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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】フェイスガード
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240611BHJP
   A62B 18/02 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020091928
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021177006
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2020081226
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 新聞掲載による公開/発行日:令和2年4月24日 刊行物:滋賀夕刊 新聞掲載による公開/発行日:令和2年5月1日 刊行物:中日新聞 試供品の配布による公開/公開日:令和2年5月21日 配布場所:経済産業省製造産業局生活製品課
(73)【特許権者】
【識別番号】504069901
【氏名又は名称】株式会社開伸
(73)【特許権者】
【識別番号】591143951
【氏名又は名称】ジェイフィルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 久司
(72)【発明者】
【氏名】池田 真規
(72)【発明者】
【氏名】橋本 忠
(72)【発明者】
【氏名】高田 清
(72)【発明者】
【氏名】石井 誠
(72)【発明者】
【氏名】酒井 伊英
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04852186(US,A)
【文献】実開平04-053019(JP,U)
【文献】特開2015-140486(JP,A)
【文献】登録実用新案第3029776(JP,U)
【文献】米国特許第04884296(US,A)
【文献】中国実用新案第203290259(CN,U)
【文献】特開昭61-034209(JP,A)
【文献】米国特許第04912779(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
A42B 1/018
3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有するシート状のガード本体と、前記ガード本体を人体の顔の前に位置させるホルダを有するフェイスガードであって、
前記ガード本体が平坦なシート材で構成されるとともに、
前記ガード本体の上端部に、裏面側に折り返される折り曲げ板部が連設され
前記折り曲げ板部の左右方向における少なくとも一方の端に前記ホルダが一体形成され
フェイスガード。
【請求項2】
前記ガード本体における前記折り曲げ板部との間に上端部折り曲げ罫線が形成されるとともに、
前記上端部折り曲げ罫線が、前記ガード本体の左右方向の中央側よりも左右両側が上がる円弧状をなす
請求項1に記載のフェイスガード。
【請求項3】
前記ガード本体の上端部に内外に連通する通気穴を備える
請求項1または請求項2に記載のフェイスガード。
【請求項4】
前記通気穴が、前記折り曲げ板部の折り曲げ位置である基部の一部から他の一部に連続する切り込みで形成される
請求項3に記載のフェイスガード。
【請求項5】
前記ガード本体の左右両側に、下方ほど中央側に寄る形状の側部折り曲げ罫線が形成された
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のフェイスガード。
【請求項6】
前記ガード本体の左右両側に、上下方向に延びるスリットが下端から形成されるともとに、
前記スリットを挟んで互いに結合される差し込み溝と差し込み片が設けられた
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のフェイスガード。
【請求項7】
前記ガード本体の左右両側の上端部に、差し込み部が形成されるとともに、
前記ガード本体の裏面側に折り返される前記折り曲げ板部側の部分に、前記差し込み部に差し込まれる差し込み片が形成された
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のフェイスガード。
【請求項8】
前記ガード本体の下部に、左右方向に延びる下部折り曲げ罫線が形成された
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載のフェイスガード。
【請求項9】
前記ホルダが、前記ガード本体と同じ一枚のシート材で構成された
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載のフェイスガード。
【請求項10】
前記ホルダが左右一対のバンド部で構成され、
前記バンド部が前記折り曲げ板部の左右両端に一体形成されるとともに、
前記バンド部の基部に、左右方向に対して傾斜した斜め折り曲げ罫線を有し、前記斜め折り曲げ罫線で折り曲げる前には前記バンド部を前記ガード本体の左右両側に位置させ、前記斜め折り曲げ罫線で折り曲げた時には前記バンド部を前記ガード本体の左右両側から離す屈曲部が形成された
請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載のフェイスガード。
【請求項11】
前記ガード本体の左右両側の上端部に、二つ折りされて三角形をなす前記屈曲部を差し込んで保持する差し込み部が形成された
請求項10に記載のフェイスガード。
【請求項12】
前記バンド部の端部に、前記端部に至るまでのバンド本体部よりも幅広の幅広端部が形成されるとともに、
前記幅広端部に前記バンド本体部を保持する保持部が形成された
請求項10または請求項11に記載のフェイスガード。
【請求項13】
前記ガード本体における前記折り曲げ板部に、前記折り曲げ板部を裏面側に折り返したときに通気穴となる切り欠きが上端縁から途中までの切り込みで形成され、前記切り欠きを挟む位置に複数の凸形状部が設けられた
請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載のフェイスガード。
【請求項14】
前記ガード本体に、前記折り曲げ板部を前記ガード本体の裏面に重ね合わせたときの前記凸形状部の下端位置が対応する位置よりも上に前記凸形状部の下端を係止する係止部が形成された
請求項13に記載のフェイスガード。
【請求項15】
前記切り欠きが、正面視略半円形である
請求項13または請求項14に記載のフェイスガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば医療分野など幅広い分野において使用され、ウイルス感染防止にも役立つようなフェイスガードに関する。
【背景技術】
【0002】
フェイスガードは、フェイスシールドとも称され、顔面の少なくとも一部を被覆して、飛沫などがかかることや、飛沫を拡散することを防止する。そのためフェイスガードは、顔面の必要な部分を覆う大きさのガード本体と、ガード本体を人体の顔の前に位置させるホルダを有している。
【0003】
このようなフェイスガードであって顔面の全体を覆うものは、下記特許文献1に開示されているように、全体が透明のガード本体の上端部に、人体の頭部に上から嵌めるホルダを備えている。ガード本体は左右方向に円弧状に湾曲しており、ガード本体の裏面には、ホルダとの間に隙間を設けるための取付け枠が設けられている。取付け枠を有することによって、ガード本体が顔面の鼻などに接触することが防止される。
【0004】
この取付け枠は、特許文献1のような一定幅の薄板からなるバンド状のものであるほか、厚さのある湾曲したスポンジ状の部材で構成されたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】登録実用新案第3010049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これまでのフェイスガードの上端部は複数の部材で構成されている。また、フェイスガードは使用前から左右に湾曲したかさばる形状であった。
【0007】
そこで、この発明は、少ない部品で簡素に構成できるとともに、取扱い性が良好であるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、透光性を有するシート状のガード本体と、前記ガード本体を人体の顔の前に位置させるホルダを有するフェイスガードであって、前記ガード本体が平坦なシート材で構成されるとともに、前記ガード本体の上端部に、裏面側に折り返される折り曲げ板部が連設されたフェイスガードである。
【0009】
この構成では、ガード本体の上端部において裏面側に折り曲げられた折り曲げ板部が、顔面との間に隙間を作ってガード本体と鼻などとの接触を防止する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ガード本体の上端部に、裏面側に折り返される折り曲げ板部が連設されているので、顔面との間に隙間を作るための構成が簡素であるとともに、部品点数を削減できる。また、使用に際しては折り曲げ板部を折り曲げるだけでよいので、簡単に使用でき、使用前においては平坦なシート状であるのでかさばることもなく取扱い性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】フェイスガードの使用状態の斜視図。
図2】フェイスガードの使用状態の断面図。
図3】展開状態のフェイスガードの正面図。
図4】製品シートの正面図。
図5】組立ての一工程を示す正面図。
図6】組立ての一工程を示す正面図。
図7】組立ての一工程を示す正面図。
図8】他の例に係る展開状態におけるフェイスガードの正面図。
図9図8のフェイスガードについての使用状態の断面図。
図10】他の例に係るホルダの一部を示す正面図。
図11】他の例に係るホルダの一部を示す正面図。
図12】他の例に係る展開状態のフェイスガードの正面図。
図13図12のフェイスガードを有する製品シートの正面図。
図14】他の例に係る展開状態のフェイスガードの正面図。
図15】他の例に係る展開状態のフェイスガードの正面図。
図16】他の例に係る展開状態のフェイスガードの正面図。
図17図16に示したフェイスガードの使用状態の断面図。
図18図16に示したフェイスガードの使用状態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1にフェイスガード11の使用状態における斜視図を、図2にその断面図を示す。これらの図にみられるように、フェイスガード11は人体の顔面全体を覆うものであり、シート状のガード本体13と、ガード本体13を人体の顔の前に位置させるホルダ15を有している。またガード本体13の上端部には、裏面側に折り返される折り曲げ板部31が連設されるとともに、内外に連通する通気穴32を複数備えている。
【0014】
このフェイスガード11は、ホルダ15を含めて平坦な一枚のシート材で構成されており、折り曲げにより組立てて使用されるものである。
【0015】
図3はフェイスガード11の組立て前の状態を正面図示し、図4はさらにその前の製造後、使用に供される前の製品シート11aの正面図を示している。製品シート11aは四角形をなし、フェイスガード11の輪郭に沿った形状の厚み方向に貫通する分離用切り込み11bにおいて切り離して、余白部分11cを分離すると図3に示したようなフェイスガード11が得られる。なお、図4中、余白部分11cに形成された半円弧状の切り欠き11dは、指先をひっかけられるようにしており、四角いシート状をなす製品シート11aの取扱い性を向上するためのものである。
【0016】
前述したようにガード本体13とホルダ15は一体であり、ガード本体13とホルダ15は同じ一枚のシート材で構成されてある。シート材は全体が透光性を有するものであり、高い透明度を有するものが好ましい。シート材は、全体が透明であるほか、必要な視認性を得られる範囲のみを透明としたものであってもよい。
【0017】
シート材には、例えばA-PETなどの適宜の合成樹脂シートを使用することができ、柔らかすぎず、ある程度の腰を有するものが用いられる。シート材の厚さは0.1mm~0.5mm程度であるとよい。また、曇り防止剤を練り込んだり塗工したりして曇り止め加工を施したシート材を用いることもできる。
【0018】
ガード本体13は、図3に示したように、やや横長の長方形状であり、ガード本体13の上端部に、前述した折り曲げ板部31が連設されている。折り曲げ板部31は左右に延びる帯状であり、ガード本体13における折り曲げ板部31との間には、上端部折り曲げ罫線33が形成される。
【0019】
ここで、折り曲げ罫線とは、シート材の厚み方向に切り込みを入れて形成されたものであり、折り曲げ位置を規制し、容易な折り曲げ作業を実現するとともに美麗な折り曲げ状態を得るものである。以下の説明においても同じである。なお、図面上、折り曲げ罫線は細線であらわし、厚み方向に貫通した切り込みは実線であらわしている。
【0020】
上端部折り曲げ罫線33は、ガード本体13の左右方向の中央側よりも左右両側が上がる円弧状をなしており、左右対称形状である。上端部折り曲げ罫線33の湾曲は、折り曲げ板部31をガード本体13の裏面側に折り曲げたときにガード本体13と顔面との間隔を決める要素であるので、必要な空間ができるように設定される。
【0021】
具体的には、上端部折り曲げ罫線33がなす円弧の半径は、例えば650mmから850mm程度の範囲に設定される。半径Rが小さいとガード本体13と折り曲げ板部31の間の角度α(図2参照)が大きくなって、顔面とガード本体13の間隔が離れすぎる。一方、半径Rが大きいと、ガード本体13と折り曲げ板部31の間の角度αが小さくなって、顔面とガード本体13の間隔が近すぎて、使用感が悪くなったり、ガード本体13と鼻が接触したりすることになる。
【0022】
このような観点から検討した結果、着用する人体の個体差によっても違いがあるが、おおよそ上端部折り曲げ罫線33がなす円弧の半径Rは、786mm程度であるのが最適であった。
【0023】
上端部折り曲げ罫線33の左右両側部位には、前述した通気穴32を形成するための構成が設けられる。すなわち、通気穴32は、折り曲げ板部31の折り曲げ位置である基部の一部から他の一部に連続する切り込み34で形成される。
【0024】
切り込み34は半円弧状であり、折り曲げ板部31の折り曲げ位置としての上端部折り曲げ罫線33を一部分断して、分断した部分の間に切り込み34が形成されている。切り込み34は折り曲げ板部31ではなくガード本体13に形成されている。また切り込み34の高さh1は、折り曲げ板部31における切り込み34に対応する部位の高さh2よりも低い。
【0025】
ガード本体13の左右両側の上端部、具体的には、前述の切り込み34よりも左右方向外側の部位には、差し込み部35が形成されている。差し込み部35は、切り込みによって構成されており、左右方向の外側に向かって凸の円弧状部35aと、円弧状部35aの延びる方向の中央位置に左右方向外側から接続する補助部35bを有している。この差し込み部35は、前述したホルダ15の基部を固定するため、また折り曲げ板部31の折り曲げ状態を保持するための部分である。
【0026】
また、ガード本体13の左右両側には、下方ほど中央側に寄る形状の側部折り曲げ罫線36が形成されている。側部折り曲げ罫線36は、差し込み部35よりやや下側の左右両端位置から大きなカーブを描いて内方に延び、中央側に寄ったのち下方へ方向を変えて延びる形状である。ガード本体13の下端における側部折り曲げ罫線36の間の部分13aは、側部折り曲げ罫線36よりも左右方向外側の部分よりも下に向けて若干長く形成されている。
【0027】
一方ホルダ15は、左右一対のバンド部51,52で構成される。これらバンド部51,52は折り曲げ板部31の左右両端に一体形成されている。バンド部51,52は、組立て前の状態おいて、図3図4に示したように、ガード本体13の左右両側に位置するものであって、その長手方向が上下方向を向くものである。
【0028】
このためバンド部51,52の基部には、折り曲げ板部31の左右両端との間にバンド部51,52をガード本体13の左右両側に位置させる屈曲部53が形成されている。
【0029】
屈曲部53は直角をなしており、左右方向外側に延びる横凸部53aと、横凸部53aから下に延びる下凸部53bを有している。横凸部53aと下凸部53bの幅は同一である。
【0030】
横凸部53aと折り曲げ板部31との間には、上下方向に延びる縦折り曲げ罫線54が全体にわたって形成されている。
【0031】
また、横凸部53aと下凸部53bとの間には、直角に曲がる屈曲部53を二つ折りする斜め折り曲げ罫線55が形成されている。斜め折り曲げ罫線55は、縦折り曲げ罫線54に対して45度の角度に傾いている。
【0032】
斜め折り曲げ罫線55の長手方向の途中は、斜め折り曲げ罫線55を分断して、切り起こし可能な上側突片部56を有している。上側突片部56を形成するための切り込み56aは横凸部53aに形成される。上側突片部56の形状は、屈曲部53の外側の角に近いほうが幅狭となる三角形状である。
【0033】
また、屈曲部53を構成する下凸部53bにおける屈曲部53の外側の角には、三角形状の下側突片部57が形成されている。
【0034】
これら上側突片部56と下側突片部57は、斜め折り曲げ罫線55で二つ折りされて三角形となった屈曲部53をガード本体13における前述した差し込み部35に係止するためのものである。
【0035】
左右のバンド部51,52は、共に、屈曲部53の下凸部53bから下方に延びる一定幅のバンド本体部51a,52aと、端部においてバンド本体部51a,52aよりも幅広の幅広端部51b,52bを有している。幅広端部51b,52bは略四角形状であり、バンド本体部51a,52aを保持する保持部58が形成されている。
【0036】
保持部58は、貫通穴ではなく切り込みで構成されている。すなわち、保持部58は、切り込みとして、バンド本体部51a,52aの長手方向と直交する方向に延びる一対の縦線部58aと、これらの間をバンド本体部51a,52aの長手方向に沿って延びる横線部58bを有している。一対の縦線部58aの中間部は互いに接近する方向に寄せている。縦線部58aと横線部58bによって、横線部58bを挟んで対峙する変位可能な上片58cと下片58dが形成されことになる。また縦線部58aの中間部を内方に寄せたことによって、上片58cと下片58dの角は面取りされたような状態となる。
【0037】
そして、一方のバンド部51のバンド本体部51aにおける両側縁は凹凸なしの直線状であるのに対して、他方のバンド部52のバンド本体部52aにおける両側縁は、複数の凹部59を有し、複数の係止歯59aを備えている。凹部59は幅広端部52b方向の部分が深くなる三角形状である。
【0038】
このようなバンド部51,52の屈曲部53を加えた長さは、折り曲げ板部31を加えたガード本体13の上下方向の長さにほぼ等しい。
【0039】
以上のように構成されたフェイスガード11は次のようにして使用される。
【0040】
図4に示したような平坦な一枚のシート状をなす製品シート11aから、図3に示したようなフェイスガード11を分離して組立てを行う。組立てはまず、図5に示したように上端部折り曲げ罫線33において折り曲げ板部31をガード本体13の裏面側に折り曲げる。このとき、通気穴32を形成するための切り込み34部分で分離をして、切り込み34で囲まれた半円形の片を切り起こす。ガード本体13と折り曲げ板部31は上端部折り曲げ罫線33において側面視三角形をなし(図2参照)、切り込み34で囲まれた部分が開口する。
【0041】
また、折り曲げ板部31の折り返しによって、図5に示したように両端のバンド部51,52は上に向くことになる。
【0042】
つづいて、図6の左側に図示したバンド部51のように、縦折り曲げ罫線54で屈曲部53を内側に折り曲げる。次に、屈曲部53を斜め折り曲げ罫線55で二つに折って重ねて、図6の右側に仮想線で示したように屈曲部53を三角形にして、ガード本体13の差し込み部35に差し込む。
【0043】
屈曲部53を差し込み部35に差し込むと、屈曲部53の上側突片部56と下側突片部57が円弧状部35aの上下に係止し、抜け止めがなされる。
【0044】
このあと、図7(a)に矢印で示したようにして、一対のバンド部51,52の幅広端部51b,52bを相手方のバンド本体部51a,52aに重ねて、ホルダ15を所望の長さにする。この状態で、それぞれ相手方のバンド本体部51a,52aを保持部58の上片58cと下片58dの下に挟み込む。このとき、係止歯59aを有しない方のバンド部51における幅広端部51bの上片58cと下片58dは、図7(b)に示したように係止歯59aに係止する。
【0045】
そして、必要に応じて、図7(c)に示したように、係止した係止歯59aを折り曲げて引起し、上片58c及び下片58dとの係止を確実なものとする。
【0046】
組立てたフェイスガード11は、ホルダ15を頭部にかぶせてガード本体13で顔面を覆って使用する。装着状態においてガード本体13は左右方向に湾曲する。
【0047】
装着した後はガード本体13の向きを整えるとともに、側部折り曲げ罫線36において折り曲げを行い、側部折り曲げ罫線36よりも左右両側の部分を裏面側、つまり顔面側に折り曲げる。
【0048】
このようなフェイスガード11は、すべてが一枚の平坦なシート材で構成されており、かさばることもなく、また複数の部品で構成することもなく、取扱いが容易である。
【0049】
しかも、製品シート11aからフェイスガード11を分離した後は、ほかに切り離される部位はなく、折り曲げて必要個所を係止するだけで組立てられるので、ゴミが出ることもなく、この点からも取扱い性がよい。
【0050】
そのうえ、ガード本体13と一体のバンド部51,52は、ガード本体13の左右両側に位置する構成であるので、製品シート11aはより小さい四角形に形成でき、歩留りがよく、余白部分11cを小さくできる。このため生産性がよい。
【0051】
また、ガード本体13の上端の折り曲げ板部31は、簡素な構成により顔面の前に空間を形成するので、鼻との接触などを防止できる。上端部折り曲げ罫線33の湾曲を適切に設定すれば、図1に仮想線で示したように眼鏡Xを着用した人でも、難なく使用できるものとすることができる。
【0052】
同時に折り曲げ板部31は、ガード本体13の上端部の強度を向上する。このため、しっかりとした装着感を得られる。
【0053】
さらに、ガード本体13の上端部には内外に連通する通気穴32を左右に2個備えるので、快適な使用状態が得られる。しかも、通気穴32を形成する切り込み34の高さh1は折り曲げ板部31における対応する位置の高さh2よりも低くしているので、徒に顔面が露出することを防止し、飛沫によるウイルス感染などのおそれを回避できる。
【0054】
ガード本体13の左右両側には、下方ほど中央側に寄る形状の側部折り曲げ罫線36が形成されており、必要に応じて顔面の左右両側部を塞ぐような態様にすることができるので、この点からも特に飛沫によるウイルス感染防止には効果的である。
【0055】
バンド部51,52をガード本体13の左右両側に位置させる屈曲部53は、斜め折り曲げ罫線55で二つ折りして三角形に形成されてからガード本体13の差し込み部35に差し込まれる構成であるので、作業性がよいうえに、強固な組立て状態が得られる。
【0056】
加えて、バンド部51,52は端部に幅広端部51b,52bを有し、幅広端部51b,52bにバンド本体部51a,52aを保持する切り込みからなる保持部58が形成されているので、構成が簡素であるうえに、しっかりとした結合が可能である。しかも、一方のバンド部52は係止歯59aを有しているので、長さ調節も可能である。
【0057】
以下、その他の例について説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0058】
図8は、他の例に係るフェイスガード11の正面図である。このフェイスガード11は、ガード本体13の下部に、左右方向に延びる下部折り曲げ罫線61を有している。下部折り曲げ罫線61は図示したような直線状であるほか、湾曲させてもよい。
【0059】
このように構成されたフェイスガード11では、装着した際に下部折り曲げ罫線61より下の下部13bを図9に示したように内側に折り曲げる。
【0060】
このようにすることによって、下方からの空気流を抑制して、飛沫を遮断できる。そのうえ、透明なガード本体13に反射像が映って視認性が悪くなる場合があるが、ガード本体13の下部13bを裏面側に折り曲げることで、反射像を作る光を屈折させて、反射像の影響を軽減できる。
【0061】
図10は、他の例に係るバンド部52の係止歯59aを示す正面図である。この図に示すように係止歯59aの基部には折り曲げ罫線63が形成されている。折り曲げ罫線63はバンド本体部52aの内側に向けて凸の湾曲形状である。
【0062】
このように折り曲げ罫線63を設けると、ホルダ15の長さを固定する際の係止歯59aの折り曲げが容易に行える。折り曲げ罫線63は直線状であってもよい。
【0063】
図11は、他の例に係るバンド部52の一部を示す正面図である。この図に示すように係止歯59aは、バンド部65の両側縁ではなく、片側に形成してもよい。係止歯59aを形成するのは、使用時に上に向く側に形成されるのが好ましい。
【0064】
また、図11に示したように係止歯59aを有するバンド部52からは、幅広端部と保持部を省略することもできる。
【0065】
このように係止歯59aを片側のみに形成した場合には、ホルダ15を環状にする際のバンド部51,52同士の摺動が滑らかに行える。
【0066】
図12は、他の例に係るフェイスガード11の正面図である。このフェイスガード11のガード本体13は、3個の通気穴32を形成できるように、上端部折り曲げ罫線33に沿って3個の切り込み34を有している。切り込み34の形状は、半円弧状ではなく方形状である。また、切り込み34は上端部折り曲げ罫線33を分断せずに形成している。
【0067】
また、下方ほど中央側に寄り顔面との隙間を減らす側部折り曲げ罫線36は、斜めに直線状に形成されている。
【0068】
ガード本体13の左右両側の上端部には、前述した図3の例のフェイスガード11と同様に、上端の折り曲げ板部31の折り曲げ状態を保持するための差し込み部35が形成されている。しかし、この例のフェイスガード11は、ホルダ15を左右方向に長い状態で備えているので、差し込み部35には、ホルダ15の基部又は折り曲げ板部31の両端部が保持される。
【0069】
図示例では、折り曲げ板部31の両端部に切り込み41を入れて引起し可能な差し込み片42が形成されている。この差し込み片42がガード本体13の差し込み部35に差し込まれる。差し込み片42は略円形の円板部42aとくびれ部42bを有しており、差し込み部35に差し込んだ差し込み片24の引っ張り具合に応じてガード本体13の顔面に対する距離を微調整可能である。
【0070】
ホルダ15は、帯状のバンド部65と、バンド部65を留める留め部66を左右に分けて備えている。バンド部65は左右方向外方に向けて延びている。バンド部65の先端側部分には、両側縁から入り込む一対の切り欠き67が複数形成されて、バンド部65の長手方向に並ぶ複数のくびれ部68が設けられている。切り欠き67の形状は、左右方向外側ほど深い三角形状である。
【0071】
留め部66は、バンド部65に比して短く左右方向外方に突出しており、中央に、別体のゴム部材(図示せず)を引っかけるための保持穴部が切り込み69を入れて形成されている。切り込み69は略半円形である。ゴム部材には、例えば輪ゴムを使用でき、保持穴部に止められた輪ゴムの他端はバンド部65のくびれ部68に係止される。
【0072】
このような構成のフェイスガード11では、折り曲げ板部31の長手方向と同じ方向にホルダ15が延びているので、組立てに際してホルダ15の向きを変える必要がなく、組立て作業性が良い。
【0073】
しかも、折り曲げ板部31の両端部の差し込み片42をガード本体13の差し込み部35に差し込むことで、ガード本体13の顔面に対する距離を微調整可能に構成しているので、上端部折り曲げ罫線33の機能を補って、装着時により高いフィット感を得られる。
【0074】
また、通気穴32のための切り込み34は上端部折り曲げ罫線33を分断せずに形成され、切り込み34の基部にも上端部折り曲げ罫線33を有するので、通気穴32の形成は任意である。通気穴32を開けなければ、飛沫の侵入を確実に抑制できウイルス感染対策に好適である。
【0075】
このような構成のフェイスガード11は、図13に示したようにガード本体13の下方にホルダ15のバンド部65が左右に延びるように配置して複数枚取りすると、歩留りを良くできる。
【0076】
図14は、図12に示したフェイスガード11の変形例を示すフェイスガード11の正面図であり、側部折り曲げ罫線36に代えて、縦にスリット71を有している。
【0077】
すなわち、ガード本体13の下部に、上下方向に延びるスリット71が下端から左右に2本平行に形成されている。スリット71の長さはガード本体13における上下方向の長さの半分以下である。
【0078】
また、スリット71を挟んで切り込みからなる差し込み溝72と、切り込み73で囲んで形成された差し込み片74を有している。この差し込み溝72と差し込み片74は互いに結合さて、スリット71の近傍部分を互い重ね合わせたガード本体13の下部の形態を保持するものである。
【0079】
このような構成のフェイスガード11では、スリット71部分で重なり合って下部を閉じるような形態になるので、顔面下部の隙間を良好に減らせる。
【0080】
図15は、図12に示したフェイスガード11の変形例を示すフェイスガード11の正面図であり、側部折り曲げ罫線36に加えて、図14のフェイスガード11に備えたスリット71を有している。
【0081】
すなわち、側部折り曲げ罫線36がガード本体13の下部の途中まで形成され、その側部折り曲げ罫線36の下端から下方に、ガード本体13の下端まで延びるスリット71を有している。
【0082】
スリット71の左右両側には、差し込み溝72と差し込み片74が形成される。
【0083】
図16に示した展開状態のフェイスガード11は、折り曲げ板部31についての他の例である。このフェイスガード11は、ガード本体13における折り曲げ板部31に、上端縁から切り込む切り欠き31aを形成して複数の凸形状部31bが設けられている。
【0084】
具体的には、ガード本体13の上端部における上端部折り曲げ罫線33の両端部に、正面視三角形状に形成され左右方向外方に張り出す拡張部37が形成される。これら拡張部37のうち一方の拡張部37にホルダ15のバンド部65が、他方の拡張部37にホルダ15の留め部66が、上端部折り曲げ罫線33を介して連設されている。バンド部65と留め部66の構成は前述の構成(図12図15)と同じである。
【0085】
バンド部65と留め部66との間に、ガード本体13の上端縁から上端部折り曲げ罫線33に近い位置まで切り込む切り込み38を介して折り曲げ板部31が形成されている。切り込み38は上端部折り曲げ罫線33に近いほど細くなる正面視V字状である。
【0086】
折り曲げ板部31の切り欠き31aはガード本体13の上端部に沿って断続的に複数、具体的には2個形成されている。切り欠き31aは、正面視略半円形であり、切り欠き31aの左右方向の長さは、前述の例における通気穴32を形成するのにふさわしい幅に設定される。切り欠き31aの深さは、切り込み38と同様に、上端部折り曲げ罫線33の手前までである。
【0087】
切り欠き31aが2個形成されるため、凸形状部31bは3個設けられることになる。
【0088】
このような折り曲げ板部31を有するガード本体13には、折り曲げ板部31をガード本体13の裏面に重ね合わせたときの凸形状部31bの下端位置が対応する位置よりも上に凸形状部31bの下端を係止する係止部39を形成する。
【0089】
つまり、折り曲げ板部31をガード本体13の裏面に折り曲げて係止部39で係止し合ったときに折り曲げ板部31が上下方向において円弧状に丸くなるように構成する。
【0090】
係止部39は、ガード本体13の上端部折り曲げ罫線33より下に設けられた係止溝39aと、凸形状部31bの先端に形成された係止突起39bで構成される。
【0091】
係止溝39aは直線部39dとその両端の円弧部39eを有する切り込みで形成されている。係止溝39aの幅W1は、折り曲げ板部31の幅W2よりも幅狭である。
【0092】
折り曲げ板部31の係止突起39bは、係止溝39aの直線部39dに略対応する幅に形成され、係止突起39bの両側には、係止溝39aには差し込まれない当接片39fが形成されている。当接片39fの長さは係止突起39bの長さよりも若干長い。
【0093】
そして、上端部折り曲げ罫線33から係止溝39aの直線部39dまでの長さL1は、上端部折り曲げ罫線33から係止突起39bの基部までの長さL2よりも短く設定される。これらの長さの差は、折り曲げ板部31を所望の状態に湾曲できるように適宜設定される。
【0094】
また、付言すると、切り欠き31aの切り込み深さL3は、上端部折り曲げ罫線33から係止突起39bの基部までの長さL2よりも小さい。
【0095】
このように構成されたフェイスガード11では、使用に際してホルダ15の留め部66と、折り曲げ板部31と、バンド部65の基部が順次ガード本体13の裏面側に折り曲げられる。
【0096】
ガード本体13の裏面側に折り返される折り曲げ板部側の部分である留め部66とバンド部65の基部においては、折り曲げてから差し込み片42を差し込み部35に差し込む。
【0097】
折り曲げ板部31においては、図17に示したように3個の凸形状部31bの係止突起39bを係止溝39aに差し込むとともに、係止突起39bの両側の当接片39fはガード本体13の裏面に当てる。
【0098】
このような一連の作業においては、切り込み38と切り欠き31aがガード本体13の上端部に沿って断続的に形成されており、切り込み38と切り欠き31aが上端部折り曲げ罫線33まで達していないので、折り曲げ動作が左右方向で全体的に連動する。特に折り曲げ板部31の切り欠き31aは正面視略半円形であり、ガード本体13の上下方向に円弧状に丸く延びる辺を形成するので、連動性がよい。切り欠き31aの切り込み深さL3が上端部折り曲げ罫線33から係止突起39bの基部までの長さL2よりも小さいことも連動性の良さに寄与する。このため、折り曲げ作業がしやすい。
【0099】
また係止部39で係止した折り曲げ板部31の凸形状部31bは、図17図18に示したように湾曲して膨らんだ形状なるので、折り曲げ板部31が全体的に人体の額に密着することはなく、線状に接触する。このため、蒸れを低減して装着感を良くすることができる。
【0100】
そのうえ、図18に示したように折り曲げ板部31における凸形状部31b同士の間の空間が通気穴32となる。この点からも蒸れや曇りを防止できる。しかも、ガード本体13に切り込みを入れて通気穴を形成する必要はないので、飛沫を浴びたりする可能性を低減することもできる。
【0101】
なお、前述した切り込み38と切り欠き31aのうちいずれか一方又は双方は、上端部折り曲げ罫線33に達する形態にして、折り曲げ板部31を左右方向に分割した形態としてもよい。
【0102】
このほか、図示は省略するが、ホルダ15は、例えば別体または一体のゴムバンド等で構成してもよい。
【0103】
またホルダ15は、人体の頭部以外の部位保持するものであってもよい。
【0104】
ガード本体13は、顔全体を覆うものではなく、例えば目の部分など、顔を部分的に覆うものであってもよい。
【0105】
フェイスガード11には印刷を施すこともできる。
【符号の説明】
【0106】
11…フェイスガード
13…ガード本体
15…ホルダ
31…折り曲げ板部
31a…切り欠き
31b…凸形状部
32…通気穴
33…上端部折り曲げ罫線
34…切り込み
35…差し込み部
36…側部折り曲げ罫線
39…係止部
42…差し込み片
51,52…バンド部
51a,52a…バンド本体部
51b,52b…幅広端部
53…屈曲部
58…保持部
61…下部折り曲げ罫線
71…スリット
72…差し込み溝
74…差し込み片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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