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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】消しゴムケース
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B43L19/00 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021093081
(22)【出願日】2021-06-02
(65)【公開番号】P2022185408
(43)【公開日】2022-12-14
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】593093423
【氏名又は名称】クツワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】橡尾 洋介
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-176767(JP,U)
【文献】実開平07-031501(JP,U)
【文献】特開2012-192700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力で吸着される粉体を含有する消しゴムを装着するケース本体部と、前記ケース本体部の下方に設けられた消しくず吸着収集部と、を備えた消しゴムケースであって、
前記消しくず吸着収集部は、磁石を内設して消しくずを吸着面に吸着する吸着部と、消しくずを収集する収集キャップと、前記収集キャップを前記吸着部に着脱する動作と連動して前記吸着面の裏面に対して前記磁石を接離自在とする磁石保持部と、
前記吸着部は、前記ケース本体部より下向き凸状に形成され、前記吸着部内に磁石保持部によって上下方向に移動自在に内設された前記磁石と、下方に消しくずを吸着する前記吸着面と、を有し、
前記吸着面は、前記磁石の端面の直下に位置する中央付近を平面状に形成した平坦部と、前記平坦部より正面側及び背面側を上方に傾斜させて形成された傾斜部と、を有することを特徴とする消しゴムケース。
【請求項2】
吸着面は、吸着部に内設された磁石の端面と対向する部分に薄肉部を有することを特徴とする請求項1に記載の消しゴムケース。
【請求項3】
磁石保持部は、磁石を差し込む差込凹部と、前記差込凹部の両側面から左右方向に延設され、吸着部の両側面に配設される操作部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の消しゴムケース。
【請求項4】
操作部は、収集キャップの内側面に形成された被係合部と係合する係合部を有することを特徴とする請求項3に記載の消しゴムケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消しくずの吸着収集機能を備えた消しゴムケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消しゴムの消しくずを吸着して収集することを目的として、プラスチック樹脂やゴム製の消しゴムに鉄粉や磁性粉体を含有させ、磁石によって消しくずを吸着して収集する消しくず収集装置が提案されている。
【0003】
例えば、消しゴムケースと一体に形成された消しくず吸着器や、消しゴム底部に設けられた吸着面から消しくずを落とす収集機能を備えたものが開示されている(特許文献1―3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-142089号公報
【文献】実開昭60-176767号公報
【文献】実公平2-22316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した消しくず吸着器は、消しゴムケースと一体に設けられており、消しくず吸着器内に消しくずを収集するための収納口や引き出しを設けているため、消しゴムケース自体が大型化してしまい、消しゴムとして使用する際に取り回しにくくなるものであった(特に特許文献1の図2図12図13の実施例1、7参照)。また、特許文献2、3の消しカス処理装置は、消しゴムとは別物品として筆入れに収納して持ち運ぶにはスペースを専有してしまい不便であった。
【0006】
したがって、本発明は、筆入れに収納しやすい小型であり、消しくずの吸着及び収集機能を備えた消しゴムケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑み、磁力で吸着される粉体を含有する消しゴムを装着するケース本体部と、前記ケース本体部の下方に設けられた消しくず吸着収集部と、を備えた消しゴムケースであって、
前記消しくず吸着収集部は、磁石を内設して消しくずを吸着面に吸着する吸着部と、消しくずを収集する収集キャップと、前記収集キャップを前記吸着部に着脱する動作と連動して前記吸着面の裏面に対して前記磁石を接離自在とする磁石保持部と、
前記吸着部は、前記ケース本体部より下向き凸状に形成され、前記吸着部内に磁石保持部によって上下方向に移動自在に内設された前記磁石と、下方に消しくずを吸着する前記吸着面と、を有し、
前記吸着面は、前記磁石の端面の直下に位置する中央付近を平面状に形成した平坦部と、前記平坦部より正面側及び背面側を上方に傾斜させて形成された傾斜部と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、上述した構成に加え、吸着面は、吸着部に内設された磁石の端面と対向する部分に薄肉部を有することが好ましい。
【0010】
また、上述した構成に加え、磁石保持部は、磁石を差し込む差込凹部と、前記差込凹部の両側面から左右方向に延設され、吸着部の両側面からに配設される操作部と、を有することが好ましい。
【0011】
また、上述した構成に加え、操作部は、収集キャップの内側面に形成された被係合部と係合する係合部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
したがって、上述した本発明によれば、収集キャップを吸着部に着脱する動作と連動して吸着部の吸着面に消しくずを吸着させるとともに、吸着した消しくずを収集キャップ内に落として収集することができる小型の消しゴムケースを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る消しゴムケースの一例を示す分解斜視図である。
図2】消しゴムケースの収集キャップを取り外して吸着部を露出させた状態を図1とは異なる方向から見た斜視図である。
図3図2の消しゴムケースの磁石保持部を下方に引き下げて磁石を吸着面の裏面に当接させた状態を示す吸着部周辺の(a)A-A線断面図、及び、(b)B-B線断面図である。
図4図2の消しゴムケースの磁石保持部を上方に押し上げて磁石を吸着面の裏面から離れた状態を示す(a)A-A線断面図、及び、(b)B-B線断面図である。
図5図2の消しゴムケースの吸着部の吸着面に消しくずを吸着させた状態を示す(a)A-A線断面図、及び、(b)B-B線断面図である。
図6図2の消しゴムケースの収集キャップを装着して収集キャップ内に消しくずを落とした状態を示す(a)A-A線断面図、及び、(b)B-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の一例について図1-6に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態の消しゴムケースに装着する消しゴム7は、直方体形状のプラスチックやゴム製の消しゴムに鉄粉などの磁力で吸着される粉体を含有させたものである。
【0015】
(実施形態)
本実施形態の消しゴムケースは、図1-4に示すように、磁力で吸着される粉体を含有する消しゴム7を装着するケース本体部1と、ケース本体部1の下方に設けられた消しくず吸着収集部2と、を備えてなり、消しくず吸着収集部2は、磁石3を内設して消しくず71を吸着面41に吸着する吸着部4と、消しくず71を収集する収集キャップ5と、収集キャップ5を吸着部4に着脱する動作と連動して吸着部4の吸着面41の裏面に対して磁石3を接離自在とする磁石保持部6と、を有するものである。
【0016】
ケース本体部1は、消しゴム7を差し込んで嵌合する差込部11と、消しゴム7を被覆する消しゴムキャップ14と、使用者が摘むための摘み部12、12と、を有する。この差込部11は、略方形状の上方に開口し、少なくとも消しゴム7の一端を嵌め込みうる程度の深さを有する。
【0017】
摘み部12、12の表面は、使用者が摘みやすいように凹凸面13を有する。この凹凸面13は、例えば、消しゴムキャップ14をケース本体部1から取り外す際に、使用者が摘みやすい前後方向の摘み部12、12の凹凸面13を複数の窪んだ凹条部とし、左右方向の摘み部12、12の凹凸面13を複数の突出した凸条部として、前後方向の摘み部12、12とは異なる形状にすることで、区別しやすいようにしている。
【0018】
消しゴムキャップ14は、上向き凸状で下方に開口して形成された筒状体であり、開口周囲には、後述するケース本体部1の摘み部12、12と干渉しないように摘み部12、12の外形状に沿って湾曲した凹部15、15を有する。また、消しゴムキャップ14は、消しゴム7の減り具合や消しゴム7側であることを確認しやすいように透過性の素材を主体として形成されることが好適である。
【0019】
吸着部4は、ケース本体部1より下向き凸状に形成され、吸着部4内に磁石保持部6によって上下方向に移動自在に内設された磁石3と、下方に消しくず71を吸着する吸着面41と、を有する。この吸着部4は、正面及び背面側の外側面において収集キャップ5の被係合部52、52と係合しうる突出した係合部45、45と、磁石保持部6の操作部62、62を上下方向に移動自在とするための吸着部4の両側面に設けられた上下方向の溝部46、46と、を有する。
【0020】
磁石3は、前後方向に短く、かつ、上下左右方向に長い縦長の直方体形状であり、磁石3の両端面であるN極及びS極が上下方向に離れて配置することで、より強い吸着力を発揮させることができる。この磁石3は、例えば、永久磁石の一つである磁力の強いネオジム磁石を用いることが好適である。
【0021】
吸着面41は、中央付近で消しくず71を集めやすくするために、磁石3の端面31の直下に位置する中央付近を平面状に形成した平坦部42と、その平坦部42より正面側及び背面側を上方に傾斜させた傾斜部44、44と、を有する。なお、この傾斜部44、44は、丸みを帯びた湾曲面に形成してもよい。
【0022】
また、この吸着面41は、吸着部4に内設された磁石3の端面31と対向する裏面側中央において左右方向に水平の横溝を形成した薄肉部43を有することで、平坦部42の中央近傍において磁石3の磁束密度が大きくなり、吸着面41全体に消しくず71をなるべく吸着させず、平坦部42の中央である薄肉部43に対して消しくず71を局所的に集中して吸着させることが可能である。
【0023】
収集キャップ5は、吸着部4全体を被覆するように一回り大きく吸着部4の吸着面41から所定の距離を保てる程度の深さを備え、下向き凸状でケース本体部1側の上方に開口部51を有する有底の筒状体である。また、この収集キャップ5は、内部に消しくず71が収集されていることを確認しやすくするため、透過性を有する素材を主体として形成されることが好適である。
【0024】
収集キャップ5の開口部51の周縁は、後述する操作部62の凸条部63の突起の下面全体を下方から当接する程度の厚みを有するとともに、開口部51の上縁付近の内側面には、吸着部4の係合部45、45及び操作部62、62の係合部64、64に係合する凹状の被係合部52、52を有する。
【0025】
磁石保持部6は、特に図3、4に示すように、吸着部4内で下方に露出して磁石3を保持するため、磁石3を上下方向の縦長となるように差し込む凹状の差込凹部61と、差込凹部61の両側面から左右方向に延設され、吸着部4の両側面に配設される操作部62と、を有する。
【0026】
操作部62は、吸着部4の両側面における上下方向の溝部46、46に摺接するように配設され、その表面に複数の凸条部63と、収集キャップ5の内側面の被係合部52と係合する下方端部から左右方向の側面に突出した係合部64と、を有する。
【0027】
次に、上述した消しゴムケースによって、収集キャップ5を吸着部4に対して着脱(取り外し又は装着)する動作と連動して、消しくず71を吸着部4の吸着面41に吸着させた後、収集キャップ5内に消しくず71を収集する使用方法について図5、6に基づいて説明する。
【0028】
収集キャップ5は、吸着部4に装着された状態から取り外す際に、収集キャップ5の被係合部52、52と操作部62の係合部64とが係合状態のまま磁石保持部6が下方に向かって引き下げられ、吸着部4内の磁石3が吸着面41の裏面に当接した状態となる。そして、この収集キャップ5は、さらに引き下げられることで、収集キャップ5の被係合部52、52と、操作部62の係合部64との係合状態が解除されて取り外しが完了する。
【0029】
このとき、図5に示すように、収集キャップ5を吸着部4から取り外す動作と連動し、磁石保持部6が下方に移動して、吸着部4内の磁石3が吸着面41の薄肉部43の裏面近傍に当接した状態となる。これによって、吸着面41の薄肉部43下方近傍において、磁石3の磁束密度が最も大きくなって磁力が強まり、吸着面41の平坦部42、特に薄肉部43周辺に対して消しくず71が局所的に集中して吸着する。
【0030】
なお、この収集キャップ5を取り外す際に、収集キャップ5の被係合部52、52と操作部62の係合部64との係合状態が磁石保持部6を引き下げの途中で外れてしまった場合、補助的に、吸着部4の両側面に配設された磁石保持部6の操作部62、62を左右方向から使用者が摘んで下方に引き下げてもよい。
【0031】
また、収集キャップ5は、吸着部4に下方から上方に向かって差し込んで装着する際に、収集キャップ5の開口部51周辺の内側面の被係合部52、52と、吸着部4の係合部45、45及び磁石保持部6の操作部62、62の係合部64、64とが係合したまま、操作部62、62の凸条部63の下面と収集キャップ5の開口部51の周縁とが当接した状態となる。そして、この収集キャップ5は、さらに押し上げられることで、吸着部4の係合部45、45と収集キャップ5の被係合部52、52とが係合することで吸着部4への装着が完了する。
【0032】
このとき、図6に示すように、収集キャップ5を吸着部4に装着する動作と連動し、磁石保持部6が上方へ移動することで吸着部4内の磁石3が吸着面41(特に薄肉部43周辺)の裏面から磁石3の端面31が離れた状態となる。これによって、吸着面41の薄肉部43下方近傍において、磁束密度が小さくなって磁力が弱まり、吸着された消しくず71が収集キャップ5内に落下して収集される。
【0033】
したがって、上述した構成によって、磁石保持部6の操作部62、62を直接操作することなく、収集キャップ5を吸着部4に着脱する動作と連動して吸着部4の吸着面41の裏面に対して磁石3を接離自在とすることで、吸着部4に吸着させるとともに、消しくず71を収集キャップ5内に落として収集することができる小型の消しゴムケースを提供することが可能である。
【0034】
また、この消しゴムケースの吸着部4は、磁束密度の最も大きい磁石3の端面31を吸着面41の薄肉部43近傍に位置させることができ、吸着面41の薄肉部43に集中して消しくず71を効率よく吸着させることが可能である。
【0035】
また、消しくず71が吸着面41の薄肉部43周辺以外に対してあまり吸着されないため、吸着面41に消しくず71が吸着された状態でも、収集キャップ5の差し込みを消しくず71によって阻害されず吸着部4に装着することが可能である。
【0036】
上記の実施形態では本発明の好ましい実施形態を例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で改善や変更が可能である。例えば、消しゴム7が円柱状の消しゴムの場合には、ケース本体部1の差込部11を消しゴムの形状に合わせて円形など、消しゴムの形状に合わせて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…ケース本体部 11…差込部 12…摘み部 13…凹凸面 14…消しゴムキャップ 15…凹部
2…消しくず吸着収集部
3…磁石 31…端面
4…吸着部 41…吸着面 42…平坦部 43…薄肉部 44…傾斜部 45…係合部 46…溝部
5…収集キャップ 51…開口部 52…被係合部
6…磁石保持部 61…差込凹部 62…操作部 63…凸条部 64…係合部
7…消しゴム 71…消しくず
図1
図2
図3
図4
図5
図6