(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】中継用ドレン装置
(51)【国際特許分類】
E04D 13/04 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
E04D13/04 J
(21)【出願番号】P 2020206279
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健治
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3230958(JP,U)
【文献】特開2007-092296(JP,A)
【文献】特開2019-120117(JP,A)
【文献】特開平07-127195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04、13/068、13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に突成された排水管部を床に挿通させて、該床に付設されるドレン受皿と、該ドレン受皿上に配設されるストレーナとを備える中継用ドレンを、各階の床に夫々配設すると共に、縦樋管を、上端を上階のドレン受皿の排水管部に嵌装させ且つ下端を下階のドレン受皿上に臨ませて各階の中継用ドレン間に差し渡す中継用ドレン装置において、
前記ストレーナの上部開口の口縁に乗載される円環状の鍔部と、
前記縦樋管の下端部に外嵌されて固定されると共に、前記鍔部がストレーナの上部開口の口縁に乗載された状態で、該ストレーナの上方に配設される嵌合筒部と
を備え、左右に分割形成されて、前記縦樋管の下端部を左右両側から挟んで組み付けられる筒状介装体と、
前記ストレーナの上部開口の口縁に乗載された鍔部に係止されるフック部と、
該フック部から下方へ延成され、螺子により該ストレーナに締結される固定片部と
を備え、該螺子の締結により、前記筒状介装体が排水管部の直上に位置決めされて、該筒状介装体とストレーナとを係合させる係合部材と
を備えてなるものであることを特徴とする中継用ドレン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各階の床に付設される中継用ドレン間に、縦樋管を差し渡して配設させる中継用ドレン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多階層住宅などの建物に設置される中継用ドレン装置は、
図11に示すように、各階のバルコニーやベランダの床Fに挿通される排水管部cが下方に突成されたドレン受皿b上に、外周に通水孔dを多数形成したストレーナeを乗載してなる中継用ドレンaを、各階の床Fに上下で一致する位置に配設すると共に、縦樋管fを、上端を上階の排水管部cに嵌装し且つ下端を下階のドレン受皿b上に臨ませて各階の中継用ドレン間に差し渡す構成である。そして、各階において床F上の雨水をストレーナeから当該階のドレン受皿b内に流入させて排水管部cを介して縦樋管fへ排水させると共に、上階の中継用ドレンaから縦樋管fを通って流下する雨水を下階の中継用ドレンaを介して、次の縦樋管fへ排水させる。
【0003】
こうした中継用ドレン装置として、例えば特許文献1の構成が提案されている。かかる従来構成は、縦樋管fの下端部がストレーナe内に挿入された状態で、該ストレーナeに形成された螺子孔gに螺子hを螺合して、該螺子hの先端を縦樋管fの下端部に当接させることにより、縦樋管fとストレーナeとを連結するものである。このように縦樋管fとストレーナeとを連結させることにより、縦樋管fの下端開口を、排水管部cの直上で上下方向に一致させて位置決めできることから、縦樋管fを流下した雨水を排水管部cへスムーズに流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した中継用ドレン装置は、屋外に配設されることから、長年の使用によりストレーナに腐食や破損が生ずる場合がある。そして、このように長年の使用により前記腐食や破損等を生じた場合には、ストレーナの交換を含む改修を行うことが必要となる。しかし、従来構成は、こうした腐食や破損等による改修に適したものとなっていなかった。
すなわち、前述した特許文献1の従来構成では、縦樋管fが、その下端部をストレーナe内に挿入した状態で上下階の中継用ドレンa間に差し渡されていることから、前記したストレーナeを交換する改修時に、該ストレーナeのみを取り外すことが難しく、該ストレーナeを取り外す作業に手間がかかる。そのため、この改修時には、古いストレーナeを取り外すために、該縦樋管fの下端部を切断することが必要となっていた。しかしながら、このように縦樋管fの下端部を切断すると、該縦樋管fが短くなるため、同じ形態のストレーナeを取り付けることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、前述した従来構成の問題を解決し得るものであって、長年の使用によりストレーナに腐食や破損等が生じた場合に比較的容易に改修し得る中継用ドレン装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下方に突成された排水管部を床に挿通させて、該床に付設されるドレン受皿と、該ドレン受皿上に配設されるストレーナとを備える中継用ドレンを、各階の床に夫々配設すると共に、縦樋管を、上端を上階のドレン受皿の排水管部に嵌装させ且つ下端を下階のドレン受皿上に臨ませて各階の中継用ドレン間に差し渡す中継用ドレン装置において、 前記ストレーナの上部開口の口縁に乗載される円環状の鍔部と、前記縦樋管の下端部に外嵌されて固定されると共に、前記鍔部がストレーナの上部開口の口縁に乗載された状態で、該ストレーナの上方に配設される嵌合筒部とを備え、左右に分割形成されて、前記縦樋管の下端部を左右両側から挟んで組み付けられる筒状介装体と、前記ストレーナの上部開口の口縁に乗載された鍔部に係止されるフック部と、該フック部から下方へ延成され、螺子により該ストレーナに締結される固定片部とを備え、該螺子の締結により、前記筒状介装体が排水管部の直上に位置決めされて、該筒状介装体とストレーナとを係合させる係合部材とを備えてなるものであることを特徴とする中継用ドレン装置である。
【0008】
ここで、本発明の筒状介装体は、鍔部がストレーナの上部開口の口縁に乗載された状態で、該ストレーナの内部に挿入される挿入筒部を備えた構成とすることもできる。この構成は、鍔部がストレーナの上部開口の口縁に乗載された状態で、前記挿入筒部の下端が排水管部の直上に位置決めされるものが好適である。
【0009】
かかる構成にあっては、縦樋管の下端部に固定された筒状介装体とストレーナとを係合部材により係合したものであることから、該係合部材の係合と係合解除とを行うことによってストレーナの取り付けと取り外しとを行うことができ、該ストレーナ(および/または筒状介装体)の交換を含む改修作業を比較的容易に行うことができる。さらに、このようにストレーナおよび筒状介装体の取り付けと取り外しとを容易に行うことができることによって、メンテナンス作業も比較的容易に行うことができるから、該メンテナンス作業に要するコストと時間とを軽減できる。そして、メンテナンス作業を行い易くなることから、定期的なメンテナスによって所望の機能を維持できる期間が増え、総じて耐久性の向上につながるという優れた利点が生ずる。
【0010】
また、本発明の構成にあっては、ストレーナ、筒状介装体、および係合部材を用いて、前述した従来構成の改修作業を行うことが可能である。すなわち、本構成のストレーナ、筒状介装体、および係合部材は、建物の各階のバルコニーやベランダの床に設置された中継用ドレンの改修装置(以下、ドレン改修装置)として適用できる。
詳述すると、従来構成は、前述したように、ストレーナを取り外す作業に手間がかかることから、該ストレーナの直上部位で縦樋管の下端部を切断して、該ストレーナを取り除く。その後、本構成の筒状介装体の嵌合筒部を、切断後の縦樋管の下端部に外嵌して固定すると共に、当該筒状介装体の鍔部を、本構成のストレーナの上部開口の口縁に乗載させて、該口縁と鍔部とを係合部材により係合させる。これにより、新たに取り付けたストレーナが、筒状介装体を介して縦樋管の下端部に装着された状態で、ドレン受皿上に配設される。このように本構成の前記ドレン改修装置によれば、前述した従来構成のストレーナを改修する作業を容易かつ効率的に行うことが可能であり、該改修作業の作業効率を著しく向上することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の中継用ドレン装置は、前述したように、ストレーナ(および/または筒状介装体)の交換を含む改修作業やメンテナンス作業を比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明にかかる中継用ドレン装置1の施工状態を示す縦断面図である。
【
図2】中継用ドレン装置1を構成する筒状介装体21とストレーナ6とが連結された状態を示す正面図である。
【
図3】筒状介装体21とストレーナ6とが連結された状態を示す平面図である。
【
図4】筒状介装体21を左右に分割した状態の、(A)平面図と、(B)側面図である。
【
図5】筒状介装体21とストレーナ6とを分離した状態を示す斜視図である。
【
図6】(A)係合部材41を一方から見た斜視図と、(B)他方から見た斜視図である。
【
図7】筒状介装体21とストレーナ6との施工工程を示す説明
図1である。
【
図9】筒状介装体21とストレーナ6とによる改修作業の作業工程を示す説明
図1である。
【
図11】従来構成の中継用ドレン装置の施工状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
図1に示すように、多階層住宅などの建物の各階のバルコニー等の床Fには、下方に排水管部4が連成されたドレン受皿3が、該排水管部4を床Fに挿通させた状態で各床F毎に上下で一致する位置に付設されている。このドレン受皿3上には、截頭円錐筒状のストレーナ6が乗載されている。そして、ストレーナ6は、
図2,6に示すように、上下方向に開口されると共に、側周面に複数の矩形状通水孔11が周方向に並んで開口形成されており、下部開口14(
図8参照)の口縁に、ドレン受皿3の上面に乗載される円環状の下端鍔縁部12を備えてなる。こうしたドレン受皿3とストレーナ6とにより、中継用ドレン2が構成されている。
【0014】
前記上下階の中継用ドレン2には、長尺円筒状の縦樋管9が垂直に差し渡されている。
図1に示すように、縦樋管9は、その上端部9aが上階のドレン受皿3の排水管部4に嵌装され、下端部9bが筒状介装体21を介して下階のストレーナ6に連結されている。ここで、縦樋管9は、その下端部9bが前記ストレーナ6内に嵌挿されることなく、該ストレーナ6の上端との間に適宜の隙間が生ずる長さに設定されている。また、筒状介装体21とストレーナ6とは、
図2に示すように、後述する係合部材41によって一体的に連結される。
【0015】
前記した筒状介装体21は、
図1に示すように、略円筒状を成し、前記縦樋管9の下端部9bに外嵌される嵌合筒部22と、該筒状介装体21の外周面の下端に周設けられた円環状の鍔部24とを備えたものであり、中心軸線に沿って左右に分割形成された分割筒体21a,21aにより構成されてなる(
図4参照)。
【0016】
筒状介装体21は、前記嵌合筒部22が縦樋管9の下端部9bに外嵌されて該縦樋管9の軸線方向に沿って取り付けられると共に、前記鍔部24がストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載されるものである。ここで、筒状介装体21は、下方開口する導出口26がストレーナ6の上部開口15の開口径よりも径小に形成されており、該導出口26がストレーナ6の上部開口15と略同心状となるように、鍔部24が該上部開口15の口縁部16に乗載される。これにより、筒状介装体21は、ストレーナ6に乗載された状態で、導出口26と該ストレーナ6の上部開口15とが連通する。このように鍔部24がストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載されることによって、筒状介装体21の高さ位置が決まる。そして、縦樋管9の下端と連通する筒状介装体21の導出口26は、鍔部24がストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載された状態で、前記ドレン受皿3の内底面から所定間隙をおいた高さ位置となる。
【0017】
こうした筒状介装体21は、
図4に示すように、中心軸線に沿って左右に二分割した分割筒体21a,21aにより構成されている。各分割筒体21a,21aには、嵌合筒部22を構成する部位における分割面の外側に、組付用ボルト29の挿通孔28を備えた一対のフランジ部27,27が外方に突設されている。さらに、各分割筒体21a,21aの分割面には、該分割筒体21a,21aを突き合わせた状態で互いに嵌合される凸条と溝とが上下方向に沿って形成されている(図示せず)。この凸条と溝との相互嵌合により、両分割筒体21a,21aを位置ずれが生ずること無く突き合わせることができる。左右の分割筒体21a,21aを突き合わせた状態における嵌合筒部22の内径は前記縦樋管9の外径に略一致するように設定されており、これによって、嵌合筒部22を縦樋管9の下端部9bに対して略密嵌状に外嵌できるようになっている。こうした左右の分割筒体21a,21aは、夫々の分割面を突き合わせて、左右で対向するフランジ部27,27の各挿通孔28,28に組付用ボルト29を挿通し、該組付用ボルト29に螺合されるナットの緊締作用を介して一体的に組み付けられる。このように左右の分割筒体21a,21aを組み付けることにより、前記した筒状介装体21が形成される。ここで、組み付ける際に、分割面に予め接着剤を塗布してもよく、このように分割面に接着剤を塗布して対向する両分割面を接着すれば、左右の分割筒体21a,21aを一層強固に一体化させることができる。
【0018】
尚、筒状介装体21は、硬質合成樹脂製またはアルミダイカスト製である。ここで、筒状介装体21を硬質合成樹脂製とする場合には、強度、耐候性、および耐久性に優れたポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂などが適用できる。環境問題の観点から前記ポリプロピレン樹脂製とすることが好適である。
【0019】
また、筒状介装体21とストレーナ6とは、前記した係合部材41により係合される。この係合部材41は、
図6に示すように、金属製の矩形状平板を折り曲げた略L形状に形成されてなり、前記筒状介装体21の鍔部24の上面に係止されるフック部42と、該フック部42の一側縁から下方へ延成された固定片部43とにより構成される。この固定片部43には、取付螺子47を挿通するための長孔44が開口形成されており、前記ストレーナ6の側面部には、該長孔44を挿通した取付螺子47が螺合される螺子孔48が設けられている(
図5参照)。係合部材41は、そのフック部42を、ストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載された筒状介装体21の鍔部24に掛けた状態で、固定片部43の長孔44に挿通した前記取付螺子47を該ストレーナ6の螺子孔48に螺合させることにより、該取付螺子47の緊締作用を介して前記フック部42を前記鍔部24に係止させる。こうした係合部材41を、ストレーナ6の周方向に複数配設することによって、該ストレーナ6と筒状介装体21とを係合して一体的に連結できる(
図1,2参照)。ここで、本実施例にあっては、
図3に示すように、三個の係合部材41を、鍔部24の周方向で略均等間隔をおいた三カ所に設ける。そのため、ストレーナ6には、その外周面の上部に、周方向で略均等をおいて三個の前記螺子孔48が形成されている。尚、取付螺子47が、本発明にかかる螺子である。
【0020】
本実施例にあって、前述した中継用ドレン2と、筒状介装体21と、係合部材41とにより、中継用ドレン装置1が構成されている。かかる中継用ドレン装置1は、筒状介装体21を縦樋管9の下端部9bに外嵌固定し、且つ当該筒状介装体21とストレーナ6とを係合部材41により一体的に連結させることにより、該縦樋管9を上下階の中継用ドレン2間に差し渡して配設させるものである。そして、この中継用ドレン2間に差し渡された縦樋管9は、その下端の開口部が、筒状介装体21の導出口26を介して排水管部4に臨むように配設される。
【0021】
次に、前記したストレーナ6と筒状介装体21との施工態様について説明する。
図7に示すように、ドレン受皿3が、排水管部4を床Fに挿通させた状態で各床Fに上下で一致する位置に配設されている状態において、垂直にした縦樋管9の上端部9aが上階のドレン受皿3の排水管部4の下部に嵌装される。これにより、縦樋管9の下端が、下階の排水管部4の上方で該排水管部4を臨む位置に配される。このように縦樋管9を垂直方向に沿って配設された状態で、
図8に示すように、下階のドレン受皿3に、その排水管部4を覆うようにして前記ストレーナ6を乗載させ、該ストレーナ6を、下階のドレン受皿3と縦樋管9の下端との間に配する。ここで、縦樋管9の下端とストレーナ6の上端(上部開口15の口縁部16)との間には、筒状介装体21の嵌合筒部22を該縦樋管9の下端部9aに外嵌させ且つ鍔部24をストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載させ得る適宜の間隙が形成される。この状態で、分割筒体21a,21aの分割面を縦樋管9の下端部9bの左右両側から突き合わせて、該分割筒体21a,21aの嵌合筒部22により縦樋管9の下端部9bを左右両側から挟むと共に、該分割筒体21a,21aの鍔部24をストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載させる(
図1参照)。ここで、筒状介装体21は、左右の分割筒体21a,21aに分割されていることから、ストレーナ6をドレン受皿3に乗載させた状態で、左右両側から縦樋管9の下端部9bを挟むことによって、該下端部9bに外嵌し且つストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載することができる。この後に、左右の分割筒体21a,21aを、前記組付用ボルト29によって一体的に組み付ける。これにより、筒状介装体21の嵌合筒部22が、ストレーナ6の上方で縦樋管9の下端部9bに略密嵌状に外嵌されて該縦樋管9の下端部9bに固定されると共に、縦樋管9の下端の開口部が筒状介装体21の導出口26を介して排水管部4に臨む直上位置に配置されて、当該筒状介装体21の鍔部24が当該ストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載される。
【0022】
このように嵌合筒部22が縦樋管9の下端部9bに固定され且つ鍔部24がストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載された状態で、
図1に示すように、前記した係合部材41によって、当該ストレーナ6と筒状介装体21とを係合させる。すなわち、係合部材41のフック部42を筒状介装体21の鍔部24の上面に掛けた状態で、該係合部材41の固定片部43を取付螺子47によりストレーナ6に締結させ、該取付螺子47の緊締作用を介して該係合部材41によりストレーナ6を筒状介装体21に一体的に連結させる(
図1参照)。これにより、ストレーナ6が、筒状介装体21を介して縦樋管9に固定され、該ストレーナ6と縦樋管9との施工が完了する。尚、本構成にあっては、ストレーナ6が、ドレン受皿3の上面に乗載されるのみで、該ドレン受皿3に固定されない。
【0023】
かかる施工状態にあっては、上下で一致する位置に配設されたドレン受皿3の間に垂直状態で差し渡された縦樋管9の下端部9bに、下階のドレン受皿3に載置されたストレーナ6が筒状介装体21を介して連結されていることから、
図1に示すように、該縦樋管9の下端開口と略同心状に配設された該筒状介装体21の導出口26が、下階の排水管部4を臨む直上位置に所定間隙をおいて配置される。これにより、上階から縦樋管9を流下する雨水を、筒状介装体21を介して排水管部4へ流すことができると共に、床F上からストレーナ6の矩形状通水孔11を介して該ストレーナ6内に流入する雨水を、排水管部4へ円滑に排水させることができる。
【0024】
一方、本構成の前記ストレーナ6と筒状介装体21とは、ストレーナの交換を含む中継用ドレン2の改修作業に適用できる。すなわち、ストレーナ6、筒状介装体21、および係合部材41によって、中継用ドレン2のドレン改修装置が構成される。
【0025】
このドレン改修装置により前述した従来構成のストレーナを交換する改修作業について、以下に説明する。ここで、従来構成は、
図9(A)に示すように、ストレーナe内に縦樋管9の下端部9bが挿入された状態で、螺子hにより該ストレーナeと縦樋管9とが連結されている。そして、ストレーナeは、螺子jによりドレン受皿3に固定されている。
【0026】
かかる従来構成の改修作業では、
図9(A)に示すように、従来構成のストレーナeが連結された縦樋管9を、当該ストレーナの上端よりも上方位置で切断すると共に、該ストレーナeとドレン受皿3とを固定する螺子jを解除する。そして、このストレーナeを取り除く。このストレーナeを取り除いた状態で、前記縦樋管9は、
図9(B)に示すように、上端部9aが上階のドレン受皿3の排水管部4に嵌装され且つ下端が下階のドレン受皿3を臨む上方位置にある垂直状態で保たれる。この状態で、
図10(A)に示すように、ドレン受皿3に本構成のストレーナ6を乗載させ、該ストレーナ6を、該ドレン受皿3と縦樋管9の下端との間に配する。ここで、本構成のストレーナ6は、ドレン受皿3と螺号するための螺子孔を有せず、該ドレン受皿3に固定されないものである。そのため、ストレーナ6は、従来構成のストレーナeと異なるサイズや形態であっても、ドレン受皿3に乗載して配置できると共に、前記螺子jを螺号するドレン受皿3の螺子孔に腐食などの不具合があった場合でも、該ドレン受皿3に適正に乗載して配置できる。
【0027】
このようにドレン受皿3にストレーナ6を乗載した後に、前記分割筒体21a,21aの分割面を縦樋管9の下端部9bの左右両側から突き合わせて、該分割筒体21a,21aを前記組付用ボルト29によって一体的に組み付ける。これにより、筒状介装体21が縦樋管9の下端部9aに外嵌固定される。また、筒状介装体21の鍔部24を、該筒状介装体21の導出口26がストレーナ6の上部開口15と略同心状となるように、該ストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載させる。この後、
図10(B)に示すように、当該ストレーナ6の上部開口15の口縁部16に乗載された筒状介装体21の鍔部24を、前記係合部材41により当該ストレーナ6と連結させることにより、該ストレーナ6を、筒状介装体21を介して縦樋管9の下端部9bに固定させる。このようにして前記中継用ドレンの改修を行うことができる。
【0028】
ここで、一般的な中継用ドレン装置は、元々の施工状態で、上下方向に一致する位置に配設されたドレン受皿3間に縦樋管9が垂直状態で差し渡されたものである。このように施工された中継用ドレンに前述の改修作業を行うことにより、前記垂直状態の縦樋管9の下端部9bに、ドレン受皿3に乗載されたストレーナ6が筒状介装体21を介して一体的に連結されて、該縦樋管9の下端開口と略同心状に配設された該筒状介装体21の導出口26が、下階の排水管部4を臨む直上位置に所定間隙をおいて配置された構造とできる。こうした改修後の構成は、縦樋管9を流下する雨水を排水管部4へ流すことができると共に、床F上からストレーナ6内に流入する雨水を排水管部4へ円滑に排水させることができる。すなわち、本構成の前記ドレン改修装置(ストレーナ6、筒状介装体21、および係合部材41)により改修された構成は、本発明にかかる中継用ドレン装置1と実質的に同じである。
このように本構成のストレーナ6、筒状介装体21、および係合部材41を備えた前記ドレン改修装置によれば、建物に長年配設された中継用ドレン装置の改修を比較的容易かつ適正に行うことができ、本実施例と同様の作用効果を奏し得る中継用ドレン装置を得ることができる。また、かかるドレン改修装置による改修は、ストレーナ6を乗載可能とするドレン受皿を備えたものであれば、様々な構造の中継用ドレン装置の改修に適用可能である。すなわち、施工時から経過した長い期間中にモデルチェンジしたもの、元々形状が異なるもの等に対しても、縦樋管9の切断位置やストレーナ6の乗載部位の形状などを調整することによって前記改修を行うことができる。このようにストレーナ6、筒状介装体21、および係合部材41を備えたドレン改修装置は、中継用ドレンの改修用として、極めて高い汎用性を有する。
【0029】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、実施例では、ストレーナ6の周方向に三個の係合部材41を配設する構成としたが、これに限らず、係合部材41の配設個数を適宜変更することが可能である。
また、実施例では、筒状介装体21が嵌合筒部22と鍔部24とから構成されるものとしたが、これに限らず、例えば、筒状介装体がストレーナ6の上部開口15から挿入される挿入筒部を備えた構成であっても良い。かかる筒状介装体としては、嵌合筒部の下端から下方に延成された漏斗状の挿入筒部を備え、該挿入筒部がストレーナの上部開口を介して該ストレーナの内部に挿入されて、鍔部が該ストレーナの上部開口の口縁部に乗載された状態で該挿入筒部が該ストレーナの内部に収容される構成が好適である。ここで、挿入筒部は、その下端が、鍔部をストレーナの上部開口の口縁部に乗載した状態で、排水管部の上端から所定の間隙をおいた直上に位置する構成とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 中継用ドレン装置
2 中継用ドレン
3 ドレン受皿
4 排水管部
6 ストレーナ
9 縦樋管
15 上部開口
21 筒状介装体
22 嵌合筒部
24 鍔部
41 係合部材
42 フック部
43 固定片部
47 取付螺子(螺子)