(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】印刷用メタルマスク
(51)【国際特許分類】
B41N 1/24 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B41N1/24
(21)【出願番号】P 2024005266
(22)【出願日】2024-01-17
【審査請求日】2024-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591099061
【氏名又は名称】アテネ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 久司
(72)【発明者】
【氏名】露木 賢一
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-053416(JP,A)
【文献】特開2023-178373(JP,A)
【文献】特開2004-006577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 1/00-99/00
B41C 1/00- 3/08
B41D 1/00-99/00
B41F 15/00-15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
版枠の内側にメタルマスクを備え、前記メタルマスクの上面を移動するスキージによって、前記メタルマスクの下方に配設される被印刷物にペーストを印刷する印刷用メタルマスクであって、
前記メタルマスクの下面に、スキージの移動方向に対し略直角に、
縦弾性係数が1~2GPaである合成樹脂フィルムを複数枚重ねて複数の帯状突起を設けたことを特徴とする印刷用メタルマスク。
【請求項2】
前記帯状突起の高さが25μm~150μmであることを特徴とする請求項
1に記載の印刷用メタルマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の製造工程でペーストやフラックスを印刷するための印刷用メタルマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板等の電子部品にペースト(以下、フラックスを含む。)を印刷する際には、メッシュ状に織られた金属または樹脂に感光性乳剤を塗布後、印刷パターンを露光・現像して乳剤に開口部を形成したメッシュスクリーン版が使用されている。また、メッシュスクリーン版と同様の用途であるが、より高精細な印刷形態を実現すべく、被印刷物の印刷形態に対応した多数の微細孔を有するメタルマスクが使用されている。このメタルマスクは、めっきプロセスを用いた電鋳法により微細孔を形成するもので、高い精度で印刷形態を実現できる特徴がある。ここでは、メッシュスクリーン版とメタルマスクとを区別することなく、スクリーン版と称することとする。
【0003】
スクリーン版とスキージを使用してペーストを被印刷物に印刷する方法として、被印刷物とスクリーン版との間にギャップを設けて印刷を行うギャップ印刷法が知られている。ギャップ印刷法は、スクリーン版の上面をスキージで押付けて当該部位のギャップを無くしつつ、スキージを前傾した状態で水平方向に移動させて被印刷物にペーストを印刷するものである(
図5参照)。ギャップ印刷法はオフコンタクト法と称され、現在でも広く使用されている印刷法である。
【0004】
しかし、ギャップ印刷法ではスキージの移動に追随して順次スクリーン版が被印刷物から離れることになり、スキージの移動速度は一定であるから、結果としてスキージの移動位置によって版離れ速度が異なることになる。例えば、スキージが
図5(A)に示す位置にある場合、スキージの左側において被印刷物とスクリーン版とで形成される角度θ1は相対的に大きいため、版離れ速度は相対的に大きくなる。それに対し、スキージが
図5(B)に示す位置にある場合、スキージの左側において被印刷物とスクリーン版とで形成される角度θ2は相対的に小さいため(θ1>θ2)、版離れ速度は相対的に小さくなる。この版離れ速度の違いはペーストの塗布量に影響するため、印刷部位によって塗布量にバラつきが生じ、印刷品質が低下するという問題がある。他方、ギャップ印刷法は比較的簡単な装置で実現できるため、初期費用が低廉であり、小規模生産にも対応可能で、多様な被印刷物に適用できるという利点がある。
【0005】
上述した事情に鑑み、ギャップ印刷法におけるペーストの塗布量のバラつきによる印刷品質の低下を抑制すべく、種々の提案がなされている。
【0006】
その一つに、スクリーン版の版枠を、スキージの移動方向における刷り始め側に対し刷り終わり側が低くなるよう傾斜させて配置し、かつスキージの移動に連動させて版枠の傾斜を維持して、スクリーン版を被印刷物から離間させるようにしたギャップ印刷法がある(特許文献1参照)。
【0007】
また、版離れが容易となるよう被印刷物に接するスクリーン版の裏面に、エア抜き用の段差部(溝)を微細開口の周囲に設けたメタルマスクによる印刷法が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
さらに、ギャップ印刷法ではなく、専用の印刷装置を導入して版離れの改善を図った印刷法が提案されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-123327号公報
【文献】特開2000-313179号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】日本印刷学会誌第47巻第6号(2010)「スクリーン印刷法による微細回路形成技術」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載のスクリーン印刷法では、スキージの移動に連動してスクリーン版の傾斜を維持するために、昇降部および制御部が必要となり、多品種で小規模な印刷物の印刷には適さないという課題がある。
【0012】
特許文献2によるメタルマスクを用いる印刷法では、版離れについて一定の改善は図られるものの、版離れの良否の程度はエア抜き構造に依存し、印刷パターンによっては、良好なエア抜き構造を実現することが困難であった。また、この印刷法は被印刷物の上面にメタルマスクを載置するオンコンタクト印刷であることから、スキージの移動により印刷パターンの開口に印刷ペーストを充填した後、被印刷物からメタルマスクを離間する必要があった。そして、版離れの良否は被印刷物からメタルマスクを離間する方法に依存することになり、オンコンタクト印刷が有する版離れの問題を根本的に解決するものではなかった。
【0013】
非特許文献1によるスクリーン印刷法は、密閉加圧印刷方式であり、専用装置を導入する必要があることから初期費用が高額となる。したがって、大量生産には適用可能であるものの、多様な被印刷物に印刷する必要がある多品種少量生産には適さないという課題がある。
【0014】
上述した従来技術が有する問題に鑑み、本発明では、被印刷物の上面にメタルマスクを載置するオンコンタクト印刷でありながら、スキージの移動位置に関係なく、均一な版離れ速度となるように疑似的なギャップ印刷を実現し、塗布量のバラつきによる印刷品質低下の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、版枠の内側にメタルマスクを備え、前記メタルマスクの上面を移動するスキージによって、前記メタルマスクの下方に配設される被印刷物にペーストを印刷する印刷用メタルマスクであって、前記メタルマスクの下面に、スキージの移動方向に対し略直角に、縦弾性係数が1~2GPaである合成樹脂フィルムを複数枚重ねて複数の帯状突起を設けたことを特徴とする印刷用メタルマスクである。
【0017】
さらに、本発明は、請求項1に記載の印刷用メタルマスクにおいて、帯状突起の高さが25μm~150μmであることを特徴とする印刷用メタルマスクである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の印刷用メタルマスクによれば、複雑で高価な装置を必要としないオンコンタクト印刷であるにも拘らず、印刷範囲において疑似的なギャップ印刷を行うことができる。また、スキージの移動方向に対して略直角に複数の帯状突起を設けたことから、帯状突起間に配設された印刷範囲において、同一の版離れ速度を実現できる。したがって、ペースト塗布量のバラつきによる印刷品質の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の印刷用メタルマスクの平面図である。
【
図2】本発明の印刷用メタルマスクの断面図である。
【
図3】本発明の印刷用メタルマスクの使用状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の印刷用メタルマスクの垂直方向の変位量を示す線図である。
【
図5】従来技術であるギャップ印刷法を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、複数の帯状突起7が設けられた面(下面)を示す印刷用メタルマスク10の平面図であり、
図2は、
図1中のAーA矢視を示す断面図である。版枠1は作業者が作業し易い程度の厚さを有するアルミニウム製の矩形枠で構成されている。版枠1の下面には、スクリーン版としてのメタルマスク2が固着されている。したがって、作業者は版枠1を把持することで印刷用メタルマスク10を容易にハンドリングできるようにされている。
【0021】
メタルマスク2は、めっき技術を応用した周知の電鋳法により製作されている。ニッケル材料で製作されることが多いが、ニッケル材料に限定されるものではない。メタルマスク2の厚さは、被印刷物3の仕様に応じて適宜決定される。実施例でのメタルマスク2の厚さは50μmで形成されている。メタルマスク2には、被印刷物3の印刷範囲に対応して複数箇所に印刷パターン部4が形成されている。印刷パターン部4には、スキージ5の移動によってペースト6が充填される多数の細孔(図示省略)が設けられている。メタルマスク2のサイズ、厚さ、印刷パターンの形態、細孔の数、細孔の大きさ等は、被印刷物3の仕様に応じて適宜決定される。
【0022】
メタルマスク2の下面、すなわち、スキージ5が移動する上面とは反対側の面には、スキージ5の移動方向に対し略直角に、複数の帯状突起7が設けられている。帯状突起7の数は被印刷物3の印刷形態に応じて適宜決定され、複数の帯状突起7の間には印刷パターン部4が配設されている。
【0023】
実際の版枠1の大きさは、標準的に内側寸法が656mm×656mmとされているが、
図1ではスキージ5の移動域の例として250mm×250mmの範囲を示している。版枠1に固着されたメタルマスク2の下面には、スキージ5の移動方向に沿って11mm幅の帯状突起7が4箇所に設けられている。換言すると、スキージ5の移動方向に沿って設けられた帯状突起7と帯状突起7との間には、帯状突起7が貼付されていないメタルマスクだけの部位がある。この部位のスキージ5の移動方向の寸法は54mmで形成されおり、当該部位に印刷パターン部4が設けられている。実施例では、印刷パターン部4は24mm四方の矩形とされ、各々の印刷パターン部4には多数の細孔が形成されている。
【0024】
帯状突起7の材料には、金属材料に較べて縦弾性係数が小さな合成樹脂材料が使用される。好ましい合成樹脂材料の縦弾性係数は1~7GPaであり、より好適な縦弾性係数は1~2GPaである。このように縦弾性係数が比較的小さな合成樹脂材料で形成された帯状突起7に圧縮力が付与されると、帯状突起7には金属材料では得られないような大きな圧縮変形が得られる。実施例では、合成樹脂材料として、株式会社レゾナックの厚膜レジスト形成用感光性フィルムHM-4000シリーズを使用した。
【0025】
帯状突起7の数および幅寸法は、被印刷物3の仕様に応じて適宜決定される。帯状突起7の高さ寸法も被印刷物3の仕様に応じて決定されるが、以下の制約がある。帯状突起7の高さ(厚さ)寸法が低すぎると、帯状突起7の圧縮変形量が不足し、スキージ5が通過した際の版離れが悪くなる。一方、帯状突起7の高さ寸法が高すぎると、スキージ5に所定の押付け力を付与しても、メタルマスク2が被印刷物3の上面に一部接しなくなり不十分な印刷となる。
【0026】
実施例で使用した株式会社レゾナックの厚膜レジスト形成用感光性フィルムHM-4000シリーズは、複数の膜厚のフィルムが販売されており、これらのフィルムを複数枚重ねて帯状突起7を形成することで、種々の高さの帯状突起7を実現することができる。実施例では膜厚56μmのフィルムを2枚重ねて使用した。フィルム2枚を重ねて形成された帯状突起7の全高は略120μmであった(
図4(A)参照)。
【0027】
以下、本発明の印刷用メタルマスク10と、その帯状突起7の形成方法について、順を追って具体的に説明する。(1)メタルマスク2は周知の電鋳法によりニッケル材料を用いて所定の厚さに形成される。その際、印刷パターン部4には被印刷物3の仕様に応じて多数の細孔が形成される。(2)メタルマスク2の下面全体に厚膜レジスト形成用感光性フィルムを必要枚数ラミネートする。厚膜レジスト形成用感光性フィルムの厚さおよび必要枚数は、帯状突起7の高さが所要の高さになるよう選択決定される。(3)帯状突起7を形成する部位に対してレーザー直接描画装置(LDI)を用いて露光する。(4)未露光部の厚膜レジスト形成用感光性フィルムを現像し洗浄する。(5)帯状突起7として形成された厚膜レジスト形成用感光性フィルムに対して追露光(UVキュア、またはオーブンにより熱キュアを行う。)これらキュアの条件については、厚膜レジスト形成用感光性フィルムのメーカが推奨する条件に従って実施することができる。このような方法によって形成された実施例の帯状突起7の縦弾性係数は、約1.0GPaであった。
【0028】
つぎに、上述した工程により製作された印刷用メタルマスク10の版離れの様子について説明する。本発明による印刷用メタルマスク10は、
図3に示すように、メタルマスク2の下面に貼着された帯状突起7を被印刷物3の上面に載置し、メタルマスク2の上面をスキージ5で押付け、前傾しながら移動させて被印刷物3にペースト6を印刷するものである。したがって、本発明による印刷用メタルマスクを用いた印刷は、オンコンタクト印刷に属する。そのため、ギャップを確保するための構成が不要となり、簡素な構成で印刷が可能であることから初期費用が低廉であり、かつ版離れが良いという特徴を有する。
【0029】
実施例のメタルマスク2では、スキージ5の移動方向に沿って、左側、中央、右側の3箇所に印刷パターン部4が設けられている。スキージ5は前傾状態を維持しながら左側から右側へと一定速度で移動し、メタルマスク2のパターン部4の細孔内にペースト6が充填される。
図3(A)は左側の印刷パターン部4で印刷する状態を示し、
図3(B)は中央の印刷パターン部4で印刷する状態を示し、
図3(C)は右側の印刷パターン部4で印刷する状態を示している。
【0030】
図3(A)に示す状態では、スキージ5により押付けられたメタルマスク2は、左側の印刷パターン部4においてのみ被印刷物3の上面に接触し、ペースト6が印刷される。
図3(B)に示す状態では、スキージ5により押付けられたメタルマスク2は、中央の印刷パターン部4においてのみ被印刷物3の上面に接触し、ペースト6が印刷される。
図3(C)に示す状態では、スキージ5により押付けられたメタルマスク2は、右側の印刷パターン部4においてのみ被印刷物3の上面に接触し、ペースト6が印刷される。
【0031】
これら3つの状態の印刷においては、同一の版離れ条件を実現することができる。
図5に示した従来の印刷法のように、スキージ5の位置によって、被印刷物3の上面とメタルマスク2の下面が接する角度θ1、θ2が大きく異なることはない。しかも、隣り合う帯状突起7間に配設された印刷パターン部4におけるスキージ5の移動距離は短いことから、被印刷物3の上面とメタルマスク2の下面が接する角度の変化も小さい。これらのことから、いずれの状態においても、略同一の版離れ条件を実現することができる。したがって、スキージ5の移動位置によって版離れ速度が異なることに起因する印刷品質の低下を抑制することができる。
【0032】
つぎに、本発明の帯状突起7に用いる合成樹脂材料の縦弾性係数の適正値について、実施例に基づいて説明する。スキージ5の移動方向に沿って、左側、中央、右側の3箇所に設けられた印刷パターン部4において、同一の版離れ速度を実現するためには、メタルマスク2の下面に設けられた各帯状突起7が、スキージ5の押付け力Fによって適正な圧縮変形をすることが重要となる。
【0033】
メタルマスク2を版枠1に固着する際には、メタルマスク2の使用環境による温度変化等を考慮し、メタルマスク2に余分な弛みが生じないよう所定の張力を付与して固着される。したがって、メタルマスク2の上面をスキージ5により押付けても、金属材料であるメタルマスク自体が大きく伸びることはなく、本発明に係る印刷用メタルマスク10では、スキージ5の押付け力によって生じる被印刷物3の上面とメタルマスク2の下面とのギャップ(隙間)の変化量は、専ら縦弾性係数が小さな合成樹脂材料である帯状突起7の圧縮変形に大きく依存することになる。
【0034】
図4は、被印刷物3の上面に載置された印刷用メタルマスク10の中央部において、スキージ5により下向きの力を付与し、そのときのメタルマスク2の下方への変位量を測定したものである。スキージ5の移動範囲の辺長は250mmであり、横軸の単位はmmである。縦軸の尺度は横軸の尺度に対して約200倍とし、理解し易いようにしている。したがって、実際のメタルマスク2の下方への変位量は、
図4(A)に示す線図の約1/200となる。
【0035】
図4(B)に示すように、スキージ5による押付け力Fは、スキージ5の移動方向に沿った中央部、すなわちスキージ5の移動範囲の両端から125mmの位置に付与されている。スキージ5による押付け力Fの大きさはスキージ5のブレード単位幅換算で約160N/mである。
【0036】
スキージ5による押付け力Fがない状態では、帯状突起7は圧縮されず高さは変化しないことから、被印刷物3の上面とメタルマスク2の下面とのギャップ(隙間)は、約112μmとなる。他方、メタルマスク2の中央部に押付け力Fが付与された状態では、スキージ5の移動方向に沿って4箇所に設けられたすべての帯状突起7が圧縮変位していることが分かる。
図4(A)で示される線図から、押付け力Fが付与された中央部を境に左右の帯状突起7は、対称形で圧縮変位していることが分かる。具体的な圧縮変位量は、中央寄りの2箇所では約60μm程度、左右両端寄りの2箇所では約10μm程度の圧縮変位量となっている。
【0037】
この実施例の印刷用メタルマスク10では、スキージ5により押付けられたメタルマスク2の印刷パターン部においてのみ印刷が行われることになり、他の印刷パターン部では被印刷物3の上面とメタルマスク2の下面との間には、概略60μm以上の大きさのギャップが確保されていることが分かる。
【0038】
実際の印刷場面では、スキージ5が左側から右側へ移動すると、スキージ5によりメタルマスク2が押付けられてギャップが無くなる部位、すなわち印刷が行われる部位も左側から右側へ移動することになり、他の部位では大きなギャップが確保されることになる。したがって、本発明の印刷用メタルマスク10では、オンコンタクト印刷でありながら、疑似的にギャップ印刷を実現することが可能となる。
【0039】
上述した実施例では、スキージ5の移動方向に沿って、等間隔で4箇所に11mm幅の帯状突起7を設けたが、帯状突起7は不等間隔で設けてもよい。また、帯状突起7は連続した帯状でなく、不連続であっても構わない。帯状突起7の形状や寸法については、種々変形することができ、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る印刷用メタルマスクは、電子部品等の製造工程でペーストやフラックスを印刷するための印刷用メタルマスクとして利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 版枠
2 メタルマスク(スクリーン版)
3 被印刷物
5 スキージ
6 ペースト
7 帯状突起
10 印刷用メタルマスク
【要約】
【課題】スキージの位置により版離れ速度が異なり、ペーストの塗布量にバラつきが生じるのを防止する。
【解決手段】版枠1の内側にメタルマスク2を備え、前記メタルマスク2の上面を移動するスキージ5によって、前記メタルマスク2の下方に配設される被印刷物3にペースト6を印刷する印刷用メタルマスク10であって、前記メタルマスク2の下面に、スキージ5の移動方向に対し略直角に、非金属材料からなる複数の帯状突起7を設けた印刷用メタルマスク10により課題を解決する。
【選択図】
図1