(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電子銃ドライバ
(51)【国際特許分類】
H05G 2/00 20060101AFI20240611BHJP
H05G 1/56 20060101ALI20240611BHJP
H05G 1/34 20060101ALI20240611BHJP
H05H 7/08 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H05G2/00 L
H05G1/56 K
H05G1/34 H
H05G1/34 C
H05H7/08
(21)【出願番号】P 2022500974
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 US2020041470
(87)【国際公開番号】W WO2021007463
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-01-10
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ジョン
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0270941(US,A1)
【文献】特開平10-189286(JP,A)
【文献】特開2016-012397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 1/00- 2/00
A61M 36/10-36/14
A61N 5/00- 5/10
H05H 3/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフブリッジドライバ回路であって、
電子銃のグリッド接続に関するグリッドドライブ電圧を生成するように構成されたドライブ回路、
前記電子銃の前記グリッド接続に関するグリッドカットオフ電圧を生成するように構成されたカットオフ回路、及び、
前記グリッドドライブ電圧と前記グリッドカットオフ電圧との間で切り替えるように構成されたゲートドライバ、
を備えたハーフブリッジドライバ回路と、
前記ドライブ回路及び前記カットオフ回路へのパルス入力、ならびに、前記ゲートドライバに関するグリッド切替え信号を生成するように構成されたドライブコントローラと、を備え
、
前記ドライブ回路が、
前記ハーフブリッジドライバ回路に関する前記グリッドドライブ電圧を提供するように構成されたドライブ高電圧電力増幅器と、
前記ドライブ高電圧電力増幅器へのプログラミング電圧を生成するように構成されたドライブ高速デジタル-アナログ変換器(DAC)と、
前記グリッドドライブ電圧を前記グリッド接続に印加するように構成されたドライブパワースイッチと、
を含む、電子銃ドライバ。
【請求項2】
前記カットオフ回路が、
前記ハーフブリッジドライバ回路に関する前記グリッドカットオフ電圧を提供するように構成されたカットオフ高電圧電力増幅器と、
前記カットオフ高電圧電力増幅器へのプログラミング電圧を生成するように構成されたカットオフ高速DACと、
前記グリッドカットオフ電圧を前記グリッド接続に印加するように構成されたカットオフパワースイッチと、
をさらに備え、
前記ゲートドライバが、グリッド制御信号を前記ドライブパワースイッチ及び前記カットオフパワースイッチに印加するように構成されている、請求項1に記載の電子銃ドライバ。
【請求項3】
前記電子銃のヒータ接続のためのヒータ電圧を生成するように構成されたヒータ回路であって、前記ヒータ回路が、
前記ヒータ電圧を前記電子銃の前記ヒータ接続に提供するように構成されたヒータ電力増幅器と、
前記ヒータ電力増幅器へのプログラミング信号を生成するように構成されたヒータ高速DACと、
を備える、前記ヒータ回路をさらに備え、
前記ドライブコントローラが、前記ヒータ回路へのヒータ入力を生成するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の電子銃ドライバ。
【請求項4】
ユーザ入力をドライバコントローラ入力に変換するように構成された制御回路であって、前記制御回路が、
線形加速器制御システム入力を受領するように構成されたユーザインターフェースと、
前記ドライブコントローラに関するドライブ制御信号を生成するように構成された低電圧側コントローラと、
コンデンサ充電電源(CCPS)に関するCCPS制御信号を生成するように構成されたCCPSコントローラと、
を備えている、前記制御回路をさらに備えている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子銃ドライバ。
【請求項5】
前記ドライブ制御信号が、光ファイバの通信リンク及び光ファイバのトリガリンクを含んでいる、請求項4に記載の電子銃ドライバ。
【請求項6】
前記制御回路と前記ハーフブリッジドライバ回路との間の電圧の絶縁を提供するように構成された絶縁電源をさらに備えた、請求項4または請求項5に記載の電子銃ドライバ。
【請求項7】
前記ドライブコントローラが、前記グリッドドライブ電圧及び前記グリッドカットオフ電圧によって生成される各パルスの振幅、幅、及び遅延を調整するように構成されており、各パルスが、前のパルスとは異なるように構成され得る、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子銃ドライバ。
【請求項8】
前記グリッドドライブ電圧及び前記グリッドカットオフ電圧によって生成される各パルスの振幅、幅、または遅延の少なくとも1つが、パルス間で変化されるように構成されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電子銃ドライバ。
【請求項9】
前記グリッドドライブ電圧及び前記グリッドカットオフ電圧によって生成される各パルスの振幅、幅、または遅延の少なくとも1つが、少なくとも500パルス毎秒の速度で変化されるように構成されている、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子銃ドライバ。
【請求項10】
ハーフブリッジドライバ回路であって、
電子銃のグリッド接続に関するグリッドドライブ電圧を生成するように構成されたドライブ回路、
前記電子銃の前記グリッド接続に関するグリッドカットオフ電圧を生成するように構成されたカットオフ回路、及び、
前記グリッドドライブ電圧と前記グリッドカットオフ電圧との間で切り替えるように構成されたゲートドライバ、
を備えたハーフブリッジドライバ回路と、
前記ドライブ回路及び前記カットオフ回路へのパルス入力、ならびに、前記ゲートドライバに関するグリッド切替え信号を生成するように構成されたドライブコントローラと、
ユーザ入力をドライバコントローラ入力に変換するように構成された制御回路であって、
線形加速器制御システム入力を受領するように構成されたユーザインターフェースと、
前記ドライブコントローラに関するドライブ制御信号を生成するように構成された低電圧側コントローラと、
コンデンサ充電電源(CCPS)に関するCCPS制御信号を生成するように構成されたCCPSコントローラと、
を備えている、前記制御回路と、
を備える電子銃ドライバ。
【請求項11】
請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の電子銃ドライバと、
高電圧コンデンサと、
前記高電圧コンデンサを充電するように構成されたコンデンサ充電電源(CCPS)と、
前記電子銃ドライバの高電圧側のための電力を生成するように構成された、1つまたは複数の高電圧側電源と、
電子銃であって、
グラウンドに結合されたアノード、
前記CCPSの出力に結合されたカソード、
前記グリッド接続に結合されたグリッド、及び、
ヒータ
を備えている、前記電子銃と、を備えている、システム。
【請求項12】
電子銃ドライバの制御方法であって、
電子銃のグリッド接続に関する、ドライブ高電圧電力増幅器のグリッドドライブ電圧を設定することであり、
ドライブ高速デジタル-アナログ変換器(DAC)を用いてプログラミング電圧を生成することと、前記グリッドドライブ電圧を生成するように構成された前記ドライブ高電圧電力増幅器を用いて前記プログラミング電圧を増幅することとをさらに含む、前記グリッドドライブ電圧を設定することと、
前記電子銃の前記グリッド接続に関するカットオフ高電圧電力増幅器のグリッドカットオフ電圧を設定することと、
前記グリッド接続のパルスを生成するように、前記グリッドドライブ電圧と前記グリッドカットオフ電圧との間で切り替えることと、を含む、制御方法。
【請求項13】
前記グリッドドライブ電圧または前記グリッドカットオフ電圧によって生成された各パルスの振幅、幅、または遅延を調整することであって、少なくとも3つの異なる振幅、少なくとも3つの異なる幅、及び少なくとも3つの異なる遅延を使用することができる、前記調整することをさらに含む、請求項
12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記パルスの振幅、幅、または遅延の少なくとも1つを、少なくとも500パルス毎秒の速度で変化させることであって、前記振幅、前記幅、及び前記遅延の各々が、少なくとも3つの異なる値の間で変化され得る、前記変化させることをさらに含む、請求項
12または請求項
13に記載の制御方法。
【請求項15】
プロセッサに、請求項
12から請求項
14のいずれか一項に記載の制御方法を実行させるための、コンピュータプログラム。
【請求項16】
電子銃のグリッド接続に関するグリッドドライブ電圧及びグリッドカットオフ電圧を生成するためのグリッド電圧生成手段と、
前記グリッドドライブ電圧と前記グリッドカットオフ電圧との間で切り替えることにより、前記グリッド接続でパルスを生成するための切替え手段と、
前記グリッド電圧生成手段及び前記切替え手段への入力を生成するための電圧制御手段と、を備え
、
前記グリッド電圧生成手段は、
前記グリッド電圧生成手段への前記入力を、前記電圧制御手段のデジタル出力からアナログ入力に変換するための変換手段と、
前記アナログ入力に応答して前記グリッドドライブ電圧を生成する増幅手段と、
を備える、電子銃ドライバ。
【請求項17】
前記電子銃のヒータ接続に関するヒータ電圧を生成するためのヒータ電圧手段をさらに備え、
前記電圧制御手段が、前記ヒータ電圧手段への入力を生成する
、請求項16に記載の電子銃ドライバ。
【請求項18】
ユーザ入力を前記電圧制御手段のための入力に変換するためのコマンド制御手段をさらに備えている、請求項
16または請求項17のいずれか一項に記載の電子銃ドライバ。
【請求項19】
前記電子銃ドライバが、前記電圧制御手段、前記グリッド電圧生成手段、及び前記切替え手段により生成された各パルスの振幅、幅、及び遅延を調整するように構成されており、各パルスが、前のパルスとは異なるように構成され得、前記振幅、前記幅、及び前記遅延の各々が、少なくとも3つの異なる値の間で変化され得る、請求項
16から請求項18のいずれか一項に記載の電子銃ドライバ。
【請求項20】
前記電子銃ドライバが、各パルスの振幅、幅、及び遅延の少なくとも1つを、パルス間で、少なくとも500パルス毎秒の速度で変化させるように構成されている、請求項
16から請求項19のいずれか一項に記載の電子銃ドライバ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書に別様に示されていない限り、本セクションで記載されるアプローチは、本開示における特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、また、本セクションに含まれることによっては、従来技術であるとは認められない。
【0002】
線形加速器(すなわち、リニアック)が、複雑な医療用、セキュリティ検査、通信、及びレーダーシステムなどのシステムで使用される。線形加速器は、x線を生成するか、無線周波(RF)またはマイクロウェーブ電磁信号を増幅するシステムの一部として使用される場合がある。いくつかの線形加速器は、粒子源(たとえば、電子銃)に供給される電力及びRF源(たとえば、磁電管)への電力をパルス状にすることにより、加速された粒子のパルスを生成する。いくつかの線形加速器は、粒子源に供給される電力及びRF源に供給される電力に関する決まった電圧レベル及びタイミングを有し、パルスに関するエネルギ及び線量率(たとえば、タイミング及び振幅)を固定する。他の線形加速器は、工場で規定された2つ以上のモード間で切り替わる場合がある。ここで、各モードは、粒子源に供給される関連する電力、及び、RF源に供給される電力を有する。供給される電力のタイミングは、各モードに関して同じである。さらに、このモードは、予め規定されたパターンに基づいて切り替えられ、2つのモード間で交互になっている。電子銃(たとえば、二極管銃または三極管銃)とも称される、電子粒子源に提供される電力及びパルスは、電子銃調整器とも称される、電子銃ドライバによって慣習的に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】いくつかの実施形態に係る、三極管銃ドライバの概略図またはブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態に係る、高電圧側の電源の概略図またはブロック図である。
【
図3】いくつかの実施形態に係る、三極管銃ドライバの交流ドライバモジュールの概略図またはブロック図である。
【
図4】いくつかの実施形態に係る、三極管銃ドライバの交流ドライバモジュールの概略図またはブロック図である。
【
図5】いくつかの実施形態に係る、三極管銃ドライバを制御する方法の実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明のあらゆる実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その用途において、以下の記載に説明されるか、以下の図面に示される、構成の詳細、及び、構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態、及び、様々な方法で実行されるか実施されることが可能である。フローチャート及びプロセスに提供される数は、ステップ及び操作を示す中で明確化のために提供されており、特定の順番またはシーケンスを必ずしも示すものではない。別様に規定されていない限り、「または」との用語は、代替物(たとえば、宣言的機能語、または排他的なまたは)、または代替物の組合せ(たとえば、接続的な機能語、及び/または、論理的なまたは、またはブール代数的なOR)の選択に言及し得る。DCは直流を指し、一方、ACは交流を指す。
【0005】
本開示は、電子銃グリッドに関するパルスの振幅、幅、及び遅延を、1つのパルスから次のパルスへ、高い切替え速度で変化させることができる、三極管電子銃ドライバに関する。開示の実施形態は概して、1つのパルスから次のパルスへ、異なるパルスの振幅、幅、及び遅延で、三極管銃のグリッドを駆動するための、機構、方法、及びシステムに関する。開示の実施形態は概して、電子銃のためのグリッドドライバ回路構成にも関する。
【0006】
線形加速器は通常、電子源など、粒子ビームを生成するように構成された粒子源を使用する。粒子ビームは、加速器構造を通るように向けられる。加速器構造は、粒子ビーム内の粒子を加速させるために入力RF信号を使用する共振構造である。加速された粒子ビームは、加速器構造に向けられた粒子のパルスを生成するために、粒子源のパルスを出すことによって生成される。RF信号は、加速された粒子ビームを生成するために、粒子を加速させる。以下により詳細に記載するように、電子粒子源は、銃ドライバによって制御される場合がある。さらに、銃ドライバは、以下にさらに詳細に記載するように、可変の振幅、幅、及び遅延を有するパルスを提供するように構成されている場合がある。
【0007】
慣習的には、線形加速器の粒子源は、熱カソードまたは熱電子カソードを使用する。熱電子カソードは、熱電子放出に起因して電子を放出するように加熱される加熱要素またはフィラメントを有するカソード電極である。加熱要素は、通常、中を通る電流によって加熱される電気フィラメントである。直接的に加熱されるカソードと、間接的に加熱されるカソードとの、2つのタイプの熱カソードを真空デバイスで使用することができる。直接的に加熱されるカソードでは、フィラメントがカソードであり、電子を直接放出する。間接的に加熱されるカソードでは、フィラメントはカソードではないが、むしろ、フィラメントを囲むシート金属シリンダなど、分かれたカソードを加熱させ、フィラメントまたはシリンダが、電子を放出する。慣習的には、線形加速器は、間接的に加熱されるカソードを使用する。
【0008】
カーゴスクリーニングなど、物質の識別の用途において線形加速器を有用にするために、x線パルスは、パルス毎のそのパルスエネルギ及び線量を、1つのパルスから次のパルスへ、正確に制御する必要がある。リニアック内のパルス毎の線量及びエネルギを制御するために、無線周波(RF)源(たとえば、磁電管)及び電子銃(たとえば、二極管銃または三極管銃)に対するパルスの振幅、幅、及び遅延は、パルス毎に調整する必要がある。
【0009】
二極管電子銃と三極管電子銃(またはグリッド付き電子銃)との、2つのクラスの電子銃を線形加速器で使用することができる。二極管電子銃または二極管銃は、ある負の電圧(通常は、数十キロボルト(kV)の大きさ)に設定されるカソード及び集束電極と、グラウンドまたはその近くに保持されるアノードとの、2つの別々の電位を有している。いくつかの実施形態では、カソード接続は、カソードリードとヒータリード(またはフィラメントリード)との2つのリードを有することができる。ときには、二極管銃の2つの別々の電位は、カソード電位とヒータ電位とを指す。三極管電子銃または三極管銃では、制御グリッド(またはグリッド)が、カソードの表面の直上に追加される。グリッドは、第3の電位、通常は、カソード電位の約100ボルト(V)内に保持されている。二極管電子銃は、シンプルな、低エネルギのリニアック及びx線源で使用するために適切であり得るが、ほとんどの高エネルギのリニアックは、三極管電子銃を利用する。この理由は、三極管銃が、グリッドの使用を通して、パルスのエネルギ及びタイミングに対して二極管銃よりもさらなる制御及び柔軟性を可能にするためである。グリッドは、アノードに達する電子の電流を制御する「ゲート」として作用する、真空エンクロージャ内のカソードとアノードとの間の電極である。グリッド上のさらなる負の電圧が、カソードに向けて電子を押し戻し、それにより、より少ない量がアノードへと通過する。グリッド上のより小さい負、または正の電圧は、より多くの電子を通すことになり、アノード電流を増大させる(ビーム電流とも称される)。
【0010】
以下により詳細に記載するように、銃ドライバは、カソード、ヒータ、及びグリッドを制御するように構成されている場合がある。本明細書で使用される場合、ヒータは、加熱されるか高温である場合に電子放射を形成する、フィラメントまたはカソードフィラメントとも称される場合がある。慣習的には、銃ドライバは、集束電極を制御せず、集束電極の制御は、他の構成要素または電源によって提供される。
【0011】
基準(たとえば、アノード)に対する3つの電位(たとえば、カソード、ヒータ、及びグリッド)が三極管銃で使用されることから、三極管銃を設計及び操作する場合、少なくとも4つの入力または制御を考慮することができる。第1に、アノードは、グラウンド接続として作用する、シャーシグラウンド、または、銃が取り付けられる加速器の本体を基準とする。第2に、カソードは、アノードに比べ、高い負の電圧に上昇される必要がある。一実施例では、最大カソード電圧は、-12kVから-15kVの電圧を有する。別の実施例では、カソード電圧は、0Vから-18kVの範囲の電圧を有する。一実施例では、高電圧は、アノードに対するカソードの電圧の範囲の電圧の大きさを指し得る。たとえば、高電圧は、1kVより大である電圧の大きさ(正または負のいずれか)を指し得る。第3に、ヒータは、正または負とすることができる、カソードに対するより低い電圧振幅で駆動される。一実施例では、ヒータは、カソードに対して2Vから10Vの間の電圧振幅、または、カソードに対して4Vから7Vの電圧振幅を有する。第4に、グリッドは、カソードに対して-200Vから200Vの電圧を有する。たとえば、いくつかの設計では、グリッドは、カソードが高電圧である場合、カソードに対して-50Vから-70V(カットオフ電圧とも称される)の間へ駆動されるグリッド電圧でのビーム電流の流れを通常は防止することができる。また、グリッドは、カソードが高電圧である場合、カソードに対して50Vから100V(駆動電圧とも称される)の間へ駆動されるグリッド電圧でのビーム電流の流れを通常は許容することができる。他の実施例では、カットオフ電圧は、-50Vより大である電圧(または-50V未満の電圧振幅)を有するか、-70V未満の電圧(または、-70Vより大である電圧振幅)を有するビーム電流を切断する場合があり、グリッドは、50V未満か100Vより大である電圧を有する完全なビーム電流を許容することができる。一実施例では、高電圧は、この高電圧がグリッド電圧に関することから、50Vより大である大きさを有することができる。
【0012】
いくつかの用途に関し、グリッドは、パルスの歪みを避けるように、迅速な上昇及び下降時間で、特定のパルス幅でカットオフ電圧からドライブ電圧へ、またカットオフ電圧へ戻るように切り替えることにより、速い速度で、プログラムされた振幅でパルスを生成する必要がある。このことは、システムの効率を低減させ得る。一実施例では、パルス幅は、500パルス毎秒(pps)までの速度で、または、好ましくは、2000パルス毎秒までの速度で、0.5マイクロ秒(μS)から5μSの間とする必要がある場合がある。他の実施例では、グリッドパルス幅及び/またはパルス周波数は、異なる場合がある。さらに、銃ドライバによる、カソード電圧、ヒータ電圧、グリッドドライブ電圧、グリッドカットオフ電圧、グリッドパルスの遅延、及びグリッドパルス幅の調整可能性またはプログラム可能性は、ユーザに、エネルギのさらなる制御、及び、パルスの線量を与える。このことは、電子銃またはシステム(たとえば、リニアック)のさらなる機能性及び用途を与えることができる。
【0013】
慣習的な銃ドライバは、振幅、幅、及び遅延のパラメータのいくらかの調整を与えるが、通常、非常に長い時間の尺度(数秒(s)の大きさ)では、このことが、慣習的な銃ドライバを、ミリ秒(ms)またはサブミリ秒レベル(μS)でグリッドを調整する必要があり、好ましくは、パルス毎に変更または調整される、材料識別x線撮像システムでの使用には非現実的にしている。たとえば、慣習的な銃ドライバは、パルス毎に変更され得るグリッドドライブ電圧を有する場合があるが、2つの異なる電圧またはモード間で切り替えることができるのみである。このモードは、2017年5月23日に許可され、「Linear Accelerator System with Stable Interleaved and Intermittent Pulsing」と題された、米国特許第9,661,734(本明細書では「Nighan patent」と称される)によって説明されるように、インターリーブモードとも称される。この文献は、その全体が、参照することによって組み込まれる。Nighan patentに開示されるように、グリッドに関するドライバは、電源によって直接生成された電圧を使用し、パルス毎に、モードと称されるこれら2つの決まった電圧間で切り替える。電源は、通常、最大で少なくとも数十ミリ秒(ms)または数百ms内で電圧振幅を切り替えることが可能であるのみであり、このことは、少なくとも500パルス毎秒の速度で3つ以上の電圧振幅間で切り替えるためには不十分である。迅速な切替え速度(ミリ秒及びサブミリ秒レベル内)におけるデュアルモードの銃ドライバの2つの電圧振幅の制限は、各追加モードに関して電源を追加し、これら電源の決まった電圧間で切り替えることにより、軽減される場合がある。しかし、そのようなアプローチは、特に異なるモードの数が増大するにつれて、さらなる設計の複雑さ及びコストを追加し得る。さらに、使用され得る異なるモードの数は、使用される電源の数によって依然として制限される。
【0014】
他の慣習的な銃ドライバの実施例(図示または参照されていない)では、銃ドライバは、グリッドを駆動するために、比較的高価であるソリッドステートのスイッチを使用して、高電圧コンデンサバンク間で切り替える、単一の電源を使用する場合がある。ここで、各コンデンサバンクは、特定の電圧振幅またはモードを生成するように設計されている。同様に、グリッドを駆動するために複数の高電圧コンデンサバンクを使用する銃ドライバは、使用できるモードの数が、関連する設計の複雑さ及びコストとともに、使用される高電圧コンデンサバンクの数によって制限されるという制限を有している。
【0015】
対照的に、開示の設計は、サブミリ秒レベルで、グリッドドライブ電圧とグリッドカットオフ電圧との両方の調整を可能にし、これら2つのパラメータ(たとえば、銃のドライバの利用可能な動的レンジ内における、いくらかの有限な解像度でのグリッドドライブ電圧及びグリッドカットオフ電圧)を、パルス毎にユーザに利用可能にする。
【0016】
慣習的に、パルス毎に2つのモード間で切り替えることができるシステム(たとえば、リニアック)は、インターレースシステムまたはインターリーブシステムと称され、ここでは、各x線モードが、x線ビームの特定の、または規定された線量及びエネルギを有する。通常、線量は、電子銃のパルスの振幅、幅、及び遅延と組み合わせて、RF源のパルスの振幅及び幅によって判定される。エネルギは、RF源のパルスの振幅によって主に判定され、ここで、電子銃のパルスの振幅、幅、及び遅延も、効果を有することができる。たとえば、インターレースリニアックは、線量A及びエネルギAのx線ビームと、線量B及びエネルギBの別のx線ビームとの間でパルス毎に切り替えるように構成することができる。インターレースされた能力の銃ドライバは、リニアックが、パルス毎に2つのパルスモード間で選択することを可能にする。そのため、第1のパルスモードは、振幅A、幅A、及び遅延Aのパルスであり、一方、第2のパルスモードは、振幅B、幅B、及び遅延Bとすることができる。
【0017】
対照的に、混合された能力のシステム(たとえば、リニアック)は、パルス毎に、2つのみのモードよりも多く(すなわち、nのモードであり、nは正の整数である)の間で選択することができる。混合された能力の銃ドライバは、パルス毎にその動的な範囲内で(いくらかの限定された分解能で)任意の振幅、幅、及び遅延のパルスを生成することができる。混合された能力の銃ドライバ(磁電管調整器またはRF調整器を伴う)は、システムが、混合されたシステムとして動作することを許容する。これにより、インターレースシステムまたはインターリーブシステムに比べ、材料識別などのx線撮像に関するさらなる多様性及び機能性を提供する。
【0018】
一実施形態では、
図1に示すように、三極管銃ドライバ100は、(1)制御盤、制御回路、または制御モジュール110(または、単一のプリント回路基板として形成されている場合、制御盤110)を含む場合がある、制御側または低電圧側102と、(2)ときには高温デッキ側(別の呼称としては、高電圧)と称される、高電圧側140との、少なくとも2つのメインセクションに分けられる。「低電圧側」102及び「高電圧側」160は、システムグラウンド(たとえば、リニアックのシステムグラウンド)に対するその電圧の大きさへの基準を有する。低電圧側102は、システムの残りの部分全体で使用される、同じシャーシグラウンド(またはリニアックのシステムグラウンド)116及び信号グラウンド108を基準にし、一方、高電圧側140は、高電圧コンデンサ充電電源、高電圧コンデンサ充電モジュール、またはコンデンサ充電電源(CCPS)144の高電圧出力146(たとえば、負の電圧)を基準にする。
【0019】
CCPSは、高電圧コンデンサ106に充電する。高電圧コンデンサ106は、主として銃のカソードからアノードに流れ、グリッドがオンにされている間は部分的にグリッドからアノードに流れる、パルスの間の瞬間的な電流を提供するために使用される電荷を蓄積する貯蔵コンデンサである。パルス幅が通常は、パルス間の時間よりかなり小さい(たとえば、パルスデューティサイクル、またはパルスの「オフ」の時間に対するパルスの「オン」の時間の割合は、0.0001から0.05の範囲内とすることができる)ことから、高電圧コンデンサ106は、(パルス幅に対し)パルス間でゆっくりと充電することができ、次いで、パルスの間に迅速に放電されるか部分的に放電される。高電圧コンデンサ106は、カソード自体に関する高電圧電源が、高電圧コンデンサ106を充電するために使用される細流充電の代わりに、パルスの間に必要とされるピーク電流を提供しなければならない場合に必要とされるよりもかなり小さい高電圧電源をシステムが使用することを可能にする。
【0020】
低電圧側102と高電圧側140との両方は、マイクロコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)120、160、及び低電圧電源104、148、147などの低電圧制御回路を使用する場合がある。しかし、低電圧コントローラ120は、実施例によってFPGA120と称される場合がある。同様に、高電圧コントローラ160は、FPGA160と称される場合がある。高電圧側140では、低電圧制御回路に関する「グラウンド」または「基準」は、その制御回路がヒータ194及びグリッド192を駆動するように構成されていることから、CCPS144(またはカソード電圧)の出力である。この電圧は、カソード196に対して特定される。結果として、低電圧側102は、高電圧側140から絶縁され、2つの別々のセクションまたは側と称される。いくつかの実施例では、高電圧エンクロージャが、高電圧側140の構成要素を低電圧側102の構成要素から絶縁するために使用される。他の実施例では、高電圧側140の構成要素と、低電圧側102の構成要素とは、同じエンクロージャまたはハウジング内にあるものとすることができる。ここで、少なくともいくつかの高電圧側140の構成要素は、低電圧側102の構成要素からの分離及び絶縁として、高電圧隔離絶縁器を使用する。絶縁電源130は、高電圧側140に電力を提供し、低電圧側102と高電圧側140との間に電圧の絶縁を提供する。一実施例では、絶縁電源130は、DC/DC変換器とすることができる。電源130の絶縁定格電圧は、(通常はいくつかの要素により)CCPS144の出力電圧よりも大であるべきである。たとえば、-18kVまでのカソード電圧を生成するように構成されたCCPS144では、絶縁電源定格は、30kVDCとすることができる。
【0021】
高電圧側140は、ドライバモジュール150を含むことができる。このドライバモジュール150は、通信回路構成152、154、156、及び、変換回路構成(たとえば、アナログ-デジタル変換器(ADC)及びデジタル-アナログ変換器(DAC))158、166を伴う、グリッドドライバモジュール161及びヒータドライバ176を含んでいる。グリッドドライバモジュール161は、混合された能力を提供する回路を含むことができる。この回路は、その動的なレンジ内の任意の振幅、幅、及び遅延のパルスを生成するように構成することができる。たとえば、グリッドドライバモジュール161は、ドライブコントローラ160、ドライブ電圧増幅器172、カットオフ電圧増幅器174、ゲートドライバ180、及びスイッチ182、184を含むことができる。グリッドドライバモジュール161は、ハーフブリッジ回路として構成することができる。この回路では、ゲートドライバ180は、ドライブ電圧増幅器172の電圧168、または、カットオフ電圧増幅器174の電圧170を印加して、グリッド192のグリッド接続186にパルスを生成するようにスイッチ182、184を迅速に制御する。ドライブ電圧増幅器172には、ドライブ増幅器電源143によって電力を供給することができ、カットオフ電圧増幅器174には、カットオフ増幅器電源145によって電力を供給することができる。ドライブ電圧増幅器172のための入力は、ドライブDAC162によって構成することができ、カットオフ電圧増幅器174のための入力は、カットオフDAC164によって構成することができる。ドライブコントローラ160は、ドライブDAC162及びカットオフDAC164への入力により、ユーザインターフェース114からのパラメータを適用して、パルス毎にパルスの振幅を調整することができ、また、ゲートドライバ180及びスイッチ182、184を介して、パルス幅及び遅延を調整することができる。
【0022】
特にグリッドへの高電圧電源の出力の(スイッチとの)直接接続を介して、高電圧電力増幅器172及び174を使用することの利点の1つは、増幅器の出力を、500パルス毎秒までの速度でパルス毎に迅速に変更または再構成することができることである。いくつかの実施例では、高電圧電力増幅器172及び174は、1000パルス毎秒、2000パルス毎秒、4000パルス毎秒、または8000パルス毎秒までの速度でパルス毎に変更または再構成される。いくつかの高電圧電力増幅器172及び174は、25V/μSより大であるスルーレートを有することができ、迅速な増幅器の出力の上昇及び下降の時間を提供する。結果として、パルスの振幅をパルス毎に変化させることができ、500パルス毎秒までの速度で構成可能なモードを許容する。
【0023】
慣習的な銃ドライバの構成要素の(電圧の)遅い切替え速度は、有用なパルス周波数(たとえば、500ppsより大)のシステムにおける、混合された能力のグリッド切替え機能(グリッドドライバモジュール161に対する機能に類似)を実施することへの限定である。高電圧電力増幅器172及び174を使用することにより、銃ドライバのパルス周波数の限定を、グリッドドライバモジュール161から高電圧コンデンサ106の再充電速度にシフトさせることができる。いくつかの実施例では、パルスの間に放電された後の高電圧コンデンサ106の再充電速度は、約8000ppsである。このため、いくつかの実施例では、高電圧電力増幅器172、174の出力は、8000パルス毎秒の速度でパルス毎に変更または再構成される。
【0024】
ドライブコントローラ160は、ヒータDAC166への入力を変更する適用パラメータをも提供する場合がある。このパラメータは、ヒータ電圧178を生じるヒータ増幅器176のための入力を生成することができる。ヒータ増幅器176には、ヒータ増幅器電源147によって電力を供給することができる。
【0025】
前述のように、高電圧側140は、1つまたは複数の高電圧側電源142を含むことができる。
図2は、1つまたは複数の低電圧電源148、ドライブ増幅器電源143、カッドオフ電源145、及びヒータ増幅器電源147など、1つまたは複数の高電圧側電源142に含めることができるいくつかの電源を図示している。しかし、他の実施形態では、電源の数及びタイプは異なっている場合がある。一実施例では、高電圧側電源142は、3.3V、+/-15V、-10V(たとえば、ヒータ増幅器電源147)、24V、及び+/-200V(たとえば、ドライブ増幅器電源143及びカットオフ増幅器電源145)を生成することができる。
【0026】
以下に、三極管銃ドライバ100の機能、接続、及びインターフェースのさらなる詳細を提供する。ふたたび
図1を参照すると、制御機能及び回路構成は、低電圧側102と高電圧側140との間で分けることができる。たとえば、制御機能と回路構成とは、制御モジュール100とドライバモジュール150との間で分けられる場合がある。一実施例では、低電圧側コントローラ120は、(外部トリガモードにある場合)管理パルス周波数及び幅のトリガとなることと、(内部トリガモードにある場合)ジェネレータのトリガとなることと、一定の銃ドライバ機能を許容するか妨げるために、インターロック信号を監視することと、管理上のユーザデータを処理するために、ユーザインターフェース114とインターフェースすることと、サービスのために使用されるユーザのヒューマンマシンインターフェース(HMI)とインターフェースすることと、他の別個のユーザ信号とインターフェースすることと、CCPSを制御することと、光ファイバの通信リンク122を介して高電圧側コントローラ160とインターフェースすることと、アナログ-デジタル変換器(ADC)128とインターフェースすることと、デジタル-アナログ変換器(DAC)とインターフェースすることと、をするように構成することができる。高電圧側コントローラ160は、コントローラ120からトリガ信号を受信し、このトリガ信号を使用して、ハーフブリッジのスイッチ182、184に関するゲートドライブ信号を生成することと、ユーザインターフェースとインターフェースすることであって、このユーザインターフェースが、次のパルスに適用される、ユーザからのパルスの振幅、幅、及び遅延のパラメータを包含している、インターフェースすることと、ADC158とインターフェースすることであって、このADC158が、ヒータの電圧及び電流、グリッドのドライブ増幅器電圧及びカットオフ増幅器電圧、銃の電流、ならびにグリッドのドライブ電力供給電圧及びカットオフ電力供給電圧などの、様々な構成要素のセンサまたは電気的な読取り値または測定値を提供する、インターフェースすることと、DACとインターフェースすることであって、DACが、グリッドのドライブ増幅器及びカットオフ増幅器、ならびにヒータ供給源をプログラムする、インターフェースすることと、ヒータをオン及びオフにすることと、をするように構成することができる。
【0027】
銃ドライバ100は、慣習的な銃ドライバとの後方互換性に関し、慣習的な銃ドライバで使用される機能を含む場合があり、それにより、開示の銃ドライバは、慣習的な銃ドライバの代わりとして使用される場合もあり、また、追加のモードの機能を提供もする場合があるようになっている。たとえば、いくつかのアナログ信号は、CCPS144(たとえば、電圧及び電流の監視信号)、または、ユーザインターフェース114(たとえば、ヒータ設定、カソード電圧設定、グリッドドライブ電圧設定、及びグリッドカットオフ電圧設定)によって生成される場合がある。ADC128は、これらアナログ信号を、プロセッサ120による処理のためのデジタルフォーマットに変換する場合がある。アナログユーザ信号は、パルス対パルスの混合が使用されないシナリオで使用される場合がある。プロセッサ120は、DAC(図示せず)を介してデジタル信号を変換することができる。この信号は、CCPS144またはユーザインターフェース114に送信され得る。
【0028】
低電圧側102は、電力入力112を使用し、ユーザインターフェース114を使用してユーザ(たとえば、リニアック制御システム)とインターフェースし、CCPS制御118を使用してCCPSを制御し、通信信号122、トリガ信号124、及び場合によっては追加の信号を高電圧側140に提供する。一実施例では、電力入力112は、DCの15Vまたは24Vを生成するように構成され得る。低電圧側102は、マイクロコントローラまたはFPGA120及びADC128などのコントローラまたはプロセッサを含んでいる。ユーザインターフェース114は、低電圧コントローラ120に結合されており、トリガ信号、インターロック信号、別個の入力/出力(I/O)信号、及びセーフティ信号などの様々な通信信号をやりとりし、また、イーサネット(登録商標)などの様々な通信プロトコルを使用することができる。イーサネット(登録商標)は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、及びワイドエリアネットワーク(WAN)で一般的に使用されるコンピュータネットワークプロトコルの集合である。インターネットプロトコル(IP)は、イーサネット(登録商標)にわたって一般的に保持され、そのため、インターネットを形成する重要な技術の1つと解されている。トリガは、外部トリガモードの場合にグリッドにパルスを出すために使用されるユーザトリガ信号である。スタンバイインターロックは、ユーザがヒータをオンにすることを可能にするために、満足されるべきである。トリガインターロックは、グリッドのトリガとなることを可能にするために、満足されるべきである。高電圧インターロックは、ユーザがカソード高電圧をオンにすることを可能にするために、満足されるべきである。別個のI/O信号は、ユーザが、銃ドライバの一定の機能を制御することを可能にする。この機能は、そうでなければ、低電圧側コントローラ120を介して制御されることになる(たとえば、高電圧のオン、ヒータのオン、イネーブル/ディスエーブルのトリガ、及び障害のリセット)。セーフティ信号は、ユーザが、一定のステータスを監視することを可能にすることができる。このステータスは、そうでなければ、低電圧側コントローラ120を介して監視されることになる(たとえば、インターロックステータス、障害のステータス、高電圧のオンのステータス、トリガのステータス、ウォームアップのステータス、及びヒータのステータス)。さらに、追加のユーザのアナログ出力が使用される場合があり、そのため、ユーザは、ヒータ電圧、ヒータ電流、カソード電圧、及びグリッドドライブ電圧を任意選択的に監視することができる。イーサネット(登録商標)が例として使用されたが、他の実施形態では、他の通信プロトコルが使用される場合がある。
【0029】
低電圧側102と高電圧側140との間のいくつかの光ファイバのリンクは、2つの側の間(すなわち、低電圧側102と高電圧側140との間)の通信手段(たとえば、光ファイバの通信リンク132、低電圧側または制御光ファイバの通信リンク[コネクタまたはインターフェース]122、及び高電圧側光ファイバの通信リンク[コネクタまたはインターフェース]152)、ならびに、トリガ信号(たとえば、光ファイバのトリガリンク134、低電圧側または制御光ファイバのトリガリンク[コネクタまたはインターフェース]124、及び高電圧側140光ファイバのトリガリンク[コネクタまたはインターフェース]154)、ならびに、任意選択的には、その関連するリンク(コネクタまたはインターフェース)とのいくつかの追加の信号を提供する。光ファイバの通信リンク132及び光ファイバのトリガリンク134は、低電圧側コントローラ120と高電圧側コントローラ160との間に示されている。一実施例では、光ファイバの通信リンク136(低電圧側または制御光ファイバの通信リンク(コネクタまたはインターフェース)126、及び高電圧側光ファイバの通信リンク(コネクタまたはインターフェース)156を含む)は、ユーザインターフェース114を高電圧コントローラ160に結合する場合がある。一実施例では、コントローラ120と160との間の通信リンク132は、パルス周波数で調整される必要がない、ユーザからのより遅いデータ(たとえば、ヒータ設定、システムステータス、及びカソード電圧設定)を送信するために使用される比較的「遅い」バス上で送信される場合がある。ユーザインターフェース114とコントローラ160との間の通信リンク136は、パルス毎に調整することができるパラメータ(たとえば、グリッドパルスの振幅、幅、及び遅延)を設定するように構成された「速い」バスを使用することができる。バスプロトコルは、通信リンク136上のユーザからの新たなメッセージが、各パルスの前にコントローラ160によって受信及び/または処理され得るように操作する場合がある。一実施例では、通信リンク132及び136、ならびにトリガリンク134は、同期の、または非同期の通信プロトコルを使用する場合がある。たとえば、通信リンク132は、万能非同期受信送信機(UART)を使用する場合があり、通信リンク136は、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)バス、集積回路間(I2C)バス、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)バス、または任意の他の適切な通信バスなどの柔軟な通信バスを使用する場合がある。CANバスは、マイクロコントローラ及びデバイスがホストコンピュータを伴わない用途で互いに通信することを可能にするように、車両のためにもともとは設計された強固なバス規格である。CANバスは、雑音のある通信チャンネル(たとえば、物理的レイヤ)での確実な通信を提供することができる。この雑音のある通信は、リニアックを含む撮像システムで発生し得る。CANバスの信号方式は、ユーザインターフェース114と低電圧コントローラ120との間でも生じ得る。光ファイバの通信リンク、コネクタ、及びインターフェースが、実施例として使用されているが、光学通信と非光学通信とのいずれかに関わらず、他のタイプの絶縁通信リンクが使用される場合がある。
【0030】
高電圧側140は、1つまたは複数の高電圧側電源142と、高電圧コントローラ160、高速デジタル-アナログ変換器(DAC)162、164、及び166、増幅器172、174、及び176、ゲートドライバ180、ならびにスイッチ182及び184、ならびにアナログ-デジタル変換器(ADC)158などの、他の高電圧側構成要素と、を含んでいる。
【0031】
高電圧側140の構成要素は、少なくとも2つのプリント回路基板(PCB)上に含めるなど、別々に配置することができる。1つのPCBは、1つまたは複数の高電圧側電源142を伴う電源基板を含むことができる。この1つまたは複数の高電圧側電源142は、絶縁電源130からの低電圧出力(たとえば、24V)を使用して、第2の基板、高電圧側基板、ドライバ基板、またはドライバモジュール150で使用される電圧のいくらかを生成する。より具体的には、電源基板の1つまたは複数の高電圧側電源142は、絶縁電源130からの低電圧出力を入力として取り、ドライブ電圧増幅器172に関する電圧レール(たとえば、約+200V、及び約-15V)、カットオフ電圧増幅器174に関する電圧レール(たとえば、約+24V、及び約-200V)、ならびに、ヒータドライバ176に関する電圧レールを生成する。電源レールまたは電圧レールは、電源によって提供される単一の電圧に関する。別の実施例では、ドライブ電圧は、0Vから120Vの範囲を有し、カットオフ電圧は、0Vから-120Vの範囲を有する。一実施例では、1つまたは複数の高電圧側電源142は、ドライバ基板150と称される、単一のPCB内のドライバモジュール150と統合されている。ドライバ基板の機能の1つは、ヒータ194に関するフィラメント電圧と、グリッド192に関するグリッドカットオフ電圧及びグリッドドライブ電圧と、を生成することである。いくつかの実施形態では、これら機能は、ドライバ基板150のいくつかの主要な機能である場合がある。ドライバ基板150は、CCPS出力146(たとえば、-12kVから-15kV)を取り、この電圧をその「グラウンド」または基準電圧として使用し、一方、基準電圧を電子銃190のカソード196に渡しもする。前述のように、アノード198は、グラウンド接続として作用する、シャーシグラウンド、または、銃が取り付けられる線形加速器の本体を基準とする。グリッドドライブ電圧168及びグリッドカットオフ電圧170を生成する方法は、2つの高電圧電力増幅器(ドライバ172に関する1つの増幅器(またはドライバ増幅器)と、カットオフ174に関する1つの増幅器(またはカットオフ増幅器))を使用して、ハーフブリッジドライバ回路に関する上側及び下側の電圧レールを生成することによる。これら増幅器172及び174は、少なくとも1kHzの周波数で矩形波を生成するように構成されており、銃ドライバの所望のパルス周波数で変化することができる。一実施例では、高電圧増幅器は、銃ドライバの速度及び動的な電圧の範囲に関する制限を提供し得る。この範囲は、100のゲインで、50V/マイクロ秒(μS)のスルーレートでの400V(+/-200Vのレール)までの供給電圧範囲を有することができる。パルス間では、ユーザは、銃ドライバにメッセージ(たとえば、シリアルメッセージ)を送信することができ、次のパルスに関する所望のパルスの振幅、幅、及び遅延、ならびに、所望のパルス周波数までの割合でのカットオフ電圧への変化を要求する。制御基板110は、次いで、必要とされる情報をドライバ基板150にリレーする。ドライバ基板150上のFPGA160は、次いで、次のパルスに関する準備の中でハーフブリッジ増幅器を駆動する高速デジタル-アナログ変換器(DAC)162及び164の出力を設定することができる。トリガの前縁部がユーザから受信された場合、(ユーザによって事前に要求されたように)適切な遅延が適用され、適切な信号が、ゲートドライバ180により、ハーフブリッジのスイッチ(たとえば、ドライバスイッチ182及びカットオフスイッチ184)のゲートに適用されて、パルスを生成する。このパルスの幅は、ユーザによって事前に要求されたものである。銃ドライバは、フィードスルーモードをも有することができる。このフィードスルーモードでは、出力パルスが、入力トリガ信号134の上昇または下降するエッジに単に追従する。ドライブスイッチ182及びカットオフスイッチ184は、高電圧nチャンネルのエンハンスメントモードの電界効果トランジスタ(FET)または金属酸化物半導体FET(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、または類似の高電力トランジスタを含むことができる。ヒータ増幅器176は、ドライブ増幅器172またはカットオフ増幅器174に類似である場合があるか、より遅い応答時間を有する場合がある。たとえば、ヒータ増幅器は、DC入力によって駆動される場合がある。ヒータDAC166は、ドライブDAC162またはカットオフDAC164に類似である場合があるか、より遅い応答時間、より低い動的範囲、及び/またはより低い分解能を有する場合がある。フィラメント電圧178及びカソード電圧146は、ユーザによってプログラム可能でもあるが、これら電圧は、グリッド電圧と同じ高速のレートで応答しない場合がある。
【0032】
図3は、
図1に示す三極管銃ドライバ110に類似の、三極管銃ドライバの交流ドライバモジュール250の概略図またはブロック図を示す。ここで、グリッドドライバモジュール161は、グリッドドライバモジュール261と置き換わっている。グリッドドライバモジュール261は、ドライブコントローラ160、グリッドDAC262、及びグリッド電圧増幅器272を含むことができ、グリッド電圧増幅器272は、グリッド192のグリッド接続186に結合することができる。グリッド電圧増幅器272には、ドライブ増幅器電源143と、カットオフ増幅器電源145との両方(または、グリッド電圧増幅器272に関する負と正との両方の高電圧を提供する電源)によって電力が供給され得る。グリッド電圧増幅器272のための入力は、グリッドDAC262によって構成することができる。ドライブコントローラ160は、ユーザインターフェース114からのパラメータを適用して、グリッドDAC262への入力により、パルス毎にパルスの振幅を調整し、また、グリッド電圧増幅器272の応答時間を介してパルスの幅及び遅延を調整することができる。グリッド電圧増幅器272の動的レンジは、グリッド電圧増幅器272によって達成されるパルスの振幅及びパルスの幅を制限する場合がある。この理由は、グリッド電圧増幅器272が、大きい負のカットオフ電圧(たとえば、-50V未満)から大きい正のドライブ電圧(たとえば、50Vより大)に振れる必要があるためである。
図1に示すハーフブリッジ構成のグリッドドライバモジュール161に対し、グリッド電圧増幅器272の出力電圧の振れは、ドライブ増幅器172またはカットオフ増幅器174のいずれかから振れる電圧の約2倍である場合がある。この振れは、より長いパルス幅(たとえば、0.5μsより大)、より長いパルスエッジの上昇及び下降の時間(たとえば、100nsより大)、より大であるパルス形状の歪み(たとえば、矩形のパルス形状にあまり似ていない)、または、銃ドライバのより遅いパルス周波数の能力(たとえば、500pps未満)に繋がり得る。
【0033】
図4は、
図1に示す三極管銃ドライバ110に類似の、三極管銃ドライバの交流ドライバモジュール252の概略図またはブロック図を示す。ここで、グリッドドライバモジュール161は、グリッドドライバモジュール263と置き換わっている。グリッドドライバモジュール262は、ドライブコントローラ160、グリッドDAC264、アナログスイッチ280、及びグリッド電圧増幅器274を含むことができ、グリッド電圧増幅器274は、グリッド192のグリッド接続186に結合することができる。グリッド電圧増幅器274には、ドライブ増幅器電源143と、カットオフ増幅器電源145との両方(または、グリッド電圧増幅器274に関する負と正との両方の高電圧を提供する電源)によって電力が供給され得る。グリッド電圧増幅器274のための入力は、グリッドドライブ電圧(たとえば、上側の高電圧)及びグリッドカットオフ電圧(たとえば、下側の高電圧)を生成するために、(アナログスイッチ280を介して)グリッド電圧増幅器274への入力を生成するように、少なくとも2つの出力を有するグリッドDAC264によって構成することができる。ドライブコントローラ160は、ユーザインターフェース114からのパラメータまたはトリガ信号を適用して、グリッドDAC264への入力により、パルス毎にパルスの振幅を調整し、アナログスイッチ280を介してパルスの幅及び遅延を調整することができる。グリッド電圧増幅器274の動的レンジは、グリッド電圧増幅器274によって達成されるパルスの振幅及びパルスの幅を制限する場合がある。この理由は、グリッド電圧増幅器274が、大きい負のカットオフ電圧(たとえば、-50V未満)から大きい正のドライブ電圧(たとえば、50Vより大)に振れる必要があるためである。
図1に示すハーフブリッジ構成のグリッドドライバモジュール161に対し、グリッド電圧増幅器274の出力電圧の振れは、ドライブ増幅器172またはカットオフ増幅器174のいずれかから振れる電圧の約2倍である場合がある。この振れは、より長いパルス幅(たとえば、0.5μsより大)、より長いパルスエッジの上昇及び下降の時間(たとえば、100nsより大)、より大であるパルス形状の歪み(たとえば、矩形のパルス形状にあまり似ていない)、または、銃ドライバのより遅いパルス周波数の能力(たとえば、500pps未満)に繋がり得る。
【0034】
図1から
図4に示される、開示のグリッドドライバ回路構成は、慣習的な銃ドライバよりも、パルスの振幅及びタイミングを高速で変化させる。グリッドドライバ回路構成は、ユーザに、パルス毎に、その動的レンジ内で任意のドライブ電圧及びカットオフ電圧を選択する能力を提供する。ドライバの動的レンジ内での、ユーザに利用可能なモードの数の制限の1つが、ハーフブリッジレール増幅器172、174、またはグリッド電圧増幅器272を駆動しているDAC162、164、262の分解能である。たとえば、10ビットのDACは、ハーフブリッジ構成のグリッドドライバモジュール161内から選択するように、ユーザに、1024のドライブ電圧及び1024のカットオフ電圧を与える。たとえば、10ビットのDACは、グリッド増幅器構成のグリッドドライバモジュール261内から選択するように、ユーザに、1024のグリッド電圧を与える。たとえば10ビットのDACで0Vから120Vのドライブ電圧の動的レンジは、117mVのグリッドドライブ分解能をユーザに与える。異なるDACを使用する実施形態では、銃ドライバ回路構成は、1024及び16384の異なる電圧レベルのレンジで切り替えることが可能である場合がある。
【0035】
銃ドライバの開示の実施形態は、電子銃の有用な操作のためにこれら機能を提供する。一実施例では、カソード電圧、ヒータ電圧、グリッドドライブ電圧、グリッドカットオフ電圧、グリッドパルスの遅延、及びグリッドパルス幅は、各々が調整可能であり、グリッドドライブ電圧、グリッドカットオフ電圧、グリッドパルスの遅延、及びグリッドパルス幅は、各々が、パルス毎に調整するために、少なくとも500ヘルツ(Hz)の速度でプログラム可能である。いくつかの実施例では、グリッドドライブ電圧、グリッドカットオフ電圧、グリッドパルスの遅延、及びグリッドパルス幅は、各々が、パルス毎に調整するために、少なくとも1000Hzまたは2000Hzの速度でプログラム可能である。
【0036】
一実施例では、電子銃のパルス(通常は、キロボルトのレンジ)は、0.5MeVから10MeVのエネルギのパルスを生成するために、リニアックによって増幅される。
【0037】
図5は、いくつかの実施形態に係る、電子銃ドライバを制御するための方法300のフローチャートを示している。
図1の電子銃ドライバ110を実施例として使用すると、310では、ドライブコントローラ160及びドライブDAC162が、電子銃190のグリッド接続186に関し、ドライブ高電圧電力増幅器172のグリッドドライブ電圧を設定する。320では、ドライブコントローラ160及びカットオフDAC164が、電子銃190のグリッド接続186に関し、カットオフ高電圧電力増幅器174のカットオフ電圧を設定する。320では、ドライブコントローラ160、ドライブパワースイッチ182、カットオフパワースイッチ184、及びゲートドライバ180が、グリッド接続186のパルスを生成するように、グリッドドライブ電圧とグリッドカットオフ電圧との間での切替えを提供する。
【0038】
いくつかの実施形態は、ハーフブリッジドライバ回路であって、電子銃190のグリッド接続186に関するグリッドドライブ電圧(たとえば、上側高電圧)168を生成するように構成されたドライブ回路、電子銃190のグリッド接続186に関するグリッドカットオフ電圧(たとえば、下側高電圧)170を生成するように構成されたカットオフ回路、及び、グリッドドライブ電圧168とグリッドカットオフ電圧170との間で切り替えるように構成されたゲートドライバ180、を備えたハーフブリッジドライバ回路と、ドライブ回路及びカットオフ回路へのパルス入力、ならびに、ゲートドライバ180に関するグリッド切替え信号を生成するように構成されたドライブコントローラ160と、を備えた電子銃ドライバを含んでいる。
【0039】
いくつかの実施形態では、ドライブ回路は、ハーフブリッジドライバ回路に関するグリッドドライブ電圧(たとえば、上側電圧)を提供するように構成されたドライブ高電圧電力増幅器172と、ドライブ高電圧電力増幅器172へのプログラミング電圧を生成するように構成されたドライブ高速DAC162と、ドライブ電圧をグリッド接続186に適用するように構成されたドライブパワースイッチ182と、をさらに備えている。カットオフ回路は、ハーフブリッジドライバ回路にグリッドカットオフ電圧(たとえば、下側電圧)を提供するように構成されたカットオフ高電圧電力増幅器174と、カットオフ高電圧電力増幅器へのプログラミング電圧を生成するように構成されたカットオフ高速DAC164と、カットオフパルスをグリッド接続186に適用するように構成されたカットオフパワースイッチ184と、をさらに備えている。ゲートドライバ180は、グリッド制御信号をドライブパワースイッチ182及びカットオフパワースイッチ184に適用するように構成されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、電子銃ドライバは、電子銃190のヒータ接続188のためのヒータ電圧178を生成するように構成されたヒータ回路であって、ヒータ回路が、ヒータ電圧178を電子銃190のヒータ接続188に提供するように構成されたヒータ電力増幅器176と、ヒータ電力増幅器176へのパルスを生成するように構成されたヒータ高速DAC166と、を備え、ドライブコントローラ160が、ヒータ回路へのヒータ入力を生成するように構成されている、ヒータ回路をさらに備えている。
【0041】
いくつかの実施形態では、電子銃ドライバは、ユーザ入力をドライバコントローラ入力に変換するように構成された制御回路110であって、この制御回路110が、線形加速器制御システム入力を受領するように構成されたユーザインターフェース114と、ドライブコントローラ160に関するドライブ制御信号を生成するように構成された低電圧側コントローラ120と、コンデンサ充電電源(CCPS)144に関するCCPS制御信号を生成するように構成されたCCPSコントローラ118と、を備えている、制御回路110をさらに備えている。いくつかの実施形態では、ドライブ制御信号は、光ファイバの通信リンク132、136及び光ファイバのトリガリンク134を含んでいる。いくつかの実施形態では、電子銃ドライバは、制御回路110とハーフブリッジドライバ回路との間の電圧の絶縁を提供するように構成された絶縁電源130をさらに備えている。
【0042】
いくつかの実施形態では、ドライブコントローラ160は、グリッドドライブ電圧及びグリッドカットオフ電圧によって生成される各パルスの振幅、幅、及び遅延を調整するように構成されており、各パルスが、前のパルスとは異なるように構成され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、グリッドドライブ電圧及びグリッドカットオフ電圧によって生成される各パルスの振幅、幅、または遅延の少なくとも1つが、パルス間で変化されるように構成されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、グリッドドライブ電圧及びグリッドカットオフ電圧によって生成される各パルスの振幅、幅、または遅延の少なくとも1つが、少なくとも500パルス毎秒の速度で変化されるように構成されている。
【0045】
いくつかの実施形態は、システムであって、ドライバモジュール150と、高電圧コンデンサ106と、高電圧コンデンサを充電するように構成されたコンデンサ充電電源(CCPS)144と、電子銃ドライバの高電圧側140のための電力を生成するように構成された、1つまたは複数の高電圧側電源142と、電子銃190であって、グラウンド108に結合されたアノード198、CCPSの出力146に結合されたカソード196、グリッド接続186に結合されたグリッド192、及び、ヒータ194を備えた電子銃190と、を含む電子銃ドライバを備えたシステムを含んでいる。
【0046】
いくつかの実施形態は、銃ドライバを制御するための方法であって、電子銃190のグリッド接続186に関する、ドライブ高電圧電力増幅器172のグリッドドライブ電圧を設定することと、電子銃190のグリッド接続186に関するカットオフ高電圧電力増幅器174のグリッドカットオフ電圧を設定することと、グリッド接続186のパルスを生成するように、グリッドドライブ電圧とグリッドカットオフ電圧との間でパルスを切り替えることと、を含む、方法を使用する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本方法は、グリッドドライブ電圧またはグリッドカットオフ電圧によって生成された各パルスの振幅、幅、または遅延を調整することであって、少なくとも3つの異なる振幅、少なくとも3つの異なる幅、及び少なくとも3つの異なる遅延を使用することができる、調整することをさらに含んでいる。
【0048】
いくつかの実施形態では、本方法は、グリッドドライブ電圧パルス及びグリッドカットオフ電圧パルスの振幅、幅、または遅延の少なくとも1つを、少なくとも500パルス毎秒の速度で、パルス間で交互にすることをさらに含んでいる。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数の命令を含む少なくとも1つの非一時的な機械可読記録媒体が、上の方法を実施するために実行されるように適合されている。
【0050】
いくつかの実施形態は、電子銃のグリッド接続に関するグリッドドライブ電圧(たとえば、上側高電圧)及びグリッドカットオフ電圧(たとえば、下側高電圧)を生成するためのグリッド電圧生成手段と、グリッドドライブ電圧とグリッドカットオフ電圧との間で切り替えることにより、グリッド接続でパルスを生成するための切替え手段と、グリッド電圧生成手段及び切替え手段への入力を生成するための電圧制御手段と、を備えた電子銃ドライバを含んでいる。グリッド電圧生成手段の実施例は、ドライブ高電圧電力増幅器172、カットオフ高電圧電力増幅器174、グリッド電圧増幅器272、グリッド電圧増幅器274、ドライブ増幅器電源143、及びカットオフ増幅器電源145を含んでいる。切替え手段の実施例は、ゲートドライバ180、ドライブパワースイッチ182、カットオフパワースイッチ184、ドライブコントローラ160、及びアナログスイッチ280を含んでいる。電圧制御手段の実施例は、ドライブコントローラ160を含んでいる。
【0051】
いくつかの実施形態では、電子銃ドライバは、グリッド電圧生成手段への入力を、電圧制御手段のデジタル出力からアナログ入力に変換するための変換手段をさらに備えている。変換手段の実施例は、ドライブ高速DAC162、カットオフ高速DAC164、グリッドDAC262、及びグリッドDAC264を含んでいる。
【0052】
いくつかの実施形態では、電子銃ドライバは、ユーザ入力を電圧制御手段のための入力に変換するためのコマンド制御手段をさらに備えている。コマンド制御手段の実施例は、ユーザインターフェース114及び低電圧側コントローラ120を含んでいる。
【0053】
いくつかの実施形態では、電子銃ドライバは、電圧制御手段、グリッド電圧生成手段、及び切替え手段により、生成された各パルスの振幅、幅、及び遅延を調整するように構成されており、各パルスが、前のパルスとは異なるように構成され得、振幅、幅、及び遅延の各々が、少なくとも3つの異なる値の間で変化され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、電子銃ドライバは、各パルスの振幅、幅、及び遅延の少なくとも1つを、パルス間で、少なくとも500パルス毎秒の速度で変化させるように構成されている。
【0055】
上に提供される概要は、説明的ものであり、いずれの方法でも限定することは意図されていない。上に記載の実施例に加え、本発明のさらなる態様、特徴、及び利点は、図面、以下の詳細な説明、及び添付の特許請求の範囲を参照することによって明らかとされるであろう。
【0056】
回路構成は、ハードウェア、ファームウェア、プログラムコード、実行可能なコード、コンピュータ命令、及び/またはソフトウェアを含むことができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、信号を含まないコンピュータ可読記憶媒体とすることができる。
【0057】
本明細書に記載の機能ユニットの多くが、その実施態様の独立性をより具体的に強調するために、モジュールとしてラベルが付されていることを理解されたい。たとえば、あるモジュールは、限定ではないが、論理チップ、トランジスタ、または他の構成要素を含む、カスタムの大規模集積(VLSI)回路またはゲートアレイを備えたハードウェア回路として実装される場合がある。モジュールは、限定ではないが、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルアレイ論理、プログラマブル論理デバイス、または類似のデバイスを含む、プログラマブルハードウェアデバイスで実装される場合もある。
【0058】
本明細書を通して、「実施例」または「実施形態」の参照は、実施例に関して記載された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。このため、明細書を通しての様々な場所における「実施例」または「実施形態」とのワードの出現は、必ずしも、すべて同じ実施形態を参照するものではない。
【0059】
さらに、記載の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、適切な方式で組み合わせられる場合がある。以下の記載では、複数の特定の詳細が、本発明の実施形態を完全に理解させるために提供される(たとえば、レイアウト及び設計の実施例)。しかし、当業者には、本発明が、特定の詳細の1つまたは複数を伴わずに、または、他の方法、構成要素、レイアウトなどを伴って、実施され得ることを理解されたい。他の例では、よく知られている構造、構成要素、または操作は、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されないか記載されない。
【0060】
この記載の開示に添付の特許請求の範囲は、これにより、本明細書によってこの記載された開示に明確に組み込まれており、各請求項は、別々の実施形態として、それ自体で自立している。本開示は、独立請求項の、その従属請求項とのすべての置換を含んでいる。さらに、添付の独立請求項及び従属請求項から派生することが可能である追加の実施形態も、この記載された説明に明確に組み込まれる。これら追加の実施形態は、「請求項[x]で始まり、本請求項のすぐ前の請求項で終わる任意の請求項(any of the claims beginning with claim [x] and ending with the claim that immediately precedes this one)」とのフレーズを伴う所与の従属請求項の従属性を置き換えることによって判定される。ここで、括弧が付された用語「[x]」は、もっとも新しく述べられた独立請求項の数と置き換えられる。たとえば、独立請求項1で始まる第1の請求項のセットに関し、請求項4は、請求項1と請求項3とのいずれかに従属することができ、これら別々の従属性は、2つの別個の実施形態を与え、請求項5は、請求項1、請求項3、または請求項4のいずれか1つに従属することができ、これら別々の従属性は、3つの別個の実施形態を与え、請求項6は、請求項1、請求項3、請求項4、または請求項5のいずれか1つに従属することができ、これら別々の従属性は、4つの別個の実施形態を与える、などである。
【0061】
特徴または要素に関する「第1の」との用語の、特許請求の範囲における列挙は、そのような特徴または要素の第2のものまたは追加のものの存在を必ずしも暗示しない。ミーンズプラスファンクションのフォーマットで特に述べられた要素は、存在する場合、35U.S.C.§112(f)に従い、本明細書に記載の対応する特徴、材料、または作用、及びそれらの均等をカバーするように解釈されることが意図されている。排他的な特性または特権が請求される本発明の実施形態は、添付のように規定される。