(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】入退室管理システム、入退室管理方法及び入退室管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/28 20200101AFI20240611BHJP
G07C 9/29 20200101ALI20240611BHJP
【FI】
G07C9/28
G07C9/29
(21)【出願番号】P 2023178728
(22)【出願日】2023-10-17
【審査請求日】2023-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】矢作 一朗
(72)【発明者】
【氏名】萬澤 拓也
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/029086(WO,A1)
【文献】特開2019-195179(JP,A)
【文献】特開2009-146295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0108918(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/28
G07C 9/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の管理区域への入退室を管理する入退室管理システムであって、
認証エリアを形成する電波を出力し、前記利用者が所持する第1の無線端末及び第2の無線端末が前記認証エリアに入り、前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末から電波を受信し、前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末の電波の出力信号を検出する検出部と、
前記第1の無線端末の電波の出力信号及び前記第2の無線端末の電波の出力信号に差がある場合、前記第1の無線端末の電波の出力信号及び前記第2の無線端末の電波の出力信号の差から前記利用者の通行方向を判定する通行方向判定部と、
を備える入退室管理システム。
【請求項2】
前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末は、前記利用者の前記管理区域への入退室が可能か否かの識別情報を記憶し、
前記検出部が前記識別情報を受信する場合、前記識別情報に対して認証処理を行う認証部を備える
請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記認証部が認証処理を行った認証結果を通知する通知部を備える
請求項2に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
前記通知部は、さらに前記通行方向判定部が判定した通行方向を通知する
請求項3に記載の入退室管理システム。
【請求項5】
前記第1の無線端末は前記利用者の一方の耳に装着される第1の装着型スピーカーであり、前記第2の無線端末は前記利用者の他方の耳に装着される第2の装着型スピーカーである
請求項1から4のいずれか一項に記載の入退室管理システム。
【請求項6】
前記第1の無線端末は前記利用者の一方の耳に装着される第1の装着型スピーカーであり、前記第2の無線端末は前記利用者の他方の耳に装着される第2の装着型スピーカーであり、
前記通知部は、第1の装着型スピーカー及び第2の装着型スピーカーの少なくとも一方に通知結果を音声として出力する
請求項3又は4に記載の入退室管理システム。
【請求項7】
前記第1の装着型スピーカー及び前記第2の装着型スピーカーは、前記利用者の双方の耳穴の形状を識別する識別部を備え、
前記検出部は、前記第1の装着型スピーカー及び前記第2の装着型スピーカーが前記利用者の左右のいずれの耳に装着されていることを前記識別部から受信する
請求項5に記載の入退室管理システム。
【請求項8】
前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末は、前記利用者に装着される眼鏡に内蔵される
請求項1から4のいずれか一項に記載の入退室管理システム。
【請求項9】
前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末は、前記利用者に装着される眼鏡に内蔵され、
前記通知部は、前記眼鏡のレンズにARを用いて通知結果を表示する
請求項3又は4に記載の入退室管理システム。
【請求項10】
利用者の管理区域への入退室を管理する入退室管理方法であって、
認証エリアを形成する電波を出力し、前記利用者が所持する第1の無線端末及び第2の無線端末が前記認証エリアに入り、前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末から電波を受信し、前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末の電波の出力信号を検出部が検出する検出ステップと、
前記第1の無線端末の電波の出力信号及び前記第2の無線端末の電波の出力信号に差がある場合、前記第1の無線端末の電波の出力信号及び前記第2の無線端末の電波の出力信号の差から前記利用者の通行方向を通行方向判定部が判定する判定ステップと、
を備える入退室管理方法。
【請求項11】
利用者の管理区域への入退室を管理する入退室管理プログラムであって、
認証エリアを形成する電波を出力し、前記利用者が所持する第1の無線端末及び第2の無線端末が前記認証エリアに入り、前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末から電波を受信し、前記第1の無線端末及び前記第2の無線端末の電波の出力信号を検出部が検出する検出ステップと、
前記第1の無線端末の電波の出力信号及び前記第2の無線端末の電波の出力信号に差がある場合、前記第1の無線端末の電波の出力信号及び前記第2の無線端末の電波の出力信号の差から前記利用者の通行方向を通行方向判定部が判定する判定ステップと、
をコンピュータに実行させるための入退室管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は利用者の管理区域への入退室を管理する入退室管理システム、入退室管理方法及び入退室管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の入退室管理システムでは、利用者が所持するタグからの電波により受信した識別情報をアンテナがコントローラに送信し、コントローラは利用者の認証処理を行う。ここで、利用者の認証処理を2つのエリアで行うとき、それぞれのエリアに対応した各アンテナから同じ強度の電波を出力する。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を用いた場合、エントランス側のエリアに対応したアンテナ及び施設側のエリアに対応したアンテナをそれぞれ設けることで、利用者をエントランス側のエリア又は施設側のエリアのいずれかにいることを識別でき、利用者の通行方向を判定することができる。このとき、各アンテナの出力する電波が干渉しないように、電波範囲や電波の出力のタイミングを調整する必要があった。
【0005】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、アンテナの出力する電波の干渉を考慮せずに利用者の通行方向を判定できる入退室管理システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る入退室管理システムは、認証エリアを形成する電波を出力し、利用者が所持する第1の無線端末及び第2の無線端末が認証エリアに入り、第1の無線端末及び第2の無線端末から電波を受信し、第1の無線端末及び第2の無線端末の電波の出力信号を検出する検出部と、第1の無線端末の電波の出力信号及び第2の無線端末の電波の出力信号に差がある場合、第1の無線端末の電波の出力信号及び第2の無線端末の電波の出力信号の差から利用者の通行方向を判定する通行方向判定部と、を備える。
【0007】
本開示に係る入退室管理方法は、認証エリアを形成する電波を出力し、利用者が所持する第1の無線端末及び第2の無線端末が認証エリアに入り、第1の無線端末及び第2の無線端末から電波を受信し、第1の無線端末及び第2の無線端末の電波の出力信号を検出部が検出する検出ステップと、第1の無線端末の電波の出力信号及び第2の無線端末の電波の出力信号に差がある場合、第1の無線端末の電波の出力信号及び第2の無線端末の電波の出力信号の差から利用者の通行方向を通行方向判定部が判定する判定ステップと、を備える。
【0008】
本開示に係る入退室管理プログラムは、認証エリアを形成する電波を出力し、利用者が所持する第1の無線端末及び第2の無線端末が認証エリアに入り、第1の無線端末及び第2の無線端末から電波を受信し、第1の無線端末及び第2の無線端末の電波の出力信号を検出部が検出する検出ステップと、第1の無線端末の電波の出力信号及び第2の無線端末の電波の出力信号に差がある場合、第1の無線端末の電波の出力信号及び第2の無線端末の電波の出力信号の差から利用者の通行方向を通行方向判定部が判定する判定ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、アンテナの出力する電波の干渉を考慮せずに利用者の通行方向を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1におけるセキュリティゲート周辺の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1における入退室管理システムの構成図である。
【
図3】実施の形態1における通知部が通知する内容を示す図である。
【
図4】実施の形態1におけるコントローラのハードウェア構成を示す図である。
【
図5】実施の形態1における入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2におけるセキュリティゲート周辺の構成を示す図である。
【
図7】実施の形態2における入退室管理システムの構成図である。
【
図8】実施の形態1における入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1におけるセキュリティゲート3a、3b周辺の構成について説明する。
図1はセキュリティゲート3a、3b周辺の構成を示す図である。なお、本発明では、エントランス1から管理区域である施設2へ通行することを入室、施設2からエントランス1へ通行することを退室と称する。また、入室及び退室することを入退室と称する。また、セキュリティゲート3a、3b周辺に存在する入室または退室しようとする人のことを利用者5と称する。
【0012】
図1において、エントランス1には、入室しようとする利用者5が存在する。利用者5は、第1の無線端末であるタグ6及び第2の無線端末であるタグ7を所持している。また、エントランス1と施設2の間には、エントランス1と施設2を連通する一対のセキュリティゲート3a、3bが設けられる。ここで、エントランス1側から見て左側に設けられたセキュリティゲートをセキュリティゲート3a、エントランス1側から見て右側に設けられたセキュリティゲートをセキュリティゲート3bと称する。セキュリティゲート3bは、上面に検出部であるアンテナ4及び通知内容を表示する通知装置であるモニター12を有する。また、セキュリティゲート3bは、アンテナ4が受信した情報に基づいて入退室管理を行うコントローラ8を内蔵する。
【0013】
タグ6及びタグ7は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)を用いたタグであり、ここでは電波を出力しているものとして説明する。タグ6及びタグ7は、当該タグ6及びタグ7を所持する利用者5の識別情報を記憶する。識別情報とは、例えば、施設2への入退室が可能か否かの情報である。また、利用者5は、タグ6は利用者5の身体の左半分の任意の場所に所持し、タグ7は利用者5の身体の右半分の任意の場所に所持する。なお、本発明では、アンテナ4とタグ6との距離A及びアンテナ4とタグ7との距離Bを比較し、利用者5の通行方向を判定するため、タグ6及びタグ7は、利用者5の身体において左右対称な場所で所持することが望ましい。左右対称な場所とは、厳密な左右対称ではなく、例えば、利用者5の身体において左右で対になる場所であればよい。例えば、
図1に示すように、タグ6は利用者5の左手首に、タグ7は利用者5の右手首に装着されてもよい。もちろんタグ6及びタグ7は、利用者5が異なる位置で所持していればよく、すなわちアンテナ4とタグ6との距離A及びアンテナ4とタグ7との距離Bが異なる距離になる位置であれば特に限定されない。なお、アンテナ4とタグ6との距離A及びアンテナ4とタグ7との距離Bを、以後距離情報と称する。
【0014】
アンテナ4は、アンテナ4から出力する電波によって認証エリア13を形成する。認証エリア13は、
図1に示すように、セキュリティゲート3a、3bを囲うように形成される。これは、エントランス1及び施設2において入退室をしようとする利用者5が所持するタグ6及びタグ7からの電波を受信するためである。アンテナ4は、例えばRFIDを使用し、認証エリア13内に存在するタグ6及びタグ7から、当該タグ6及びタグ7を所持する利用者5の識別情報を取得する。さらに、アンテナ4は、認証エリア13内に存在するタグ6及びタグ7の電波の出力信号を検出する。具体的には、アンテナ4は、タグ6及びタグ7の電波の信号強度であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)の値を検出する。信号強度を検出すると、その強度から距離A及び距離Bが算出され、距離情報を取得することができる。
【0015】
モニター12は、利用者5に入室を許可したこと、退室を許可したこと、又は入退室を許可しなかったことを通知するために文字を表示する。
【0016】
次に、実施の形態1における入退室管理システムの構成について説明する。
図2は入退室管理システムの構成図である。入退室管理システムは、利用者5が所持するタグ6及びタグ7と、アンテナ4と、認証部9と、通行方向判定部10と、通知部11aと、モニター12と、を有する。認証部9、通行方向判定部10、及び通知部11aは、コントローラ8によって機能が実現される。
【0017】
認証部9は、アンテナ4から受信した利用者5の識別情報に対して認証処理を行う。認証処理とは、当該利用者5の施設2への入退室が可能か否かを判定する処理である。認証結果は、通知部11aに送信する。
【0018】
通行方向判定部10は、距離情報をアンテナ4から受信する。そして、距離Aと距離Bを比較し、利用者5の通行方向を判定する。例えば、
図1に示すように、エントランス1に入室しようとする利用者5が存在する場合、距離Aは距離Bよりも長くなる。このとき、利用者5の通行方向は入室する方向であると判定する。また、施設2を退室しようとする利用者5が存在する場合、距離Aは距離Bよりも短くなる。このとき、利用者5の通行方向は退室する方向であると判定する。判定結果は、通知部11aに送信する。なお、距離情報は、当該入退室管理システムに対応したタグ6及びタグ7でなければ取得できない。そのため、当該タグ6及びタグ7が認証エリア13内に存在しない場合、通行方向判定部10は利用者5の通行方向を判定しない。
【0019】
通知部11aは、認証部9の認証結果及び通行方向判定部10の判定結果を受信し、利用者5に入室を許可したこと、退室を許可したこと、又は入退室を許可しなかったことをモニター12に通知する。
図3は、通知部11aが通知する内容を示す図である。
図3に示すように、認証部9が利用者5の入退室が可能であると認証し、通行方向判定部10が利用者5の通行方向は入室する方向であると判定した場合、通知部11aは利用者5の入室を許可したことを通知する。また、認証部9が利用者5の入退室が可能であると認証し、通行方向判定部10が利用者5の通行方向は退室する方向であると判定した場合、通知部11aは利用者5の退室を許可したことを通知する。また、認証部9が利用者5の施設2への入退室が可能でないと認証した場合、通知部11aは利用者5の入退室を許可しなかったことを通知する。
【0020】
ここで、実施の形態1におけるコントローラ8のハードウェア構成について説明する。
図4は、コントローラ8のハードウェア構成を示す図である。コントローラ8は、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコントローラなどのコンピュータにより実現される。
【0021】
コントローラ8は、バス40を介して互いに接続された、プロセッサ41と、メモリ42と、インタフェース43と、二次記憶装置44と、を備える。
【0022】
プロセッサ41は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。プロセッサ41が、二次記憶装置44に記憶された動作プログラムをメモリ42に読み込んで実行することにより、コントローラ8の各機能が実現される。
【0023】
メモリ42は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される主記憶装置である。メモリ42は、プロセッサ41が二次記憶装置44から読み込んだプログラムを記憶する。また、メモリ42は、プロセッサ41がプログラムを実行する際のワークメモリとして機能する。
【0024】
インタフェース43は、例えばシリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、ネットワークインタフェースなどのI/O(Input/Output)インタフェースである。インタフェース43によって、アンテナ4からの入力及びモニター12への出力が行われる。
【0025】
二次記憶装置44は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。二次記憶装置44は、入退室管理システムの動作に必要な各種情報及びプロセッサ41が実行するプログラムを記憶する。
【0026】
次に、実施の形態1における入退室管理システムの動作について説明する。
図5は、入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、
図1に示すように、アンテナ4がセキュリティゲート3bの上面に設けられた場合の動作を想定している。
【0027】
最初に、利用者5がセキュリティゲート3a、3bに近づき、利用者5が所持するタグ6及びタグ7が認証エリア13で検出される(S1)。このとき、アンテナ4は、例えばRFIDを使用し、タグ6及びタグ7から、当該タグ6及びタグ7を所持する利用者5の識別情報を受信する。さらに、アンテナ4は、認証エリア13内に存在するタグ6及びタグ7の電波の出力信号を検出する。具体的には、アンテナ4は、タグ6及びタグ7の電波の信号強度であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)の値を検出する。信号強度を検出すると、その強度から距離A及び距離Bが算出され、距離情報を取得する(S2)。
【0028】
次に、認証部9は、アンテナ4から受信した利用者5の識別情報に対して認証処理を行う(S3)。
【0029】
認証部9が、利用者5の施設2への入退室が可能であると認証したとき(S3のYES)、当該認証結果を通知部11aに送信する。また、通行方向判定部10は、アンテナ4から受信した距離情報に基づいて距離Aと距離Bを比較し、利用者5の通行方向を判定する(S4)。
【0030】
認証部9が、利用者5の施設2への入退室が可能でないと認証したとき(S3のNO)、当該認証結果を通知部11aに送信する。通知部11aは、利用者5の入退室を許可しなかったことをモニター12に通知する(S6)。
【0031】
通行方向判定部10が、距離Aは距離Bよりも長いと判定するとき(S4のYES)、通行方向判定部10は利用者5の通行方向は入室する方向であるという判定結果を通知部11aに送信する。通知部11aは、認証部9の認証結果及び通行方向判定部10の判定結果から、入室を許可したことをモニター12に通知する(S5)。
【0032】
通行方向判定部10が、距離Aは距離Bよりも短いと判定するとき(S4のNO)、通行方向判定部10は利用者5の通行方向は退室する方向であるという判定結果を通知部11aに送信する。通知部11aは、認証部9の認証結果及び通行方向判定部10の判定結果から、退室を許可したことをモニター12に通知する(S7)。
【0033】
以上より、実施の形態1における入退室管理システムは、認証エリア13を形成する電波を出力し、利用者5が所持する第1の無線端末であるタグ6及び第2の無線端末であるタグ7が認証エリア13に入り、タグ6及びタグ7から電波を受信し、タグ6及びタグ7の電波の出力信号を検出する検出部であるアンテナ4と、タグ6の電波の出力信号及びタグ7の電波の出力信号に差がある場合、タグ6の電波の出力信号及びタグ7の電波の出力信号の差から利用者5の通行方向を判定する通行方向判定部と、を備える。この入退室管理システムでは、1つのアンテナ4を用いて認証エリア13を形成するため、電波範囲や電波の出力のタイミングを調整する必要がない。したがって、アンテナ4の出力する電波の干渉を考慮せずに利用者5の通行方向を判定できる。
【0034】
なお、アンテナ4は、タグ6及びタグ7の電波の出力信号として、タグ6及びタグ7の電波の信号強度であるRSSIの値を検出する構成としてもよいし、タグ6及びタグ7の電波の信号強度であるRSSIの値から距離情報を検出する構成としてもよい。さらに、アンテナ4とタグ6及びタグ7との通信は、無線通信を利用したものであれば限定されない。例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(Ultra Wide Band)を用いて通信してもよい。ここで、BLEを使用する場合は、タグ6及びタグ7の電波の信号強度であるRSSIの値を検出する構成としてもよいし、タグ6及びタグ7の電波の信号強度であるRSSIの値から距離情報を検出する構成としてもよい。また、UWBを使用する場合は、タグ6及びタグ7の出力信号がアンテナ4に届く時間を計算することによって距離A及び距離Bを測定し(ToF(Time of Flight))、距離情報を検出する構成としてもよい。
【0035】
なお、アンテナ4は、タグ6及びタグ7の電波の出力信号を検出すればよく、別の構成が電波の出力信号から距離情報を取得し、通行方向判定部10に距離情報を出力してもよい。
【0036】
また、タグ6及びタグ7は、利用者5の管理区域である施設2への入退室が可能か否かの識別情報を記憶し、当該識別情報をアンテナ4が受信するとき、当該識別情報に対して認証処理を行う認証部9を備えることで、アンテナ4の電波干渉を防止した上で利用者5の認証処理を行うことができる。
【0037】
また、認証部9が認証処理を行った認証結果を通知する通知部11aを備えることで、利用者5がモニター12を見て認証結果を知ることができる。通知部11aは、さらに、通行方向判定部10が判定した通行方向を通知することで、利用者5がモニター12を見て、入室が許可されたこと、退室が許可されたこと、又は入退室を許可されなかったこと知ることができる。
【0038】
なお、実施の形態1における入退室管理システムは、少なくともアンテナ4、通行方向判定部10を備えればよい。
【0039】
なお、セキュリティゲート3a、3bを囲うように認証エリア13を形成でき、エントランス1及び施設2における入退室をしようとする利用者5が所持するタグ6及びタグ7からの電波を受信できれば、アンテナ4の設置場所は限定されない。
【0040】
なお、コントローラ8が設置される場所は、セキュリティゲート3b内に限定されない。例えば、外部のPCに内蔵され、無線通信によってアンテナ4の情報を受信してもよく、無線通信によってモニター12に通知してもよい。
【0041】
なお、タグ6及びタグ7は、利用者5が所持すればよく、所持する場所は限定されない。例えば、タグ6は利用者5の左の靴に、タグ7は利用者5の右靴に取り付けられてもよい。また、アンテナの設置場所と、タグ6及びタグ7のいずれを左右に所持するかと、を予め決定すれば、通行方向判定部10は通行方向を正しく判定できる。タグ6及びタグ7のいずれを左右に所持するかは適宜決定してよい。
【0042】
なお、通知装置はモニター12に限定されない。例えば、スピーカーや、セキュリティゲート3a、3bが有するフラッパーであってもよい。スピーカーを使用する場合は、通知結果を音声で出力してもよい。フラッパーを使用する場合は、初期状態をフラッパーが閉じた状態として、入退室を許可するときはフラッパーを開き、入退室を許可しないときはフラッパーを閉じたままとしてもよい。
【0043】
なお、セキュリティゲート3a、3bは設けなくてもよい。セキュリティゲート3a、3bを設けない場合、設置にかかるコストを抑えて利用者5の通行方向の判定、及び認証処理を行うことができる。このとき、通知装置としてスピーカーを使用し、通知結果を音声で通知してもよい。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2におけるセキュリティゲート3a、3b周辺の構成について説明する。
図6はセキュリティゲート3a、3b周辺の構成を示す図である。実施の形態2における入退室管理システムは、第1の無線端末及び通知装置として第1の装着型スピーカーである左耳用ワイヤレスイヤホン14を、第2の無線端末及び通知装置として第2の装着型スピーカーである右耳用ワイヤレスイヤホン15を用いることが実施の形態1と相違する。なお、実施の形態1と同一または相当する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図6において、エントランス1には、入室しようとする利用者5が存在する。利用者5は、左耳用ワイヤレスイヤホン14を左耳に装着し、右耳用ワイヤレスイヤホン15を右耳に装着している。
【0046】
左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15は、例えばアンテナ4とRFIDを用いて通信をするものである。左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15には、当該左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15を所持する利用者5の識別情報が記憶されている。さらに、左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15は、利用者5に入室を許可したこと、退室を許可したこと、又は入退室を許可しなかったことを通知するために音声を出力する。
【0047】
次に、実施の形態2における入退室管理システムの構成について説明する。
図7は入退室管理システムの構成図である。入退室管理システムは、利用者5が装着する左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15と、アンテナ4と、認証部9と、通行方向判定部10と、通知部11bと、を有する。
【0048】
通知部11bは、認証部9が判定した情報及び通行方向判定部10が判定した情報を受信し、利用者5に入室を許可したこと、退室を許可したこと、又は退室を許可なかったことを左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15に通知する。
【0049】
次に、実施の形態2における入退室管理システムの動作について説明する。
図8は、入退室管理システムの動作を示すフローチャートである。
【0050】
最初に、利用者5がセキュリティゲート3a、3bに近づき、利用者5が所持する左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15が認証エリア13で検出される(S11)。S2、S3については、実施の形態1における動作と同一であるため省略する。
【0051】
認証部9が、利用者5の施設2への入退室が可能であると認証したとき(S3のYES)、当該認証結果を通知部11bに送信する。また、通行方向判定部10は、アンテナ4から受信した距離情報に基づいて距離A’と距離B’を比較し、利用者5の通行方向を判定する。ここで、距離A’とは、左耳用ワイヤレスイヤホン14とアンテナ4の距離であり、距離B’とは右耳用ワイヤレスイヤホン15とアンテナ4の距離である(S14)。
【0052】
認証部9が、利用者5の施設2への入退室が可能でないと認証したとき(S3のNO)、当該認証結果を通知部11bに送信する。通知部11bは、利用者5の入退室を許可しなかったことを左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15に通知する(S16)。
【0053】
通行方向判定部10が、距離A’は距離B’よりも長いと判定するとき(S14のYES)、通行方向判定部10は利用者5の通行方向は入室する方向であるという判定結果を通知部11bに送信する。通知部11bは、認証部9の認証結果及び通行方向判定部10の判定から、入室を許可したことをモニター12に通知する(S15)。
【0054】
通行方向判定部10が、距離A’は距離B’よりも短いと判定するとき(S14のNO)、通行方向判定部10は利用者5の通行方向は退室する方向であるという判定結果を通知部11bに送信する。通知部11bは、認証部9の認証結果及び通行方向判定部10の判定から、退室を許可したことをモニター12に通知する(S17)。
【0055】
以上より、実施の形態2における入退室管理システムは、第1の無線端末は前記利用者の一方の耳に装着される第1の装着型スピーカーであり、前記第2の無線端末は前記利用者の他方の耳に装着される第2の装着型スピーカーであることで、利用者5が所持する無線端末の位置が定まり、利用者5の通行方向をより正確に判定できる。
【0056】
また、左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15は、左右で形状が異なるものを用いてもよいし、左右で形状が同じものを用いてもよい。左右で形状が同じであるワイヤレスイヤホンを用いる場合は、ワイヤレスイヤホンが左右の耳穴の形状を識別する識別部を備え、アンテナ4は、当該ワイヤレスイヤホンが利用者5の左右のいずれの耳に装着されているかを受信することで、左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15を決定してもよい。これによって、一対のワイヤレスイヤホンの左右を意識することなく装着した上で、利用者5が所持する無線端末の位置が定まり、利用者5の通行方向をより正確に判定できる。
【0057】
なお、装着型スピーカーはワイヤレスイヤホンに限定されず、例えばヘッドフォンとしてもよい。
【0058】
また、通知部11bは、通知装置である左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15の少なくとも一方に通知結果を音声として出力する。これによって、通知するべき利用者5に直接通知することが可能となり、当該利用者5は他の利用者5の通知を気にすることなく、スムーズに入退室ができる。
【0059】
なお、第1の無線端末及び通知装置である装置及び第2の無線端末及び通知装置である装置は、左耳用ワイヤレスイヤホン14及び右耳用ワイヤレスイヤホン15に限定されない。例えば、眼鏡の左目を囲うフレームに第1の無線端末を、眼鏡の右目を囲うフレームに第2の無線端末を内蔵し、通知部11bは当該眼鏡のレンズにAR(Augmented Reality)を用い、レンズから見える実在する風景にバーチャルの情報を重ねて表示し、通知結果を表示してもよい。これによって、利用者5が所持する無線端末の位置が定まり、利用者5の通行方向をより正確に判定でき、また、通知するべき利用者5に直接通知することが可能となり、当該利用者5は他の利用者5の通知を気にすることなく、スムーズに入退室ができる。
【符号の説明】
【0060】
1 エントランス、2 施設、3a、3b セキュリティゲート、4 アンテナ、5 利用者、6 タグ、7 タグ、8 コントローラ、9 認証部、10 通行方向判定部、11a、11b 通知部、12 モニター、13 認証エリア、14 左耳用ワイヤレスイヤホン、15 右耳用ワイヤレスイヤホン、40 バス、41 プロセッサ、42 メモリ、43 インタフェース、44 二次記憶装置
【要約】
【課題】アンテナの出力する電波の干渉を考慮せずに利用者の通行方向を判定できる。
【解決手段】認証エリア13を形成する電波を出力し、利用者5が所持するタグ6及びタグ7が認証エリア13に入り、タグ6及びタグ7から電波を受信し、タグ6及びタグ7の電波の出力信号を検出するアンテナ4と、タグ6の電波の出力信号及びタグ7の電波の出力信号に差がある場合、タグ6の電波の出力信号及びタグ7の電波の出力信号の差から利用者の通行方向を判定する通行方向判定部10と、を備える。
【選択図】
図2