(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】有軌道台車システム
(51)【国際特許分類】
B61B 3/02 20060101AFI20240611BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20240611BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B61B3/02 C
B61B13/00 V
B61B13/06 H
(21)【出願番号】P 2023529562
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2022012017
(87)【国際公開番号】W WO2022264579
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021099980
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】小川 佳祐
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-143983(JP,A)
【文献】特開2019-49447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 3/02
B61B 13/00
B61B 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向の前方に位置する台車を検知する障害物検知部が設けられた複数の台車が軌道に沿って走行する、有軌道台車システムであって、
所定位置に位置する前記台車の前方に配置されており、前記障害物検知部によって検知される被検知部と、
前記障害物検知部による前記被検知部の検知結果に基づいて、前記障害物検知部の状態を判定するコントローラと、を備え、
前記被検知部は、前記障害物検知部の動作を確認する検査時には前記台車の走行空間に進出すると共に、前記被検知部の進出位置を前記台車が通過する通過時には前記台車の走行空間から退避するように移動自在に設けられており、
前記軌道には、前記軌道の延在方向に沿って外部空間から区画された内部空間が形成されていると共に、前記被検知部が前記内部空間と前記外部空間との間で移動することを許容する切欠部が形成されており、
前記台車は、前記内部空間を走行する走行部を有し、
前記障害物検知部は、前記走行部に取り付けられており、
前記被検知部は、前記内部空間と前記外部空間との間で移動自在に設けられており、前記検査時には前記内部空間に進出し、前記通過時には前記外部空間に退避するように移動自在に設けられると共に、前記被検知部が前記内部空間に進出したときに、前記切欠部において前記被検知部が通過する領域を覆う蓋部が設けられている、有軌道台車システム。
【請求項2】
前記被検知部は、板状部材に取り付けられた投光器であり、前記障害物検知部は、前記板状部材に取り付けられた投光器から投光される光及び前記走行方向の前方に位置する前方台車に設けられた後方投光器から投光される光を受光する受光器であり、
前記コントローラは、前記受光器による前記前方台車に設けられた投光器からの光の検知結果に基づいて前記走行方向の前方に位置する台車の有無を検知すると共に、前記受光器による前記板状部材に設けられた投光器からの光の検知結果に基づいて前記受光器の状態を判定する、請求項1記載の有軌道台車システム。
【請求項5】
前記台車は、前記軌道の後方に位置する前記台車に自台車が存在することを検知させる後方投光器を備えており、
前記有軌道台車システムは、前記所定位置に位置する前記台車の後方に設けられると共に前記後方投光器から投光される光を検知する投光器検知部を更に備え、
前記投光器検知部は、前記後方投光器の動作を確認する検査時には前記台車の走行空間に進出すると共に、前記投光器検知部の進出位置を前記台車が通過する通過時には前記台車の走行空間から退避するように移動自在に設けられており、
前記コントローラは、前記投光器検知部による検知結果に基づいて、前記後方投光器の状態を判定する、請求項1又は2記載の有軌道台車システム。
【請求項7】
前記反射部材は、前記走行方向に前記台車が通過できるように前記台車の走行空間を囲う枠状本体部に対して移動自在に取り付けられており、
前記反射部材は、前記検査時には前記台車の走行空間に進出し、前記通過時には前記台車の走行空間から退避するように移動自在に設けられている、請求項6記載の有軌道台車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、有軌道台車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道を走行して物品を搬送する走行車が知られている。走行車には、軌道を走行する際に障害となる可能性のある障害物を検知する障害物検知センサが設けられており、障害物検知センサの検知の有無に基づいて走行車の走行が制御されることがある。しかしながら、走行車の適切な走行を維持するためには、障害物検知センサが適切に作動しているかを定期的に検査する必要がある。例えば、特許文献1には、自動運転中の走行車をホームポジションに移動させ、ホームポジションにて障害物検知センサの検査を自動的に実行する自動作動確認装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の自動作動確認装置は、地上を走行する台車に設けられた障害物検知部の検査をすることを目的としており、軌道を走行する台車に設けられた障害物検知部を検査することは想定されていない。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、軌道を走行する台車に設けられた障害物検知部の動作確認を自動で行うことができる有軌道台車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る有軌道台車システムは、走行方向の前方に位置する障害物を検知する障害物検知部が設けられた複数の台車が軌道に沿って走行する、有軌道台車システムであって、所定位置に位置する台車の前方に配置されており、障害物検知部によって検知される被検知部と、障害物検知部による被検知部の検知結果に基づいて、障害物検知部の状態を判定するコントローラと、を備え、被検知部は、障害物検知部の動作を確認する検査時には台車の走行空間に進出すると共に、被検知部の進出位置を台車が通過する通過時には台車の走行空間から退避するように移動自在に設けられている。
【0007】
この構成では、所定位置に位置する台車の障害物検知部の状態を確認するとき(検査時)には、台車の走行空間の前方に被検知部を進出させ、このときの障害物検知部による被検知部の検知結果に基づいて障害物検知部の状態が判定される。また、被検知部の進出位置を台車が通過するとき(通過時)には、台車の走行空間から被検知部を退避させるので、台車の走行を妨げない。これにより、軌道を走行する台車に設けられた障害物検知部の動作確認を自動で行うことができる。
【0008】
本発明の一側面に係る有軌道台車システムでは、障害物検知部は受光器であり、被検知部は板状部材に取り付けられた投光器であってもよい。この構成では、台車に設けられた受光器の動作確認を自動で行うことができる。
【0009】
本発明の一側面に係る有軌道台車システムでは、軌道は、外部空間から区画された内部空間が軌道の延在方向に沿って形成されており、台車は、内部空間を走行する走行部を有し、障害物検知部は、走行部に取り付けられ、投光器は、内部空間と外部空間との間で移動自在に設けられており、検査時には内部空間に進出し、通過時には外部空間に退避するように移動自在に設けられてもよい。この構成では、軌道の内部空間内を走行する走行部に取り付けられた投光器の動作確認を自動で行うことができる。
【0010】
本発明の一側面に係る有軌道台車システムでは、軌道には、投光器及び板状部材が内部空間と外部空間との間で移動することを許容する切欠部が形成されており、投光器が内部空間に進出したときに、切欠部において投光器が通過する領域を覆う蓋部が板状部材に形成されていてもよい。この構成では、投光器が内部空間に進出したときに切欠部が蓋部によって覆われ、内部空間に外部空間から外乱光等が侵入することが防止される。これにより、外乱光の影響を受けることなく、より確実に投光器の動作確認を行うことができる。
【0011】
本発明の一側面に係る有軌道台車システムでは、台車は、軌道の後方に位置する台車に自台車が存在することを検知させる後方投光器を備えており、有軌道台車システムは、所定位置に位置する台車の後方に設けられると共に後方投光器から投光される光を検知する投光器検知部を更に備え、投光器検知部は、後方投光器の動作を確認する検査時には台車の走行空間に進出すると共に、投光器検知部の進出位置を台車が通過する通過時には台車の走行空間から退避するように移動自在に設けられており、コントローラは、投光器検知部による検知結果に基づいて、後方投光器の状態を判定してもよい。所定位置に位置する台車の後方投光器の状態を確認するとき(検査時)には、台車の後方に投光器検知部を出現させ、このときの投光器検知部による検知結果に基づいて投後方投光器の状態が判定される。これにより、軌道を走行する台車に設けられた後方投光器の動作確認を自動で行うことができる。
【0012】
本発明の一側面に係る有軌道台車システムでは、障害物検知部は受光器及び投光器を含んで構成され、被検知部は投光器から投光される光を反射可能な反射部材であってもよい。この構成では、台車に設けられた投光器及び受光器の動作確認を自動で行うことができる。
【0013】
本発明の一側面に係る有軌道台車システムでは、反射部材は、走行方向に台車が通過できるように台車の走行空間を囲う枠状本体部に対して移動自在に取り付けられており、反射部材は、検査時には台車の走行空間に進出し、通過時には台車の走行空間から退避するように移動自在に設けられていてもよい。この構成では、台車が通過するときには台車走行の妨げとならないように、反射部材を台車の走行空間から退避させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、軌道を走行する台車に設けられた障害物検知部の動作確認を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る有軌道台車システムの構成を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、走行車を走行方向の前方から見た正面図である。
【
図3】
図3は、検査ユニットを側方から見た側面図である。
【
図4】
図4は、検査ユニットを上方から見た上面図である。
【
図5】
図5は、第一検査装置を側方から見た側面図である。
【
図6】
図6は、第一検査装置の一部を上方から見た上面図である。
【
図7】
図7(A)は、板状部材及び投光器が退避状態にあるときの斜視図である。
図7(B)は、板状部材及び投光器が進出状態にあるときの斜視図である。
【
図8】
図8(A)は、第一検査装置の配置位置における軌道を、走行方向の前方から見た断面図である。
図8(B)は、第一検査装置の配置位置近傍における軌道に配置される第一誘導ガイド及び第二誘導ガイドの配置を示す図である。
【
図9】
図9(A)は、第一ターゲットプレート及び第二ターゲットプレートが退避状態にあるときの第三検査装置の斜視図である。
図9(B)は、第一ターゲットプレート及び第二ターゲットプレートが進出状態にあるときの第三検査装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、検査位置から見た第三検査装置の正面図である。
【
図11】
図11は、有軌道台車システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一側面の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1及び
図2に示されるように、有軌道台車システム1は、軌道4に沿って移動可能な天井走行車(台車)6(以下、「走行車6」と称する。)を用いて、物品10を搬送するためのシステムである。物品10には、例えば、複数の半導体ウェハを格納するFOUP(Front Opening Unified Pod)及びガラス基板を格納するレチクルポッド等のような容器、並びに一般部品等が含まれる。有軌道台車システム1は、軌道4と、複数の走行車6と、複数の載置部9と、検査ユニット100と、搬送コントローラ90と、を備える。
【0018】
軌道4は、例えば、作業者の頭上スペースである天井付近に敷設されている。軌道4は、例えば天井から吊り下げられている。軌道4は、走行車6を走行させるための予め定められた走行路である。軌道4は、支柱40A,40Aにより支持される。有軌道台車システム1の軌道4は、走行車6が所定のエリアを一方向D1に巡回する本線部4Aと、走行車6を検査するための検査ユニット100に走行車6を導入させる退避部4Bと、を有している。なお、退避部4Bにおいても、走行車6は、予め定められた一方向D1に移動する。
【0019】
軌道4は、一対の下面部40B,40Bと一対の側面部40C,40Cと天面部40Dとを有し、一部が開放された筒状のレール本体部40と、給電部40Eと、磁気プレート40Fと、を有している。レール本体部40は、外部空間A2から区画された内部空間A1を形成している。内部空間A1は、軌道4の延在方向に沿って延在する。レール本体部40は、後段にて詳述する走行車6の走行部50を収容する。下面部40Bは、走行車6の走行方向D1に延在し、レール本体部40の下面を構成する。下面部40Bは、走行車6の走行ローラ51が転動して、走行車6が走行する板状部材である。側面部40Cは、走行車6の走行方向D1に延在し、レール本体部40の側面を構成する。天面部40Dは、走行車6の走行方向D1に延在し、レール本体部40の上面を構成する。
【0020】
給電部40Eは、走行車6の給電コア57に電力を供給すると共に、給電コア57と信号の送受信を行う部位である。給電部40Eは、一対の側面部40C,40Cのそれぞれに固定され、走行方向D1に沿って延在している。給電部40Eは、給電コア57に対して非接触の状態で電力を供給する。磁気プレート40Fは、走行車6のLDM(Linear DC Motor)59に走行又は停止のための磁力を発生させる。磁気プレート40Fは、天面部40Dに固定され、走行方向D1に沿って延在している。
【0021】
走行車6は、軌道4に沿って走行し、物品10を搬送する。走行車6は、物品10を移載可能に構成されている。走行車6は、天井走行式無人走行車である。有軌道台車システム1が備える走行車6の台数は、特に限定されず、複数である。走行車6は、本体部7と、走行部50と、本体コントローラ35と、を有する。本体部7は、本体フレーム22と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、カバー33と、衝突防止センサ(障害物検知部)34Aと、障害物センサ(障害物検知部)34Bと、を有する。
【0022】
本体フレーム22は、走行部50と接続されており、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、カバー33とを支持する。横送り部24は、θドライブ26、昇降駆動部28及び昇降台30を一括して、軌道4の延在方向と直角な方向に横送りする。θドライブ26は、昇降駆動部28及び昇降台30の少なくとも何れかを水平面内で所定の角度範囲内で回動させる。昇降駆動部28は、ワイヤ、ロープ及びベルト等の吊持材を巻取る又は繰出すことによって昇降台30を昇降させる。昇降台30には、チャックが設けられており、物品10の把持又は解放が自在とされている。カバー33は、例えば走行車6の走行方向D1の前後に一対設けられている。カバー33は、図示しない爪等を出没させて、搬送中に物品10が落下することを防止する。
【0023】
衝突防止センサ34Aは、一対のカバー33,33のうち前方のカバー33の上方に設けられている。衝突防止センサ34Aは、走行方向D1の前方に向けて光を出射し、その反射光の検知の有無に基づいて、走行方向D1の前方に位置する別の走行車6の有無を検知する。すなわち、衝突防止センサ34Aは、投光部及び受光部を有する。障害物センサ34Bは、一対のカバー33,33のうち前方のカバー33の下方に設けられている。障害物センサ34Bは、走行方向D1の前方に向けて光を出射し、その反射光の検知の有無に基づいて、走行方向D1の前方に位置する障害物の有無を検知する。すなわち、障害物センサ34Bは、投光部及び受光部を有する。衝突防止センサ34A及び障害物センサ34Bによる検知結果は、本体コントローラ35によって取得される。
【0024】
走行部50は、上述したように、軌道4に形成される内部空間A1を走行する。走行部50は、主に、走行ローラ51、サイドローラ52、受光器(障害物検知部)54A、投光器(後方投光器)54B(
図3及び
図4参照)、給電コア57及びLDM59を有している。走行ローラ51は、走行輪としての外輪及び走行補助輪としての内輪からなるローラ対である。走行ローラ51は、走行部50の前後の左右両端に配置されている。走行ローラ51は、軌道4の一対の下面部40B,40Bを転動する。
【0025】
サイドローラ52は、走行ローラ51の外輪のそれぞれを前後方向に挟むように配置されている。サイドローラ52は、軌道4の側面部40Cに接触可能に設けられている。給電コア57は、走行部50の前後に配置され、左右方向においてはLDM59を挟むように配置されている。軌道4に配置された給電部40Eは、給電コア57との間で非接触による給電と、非接触による各種信号の送受信を行う。給電コア57は本体コントローラ35との間で信号もやりとりする。LDM59は、走行部50の前後に設けられている。LDM59は、電磁石によって軌道4の上面に配置された磁気プレート40Fとの間で、走行又は停止のための磁力を発生させる。
【0026】
受光器54Aは、走行部50の前面に設けられている。受光器54Aは、自走行車6からの距離が所定範囲内に位置する前方走行車6に設けられている投光器54Bから投光される光を受光する。言い換えれば、受光器54Aは、自走行車6からの距離が所定範囲外に位置する前方走行車6に設けられている投光器54Bから投光される光は受光することができない。受光器54Aによる検知結果は、本体コントローラ35によって取得される。本体コントローラ35は、受光器54Aによって受光されたとき、自走行車6から所定距離前方の範囲内に走行車6が存在すると判定する。
【0027】
投光器54Bは、走行部50の後面に設けられている。投光器54Bは、自走行車6の後方に向けて光を投光する。投光器54Bの投光距離は、自走行車6からの距離が所定距離内に位置する後方走行車6に設けられている受光器54Aが受光できるように設定されている。投光器54Bによる投光は、本体コントローラ35によって制御されている。
【0028】
走行部50は、後段にて詳述する搬送コントローラ(コントローラ)90によって本体コントローラ35を介した状態で制御される。具体的には、搬送コントローラ90からの指令が本体コントローラ35に送信され、当該指令を受信した本体コントローラ35が走行部50を制御する。
【0029】
載置部9は、軌道4に沿って配置され、走行車6が物品10を受け渡し可能な位置に設けられている。載置部9には、バッファ及び受渡ポートが含まれる。バッファは、物品10が一時的に載置される載置部である。バッファは、例えば、目的とする受渡ポートに他の物品10が載置されている等の理由により、走行車6が搬送している物品10をその受渡ポートに移載できない場合に、物品10が仮置きされる載置部である。受渡ポートは、例えば洗浄装置、成膜装置、リソグラフィ装置、エッチング装置、熱処理装置、平坦化装置をはじめとする半導体の処理装置(図示せず)に対して物品10の受渡を行うための載置部である。なお、処理装置は、特に限定されず、種々の装置であってもよい。
【0030】
例えば、載置部9は、軌道4の側方に配置されている。この場合、走行車6は、横送り部24で昇降駆動部28等を横送りし、昇降台30を僅かに昇降させることにより、載置部9との間で物品10を受け渡しする。なお、図示はしないが載置部9は、軌道4の直下に配置されてもよい。この場合、走行車6は、昇降台30を昇降させることにより、載置部9との間で物品10を受け渡しする。
【0031】
本体コントローラ35は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。本体コントローラ35は、走行車6における各種動作を制御する。具体的には、本体コントローラ35は、走行部50と、横送り部24と、θドライブ26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、を制御する。本体コントローラ35は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。本体コントローラ35は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。本体コントローラ35は、軌道4の給電部40E(給電線)等を利用して、搬送コントローラ90と通信を行う。
【0032】
検査ユニット100は、
図1に示されるように、退避部4Bの一部に設けられ、
図3及び
図4に示されるように、走行車6に搭載される受光器54A、投光器54B、衝突防止センサ34A及び障害物センサ34Bの動作確認を行う装置群である。検査ユニット100は、第一検査装置60Aと、第二検査装置60Bと、第三検査装置80と、を含んで構成されている。第一検査装置60Aと第二検査装置60Bとは、軌道4の延在方向において、走行車6が検査ユニット100において検査されるときに停止する位置である検査位置(所定位置)P1を挟むように配置されている。
【0033】
第一検査装置60Aは、上記検査位置P1に停止する走行車6から見て走行方向D1の前方となる位置に配置されている。検査位置P1と第一検査装置60Aとの距離は、例えば2m程度である。第一検査装置60Aは、検査位置P1に停止する走行車6に搭載される受光器54Aの動作確認を行う装置である。第一検査装置60Aの投光器(被検知部)70は、受光器54Aの動作を確認する検査時には走行車6の走行空間に進出すると共に、投光器70の進出位置を走行車6が通過する通過時(受光器54Aの動作を確認しない通常時)には走行車6の走行空間から退避するように移動自在に構成されている。より詳細には、投光器70は、内部空間A1と外部空間A2との間で移動可能に設けられており、
図7(B)に示されるように、検査時には内部空間A1に進出し、
図7(A)に示されるように、通過時(通常時)には外部空間A2に退避するように第一駆動部64(
図5参照)によって駆動される。
【0034】
図5及び
図6に示されるように、第一検査装置60Aは、板状部材61と、スライド機構63と、第一駆動部64と、下部接続部材65と、上部接続部材66と、投光器70と、を備える。以下、第一検査装置60Aを構成する各部について詳細に説明する。板状部材61は、板状に形成されている。板状部材61は、軌道4に形成されるX方向の隙間部40Gを通過可能に設けられている。隙間部40Gのサイズは、例えば5mmであり、板状部材61は、当該隙間部40Gに挿入可能な厚みに形成されている。隙間部40Gは、例えばX方向に隙間を空けた状態で軌道4,4を接続することによって形成されてもよい。軌道4,4の接続は、例えば、下部接続部材65及び上部接続部材66を用いて行われる。
【0035】
板状部材61は、軌道4の天面部40Dに配置されるスライド機構63に接続されている。スライド機構63は、例えばリニアガイドであり、X方向に主面を有する板状部材61をY方向に移動可能に支持する。板状部材61がY方向へ移動するとき、下部接続部材65に設けられる一対のガイドローラ65A,65Aによってガイド(挟持)される。ガイドローラ65A,65Aは例えば樹脂によって形成されている。このようなガイドローラ65A,65Aを有する下部接続部材65は、Y方向に沿って三箇所に設けられているので、スライド機構63によってY方向に移動される板状部材61は、軌道4の隙間部40Gをスムーズに移動することができる。なお、ガイドローラ65A,65Aを有さず、軌道4の接続機能のみを有する下部接続部材65が更に一つ設けられている。スライド機構63は、第一駆動部64によって駆動される。第一駆動部64は、搬送コントローラ90(
図11参照)と通信可能に設けられており、搬送コントローラ90によって制御される。
【0036】
投光器70は、上述したような板状部材61に取り付けられることにより、内部空間A1と外部空間A2との間で移動可能となっている。投光器70は、検査位置P1に向けて突出するように取り付けられている。投光器70は、ケーブルガイド75に収容されたケーブル72を介して軌道4の天面部40D等に配置された制御ボックス(図示せず)に接続されている。制御ボックスは、搬送コントローラ90と通信可能に設けられている。投光器70は、ケーブル72を介して作動に必要な電力が供給されると共に、ケーブル72を介して搬送コントローラ90との通信が行われる。
【0037】
図7(A)に示されるように、軌道4の側面部40Cには、板状部材61に取り付けられた投光器70の、内部空間A1と外部空間A2との間での移動を許容する切欠部40Wが設けられている。また、
図7(B)に示されるように、投光器70が内部空間A1に進出したときに、板状部材61には、切欠部40Wにおいて投光器70が通過する領域を覆う蓋部62が設けられている。すなわち、投光器70が内部空間A1に進出したときに、蓋部62は、切欠部40Wによって形成される、内部空間A1と外部空間A2との間を連通する空間を遮蔽する。これにより、走行車6と板状部材61との間の空間(言い換えれば、投光器70と受光器54Aとの間の空間において投光器70から投光される光が通過する空間)に外部空間から外乱光が侵入することを防止できる。
【0038】
図8(A)に示されるように、軌道4の側面部40C(内面)には、第一誘導ガイド40Kと第二誘導ガイド40Lとが設けられている。第一誘導ガイド40Kは、サイドローラ52が接触する側面40Kaが形成されている。第一誘導ガイド40Kは、走行方向D1に向かって左側の側面部40Cに設けられている。
図8(B)に示されるように、側面40Kaは、隙間部40Gに向かって走行方向D1の右側にサイドローラ52(すなわち走行車6)を誘導する部分と、隙間部40Gから離れる方向に向かって走行方向D1の左側にサイドローラ52を誘導する部分と、を有する。
【0039】
図8(A)に示されるように、第二誘導ガイド40Lは、サイドローラ52に接触する側面40Laが形成されている。第二誘導ガイド40Lは、走行方向D1(X方向)に向かって右側の側面部40Cに設けられている。
図8(B)に示されるように、第二誘導ガイド40Lは、側面40Kaによって走行方向D1の右側にサイドローラ52を誘導し終えた位置から、側面40Kaによって走行方向D1の左側にサイドローラ52が誘導され始める位置まで延在している。
【0040】
このような、第一誘導ガイド40K及び第二誘導ガイド40Lを有する軌道4を走行する走行部50は、検査位置P1において内部空間A1の右側に誘導される。これにより、走行方向D1に向かって左側の側面部40Cに設けられている切欠部40Wからサイドローラ52が飛び出すことが防止される。また、第一誘導ガイド40K及び第二誘導ガイド40Lは、投光器70から投光される光が受光器54Aによって受光できるように走行部50を誘導する(位置決めする)と共に、後段にて詳述する受光器(投光器検知部)70Bに投光器54Bから投光される光が受光されるように走行部50を誘導する(位置決めする)。
【0041】
第一検査装置60では、軌道4の内部空間A1において板状部材61の移動を阻害しないように、第一誘導ガイド40K及び第二誘導ガイド40Lが隙間部40Gを挟んで分断されている(
図8(B)参照)。また、給電部40Eも同様の構成とする必要がある。本実施形態では、隙間部40Gを挟んで給電部40Eを分断すると共に、
図4に示されるように、X方向において隙間部40Gの前後にターミナルボックス40Tを設けている。そして、給電部40Eを構成するケーブルC等をターミナルボックス40Tから軌道4の外部空間A2に引き出し、これらのケーブルCを外部空間A2で接続している。
【0042】
図3及び
図4に示されるように、第二検査装置60Bは、上記検査位置P1に停止する走行車6から見て走行方向D1の後方となる位置に配置されている。検査位置P1と第二検査装置60Bとの距離は、例えば2m程度である。第二検査装置60Bは、検査位置P1に停止する走行車6に搭載される投光器54Bの動作確認を行う装置である。第二検査装置60Bの受光器70Bは、投光器54Bの動作を確認する検査時には走行車6の走行空間に進出すると共に、受光器70Bの進出位置を走行車6が通過する通過時(投光器54Bの動作を確認しない通過時)には走行車6の走行空間から退避するように移動自在に構成されている。より詳細には、第二検査装置60Bの受光器70Bは、内部空間A1と外部空間A2との間で移動可能に設けられており、検査時には内部空間A1に進出し、通過時には外部空間A2に退避するように第二駆動部64Bによって駆動される。
【0043】
第二検査装置60Bの構成は、主に
図5~
図7を用いて説明した第一検査装置60Aの構成と類似する。すなわち、第二検査装置60Bは、投光器70の代わりに受光器70Bが設けられている点で、第一検査装置60Aと異なるが、受光器70Bを内部空間A1と外部空間A2との間で移動可能にする構成は、第一検査装置60Aと等しい。すなわち、第二検査装置60Bは、板状部材61Bと、スライド機構63Bと、第二駆動部64Bと、下部接続部材65と、上部接続部材66とを備える。また、第二検査装置60Bは、受光器70Bに接続されるケーブル72及びケーブルガイド75等も有している。第一検査装置60Aと第二検査装置60Bとは、これらの構成要素が、側方(Y方向)から見たときに左右の位置関係が逆(検査位置P1を中心線として左右対称)となっている点で異なっている。ここでは、第二検査装置60Bを構成する各部の詳細な説明は省略する。
【0044】
このような第二検査装置60Bの構成では、走行車6と第二検査装置60Bの板状部材61Bとの間の内部空間A1(言い換えれば、投光器54Bと受光器70Bとの間の内部空間A1において投光器54Bから投光される光が通過する空間)に外部空間A2から外乱光が侵入することを防止できる。より詳細には、第一検査装置60Aの板状部材61と第二検査装置60Bの板状部材61Bとの間の内部空間A1に外部空間A2から外乱光が侵入することを防止できる。
【0045】
図3及び
図4に示されるように、第三検査装置80は、上記検査位置P1に停止する走行車6から見て走行方向D1の前方となる位置に配置されている。検査位置P1と第三検査装置80との距離は、例えば3m程度である。第三検査装置80は、検査位置P1に停止する走行車6に搭載されている衝突防止センサ34A及び障害物センサ34Bの動作確認を行う装置である。第三検査装置80の第一ターゲットプレート(被検知部・反射部材)84は、衝突防止センサ34Aの動作を確認する検査時に走行車6の走行空間に進出すると共に、第一ターゲットプレート84の進出位置を走行車6が通過する通過時(衝突防止センサ34Aの動作を確認しない通常時)に走行車6の走行空間から退避するように移動自在に構成されている。第三検査装置80の第二ターゲットプレート(被検知部・反射部材)85は、障害物センサ34Bの動作を確認する検査時に走行車6の走行空間に進出すると共に、第二ターゲットプレート85の進出位置を走行車6が通過する通過時(障害物センサ34Bの動作を確認しない通常時)に走行車6の走行空間から退避するように移動自在に構成されている。
【0046】
図9(A)、
図9(B)及び
図10に示されるように、第三検査装置80は、固定部81と、枠状本体部82と、第一ターゲットプレート84と、第二ターゲットプレート85と、左スライド機構87と、第三駆動部88と、右スライド機構87Aと、第四駆動部88Aと、第三ターゲットプレート89と、を備える。以下、第三検査装置80を構成する各部について詳細に説明する。
【0047】
固定部81は、天井又は軌道4に固定され、枠状本体部82を吊り下げた状態で支持する。枠状本体部82は、走行車6のX方向から見たときに走行車6が通過できるように、走行車6の走行空間を囲うように形成されている。第一ターゲットプレート84には、走行車6の後面カバー33の少なくとも一部に貼付されている反射シールと、同様の反射シールが貼付されている。第一ターゲットプレート84は、反射シールによって衝突防止センサ34Aから投光される光を反射させる。なお、衝突防止センサ34Aから投光される光は、反射シールのみによって反射され、他の部材では反射されない。第二ターゲットプレート85は、障害物センサ34Bから投光される光を反射させる。
【0048】
第一ターゲットプレート84は、検査位置P1から第三検査装置80を見たときに、枠状本体部82の左側に配置される左スライド機構87に接続されている。左スライド機構87は、例えばリニアガイドであり、第一ターゲットプレート84をZ方向に移動可能に支持する。左スライド機構87は、第三駆動部88によって駆動される。第三駆動部88は、搬送コントローラ90(
図11参照)と通信可能に設けられており、搬送コントローラ90によって制御される。第一ターゲットプレート84は、このような左スライド機構87に取り付けられることにより、走行車6の走行空間に対する移動が可能となっている。第一ターゲットプレート84は、走行空間の下方に退避する。
【0049】
第二ターゲットプレート85は、検査位置P1から第三検査装置80を見たときに、枠状本体部82の右側に配置される右スライド機構87Aに接続されている。右スライド機構87Aは、例えばリニアガイドであり、第二ターゲットプレート85をZ方向に移動可能に支持する。右スライド機構87Aは、第四駆動部88Aによって駆動される。第四駆動部88Aは、搬送コントローラ90(
図11参照)と通信可能に設けられており、搬送コントローラ90によって制御される。第二ターゲットプレート85は、このような右スライド機構87Aに取り付けられることにより、走行車6の走行空間に対する移動が可能となっている。第二ターゲットプレート85は、走行空間の下方に退避する。
【0050】
何らかの原因(例えば、停電等)により第三検査装置80に電力が供給されない事態となったとき、第一ターゲットプレート84及び第二ターゲットプレート85は、自重により走行空間の下方に退避するように構成されている。第一ターゲットプレート84及び第二ターゲットプレート85の退避位置には、第一ターゲットプレート84及び第二ターゲットプレート85の自重による落下時の衝撃を緩和する緩衝部材が設けられている。
【0051】
第三ターゲットプレート89は、走行車6が進入する側に設けられている平板状の部材である。第三ターゲットプレート89は、衝突防止センサ34Aからの投光される光を反射可能に構成されている。第三ターゲットプレート89の少なくとも一部には、反射シールが貼付されている。
【0052】
位置検知センサ83は、第一ターゲットプレート84及び第二ターゲットプレート85の位置を検知する。すなわち、位置検知センサ83は、第一ターゲットプレート84及び第二ターゲットプレート85が走行車6の走行空間に進出しているか否かを検知する。位置検知センサ83による検知結果は、搬送コントローラ90によって取得される。
【0053】
図11に示されるように、搬送コントローラ90は、軌道4を走行する複数の走行車6を本体コントローラ35を介して制御する。また、搬送コントローラ90は、検査ユニット100に含まれる投光器70、受光器70B、位置検知センサ83、第一駆動部64、第二駆動部64A、第三駆動部88及び第四駆動部88Aを制御する。
【0054】
搬送コントローラ90は、所定の条件をトリガとして走行車6を検査ユニット100まで走行させる。所定の条件とは、例えば、図示しない入力部を介して作業者によって検査開始命令が入力されたとき、又は前回の検査から所定時間が経過した走行車6が出現したとき、又は前回の検査から所定距離を走行した走行車6が出現したとき等であり、搬送コントローラ90は、条件に適合する走行車6を検査ユニット100の検査位置P1まで走行させる。
【0055】
走行車6が検査位置P1に到着すると、搬送コントローラ90は、第一駆動部64を制御して、第一検査装置60Aの投光器70を内部空間A1に進出させると共に、第二駆動部64Aを制御して、第二検査装置60Bの受光器70Bを内部空間A1に進出させる。搬送コントローラ90は、第一検査装置60Aの投光器70を制御して光を投光させる。搬送コントローラ90は、このときの走行車6の受光器54Aによる検知結果に基づいて受光器54Aの状態を判定する。すなわち、光を検知できれば走行車6の受光器54Aに異常はないと判定し、光を検知できなければ走行車6の受光器54Aに異常があると判定する。
【0056】
搬送コントローラ90は、本体コントローラ35を介して走行車6の投光器54Bを制御して光を投光させる。搬送コントローラ90は、このときの第二検査装置60Bの受光器70Bによる検知結果に基づいて投光器54Bの状態を判定する。すなわち、第二検査装置60Bの受光器70Bが光を検知できれば走行車6の投光器54Bに異常はないと判定し、第二検査装置60Bの受光器70Bが光を検知できなければ走行車6の投光器54Bに異常があると判定する。
【0057】
また、搬送コントローラ90は、第三駆動部88を制御して、第一ターゲットプレート84を走行車6の走行空間に進出させると共に、第四駆動部88Aを制御して、第二ターゲットプレート85を走行車6の走行空間に進出させる。搬送コントローラ90は、走行車6の衝突防止センサ34Aを制御して光を投光させる。搬送コントローラ90は、このときの衝突防止センサ34Aによる検知結果に基づいて衝突防止センサ34Aの状態を判定する。すなわち、光を検知できれば衝突防止センサ34Aに異常はないと判定し、光を検知できなければ衝突防止センサ34Aに異常があると判定する。
【0058】
衝突防止センサ34Aにおける光の受光量は、衝突防止センサ34Aから投光される光が第一ターゲットプレート84と第三ターゲットプレート89とによって反射される光の反射量によって変化する。搬送コントローラ90は、衝突防止センサ34Aの当該受光量に基づいて、衝突防止センサ34Aの左右方向における光軸のずれの有無を判定する。
【0059】
搬送コントローラ90は、走行車6の障害物センサ34Bを制御して光を投光させる。搬送コントローラ90は、このときの障害物センサ34Bによる検知結果に基づいて障害物センサ34Bの状態を判定する。すなわち、光を検知できれば障害物センサ34Bに異常はないと判定し、光を検知できなければ障害物センサ34Bに異常があると判定する。
【0060】
搬送コントローラ90は、位置検知センサ83の検知結果に基づいて第一ターゲットプレート84及び第二ターゲットプレート85の少なくとも一方が走行車6の走行空間に進出していると判定したときは、走行車6の第三検査装置80への進入を禁止する。
【0061】
上記実施形態の有軌道台車システム1における作用効果について説明する。上記実施形態の有軌道台車システム1では、検査位置P1に位置する走行車6の受光器54Aの状態を確認する検査時には、走行車6の走行空間の前方に投光器70を進出させ、このときの受光器54Aによる検知結果に基づいて受光器54Aの状態が判定される。また、投光器70の進出位置を走行車6が通過する通過時には、走行車6の走行空間から投光器70を退避させるので、走行車6の走行を妨げない。
【0062】
また、走行車6の衝突防止センサ34Aを検査するときも同様に、走行車6の走行空間の前方に第一ターゲットプレート84を進出させ、このときの衝突防止センサ34Aによる検知結果に基づいて、衝突防止センサ34Aの状態が判定される。また、障害物センサ34Bを検査するときも同様に、走行車6の走行空間の前方に第二ターゲットプレート85を進出させ、このときの障害物センサ34Bによる検知結果に基づいて、障害物センサ34Bの状態が判定される。このため、軌道4を走行する走行車6に設けられた受光器54A、投光器54B、衝突防止センサ34A及び障害物センサ34Bの動作確認を自動で行うことができる。
【0063】
上記実施形態の有軌道台車システム1では、投光器70は、内部空間A1と外部空間A2との間で移動可能に設けられており、検査時に内部空間A1に進出し、通過時に外部空間A2に退避する。このような構成によって、軌道4の内部空間A1内を走行する走行部50に取り付けられた投光器70であっても、その動作確認を自動で行うことができる。
【0064】
上記実施形態の有軌道台車システム1では、投光器70が軌道4の内部空間A1に進出したときに切欠部40Wが蓋部62によって覆われるので、内部空間A1に外部空間A2から外乱光等が侵入することが防止される。これにより、外乱光の影響を受けることなく、より確実に投光器70の動作確認を行うことができる。
【0065】
上記実施形態の有軌道台車システム1では、検査位置P1に位置する走行車6の投光器54Bの状態を確認する検査時には、走行車6の後方に受光器70Bを出現させ、このときの受光器70Bによる検知結果に基づいて投光器54Bの状態が判定される。これにより、軌道4を走行する走行車6に設けられた投光器54Bの動作確認を自動で行うことができる。
【0066】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0067】
上記実施形態の有軌道台車システム1においては、走行部50の前面に、前方走行車6から投光される光を受光する受光器54Aが設けられている例を挙げて説明したが、受光器54Aに代えて、受光器及び投光器を有する前方センサが設けられてもよい。この場合には、第一検査装置60Aに備えられる投光器70に代えて、前方センサから投光される光を反射可能なターゲットプレートが設けられる。また、当該前方センサと同様の構成のセンサが走行部50の後面に設けられてもよい。また、走行部50には、上述したセンサに代えて、距離センサ等が設けられてもよい。この場合も、第一検査装置60Aにはターゲットプレートが適用される。
【0068】
上記実施形態及び変形例の有軌道台車システム1においては、走行部50は軌道4の内部空間A1を走行する例を挙げて説明したが、走行部50が外部空間A2に露出されるような軌道4を走行してもよい。
【0069】
上記実施形態及び変形例の有軌道台車システム1においては、検査ユニット100が本線部4Aから退避した退避部4Bに配備されている例を挙げて説明したが、本線部4Aに設けられてもよい。
【0070】
上記実施形態及び変形例の有軌道台車システム1においては、検査ユニット100の各構成の制御を含め、検査時の走行車6の制御が搬送コントローラ90によって実行される例を挙げて説明したが、例えば、検査ユニット100の各構成の制御を含め、検査時の走行車6の制御を実行する専用のコントローラが設けられてもよい。
【0071】
上記実施形態及び変形例の有軌道台車システム1では、台車の一例として天井走行車6を挙げて説明したが、台車のその他の例には、床面又は架台に配設された軌道4を走行する無人走行車等が含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…有軌道台車システム、4…軌道、6…天井走行車(台車)、34A…衝突防止センサ(障害物検知部)、34B…障害物センサ(障害物検知部)、35…本体コントローラ、40W…切欠部、50…走行部、54A…受光器(障害物検知部)、54B…投光器(後方投光器)、60A…第一検査装置、60B…第二検査装置、61…板状部材、62…蓋部、70…投光器(被検知部)、70B…受光器(投光器検知部)、80…第三検査装置、82…枠状本体部、84…第一ターゲットプレート(被検知部・反射部材)、85…第二ターゲットプレート(被検知部・反射部材)、90…搬送コントローラ(コントローラ)、100…検査ユニット、A1…内部空間、A2…外部空間、D1…走行方向、P1…検査位置(所定位置)。