、この構成に限定されない。例えば、撮像装置6は、検出対象画像において人(例えば、利用者など)および自走型装置3などが検出された場合に検出情報を群管理制御装置1に送信する構成であってもよい。これにより、群管理制御装置1は、検出情報に基づいて、建物内における利用者および自走型装置3の現在の位置を適宜特定することができる。
【0078】
(乗場処理)
続いて、群管理制御装置1が行う乗場処理について
図7を用いて説明する。
図7は、群管理制御装置1が行う乗場処理(
図6のS16)の流れの一例を示すフローチャートである。
図6において、ステップS161~S168は、適格者に救助指示を通知する処理であり、ステップS169~S173は、自走型装置3に救助指示を通知する処理である。
【0079】
<適格者に救助指示を通知>
選定部113は、まず、利用者情報121を参照して、建物内に居る利用者を検索する(ステップS161)。そして、選定部113は、AED31を用いた処置の実施が可能な利用者の中から適格者を選定する(ステップS162)。ここで、選定部113は、AED31を用いた処置の実施が可能な利用者のうち、被救助者の位置への移動に要する時聞が相対的に短い利用者を適格者として選定しでもよい。
【0080】
選定部113が1人の適格者を選定した場合、選定された当該適格者が直ちに被救助者の位置への移動を開始できるとは限らない。また、選定部113が選定した適格者が、被救助者自身である場合も想定され得る。このような場合、被救助者に対するAED31を用いた処置が遅れる可能性がある。そこで、選定部113は、複数の適格者を選定してもよい。これにより、被救助者に対するAED31を用いた処置が遅れることを回避できる。
【0081】
次に、適格者の現在の位置が被救助者と同一階である場合(ステップS163にてYES)、通知部114は、適格者に、同じ階床の乗場への移動指示を含む救助指示を通知する(ステップS164)。
【0082】
一方、適格者の現在の位置が被救助者と同一階ではない場合(ステップS163にてNO)、群管理制御装置1(例えば、特定部112)は、適格者がエレベータ5のかご51内(すなわち、エレベータ5を用いて移動中)であるか否かを判定する(ステップS165)。
【0083】
適格者がエレベータ5のかご51内である場合(ステップS165にてYES)、エレベータ制御部115は、適格者が乗車している号機の行先階を被救助者と同じ階床に変更し、通知部114は、適格者が乗車しているかご51内に、変更した階床に移動する旨を含む救助指示をアナウンスする(ステップS166a)。そして、エレベータ制御部115は、適格者が乗車している号機を被救助者と同じ階床まで移動させる(ステップS166b)。これにより、群管理制御装置1は、適格者を迅速に被救助者の階床まで移動させることができる。なお、適格者によって登録されている行先階が被救助者と同じ階床であれば、ステップS166aにおいて群管理制御装置1は何もしなくてもよい。
【0084】
適格者がエレベータ5のかご51内ではない場合(ステップS165にてNO)、通知部114は、適格者に、指定号機への乗車指示を含む救助指示を通知する(ステップS167)。そして、エレベータ制御部115は、適格者が乗車した指定号機を被救助者と同じ階床まで移動させる(ステップS168)。
【0085】
この構成によれば、異なる階床に居る適格者を被救助者のいる場所へ迅速に移動させることができる。
【0086】
<自走型装置3に救助指示を通知>
他方、取得部111は、自走型装置3の現在の位置を取得する(ステップS169)。取得部111は、例えば、自走型装置管理装置2から自走型装置3の現在の位置に関する情報を取得してもよい。
【0087】
自走型装置3の現在の位置が被救助者と同じ階床である場合(ステップS170にてYES)、自走型装置3に、同じ階床の乗場への移動指示を含む救助指示を通知する(ステップS171)。
【0088】
自走型装置3の現在の位置が被救助者と同じ階床ではない場合(ステップS170にてNO)、自走型装置3に、指定号機への乗車指示を含む救助指示を通知する(ステップS172)。ここで、指定号機は、群管理制御装置1によって決定される。指定号機は、一例において、自走型装置3が乗車可能なスペースを有し、現在の階床から被救助者の階床へ最も短い時間で移動させることが可能な号機である。
【0089】
そして、エレベータ制御部115は、自走型装置3が乗車した指定号機を被救助者と同じ階床まで移動させる(ステップS173)。これにより、異なる階床に居る自走型装置3を被救助者のいる場所へ迅速に移動させることができる。
【0090】
図6に示すように、適格者に救助指示を通知する処理(ステップS161~S168)と、自走型装置3に救助指示を通知する処理(ステップS169~S173)とを並行して行わなくてもよい。例えば、適格者に救助指示を通知する処理の後に、自走型装置3に救助指示を通知する処理を行ってもよいし、その逆であってもよい。
【0091】
この構成によれば、被救助者が乗場で発見された場合、情報処理システム100は、適格者および自走型装置3を、被救助者のいる階床へ迅速に移動させることができ、被救助者に対する救助を迅速かつ適切に行われることを支援することができる。
【0092】
(かご内処理)
次に、群管理制御装置1が行うかご内処理について
図8を用いて説明する。
図8は、群管理制御装置1が行うかご内処理(
図6のS17)の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
選定部113は、まず、利用者情報121を参照して、建物内に居る利用者を検索する(S181)。そして、選定部113は、AED31を用いた処置の実施が可能な利用者の中から適格者を選定する(ステップS182)。ステップS162での処理と同様、選定部113は、AED31を用いた処置の実施が可能な利用者のうち、被救助者の位置への移動に要する時聞が相対的に短い利用者を適格者として選定してもよい。適格者は1人で、あってもよいし、複数人であってもよい。
【0094】
通知部114は、適格者および自走型装置3の現在の位置が被救助者と同じ階床である場合(ステップS183にてYES)、適格者および自走型装置3に、被救助者と同じ号機への乗車指示を含む救助指示を通知する(ステップS184)。そして。エレベータ制御部115は、被救助者、適格者、自走型装置3が乗車したかご51を基準階床(例えば、1階)に移動させる(ステップS185)。
【0095】
通知部114は、適格者または自走型装置3の現在の位置が被救助者と同じ階床ではなく(ステップS183にてNO)、適格者が被救助者とは異なる号機に乗車している場合(ステップS186にてYES)、以下の処理Aおよび処理Bを行う。
【0096】
<処理A>
処理Aは、適格者および被救助者に対する処理(ステップS187~S188)である。通知部114は、適格者が乗車している号機のかご51内に、基準階床に移動する旨を含む救助指示をアナウンスし、エレベータ制御部115は、適格者が乗車している号機の基準階床への移動を開始させる。(ステップS187)。通知部114は、適格者が用いている携帯端末7にも救助指示を通知してもよい。一方、被救助者のかご51内には、適格者が乗車している号機を基準階床に移動させている旨のアナウンスを行う(ステップS188)。
【0097】
<処理B>
処理Bは、自走型装置3に対する処理(ステップS189~S190)である。通知部114は、自走型装置3に、指定号機への乗車指示を含む救助指示を通知する(ステップS189)。そして、エレベータ制御部115は、自走型装置3が乗車している指定号機を基準階床に移動させる(ステップS190)。
【0098】
通知部114は、適格者または自走型装置3の現在の位置が被救助者と同じ階床ではなく(ステップS183にてNO)、かつ、適格者が被救助者とは異なる号機に乗車していない場合(ステップS186にてNO)、以下の処理Cを行う。
【0099】
<処理C>
処理Cは、適格者および被救助者に対する処理(ステップS191~S192)である。群管理制御装置1は、被救助者、適格者、および自走型装置3の位置関係から、被救助者、適格者、および自走型装置3を基準階床に移動させる最適解(または準最適解)を決定する(ステップS191)。
【0100】
ここで、最適解または準最適解の探索方法としては、全ての組合せについて計算を行う全探索が考えられる。組合せの数が過多である場合には、一般的な最適化アルゴリズム(例えば、遺伝的アルゴリズムや進化計算など)を利用してもよい。なお、ステップS191の処理は、最適解を正確に求めることに限定されず、例えば、適格者および自走型装置3の待ち時間が最短となる号機を指定号機として決定する構成であってもよい。
【0101】
通知部114は、決定された最適解に基づく救助指示を適格者および自走型装置3に通知する。エレベータ制御部115は、決定された最適解に基づいて、被救助者、適格者、および自走型装置3を基準階床に移動させる(ステップS192)
図8に示すように、処理A(ステップS189~S190)と、処理B(ステップS189~S190)とを並行して行わなくてもよい。例えば、処理Aの後に処理Bを行ってもよいし、その逆であってもよい。
【0102】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0103】
撮像装置6は、被救助者が写っている検出対象画像において、被救助者の顔画像を含む検出情報を群管理制御装置1に送信してもよい。被救助者が、建物を利用する者として予め登録されていた場合、特定部112は、利用者情報に基づいて被救助者を特定可能である。この場合、選定部113は、複数の利用者から被救助者を除いて、適格者を選定する。
【0104】
また、選定部113は、適格者の選定に加え、特定された被救助者と近しい利用者(例えば、被救助者の親族、同じ所属先の同僚など)を関係者として選定する構成であってもよい。この場合、通知部114は、選定された関係者に対しても救助指示を通知してもよい。関係者は、被救助者の家族などへの連絡、入院の手配などをサポートすることによって、被救助者に対する救助を支援できる。
【0105】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理システム100(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部11に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0106】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0107】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0108】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0109】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0110】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0111】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0112】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る情報処理システムは、建物に設けられたエレベータの乗場を撮像した乗場画像および前記エレベータのかご内を撮像したかご画像の少なくとも一方である検出対象画像から、被救助者、自動体外式除細動器を有する自走型装置、および、前記建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々の、前記建物における位置を特定する特定部と、位置が特定された前記利用者であって、前記自動体外式除細動器を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた前記利用者を、適格者として選定する選定部と、前記適格者に対する、前記適格者と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、および、前記自走型装置に対する、前記自走型装置と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、の少なくともいずれかを通知する通知部と、を備える。
【0113】
本開示の態様2に係る情報処理システムは、態様1において、前記選定部は、さらに、前記被救助者の位置への移動に要する時間が相対的に短い前記利用者を、前記適格者として選定してもよい。
【0114】
本開示の態様3に係る情報処理システムは、態様1または2において、前記エレベータの複数号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、前記通知部は、前記被救助者の位置と異なる階床の前記適格者および前記自走型装置に対して、前記被救助者の位置の階床を行先階とするかご呼びが前記エレベータ制御部によって登録された指定号機への乗車指示を含む前記救助指示を通知してもよい。
【0115】
本開示の態様4に係る情報処理システムは、態様1から3のいずれかにおいて、前記通知部は、前記被救助者の位置と同じ階床の前記適格者および前記自走型装置に対して、前記被救助者の位置への移動指示を含む前記救助指示を通知してもよい。
【0116】
本開示の態様5に係る情報処理システムは、態様1から4のいずれかにおいて、前記エレベータの複数号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、前記エレベータ制御部は、前記適格者が前記エレベータの複数号機のいずれかの号機に乗車中である場合、前記適格者が乗車している号機の次の行先階を前記被救助者の位置の階床に設定し、前記自走型装置が前記エレベータの複数号機のいずれかの号機に乗車中である場合、前記自走型装置が乗車している号機の次の行先階を前記被救助者の位置の階床に設定してもよい。
【0117】
本開示の態様6に係る情報処理システムは、態様1から5のいずれかにおいて、前記エレベータの複数号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、前記通知部は、特定された前記被救助者の位置が前記エレベータの複数号機のいずれかの号機内である場合、前記適格者および前記自走型装置に対して、前記被救助者と同じ号機のかごへの乗車指示を含む前記救助指示を通知し、前記エレベータ制御部は、前記被救助者の位置として特定された号機を、前記適格者および前記自走型装置の乗車後に、前記建物外への搬送路を有する基準階床まで移動させてもよい。
【0118】
本開示の態様7に係る情報処理システムは、態様1から6のいずれかにおいて、前記エレベータの号機の移動を制御するエレベータ制御部を備え、前記エレベータ制御部は、前記被救助者の位置として前記エレベータの複数号機のいずれかの号機内が特定され、前記適格者が前記被救助者の位置として特定された号機と異なる号機に乗車中である場合、前記被救助者の位置として特定された号機、および、前記適格者が乗車中の号機を前記建物外への搬送路を有する基準階床まで移動させ、前記通知部は、前記自走型装置に対して前記基準階床まで移動するように制御された前記エレベータの号機への乗車指示を含む前記救助指示を通知してもよい。
【0119】
本開示の態様8に係る情報処理システムは、態様1から7のいずれかにおいて、前記通知部は、前記適格者に対して、前記被救助者を検出した時点を含む期間に撮像された前記検出対象画像を含む前記救助指示を通知してもよい。
【0120】
本開示の態様9に係る情報処理システムは、態様1から8のいずれかにおいて、前記選定部は、複数の前記適格者を選定し、前記通知部は、選定された複数の前記適格者のそれぞれに対し、前記救助指示を通知してもよい。
【0121】
本開示の態様10に係る情報処理システムの制御方法は、建物に設けられたエレベータの乗場を撮像した乗場画像および前記エレベータのかご内を撮像したかご画像の少なくとも一方である検出対象画像から、被救助者、自動体外式除細動器を有する自走型装置、および、前記建物を利用する者として予め登録されている複数の利用者の各々の、前記建物における位置を特定する特定ステップと、位置が特定された前記利用者であって、前記自動体外式除細動器を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた前記利用者を、適格者として選定する選定ステップと、前記適格者に対する、前記適格者と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、および、前記自走型装置に対する、前記自走型装置と前記被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、の少なくともいずれかを通知する通知ステップと、を含む。
【符号の説明】
【0122】
3 自走型装置
5 エレベータ
6 撮像装置
31 自動体外式除細動器(AED)
100 情報処理システム
112 特定部
113 選定部
114 通知部
115 エレベータ制御部
【要約】
【課題】被救助者を検知した場所に、AEDと、AEDを適切に使用可能な者を到着させる。
【解決手段】被救助者、AED(31)を有する自走型装置(3)、および、建物を利用する複数の利用者の各々の、建物における位置を特定する特定部(112)と、位置が特定された利用者であって、AED(31)を用いた処置が実施可能であることが対応づけられた利用者を、適格者として選定する選定部(113)と、適格者に対する、適格者と被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、および、自走型装置(3)に対する、自走型装置(3)と被救助者との位置関係に応じて定まる救助指示、の少なくともいずれかを通知する通知部(114)と、を備える。
【選択図】
図1