(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】PAC1受容体拮抗薬を用いた鎮痒薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240611BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20240611BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K31/4178
A61P17/04
(21)【出願番号】P 2021501885
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2020005283
(87)【国際公開番号】W WO2020175134
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2019034313
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 崇
(72)【発明者】
【氏名】高▲崎▼ 一朗
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】合田 浩明
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-224775(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065794(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
A61P17/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I):
【化1】
(式中、R
1は
メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基又はアリルオキシ基であり;R
2は水素原子
又はアリルオキシ基である。)
で示される化合物もしくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する鎮痒薬。
【請求項2】
前記式(I)において、R
1が
メトキシ基であり、R
2
が水素原子であり;R
1
がエトキシ基であり、R
2
が水素原子であり;R
1
がトリフルオロメトキシ基であり、R
2
が水素原子であり;R
1
がメトキシ基であり、R
2
がアリルオキシ基であり;又はR
1
がアリルオキシ基であり、R
2
が水素原子である請求項1記載の鎮痒薬。
【請求項3】
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ドライスキン及び/又は乾癬に伴う痒みを治療及び/又は予防するための請求項1又は2記載の鎮痒薬。
【請求項4】
次式(II):
【化2】
(式中、Rはインダゾリル基、
7-クロロインダゾリル基、5-クロロインダゾリル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基、4-シアノフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、3-ヒドロキシベンジル基又は4-ヒドロキシベンジル基である。)
で示される化合物もしくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する鎮痒薬。
【請求項5】
前記式(II)において、Rがインダゾリル基、
7-クロロインダゾリル基又は5-クロロインダゾリル基である請求項4記載の鎮痒薬。
【請求項6】
前記式(II)において、Rが
7-クロロインダゾリル基又は5-クロロインダゾリル基である請求項4記載の鎮痒薬。
【請求項7】
接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ドライスキン及び/又は乾癬に伴う痒みを治療及び/又は予防するための請求項4~
6のいずれか1項に記載の鎮痒薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PAC1受容体拮抗薬を用いた鎮痒薬に関する。
【背景技術】
【0002】
痒みは日常的に経験する皮膚感覚の一つであるが、近年のアレルギー疾患患者の増大、更には先進国においては人口の高齢化が著しいことから、ドライスキンに伴う痒み、腎疾患や肝疾患などの全身疾患に伴う痒み等、様々な掻痒疾患の増加が予想されている。
【0003】
痒み治療の第一選択は抗ヒスタミン薬であるが、アトピー性皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患、腎疾患や肝疾患などの全身疾患に伴う掻痒には奏功しない。アトピー性皮膚炎に伴う掻痒症にはステロイド外用薬、タクロリムス外用薬が用いられるが、ステロイド外用薬には皮膚線条・萎縮、局所免疫能低下に伴う皮膚感染症の増加、タクロリムス外用薬は局所灼熱感をもたらし、また十分な効果が得られない患者が3割ほど存在するとされる。このような患者群には、ステロイドやシクロスポリンの短期経口投与がやむを得ず行われるが、重篤な有害作用が懸念され、長期間使用できるものではない。
【0004】
本年、ステロイド/タクロリムス外用薬による治療が十分に効果を発揮しない重症度の高い患者に新薬(デュピルマブ)が登場した。本薬はヒト型抗ヒトIL-4/IL-13受容体モノクローナル抗体であり、重症度の高い患者でも、約4割に有効であるとされるが、バイオ医薬品であるため高額(患者の自己負担額は数万円/月)である。乾癬に関しても近年バイオ医薬品(ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体)が導入されたが、同様に高額な治療薬となっている。
【0005】
腎不全透析患者や肝不全患者の掻痒症には、κオピオイド受容体作動薬ナルフラフィンが2009年から使用されるようになり、高い奏効率(7割の患者で有効)を示すが、十分な効果が得られない患者が3割ほど存在するとされる。
【0006】
したがって、これらの薬物とは異なる作用機序を持ち、低価格で利用可能な新しい掻痒治療薬の開発が、引き続き望まれている。
【0007】
PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide)は、1989年に、ラット下垂体アデニル酸シクラーゼ活性を指標としてヒツジ視床下部より単離、構造決定された神経ペプチドであり、脊髄PAC1受容体を介して機械的疼痛過敏(mechanical allodynia:機械的アロディニア:触られただけでも痛みを感じる現象)を引き起こす(非特許文献1)が、臨床的(ヒトにおいて)にどのような痛みに関与するのかは明らかではない。
【0008】
動物実験(マウス・ラット)レベルにおいては、PACAPは末梢神経(脊髄神経)障害性疼痛(SNLモデル)に関与することが示唆されている(非特許文献2)が、関与するPACAP受容体(PACAP受容体には、PAC1、VPAC1、VPAC2の少なくとも3種が存在する)に関しては明らかではない。
【0009】
特許文献1には、PACAPが汗分泌促進作用を有し、ドライスキンの予防薬又は治療薬として有用であることが記載されている。
【0010】
非特許文献3には、400万品目以上が登録されている既存の化合物データベースから抽出された化合物PA-8及びPA-9が、その構造とともにPAC1受容体拮抗作用、鎮痛作用を有することが示されているが、鎮痒作用については検討されていない。
【0011】
化合物PA-8は、次式(A):
【化1】
で示される化合物であり、化合物PA-9は次式(B):
【化2】
で示される化合物である。
前記の化合物は、窒素原子を2つ以上含む含窒素複素環構造及びラクタム構造を有する点で共通する。
【0012】
非特許文献4及び5には、次式(C):
【化3】
(式中、Arは置換フェニル基である。)
で示されるピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7-ジオン誘導体及びその合成方法が記載されているが、PAC1受容体拮抗作用、鎮痒作用については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【非特許文献】
【0014】
【文献】Yokai et al. Mol. Pain 2016. 12, 1-13.
【文献】Mabuchi et al., J Neurosci 2004, 24, 7283-7291.
【文献】Takasaki et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 2018, 365, 1-8.
【文献】Shi, D. Q. et al. J. Heterocyclic Chem. 2009, 46, 1331-1334
【文献】Tu, S. et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2006, 16, 3578-3581
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、従来の鎮痒薬とは異なる作用機序をもつ新しい鎮痒薬を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく、PAC1受容体拮抗薬候補化合物から特定の化合物が優れた掻痒効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0017】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)次式(I):
【化4】
(式中、R
1は水素原子、C
1-6-アルキル基、C
1-6-アルコキシ基、C
2-6-アルケニルオキシ基、ハロゲン原子、C
1-6-ハロアルキル基、C
1-6-ハロアルコキシ基、又は置換又は無置換のフェニル基であり;R
2は水素原子、C
1-6-アルキル基、C
1-6-アルコキシ基、C
2-6-アルケニルオキシ基、ハロゲン原子、C
1-6-ハロアルキル基、C
1-6-ハロアルコキシ基、又は置換又は無置換のフェニル基である。)
で示される化合物もしくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する鎮痒薬。
(2)接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ドライスキン及び/又は乾癬に伴う痒みを治療及び/又は予防するための前記(1)に記載の鎮痒薬。
(3)次式(II):
【化5】
(式中、Rはハロゲン原子で置換されたインダゾリル基、置換又は無置換のフェニル基、ピラゾリル基、又は置換又は無置換のアラルキル基である。)
で示される化合物もしくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する鎮痒薬。
(4)前記式(II)において、Rがハロゲン原子で置換されたインダゾリル基である前記(3)に記載の鎮痒薬。
(5)前記式(II)において、Rが塩素原子で置換されたインダゾリル基である前記(3)に記載の鎮痒薬。
(6)接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ドライスキン及び/又は乾癬に伴う痒みを治療及び/又は予防するための前記(3)~(5)のいずれかに記載の鎮痒薬。
【発明の効果】
【0018】
本発明の鎮痒薬は、PAC1受容体拮抗薬を有効成分とするものであり、抗ヒスタミン薬、ステロイド、免疫抑制薬など現行鎮痒薬とは異なる作用機序をもち、またステロイドや免疫抑制薬に見られる有害作用を回避することができる。
【0019】
また、本発明の鎮痒薬は、末梢(皮内)及び中枢(脊髄後角)の双方に作用点を持つため、有効性が高く、多剤併用の必要性を少なくできる可能性があることから、多剤併用に伴う予期しない有害作用の出現を回避することができる。
【0020】
高齢者の8割以上はドライスキンを持ち、その半数は痒みを訴えるとされるため、超高齢化社会の本邦におけるドライスキンに伴う掻痒治療薬の必要度は高い。本発明の鎮痒薬は、ドライスキンに伴う痒みを持つ高齢者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1はセロトニン(5-HT)誘発掻痒モデルマウスを用いた行動実験の評価結果を示す。
【
図2】
図2はドライスキン掻痒モデルマウスを用いた行動実験の手順の概略を示す。
【
図3】
図3はドライスキン掻痒モデルマウスを用いた行動実験の評価結果を示す。
【
図4】
図4はPACAP受容体発現細胞を用いたPA-8及びその誘導体(化合物2j及び化合物2o)の評価を示す。
【
図5】
図5はPACAP受容体発現細胞を用いたPA-9及びその誘導体(化合物3d)の評価を示す。
【
図6】
図6はPACAPの皮内投与が掻痒行動を引き起こすことを示す。
【
図7】
図7はPACAP皮内投与で誘発される掻痒行動がPA-8の同時皮内投与あるいはオピオイド受容体拮抗薬ナルトレキソン(NTX)の皮下前投与により抑制されることを示す。
【
図8】
図8はPACAP皮内投与で誘発される掻痒行動がPA-8あるいは化合物2oの同時皮内投与で用量依存的に抑制されることを示す。
【
図9】
図9はPACAP皮内投与で誘発される掻痒行動がPA-9あるいは化合物3dの同時皮内投与で用量依存的に抑制されることを示す。
【
図10】
図10はクロロキン(Chloroquine)皮内投与で誘発される掻痒行動は、PA-8あるいはPA-9の髄腔内前投与により抑制されるが、同時皮内投与では抑制されないことを示す。
【
図11】
図11はCompound48/80皮内投与で誘発される掻痒行動は、PA-8あるいはPA-9の髄腔内前投与により抑制されるが、同時皮内投与では抑制されないことを示す。
【
図12】
図12はアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた行動実験の手順の概略を示す。
【
図13】
図13はアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた行動実験における各群の掻き時間を評価した結果を示す。
【
図14】
図14は乾癬モデルマウスを用いた行動実験における各群の掻き時間を評価した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
前記式(I)においてR1又はR2で表されるC1-6-アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基(1-メチルプロピル基)、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0024】
前記式(I)においてR1又はR2で表されるC1-6-アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0025】
前記式(I)においてR1又はR2で表されるC2-6-アルケニルオキシ基としては、例えばビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、1-ブテニルオキシ基、2-ブテニルオキシ(クロチルオキシ)基、ペンテニルオキシ基、3-メチル-2-ブテニルオキシ(プレニルオキシ)基、ヘキセニルオキシ基が挙げられる。
【0026】
前記式(I)においてR1又はR2で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0027】
前記式(I)においてR1又はR2で表されるC1-6-ハロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基が挙げられる。
【0028】
前記式(I)においてR1又はR2で表されるC1-6-ハロアルコキシ基としては、例えばトリフルオロメトキシ基が挙げられる。
【0029】
前記式(I)においてR1又はR2で表されるフェニル基は、C1-6-アルキル基、C1-6-アルコキシ基、メチレンジオキシ基、C2-6-アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基(例えばベンジルオキシ基、4-メチルベンジルオキシ基、3-メチルベンジルオキシ基、2-メチルベンジルオキシ基、4-フルオロベンジルオキシ基、3-フルオロベンジルオキシ基、4-クロロベンジルオキシ基、3-クロロベンジルオキシ基)、ハロゲン原子、C1-6-ハロアルキル基、C1-6-ハロアルコキシ基、置換又は無置換のフェニル基、アシル基(例えばホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等のC1-6-脂肪族アシル基;ベンゾイル基、トルオイル基等のアロイル基)、アシルオキシ基(例えばホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等のC1-6-脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、トルオイルオキシ基等のアロイルオキシ基)、水酸基、カルボキシル基、アセトアミド基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基等から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0030】
前記式(I)で示される化合物としては、R1がC1-6-アルコキシ基又はC1-6-ハロアルコキシ基(例えばトリフルオロメトキシ基)である化合物が好ましい。
【0031】
前記式(II)においてRで表されるハロゲン原子で置換されたインダゾリル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれる少なくとも1つのハロゲン原子(好ましくは、塩素原子)で置換されたインダゾリル基であれば特に制限はないが、好ましくは、少なくとも1つの塩素原子で置換された3-インダゾリル基が挙げられる。
【0032】
前記式(II)においてRで表されるアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基が挙げられる。
【0033】
前記式(II)においてRで表されるフェニル基及びアラルキル基は、C1-6-アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基(1-メチルプロピル基)、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、C1-6-アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、メチレンジオキシ基、C2-6-アルケニルオキシ基、アラルキルオキシ基(例えばベンジルオキシ基、4-メチルベンジルオキシ基、3-メチルベンジルオキシ基、2-メチルベンジルオキシ基、4-フルオロベンジルオキシ基、3-フルオロベンジルオキシ基、4-クロロベンジルオキシ基、3-クロロベンジルオキシ基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、C1-6-ハロアルキル基、C1-6-ハロアルコキシ基、置換又は無置換のフェニル基、アシル基(例えばホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基等のC1-6-脂肪族アシル基;ベンゾイル基、トルオイル基等のアロイル基)、アシルオキシ基(例えばホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等のC1-6-脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、トルオイルオキシ基等のアロイルオキシ基)、水酸基、カルボキシル基、アセトアミド基、カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基等から選ばれる1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0034】
前記式(I)又は(II)で示される化合物の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、ピロ硫酸、メタリン酸等の無機酸、又はクエン酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸)等の有機酸との塩が挙げられる。
【0035】
前記式(I)又は(II)で示される化合物又はその塩の溶媒和物としては、例えば水和物が挙げられる。
【0036】
前記式(I)で示される化合物は、例えば、Shi, D. Q. et al. J. Heterocyclic Chem. 2009, 46, 1331-1334、又はTu, S. et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2006, 16, 3578-3581に記載の方法に従い、以下に示すようにして製造することができる。
【0037】
【化6】
(式中、R
1及びR
2は前記式(I)と同義である。)
【0038】
すなわち、対応する芳香族アルデヒド化合物、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(別名、2,6-ジアミノピリミジン-4(3H)-オン)及びメルドラム酸を、(i)水中、トリエチルベンジルアンモニウムクロリドの存在下、加熱下反応させるか、(ii)マイクロウェーブ照射下で加熱下反応させるか、(iii) 有機溶媒中で加熱下反応させることにより、目的とする化合物(I)を製造することができる。
【0039】
前記式(II)で示される化合物は、例えば、特表2006-510596号公報に記載の方法に従い、以下に示すようにして製造することができる。
【0040】
【化7】
(式中、Rは前記式(II)と同義である。)
【0041】
すなわち、対応するアミン化合物とイタコン酸を反応させて、γ-ラクタムカルボン酸に変換した後、縮合剤(例えば、カルボジイミド)の存在下、ヒスタミンと反応させることにより、目的とする化合物(II)を製造することができる。
【0042】
前記のようにして得られる生成物を精製するには、通常用いられる手法、例えばシリカゲル等を担体として用いたカラムクロマトグラフィーやメタノール、エタノール、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、n-ヘキサン-酢酸エチル、水等を用いた再結晶法によればよい。カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒としては、メタノール、エタノール、クロロホルム、アセトン、ヘキサン、ジクロロメタン、酢酸エチル、及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0043】
前記の化合物は、鎮痒薬として、慣用の製剤担体と組み合わせて製剤化することができる。投与形態としては、特に限定はなく、必要に応じ適宜選択して使用され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、徐放性製剤、液剤、懸濁剤、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤等の経口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられる。
【0044】
経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、無機塩類等を用いて常法に製造される。また、これらに加えて、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜添加することができる。
【0045】
結合剤としては、例えばデンプン、デキストリン、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。
【0046】
崩壊剤としては、例えばデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0047】
界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等が挙げられる。
【0048】
滑沢剤としては、例えばタルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0049】
流動性促進剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
【0050】
注射剤は、常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を用いることができる。更に必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤等を加えてもよい。また、注射剤は、安定性の観点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥技術により水分を除去し、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。前記式(I)又は(II)の化合物の注射剤中における割合は、5~50重量%の間で変動させ得るが、これに限定されるものではない。
【0051】
その他の非経口剤としては、直腸内投与のための坐剤、局所投与のための外用剤(例えば、点眼剤、軟膏剤、パスタ剤)等が挙げられ、常法に従って製造される。
【0052】
製剤化した鎮痒薬は、剤形、投与経路等により異なるが、例えば、1日1~4回を1週間から3ヶ月の期間、投与することが可能である。
【0053】
経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人の場合、前記式(I)又は(II)の化合物の重量として、例えば0.1~1000mg、好ましくは1~500mgを、1日数回に分けて服用することが適当である。
【0054】
非経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人の場合、前記式(I)又は(II)の化合物の重量として、例えば0.1~1000mg、好ましくは1~500mgを、静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射、腹腔内投与、髄腔内(くも膜下腔内)投与により投与することが適当である。
【0055】
本発明の鎮痒薬は、ドライスキン、乾皮症等の乾燥性皮膚疾患、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性皮膚炎、乾癬、虫さされ、草かぶれ、水虫・たむしに伴う痒みを治療及び/又は予防するために用いることができる。
【0056】
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2019-034313の明細書及び図面に記載される内容を包含する。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0058】
[実施例1]ピリド[2,3-d]ピリミジン誘導体の合成
【化8】
【0059】
文献1)に記載の方法に従い、Ar雰囲気下、市販のアルデヒド(1a,b,d,e,f,g,j,k,m,n,o,p,q,r)あるいは文献既知のアルデヒド(1c,h,i,l,s,t)アルデヒド(1.00mmol)のエチレングリコール(0.5mL)溶液に2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(0.67mmol)、メルドラム酸(1.00mmol)を室温にて順次加えて、100℃で20時間攪拌した。放冷後、反応液を濾過、更にメタノール(0.5mL×3)で洗浄し、淡黄色結晶2a~uを得た。
【0060】
2-Amino-5-(4-ethoxy-3-methylphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2a)
Yield: 46%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3455, 3166, 2856, 2699, 1578, 1477 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.55 (1H, br s), 10.01 (1H, s), 6.90 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.84 (1H, dd, J = 8.8, 2.4 Hz), 6.77 (1H, d, J = 8.8 Hz), 6.51 (2H, br s), 4.00 (1H, d, J = 7.6 Hz), 3.95 (2H, q, J = 7.0 Hz), 2.88 (1H, dd, J = 16.0, 7.6 Hz), 2.42 (1H, d, J = 16.0 Hz), 2.07 (3H, s), 1.29 (3H, t, J = 7.0 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.10, 161.42, 156.45, 155.20, 154.95, 135.08, 128.74, 125.49, 124.61, 111.22, 92.07, 63.14, 32.12, 16.21, 14.83; MS (EI) m/z 314 (M+).
【0061】
2-Amino-5-(4-ethoxy-3-methoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2b)
Yield: 37%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3462, 3309, 2850, 2743, 1582, 1521 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.57 (1H, br s), 10.02 (1H, s), 6.84 (1H, d, J = 2.3 Hz), 6.78 (1H, d, J = 8.7 Hz), 6.53 (1H, dd, J = 8.7, 2.3 Hz), 6.50 (2H, br s), 4.05 (1H, d, J = 7.7 Hz), 3.92 (2H, q, J = 6.9 Hz), 3.69 (3H, s), 2.88 (1H, dd, J = 16.4, 7.7 Hz), 1.27 (3H, t, J = 6.9 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.34, 161.47, 156.43, 155.01, 148.89, 146.63, 136.09, 117.65, 112.90, 111.24, 92.03, 63.73, 55.38, 38.71, 32.44, 14.81; MS (EI) m/z 330 (M+).
【0062】
2-Amino-5-(3-methoxy-4-propoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2c)
Yield: 38%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3450, 3167, 2959, 2876, 1652, 1591 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.57 (1H, br s), 10.03 (1H, br s), 6.83 (1H, d, J = 2.3 Hz), 6.79 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.52 (1H, dd, J = 8.4, 2.3 Hz), 6.51 (2H, br s), 4.05 (1H, d, J = 7.9 Hz), 3.82 (2H, t, J = 7.1 Hz), 3.69 (3H, s), 2.88 (1H, dd, J = 16.4, 7.9 Hz), 1.67 (2H, sext, J = 7.1 Hz), 0.92 (3H, t, J = 7.1 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.22, 161.69, 158.44, 157.50, 146.831, 145.48, 137.33, 117.79, 113.05, 111.44, 99.65, 69.86, 55.57, 38.73, 32.52, 22.20, 10.53; MS (EI) m/z 344 (M+).
【0063】
2-Amino-5-(3,4-diethoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2d)
Yield: 41%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3188, 2977, 2868, 1653, 1635 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.57 (1H, s), 10.01 (1H, s), 6.81 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.78 (1H, d, J = 8.8 Hz), 6.53 (1H, dd, J = 8.8, 1.8 Hz), 6.50 (2H, br s), 4.03 (1H, d, J = 7.8 Hz), 3.93 (2H, q, J = 6.9 Hz), 3.92 (2H, q, J = 6.9 Hz), 2.87 (1H, dd, J = 16.0, 7.8 Hz), 1.28 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.26 (3H, t, J = 6.9 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.27, 161.47, 156.42, 154.97, 148.11, 146.87, 136.19, 117.94, 113.45, 112.69, 92.07, 63.83, 63.78, 38.66, 32.37, 14.82; MS (EI) m/z 344 (M+).
【0064】
2-Amino-5-(3,4-difluorophenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2e)
Yield: 34%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3471, 3161, 1646, 1592 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.62 (1H, br s), 10.13 (1H, br s), 7.32 (1H, dt, J = 10.8, 8.4 Hz), 7.18 (1H, ddd, J = 10.8, 8.4, 2.4 Hz), 6.95 (1H, m), 6.57 (2H, br s), 4.12 (1H, d, J = 7.2 Hz), 2.94 (1H, dd, J = 16.3, 7.2 Hz); 13C NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ 170.86, 161.41, 156.68, 155.24, 149.02, 147.17, 141.45, 122.88, 117.41 (d, J = 17.0 Hz), 115.62 (d, J = 17.0 Hz), 91.05, 38.22, 32.24; MS (EI) m/z 292 (M+).
【0065】
2-Amino-5-(3-bromo-4-ethoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2f)
Yield: 40%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3458, 3080, 2863, 2751, 1540, 1475 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.57 (1H, br s), 10.09 (1H, s), 7.30 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.06 (1H, dd, J = 8.0, 2.4 Hz), 6.99 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.56 (2H, br s), 4.09 (1H, m), 4.04 (2H, q, J = 7.1 Hz), 2.90 (1H, dd, J = 16.2, 6.7 Hz), 1.31 (3H, t, J = 7.1 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 170.93, 161.39, 156.55, 155.10, 153.29, 137.33, 130.87, 126.80, 113.77, 110.89, 91.53, 64.39, 38.47, 31.82, 14.58; MS (EI) m/z 379 (M+).
【0066】
2-Amino-5-(3-ethoxy-4-methoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2g)
Yield: 45%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3461, 3160, 2841, 1591, 1516 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.58 (1H, br s), 10.03 (1H, s), 6.82 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.80 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.55 (1H, dd, J = 8.4, 2.4 Hz), 6.50 (1H, br s), 4.04 (1H, d, J = 7.8 Hz), 3.96-3.88 (2H, m), 3.68 (3H, s), 2.87 (1H, dd, J = 16.0, 7.8 Hz), 1.28 (3H, t, J = 7.2 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.30, 161.55, 156.51, 155.00, 147.88, 147.66, 136.10, 117.81, 112.20, 111.90, 92.11, 63.68, 55.54, 38.72, 32.42, 14.83; MS (EI) m/z 330 (M+).
【0067】
5-(3-Allyloxy-4-methoxyphenyl)-2-amino-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2h)
Yield: 35%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3462, 3169, 1636, 1617, 1591 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.58 (1H, br s), 10.02 (1H, s), 6.84 (1H, d, J = 2.0 Hz), 6.81 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.57 (1H, dd, J = 8.4, 2.0 Hz), 5.99 (1H, ddd, J = 17.6, 10.4, 5.2 Hz), 5.36 (1H, dd, J = 17.6, 2.0 Hz), 5.22 (1H, dd, J = 10.4, 2.0 Hz), 4.46 (2H, d, J = 5.2 Hz), 4.03 (1H, d, J = 7.2 Hz), 3.68 (3H, s), 2.87 (1H, dd, J = 15.8, 7.2 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.16, 158.72, 156.11, 154.99, 147.79, 147.55, 136.10, 133.95, 118.27, 117.88, 112.81, 112.09, 92.02, 69.10, 55.65, 32.41; MS (EI) m/z 342 (M+).
【0068】
2-Amino-5-(4-methoxy-3-propoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2i)
Yield: 41%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3463, 3160, 2846, 1695, 1591, 1539, 1516 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.58 (1H, br s), 10.03 (1H, s), 6.82 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.80 (1H, dd, J = 8.4, 2.4 Hz), 6.55 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.51 (2H, br s), 4.04 (1H, d, J = 7.2 Hz), 3.84-3.81 (2H, m), 3.67 (3H, s), 2.87 (1H, dd, J = 16.4, 7.2 Hz), 1.68 (2H, sext, J = 6.8 Hz), 0.94 (3H, t, J = 6.8 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.24, 161.48, 156.43, 154.96, 148.04, 147.68, 136.14, 117.78, 112.27, 112.04, 92.06, 69.63, 55.61, 38.66, 32.38, 22.12, 10.46; MS (EI) m/z 344 (M+).
【0069】
2-Amino-5-(3-ethoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2j):
Yield: 43%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3447, 3170, 2854, 1592, 1539 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.58 (1H, br s), 10.06 (1H, s), 7.15 (1H, t, J = 7.8 Hz), 6.72 (1H, dd, J = 7.8, 2.4 Hz), 6.70 (1H, dd, J = 7.8, 2.4 Hz), 6.66 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.53 (2H, br s), 4.07 (1H, d, J = 7.4 Hz), 3.94 (2H, q, J = 6.0 Hz), 2.91 (1H, dd, J = 16.3, 7.4 Hz), 1.28 (3H, t, J = 6.0 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.04, 161.40, 158.57, 156.59, 155.03, 145.32, 129.28, 118.56, 113.19, 111.58, 91.65, 62.78, 38.50, 32.86, 14.65; MS (EI) m/z 300 (M+).
【0070】
5-(3-Allyloxyphenyl)-2-amino-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2k)
Yield: 45%; mp: >300 ℃; IR (KBr): 3085, 2855, 2727, 1520 cm-1; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.58 (1H, br s), 10.06 (1H, s), 7.15 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.76 (1H, dd, J = 7.6, 2.4 Hz), 6.71 (2H, m), 6.53 (2H, br s), 6.00 (1H, ddd, J = 17.4, 10.6, 5.5 Hz), 5.36 (1H, dd, J = 17.4, 1.6 Hz), 5.23 (1H, dd, J = 10.6, 1.6 Hz), 4.48 (2H, d, J = 5.5 Hz), 4.07 (1H, d, J = 7.5 Hz), 3.89 (1H, dd, J = 16.2, 7.5 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.09, 161.41, 158.26, 156.58, 155.06, 145.35, 133.75, 129.48, 118.78, 117.56, 113.43, 112.03, 91.60, 68.11, 38.50, 32.86; MS (EI) m/z 312 (M+).
【0071】
2-Amino-5-(3-chloro-4-ethoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2l)
Yield: 30%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.60 (1H, br s), 10.09 (1H, s), 7.15 (1H, s), 7.02 (2H, s), 6.55 (2H, br s), 4.06 (1H, d, J = 8.0 Hz), 4.05 (2H, q, J = 7.0 Hz), 2.91 (1H, dd, J = 16.0, 8.0 Hz), 1.31 (3H, t, J = 7.0 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.0, 161.38, 156.52, 155.11, 153.38, 136.81, 127.90, 126.09, 121.07, 113.90, 91.53, 64.28, 38.42, 31.87, 14.57.
【0072】
2-Amino-5-(3-chlorophenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2m)
Yield: 35%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.61 (1H, br s), 10.11 (1H, s), 7.30 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.24 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.16 (1H, s), 7.11 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.57 (2H, br s), 4.13 (1H, d, J = 8.0 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 16.0, 8.0 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 170.85, 161.42, 156.76, 155.18, 146.35, 133.07, 130.46, 126.49, 126.41, 125.20, 91.61, 38.24, 32.72.
【0073】
2-Amino-5-(3-bromophenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2n)
Yield: 25%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.61 (1H, br s), 10.12 (1H, s), 7.38 (1H, d, J = 8.0, 1.8 Hz), 7.31 (1H, t, J = 1.8 Hz), 7.24 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.14 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.57 (2H, br s), 4.12 (1H, d, J = 8.0 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 16.2, 8.0 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 170.81, 161.40, 156.74, 155.18, 146.63, 130.77, 129.38, 129.30, 125.57, 121.78, 91.03, 38.25, 32.71.
【0074】
2-Amino-5-(3-trifluoromethoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2o):
Yield: 23%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.64 (1H, br s), 10.15 (1H, s), 7.40 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.17 (2H, t, J = 8.0 Hz), 7.12 (1H, s), 6.58 (2H, br s), 4.18 (1H, d, J = 7.2 Hz), 2.97 (1H, dd, J = 16.2, 7.2 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.26, 161.71, 156.92, 155.40, 148.72, 146.70, 130.66, 120.22 (q, J = 254.60 Hz), 119.21, 119.08, 116.41, 91.23, 38.31, 32.81.
【0075】
2-Amino-5-(3-methoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2p)
Yield: 35%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.60 (1H, br s), 10.07 (1H, s), 7.17 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.75 (1H, dd, J = 7.6, 2.4 Hz), 6.71 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.70 (1H, s), 6.54 (2H, br s), 4.08 (1H, d, J = 7.2 Hz), 3.69 (3H, s), 2.92 (1H, dd, J = 16.0, 7.2 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.24, 161.45, 159.34, 156.54, 155.11, 145.32, 129.53, 118.56, 112.85, 111.29, 91.65, 54.91, 38.51, 32.89.
【0076】
2-Amino-5-(3-propoxyphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2q)
Yield: 32%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.58 (1H, br s), 10.05 (1H, s), 7.15 (1H, t, J = 8.0 Hz), 6.74-6.67 (3H, m), 6.52 (2H, br s), 4.07 (1H, d, J = 8.0 Hz), 3.84 (2H, t, J = 6.4 Hz), 2.91 (1H, dd, J = 16.4, 8.0 Hz), 1.69 (2H, sext, J = 6.4 Hz), 0.94 (3H, t, J = 6.4 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.09, 161.47, 158.76, 156.62, 155.05, 145.34, 129.50, 118.54, 112.19, 111.74, 91.68, 68.76, 38.52, 32.89, 22.05, 10.47.
【0077】
2-Amino-5-biphenyl-3-yl-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2r)
Yield: 37%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.58 (1H, br s), 10.09 (1H, s), 7.53 (2H, dd, J = 8.0, 1.2 Hz), 7.42 (5H, m), 7.32 (2H, t, J = 8.0 Hz), 7.01 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.51 (2H, brs), 4.17 (1H, d, J = 7.6 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 16.0, 7.6 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.38, 161.86, 155.22, 144.66, 140.62, 140.46, 129.37, 129.21, 127.71, 126.94, 126.85, 125.65, 125.20, 91.95, 62.93, 38.71, 33.17.
【0078】
2-Amino-5-(3-ethylphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2s)
Yield: 37% ; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.60 (1H, br s), 10.07 (1H, s), 7.15 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.01 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.00 (1H, s), 6.91 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.53 (2H, br s), 4.08 (1H, d, J = 7.2 Hz), 2.93 (1H, dd, J = 16.6, 7.2 Hz), 2.52 (2H, q, J = 7.6 Hz), 1.13 (3H, t, J = 7.6 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.27, 161.52, 156.60, 155.09, 143.76, 128.43, 126.14, 125.87, 123.66, 91.75, 62.82, 32.95, 28.24, 15.61.
【0079】
2-Amino-5-(3-propylphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2t)
Yield: 18%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.57 (1H, br s), 10.05 (1H, s), 7.14 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.98 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.97 (1H, s), 6.91 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.52 (2H, br s), 4.07 (1H, d, J = 8.0 Hz), 2.92 (1H, dd, J = 16.2, 8.0 Hz), 1.52 (2H, sext, J = 7.2 Hz), 0.86 (3H, t, J = 7.2 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.20, 161.48, 156.59, 155.04, 143.66, 142.24, 128.32, 126.63, 126.43, 123.73, 91.75, 38.87, 37.38, 32.90, 24.18, 13.74.
【0080】
2-Amino-5-(3-butylphenyl)-5,8-dihydro-3H,6H-pyrido[2,3-d]pyrimidine-4,7-dione (2u)
Yield: 30%; mp: >300 ℃; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.57 (1H, br s), 10.01 (1H, s), 7.13 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.98 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.97 (1H, s), 6.90 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.52 (2H, br s), 4.07 (1H, d, J = 8.0 Hz), 2.92 (1H, dd, J = 16.4, 8.0 Hz), 1.48 (2H, quin, J = 7.4 Hz), 1.27 (2H, sext, J = 7.4 Hz), 0.87 (3H, t, J = 7.4 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.16, 161.46, 156.59, 155.04, 143.66, 142.42, 128.33, 126.59, 126.39, 123.67, 91.76, 38.70, 34.93, 33.20, 32.90, 21.82, 13.82.
【0081】
1) Tu, S. et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2006, 16, 3578-3581.
2) Muskinja, J. et al. Med. Chem. Res. 2016, 25, 1744-1753.
3) McDonald, B. et al. Org. Lett. 2015, 17, 98-101.
4) 米国特許出願公開第2015/0210682号明細書
5) 特表2010-526138号公報
6) Wang, B. et al. Eur. J. Org. Chem. 2009, 22, 3688-3692.
7) WO2008/136756
8) Shi, D. Q. et al. J. Heterocyclic Chem. 2009, 46, 1331-1334.
【0082】
【0083】
文献1)(特表2006-510596号公報)に従い、Ar雰囲気下、アミン1a~d(1.0eq)とイタコン酸(1.0eq)を室温にて混合し、60℃から150℃まで徐々に加熱した。150℃で30分加熱後、室温まで冷却し、カルボン酸2a~dを淡黄色固体として得た。カルボン酸2a~d(1.0eq)のDMF溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.2eq)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(1.2eq)及びヒスタミン(1.2eq)を室温にて順次加え、15時間撹拌した。溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=5:1)で精製、更にEtOAc:MeOH=5:1(0.5mL×3)で洗浄し、3a~dを白色固体として得た。
【0084】
1-(4-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxylic acid (2a)
1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 10.74 (1H, br s), 7.73 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.45 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.15 (1H, dd, J = 2.1, 8.6 Hz), 4.65 (1H, dd, J = 13.0, 7.6 Hz), 4.44 (1H, t, J = 7.6 Hz), 3.40 (1H, quint, J = 7.6 Hz), 2.77 (1H, dd, J = 17.6, 7.6 Hz), 2.60 (1H, dd, J = 17.6, 7.6 Hz).
【0085】
1-(5-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxylic acid (2b)
1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 11.53 (1H, br s), 7.38 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.14 (1H, dd, J = 8.4, 7.2 Hz), 6.93 (1H, d, J = 7.2 Hz), 4.67 (1H, dd, J = 13.0, 7.5 Hz), 4.52 (1H, t, J = 7.5 Hz), 3.39 (1H, quint, J = 7.5 Hz), 2.76 (1H, dd, J = 17.5, 7.5 Hz), 2.57 (1H, dd, J = 17.5, 7.5 Hz).
【0086】
1-(6-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxylic acid (2c)
1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 11.63 (1H, br s), 7.71 (1H, d, J = 9.0 Hz), 7.48 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.88 (1H, dd, J = 9.0, 1.7 Hz), 4.65 (1H, dd, J = 13.0, 7.7 Hz), 4.44 (1H, t, J = 7.7 Hz), 3.40 (1H, quint, J = 7.7 Hz), 2.68 (1H, dd, J = 17.1, 7.7 Hz), 2.60 (1H, dd, J = 17.1, 7.7 Hz).
【0087】
1-(7-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxylic acid (2d)
1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 11.66 (1H, br s), 7.67 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.30 (1H, d, J = 7.3 Hz), 6.86 (1H, dd, J = 8.7, 7.3 Hz), 4.71 (1H, dd, J = 13.4, 7.4 Hz), 4.48 (1H, t, J = 7.4 Hz), 3.42 (1H, quint, J = 7.4 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 17.6, 7.4 Hz), 2.61 (1H, dd, J = 17.6, 7.4 Hz).
【0088】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(4-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3a)
mp: 190-191 ℃; IR (KBr): 3566, 3437, 3306, 1695, 1636, 1558, 1508 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.00 (1H, br s), 7.96 (1H, s), 7.61 (1H, d, J = 7.4 Hz), 7.14 (1H, t, J = 7.4 Hz), 7.15(1H, s), 6.98 (1H, d, J = 7.4 Hz), 4.72 (1H, t, J = 9.1 Hz), 3.96-3.85 (3H, m), 3.26 (1H, dd, J = 15.6, 9.1 Hz), 3.11 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.78 (1H, dd, J = 15.6, 9.1 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 169.56, 168.62, 147.59, 134.59, 131.61, 126.70, 123.80, 119.28, 116.97, 115.67, 107.11, 48.23, 36.47, 32.61, 26.57.
【0089】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(5-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3b)
Yield: 24% over two steps; mp: 208-209 ℃; IR (KBr): 3735, 3649, 3097, 1684, 1653, 1558, 1508 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.04 (1H, br s), 8.05 (1H, s), 7.69 (1H, d, J = 9.6 Hz), 7.68 (1H, s), 7.27 (1H, d, J = 9.6 Hz), 7.71(1H, s), 5.09 (1H, dd, J = 13.6, 8.4 Hz), 4.73 (1H, t, J = 8.4 Hz), 3.94-3.86 (3H, m), 3.28 (1H, dd, J = 14.8, 8.4 Hz), 3.11 (2H, t, J = 6.6 Hz), 2.84 (1H, dd, J = 14.8, 8.4 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 169.63, 168.21, 145.55, 134.50, 133.79, 131.92, 127.15, 123.19, 118.50, 118.39, 116.85, 108.13, 48.33, 38.747, 36.33, 32.92, 26.53.
【0090】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(6-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3c)
Yield: 17% over two steps; mp: 196-198 ℃; IR(KBr): 3290, 3213, 3101, 1683, 1636, 1558, 1508 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.12 (1H, br s), 8.30 (1H, s), 7.83 (1H, s), 7.66 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.25 (1H, s), 6.96 (1H, d, J = 9.2 Hz), 5.03 (1H, dd, J = 13.0, 8.3 Hz), 4.71 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.91-3.84 (3H, m), 3.27 (1H, dd, J = 15.2, 8.3 Hz), 3.12 (2H, t, J = 6.4 Hz), 2.87 (1H, dd, J = 15.2, 8.3 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 169.79, 168.28, 147.25, 134.03, 132.74, 132.42, 131.35, 121.77, 119.93, 116.53, 115.03, 106.65, 48.23, 38.21, 36.25, 32.92, 25.47.
【0091】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(7-chloro-1H-indazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3d)
Yield: 36% over two steps; mp: 238-239 ℃; IR(KBr): 3319, 3231, 3213, 1663, 1636, 1558, 1508 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.02 (1H, br s), 8.49 (1H, s), 7.76 (1H, s), 7.52 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.40 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.98 (1H, s), 6.88 (1H, t, J = 7.5 Hz), 5.13 (1H, dd, J = 14.6, 8.5 Hz), 4.81 (1H, t, J = 8.5 Hz), 3.95-3.86 (3H, m), 3.26 (1H, dd, J = 16.2, 8.5 Hz), 3.11 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.83 (1H, dd, J = 16.2, 8.5 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 169.56, 168.32, 144.32, 134.51, 133.83, 133.30, 125.80, 120.48, 119.42, 119.04, 116.84, 109.42, 48.36, 38.77, 36.32, 32.95, 26.57.
【0092】
文献2)(特表2012-529476号公報)に従い、Ar雰囲気下、アミン1e~j(1.0eq)の水溶液(3mL)にイタコン酸(1.2eq)を室温にて加え、20時間撹拌下加熱還流した。室温まで冷却後、析出した固体を濾取し、カルボン酸2e~jを得た。カルボン酸2e~j(1.0eq)のCH2Cl2及びDMF混合溶液に1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(1.2eq)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.1eq)及びヒスタミン(1.2eq)を室温にて順次加え、15時間撹拌した。溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=10:1)で精製し、3e~jを白色固体として得た。
【0093】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-phenyl-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3e)
Yield: 63%; mp: 149-151 ℃; IR (KBr): 3675, 3306, 1678, 1643, 1558 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.11 (1H, t, J = 5.8 Hz),7.90 (1H, s), 7.72 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.28 (2H, t, J = 8.4 Hz), 7.09 (1H, s), 7.06 (1H, t, J = 8.4 Hz), 4.13 (1H, dd, J = 9.6, 8.3 Hz), 3.93 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.83 (2H, q, J = 7.5 Hz), 3.47 (1H, quint, J =8.3 Hz), 3.14 (1H, dd, J = 16.7, 8.3 Hz), 3.08 (2H, t, J = 7.5 Hz), 2.84 (1H, dd, J = 16.7, 8.3 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.16, 171.96, 139.22, 134.58, 133.95, 128.70, 124.00, 119.36, 116.83, 50.73, 38.66, 35.66, 35.43, 26.38.
【0094】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(4-methylphenyl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3f)
Yield: 93%; mp: 176-178 ℃; IR (KBr): 3306, 3088, 1675, 1639, 1556 cm-1; 1H NMR (400 MHz, Pyridine-d5): δ 9.10 (1H, t, J = 5.8 Hz), 7.91 (1H, s), 7.64 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.08 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.07 (1H, s), 4.14 (1H, dd, J = 9.6, 8.0 Hz), 3.92 (1H, t, J = 8.0 Hz), 3.83 (2H, q, J = 7.2 Hz), 3.46 (1H, quint, J = 8.0 Hz), 3.14 (1H, dd, J = 17.6, 8.0 Hz), 3.08 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.84 (1H, dd, J = 17.6, 8.0 Hz), 2.13 (3H, s); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.17, 172.10, 137.00, 134.86, 134.44, 133.26, 129.30, 119.58, 117.04, 51.00, 39.17, 36.02, 35.84, 27.01, 20.63.
【0095】
1-(4-chlorophenyl)-N-[2-(1H-imidazol-4yl)ethyl]- 5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3g)
Yield: 93%; mp: 196-198 ℃; IR (KBr): 3119, 3017, 1695, 1647, 1558 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.16 (1H, t, J = 5.2 Hz), 7.95 (1H, s), 7.71 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.30 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.11 (1H, s), 4.10 (1H, dd, J = 9.4, 8.3 Hz), 3.92 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.83 (2H, q, J = 6.7 Hz), 3.50 (1H, quint, J = 8.3 Hz), 3.11 (1H, dd, J = 17.5, 8.3 Hz), 3.09 (2H, t, J = 5.7 Hz), 2.85 (1H, dd, J = 17.5, 8.3 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.20, 171.68, 137.90, 134.43, 133.95, 128.36, 127.49, 120.60, 116.62, 50.47, 38.74, 35.62, 35.30, 26.52.
【0096】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(4-fluorophenyl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3h)
Yield: 94%; mp: 232-234 ℃; IR (KBr): 3140, 3126, 1688, 1645, 1570 cm-1;
1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.13 (1H, t, J = 4.8 Hz), 7.72-7.68 (2H, m), 7.92 (1H, s), 7.11 (1H, s), 7.09-7.04 (2H, m), 4.12 (1H, dd, J = 12.2, 8.7 Hz), 3.92 (1H, t, J = 8.7 Hz), 3.84 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.49 (1H, quint, J = 8.7 Hz), 3.14 (1H, dd, J = 17.2, 8.7 Hz), 3.09 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.85 (1H, dd, J = 17.2, 8.7 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.05, 171.90, 158.44 (d, J = 240.3 Hz), 135.64, 134.62, 134.14, 121.35 (d, J = 7.6 Hz), 116.81, 115.25 (d, J = 22.0 Hz), 50.92, 38.92, 35.68, 35.58, 26.72.
【0097】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(4-methoxyphenyl)-5-oxo-3pyrrolidinecarboxamide (3i)
Yield: 95%; mp: 151-153 ℃; IR (KBr): 3239, 3075, 1684, 1635, 1568 cm-1; 1H NMR (400 MHz, Pyridine-d5): δ 9.08 (1H, t, J = 5.2 Hz), 7.91 (1H, s), 7.68 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.10 (1H, s), 6.92 (2H, d, J = 8.6 Hz),4.16 (1H, dd, J = 9.4, 8.4 Hz), 3.93 (1H, t, J = 8.4 Hz), 3.84 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.62 (3H, s), 3.46 (1H, quint, J = 8.4 Hz), 3.15 (1H, dd, J = 17.1, 8.4 Hz), 3.09 (2H, t, J = 7.6 Hz), 2.84 (1H, dd, J = 17.1, 8.4 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 171.97, 171.57, 155.80, 134.65, 134.26, 132.41, 121.20, 116.80, 113.82, 55.20, 51.03, 38.95, 35.68, 35.62, 26.81.
【0098】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(4-cyanophenyl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3j)
Yield: 69%; mp: 211-212 ℃; IR (KBr): 3151, 3019, 2231, 1703, 1646, 1558 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 9.17 (1H, t, J = 5.2 Hz), 7.92 (1H, s), 7.83 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.60 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.11 (1H, s), 4.12 (1H, dd, J = 9.6, 8.4 Hz), 3.96 (1H, t, J = 8.4 Hz), 3.84 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.51 (1H, quint, J = 8.4 Hz), 3.16 (1H, dd, J = 17.2, 8.4 Hz), 3.10 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.88 (1H, dd, J = 17.2, 8.4 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 173.28, 171.75, 143.03, 134.67, 133.06, 119.03, 118.93, 105.53, 51.51, 38.98, 36.03, 35.39, 26.85.
【0099】
文献1)(特表2006-510596号公報)に従い、Ar雰囲気下、アミン1k~m(1.0eq)とイタコン酸(1.0eq)を室温にて混合し、60℃から150℃まで徐々に加熱した。150℃で30分加熱後、室温まで冷却し、カルボン酸2k~mを得た。カルボン酸2k~m(1eq)のCH2Cl2及びDMF混合溶液にEDC(1.2eq)、DMAP(0.1eq)及びヒスタミン(1.2eq)を室温にて順次加え、15時間撹拌した。溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=10:1)で精製し、3k~mをそれぞれ白色、黄色及び赤色泡状固体として得た。
【0100】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(2-hydroxyphenyl)-5-oxo-3pyrrolidinecarboxamide (3k)
Yield: 40%; IR (KBr): 3651, 3265, 3213, 1684, 1670, 1558 cm-1; 1H NMR (400 MHz, Pyridine-d5): δ 9.08 (1H, br s), 7.91 (1H, s), 7.42 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.21-7.15 (2H, m), 7.10 (1H, s), 6.92-6.88 (1H, m), 4.30 (1H, dd, J = 9.2, 7.5 Hz), 4.10 (1H, t, J = 7.5 Hz), 3.85 (2H, q, J = 6.4 Hz), 3.47 (1H, quint, J = 7.5 Hz), 3.13 (1H, dd, J = 16.4, 7.5 Hz), 3.06 (2H, t, J = 6.4 Hz), 2.83 (1H, dd, J = 16.4, 7.5 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.52, 172.22, 152.77, 134.68, 128.30, 128.24, 125.48, 119.12, 118.74, 116.87, 116.74, 51.68, 38.98, 37.09, 34.39, 26.85.
【0101】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(3-hydroxyphenyl)-5-oxo-3pyrrolidinecarboxamide (3l)
Yield: 58%; IR (KBr): 3790, 3439, 3337, 1684, 1653, 1558 cm-1; 1H NMR (400 MHz, Pyridine-d5): δ 8.97 (1H, br s), 8.09 (1H, s), 7.93 (1H, s), 7.28 (1H, t, J = 8.2 Hz), 7.20 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.13 (1H, s), 6.98 (1H, d, J = 8.2 Hz), 4.29 (1H, dd, J = 9.0, 8.3 Hz), 3.98 (1H, t, J = 8.3 Hz), 3.89 (2H, q, J = 6.9 Hz), 3.36 (1H, quint, J = 8.3 Hz), 3.21 (1H, dd, J = 17.1, 8.3 Hz), 3.09 (2H, t, J = 6.9 Hz), 2.82 (1H, dd, J = 17.1, 8.3 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.07, 171.93, 157.55, 140.28, 134.68, 129.38, 111.17, 109.78, 106.63, 50.84, 39.00, 35.99, 35.54, 26.89.
【0102】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(4-hydroxyphenyl)-5-oxo-3pyrrolidinecarboxamide (3m)
Yield: 54%; IR (KBr): 3585, 3251, 3190, 1684, 1653, 1558 cm-1; 1H NMR (400 MHz, Pyridine-d5): δ 11.49 (1H, br s), 8.97 (1H, br s), 7.93 (1H, s), 7.76 (2H, dd, J = 8.6, 2.4 Hz), 7.15 (2H, dd, J = 8.6, 2.4 Hz), 7.14 (1H, s), 4.29 (1H, td, J = 8.4, 2.1 Hz), 3.95 (1H, td, J = 8.4, 2.1 Hz), 3.90 (2H, q, J = 6.3 Hz), 3.39 (1H, quint, J = 8.4 Hz), 3.22 (1H, ddd, J = 16.7, 8.4, 2.1 Hz), 3.10 (2H, t, J = 6.3 Hz), 2.84 (1H, ddd, J = 16.7, 8.4, 2.1 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.52, 171.86, 154.61, 135.20, 131.48, 122.05, 115.61, 51.67, 39.49, 36.23, 36.09, 27.40.
【0103】
文献1)(特表2006-510596号公報)に従い、Ar雰囲気下、アミン1n(1.0eq)とイタコン酸(1.0eq)を室温にて混合し、60℃から150℃まで徐々に加熱した。150℃で30分加熱後、室温まで冷却し、カルボン酸2nを得た。カルボン酸2n(1.0eq)のCH2Cl2及びDMF混合溶液にDCC(1.2eq)、HOBt(1.2eq)及びヒスタミン(1.2eq)を室温にて順次加え、15時間撹拌した。溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=10:1)で精製し、3nを白色固体として得た。
【0104】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-(1H-pyrazol-3-yl)-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3n)
Yield: 30%; mp: 213-211 ℃; IR (KBr): 3676, 3320, 3203, 1689, 1652, 1635, 1557 cm-1; 1H NMR (400 MHz, Pyridine-d5): δ 12.24 (1H, br s), 9.00 (1H, br s), 8.03 (1H, s), 7.88 (1H, s), 7.56 (1H,s), 7.10(1H, s), 4.78 (1H, dd, J = 12.6, 8.1 Hz), 4.26 (1H, t, J = 8.1 Hz), 3.82 (2H, q, J = 6.7 Hz), 3.69 (1H, quint, J = 8.1 Hz), 3.22 (1H, dd, J = 15.3, 8.1 Hz), 3.06 (2H, t, J = 6.7 Hz), 2.72 (1H, dd, J = 15.3, 8.1 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 169.67, 168.26, 162.33, 138.77, 138.73, 134.64, 134.53, 89.01, 47.04, 38.87, 36.72, 33.00, 26.97.
【0105】
文献1)(特表2006-510596号公報)に従い、Ar雰囲気下、アミン1o~r(1.0eq)とイタコン酸(1.0eq)を室温にて混合し、60℃から150℃まで徐々に加熱した。150℃で30分加熱後、室温まで冷却し、シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=30:1)で精製し、カルボン酸2o~rを得た。カルボン酸2o~r(1.0eq)のCH2Cl2及びDMF混合溶液にDCC(1.2eq)、HOBt(1.2eq)及びヒスタミン(1.2eq)を室温にて順次加え、15時間撹拌した。溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=10:1)で精製し、3o~rを黄色固体又は白色泡状固体として得た。
【0106】
N-[2-(1H-imidazol-4yl)ethyl]-5-oxo-1-(phenylmethyl)- 3-pyrrolidinecarboxamide (3o)
Yield: 29%; IR (KBr): 3271, 3155, 1670, 1652, 1558 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 8.85 (1H, br), 7.92 (1H, s), 7.33-7.25 (5H, m), 7.08 (1H, s), 4.56 (1H, d, J = 14.6 Hz), 4.48 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.85 (2H, q, J = 6.5 Hz), 3.67 (1H, t, J = 8.0 Hz), 3.39 (1H, t, J = 8.0 Hz), 3.25 (1H, quint, J = 8.0 Hz), 3.10 (1H, dd, J =17.0, 8.0 Hz), 3.05 (2H, t, J = 6.5 Hz), 2.72 (1H, dd, J = 17.0, 8.0 Hz).
【0107】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-[(2-hydroxyphenyl)methyl]-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3p)
Yield: 30%; IR (KBr): 3748, 3738, 3651, 1684, 1653, 1558 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 11.36 (1H, br s) 8.81 (1H, t, J = 5.8 Hz), 7.84 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.34 (1H, dd, J = 7.5, 1.3 Hz), 7.13 (1H, td, J = 7.5, 1.3 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 7.5, 1.3 Hz), 7.03 (1H, s), 6.81 (1H, td, J = 1.3, 7.5 Hz), 4.74 (1H, d, J = 15.2 Hz), 4.65 (1H, d, J = 15.2 Hz), 3.82 (1H, dd, J = 9.6, 8.2 Hz), 3.77 (2H, q, J = 6.6 Hz), 3.57 (1H, t, J = 8.2 Hz), 3.22 (1H, quint, J = 8.2 Hz), 3.03 (1H, dd, J = 16.5, 8.2 Hz), 2.99 (2H, t, J = 6.6 Hz), 2.63 (1H, dd, J = 16.5, 8.2 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.57, 172.18, 155.26, 134,67, 128.78, 128.38, 122.58, 119.03, 115.21, 49.63, 40.57, 38.94, 35.93, 33.91, 26.87.
【0108】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-[(3-hydroxyphenyl)methyl]-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3q)
Yield: 40%; IR (KBr): 3734, 3647, 3623, 1684, 1653, 1558 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 8.83 (1H, br s), 7.93 (1H, s), 7.24 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.22 (1H, s), 7.09 (1H, s), 7.08 (1H, d, J = 7.9 Hz), 6.88 (1H, d, J = 7.9 Hz), 4.57 (1H, d, J = 14.6 Hz), 4.48 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.84 (2H, q, J = 6.1 Hz), 3.72 (1H, t, J = 8.1 Hz), 3.45 (1H, t, J = 8.1 Hz), 3.23 (1H, quint, J = 8.1 Hz), 3.09 (1H, dd, J = 16.0, 8.1 Hz), 3.05 (2H, t, J = 6.1 Hz), 2.67 (1H, dd, J = 16.0, 8.1 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 172.31, 172.05, 157.63, 138.14, 134.66, 134.18, 129.55, 118.17, 116.90, 114.41, 114.30, 49.14, 45.31, 38.88, 35.89, 26.78.
【0109】
N-[2-(1H-imidazol-4-yl)ethyl]-1-[(4-hydroxyphenyl)methyl]-5-oxo-3-pyrrolidinecarboxamide (3r)
Yield: 29%; IR (KBr): 3651, 3271, 3213, 1663, 1653, 1558 cm-1; 1H NMR (400MHz, Pyridine-d5): δ 8.85 (1H, br s), 7.91 (1H, s), 7.28 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.10 (2H, d, J = 7.6 Hz), 4.55 (1H, d, J = 14.6 Hz), 4.44 (1H, d, J = 14.6 Hz), 3.91-3.71 (2H, m), 3.70 (1H, dd, J = 8.8, 7.9 Hz), 3.45 (1H, t, J = 7.9 Hz), 3.26 (1H, quint, J = 7.9 Hz), 3.11 (1H, dd, J = 15.0, 7.9 Hz), 3.06 (2H, t, J = 7.4 Hz), 2.71 (1H, dd, J = 15.0, 7.9 Hz); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) : δ 172.15, 156.66, 134.68, 129.07, 126.80, 115.30, 48.93, 44.83, 38.94, 35.83, 34.03, 26.89.
【0110】
1) 特表2006-510596号公報
2) 特表2012-529476号公報
3) Saczewski, F. et al. Bioorg. Med. Chem. 2011, 19, 321-329
4) Mestichelli, P. et al. Org. Lett. 2013, 15, 5448-5451
5) Commercially available, Aurora Building Blocks, A17.818.885
6) Commercially available, Aurora Building Blocks, A21.884.126
【0111】
[実施例3]セロトニン(5-HT)誘発掻痒モデルマウスを用いた薬効評価(
図1)
5-HT(50nmol,10μL)は腰部へ皮内注射した(intradermal injection, i.d.)。注射部位を噛んだり、舐めたり、引っ掻いたりする反応を掻痒行動として、その行動時間を5分間ごとに計測した。PA-8(0.1,1nmol)の髄腔内前投与(30分前)は、5-HT誘発掻痒行動をほぼ完全に抑制した。一方、ペプチド性PACAP受容体拮抗薬であるPACAP6-38(P6-38:100pmol)前投与の効果は有意ではなかった。SLNは5-HTの代わりに生理的食塩水を投与した場合の効果を示す。ACSFは人口脳脊髄液(artificial cerebrospinal fluid)の略であり、P6-38及びPA-8の溶媒である。
【0112】
[実施例4]ドライスキン掻痒モデルマウスを用いた薬効評価
本試験は、動物における痒みの評価方法として公表されている試験系であるMiyamotoら(Miyamoto T., Nojima H., Shinkado T., et al.: Itch-associated response induced by experimental dry skin in mice, Jpn. J. Phamacol., 88, 285-292, 2002)の方法を参考に実施した。
【0113】
5週齢ICR系マウス(40匹)を個体別にケージに入れ、1週間馴化し、試験開始3日前に吻側背部を剃毛した(処理方法A)。剃毛した40匹のマウスを8匹ずつPA-8、3mg/kg経口(p.o.)投与群、10mg/kg経口(p.o.)投与群、30mg/kg経口(p.o.)投与群、比較群、対照群の5群に分けた。
【0114】
<PA-8投与群>
PA-8投与群では、剃毛処理(処理方法A)したマウスをエーテル麻酔し、吻側背部にアセトン(A):ジエチルエーテル(E)(1:1)混合液を浸した2×2cmのコットンを15秒間適用し、その後、イオン交換水(W)を浸したコットンを30秒間適用した[以下、一連の処理をAEW処理(処理方法B)と略記する]。AEW処理は、1日2回8時間間隔で5日間実施し、計10回行った。AEW処理後翌日に、PA-8を3mg/kg、10mg/kg、又は30mg/kg経口投与し、30分後から行動観察を1時間行った(処理方法C)。
【0115】
<比較群>
比較群では、剃毛処理(処理方法A)したマウスに対し前記AEW処理(処理方法B)を実施し、10%DMSO水溶液(溶媒)を経口投与した。
【0116】
<対照群>
対照群(Naive)では、剃毛処理(処理方法A)のみを実施した。
ドライスキン掻痒モデルマウスを用いた行動実験の手順の概略を
図2に、各群の掻き時間を評価した結果を
図3に示す。
【0117】
図3から、PA-8を経口投与することにより、AEW処理により誘発される掻き行動が有意に抑制されたことがわかる。
【0118】
[実施例5]PACAP受容体発現培養細胞を用いた薬効評価1
マウスPAC1受容体発現CHO細胞(PAC1/CHO細胞)及びマウスVPAC1受容体発現CHO細胞(VPAC1/CHO細胞)を用い、PACAP刺激により生じるCREB(cAMP-responsive element-binding protein)のリン酸化に対する各化合物の効果を、抗リン酸化CREB(pCREB)抗体を用いたウェスタンブロット解析により検討した。
【0119】
すなわち、化合物(PA-8、化合物2j及び化合物2o)10pM~10nM、及びその溶媒DMSO(VEH:0.1%DMSO含有リン酸緩衝液)で30分処理後、PACAP 1nMを添加し、PACAP刺激後30分でタンパク質回収を行った。
【0120】
図4AはPAC1/CHO細胞におけるデータを示すが、PA-8は用いた濃度(10pM~10nM)において、PACAP(1nM)によるCREBリン酸化を抑制した(n=5;
図4A)。一方、VPAC1/CHO細胞を用いた検討では、PACAP(1nM)によるCREBリン酸化を、用いた濃度(10pM~10nM)では抑制しなかった(n=3;
図4B)。すなわち、PA-8はPAC1受容体選択的拮抗薬であるといえる。
【0121】
図4CはPAC1/CHO細胞における化合物2j(10pM~10nM)の効果を示すが、PACAP(1nM)によるCREBリン酸化を濃度依存的に抑制した(n=4)。
図4Dは同様に化合物2o(10pM~10nM)の効果を示す。化合物2oも、用いた濃度(10pM~10nM)においてPACAP(1nM)によるCREBリン酸化を抑制した(n=4)。特に化合物2oは、PA-8よりもやや強いCREBリン酸化抑制効果が見られた。
【0122】
前記の実験で用いたPA-8としては、ナミキ商事株式会社から購入した市販化合物を用いた。
【0123】
[実施例6]PACAP受容体発現培養細胞を用いた薬効評価2
マウスPAC1受容体発現CHO細胞(PAC1/CHO細胞)を用い、PACAP刺激により生じるCREB(cAMP-responsive element-binding protein)のリン酸化に対する各化合物の効果を、抗リン酸化CREB(pCREB)抗体を用いたウェスタンブロット解析により検討した。
図5Aと5Bは、それぞれPA-9及び化合物3d(10pM~10nM)の効果を示すが、両者ともPACAP(1nM)によるCREBリン酸化を濃度依存的に抑制した(n=4~5)。
【0124】
[実施例7]PACAP腰部皮内投与の効果
PACAP(1~1,000pmol)を腰部皮内投与(10μL)すると、用量依存的に投与部位を噛んだり、舐めたり、引っ掻いたりする掻痒行動が認められたが、血管作動性腸管ペプチド(VIP)(100pmol)ではそのような効果は認められなかったことから、この効果はPAC1受容体を介したものと考えられる(
図6)。
【0125】
[実施例8]PACAP皮内投与により誘発される掻痒行動は、PA-8の同時皮内投与あるいはナルトレキソン(NTX)の皮下前投与により抑制される。
【0126】
PACAP(100pmol)を腰部皮内投与(10μL)により誘発される噛み・舐め・引っ掻き行動は、PA-8(0.01~1nmol)の同時皮内投与により用量依存的に抑制された(
図7A)。SLNは生理食塩水の皮内投与を示す。DMSO(10%溶液。生理食塩水へ溶解)はPA-8の溶媒である。また、オピオイド受容体拮抗薬ナルトレキソン(NTX:1mg/kg)をPACAP皮内投与15分前に皮下投与しておくと、PACAP(100pmol)皮内投与による掻痒行動誘発が著明に抑制された(
図7B)。SLNはNTXの代わりに生理食塩水投与を示す。
【0127】
[実施例9]PACAP皮内投与により誘発される掻痒行動は、PA-8あるいは化合物2oの同時皮内投与により抑制される。
【0128】
PACAP(100pmol)を腰部皮内投与(10μL)により誘発される噛み・舐め・引っ掻き行動は、PA-8(0.01~1nmol)あるいは化合物2o(0.01~1nmol)の同時皮内投与により用量依存的に抑制された(
図8)。SLNは生理食塩水の皮内投与を示す。VEH(10%DMSO溶液。生理食塩水へ溶解)はPA-8及び化合物2oの溶媒である。
【0129】
[実施例10]PACAP皮内投与により誘発される掻痒行動は、PA-9あるいは化合物3dの同時皮内投与により抑制される。
【0130】
PACAP(100pmol)を腰部皮内投与(10μL)により誘発される噛み・舐め・引っ掻き行動は、PA-9(0.01~1nmol)あるいは化合物3d(0.01~1nmol)の同時皮内投与により用量依存的に抑制される(
図9)。SLNは生理食塩水の皮内投与を示す。VEH(10%DMSO溶液。生理食塩水へ溶解)はPA-9及び化合物3dの溶媒である。
【0131】
[実施例11]クロロキン(Chloroquine)皮内投与により誘発される掻痒行動は、PA-8あるいはPA-9の髄腔内前投与により抑制されるが、同時皮内投与では抑制されない。
【0132】
クロロキン(100μg/10μL)は腰部へ皮内注射した(intradermal injection, i.d.)。注射部位を噛んだり、舐めたり、引っ掻いたりする反応を掻痒行動として、その行動時間を5分間ごとに計測した。PA-8(1nmol)、あるいはPA-9(1nmol)の髄腔内前投与(10分前i.t.)はクロロキン誘発掻痒行動をほぼ完全に抑制したが、同時皮内投与(Co-i.d.)では抑制しなかった(
図10)。DMSO(10%溶液。生理食塩水へ溶解)はPA-8あるいはPA-9の溶媒である。
【0133】
[実施例12]Compound48/80皮内投与により誘発される掻痒行動は、PA-8あるいはPA-9の髄腔内前投与により抑制されるが、同時皮内投与では抑制されない。
【0134】
Compound48/80(100μg/10μL)は腰部へ皮内注射した(intradermal injection, i.d.)。注射部位を噛んだり、舐めたり、引っ掻いたりする反応を掻痒行動として、その行動時間を5分間ごとに計測した。PA-8(1nmol)、あるいはPA-9(1nmol)の髄腔内前投与(10分前i.t.)はCompound48/80誘発掻痒行動をほぼ完全に抑制したが、同時皮内投与(Co-i.d.)では抑制しなかった(
図11)。DMSO(10%溶液。生理食塩水へ溶解)はPA-8あるいはPA-9の溶媒である。
【0135】
[実施例13]アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた薬効評価
本試験は、動物における痒みの評価方法として公表されている試験系であるKitamuraら(Kitamura A., Takata R., Aizawa S., et al.: A murine model of atopic dermatitis can be generated by painting the dorsal skin with hapten twice 14 days apart, Scientific Rep., 8:5988, 2018)の方法を参考に実施した。
【0136】
5週齢ICR系マウス(30匹)を個体別にケージに入れ、1週間馴化し、試験開始3日前に腰部を剃毛した。実験開始日に皮膚バリアの機能を破壊する目的でテープストリッピングを行い、0.15%2,4-ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)溶液[アセトン/オリーブオイル(3:1)]を除毛したマウス腰部へ100μLピペットを用いて塗布した。7日後に0.15%DNFB溶液をもう一度塗布し、2時間後にビデオ観察を1時間行った。剃毛した30匹のマウスを6匹ずつPA-8、30mg/kg経口(p.o.)投与群、化合物2o、30mg/kg経口(p.o.)投与群、PA-9、30mg/kg経口(p.o.)投与群、化合物3d、30mg/kg(p.o.)投与群、溶媒投与群(VEH:10%DMSO水溶液経口投与)の5群に分けた。経口投与はビデオ観察の30分前に行った。
【0137】
アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた行動実験の手順の概略を
図12に、各群の掻き時間を評価した結果を
図13に示す。
図13から、PA-8、PA-9又はそれらの誘導体(化合物2o、化合物3d)を経口投与することで、DNFB処理により誘発される掻痒行動が有意に抑制されたことがわかる。
【0138】
[実施例14]乾癬モデルマウスを用いた薬効評価
本試験は、動物における痒みの評価方法として公表されている試験系であるvan der Fits ら(van der Fits L., Mourits S., Voerman JSA., et al.: Imiquimod-Induced Psoriasis-Like Skin Inflammation in Mice Is Mediated via the IL-23/IL-17 Axis, J. Immunol., 182, 5836-5845, 2009)の方法を参考に実施した。
【0139】
5週齢ICR系マウス(20匹)を個体別にケージに入れ、1週間馴化し、試験開始前3日前に腰部を剃毛した。剃毛したマウスの腰部皮膚に、市販のイミキモドクリーム (5%ベセルナクリーム;持田製薬)62.5mgを1日1回5日間塗布し、イミキモド誘発乾癬モデルを作製した。5日目の最終塗布後24時間後にビデオ観察を1時間行った。剃毛した20匹のマウスを4匹ずつPA-8、30mg/kg経口(p.o.)投与群、化合物2o、30mg/kg経口(p.o.)投与群、PA-9、30mg/kg経口(p.o.)投与群、化合物3d、30mg/kg(p.o.)投与群、溶媒投与群(VEH:10%DMSO水溶液経口投与)の5群に分けた。経口投与はビデオ観察の30分前に行った。
【0140】
各群の掻き時間を評価した結果を
図14に示す。
図14から、PA-8、PA-9又はそれらの誘導体(化合物2o、化合物3d)を経口投与することで、イミキモド塗布により誘発される掻痒行動が有意に抑制されたことがわかる。
【0141】
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。