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7501882情報処理装置、情報処理システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240611BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20240611BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q10/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023097351
(22)【出願日】2023-06-13
【審査請求日】2023-12-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514323028
【氏名又は名称】株式会社ミラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】谷川 一也
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-337648(JP,A)
【文献】特開2018-147321(JP,A)
【文献】特開2014-059686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより入力される入力欄を複数備えるフォームデータを処理する情報処理装置であって、入力端末装置と、審査端末装置とに接続されるとともに、前記入力端末装置のユーザにより入力欄に情報が入力された状態にあるフォームデータを格納する提出フォームデータベースと、に接続され、
前記フォームデータは、前記入力欄ごとに、当該入力欄に入力された情報と、当該入力欄に入力された情報が転記された情報である場合に、その転記元を特定する転記情報とを関連付けたデータを含み、
前記提出フォームデータベースは、ユーザにより入力欄に情報が入力された状態にあるフォームデータを格納するとともに、当該フォームデータの審査が済んでいるか否かを表す審査済みフラグ情報をフォームデータに関連付けて記録し、
前記情報処理装置は、プロセッサを有して、
このプロセッサが、審査端末装置のユーザの審査の対象となるフォームデータを前記提出フォームデータベースから取得する手段と、
当該取得した当該フォームデータを提示させるための画面情報であって、当該フォームデータに含まれる入力欄のうち、関連付けられた転記情報により転記元が特定可能な入力欄と、そうでない入力欄とを識別可能な態様で描画する画面情報を生成する生成手段と、
当該生成した画面情報を審査端末装置に送出して、フォームデータを審査端末装置のユーザに提示する手段と、を含み、
前記生成手段が、前記フォームデータに含まれる入力欄のうち、前記転記情報により転記元のフォームデータが特定可能な入力欄については、当該転記元のフォームデータに関連付けられた審査済みフラグ情報を前記提出フォームデータベースから取得し、当該取得した審査済みフラグ情報が、審査が済んでいる旨を表すものであるときに、当該入力欄を、審査が省略可能であることを表す所定の態様でユーザに提示する画面情報を生成する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記生成手段が、前記フォームデータに含まれる入力欄のうち、前記転記情報により転記元のフォームデータが特定可能な入力欄について、前記提出フォームデータベースから取得した転記元が公的情報サービスである場合には、当該入力欄を、区別可能な態様でユーザに提示する画面情報を生成する情報処理装置。
【請求項3】
ユーザにより入力される入力欄を複数備えるフォームデータを処理する情報処理装置と、この情報処理装置と互いに通信可能に接続される入力端末装置、及び審査端末装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、前記入力端末装置のユーザにより入力欄に情報が入力された状態にあるフォームデータを格納する提出フォームデータベースと、に接続され、
前記フォームデータは、前記入力欄ごとに、当該入力欄に入力された情報と、当該入力欄に入力された情報が転記された情報である場合に、その転記元を特定する転記情報とを関連付けたデータを含み、
前記提出フォームデータベースは、ユーザにより入力欄に情報が入力された状態にあるフォームデータを格納するとともに、当該フォームデータの審査が済んでいるか否かを表す審査済みフラグ情報をフォームデータに関連付けて記録し、
前記情報処理装置は、審査端末装置のユーザの審査の対象となるフォームデータを前記提出フォームデータベースから取得する手段と、
当該取得した当該フォームデータを提示させるための画面情報であって、当該フォームデータに含まれる入力欄のうち、関連付けられた転記情報により転記元が特定可能な入力欄と、そうでない入力欄とを識別可能な態様で描画させる画面情報を生成する生成手段と、
当該生成した画面情報を審査端末装置に送出して、フォームデータを審査端末装置のユーザに提示する手段と、を含み、
前記生成手段が、前記フォームデータに含まれる入力欄のうち、前記転記情報により転記元のフォームデータが特定可能な入力欄については、当該転記元のフォームデータに関連付けられた審査済みフラグ情報を前記提出フォームデータベースから取得し、当該取得した審査済みフラグ情報が、審査が済んでいる旨を表すものであるときに、当該入力欄を、審査が省略可能であることを表す所定の態様でユーザに提示する画面情報を生成する情報処理システム。
【請求項4】
入力端末装置と、審査端末装置とに接続され、ユーザにより入力される入力欄を複数備えるフォームデータを処理する情報処理装置によって実行されるプログラムであって、
前記情報処理装置は、前記入力端末装置のユーザにより入力欄に情報が入力された状態にあるフォームデータを格納する提出フォームデータベースに接続され、
前記フォームデータは、前記入力欄ごとに、当該入力欄に入力された情報と、当該入力欄に入力された情報が転記された情報である場合に、その転記元を特定する転記情報とを関連付けたデータを含み、
前記提出フォームデータベースは、ユーザにより入力欄に情報が入力された状態にあるフォームデータを格納するとともに、当該フォームデータの審査が済んでいるか否かを表す審査済みフラグ情報をフォームデータに関連付けて記録しており、
前記プログラムは、前記情報処理装置を、
審査端末装置のユーザの審査の対象となるフォームデータを前記提出フォームデータベースから取得する手段と、
当該取得した当該フォームデータを提示させるための画面情報であって、当該フォームデータに含まれる入力欄のうち、前記転記情報により転記元が特定可能な入力欄と、そうでない入力欄とを識別可能な態様で描画させる画面情報を生成する生成手段と、
当該生成した画面情報を審査端末装置に送出して、フォームデータを審査端末装置のユーザに提示する手段と、として機能させ、
前記生成手段として機能させる際に、前記情報処理装置に、前記フォームデータに含まれる入力欄のうち、関連付けられた転記情報により転記元のフォームデータが特定可能な入力欄については、当該転記元のフォームデータに関連付けられた審査済みフラグ情報を前記提出フォームデータベースから取得させ、当該取得した審査済みフラグ情報が、審査が済んでいる旨を表すものであるときに、当該入力欄を、審査が省略可能であることを表す所定の態様でユーザに提示する画面情報を生成させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地方自治体等に対する出生届を始めとする行政手続では、例えば出生届と出産育児給付金の申請など、互いに関連する一連の手続が要請される場合が多く、かつ、当該手続においては、親の氏名などといった共通の入力欄に何度も同じ情報を記入あるいは入力する必要が生じているのが一般的である。
【0003】
さらに、こうした書面を受け付ける行政の担当窓口は、書面ごとに異なっていることもあり、各窓口で同じ記入内容を何度も繰り返し審査しているというのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-233541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況は、書面を電子的に作成する場合もまったく同様であり、電子化による恩恵が十分に得られていないのが実情である。本発明はこのような状況に鑑みて為されたもので、その目的のひとつは、行政等への手続書面の作成や審査を簡便にすることである。
【0006】
なお、特許文献1には、入力専用画面を表示する際に、過去の入力情報として表示する情報が存在するか否かを判定し、存在すると判定した場合に存在通知表示フラグをオンとする情報処理装置が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一態様は、ユーザにより入力される入力欄を複数備えるフォームデータの入力を受け入れる情報処理装置であって、このフォームデータは、前記入力欄ごとに、当該入力欄に入力された情報と、当該入力欄に入力された情報が転記された情報である場合に、その転記元を特定する転記情報とを関連付けたデータを含み、前記情報処理装置は、プロセッサを有して、このプロセッサが、フォームデータを表示する際に、当該フォームデータに含まれる入力欄のうち、前記転記情報により転記元が特定可能な入力欄については、転記元での内容確認の結果が利用可能である旨の表示を行うこととしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、このように転記元での確認結果を利用可能とすることで、行政等への手続書面の作成や審査を簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を表すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が処理の対象とするフォームデータの例を表す説明図である。
図3】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が利用するデータベースの例を表す説明図である。
図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が利用するデータベースの内容例を表す説明図である。
図5】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が利用するもう一つのデータベースの内容例を表す説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係る情報処理装置が提供する画面の例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、新生児の親であるユーザが、当該新生児に係る出生届を作成して提出する場合を例として用いることとする。もっとも、本実施の形態はこの例に限られるものではない。
【0011】
上記出生届の例では、一般的に
(1)出生届を、出産日を含め14日以内に市区町村の窓口に提出する必要があり、続いて、
(2)出産・子育て応援給付金 (自治体からの案内による)
(3)出産育児一時金 所定の期間内に、病院や健康保険組合の窓口に提出
(4)児童手当・特例給付認定請求書 出産日を含め15日以内を目安に現住所の市区町村の窓口に提出
(5)児童手当認定請求口座振込依頼書 (4)と同様
(6)こども医療費受給資格認定 市区町村の担当窓口に提出
といった手続を、逐次的に行う必要がある。以下の説明はこの現状を一つの例として用いる。
【0012】
[実施形態の構成例]
本発明の実施の形態に係る情報処理装置1は、図1に例示するように、一般的なコンピュータ装置で実現でき、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを含んで構成される。またこの情報処理装置1は、ネットワーク等の通信手段を介して、データベース2と、入力端末装置3と、審査端末装置4のそれぞれと通信可能に接続される。
【0013】
本実施の形態において、この情報処理装置1は、所定のフォームデータを処理する。このフォームデータは、図2に例示するように、ユーザにより入力される入力欄Rを複数備えるものとする。
【0014】
上記データベース2は、各ユーザにより上記入力欄にデータが入力された状態にあるフォームデータを複数保持する。本実施の形態の一例では、このデータベース2は、図3に例示するように、未記入のフォームデータを格納する未記入フォームデータベース21と、ユーザにより入力欄に情報が入力された状態にあるフォームデータを格納する提出フォームデータベース22と、を含む。さらに本実施の形態の一例では、このデータベース2には、フォームデータの種別情報に関連付けられ、フォームデータ間での情報の転記可否を規定する転記条件データベース23が保持されてよい。
【0015】
未記入フォームデータベース21には、図4(a)に示すように、フォームデータの種類(様式)を特定する種別情報(T)と、当該フォームデータに入力するべき情報ごとに設けられた入力欄を特定する入力欄特定情報(P1,P2…)とが関連付けて記録されている。
【0016】
また提出フォームデータベース22には、図4(b)に示すように、各ユーザにより生成されたフォームデータに係る、当該フォームデータの種類(様式)を特定する種別情報(T)と、(入力済みの)フォームデータごとに固有の識別情報(ID)と、情報を入力した(フォームデータを提出した)ユーザを特定する情報(U)と、当該フォームデータの提出日(D)と、このフォームデータに係る入力情報の審査が済んでいるか否かを表す審査済みフラグ情報(F)と、コンテンツ情報(S)とが互いに関連付けて記録されている。またここでコンテンツ情報は、対応するフォームデータに含まれる各入力欄を特定する入力欄特定情報(P1,P2…)と、これらの入力欄特定情報に関連付けられ、対応する入力欄に記入(入力)された入力情報(D1,D2…)と、当該入力情報が他のフォームデータから転記された情報である場合に、当該転記元となった他のフォームデータの識別情報(TID1,TID2…)となり、そうでない場合は空白(null)となっている転記情報が記録されている。
【0017】
なお、上記種別情報(T)は、例えば当該フォームデータの提出先となる行政窓口を特定する情報(市区町村及び窓口名など)や、書類名(「出生届」などの文字列情報)、さらには改訂版番号(バージョン情報)などを含んでよく、この種別情報は、未記入フォームデータベース21に格納されたフォームデータと、提出フォームデータベース22に格納された(情報入力後の)フォームデータとで共通のものを用いる。すなわち、未記入フォームデータ21に格納された、ある種別情報Aのフォームデータの入力欄にユーザが情報を入力して、提出フォームデータベース22に格納した場合、このフォームデータの種別情報も種別情報Aとなるものとする。
【0018】
さらに以下の例では、入力欄特定情報(P)は、入力欄ごとの名称(「氏名」、「住所」など)と、入力されるべき情報に関する規則の情報(文字列、数値などの情報の種類や、文字数の制限、電話番号、郵便番号などフォーマットを表す情報等)とを含む。また本実施の形態では、この入力欄特定情報(P)には、対応する入力欄に入力されるべき情報の種類に応じて予め定められた入力情報識別情報(「氏名」や「住所」、「新生児の名前」など、入力するべき情報ごとに固有な情報)が関連付けられてもよい。ここで入力情報識別情報は、同じ情報が入力されるべき入力欄には共通した入力情報識別情報が関連付けられるようにしておく。例えばいわゆる基本四情報(氏名、生年月日、性別、住所)のそれぞれの情報には、それぞれ共通した入力情報識別情報(pp)を関連付けておく。
【0019】
転記条件データベース23は、図5に例示するように、情報入力を行うユーザに関する条件(C)と、この条件情報に関連して相互に転記可能な情報を含むフォームデータの種別情報の一覧(L)とを関連付けた転記条件情報を保持する。なお、転記可能な情報を含むフォームデータのうちに、例えば市区町村ごとに異なるフォームデータがあれば、この転記条件情報は、市区町村ごとに生成しておく。
【0020】
また図5に例示した転記条件情報では、条件(C)がユーザへの問い合わせ内容(Q)と、当該問い合わせに対するユーザの回答(A)とにより構成されるものとしている。またこの転記条件情報では、上記複数の問い合わせ(Q)に対するユーザの回答(A)の組み合わせに関連付けて、相互に転記可能な情報を含むフォームデータの種別情報の一覧(L)が関連付けられる。具体的に図5に示した例は、出生届に関わる手続についての転記条件情報であり、ユーザへの問い合わせ内容として、手続者であるユーザが
(Q1)新生児の父母であるか否か
(Q2)世帯主であるか否か
(Q3)所得の中心者(同一世帯内で最も所得の多い者)であるか否か
(Q4)国民健康保険の加入者であるか否か
が規定され、これらの問い合わせについてそれぞれの回答が「Yes」,「No」,「Either(どちらでもよい)」のどれであるかに応じて規定された組み合わせが列挙されている。例えば
(Q1)新生児の父母であるか否かに対して「Yes」(新生児の父母である)
(Q2)世帯主であるか否かに対して「No」(世帯主でない)
(Q3)所得の中心者であるか否かに対して「No」であるときには、
(Q4)国民健康保険の加入者であるか否かが「Yes」であると「No」であるとに関わらず(「Either」)、「出生届」と、「出産・子育て応援給付金」の申請と、「こども医療費受給資格認定」の申請との手続の間で情報の転記が可能であることを規定している。
【0021】
次に、本実施の形態の情報処理装置1の各部の動作について説明する。制御部11は、CPU(プロセッサ)等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の制御部11は、審査端末装置4から、取得するべきフォームデータを指示する情報を受け入れ、当該指示されたフォームデータをデータベース2から取得する。
【0022】
またこの制御部11は、当該取得したフォームデータに含まれる入力欄のうち、対応する転記情報により転記元が特定可能な入力欄については、転記元での内容確認の結果が利用可能である旨の表示を行うよう、審査端末装置4に指示する。この制御部11の具体的な処理の内容については後に詳しく述べる。
【0023】
記憶部12は、メモリデバイスやディスクデバイス等であり、制御部11によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、コンピュータ可読かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供され、この記憶部12に格納されたものであってよい。またこの記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても機能する。
【0024】
通信部13は、ネットワークインタフェース等であり、制御部11から入力される指示に従って、データベース2、入力端末装置3、審査端末装置4のそれぞれとの間で種々のデータを授受する。
【0025】
入力端末装置3は、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)により実現できる。この入力端末装置3は、ユーザにより操作され、フォームデータへの情報の入力を受け入れて、データベース2に記録するための処理を実行する。審査端末装置4もまた、一般的なPCにより実現できる。この審査端末装置4は、フォームデータの提出先である行政窓口等に配されて、当該窓口の担当者の操作を受けて、情報処理装置1に対して審査の対象とするフォームデータを要求する。そしてこの審査端末装置4は、情報処理装置1が提供する情報を表示する。
【0026】
次に制御部11の動作について説明する。本実施の形態の例では、情報処理装置1の制御部11は、
・ユーザの認証処理、
・フォームデータへの情報入力の受け入れ処理、
・転記の案内処理、
・入力済みのフォームデータの記録処理、
・審査のための入力済みのフォームデータの提供処理、
・審査要否の案内処理、
・審査結果の記録の処理
を主に実行するので、以下、それぞれの処理について説明する。
【0027】
[ユーザの認証]
情報処理装置1は、入力端末装置3のユーザを認証する。この認証は、ユーザごとに事前に登録されたユーザ名及びパスワードを利用する方法で行われてもよいし、マイナンバーカードなどの個人情報カードに記録された電子証明書を利用する方法で行われてもよい。このような認証処理の方法は広く知られているので、ここでの詳しい説明は省略する。以下の処理において入力端末装置3のユーザの指示を受け入れる場合には、制御部11は、当該入力端末装置3のユーザを予め認証してそのユーザを特定する情報を取得しておくものとする。
【0028】
また情報処理装置1は、予めユーザごとに、ユーザの住所地の情報を、例えば記憶部12に、ユーザデータベースとして保持しておくことが好ましい。
【0029】
[フォームデータへの情報入力の受け入れ]
制御部11は、入力端末装置3から、情報入力の対象となるフォームデータ(未記入のもの)を特定する情報(種別情報でよい)とともに、フォームデータへの情報入力を行うべき旨の指示を受け入れると、データベース2の未記入フォームデータベース21から当該受け入れた種別情報に関連付けられた未記入のフォームデータを読み出す。この際、当該未記入のフォームデータが市区町村ごとに異なるなど、ユーザの住所地によって異なっている場合は、制御部11は、認証したユーザの住所地の情報を参照して、ユーザの住所地に対応するフォームデータを未記入フォームデータベース21から取得する。
【0030】
また制御部11は、当該取得したフォームデータに固有の識別情報(ID)を発行する。そして制御部11は、読み出したフォームデータの入力欄を含んだ情報を、入力端末装置3に宛てて送出する。ここで送出される情報は、HTMLによって記述された画面情報でよく、当該フォームデータに関連付けられた入力欄特定情報を参照して、当該フォームデータにおいて入力されるべき情報の入力欄を、その名称とともに表示する画面情報を含む。また、この画面情報には、入力欄に入力された情報が、当該入力欄に関連付けられた規則情報によって規定される規則(入力される情報の種類や、フォーマット等)に適合しているか否かを判断するスクリプト(JavaScript(商標)等によって記述できる)を含んでもよい。
【0031】
さらにこの画面情報には各入力欄に対応して入力された情報を情報処理装置1に対して送出させるためのリンク(Submitボタン)を含む。
【0032】
[転記の案内]
本実施の形態の例では、この制御部11は、このように入力端末装置3にフォームデータを表示させる際に、当該表示させたフォームデータ(以下、入力対象フォームデータと呼ぶ)に含まれる入力欄ごとに、過去に記入されたフォームデータから転記可能な情報があれば、転記を案内する表示を行う。
【0033】
具体的に制御部11は、入力対象フォームデータを表示させた際に、転記案内処理を開始する。この転記案内処理では、制御部11は、表示させた入力対象フォームデータの種別情報に関連付けて転記条件データベース23に格納されている(種別情報の一覧(L)に、表示させた入力対象フォームデータの種別情報が含まれている)転記条件情報を取得する。ここでも、転記条件情報が市区町村ごとに生成されているなど、ユーザの住所地によって異なっている場合は、制御部11は、認証したユーザの住所地の情報を参照して、ユーザの住所地に対応する転記条件情報を取得する。
【0034】
図5に例示したように、取得した転記条件情報に係る条件が問い合わせ(Q)とそれに対する回答(A)の組み合わせとにより構成される場合、制御部11は、当該問い合わせを入力端末装置3に対して順次表示し、その回答をユーザに入力するよう促す。
【0035】
ユーザがこの問い合わせに対して順次回答を行い、その回答を入力端末装置3から受け入れると、制御部11は、当該回答の組み合わせに対応する種別情報の一覧を、取得した転記条件情報を参照して取得する。そして制御部11は、ここで取得した種別情報の一覧に、現在入力端末装置3に提示させている入力対象フォームデータの種別情報以外の種別情報があれば、当該種別情報の一覧(リスト)を入力端末装置3を介してユーザに提示し、転記を行うか否かについてユーザに問い合わせる。
【0036】
一例として、入力端末装置3のユーザが「出生届」のフォームデータの入力を要求し、情報処理装置1の制御部11が当該要求に応答して「出生届」の未記入フォームデータを取得して、その入力欄を入力端末装置3に表示させた場合、制御部11はさらに、入力対象フォームデータとなった「出生届」の種別情報に関連付けて転記条件データベース23に格納されている転記条件情報(例えば図5に例示したもの)を取得する。
【0037】
制御部11は、取得した転記条件情報に含まれる問い合わせ
(Q1)新生児の父母であるか否か
(Q2)世帯主であるか否か
(Q3)所得の中心者(同一世帯内で最も所得の多い者)であるか否か
(Q4)国民健康保険の加入者であるか否か
を順次ユーザに対して提示し、入力端末装置3を介してユーザの回答を受け入れる。
【0038】
ここでユーザが、新生児の両親のいずれかである場合、回答は、例えば
(Q1)新生児の父母であるか否かについて「Yes」
(Q2)世帯主であるか否かについて「Yes」
(Q3)所得の中心者(同一世帯内で最も所得の多い者)であるか否かについて「Yes」
(Q4)国民健康保険の加入者であるか否かについて「No」
であり得る。この回答の組み合わせに対しては、図5に例示されるように、種別情報の一覧(L)が
(1)出生届
(2)出産・子育て応援給付金
(4)児童手当・特例給付認定請求書
(5)児童手当認定請求口座振込依頼書
(6)こども医療費受給資格認定
の5点であるため、制御部11は、この一覧(リスト)を転記対象候補として入力端末装置3を介してユーザに提示し、転記を行うか否かについてユーザに問い合わせる。
【0039】
転記を行うか否かに関するユーザへの問い合わせに対し、ユーザが回答すると、制御部11は、入力対象フォームデータの各入力欄への入力を求める画面を、入力端末装置3に提示し、ユーザに入力を促す。
【0040】
そしてユーザが各入力欄への入力を完了した旨の入力を行うと、制御部11は、転記を行うか否かの問い合わせに対するユーザの回答を参照し、転記を行わないことを選択していた場合は、入力対象フォームデータを提出フォームデータベース22に記録するため、入力済みフォームデータの記録へ移行して処理を続ける。
【0041】
一方、ここで転記を行うか否かの問い合わせに対するユーザの回答が、転記を行うとの回答であった場合、制御部11は、入力対象フォームデータの種別情報以外の種別情報であって、先に取得した転記対象候補の一覧に含まれる種別情報に関連付けられた未記入のフォームデータを、未記入フォームデータベース21から取得し、それぞれのフォームデータに固有の識別情報を発行する。
【0042】
そして制御部11は、入力端末装置3を介して、取得した未記入のフォームデータを転記先候補フォームデータとして、当該転記先候補フォームデータに対する情報の入力を逐次的にユーザに求めるが、ここで転記先候補フォームデータを提示する際、当該転記先候補フォームデータに含まれる入力欄の入力情報識別情報と、入力対象フォームデータの入力情報識別情報とを比較して、同じ情報を入力するべき入力欄を対応付ける。
【0043】
制御部11は、入力対象フォームデータの入力欄に入力されている情報のうち、当該入力欄の入力情報識別情報に対応する入力欄が、当該提示するフォームデータに存在すれば、当該入力欄に入力されている情報を、提示するフォームデータの対応する入力欄に転記して入力された状態としてユーザに提示する。
【0044】
またこのとき制御部11は、当該入力対象フォームデータから情報を転記した入力欄の入力欄特定情報に、入力対象フォームデータに固有の識別情報を関連付けて記録しておく。この例では、ユーザは、既に入力された状態にある入力欄の情報を改めて入力する必要がない。
【0045】
具体的に、入力対象フォームデータを「出生届」とし、新生児の両親のいずれかがユーザとなって情報入力を行う上記の例の場合(ユーザは国民健康保険の加入者でないとする)、当該ユーザは、出生届のフォームデータに対して、新生児の氏名や、生まれたとき、生まれたところ、住所、父母の氏名・生年月日、本籍等の情報を入力する。そして当該入力を完了すると、その旨の操作を、入力端末装置3に対して行う。
【0046】
入力端末装置3を介してユーザが入力を完了した旨の情報を受けると、制御部11は、入力対象フォームデータを「出生届」とした転記対象候補である、
(2)出産・子育て応援給付金
(4)児童手当・特例給付認定請求書
(5)児童手当認定請求口座振込依頼書
(6)こども医療費受給資格認定
のそれぞれの未記入フォームデータを逐次的に入力端末装置3に提示させ、それぞれの入力欄への情報入力を、ユーザに促す。例えば情報処理装置1の制御部11は、(4)児童手当・特例給付認定請求書について請求者の住所を入力することとなっているが、これらの入力欄に入力するべき情報は、(1)出生届の届出人の住所と同じものとなる。従ってこれらの入力欄にはそれぞれ共通した入力情報識別情報が関連付けられているはずである。
【0047】
そこで制御部11は、入力対象フォームデータである出生届の届出人の住所の入力欄に入力された情報を、(4)児童手当・特例給付認定請求書の請求者の住所の入力欄に転記して入力された状態として、(4)児童手当・特例給付認定請求書の残りの入力欄に情報を入力するよう求める。またこのとき、制御部11は、(4)児童手当・特例給付認定請求書の請求者の住所の入力欄の入力欄特定情報に、入力対象フォームデータである出生届について発行した、当該出生届に固有な識別情報を関連付けて記録しておく。
【0048】
[転記処理の変形例]
また制御部11は、上記取得した未記入のフォームデータに対する情報の入力を逐次的にユーザに求める際、入力対象フォームデータだけでなく、先行して情報の入力を受けた転記先候補フォームデータについても、当該転記先候補フォームデータの入力欄の入力情報識別情報に対応する入力欄が、現在提示している転記先候補フォームデータに存在すれば、当該先行して情報の入力を受けた転記先候補フォームデータに入力されている情報を、現在提示している転記先候補フォームデータの対応する入力欄に転記して入力された状態としてユーザに提示することとしてよい。
【0049】
例えば、(4)児童手当・特例給付認定請求書と(6)こども医療費受給資格認定の申請書とには、いずれも加入年金の入力欄があり(出生届にはこの入力欄は一般的に存在しない)、これらには共通する入力情報識別情報が関連付けられているはずである。そこで制御部11は、(4)児童手当・特例給付認定請求書において、この入力欄に加入年金を表す情報が入力されると、その後に未記入のフォームデータを提示して入力を求める(6)こども医療費受給資格認定の申請書において、保護者の住所を出生届から転記して入力された状態とするとともに、加入年金(加入医療保険の状況)の種別の入力欄に、(4)児童手当・特例給付認定請求書の対応する加入年金の入力欄に入力された情報を転記することとしてよい。この場合、制御部11は、(6)こども医療費受給資格認定の申請書の保護者の住所の入力欄に係る入力欄特定情報に、転記元となった(4)児童手当・特例給付認定請求書について発行した、当該転記元の(4)児童手当・特例給付認定請求書に固有な識別情報を関連付けて記録しておく。
【0050】
さらに、ここでは転記対象候補の一覧にあるフォームデータに対して一度に情報の入力を求めることとしたが、本実施の形態はこれに限られない。例えば制御部11は、転記対象候補に含まれる未記入のフォームデータを未記入フォームデータベース21から取得し、それらの入力欄への情報入力を逐次的にユーザに求める前に、入力対象フォームデータの種別情報以外の種別情報であって、上記転記対象候補の一覧に含まれる種別情報に関連付けられ、かつ、当該ユーザにより過去に記録(提出)された(当該ユーザを特定する情報(U)に関連付けられた)フォームデータであって、現在日時(処理を行っている日時)から遡及して所定の日数以内に記録(提出)がされているフォームデータを、提出フォームデータベース22から検索してもよい。ここで所定の日数は経験的に設定されてよく、全てのフォームデータに対して共通の日数であってもよいし、フォームデータごとに異なって(例えば転記条件情報ごとに異なって)設定されていてもよい。
【0051】
この例では、制御部11は、これらの条件を満足するフォームデータが検索により見いだされれば、当該見いだされたフォームデータ(転記元候補フォームデータと呼ぶ)の入力欄の入力情報識別情報と、入力対象フォームデータ(及び、その後入力の対象となる転記先候補フォームデータ)の入力情報識別情報とを比較して、同じ情報を入力するべき入力欄を対応付ける。
【0052】
そして制御部11は、上記転記元候補フォームデータの入力欄に入力されている情報のうち、当該入力欄の入力情報識別情報に対応する、入力対象フォームデータ(または転記先候補フォームデータ)の入力欄が存在する情報を、当該対応するフォームデータの入力欄に転記して入力された状態とする。
【0053】
制御部11は、この場合、入力情報を転記した入力対象フォームデータ(または転記先候補フォームデータ)の入力欄の入力欄特定情報に対して、転記元となったフォームデータに固有な識別情報を関連付けて記録する。
【0054】
以下制御部11は、入力対象フォームデータと、提出フォームデータベース22から検索された提出済みのフォームデータとに係る種別情報を、転記対象候補の一覧から省いて、さらに当該一覧に転記対象候補となるフォームデータに係る種別情報があれば、未記入フォームデータベース21から取得し、それらの入力欄への情報入力を逐次的にユーザに求める処理を行う。
【0055】
この例によると、ユーザは過去に入力したフォームデータと同じ情報を入力するべき入力欄に対して改めて情報を入力する必要がなくなる。
【0056】
制御部11は、ユーザが各フォームデータへの情報入力を終了した旨の操作を行ったときに、入力されたフォームデータを提出フォームデータベース22に記録するため、入力済みフォームデータの記録へ移行して処理を続ける。
【0057】
[入力済みフォームデータの記録]
制御部11は、ユーザが入力を完了したとする入力対象フォームデータ及び転記対象候補フォームデータ(いずれも未提出のもの)について、それぞれ固有の識別情報(ID)を発行し、当該フォームデータの種類(様式)を特定する種別情報(T)と、フォームデータごとに固有の識別情報(ID)と、情報を入力した(フォームデータを提出した)ユーザを特定する情報(U)と、当該フォームデータの提出日(処理の日時でよい)(D)と、審査済みでないことを表す審査済みフラグ(F)と、コンテンツ情報(S)とを提出フォームデータベース22に記録する
【0058】
ここでコンテンツ情報(S)は、当該フォームデータに含まれる各入力欄を特定する入力欄特定情報(P1,P2…)に、各入力欄にユーザにより入力された入力情報(D1,D2…)と、当該入力欄の入力情報が転記された情報である場合に、当該入力欄の入力欄特定情報に関連付けられた、転記元のフォームデータの識別情報(TID1,TID2…)とを関連付けたものである。
【0059】
[フォームデータの提供]
以上のようにして、提出フォームデータベース22に記録されたフォームデータは、審査端末装置4のユーザによる審査の対象となる。本実施の形態の情報処理装置1は、この審査端末装置4に対して、提出フォームデータベース22に記録されたフォームデータを審査のために提供してもよい。
【0060】
この処理を行う制御部11は、審査端末装置4から、審査の対象となるフォームデータを特定する情報(フォームデータに固有の識別情報(ID))の指定を受け入れると、データベース2の提出フォームデータベース22から当該受け入れた識別情報に関連付けられたフォームデータを読み出す。
【0061】
そして制御部11は、読み出したフォームデータを表示する画面情報を生成して審査端末装置4に対して送出する。ここで送出される情報も、HTMLによって記述された画面情報でよい。
【0062】
[審査結果の記録]
審査端末装置4が、この情報処理装置1の制御部11が送出した画面情報を表示すると、審査端末装置4のユーザは、この画面情報を参照して、フォームデータの各入力欄に入力された情報の審査を行う。そして審査端末装置4のユーザは、表示されたフォームデータ(審査対象フォームデータ)の入力欄に入力された情報がいずれも正当であると判断すると(つまり、審査対象フォームデータによる届け出や申請が適正であると判断すると)、その旨の審査結果を表す情報(審査が完了した旨の情報)を、情報処理装置1に対して送出するよう審査端末装置4を操作する。
【0063】
また、審査端末装置4のユーザは、審査対象フォームデータの入力欄に入力された情報のうちに正当でないものがある場合や、入力された情報が不十分であると判断(つまり、審査対象フォームデータによる届け出や申請が適正でないと判断)したときには、その旨の審査結果を表す情報を、情報処理装置1に対して送出するよう審査端末装置4を操作する。
【0064】
情報処理装置1の制御部11は、審査端末装置4から、当該審査端末装置4に対して送出した画面情報に係るフォームデータ(審査対象フォームデータ)に対する審査の結果を受け入れて、当該受け入れた審査の結果が、審査が完了したことを表す情報であったときには、審査対象フォームデータに固有の識別情報(ID)に関連付けられて提出フォームデータベース22に記録されている、審査済みフラグ情報(F)を、「審査済み」に設定する。
【0065】
なお、受け入れた審査の結果が、審査が完了したことを表す情報でなかったときには、情報処理装置1の制御部11は、当該審査対象フォームデータに固有の識別情報(ID)に関連付けられて提出フォームデータベース22に記録されているユーザを特定する情報を読み出して、当該情報で特定されるユーザに対して、フォームデータの入力欄に入力した情報を修正するよう通知することとしてもよい。この通知は、電子メールなど、広く知られた方法で行うことができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0066】
[審査要否の案内]
本実施の形態の例において特徴的なことの一つは、情報処理装置1の制御部11が、このように審査端末装置4に対して送出する画面情報において、審査の対象としたフォームデータの入力欄のうち、他のフォームデータから転記された情報が入力されている入力欄と、そうでない入力欄とを識別可能に提示することである。
【0067】
すなわち制御部11は、審査対象フォームデータに係る画面情報を生成する際に、当該審査対象フォームデータに含まれる入力欄のうち、当該入力欄の入力欄特定情報に関連付けられた転記情報が他のフォームデータの識別情報となっている入力欄については、その旨を表すため、例えば入力欄を取り囲む矩形を描画したり、あるいは当該識別情報で識別されるフォームデータを参照可能(例えば当該入力欄をクリックしたときに、当該転記元のフォームデータを表示させるようにする)などして、当該入力欄が他のフォームデータから転記されたことを示す。
【0068】
一方、制御部11は、審査対象フォームデータに含まれる入力欄のうち、当該入力欄の入力欄特定情報に関連付けられた転記情報が「null」であるなど、他のフォームデータを表していない場合には、この処理を行わない。
【0069】
これにより、審査端末装置4には、他のフォームデータから転記された入力情報に係る入力欄と、そうでない入力欄とが区別可能に提示されることとなり、審査端末装置4のユーザは、転記元の情報を参照して、既に審査していれば、当該転記された情報の審査を省略できることとなって、審査を簡便なものにできる。
【0070】
さらに本実施の形態のある例では、制御部11は、このように審査端末装置4に対して送出する画面情報において、審査の対象としたフォームデータの入力欄のうち、審査済みフラグ情報(F)が「審査済み」であるフォームデータから転記された情報が入力されている入力欄と、そうでない入力欄とを識別可能に提示することとしてもよい。
【0071】
この例では、制御部11は、審査対象フォームデータに係る画面情報を生成する際に、当該審査対象フォームデータに含まれる入力欄のうち、当該入力欄の入力欄特定情報に関連付けられた転記情報が他のフォームデータの識別情報となっている入力欄については、当該識別情報で識別されるフォームデータに関連づけて提出フォームデータベース22に記録されている審査済みフラグ情報を参照し、当該審査済みフラグ情報が「審査済み」となっていれば、その旨を表すため、例えば入力欄を取り囲む矩形を描画するなどして、当該入力欄が他のフォームデータにおいて審査済みであることを示す。
【0072】
一方、審査対象フォームデータに含まれる入力欄のうち、当該入力欄の入力欄特定情報に関連付けられた転記情報が「null」であるなど、他のフォームデータを表していない場合、あるいは当該転記情報が他のフォームデータの識別情報となっていても、当該識別情報で識別される識別されるフォームデータに関連づけて提出フォームデータベース22に記録されている審査済みフラグ情報が「審査済み」でない(未審査である)場合には、審査済みであることを示すための処理を行わない。
【0073】
これにより、審査端末装置4には、例えば図6に例示するように、他の審査済みのフォームデータから転記された入力情報に係る入力欄(X)と、そうでない入力欄(Y)とが区別可能に提示され、審査端末装置4のユーザは、審査すべき対象を限定できることとなるので、フォームデータの審査が簡便なものとなる。
【0074】
[公的情報サービスからの情報取得]
さらに本実施の形態の一例に係る情報処理装置1は、フォームデータへの情報入力を受け入れる際に、ユーザから入力される情報でログインした公的情報サービスから、当該ユーザが取得可能な情報と同じ情報を入力する入力欄については、当該情報を入力欄に転記した状態としてフォームデータを提示し、未入力の入力欄への情報入力をユーザに促すこととしてもよい。
【0075】
ここで公的情報サービスは、例えばマイナポータルであり、ユーザはマイナポータルへのログイン情報(ユーザ名やパスワードでもよいし、APIを用いて情報取得するためのキーとなる情報であってもよい)を、入力端末装置3を介して情報処理装置1へ送信し、情報処理装置1がユーザから得たログイン情報を用いてマイナポータルへアクセスして、例えば氏名や住所等の基本四情報、その他行政により管理されている情報を取得する。
【0076】
本実施の形態のこの例では、フォームデータの入力欄に関連付けられた入力情報識別情報と、マイナポータルから取得可能な情報とを互いに関連付けておく。そして情報処理装置1は、フォームデータへの情報入力を受け入れる際に、マイナポータルから取得した情報を、対応する入力情報識別情報に関連付けられた入力欄に転記した状態として、入力欄を提示し、未入力の入力欄への情報入力をユーザに促す。
【0077】
本実施の形態のこの例によると、マイナポータル等の公的情報サービスから得られる情報を用いるので、ユーザが入力を誤る機会を低減でき、情報入力の負担を軽減できる。
【0078】
さらに、この場合情報処理装置1は、入力済みのフォームデータにおいて、公的情報サービスから取得して転記した入力欄については、そうでない入力欄と識別可能な情報を関連付けて記録しておき、審査端末装置4において当該フォームデータに係る情報を表示する際に、公的情報サービスから取得して転記した入力情報を含む入力欄を、そうでない入力欄と区別可能な態様で(例えば枠線を異ならせたり、色を異ならせるなどして)表示してもよい。この例によると、公的情報サービスから転記された情報については審査を省略するなどの運用が可能となる。
【0079】
ここまでの説明では、出生届を例としてきたが、本実施の形態はこれに限られず、他の種々の役所への届け出文書や、手続のための書面、また、企業や学校などに提出する書面等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理装置、2 データベース、3 入力端末装置、4 審査端末装置、11 制御部、12 記憶部、13 通信部、21 未記入フォームデータベース、22 提出フォームデータベース、23 転記条件データベース。

【要約】
【課題】行政等への手続書面の作成や審査を簡便にする情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザにより入力される入力欄を複数備えるフォームデータの入力を受け入れる情報処理装置であって、このフォームデータは、入力欄ごとに、当該入力欄に入力された情報と、当該入力欄に入力された情報が転記された情報である場合に、その転記元を特定する転記情報とを関連付けたデータを含み、情報処理装置は、フォームデータを表示する際に、当該フォームデータに含まれる入力欄のうち、転記情報により転記元が特定可能な入力欄については、転記元での内容確認の結果が利用可能である旨の表示を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6