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特許7501948吊車走行装置、建具、および吊車本体部取り外し方法
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  • 特許-吊車走行装置、建具、および吊車本体部取り外し方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】吊車走行装置、建具、および吊車本体部取り外し方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
E05D15/06 122
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023129526
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】592048176
【氏名又は名称】ケージーパルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119389
【弁理士】
【氏名又は名称】門脇 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-57372(JP,A)
【文献】特開2004-156216(JP,A)
【文献】特開2008-255755(JP,A)
【文献】特開2017-193944(JP,A)
【文献】特開2002-81258(JP,A)
【文献】特開2012-7459(JP,A)
【文献】特開2002-357045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に位置するレールに沿って建具を走行させる吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結して前記建具に固定される箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を前記建具に位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置であって、
前記本体位置決め装着部は、前記建具の端面側から奥側に向けて位置決めされ、端面側の底から上向きに突き出て前記吊車本体部の位置を確定する位置決め凸部を備え、
前記吊車本体部は、前記箱状体の下方に位置して前記位置決め凸部を端面側から奥側へかけて覆って相互に噛み合うブロック状凹部と、前記ブロック状凹部の端面側上方に位置して端面側から奥側へ抜ける貫通穴を有する窓枠部と、前記ブロック状凹部から奥側へ伸びた腕状部と、前記腕状部の奥側端に位置して前記窓枠部を振り子的に回転させる回転軸と、前記腕状部にU字型の一端が固定されU字型の他端を前記箱状体の側へ押し付けて前記ブロック状凹部を前記位置決め凸部に押し付ける端面側に開放したU字型板バネ部と、を備え、
前記本体位置決め装着部へ前記吊車本体部が嵌め込まれたときは、前記位置決め凸部に前記ブロック状凹部が噛み合って固定され、
前記吊車本体部が前記本体位置決め装着部から外されるときは、外部から前記窓枠部へ挿入された連結解除治具が前記窓枠部の上方枠を上方へ押し上げて前記ブロック状凹部と前記位置決め凸部との噛み合いを解除し、前記上方枠に上向きの圧力を加えた状態で前記吊車本体部は前記連結解除治具の水平方向への引き出しに合わせて引き出されること、
を特徴とする吊車走行装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吊車走行装置であって、
前記ブロック状凹部の奥側は突起状であり、腕状部にかけて上方に向かう傾斜部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の吊車走行装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の吊車走行装置であって、
前記上方枠は、前記吊車本体部が設定されたときに前記レールに沿う水平位置に上面および下面を備えること、
を特徴とする吊車走行装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の吊車走行装置であって、
前記連結解除治具は、前記貫通穴を通過する先端寸法を有するマイナスドライバー形状体、または、前記マイナスドライバー形状体の先端に前記窓枠部の前記上方枠に掛かる上向きの枠用爪を有する枠用爪保有形状体であること、
を特徴とする吊車走行装置。
【請求項5】
水平に位置するレールに沿って走行する吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結した箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置を走行方向の端面側に装着した建具であって、
前記吊車走行装置は、請求項1に記載の吊車走行装置であること、
を特徴とする建具。
【請求項6】
水平に位置するレールに沿って建具を走行させる吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結して前記建具に固定される箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置において、前記建具に嵌め込んだ前記吊車本体部を取り外す吊車本体部取り外し方法であって、
前記吊車走行装置は、請求項4に記載の吊車走行装置であり、
前記連結解除治具は、前記マイナスドライバー形状体であり、
前記マイナスドライバー形状体の先端を前記窓枠部へ挿入する工程と、
前記マイナスドライバー形状体の先端を押し上げて前記窓枠部の上方枠を上方へ押し上げて前記ブロック状凹部と前記位置決め凸部との噛み合いを解除する工程と、
前記マイナスドライバー形状体の先端で前記上方枠を押し上げて噛み合いを解除した状態で前記マイナスドライバー形状体を引き出す水平方向の引き出し外力を加えて前記吊車本体部を引き出す工程と、を備えること、
を特徴とする吊車本体部取り外し方法。
【請求項7】
水平に位置するレールに沿って建具を走行させる吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結して前記建具に固定される箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置において、前記建具に嵌め込んだ前記吊車本体部を取り外す吊車本体部取り外し方法であって、
前記吊車走行装置は、請求項4に記載の吊車走行装置であり、
前記連結解除治具は、前記枠用爪保有形状体であり、
前記枠用爪保有形状体の先端を前記窓枠部へ挿入する工程と、
前記枠用爪保有形状体の上向きの枠用爪を前記上方枠に掛けて上方へ押し上げ、前記ブロック状凹部と前記位置決め凸部との噛み合いを解除する工程と、
前記上方枠を押し上げた状態で前記枠用爪保有形状体を引き出す水平方向の引き出し外力を加えて前記吊車本体部を引き出す工程と、を備えること、
を特徴とする吊車本体部取り外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具を走行させる吊車を有する吊車走行装置、このような吊車走行装置を装着した建具、および、建具からの吊車本体部取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
戸板の上部両隅に吊戸用の吊車の支持ブロックを装着する凹部を備えた建具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような建具において、吊車の支持ブロックは戸板の凹部に装着される。吊車の支持ブロックは、薄い戸板に設定されることから、小型化される。つまり、吊車の支持ブロックは、狭小な領域に位置する。
このため、支持ブロックをメンテナンスする場合、支持ブロックを戸板から取り外すとき、支持ブロックの取り外しに特殊治具の利用が必須となり、支持ブロックに傷が付くことがあり、細心の注意を払った細部に渡る作業が必要になり、作業効率が落ちる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-329737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、従来技術に係る吊車走行装置の改良に努めている。その際、戸板に設定した支持ブロックの取り扱いに課題が生じることを見出した。
つまり、吊車走行装置は、吊車部に連結した吊車本体部を建具に設けた凹部へ配置することから、吊車本体部の取り扱い、具体的には、吊車本体部を後日保守作業のために建具から取り出すときの困難性が大きな課題となることを見出した。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、外部から連結解除治具を適用して吊車本体部を本体位置決め装着部から取り外せる吊車走行装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、このような吊車走行装置を適用した建具を提供することを他の目的とする。
また、本発明は、吊車本体部を本体位置決め装着部から取り外すときの、吊車本体部取り外し方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る吊車走行装置は、水平に位置するレールに沿って建具を走行させる吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結して前記建具に固定される箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を前記建具に位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置であって、前記本体位置決め装着部は、前記建具の端面側から奥側に向けて位置決めされ、端面側の底から上向きに突き出て前記吊車本体部の位置を確定する位置決め凸部を備え、前記吊車本体部は、前記箱状体の下方に位置して前記位置決め凸部を端面側から奥側へかけて覆って相互に噛み合うブロック状凹部と、前記ブロック状凹部の端面側上方に位置して端面側から奥側へ抜ける貫通穴を有する窓枠部と、前記ブロック状凹部から奥側へ伸びた腕状部と、前記腕状部の奥側端に位置して前記窓枠部を振り子的に回転させる回転軸と、前記腕状部にU字型の一端が固定されU字型の他端を前記箱状体の側へ押し付けて前記ブロック状凹部を前記位置決め凸部に押し付ける端面側に開放したU字型板バネ部と、を備え、前記本体位置決め装着部へ前記吊車本体部が嵌め込まれたときは、前記位置決め凸部に前記ブロック状凹部が噛み合って固定され、前記吊車本体部が前記本体位置決め装着部から外されるときは、外部から前記窓枠部へ挿入された連結解除治具が前記窓枠部の上方枠を上方へ押し上げて前記ブロック状凹部と前記位置決め凸部との噛み合いを解除し、前記上方枠に上向きの圧力を加えた状態で前記吊車本体部は前記連結解除治具の水平方向への引き出しに合わせて引き出されること、を特徴とする。
したがって、本発明に係る吊車走行装置は、連結解除治具により、吊車本体部と水槽台カバーとの噛み合わせを解除した状態(上方枠に上向きの圧力を加えた状態)で連結解除治具を水平方向に引き出せば摩擦力がそのまま作用する吊車本体部は連結解除治具の移動に合わせて外部へ引き出される。
【0006】
また、本発明の一実施の形態に係る吊車走行装置では、前記ブロック状凹部の奥側は突起状であり、腕状部にかけて上方に向かう傾斜部を有すること、を特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る吊車走行装置では、前記上方枠は、前記吊車本体部が設定されたときに前記レールに沿う水平位置に上面および下面を備えること、を特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る吊車走行装置では、前記連結解除治具は、前記貫通穴を通過する先端寸法を有するマイナスドライバー形状体、または、前記マイナスドライバー形状体の先端に前記窓枠部の前記上方枠に掛かる上向きの枠用爪を有する枠用爪保有形状体であること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る建具は、水平に位置するレールに沿って走行する吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結した箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置を走行方向の端面側に装着した建具であって、前記吊車走行装置は、本発明に係る吊車走行装置であること、を特徴とする。
したがって、本発明に係る建具は、吊車本体部の取り外しが容易にかつ効率的に行えるので、メンテナンス性の良い建具となる。
【0008】
また、本発明に係る吊車本体部取り外し方法は、水平に位置するレールに沿って建具を走行させる吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結して前記建具に固定される箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置において、前記建具に嵌め込んだ前記吊車本体部を取り外す吊車本体部取り外し方法であって、前記吊車走行装置は、本発明に係る吊車走行装置であり、前記連結解除治具は、前記マイナスドライバー形状体であり、前記マイナスドライバー形状体の先端を前記窓枠部へ挿入する工程と、前記マイナスドライバー形状体の先端を押し上げて前記窓枠部の上方枠を上方へ押し上げて前記ブロック状凹部と前記位置決め凸部との噛み合いを解除する工程と、前記マイナスドライバー形状体の先端で前記上方枠を押し上げて噛み合いを解除した状態で前記マイナスドライバー形状体を引き出す水平方向の引き出し外力を加えて前記吊車本体部を引き出す工程と、を備えること、を特徴とする。
したがって、本発明に係る吊車本体部取り外し方法は、マイナスドライバー形状体を適用して吊車本体部を引き出すので、簡易な治具と比較的簡略な工程を適用して吊車本体部を取り出しやすく吊車本体部に対するメンテナンス作業が容易になりやすい。
また、本発明に係る吊車本体部取り外し方法は、水平に位置するレールに沿って建具を走行させる吊車を有する吊車部と、前記吊車部に連結して前記建具に固定される箱状体を有する吊車本体部と、前記吊車本体部を位置決めして装着する本体位置決め装着部と、を備える吊車走行装置において、前記建具に嵌め込んだ前記吊車本体部を取り外す吊車本体部取り外し方法であって、前記吊車走行装置は、本発明に係る吊車走行装置であり、前記連結解除治具は、前記枠用爪保有形状体であり、前記枠用爪保有形状体の先端を前記窓枠部へ挿入する工程と、前記枠用爪保有形状体の上向きの枠用爪を前記上方枠に掛けて上方へ押し上げ、前記ブロック状凹部と前記位置決め凸部との噛み合いを解除する工程と、前記上方枠を押し上げた状態で前記枠用爪保有形状体を引き出す水平方向の引き出し外力を加えて前記吊車本体部を引き出す工程と、を備えること、を特徴とする。
したがって、本発明に係る吊車本体部取り外し方法は、枠用爪保有形状体を適用して吊車本体部を引き出すので、簡易な治具と比較的簡略な工程を適用して吊車本体部を取り出しやすく吊車本体部に対するメンテナンス作業が容易になりやすい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る吊車走行装置は、外部から窓枠部へ挿入された連結解除治具がブロック状凹部と位置決め凸部との噛み合いを解除し、上方枠に上向きの圧力を加えた状態で吊車本体部を連結解除治具の水平方向への引き出しに合わせて引き出すので、連結解除治具による簡単な操作によって吊車本体部を容易に取り出せるという効果を奏する。
また、本発明に係る建具は、本発明に係る吊車走行装置を適用するので、建具からの吊車本体部の取り外しが容易にかつ効率的に行えるので、メンテナンス性の良い建具となるという効果を奏する。
また、本発明に係る吊車本体部取り外し方法は、シンプルな構成の連結解除治具を適用することで、簡易な治具と比較的簡略な工程を適用して吊車本体部を取り出しやすく吊車本体部に対するメンテナンス作業が容易になりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る吊車走行装置における組み立て前の本体位置決め装着部に対する吊車部および吊車本体部の分離状態を斜め上方から見て示す分離斜視図である。
図2図1に示した吊車走行装置の建具への装着状態を一部断面として側面から透視的に見て模式的に示す一部断面透視的模式側面図である。
図3図2に示した吊車走行装置において、吊車本体部を本体位置決め装着部から分離して外部へ引き出すためにマイナスドライバー形状体を貫通穴に差し込んだ状態を模式的に示す一部断面透視的模式側面図である。
図4図3に示した吊車走行装置において、マイナスドライバー形状体を上方に移動して位置決め凸部に対するブロック状凹部の噛み合わせを解除した状態を模式的に示す一部断面透視的模式側面図である。
図5図4に示した吊車走行装置において、位置決め凸部とブロック状凹部との噛み合わせの解除状態を拡大して模式的に示す一部断面透視的模式拡大側面図である。
図6図4に示した吊車走行装置において、マイナスドライバー形状体を水平方向に引き出して吊車本体部を本体位置決め装着部(建具)から分離した状態を模式的に示す一部断面透視的模式的側面図である。
図7図5で示したマイナスドライバー形状体の拡大図に対応させて枠用爪保有形状体による位置決め凸部とブロック状凹部との噛み合わせの解除状態を拡大して模式的に示す一部断面透視的模式拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面(図1ないし図7)を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]図1図6
図1ないし図6を参照して、本発明の実施の形態1に係る吊車走行装置1および建具50について説明する。併せて、連結解除治具TJとして機能するマイナスドライバー形状体T1による吊車本体部取り外し方法(工程)について説明する。
なお、実施の形態2は、連結解除治具TJとして機能する枠用爪保有形状体T2に関する。マイナスドライバー形状体T1、枠用爪保有形状体T2を区別する必要がないときは、単に連結解除治具TJとすることがある。
図1は、本発明の実施の形態1に係る吊車走行装置1における組み立て前の本体位置決め装着部40に対する吊車部10および吊車本体部20の分離状態を斜め上方から見て示す分離斜視図である。
図2は、図1に示した吊車走行装置1の建具50への装着状態を一部断面として側面から透視的に見て模式的に示す一部断面透視的模式側面図である。なお、図2以下においては、本発明の主要部である、位置決め凸部46、ブロック状凹部24、傾斜部24s、貫通穴26、窓枠部28、上方枠29、下面29d、上面29h等についてハッチングによる断面表示をして理解の一助としている。
図3は、図2に示した吊車走行装置1において、吊車本体部20を本体位置決め装着部40から分離して外部へ引き出すためにマイナスドライバー形状体T1を貫通穴26(図2図5参照)に差し込んだ状態を模式的に示す一部断面透視的模式側面図である。
図4は、図3に示した吊車走行装置1において、マイナスドライバー形状体T1を上方に移動して位置決め凸部46に対するブロック状凹部24の噛み合わせを解除した状態を模式的に示す一部断面透視的模式側面図である。
図5は、図4に示した吊車走行装置1において、位置決め凸部46とブロック状凹部24との噛み合わせの解除状態を拡大して模式的に示す一部断面透視的模式拡大側面図である。
図6は、図4に示した吊車走行装置1において、マイナスドライバー形状体T1を水平方向に引き出して吊車本体部20を本体位置決め装着部40(建具50)から分離した状態を模式的に示す一部断面透視的模式的側面図である。
【0012】
本実施の形態に係る車走行装置1は、水平に位置するレール55に沿って建具50を走行させる吊車12を有する吊車部10と、吊車部10に連結して建具50に固定される箱状体22を有する吊車本体部20と、吊車本体部20を建具50に位置決めして装着する本体位置決め装着部40と、を備える。
吊車走行装置1において、本体位置決め装着部40は、建具50の端面側から奥側に向けて位置決めされ、端面側の底から上向きに突き出て吊車本体部20の位置を確定する位置決め凸部46を備える。
また、吊車本体部20は、箱状体22の下方に位置して位置決め凸部46を端面側から奥側へかけて覆って相互に噛み合うブロック状凹部24と、ブロック状凹部24の端面側上方に位置して端面側から奥側へ抜ける貫通穴26を有する窓枠部28と、ブロック状凹部24から奥側へ伸びた腕状部30と、腕状部30の奥側端に位置して窓枠部28を振り子的に回転させる回転軸32と、腕状部30にU字型の一端が固定されU字型の他端を箱状体22の側へ押し付けてブロック状凹部24を位置決め凸部46に押し付ける端面側に開放したU字型板バネ部34と、を備える。なお、固定されたU字型の一端は、下方(腕状部30)に結合されている。U字型の他端は、自由端として箱状体22にバネ性の機能の下で押圧される。
本体位置決め装着部40は、吊車本体部20が装着される空間の奥側および底側に予め挿入され固定される。本体位置決め装着部40は、奥側に建具奥側部42が位置し、底側に装着底部44が位置して固定される。本体位置決め装着部40が建具50(吊車走行装置1の装着用空間としての本体位置決め装着部40が配置される空間が予め形成されている)の内側に配置された後に、吊車本体部20は、挿入され位置決めして固定される。
【0013】
吊車走行装置1において、本体位置決め装着部40へ吊車本体部20が嵌め込まれたときは、位置決め凸部46にブロック状凹部24が噛み合って固定され(図2)、吊車本体部20が本体位置決め装着部40から外されるときは、外部から窓枠部28へ挿入された連結解除治具TJが窓枠部28の上方枠29を上方へ押し上げてブロック状凹部24と位置決め凸部46との噛み合いを解除し、上方枠29に上向きの圧力を加えた状態で吊車本体部連結解除治具TJの水平方向への引き出しに合わせて引き出される(図3図6)。
本体位置決め装着部40の位置決め凸部46と吊車本体部20のブロック状凹部24とは、相互に位置決めされ互いに噛み合うので本体位置決め装着部40は吊車本体部20を確実に建具50に位置決めして固定しやすい。また、位置決めされた後は、U字型板バネ部34が腕状部30を本体位置決め装着部40の側へ押し付けるので安定した固定を維持しやすい(図2)。
【0014】
本実施の形態に係る吊車走行装置1は、吊車本体部20を建具50(本体位置決め装着部40)から分離して取り出すとき、外部から吊車本体部20の窓枠部28へ連結解除治具TJを挿入して吊車本体部20に対する押し上げと引き出しの作業をするという簡単な操作によって吊車本体部20を容易に本体位置決め装着部40から取り出すことができる(図3図6)。
より具体的には、連結解除治具TJにより、吊車本体部20と水槽台カバー40との噛み合わせを解除した状態で連結解除治具TJを水平方向に引き出せば摩擦力がそのまま作用する吊車本体部20は連結解除治具TJの移動に合わせて外部へ引き出される。
つまり、吊車本体部20の取り出し作業を簡略化しやすい。これにより、建具50のメンテナンスが容易になりやすい。
【0015】
本体位置決め装着部40の装着底部44に位置する位置決め凸部46と吊車本体部20のブロック状凹部24とは、互いに噛み合わせ寸法が整合しているので、高い精度で位置決めし、高い強度で固定できる。
位置決め凸部46は、吊車走行装置1の走行方向(水平方向)に対して交差する垂直方向に立ち上がる断面矩形の凸状とさされることが好ましい。この構成によって、より高い精度での位置決めと、より高い強度での固定とがしやすい。
吊車部10は、吊車12と吊車12を保持する保持部14とを備える。保持部14は、吊車本体部20に連結される。
窓枠部28は、位置決め凸部46を覆うブロック状凹部24の端面側上方に位置して端面側から奥側へ抜ける貫通穴26を有するので容易に外部から連結解除治具TJを挿入しやすい。挿入された連結解除治具TJは、上方に押し上げられるので上方枠29を上方へ移動させて位置決め凸部46とブロック状凹部24との噛み合わせを容易に解除しやすい(図5)。ブロック状凹部24の噛み合わせが解除された吊車本体部20は水平方向へ移動する連結解除治具TJにより摩擦力が作用して容易にそのまま取り出される。
【0016】
記載の吊車走行装置1において、ブロック状凹部24の奥側は突起状であり、腕状部30にかけて上方に向かう傾斜部24sを有する(図5参照)。
ブロック状凹部24は、奥側の端から腕状部30にかけて上方に向かう傾斜部24sを有するので、U字型板バネ部34が作用して、ブロック状凹部24は、凹凸による引っ掛かりを抑制して滑動的に移動するので、位置決め凸部46を容易に覆いやすい。
つまり、位置決め前の吊車本体部20を装着底部44に差し込むとき、ブロック状凹部24の傾斜部24sは、U字型板バネ部34と協働して腕状部30を上方に回転移動させるので、結果としてブロック状凹部24は、滑動的に位置決め凸部46を覆うように移動する。
吊車走行装置1において、上方枠29は、吊車本体部20が設定されたときにレール55に沿う水平位置に上面29hおよび下面29dを備える(図5参照)。
吊車本体部20は、成形の精度を向上させた成形しやすい水平方向に上面29hおよび下面29dを有する上方枠29を備え、連結解除治具TJを挿入するときの位置決めと操作が容易にかつ正確にしやすい。
【0017】
本実施の形態の吊車走行装置1において、連結解除治具TJは、貫通穴26を通過する先端寸法を有するマイナスドライバー形状体T1(図3図6)である。なお、マイナスドライバー形状体T1とは、マイナスドライバーそのもの、あるいはその類似部材を含む意味である。マイナスドライバー形状体T1は、人が把持する把持部(符号省略)と把持部から伸びた金具部(符号省略)とで構成され、金具部は薄板状の金属板であり、用途に応じた幅と厚みを有する。
連結解除治具TJは、マイナスドライバー形状体T1であるので、貫通穴26および窓枠部28に対する寸法の整合性と強度の確保を取りやすく、貫通穴26への通過と、窓枠部28に対する押し当てが容易にかつ正確にしやすく(図4図5)、吊車本体部20は効率よく本体位置決め装着部40から引き出しやすい。
【0018】
以下、本実施の形態に係る建具50について説明する。本実施の形態に係る建具50は、水平に位置するレール55に沿って走行する吊車12を有する吊車部10と、吊車部10に連結した箱状体22を有する吊車本体部20と、吊車本体部20を位置決めして装着する本体位置決め装着部40と、を備える吊車走行装置1を走行方向の端面側に装着している。
建具50は、吊車本体部20の取り外しが容易にかつ効率的に行えるので、メンテナンス性の良い建具となる。
【0019】
以下、本実施の形態に係る吊車本体部取り外し方法について説明する。
本実施の形態に係る吊車本体部取り外し方法は、水平に位置するレール55に沿って建具50を走行させる吊車12を有する吊車部10と、吊車部10に連結して建具50に固定される箱状体22を有する吊車本体部20と、吊車本体部20を位置決めして装着する本体位置決め装着部40と、を備える吊車走行装置1において、建具50に嵌め込んだ吊車本体部20を取り外す吊車本体部取り外し方法であり、吊車走行装置1は、本実施の形態に係る吊車走行装置1である。
本実施の形態に係る連結解除治具TJは、マイナスドライバー形状体T1であり、吊車本体部取り外し方法は、マイナスドライバー形状体T1の先端を窓枠部28へ挿入する工程(図3)と、マイナスドライバー形状体T1の先端を押し上げて窓枠部28の上方枠29を上方へ押し上げてブロック状凹部24と位置決め凸部46との噛み合いを解除する工程(図4図5)と、マイナスドライバー形状体T1の先端で上方枠29(下面29d)を押し上げて噛み合いを解除した状態でマイナスドライバー形状体T1を引き出す水平方向の引き出し外力を加えて吊車本体部20を引き出す工程(図6)と、を備える。
【0020】
図3は、外力F1を示す。マイナスドライバー形状体T1には、外力F1(水平方向において、外側から吊車本体部20に向かう内向きの外力)が加わる。これにより、マイナスドライバー形状体T1は、貫通穴26(窓枠部28。なお、図3では、見やすさを考慮して符号26は記載を省略している。符号26については図2図5を参照。)に挿入される。
図4図5は、外力F2を示す。マイナスドライバー形状体T1には、外力F2(垂直方向において、下側から上側へ向かう上向きの外力)が加わる。これにより、下面29d(窓枠部28、上方枠29)は、上方へ移動し、結果としてブロック状凹部24が位置決め凸部46との噛み合いを解除される。
図6は、外力F3を示す。ブロック状凹部24と位置決め凸部46との解除状態を維持したままで、マイナスドライバー形状体T1には、外力F3(水平方向において、内側から外側へ向かう外向きの外力)が加わる。外力F3は、図示したとおりの外向きの力であり、相互に摩擦し合う下面29dに対するマイナスドライバー形状体T1の先端の移動に伴って生じ、水平方向における引き出し外力として作用し、吊車本体部20は外部へ引き出される。
なお、図3図6において外力F1、外力F2、外力F3をマイナスドライバー形状体T1の把持部に模式的に示すが、実態はマイナスドライバー形状体T1の先端に同様の外力が作用するように操作される。
本実施の形態に係る吊車走行装置1は、マイナスドライバー形状体T1を窓枠部28へ挿入して、窓枠部28の上方枠29を上方へ押し上げてブロック状凹部24と位置決め凸部46との噛み合いを解除し、上方枠29の垂直方向の位置を維持した状態でマイナスドライバー形状体T1に水平方向の引き出し外力を加えてマイナスドライバー形状体T1を引き出す。
これにより、本実施の形態に係る吊車本体部取り外し方法は、マイナスドライバー形状体T1を適用して吊車本体部20を引き出すので、簡易な治具と比較的簡略な工程を適用して吊車本体部20を取り出しやすく吊車本体部20に対するメンテナンス作業が容易になりやすい。マイナスドライバー形状体T1を適用するので、吊車本体部20を傷つけずに取り出しやすい。
【0021】
[実施の形態2]図7図1図6
図7および図1図6を参照して、本発明の実施の形態2に係る吊車走行装置1、建具50について説明する。併せて、連結解除治具TJとして機能する枠用爪保有形状体T2による吊車本体部取り外し方法(工程)について説明する。
本実施の形態に係る吊車走行装置1および建具50においては、枠用爪保有形状体T2以外の事項は、実施の形態1と同一であるので同一符号を付して説明は省略する。つまり、図1図6と基本的な構成は同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明を適宜省略する。
図7は、図5で示したマイナスドライバー形状体T1の拡大図に対応させて枠用爪保有形状体T2による位置決め凸部46とブロック状凹部24との噛み合わせの解除状態を拡大して模式的に示す一部断面透視的模式拡大側面図である。
【0022】
本実施の形態に係る吊車走行装置1において、連結解除治具TJは、マイナスドライバー形状体T1の先端に窓枠部28の上方枠29に掛かる上向きの枠用爪T2cを有する枠用爪保有形状体T2である。
連結解除治具TJは、マイナスドライバー形状体T1の先端に窓枠部28の上方枠29に掛かる上向きの枠用爪T2cを有する枠用爪保有形状体T2であるので、貫通穴26への通過と、マイナスドライバー形状体T1では窓枠部28に対する押し当て、枠用爪保有形状体T2では窓枠部28に対する引っ掛けが容易にかつ正確にしやすく、吊車本体部20は効率よく本体位置決め装着部40から引き出しやすい。
枠用爪保有形状体T2とは、マイナスドライバー形状体T1の先端が窓枠部28の上方枠29に掛かる枠用爪T2cを有する意味である。枠用爪保有形状体T2における枠用爪T2cの寸法は、貫通穴26および窓枠部28の寸法との整合性と強度の確保を参酌して規定される。
【0023】
以下、本実施の形態に係る吊車本体部取り外し方法について説明する。
本実施の形態に係る吊車本体部取り外し方法は、水平に位置するレール55に沿って建具50を走行させる吊車12を有する吊車部10と、吊車部10に連結して建具50に固定される箱状体22を有する吊車本体部20と、吊車本体部20を位置決めして装着する本体位置決め装着部40と、を備える吊車走行装置1において、建具50に嵌め込んだ吊車本体部20を取り外す吊車本体部取り外し方法であって、吊車走行装置1は、実施の形態1に係る吊車走行装置1である。
本実施の形態に係る連結解除治具TJは、枠用爪保有形状体T2であり、吊車本体部取り外し方法は、枠用爪保有形状体T2の先端を窓枠部28へ挿入する工程(図3と同様)と、枠用爪保有形状体T2の上向きの枠用爪T2cを上方枠29に掛けて上方へ押し上げ、ブロック状凹部24と位置決め凸部46との噛み合いを解除する工程(図7)と、上方枠29を押し上げた状態で枠用爪保有形状体T2を引き出す水平方向の引き出し外力を加えて吊車本体部20を引き出す工程(図6と同様)と、を備える。
図3におけるマイナスドライバー形状体T1の代わりに枠用爪保有形状体T2が挿入され、枠用爪保有形状体T2には、マイナスドライバー形状体T1と同様に、外力F1(実施の形態1参照)が加わる。
図4図5におけるマイナスドライバー形状体T1の代わりの枠用爪保有形状体T2に外力F2(図7)(実施の形態1参照)が加わる。これにより、下面29d(窓枠部28、上方枠29)は、上方へ移動し、結果としてブロック状凹部24が位置決め凸部46との噛み合いを解除される。
図7の後は、図6におけるマイナスドライバー形状体T1の代わりの枠用爪保有形状体T2が、ブロック状凹部24と位置決め凸部46との開示状態を維持したままで、枠用爪保有形状体T2には、外力F3(実施の形態1参照)が加わる。外力F3は、図示したとおりの外向きの力であり、水平方向における引き出し外力として作用し、吊車本体部20は外部へ引き出される。
【0024】
本実施の形態に係る吊車走行装置1は、枠用爪保有形状体T2を窓枠部28へ挿入して、枠用爪T2cを上方枠29に掛けて上方へ上方枠29を押し上げてブロック状凹部24と位置決め凸部46との噛み合いを解除し、上方枠29に対して上向きの枠用爪T2cを掛けて垂直方向の位置を維持した状態で枠用爪保有形状体T2に水平方向の引き出し外力を加えて枠用爪保有形状体T2を引き出す。
これにより、本実施の形態に係る吊車本体部取り外し方法は、枠用爪保有形状体T2を適用して枠用爪T2cおよび窓枠部28(上方枠29)を介して吊車本体部20を引き出すので、簡易な治具と比較的簡略な工程を適用して吊車本体部20を取り出しやすく吊車本体部20に対するメンテナンス作業が容易になりやすい。枠用爪保有形状体T2を適用するので、吊車本体部20を傷つけずに取り出しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る吊車走行装置、建具、吊車本体部取り出し方法は、吊車走行装置における吊車本体部の建具からの取り出しが容易であり、メンテナンスにおいて有効に作用するので、利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0026】
1 吊車走行装置
10 吊車部
12 吊車
14 保持部
20 吊車本体部
22 箱状体
24 ブロック状凹部
24s 傾斜部
26 貫通穴
28 窓枠部
29 上方枠
29h 上面
29d 下面
30 腕状部
32 回転軸
34 U字型板バネ部
40 本体位置決め装着部
42 建具奥側部
44 装着底部
46 位置決め凸部
50 建具
55 レール
F1、F2、F3 外力
TJ 連結解除治具
T1 マイナスドライバー形状体
T2 枠用爪保有形状体
T2c 枠用爪
【要約】
【課題】外部から連結解除治具を適用して吊車本体部を本体位置決め装着部から取り外せる吊車走行装置、それを適用した建具、吊車本体部取り外し方法を提供する。
【解決手段】吊車走行装置1は、箱状体22を有する吊車本体部20と、吊車本体部20を建具に位置決めして装着する本体位置決め装着部40と、建具に位置決めされ、端面側の底から上向きに突き出て吊車本体部20の位置を確定する位置決め凸部46を備える。吊車本体部20は、箱状体22の下方で位置決め凸部46を覆って噛み合うブロック状凹部24と、ブロック状凹部24の上方に位置して貫通穴26を有する窓枠部28と、奥側へ伸びた腕状部30と、腕状部30の奥側で窓枠部28を振り子的に回転させる回転軸32と、腕状部30に一端が固定され他端を箱状体22の側へ押し付けてブロック状凹部24を位置決め凸部46に押し付ける端面側に開放したU字型板バネ部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7