(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】カルテ作成支援装置及びカルテ作成支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240611BHJP
【FI】
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2023211707
(22)【出願日】2023-12-15
【審査請求日】2023-12-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507220361
【氏名又は名称】株式会社オプテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 仁志
(72)【発明者】
【氏名】大原 茂之
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-149083(JP,A)
【文献】特開2018-077630(JP,A)
【文献】特開2020-077290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から得られた情報を含むフリーテキストを、文節ごとに区切って分割するテキスト分割部と、
前記テキスト分割部によって分割された文節のそれぞれを、前記文節によって示される内容に応じた、カルテの記入形式に基づく複数の区分のいずれかの区分に分類して、分類結果を出力する文節分類部と、を備
え、
前記文節分類部は、前記フリーテキストに含まれる文節と前記文節が分類されるべき区分との対応情報を学習した学習モデルによって構成され、
前記文節分類部は、前記テキスト分割部によって分割された文節を、分類対象として想定され得るすべての前記区分に分類し、前記文節と前記区分との対応情報と、前記区分への分類の確信度の情報と、を、前記分類結果として出力する
カルテ作成支援装置。
【請求項2】
特定の前記区分への分類が難しい前記文節を前記分類結果から除外する文節選別部をさらに備える
請求項
1に記載のカルテ作成支援装置。
【請求項3】
前記特定の前記区分への分類が難しい前記文節は、前記文節分類部が複数の各区分に分類した場合における分類の確信度の最小値と最大値との差が所定値以下の文節、又は、前記特定の前記区分への分類が不可能である文節である
請求項
2に記載のカルテ作成支援装置。
【請求項4】
前記分類結果に基づいてカルテへの記載用の文章を整形し、整形後の文章と、前記文章に含まれる各分節が分類された前記区分の情報と、を出力する文章整形部をさらに備える
請求項
3に記載のカルテ作成支援装置。
【請求項5】
前記文章整形部は、大規模言語モデルによって構成される
請求項
4に記載のカルテ作成支援装置。
【請求項6】
前記分類結果を表示する画面であり、前記分類結果における前記文節と前記区分との対応関係の修正が可能な画面を表示装置に表示させる表示制御部をさらに備える
請求項
5に記載のカルテ作成支援装置。
【請求項7】
前記文節分類部から出力された分類結果、又は、前記文章整形部から出力された前記文章をカルテに転記するカルテ転記部を備える
請求項
6に記載のカルテ作成支援装置。
【請求項8】
テキスト分割部と、文節分類部と、を備えるカルテ作成支援装置によって行われるカルテ作成支援方法であって、
テキスト分割部が、患者から得られた情報を含むフリーテキストを、文節ごとに区切って分割するテキスト分割手順と、
文節分類部が、前記テキスト分割手順によって分割された文節のそれぞれを、前記文節によって示される内容に応じた、カルテの記入形式に基づく複数の区分のいずれかの区分に分類して、分類結果を出力する文節分類手順と、を含
み、
前記文節分類部は、前記フリーテキストに含まれる文節と前記文節が分類されるべき区分との対応情報を学習した学習モデルによって構成され、
前記文節分類手順では、文節分類部は、前記テキスト分割部によって分割された文節を、分類対象として想定され得るすべての前記区分に分類し、前記文節と前記区分との対応情報と、前記区分への分類の確信度の情報と、を、前記分類結果として出力する
カルテ作成支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルテ作成支援装置及びカルテ作成支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科医師の多くは、歯科大学等での就学時において診断や治療方法などの医学を学ぶが、カルテの書き方を深く学ぶ機会は与えられないことが多い。したがって、歯科医師の多くは、カルテの書き方を学ばないまま歯科大学等を卒業し、そのまま臨床に就く。
【0003】
しかし、良質な歯科医療の提供は、治療技術を高めることだけでは成し得ず、患者の情報を漏れなく、そして遅滞なくカルテに記録することも、良質な歯科医療の提供における重要な要素である。歯科医院では、歯科医師が入れ替わることもあるため、どの歯科医師が見ても担当医師と等しく患者の状態を把握できるようなカルテを記録することが理想である。
【0004】
作成されるカルテの質を一定のレベルに保つための手法として、医療機関におけるカルテの記入形式である「SOAP式」が知られている。SOAP式は、診察等によって患者から得られた情報を、S(subjective)、O(objective)、A(assessment)、P(plan)の4つの項目にわけて記入する手法である。
【0005】
「S」は主観的情報を示し、Sには患者による主訴の内容等が分類される。「O」は、客観的情報を示し、Oには診察や検査などから得られた客観的な情報が分類される。「A」は評価を示し、Aには医師の診断や、S及びOの内容に基づく分析又は解釈等を行った結果としての総合的な評価などが分類される。「P」は計画を示し、Pには「A」に基づき決定された治療方針や計画などが分類される。
【0006】
例えば、特許文献1には、診察画面に表示された疾患一覧表の中から選択された疾患や、医師の所見、それ以降に行うべき医療方針などがSOAPの文中にコピーされ、コピーされた内容をカルテに記録する電子カルテ医療システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述のとおり、カルテの書き方を深く学んでいない歯科医師が多いことも事実である。したがって、経験の浅い歯科医師は、診察により得られた内容をカルテに記録としてアウトプットする場合に、どのようにカルテを作成するかどうかで悩んでしまうことがある。また、このような歯科医師は、診察により得られた内容を誤ったSOAPに分類して記録してしまうことも多い。このような課題は、歯科医師に限らず、カルテの記録を行うすべての医療従事者において共通に存在する。
【0009】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、カルテの記入形式に基づくカルテの作成を適切に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るカルテ作成支援装置は、患者から得られた情報を含むフリーテキストを、文節ごとに区切って分割するテキスト分割部と、テキスト分割部によって分割された文節のそれぞれを、文節によって示される内容に応じた、カルテの記入形式に基づく複数の区分のいずれかの区分に分類して、分類結果を出力する文節分類部と、を備え、文節分類部は、フリーテキストに含まれる文節と前記文節が分類されるべき区分との対応情報を学習した学習モデルによって構成され、文節分類部は、テキスト分割部によって分割された文節を、分類対象として想定され得るすべての区分に分類し、文節と区分との対応情報と、区分への分類の確信度の情報と、を、分類結果として出力する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の少なくとも一態様によれば、カルテの記入形式に基づくカルテの作成を適切に行うことができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカルテ作成支援システムの概略構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るサーバー及び端末装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る端末装置に入力されるテキストの例の示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る文節分類部の学習データの例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る文節分類部による分類後の文節と分類の確信度との対応例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る文章整形部が文節を用いて整形した文章の例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るカルテ作成支援画面の構成例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るカルテ作成画面の構成例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るカルテ作成画面における分類結果の表示例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る文章がSOAPの各区分と対応付けて表示される場合におけるカルテの表示例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る文章のみが表示される場合におけるカルテの表示例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るカルテ作成支援システム100によるカルテ作成支援処理の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照して説明する。本発明の実施形態における種々の数値等はあくまでも例示であり、本発明は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本明細書及び図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0014】
<カルテ作成支援システムの概略構成>
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るカルテ作成支援システム100の構成について説明する。
図1は、カルテ作成支援システム100の概略構成例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、カルテ作成支援システムは、サーバー1(カルテ作成支援装置の一例)と、端末装置2-1~端末装置2-n(nは2以上の自然数)と、を含む。サーバー1と、端末装置2-1~端末装置2-nのそれぞれとは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0016】
サーバー1は、例えばクラウド環境に置かれ、複数の端末装置2から送信されたフリーテキスト(以下、単に「テキスト」と称する)からカルテ転記用の文章を生成し、生成した文章を端末装置2に送信する。より詳細には、サーバー1は、複数の端末装置2から送信されたテキストを文節に分割し、文節をSOAPのいずれかの区分に分類する。そして、サーバー1は、分類後の文節の中からカルテへの転記用の文節を選別し、選別後の文節を文章に成形して、端末装置2に送信する。
【0017】
端末装置2は、歯科医院内に設置されるPC(Personal Computer)や、スマートフォン等の携帯端末で構成される装置である。なお、
図1には端末装置2として端末装置2-1及び2-nの2つのみを図示しているが、サーバー1には、他の端末装置2も複数台接続されているものとする。また、以下の説明において端末装置2-1~2-nをそれぞれ区別する必要がない場合には、これらを端末装置2と総称する。
【0018】
<カルテ作成支援システムの制御系の構成>
次に、
図2を参照して、カルテ作成支援システム100を構成するサーバー1及び端末装置2の制御系の構成について説明する。
図2は、サーバー1及び端末装置2の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0019】
[サーバー]
図2に示すように、サーバー1は、バスB1にそれぞれ接続された制御部10、記憶部11、入力部12、表示部13、通信I/F(Interface)部14、テキスト分割部15、文節分類部16、文節選別部17及び文章整形部18を備える。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103により構成される演算装置である。
【0020】
CPU101は、本実施形態に係るサーバー1の各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM102から読み出してRAM103に展開して実行する。なお、サーバー1は、CPU101の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAM103には、CPU101による演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0021】
記憶部11としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。記憶部11には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、サーバー1を機能させるためのプログラムが格納される。
【0022】
なお、サーバー1を機能させるためのプログラムは、ROM102に格納されていてもよい。プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納される。
CPU101は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM102又は記憶部11は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例である。
【0023】
入力部12は、例えば、マウスやキーボードなどで構成され、ユーザによる操作に応じた操作信号を生成してCPU101に供給する。
表示部13は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成されるモニタである。
なお、入力部12と表示部13とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。また、サーバー1は、入力部12及び表示部13を備えない構成としてもよい。
【0024】
通信I/F14は、端末装置2との間で行われる通信の制御を行う通信デバイス等により構成される。
【0025】
テキスト分割部15は、端末装置2から送信されたテキストを、テキスト内の句読点、改行、スペース等の情報に基づいて複数の文節に分割する。テキスト分割部15は、例えば、文節分割を行うプログラム、機械学習を行ったAI(Artificial Intelligence)モデル、LLM(Large Language Models)等の言語モデルによって構成される。
【0026】
機械学習を行ったAIモデルには、様々な文章と、その文章を構成する各文節との対応情報を学習データとして学ばせた学習モデル等を用いることができる。また、テキスト分割部15がLLM等の言語モデルによって構成される場合、当該言語モデルに「次の文章を文節に区切って下さい」等のプロンプトを入力することにより、入力したテキストを文節に分割させることができる。
【0027】
文節分類部16は、経験豊富な歯科医師等によってSOAP式で作成されたカルテを学習することによってファインチューニングされたAIモデル等によって構成される。経験豊富な歯科医師等によって作成されたカルテには、テキストに含まれる文節と、この文節が分類されるべきSOAPの区分とが、適切に対応付けられているものと考えられる。
つまり、文節分類部16は、テキストに含まれる文節とその文節が分類されるべき適切なSOAPの区分との対応情報を学習する。そして、文節分類部16は、テキスト分割部15によって分割された各分節を、学習した内容に基づいてSOAPの各区分に分類する。
【0028】
なお、文節分類部16は、テキスト分割部15によって分割された各文節を、SOAPのいずれか一つの区分のみに分類するのではなく、分類の確信度の高さに応じて複数の区分に分類する。そして、文節分類部16は、文節が分類された最も確信度の高い区分と、この区分に分類する確信度の情報を端末装置2に出力する。
また、文節分類部16は、同じ文節が分類されたその他の区分と、各区分への分類の確信度の情報も端末装置2に出力する。なお、文節分類部16は、SOAPのいずれの区分にも分類できなかった文節が存在する場合には、その文節が未分類であることを伝える情報も出力する。
【0029】
文節選別部17は、文節分類部16によって分類された文節の中から、カルテに転記すべき文節を選別する。具体的には、文節選別部17は、文節分類部16によって分類された文節のうち、カルテへの転記対象として適切でない文節を削除する。
カルテへの転記対象として適切でない文節には、例えば、その文節が分類された各区分に対応付けられた各確信度の最小値と最大値との差が所定の閾値以下となる文節や、SOAPのいずれの区分にも分類されなかった文節などが含まれる。
【0030】
例えば、診察の内容との関連が薄い文節等は、SOAPのいずれの区分に対する分類であるかどうかの確信度が低くなるため、確信度の最小値と最大値との差が小さくなる。したがって、文節選別部17は、そのような文節を、カルテへの転記対象から外す。
【0031】
文章整形部18は、SOAPのいずれかの区分に分類された各文節を、カルテの記載に適した自然な文章に整形する。なお、文章整形部18により整形される文章は、文節選別部17によって不要な文節が削除された文章である。
文章整形部18がLLMで構成される場合、文章整形部18は、例えば、文節、SOAPの分類結果、プロンプトをLLMに入力することにより、カルテへの転記に適した自然な文章に整形させることができる。例えば、「あなたは歯科医師です。これからSOAP方式のカルテを作成します。入力された文節とSOAPの分類の情報とから、自然な日本語となるように文章を整形してください」等のテキストでプロンプトを構成することが可能である。
【0032】
文節分類部16による文節のSOAPの各区分への分類結果、及び、文章整形部18によって整形された文章は端末装置2に送信され、端末装置2の画面(
図9参照)に表示される。歯科医師等であるユーザは、端末装置2の画面の表示内容を確認して、文節とSOAPの各区分への分類結果との対応を修正したり、整形された文章を修正したりすることができる。
【0033】
[端末装置]
次に、同じく
図2を参照して、端末装置2の制御系の構成について説明する。
端末装置2は、バスB2にそれぞれ接続された制御部20、記憶部21、入力部22、表示部23、通信I/F部24、表示制御部25及びカルテ転記部26を備える。
制御部20は、CPU201、ROM202、RAM203から構成される演算装置である。
【0034】
CPU201は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM202から読み出してRAM203に展開して実行する。もしくは、CPU201は、プログラムコードをROM202から直接読み出してそのまま実行する。なお、端末装置2は、CPU201の代わりに、MPU等の処理装置を備えてもよい。RAM203には、CPU201による演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0035】
記憶部21としては、例えば、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この記憶部21には、OS、各種のパラメータの他に、端末装置2を機能させるためのプログラム、カルテ等も記憶される。
【0036】
なお、端末装置2を機能させるためのプログラムは、ROM202に格納されていてもよい。プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納される。CPU201は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM202又は記憶部21は、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0037】
入力部22は、例えば、マウスやキーボード、マイクロフォンなどによって構成され、ユーザによる入力に応じた操作信号を生成してCPU201に供給する。入力部22には、ユーザによって、問診により得られた患者の主訴の内容や、口腔内検査の結果、レントゲン検査の結果などの、患者から得られた情報が、テキストによって入力される。なお、患者から得られた情報の入力は、マイクロフォンを介して音声によって入力されてもよい。
【0038】
表示部23は、例えば、LCD等で構成されるモニタである。表示部23には、例えば、カルテの作成を支援するカルテ作成支援画面Sc(
図8等参照)が表示される。なお、入力部22と表示部23とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。
【0039】
通信I/F24は、サーバー1との間で行われる通信の制御を行う通信デバイス等により構成される。
表示制御部25は、カルテ作成支援画面Sc等を表示部23に表示させる制御を行う。
カルテ転記部26は、サーバー1から送信された整形後の文章をカルテに転記する。
【0040】
<端末装置に入力されるテキストの例>
次に、歯科医師等であるユーザによって端末装置2に入力されるテキスト、すなわち、診察等によって患者より得られる情報の入力例について説明する。
図3は端末装置2に入力されるテキストの例を示す図である。
【0041】
図3は、#1~#3の3つのテキストの入力例を示す。
図3において、S(主観的情報)に分類されるべき文節には実線の下線が引かれ、O(客観的情報)に分類されるべき文節には一点鎖線の下線が引かれている。また、A(評価)に分類されるべき文節には二点鎖線の下線が引かれ、P(計画)に分類されるべき文節には破線の下線が引かれている。
なお、文節のSOAPの各区分への分類の情報は、色分け等によって区分して示すようにしてもよい。
【0042】
例えば、例#1においては、「歯のクリーニングをしてほしい」の文節は「S」に分類されるべき文節であり、「歯肉発赤(+)(中略)プラーク:少ない」までの文節は、「O」に分類されるべき文節である。
【0043】
また、例#2においては、「歯石沈着が認められる」の文節は「O」に分類されるべき文節である。「ブラッシングで横磨きを強くしないように」は、SOAPのどの区分への分類も難しい文節であるため、分類された区分の種類を示す下線が引かれていない。「口腔内の状況は改善してきている」は「A」に分類されるべき文節であり、「ブラッシングの確認を行う」は「P」に分類されるべき文節である。「虫歯を治療して欲しい」は、「S」に分類される文節である。
【0044】
<文節分類部の学習データの例>
次に、文節分類部16の学習データについて説明する。
図4は、文節分類部16の学習データの例を示す図である。
図4に示す例では、「S」の区分と対応付けられた「歯のクリーニングをしてほしい」の文節や、「P」の区分と対応付けられた「歯周検査+スケーリング」の文節、「O」の区分と対応付けられた「歯石の沈着を認める」等が学習データに含まれている。
【0045】
経験豊富な歯科医師によって作成されたカルテに基づいて学習データを作成することにより、その学習データによって学習した文節分類部16は、入力された文節をSOAPの正しい(分類されるべき)区分に適切に分類することができる。
【0046】
<文節分類部による分類後の文節と分類の確信度との対応例>
次に、文節分類部16によって分類された文節と、区分への分類の確信度の例について説明する。
図5は、文節分類部16による分類後の文節と分類の確信度との対応例を示す図である。
【0047】
図5の最上段のテキスト欄には、「ブラッシングの効果により改善傾向にある」の文節が示され、分類結果の欄には、SOAPの各区分に対して、Sが“0.2”、Oが“0.05”、Aが“0.7”、Pが“0.05”の確信度で分類されていることが示されている。
図5に示す例では、分類の確信度はSoftmax関数により示されており、Softmax関数によると、確信度の合計は常に1.0となる。なお、区分への分類の確信度は、Softmax関数以外の手法によって示されてもよい。
【0048】
図5の最上段に示すテキスト(文節)においては、「A」の区分への分類の確信度の“0.7”が最も高いため、文節分類部16は、「ブラッシングの効果により改善傾向にある」の文節を「A」の区分に分類する。そして、文節分類部16は、文節の分類結果と、文節が分類された各区分における分類の確信度の情報とを出力する。
【0049】
図5の最下段から2つ目の例では、「沖縄旅行に行かれたそうです」の文節の各区分への分類結果が、「S:0.3,O:0.2,A:0.25,P:0.25」であることが示されている。「沖縄旅行に行かれたそうです」の文節は、SOAPのどの区分への分類も難しい(関連が薄い)文節であるため、確信度の値も、SOAPのすべてにおいて似たような値となる。したがって、確信度の最大値である“0.3”と、最小値である“0.2”との差も小さくなる。
なお、
図5において、第2段目から第5段目、及び第7段目のテキスト(文節)も同様に考えることができる。
【0050】
本実施形態では、このように確信度の最大値と最小値との差が所定値以下である文節を、文節選別部17が削除する。これにより、SOAPの各区分への分類が難しい文節がカルテに転記されてしまうことがなくなる。なお、「所定値」は、初期値としては0.1等の値を設定可能であり、この値は、文節選別部17による分類結果を見ながらユーザが調整できるようにすることが好ましい。ユーザによる調整範囲には、例えば、0.0~1.0の範囲等を設定可能である。カルテ作成支援システム100は、SOAPの各区分への分類が難しい文節によって示される情報を、患者の付随情報等としてカルテに転記してもよい。
【0051】
<文章整形部による文章の整形例>
次に、文章整形部18による文章への整形例について説明する。
図6は、文章整形部18が文節を用いて整形した文章の例を示す図である。
図6の例#1には、「患者は歯のクリーニングをしてほしいという訴えのもと来院した。所見として歯肉発赤(+)歯石(+)、排膿なしであり、ポケットの深さは軽度90.9%、中度8.0%、重度1.1%、プラークは少ないことを確認した」という文章が示されている。
【0052】
この文章は、
図3の例#1のテキストに基づいて生成されたものである。
図6に示す文章に付与された下線の種類は、
図3~
図5に示したものと同様に、文節が分類されたSOAPの各区分の種類を示す。そして、下線が付与されていない文章は、文章整形部18によって追加された部分である。文章整形部18は、SOAPの各区分に分類された文節を用いて、
図6の例#1~例#3に示すように、日本語として自然であり、かつ、カルテへの記載に適した文章を生成することができる。
【0053】
<カルテ作成支援画面の構成及び画面遷移の例>
次に、端末装置2の表示部23に表示されるカルテ作成支援画面Scの構成、及び、カルテ作成支援画面Scの画面遷移の例について説明する。
まず、
図7を参照して、カルテ作成支援画面Scの構成について説明する。
図7は、カルテ作成支援画面Scの構成例を示す図である。
【0054】
図7に示すカルテ作成支援画面Scは、患者Xさんのカルテ作成時に表示される画面である。
カルテ作成支援画面Scの上部には「ファイル」、「編集」、「表示」等のメニューが表示されている。メニューの表示領域の下には、画面左から順に口腔情報表示領域Ar1、カルテ作成領域Ar2、患者情報表示領域Ar3の3つの領域が設けられている。
【0055】
口腔情報表示領域Ar1には、患者の口腔に関する情報が示される。カルテ作成領域Ar2には、カルテの作成に関連する情報が表示される。患者情報表示領域Ar3には、患者の年齢や性別、受診歴などの患者に関する情報が表示される。
カルテ作成領域Ar2の上部には、「日付指定」、「検索」等のメニューが表示されており、メニューの右端にはAIメニューMaが設けられている。
このAIメニューMaは、本実施形態に係るカルテ作成支援処理を実行させるためのメニューである。ユーザによってこのAIメニューMaが選択された場合、カルテ作成支援画面Scの画面に、次の
図8に示すカルテ作成画面Sc1がポップアップ表示される。
【0056】
図8は、カルテ作成画面Sc1の構成例を示す図である。
図8に示すカルテ作成画面Sc1には、テキスト入力領域Ar11が設けられており、テキスト入力領域Ar11の右側には、分類ボタンBn1が設けられている。
図8に示す例では、テキスト入力領域Ar11に、診察等を介して患者より得られた情報が入力されている。テキスト入力領域Ar11に入力されているテキストは、
図3の例#3に示したテキストと同一である。
【0057】
分類ボタンBn1は、テキスト入力領域Ar11に入力されたテキストのSOAPの各区分への分類を指示するボタンである。分類ボタンBn1が押下された場合、テキスト入力領域Ar11に入力されたテキストは、テキスト分割部15によって文節に分割された後に、文節分類部16によってSOAPのいずれかの区分に分類される。
【0058】
図9は、カルテ作成画面Sc1における分類結果の表示例を示す図である。
図9に示すカルテ作成画面Sc1においては、テキスト入力領域Ar11の下に、分類結果表示領域Ar12と、文章表示領域Ar13と、が設けられている。
【0059】
分類結果表示領域Ar12には、SOAPの区分と、区分に対応付けられた文節と、文節のSOAPの各区分への分類の確信度の情報とが表示される。ユーザは、分類結果表示領域Ar12に表示された内容を確認することにより、自分が入力したテキストのSOAPの各区分への分類結果を確認することができる。
【0060】
SOAPの区分の表示部分がタップ又はクリック等の操作により選択された場合、
図9に示すように、分類変更指示部Sc11が吹き出しの形態で表示される。分類変更指示部Sc11には、SOAPの各区分に対応する各ボタンと、「×」のボタンとが表示される。ユーザは、SOAPのいずれかのボタンを押下することにより、文節が分類されている区分を変更することができる。「×」のボタンは、「分類不可」の指示を入力するためのボタンである。
【0061】
テキスト入力領域Ar11の右側には、整形ボタンBn2及び転記ボタンBn3が配置される。整形ボタンBn2は、分類結果表示領域Ar12に表示された分類後の文節を用いた文章の整形を指示するボタンである。整形ボタンBn2が押下された場合、文章整形部18による文章整形が行われ、整形後の文章が文章表示領域Ar13に表示される。
ユーザは、文章表示領域Ar13に表示された文章を確認することにより、自分が入力したテキストの内容が文章に適切に反映されているか否か、又は、生成された文章がカルテへの転記に適した文章となっているか等を判断することができる。
【0062】
転記ボタンBn3は、分類結果表示領域Ar12に表示された分類結果のうちSOAPの区分に分類できたものを、そのままカルテへ転記することを指示するボタンである。転記ボタンBn3が押下された場合におけるカルテへの転記の例は、次の
図10を参照して詳述する。
【0063】
なお、文章表示領域Ar13に表示された文章は、ユーザによる修正が可能である。文章表示領域Ar13の右側に配置された転記ボタンBn4は、文章表示領域Ar13に表示された文章のカルテへの転記を指示するボタンである。したがって、ユーザは、文章表示領域Ar13に表示された文章を修正して転記ボタンBn4を押下することにより、文章整形部18によって整形された文章を修正したものを、カルテに転記させることもできる。
【0064】
次に、カルテ作成画面Sc1において転記ボタンBn3又は転記ボタンBn4が押下された後におけるカルテの表示例について説明する。
図10は、文章がSOAPの各区分と対応付けて表示される場合におけるカルテの表示例を示す図である。
図10に示すカルテ作成支援画面Scは、
図9に示したカルテ作成画面Sc1において、転記ボタンBn3が押下された場合に表示される。カルテ作成支援画面Scのカルテ作成領域Ar2における太枠で囲った領域には、
図9に示したカルテ作成画面Sc1の分類結果表示領域Ar12に示された分類結果が、SOAPの各区分と対応付けられて表示される。
【0065】
したがって、
図10に示す表示例によれば、カルテの内容を確認するユーザは、カルテの記載内容を、SOAPの各区分との対応を確認しながら適切に把握することができる。なお、不図示のカルテシステム側において、SOAPの各区分に対応する入力フィールドが設けられている場合は、
図9に示したカルテ作成画面Sc1の分類結果表示領域Ar12に示された分類結果を、各区分の入力フィールドに割り振って転記することも可能である。また、カルテシステム側において、このような入力フィールドがない場合、SOAPの各区分への分類結果を、それぞれ1行で箇条書きによって転記することができる。
【0066】
図11は、文章のみが表示される場合におけるカルテの表示例を示す図である。
図11に示す表示例によれば、カルテの内容を確認するユーザは、カルテの記載内容を自然な文章によって容易に理解することができる。
【0067】
<カルテ作成支援システムによるカルテ作成支援処理>
次に、本実施形態に係るカルテ作成支援システム100によるカルテ作成支援処理について説明する。
図12は、カルテ作成支援システム100によるカルテ作成支援処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、端末装置2の入力部22は、ユーザよりテキストの入力を受け付ける(ステップSA1)。このテキストは、診察等によって患者から得られる情報を、SOAPへの分類等を考えることなく、歯科医師等が入力したものである。ステップS1で端末装置2に入力されたテキストは、通信I/F部24(
図2参照)を介してサーバー1に送信される。
【0069】
次いで、サーバー1のテキスト分割部15は、端末装置2から送信されたテキストを、文節の単位に分割する(ステップSB1)。そして、テキスト分割部15は、分割して得られた各文節を文節分類部16に入力する(ステップSB2)。
文節分類部16は、入力された各分節をSOAPのいずれかの区分に分類する(ステップSB3)。ステップSB3の処理後、文節分類部16は、文節と、文節の区分への分類の確信度の情報と、を出力する。このとき、文節分類部16は、文節が分類された一番確度の高い区分の情報だけでなく、確信度が2番目以下の区分の情報、及び、各区分への分類の確信度の情報も併せて出力する。
【0070】
次いで、文節分類部16は、分類の対象となる文節は最後の文節であるか否かを判定する(ステップSB4)。ステップSB4で、最後の文節ではないと判定された場合(ステップSB4がNO)、文節分類部16は、SOAPの各区分への分類対象となる文節を次の文節に変更し、ステップSB2に戻る。
【0071】
一方、ステップSB4で、最後の文節であると判定された場合(ステップSB4がYES)、文節分類部16は、文節の分類結果と分類の確信度との対応情報を、通信I/F部14(
図2参照)を介して端末装置2に返す(ステップSB5)。そして、文節選別部17は、分類の確信度の最小値と最大値との差が所定値以下の文節を、カルテ転記用の文章への整形対象から除外する(ステップSB6)。
【0072】
一方、ステップSB5でサーバー1から返された文節の分類結果と分類の確信度との対応情報は、端末装置2によって受信される。そして、端末装置2の表示制御部25(
図2参照)は、文節の分類結果と分類の確信度との対応情報を、カルテ作成画面Sc1(
図8参照)に表示する(ステップSA2)。ステップSA2の処理が行われることにより、歯科医師等のユーザは、自分が作成したテキストに含まれる各分節が、SOAPのどの区分に、どの程度の確信度によって分類されたかを、カルテ作成画面Sc1の表示内容を介して確認することができる。
【0073】
次いで、ユーザは、分類結果が適切であるか否かを判断する(ステップSA3)。ステップSA3で、分類結果が適切でないと判定した場合(ステップSA3がNO)、ユーザは、分類を修正する。そして、ユーザは、修正後の分類と文節とを、端末装置2の通信I/F部24を介してサーバー1に送信する(ステップSA4)。
【0074】
サーバー1の文節分類部16は、ステップSB6で文章への整形の対象外となった文節が除外された文節と、その文節が分類された区分と、プロンプトとを、文章整形部18に入力する(ステップSB7)。
また、ステップSB7において、文節分類部16は、ステップSA4で端末装置2から修正後の分類の情報が送信された場合に、修正後の分類の情報を文章整形部18に入力する。
【0075】
次いで、文章整形部18は、ステップSB7で入力された文節と、文節が分類された区分と、プロンプトとに基づいて文章を整形し、整形された文章を、通信I/F部14を介して端末装置2に返す(ステップSB8)。
すると、端末装置2のカルテ転記部26は、サーバー1から返された整形後の文章をカルテに転記する(ステップSA5)。ステップSA5の処理後、カルテ作成支援システム100によるカルテ作成支援処理は終了する。
【0076】
上述した実施形態に係るカルテ作成支援システム100では、歯科医師等のユーザによって入力されたテキストが文節に分割され、分割後の文節がSOAPの区分に適切に分類される。したがって、本実施形態によれば、カルテ作成に不慣れな経験が浅い歯科医師等であっても、分類結果に基づいて、カルテの記入形式(SOAP式)に沿ったカルテを適切に作成することが可能になる。
【0077】
また、上述した実施形態に係るカルテ作成支援システム100では、端末装置2に入力したテキストが自動的にSOAPの区分に分類される。したがって、本実施形態によれば、歯科医師等がSOAPへの分類に迷うことによって、カルテの作成時間が長引いてしまうのを防ぐことができる。
【0078】
また、上述した実施形態では、文節分類部16は、文節のSOAPの区分への分類結果として、分類の確信度が最も高い区分だけでなく、確信度が低い区分の情報も、確信度とともに出力する。そして、これらの情報がカルテ作成支援画面Scに表示される。したがって、ユーザは、自分が作成したテキストにSOAPの各区分に対応する文節が適切に含まれているか、自分が想定していたSOAPの区分は正しかったか、等を、カルテ作成支援画面Scを介して確認することができる。
【0079】
つまり、本実施形態に係るカルテ作成支援システム100は、ユーザに、SOAPの各区分への分類精度をより向上させる文章を作成するための気づきを与えられる。したがって、本実施形態によれば、カルテ作成支援システム100を使用する歯科医師等のユーザのカルテ作成技術を向上させることができる。
【0080】
また、上述した実施形態に係るカルテ作成支援システム100では、文節分類部16によるSOAPの各区分への分類結果が、カルテ作成支援画面Sc(
図9参照)を介して一旦ユーザに提示され、ユーザによる区分の変更を受け付ける。したがって、本実施形態によれば、文節分類部16による分類が間違っていた場合にも、ユーザは、文節とSOAPの区分との対応を適切に修正することができる。
【0081】
また、上述した実施形態では、文節選別部17は、SOAPの各区分への分類の確信度の最小値と最大値との差が所定値以下の文節を、出力する分類結果から除外する。したがって、本実施形態によれば、SOAPのいずれの区分との関連性も薄い、診断内容にあまり関係のない文節等が、カルテに転記されてしまうのを防ぐことができる。
【0082】
また、上述した実施形態では、大規模言語モデル等によって構成される文章整形部18が、カルテへの転記用の文章を整形する。したがって、本実施形態によれば、自然な文章によって表現されたカルテが生成される。
【0083】
なお、上述した実施形態では、文節分類部16による分類が行われた後に文章整形部18によって文章が整形される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、文章整形部18による整形が行われた文章が文節分類部16に入力されてもよい。
【0084】
また、文節分類部16は、大規模言語モデルによって構成されてもよい。この場合、例えば、大規模言語モデルで構成される文節分類部に対して、「この文節から読み取れる分類として、SOAPのいずれかで答えてください」等のプロンプトを入力することにより、文節をSOAPの区分に分類させることができる。そして、文章整形部18は、SOAPのいずれかの区分に分類された文節を用いて、分類後の区分に対応する一つの文章を整形する。
【0085】
文節分類部16及び文章整形部18をこのように構成することにより、例えば、歯科医師等のユーザによって入力されたテキスト内に、SOAPの各区分に該当する情報が複数存在している場合や、テキストがS、O、A、Pの順番で入力されていなかった場合でもSOAPの各分類に対応する各文章を、出力として得ることができる。
【0086】
また、本発明に係るカルテ作成支援システム100は、文章整形部18を備えない構成とされてもよい。もしくは、文章整形部18による文章整形を行うか否かをユーザが決定できるように構成してもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、カルテの記入形式がSOAP式である例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。カルテの記入形式は、SOAPIE(Subject Object Assessment Plan Intervention Evaluation)等の他の形式であってもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、サーバー1においてテキスト分割部15と文節分類部16とが別々に設けられる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。文節分類部16が、テキスト分割も行う構成としてもよい。
【0089】
また、上述した実施形態では、文節分類部16が学習した内容がカルテの作成用のみに用いられる例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明に係るカルテ作成支援システム100は、文節分類部16が学習した内容に基づいて、カルテ作成の教育用の画面を生成して表示部23に表示させてもよい。
【0090】
なお、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置(サーバー、端末装置)及びシステム(カルテ作成支援システム)の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
【0091】
また、
図1及び
図2において実線で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0092】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0093】
1…サーバー、2…端末装置、2-1…端末装置、2-n…端末装置、15…テキスト分割部、16…文節分類部、17…文節選別部、18…文章整形部、25…表示制御部、26…カルテ転記部、100…カルテ作成支援システム、Sc1…カルテ作成画面
【要約】
【課題】カルテの記入形式に基づくカルテの作成を適切に行えるようにする。
【解決手段】本発明の一態様に係るサーバー1は、患者から得られた情報を含むフリーテキストを、文節ごとに区切って分割するテキスト分割部15と、テキスト分割部15によって分割された文節のそれぞれを、文節によって示される内容に応じた、カルテの記入形式に基づく複数の区分のいずれかの区分に分類して、分類結果を出力する文節分類部16と、を備える。
【選択図】
図2