(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】ストッパ装置及びこれを備えた製本装置並びにストッパ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B42C 19/08 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B42C19/08
(21)【出願番号】P 2020179032
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福田 繁伸
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-526236(JP,A)
【文献】特開平05-286285(JP,A)
【文献】特開昭63-247217(JP,A)
【文献】特開2017-209795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 2/00-9/06
B42C 1/00-99/00
B65G 47/82
47/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冊子、枚葉紙、樹脂などのフィルムとされた媒体の先端が当接する当接部を有するベルトと、
前記当接部から離間した固定位置で前記ベルトを基台側に固定するベルト固定部と、
前記ベルトが掛け回されるプーリと、
前記当接部を前記先端に当接させた状態で、該当接部を挟んで前記固定位置の反対側に前記プーリが位置する進出位置と、該進出位置から前記固定位置側に向けて前記プーリを移動させる際に前記当接部を該プーリに巻き込んで前記当接部を前記先端から退避させる退避位置との間で、前記プーリを移動させる移動機構と、
を備えているストッパ装置。
【請求項2】
前記媒体は、前記当接部側に付勢されている請求項1に記載のストッパ装置。
【請求項3】
前記プーリに対向して配置された対向プーリを備え、
前記ベルトは、前記プーリと前記対向プーリとの間に掛け回された無端状とされている請求項1又は2に記載のストッパ装置。
【請求項4】
前記プーリ及び前記対向プーリが固定された移動フレームを備え、
前記移動機構は、前記移動フレームを移動させることによって、前記プーリを前記進出位置と前記退避位置との間で往復動させる請求項3に記載のストッパ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載されたストッパ装置を備えている製本装置。
【請求項6】
冊子、枚葉紙、樹脂などのフィルムとされた媒体の先端が当接する当接部を有するベルトと、
前記当接部から離間した固定位置で前記ベルトを基台側に固定するベルト固定部と、
前記ベルトが掛け回されるプーリと、
を備えたストッパ装置の制御方法であって、
前記当接部を前記先端に当接させた状態で前記固定位置の反対側に前記プーリが位置する進出位置と、該進出位置から前記固定位置側に向けて前記プーリを移動させる際に前記当接部を該プーリに巻き込んで前記当接部を前記先端から退避させる退避位置との間で、前記プーリを移動させるストッパ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冊子等の媒体の先端に当接して媒体を一時的に停止させるストッパ装置及びこれを備えた製本装置並びにストッパ装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製本装置には、次工程へ冊子(媒体)などを搬送する前に、冊子を一時的に搬送路上で停止させるストッパ装置が設けられている。例えば、特許文献1に示した製本装置は、傾斜したフラップ板の下端に設けられた背受け板(ストッパ)を備えている。背受け板は、冊子の先端(下端)に当接して保持することによって冊子の下方への移動を一時的に停止させる。冊子を次工程へ送り出すときは、背受け板をフラップ板から退避させて冊子の停止を解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたストッパ装置は、背受け板が冊子の先端に当接した状態で摺動しつつ移動して退避することになるため、冊子の先端が背受け板によって擦られ、傷が生じるおそれがある。また、冊子の厚さが薄い場合や、枚葉紙やフィルムのような薄い媒体を用いる場合、背受け板が退避する際に媒体の先端を背受け板とともに巻き込んでしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、媒体の先端に傷を付けたり媒体の先端を巻き込んだりすることを可及的に防止できるストッパ装置及びこれを備えた製本装置並びにストッパ装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るストッパ装置は、冊子、枚葉紙、樹脂などのフィルムとされた媒体の先端が当接する当接部を有するベルトと、前記当接部から離間した固定位置で前記ベルトを基台側に固定するベルト固定部と、前記ベルトが掛け回されるプーリと、前記当接部を前記先端に当接させた状態で、該当接部を挟んで前記固定位置の反対側に前記プーリが位置する進出位置と、該進出位置から前記固定位置側に向けて前記プーリを移動させる際に前記当接部を該プーリに巻き込んで前記当接部を前記先端から退避させる退避位置との間で、前記プーリを移動させる移動機構と、を備えている。
【0007】
ストッパ装置は、ベルトの当接部に媒体の先端を当接させることによって、媒体を停止させる。
ベルトは、当接部から離間した位置で基台側に対してベルト固定部によって固定されている。
当接部を挟んだ固定位置の反対側である進出位置にベルトが掛け回されたプーリが位置しているときに、媒体の先端がベルトの当接部に当接して停止させられる。そして、移動機構によってプーリが固定位置側の退避位置に移動させられる際に、ベルトの当接部がプーリによって巻き込まれて、媒体の先端からプーリが退避する。これにより、媒体の停止が解除される。
ベルト固定部によってベルトが基台側に固定されているので、ベルトの当接部と固定位置との相対位置は、プーリが進出位置から退避位置に移動する場合であっても、当接部がプーリに巻き込まれるまでは変動しない。したがって、媒体の停止を解除させる際にプーリを進出位置から退避位置に移動させても、ベルトの当接部と媒体の先端との相対位置も変化せず媒体の先端をベルトで変動させることがない。よって、媒体の先端を擦って傷を付けたり、媒体の先端を巻き込んだりすることを抑制できる。
媒体としては、例えば、冊子、枚葉紙、樹脂などのフィルムを挙げることができる。
【0008】
本発明の一態様に係るストッパ装置では、前記媒体は、前記当接部側に付勢されている。
【0009】
媒体が当接部側に付勢されている場合は、特に媒体の先端に傷を付けたり巻き込んだりするおそれがあるので有効である。
例えば、媒体を搬送コンベアによって当接部側に搬送する搬送力が加わっている場合や、媒体が載置された載置面が当接部側に下方に傾いて重力が加わっている場合などに、当接部側に媒体が付勢される。
【0010】
本発明の一態様に係るストッパ装置では、前記プーリに対向して配置された対向プーリを備え、前記ベルトは、前記プーリと前記対向プーリとの間に掛け回された無端状とされている。
【0011】
プーリと対向プーリとの間に掛け回された無端状のベルトを用いることで、簡便な構成でストッパ装置を実現することができる。
【0012】
本発明の一態様に係るストッパ装置では、前記プーリ及び前記対向プーリが固定された移動フレームを備え、前記移動機構は、前記移動フレームを移動させることによって、前記プーリを前記進出位置と前記退避位置との間で往復動させる。
【0013】
移動フレームにプーリと対向プーリを固定して移動フレームを移動機構によって移動させる。これにより、簡便な構成でプーリを進出位置と退避位置との間で往復動させることができる。
【0014】
本発明の一態様に係る製本装置は、上記のいずれかに記載されたストッパ装置を備えている。
【0015】
本発明の一態様に係るストッパ装置の制御方法は、冊子、枚葉紙、樹脂などのフィルムとされた媒体の先端が当接する当接部を有するベルトと、前記当接部から離間した固定位置で前記ベルトを基台側に固定するベルト固定部と、前記ベルトが掛け回されるプーリと、を備えたストッパ装置の制御方法であって、前記当接部を前記先端に当接させた状態で前記固定位置の反対側に前記プーリが位置する進出位置と、該進出位置から前記固定位置側に向けて前記プーリを移動させる際に前記当接部を該プーリに巻き込んで前記当接部を前記先端から退避させる退避位置との間で、前記プーリを移動させる。
【発明の効果】
【0016】
媒体の先端に傷を付けたり媒体の先端を巻き込んだりすることを可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る製本装置の全体構成を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1の製本装置の製本物排出位置におけるクランパと製本物排出ユニットを示した斜視図である。
【
図4】ベルト固定位置を部分拡大して示した斜視図である。
【
図5】第1プーリの降下途中を示した側面図である。
【
図6】第1プーリを降下させた退避位置を示した側面図である。
【
図7】製本物が製本物排出ユニットから排出される状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係るストッパ装置及びこれを備えた製本装置並びにストッパ装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1には、本実施形態に係る製本装置の全体構成が概略的に示されている。
製本装置は、本身Pを起立状態に挟持する1または2以上(本実施形態では4つ)のクランパ2を備えている。各クランパ2は、経路1に沿って移動可能に配置され、一対のクランプ板3a,3bを有している。なお、
図1では、理解の容易ために、クランパ2として一対のクランプ板3a、3bのみを描いてある。
【0020】
クランパ2の経路1は、鉛直面内において互いに間隔をあけて配置されてそれぞれが水平に延在する上側直線状経路部分1aおよび下側直線状経路部分1bと、これら直線状経路部分1a,1bの端同士を接続する弧状経路部分1c,1dとから構成されたループ状をなしている。また、図示はしないが、経路1に沿ってガイドが設けられている。クランパ2は、このガイドに対してスライド可能に取り付けられ、ガイドによって案内されつつ経路1に沿って移動する。クランパ2は、駆動機構(図示せず。)によって、経路1に沿って一方向(
図1では反時計回り)に移動する。
【0021】
下側直線状経路部分1bに沿って、無線綴じ製本処理を行う一連の処理ユニットとして、ミリングユニットB、糊付けユニットCおよび表紙付けユニットDが設けられている。なお、表紙付けユニットDの側方(
図1において右側)には、表紙付けユニットDに表紙gを供給する表紙供給ユニットEが設けられている。
【0022】
下側直線状経路部分1bにおける各ユニットB,C,Dの上流側に、本身Pが経路1に供給される本身供給位置Aが設けられている。本身供給位置Aに対して、本身供給ユニットFからクランパ2に本身Pが供給される。本身供給位置Aに供給された本身Pは、ミリングユニットB、糊付けユニットCおよび表紙付けユニットDを経て無線綴じ製本され、製本物P’となる。そして、製本物P’を挟持したクランパ2は、製本物排出位置H(本身供給位置Aと同じ位置に示す。)で停止する。
【0023】
製本物排出位置Hでは、クランパ2の挟持が解除され、クランパ2から製本物P’が製本物排出ユニット4に落下する。製本物排出ユニット4は、製本物P’を製本装置の外部に設けられた外部コンベアベルト5に向けて排出する。
【0024】
図2には、
図1の製本装置の製本物排出位置Hにおけるクランパ2と製本物排出ユニット4が示されている。製本物排出ユニット4は、製本物排出位置Hの下方に設けられた受け板7を備えている。受け板7は、斜め上方に延在しており、製本物排出位置Hから落下する製本物P’を受けて下方へとスライドさせてガイドする。受け板7の下端は、製本物排出ユニット4の本体9の上端に接続されている。
【0025】
製本物排出ユニット4の本体9は、設置面上に立設する複数の脚部10上に固定された本体フレーム12を備えている。本体フレーム12は、本体9の枠体を構成している。本体フレーム12に対して、製本物P’を搬送するコンベアベルト14が設けられている。コンベアベルト14は、無端状とされており、本体フレーム12の左右両側に設けられた一対のプーリ(図示せず)間に掛け回されている。コンベアベルト14の駆動は、駆動モータ(図示せず)によって制御部(図示せず)の指令に基づいて行われる。
【0026】
コンベアベルト14は、製本物P’を搬送する搬送面14aを備えている。搬送面14aは、鉛直面に対して傾斜して配置されている。これにより、製本物P’は、その自重によって下方へと付勢された状態でコンベアベルト14によって横方向(同図において右から左)に搬送される。
【0027】
製本物P’は、コンベアベルト14によって、
図2において左方のストッパ位置Sへと導かれる。ストッパ位置Sにおいて、ストッパ装置20によって、製本物P’の下方への移動が規制される。
【0028】
<ストッパ装置20の構成>
ストッパ装置20は、製本物排出ユニット4と外部コンベアベルト5との間に位置し、製本物排出ユニット4に取り付けられている。ストッパ装置20は、冊子(媒体)としての製本物P’の移動を一時的に規制し、所定の時間間隔で規制を解除することによって製本物P’を下流側へと送り出す。ストッパ装置20は、制御部の指令によって動作する。
【0029】
図3には、ストッパ装置20の詳細が示されている。ストッパ装置20は、背受けベルト(ベルト)22と、背受けベルト22が掛け回された第1プーリ(プーリ)24及び第2プーリ(対向プーリ)25と、これらプーリ24,25を共に矢印A1方向に往復動させる移動機構27とを備えている。
【0030】
背受けベルト22は、無端状とされた平ベルトである。背受けベルト22の幅(
図3の紙面垂直方向の寸法)は、
図2に示されているように、製本物P’の幅よりも大きく、外部コンベアベルト5の幅と同等となっている。
【0031】
図3に示されているように、第1プーリ24と第2プーリ25は、傾斜したコンベアベルト14が下方へ向かう方向に対して直交する方向に背受けベルト22が延在するように、対向して配置されている。第1プーリ24及び第2プーリ25は、昇降フレーム(移動フレーム)29に対して回転自在に固定されている。昇降フレーム29は、移動機構27によって往復動させられる。
【0032】
移動機構27は、電動の昇降モータ32と、昇降モータ32の回転軸に取り付けられた駆動プーリ34と、駆動ベルト35を介して駆動プーリ34と連結された従動プーリ36とを備えている。従動プーリ36には、ピニオンギア37が一体的に取り付けられている。ピニオンギア37に噛合するラックギア38が昇降フレーム29に固定されている。スライド軸39は、製本物排出ユニット4の本体フレーム(基台)12に固定されており、昇降フレーム29に固定されたスライドブッシュ40に挿通されている。スライドブッシュ40は、昇降フレーム29に固定されている。昇降モータ32、従動プーリ36及びピニオンギア37も本体フレーム12に固定されている。したがって、昇降モータ32によって駆動プーリ34が回転させられると、駆動ベルト35を介して従動プーリ36そしてピニオンギア37が回転し、ラックギア38によって昇降フレーム29がスライドブッシュ40を介してスライド軸39にガイドされて直線状に往復動する。昇降フレーム29の往復動に伴って、両プーリ24,25が、ラックギア38の延在方向すなわち矢印A1方向に往復動する。
【0033】
背受けベルト22は、ベルト固定位置Tにて本体フレーム12に対して固定されている。具体的には、
図4に示すように、本体フレーム12とベルト保持板(ベルト固定部)42との間で背受けベルト22が挟まれて固定されている。ベルト保持板42は、幅方向に延在する横長の棒状とされており、その両端のそれぞれが固定ネジ44によって本体フレーム12に対して固定されている。したがって、ベルト保持板42によって固定された位置がベルト固定位置Tとなる。
【0034】
ストッパ装置20を含む製本装置を制御する制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0035】
<ストッパ装置20の動作>
次に、上述したストッパ装置20の動作について説明する。
図3は、製本物P’をストッパ装置20によって一時的に停止している状態を示している。製本物P’は、その先端が背受けベルト22の当接部Xにて当接して停止させられている。当接部Xはベルト固定位置Tに対して製本物P’側である上方に離間している。
図3に示す第1プーリ24の位置は、製本物P’よりも上方に位置した進出位置PS1となる。
【0036】
そして、制御部の指令によって、昇降モータ32が駆動すると、駆動プーリ34の回転力が駆動ベルト35を介して従動プーリ36へと伝達される。これによりピニオンギア37が回転させられて、ピニオンギア37に噛合するラックギア38によって昇降フレーム29がスライドブッシュ40を介してスライド軸39にガイドされて矢印A1で示す下方向に移動させられる。この下方向への移動に伴い、昇降フレーム29、第1プーリ24及び第2プーリ25が下方向へ移動する。そうすると、
図5に示すように、第1プーリ24が製本物P’の先端(下端)に対応する位置まで降下する。第1プーリ24の降下に伴い、背受けベルト22はベルト固定位置Tにて本体フレーム12に対して固定されているので、第1プーリ24に掛け回された背受けベルト22の上方部分が第1プーリ24に巻き込まれて第1プーリ24の背面側(本体フレーム12に対して反対側)へと移動する。ただし、
図5の状態では、依然として背受けベルト22の当接部Xは製本物P’の先端に当接しており、製本物P’の移動を規制している。
【0037】
さらに昇降モータ32の動作が継続して、
図5の状態から第1プーリ24が降下すると、
図6に示す状態となる。
図6に示す状態では、第1プーリ24が製本物P’よりも下方に位置した退避位置PS2となる。このとき、背受けベルト22の当接部Xは、第1プーリ24に巻き込まれて第1プーリ24の背面側へと移動している。
【0038】
図6のように第1プーリ24が製本物P’の先端の前方から退避すると、
図7に示すように、製本物P’の自重によってコンベアベルト14上を製本物P’が下方へとスライドし、外部コンベアベルト5へ受け渡される。
【0039】
製本物P’の移動を規制する場合は、上記と逆の動作が行われる。すなわち、制御部の指令によって昇降モータ32が上記とは逆に駆動プーリ34を回転させて、第1プーリ24が矢印A1方向に沿う上方向に変位させられ、退避位置PS2から進出位置PS1へと移動する。
【0040】
上述した本実施形態に係るストッパ装置20及びこれを備えた製本装置並びにストッパ装置20の制御方法によれば、以下の作用効果を奏する。
背受けベルト22の当接部Xから離間したベルト固定位置Tでベルト保持板42によって本体フレーム12に対して固定した。
図3のように、当接部Xを挟んだベルト固定位置Tの反対側である進出位置PS1に第1プーリ24が位置しているときに、製本物P’の先端が背受けベルト22の当接部Xに当接して停止させられる。そして、移動機構27によって第1プーリ24がベルト固定位置T側の退避位置PS2に移動させられる際に、背受けベルト22の当接部Xが第1プーリ24によって巻き込まれて、製本物P’の先端から第1プーリ24が下方の退避位置PS2まで退避する(
図6参照)。これにより、製本物P’の停止が解除される。
【0041】
ベルト保持板42によって背受けベルト22が本体フレーム12側に固定されているので、背受けベルト22の当接部Xとベルト固定位置Tとの相対位置は、第1プーリ24が進出位置PS1から退避位置PS2に移動する場合であっても、当接部Xが第1プーリ24に巻き込まれるまでは変動しない。したがって、製本物P’の停止を解除させる際に第1プーリ24を進出位置PS1から退避位置PS2に移動させても、背受けベルト22の当接部Xと製本物P’の先端との相対位置が変化しないので、製本物P’の先端に対して背受けベルト22が摺動することがない。よって、背受けベルト22が製本物P’の先端を擦って傷を付けたり、製本物P’の先端を巻き込んだりすることを抑制できる。
【0042】
本実施形態のように製本物P’が当接部X側に付勢されている場合は、製本物P’の先端に傷を付けたり巻き込んだりするおそれがあるので有効である。
【0043】
第1プーリ24と第2プーリ25との間に掛け回された無端状の背受けベルト22を用いることとしたので、簡便な構成でストッパ装置20を実現することができる。
【0044】
昇降フレーム29に第1プーリ24と第2プーリ25を固定して昇降フレーム29を移動機構27によって移動させることとした。これにより、簡便な構成で第1プーリ24を進出位置PS1と退避位置PS2との間で往復動させることができる。
【0045】
[変形例]
本実施形態は、以下のように変形することができる。
本実施形態は背受けベルト22として無端ベルトを用いることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
例えば、
図8に示すように、端部を有する背受けベルト22の一端をベルト固定位置Tで固定するとともに、背受けベルト22の他端22aをバネ50によって固定し、背受けベルト22に張力を付与するようにしても良い。したがって、本変形例では上記実施形態の第2プーリ25が省略されている。
【0047】
バネ50の基端部50aは、図示しないが、本体フレーム12に固定されている。バネ50としては、伸縮長に関わらず張力が一定とされた定荷重バネが好ましく、例えばコンストン(登録商標)バネを用いることができる。
【0048】
図8は、第1プーリ24が進出位置PS1に位置して製本物P’の移動を規制している状態を示し、
図3に対応している。
図9は、第1プーリ24が退避位置PS2に位置して製本物P’の移動の規制を解除した状態を示し、
図6に対応している。第1プーリ24を矢印A1方向に往復動させる動作は、上述した実施形態と同様であるので省略する。
【0049】
なお、上述した実施形態及び変形例では、ストッパ装置20によって移動を規制する対象を製本物P’としたが、他の媒体、例えば、枚葉紙や樹脂などのフィルム等であっても良い。
【0050】
また、上述した実施形態及び変形例では、製本物P’の自重によってストッパ装置20の背受けベルト22に対して製本物P’が付勢されるようになっていたが、製本物P’等の媒体に負荷される付勢力はこれに限定されるものではなく、コンベアベルトやローラ等の外力によって媒体に付勢力を与える構成に対しても本発明を適用することができる。
【0051】
また、上述した実施形態及び変形例では、ストッパ装置20が製本物排出ユニット4に設けられた構成を前提として説明したが、ストッパ装置20が取り付けられる対象は製本物排出ユニット4に限定されるものではなく、コンベアやローラ等によって媒体を搬送する搬送装置に対して広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 経路
1a 上側直線状経路部分
1b 下側直線状経路部分
1c,1d 弧状経路部分
2 クランパ
3a,3b クランプ板
4 製本物排出ユニット
5 外部コンベアベルト
7 受け板
9 本体
10 脚部
12 本体フレーム(基台)
14 コンベアベルト
14a 搬送面
20 ストッパ装置
22 背受けベルト(ベルト)
22a 他端
24 第1プーリ(プーリ)
25 第2プーリ(対向プーリ)
27 移動機構
29 昇降フレーム(移動フレーム)
32 昇降モータ
34 駆動プーリ
35 駆動ベルト
36 従動プーリ
37 ピニオンギア
38 ラックギア
39 スライド軸
40 スライドブッシュ
42 ベルト保持板(ベルト固定部)
44 固定ネジ
50 バネ
50a 基端部
A 本身供給位置
B ミリングユニット
C 糊付けユニット
D 表紙付けユニット
E 表紙供給ユニット
F 本身供給ユニット
g 表紙
H 製本物排出位置
P 本身
P’ 製本物
S ストッパ位置
T ベルト固定位置
X 当接部
PS1 進出位置
PS2 退避位置