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特許7501885ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。
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  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図1
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図2
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図3
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図4
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図5
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図6
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図7
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図8
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図9
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図10
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図11
  • 特許-ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ベースプレートの製造方法と、該方法により製造されたベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎。
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/34 20060101AFI20240611BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
E02D27/34 B
E04H9/02 331Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024061291
(22)【出願日】2024-04-05
【審査請求日】2024-04-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524132221
【氏名又は名称】青木 弘治
(74)【代理人】
【識別番号】100196391
【弁理士】
【氏名又は名称】萩森 学
(72)【発明者】
【氏名】青木 弘治
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7191305(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
E04H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免震装置を基礎に固定するためのベースプレートの製造方法であって、
該ベースプレートは枠状の形状であり、
該枠状の形状を分割した2以上の部分から構成し、
一旦完成した該ベースプレートを該2以上の部分に分割して施工現場に運搬し、
該2以上の部分を建物の施工現場で結合して該枠状の形状を再構築することにより完成するものであって、
該枠状の形状を中央で二分割した形状の板を2つ鋼板から切り出し、
該2つの板の一方(これを以後、左半面プレートと称し、該他方の板を右半面プレートと称す)の2つの角部に免震装置固定用ボルト孔を開け、
該左半面プレートをバーナーで加熱することにより歪曲を修正して全体が一平面になるようにするとともに該左半面プレートの長辺と短辺の角度が直角となるようにし、
2つの長方形の板(これを以後結合プレートと称す)を鋼板から切り出し、該2つの結合プレートのそれぞれの長手方向の中央より片方の側に右半面プレートを固定するためのボルト孔をあけ、
該左半面プレートの両端に、該結合プレートのボルト孔をあけていない方を溶接し、
該右半面プレートをバーナーで加熱して歪曲を修正して全体が一平面になるようにするとともに、該右半面プレートの長辺と短辺の角度が直角となるようにし、
該右半面プレートの両端に皿穴を開けテーパー孔加工を行い、
該右半面プレートの両端を該左半面プレートの両端に溶接された結合プレートに載せ該左半面プレートと該右半面プレートの端同士が略1mmの間隔が空くように、皿ボルトとナットで結合プレートに固定し、
該右半面プレートの2つの角部の免震装置固定用ボルト孔を開ける位置を、左半面プレートに開けた免震装置固定用ボルト孔の位置を基準にして決定し、決定した位置に免震装置固定用ボルト孔を開ける
ことにより製造することを特徴とするベースプレートの製造方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法により製造されることを特徴とするベースプレート。
【請求項3】
請求項に記載のベースプレートをベースプレートとすることを特徴とする免震装置用基礎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は,建物の免震装置を基礎に固定するためのベースプレート及び該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の免震装置は建物の柱毎に1台ずつ設置しなければならない。免震装置は強固な基礎の上に固定する必要がある。免震装置用の基礎は上面が正方形の金属板で覆われた型枠及び該金属板を地中に固定する複数のアンカーを設置し、この型枠の中にコンクリートを流しこんで充填し固めることによって完成する。この金属板をベースプレートと呼ぶ。免震装置はこのベースプレートを介して免震装置用基礎に固定する。
【0003】
建物の柱の数が多ければ多いほど建物内の利用可能空間が狭くなるので、柱の数は少ない方が良い。少ない数の柱で建物を支えるためには柱は太くなるので免震装置も巨大なものが必要となり、ベースプレートも大きいものが必要となっている。現在は一片の長さが約3.2mのベースプレートのニーズが大きくなっている。しかし3.2m四方の正方形のプレートを製造工場から建物の施工現場に運搬するためには、プレートがトレーラーの荷台からはみだすので先導車が必要となり運搬コストが非常に高くなるという問題がある。
【0004】
さらに、上記のように金属プレートで全面的に覆われた枠にコンクリートを充填すると金属プレートの下面に気泡が生じるが、この気泡を除くことはできない。金属プレートの気泡に接する部分は耐圧性が弱くなり基礎が破壊する確率が高くなる。気泡の発生程度はコンクリートの充填率で表わされ、気泡が多いほど充填率は低い数字となる。一般社団法人日本免震構造協会が定めるJSSI免震構造施工標準2021(非特許文献1)では充填率の基準は90%以上としているが、95%以上が望ましい。しかし、3.2m四方の金属プレートで覆われた型枠内にコンクリートを95%以上の充填率で充填することは非常に困難である。
【0005】
免震装置用基礎のベースプレート下部のコンクリート等の充填材の充填率を高くする方法がいくつか提案されている。特許文献1に記載の方法は、型枠上に設置したベースプレートの略中央に設けた注入孔からまずコンクリートを注入し、注入したコンクリートの上面がベースプレートの下面より下方約30mm~50mm程度の位置まで来るようにし、その後コンクリートより流動特性の高いセメント等から成る充填材を該コンクリート上面とベースプレートとの間の空間に注入することによりベースプレートと充填剤の間に気泡が生じにくくするというものである。この方法には、基礎を構成するコンクリートと充填材の間に物性や強度の違いがあると考えられ、そのことが基礎としての性能に問題を引き起こすのではないかという懸念がある。
【0006】
特許文献2に記載の方法は、免震基礎形成装置の上面をベースプレートと注入孔を有するコンクリート打設治具と多数の空気抜き孔を有する蓋と2か所の開口部で構成することにより、注入孔からコンクリートを注入する際、注入圧を高くすることを可能とし、高圧によりコンクリートの均等性と充填性を高めようとするものである。本方法による免震基礎装置はベースプレートの大きさより一回り大きくなってしまうという難点がある。また、多数の空気抜き孔を設けているが、依然ベースプレートで覆われている部分の面積の方が空気抜き孔の総面積よりも格段に大きく、ベースプレートに覆われた部分に気泡が生じることを防ぐことは難しいと考えられる。また、底面が3.2m四方の免震装置を設置するためには3.2m四方のベースプレートが必要となることは変わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-127033
【文献】特開2018-178603
【非特許文献】
【0008】
【文献】JSSI免震構造施工標準2021、一般社団法人日本免震構造協会、p91。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明が解決しようとする課題は、3.2m四方の基礎を必要とする免震装置を固定するためのベースプレートであって、製造工場から建物の施工現場まで低コストで運搬することが可能であって、基礎のコンクリートの充填率を容易に95%以上にすることを可能とするベースプレート及びその製造方法、並びに該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は鋭意検討を重ねた結果、ベースプレートの形状を正方形の板状とするのではなく、正方形の枠状の形状、すなわち正方形の環状とし、製造工場では、これを中央で二分したコの字形のものを製作し、二分した両方を施工現場に運搬し、施行現場でこれらを結合することによって、上記の課題が解決することに想到した。
【0011】
すなわち、3.2m四方のものを二分することによって外寸は3.2m×1.6mとなるのでこれを運搬する際に先導車の必要はなくなる。
【0012】
また、ベースプレートの形状を枠状にすることにより、型枠にコンクリートを流し込んだ時ベースプレートに囲まれた中央部分は、コンクリートがむき出しで何にも覆われていないため、コンクリートをその上面がベースプレート表面より少し高くなるまで流し込み、コンクリートが固化した後に上面をベースプレート表面と一平面になるように削ることにより、充填率95%以上を容易に達成することができる。
【0013】
しかしながら、ベースプレートを正方形の板状ではなく上記のように枠状の形状にし、しかも、枠状の形状を二分したコの字形のプレートを製作し、これを施工現場で結合し枠状形状のベースプレートを完成させることは技術上非常に難易度が高い。ベースプレートは完全に平面でなければならず、また免震装置固定用のボルト孔を4隅に複数ずつ設けなければならないが、その位置は免震装置のボルト孔の位置と正確に合致していなければならない。ベースプレートが正方形の板で構成されるのであれば、その板を平面にすること及び、正しい位置にボルト孔を開けることは容易である。しかし、コの字状の金属板を鋼板から切り出す際に、コの字の各辺間の角度を正確に90度にすること及び、全体を歪みなく一平面にすることは非常に困難である。また、免震装置固定用のボルト孔の位置を免震装置のボルト孔の位置と正確に合致させることも非情に困難である。分割した2つのコの字状プレートを結合する際の僅かな位置のずれを防ぐことは困難であるからである。
【0014】
本願発明者は上記のコの字状の金属板を鋼板から切り出したのち、該コの字状金属板をガスバーナー等で加熱しつつ歪みを修正することにより、各辺間の角度を正確に90度に調整し全体を平面にすることができることを見出した。
【0015】
さらに、本願発明者は、上記のコの字状の金属板の一方のみの両角部に免震装置固定用ボルト孔をあけ、もう一方のコの字状金属板と結合した後に、該免震装置固定用ボルト孔を基準にして該もう一方のコの字状金属板の両角部に、免震装置固定用ボルト孔を開けるべき位置を定め、その位置にボルト孔を開けることにより、免震装置のボルト孔の位置と正確に合致する位置に免震装置固定用ボルト孔を開けることを可能とした。
【0016】
しかし、四隅に免震装置固定用ボルト孔を開けて一旦製造工場内で完成したベースプレートを、上記の結合を解離し、2つに分離して建物の施工現場に運搬し、施行現場で再度結合しなければならないが、この施工現場で再度結合する際に、わずかな位置のずれを防ぐことが難しく、位置のずれが生じると、ベースプレートの免震装置固定用ボルト孔の位置と、免震装置のボルト孔の位置が合致しなくなってしまう。本願発明者は、製造工場内で上記の2つのコの字状金属板を結合する際に、2つのコの字状金属板の端同士の結合部において、該端同士を密着させず、調整代として略1mmの間隔を開けて結合し、その後、免震装置固定用ボルト孔を開けていない方のコの字状金属板に、免震装置固定用ボルト孔を開けることによって、この問題を解決した。すなわち、建物の施工現場で2つのコの字状金属板を再度結合する際に、上記の調整代を利用して2つのコの字状金属板の間隔を調節し、免震装置固定用ボルト孔の位置と免震装置のボルト孔の位置を正確に合致させることを可能とした。
【0017】
なお、ここまで本願発明に係るベースプレートの形状を正方形の枠状の形状としてきたが、枠の形状は正方形に限定するものではなく、固定する免震装置の底面の形状に応じて長方形あるいは多角形、円形など、適宜選択すればよく、枠状あるいは環状でありさえすればよい。
【0018】
第1の発明は、免震装置を基礎に固定するためのベースプレートの製造方法であって、該ベースプレートは枠状の形状であり、該枠状の形状を分割した2以上の部分から構成し、一旦完成した該ベースプレートを該2以上の部分に分割して建物の施工現場に運搬し、該2以上の部分を建物の施工現場で結合して該枠状の形状を再構築することにより完成することを特徴とするものである。
【0019】
第2の発明は、第1の発明に係る免震装置を基礎に固定するためのベースプレートを製造する方法であって、枠状の形状を中央で二分割した形状の板を2つ鋼板から切り出し、該2つの板の一方(これを以後、左半面プレートと称し、該他方の板を右半面プレートと称す)の2つの角部に免震装置固定用ボルト孔を開け、該左半面プレートをバーナーで加熱することにより歪曲を修正して全体が一平面になるようにするとともに該左半面プレートの長辺と短辺の角度が直角となるようにし、2つの長方形の板(これを以後結合プレートと称す)を鋼板から切り出し、該2つの結合プレートのそれぞれの長手方向の中央より片方の側に右半面プレートを固定するためのボルト孔をあけ、該左半面プレートの両端に、該結合プレートのボルト孔をあけていない方を溶接し、該右半面プレートをバーナーで加熱して歪曲を修正して全体が一平面になるようにするとともに、該右半面プレートの長辺と短辺の角度が直角となるようにし、該右半面プレートの両端に皿穴を開けテーパー孔加工を行い、該右半面プレートの両端を該左半面プレートの両端に溶接された結合プレートに載せ該左半面プレートと該右半面プレートの端同士が略1mmの間隔が空くように、皿ボルトとナットで結合プレートに固定し、該右半面プレートの2つの角部の免震装置固定用ボルト孔を開ける位置を、左半面プレートに開けた免震装置固定用ボルト孔の位置を基準にして決定し、決定した位置に免震装置固定用ボルト孔を開けることにより製造することを特徴とするものである。
【0020】
第3の発明は免震装置を基礎に固定するためのベースプレートであって、第1又は第2の発明に係る製造方法により製造されることを特徴とするものである。
【0021】
第4の発明は、第3の発明に係るベースプレートをベースプレートとすることを特徴とする免震装置用基礎である。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によって、3.2m四方の基礎を必要とする免震装置を固定するためのベースプレートであって、製造工場から建物の施工現場まで低コストで運搬することが可能であって、該基礎のコンクリートの充填率を容易に95%以上にすることを可能とするベースプレート及びその製造方法並びに該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願の実施例1に係るベースプレートを示す図である。
図2】本願の実施例1に係るベースプレートの左半面プレートの両端に結合プレートを溶接した状態を示す図である。
図3】本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレートの、左半面プレートと結合する前の状態を示す図である。
図4】本願の実施例1に係るベースプレートの左半面プレートと右半面プレートを組み合わせ皿ボルトで固定する直前の状態を示す図である。
図5】本願の実施例1に係るベースプレートの左半面プレートの端部に溶接された結合プレートを示す図である。
図6】本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレートの一端を結合プレートに皿ボルトで固定している状態を示す図である。
図7】本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレートの端部の断面図である。
図8】本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレートの端部の平面図である。
図9】本願の実施例1に係るベースプレートの製造工場において完成した時の左半面プレートと右半面プレートの接合部の断面を示す図である。
図10】本願の実施例1に係るベースプレートを用いた免震装置基礎の完成直前の斜視図である。
図11】本願の実施例1に係るベースプレートを用いた免震装置基礎の完成時の斜視図である。
図12】本願の実施例1に係るベースプレートを用いた免震装置基礎に免震装置を固定した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な変更や修正が可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0025】
図1に本願の実施例1に係るベースプレートを示す。正方形の枠状の形状であるベースプレート1は、コの字形状の左半面プレート2と同じくコの字形状の右半面プレート3、およびこれらを2か所の接合部4において結合する2つの結合プレート5より構成される。ベースプレート1の4隅のそれぞれには免震装置固定用のボルト孔が3つずつ開けられている。
【0026】
図2は本願の実施例1に係るベースプレートの左半面プレート2の両端に結合プレート5を溶接した状態を示す図である。鋼板から切り出された左半面プレート2は両角部に免震装置固定用ボルト孔6を3つずつ開けられた後、バーナーで加熱することにより歪曲を修正され全体が一平面になるようにされるとともに、短辺と長辺の角度が正確に90度になるように調整された後、その両端部に結合プレート5が溶接される。
【0027】
図3は本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレート3を示す図である。鋼板から切り出された右半面プレート3は両端部に結合プレートに結合するための皿穴7が6つずつ開けられた後、バーナーで加熱することにより歪曲を修正され全体が一平面になるようにされるとともに、短辺と長辺の角度が正確に90度になるように調整される。
【0028】
図4は本願の実施例1に係るベースプレートの左半面プレート2と右半面プレート3を組み合わせ皿ボルト8で固定する直前の状態を示す図である。右半面プレート3の両端を左半面プレート2の両端に溶接された結合プレート5に載せ、皿ボルト8とナット11で結合プレート5に固定することにより、左半面プレート2と右半面プレート3を、結合プレート5を介して結合する。次いで右半面プレート3の2つの角部の免震装置固定用ボルト孔を開ける位置を、左半面プレートに開けた免震装置固定用ボルト孔6の位置を基準にして決定し、決定した位置に免震装置固定用ボルト孔を開け、ベースプレート(図1の1)が完成する。
【0029】
ここまでは製造工場内で実施する。一旦製造工場内で完成したベースプレートは、右半面プレートを結合プレートに固定した皿ボルトとナットを外すことにより、左半面プレートと右半面プレートを分離し、これらを分離した状態で建物の施工現場に運搬する。そして施工現場で再度、左半面プレートと右半面プレートを、結合プレートを介して結合する。
【0030】
図5は本願の実施例1に係るベースプレートの左半面プレート2の端部に溶接された結合プレート5を示す図である。2つの長方形の板(これを結合プレートと称す)を鋼板から切り出し、該2つの結合プレートのそれぞれの長手方向の中央より片方の側に右半面プレートを固定するためのボルト孔9を6か所あけ、ボルト孔9をあけていない方を左半面プレート2の両端に溶接する10。
【0031】
図6は本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレート3の一端を、左半面プレート2の一端に溶接された結合プレート5に皿ボルト8とナット11で固定している状態を示す図である。右半面プレート2の端部には皿ボルト8を通すための皿穴7が開けられている。
【0032】
図7は本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレート3の端部の断面図である。右半面プレート2の端部には皿ボルトを通すための皿穴7が開けられている。
【0033】
図8は本願の実施例1に係るベースプレートの右半面プレート3の端部の平面図である。右半面プレート2の端部には皿ボルトを通すための皿穴7が6つ開けられている。
【0034】
図9は本願の実施例1に係るベースプレートの製造工場において完成した時の左半面プレート2と右半面プレート3の接合部の断面を示す図である。結合プレート5の長手方向の中央より左側の半分は左半面プレート2の端部に溶接固定されており10、右側半分は皿ボルト8とナット11で右半面プレート2に固定されている。左半面プレート3の先端と右半面プレートの先端の間は約1mmの間隙12が設けられている。この間隙は、施行現場で左半面プレートと右半面プレートを再結合する際に、免震装置固定用ボルト孔の位置を免震装置のボルト孔の位置と正確に合致させるための調整代となる。
【0035】
図10は本願の実施例1に係るベースプレート1を用いた免震装置用基礎16の完成直前の斜視図である。ベースプレート1は仮説アングル架台13によって支えられている。製造工場において一旦完成したベースプレート(図1の1)は左半面プレートと右半面プレートに分離されて、建物の施工現場に運搬され、施行現場で再度結合される。この際、調整代(図9の12)と、結合プレートと右半面プレートを結合するボルトとボルト孔の間隔を利用して、左半面プレートと右半面プレートの位置関係を調整し、免震装置固定用ボルト孔の位置を免震装置のボルト孔の位置と正確に合致させる。また、免震装置固定用のアンカーボルト18がベースプレートの免震装置固定用ボルト孔を貫通させて設置される。アンカーボルト18には定着板19が取り付けられている。型枠14で囲まれた空間にコンクリート15が充填され固化される。コンクリート15のベースプレート1に囲まれた部分の上面はベースプレート1の上面と同一平面になるように表面加工される。コンクリートが十分固化すれば型枠14が除去され免震装置用基礎16が完成する(図11)。
【0036】
図12は本願の実施例1に係るベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎16に免震装置17を固定した状態の断面図である。免震用装置基礎16は地面20の上に構築されている。免震装置17はアンカーボルト18と定着板19によってベースプレート1及び免震装置用基礎のコンクリートに固定されている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
実施例では正方形の枠状の形状のベースプレートについて、二分割した形状のものを作成しこれを施工現場で結合する例を示したが、より巨大な免震装置用基礎が求められ、より巨大なベースプレートが必要な場合は、枠状の形状を三分割以上に分割し、これを施工現場で結合して巨大なベースプレートを完成することも、本願発明により可能となる。

【符号の説明】
【0038】
1 ベースプレート
2 左半面プレート
3 右半面プレート
4 接合部
5 結合プレート
6 免震装置固定用ボルト孔
7 皿穴
8 皿ボルト
9 ボルト孔
10 溶接固定部
11 ナット
12 左半面プレートの先端と右半面プレートの先端の間の間隙(調整代)
13 仮説アングル架台
14 型枠
15 コンクリート
16 免震装置用基礎
17 免震装置
18 アンカーボルト
19 定着板
20 地面

【要約】
【課題】3.2m四方の基礎を必要とする免震装置を固定するためのベースプレートであって、製造工場から建物の施工現場まで低コストで運搬することが可能であって、基礎のコンクリートの充填率を容易に95%以上にすることを可能とするベースプレート及びその製造方法、並びに該ベースプレートをベースプレートとする免震装置用基礎が提供される。
【解決手段】ベースプレートを枠状の形状とし、該枠状の形状を分割した複数の部分から構成するようにする。該ベースプレートは該複数の部分に分離すること、および再結合することが容易に可能とする。製造工場でいったん完成した該ベースプレートを該複数の部分に分離し、該分離した各部分を建物の施工現場に運搬し、建物の施工現場で結合して該ベースプレートを再構築する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12