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特許7501953情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20240611BHJP
   G06Q 50/00 20240101ALI20240611BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q50/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024031895
(22)【出願日】2024-03-04
【審査請求日】2024-04-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年10月30日にウェブサイト<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000131956.html>にて発表 令和5年11月13日にウェブサイト<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000131956.html>にて発表 令和5年10月26日にウェブサイト<URL:https://green-ai.studio.site/>、<URL:https://green-ai.studio.site/roadmap>にて発表し、無料デモ及びサービス提供を開始 令和6年1月18日にウェブサイト<URL:https://newspicks.com/movie-series/111?movieId=3411>にて発表 令和6年1月30日にウェブサイト<URL:https://www.youtube.com/watch?v=ZDAzGw2fDIE>にて発表 令和6年1月31日にウェブサイト<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000131956.html>にて発表 令和6年2月19日にウェブサイト<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000131956.html>にて発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524082214
【氏名又は名称】株式会社GreenAI
(74)【代理人】
【識別番号】100218969
【弁理士】
【氏名又は名称】室伏 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】石丸 壮太
(72)【発明者】
【氏名】宮川 爽馬
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-134688(JP,A)
【文献】特開2005-032097(JP,A)
【文献】特開2008-234259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0124251(US,A1)
【文献】特開2019-012390(JP,A)
【文献】特開2021-170187(JP,A)
【文献】特開2017-059111(JP,A)
【文献】特開2019-067392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第1入力情報は、対象組織が使用中又は使用予定である燃料の種類及び用途、スコープ、並びに前記対象組織の業種に関するデータのうち少なくともいずれかであり、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記第2入力情報は、前記第2施策候補を実施した場合の前記排出削減の量を算出するための情報を含み、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の第1施策候補の各々に対応する基準情報に基づいて、前記優先順位情報を生成する生成ステップをさらに実行する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補に関する質問群に対する回答を、前記第2入力情報として前記ユーザから受け付け、
前記第2入力情報に基づいて前記優先順位情報を修正し、修正した前記優先順位情報に基づいて、前記第2施策候補の中から前記採用施策を決定する決定ステップをさらに実行する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記受付ステップにおいて、
前記優先順位情報に基づいて前記質問群の中から1の質問を選択し、
前記1の質問に対する回答に基づいて、次に回答を受け付ける質問を決定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、計画作成ステップをさらに実行し、
前記制御部は、前記計画作成ステップにおいて、
前記ユーザから受け付けた予算情報と、前記採用施策に対応する投資回収年数と、前記採用施策を実施するための投資額に関する情報とに少なくとも基づいて、前記採用施策の開始時期を含む削減計画を作成し、
前記表示制御ステップにおいて、前記削減計画を表示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、第1表示制御ステップと、第2表示制御ステップとをさらに実行し、
前記制御部は、
前記第1表示制御ステップにおいて、前記第2施策候補の各々に対応する施策効果の基準情報を、前記表示部に表示させ、
前記第2表示制御ステップにおいて、前記第2施策候補の中から選択された1以上の前記第2施策候補について、前記1以上の前記第2施策候補に対応する前記第2入力情報に基づいて、前記1以上の前記第2施策候補に対応する前記施策効果を算出し、算出した結果を前記表示部に表示させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2表示制御ステップにおいて、
選択された前記1以上の前記第2施策候補に対応する前記施策効果の算出に必要な項目を特定し、
前記必要な項目のうち、記憶部に参照値が格納されていない項目については、前記第2入力情報として前記ユーザから入力を受け付け、
前記必要な項目のうち、前記記憶部に参照値が格納されている項目については、前記参照値を読み出す
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
制御部を有する情報処理装置と、
表示部を有する、ユーザが操作するユーザ端末と
を備える情報処理システムであって、
前記制御部は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記第1選択ステップにおいて、前記ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第1入力情報は、対象組織が使用中又は使用予定である燃料の種類及び用途、スコープ、並びに前記対象組織の業種に関するデータのうち少なくともいずれかであり、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記第2入力情報は、前記第2施策候補を実施した場合の前記排出削減の量を算出するための情報を含み、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザ端末に送信し、
前記ユーザ端末は、前記採用施策に関する情報を前記表示部に表示する
情報処理システム。
【請求項9】
情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記情報処理方法は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを備え、
前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第1入力情報は、対象組織が使用中又は使用予定である燃料の種類及び用途、スコープ、並びに前記対象組織の業種に関するデータのうち少なくともいずれかであり、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記第2入力情報は、前記第2施策候補を実施した場合の前記排出削減の量を算出するための情報を含み、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる
情報処理方法。
【請求項10】
情報処理装置に、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第1入力情報は、対象組織が使用中又は使用予定である燃料の種類及び用途、スコープ、並びに前記対象組織の業種に関するデータのうち少なくともいずれかであり、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記第2入力情報は、前記第2施策候補を実施した場合の前記排出削減の量を算出するための情報を含み、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境負荷物質の排出に関する情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の深刻化に伴い、脱炭素に関する様々な法整備がなされている。このような状況の中、各企業が企業活動を継続するために、CO2の排出量を削減することが急務となっている。例えば特許文献1には、削減目標等の各種条件の入力を受け付け、受け付けた条件に合致する削減案を生成して、表示する環境対策支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-164754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここでCO2の排出を削減するための施策は種々にあり、さらに企業の業種又は保有設備といった各企業の状況によって効果的な削減案は様々である。上述の特許文献1に記載の環境対策支援システムにおいて対象となる企業に効果的な削減案を生成する場合は、膨大な入力を受け付けて、各削減策が条件に合致するかを判定する必要がある。したがってユーザの入力負担が大きいという問題があった。なお上述の問題は、削減対象がCO2である場合だけでなく、他の環境負荷物質についても同様である。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、環境負荷物質の排出削減策の検討において、ユーザの入力負担を軽減し得る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる情報処理装置は、制御部を備える。前記制御部は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行する。前記制御部は、前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択する。また前記制御部は、前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択する。また前記制御部は、前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する第2入力情報を、前記ユーザから受け付ける。また前記制御部は、前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる。
【0007】
本開示の一態様にかかる情報処理システムは、制御部を有する情報処理装置と、表示部を有する、ユーザが操作するユーザ端末とを備える。前記制御部は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行する。前記制御部は、前記第1選択ステップにおいて、前記ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択する。また前記制御部は、前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択する。また前記制御部は、前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付ける。また前記制御部は、前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザ端末に送信する。そして前記ユーザ端末は、前記採用施策に関する情報を前記表示部に表示する。
【0008】
本開示の一態様にかかる情報処理方法は、情報処理装置において実行される。前記情報処理方法は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを備える。前記情報処理装置は、前記第1選択ステップにおいて、前記ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択する。また前記情報処理装置は、前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択する。また前記情報処理装置は、前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付ける。また前記情報処理装置は、前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる。
【0009】
本開示の一態様にかかるプログラムは、情報処理装置に、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行させる。前記情報処理装置は、前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択する。また前記情報処理装置は、前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択する。また前記情報処理装置は、前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付ける。また前記情報処理装置は、前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、環境負荷物質の排出削減策の検討において、ユーザの入力負担を軽減し得る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】ユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】情報処理方法の流れを示すフローチャートである。
図6】ユーザ端末の表示部に表示される表示画像の一例を示す図である。
図7】第1施策候補及び第2施策候補の選択方法を説明するための図である。
図8】施策実績テーブルの一例を示す図である。
図9】基準テーブルの一例を示す図である。
図10】ユーザ端末の表示部に表示される表示画像の一例を示す図である。
図11】第2受付方法及び決定方法の流れの第1具体例を示すフローチャートである。
図12】ユーザ端末の表示部に表示される表示画像の一例を示す図である。
図13】パラメータテーブルの一例を示す図である。
図14】第2受付方法及び決定方法の流れの第2具体例を示すフローチャートである。
図15】質問テーブルの一例を示す図である。
図16】ユーザ端末の表示部に表示される表示画像の一例を示す図である。
図17】施策間の優先順位の修正方法及び第2施策候補群の修正方法を説明するための図である。
図18】ユーザ端末の表示部に表示される表示画像の一例を示す図である。
図19】ユーザ端末の表示部に表示される表示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態にかかる情報処理システムのハードウェア構成について説明する。図1は、情報処理システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
1.1 情報処理システム1
情報処理システム1は、環境負荷物質の排出量を削減するための計画を作成することを支援するコンピュータシステムである。ここで環境負荷物質は、環境に何らかの影響を及ぼす物質である。本実施形態においては、環境負荷物質は、温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO2)であるとして説明する。しかし環境負荷物質は、これに限定されず、NOx、SOx、廃棄物、又は汚水等であってもよい。また環境負荷物質の排出量を削減するための計画は、削減計画と称される。
【0015】
情報処理システム1は、情報処理装置2と、ユーザ端末3とを備える。情報処理装置2及びユーザ端末3は、インターネット等のネットワークNWを介して互いに通信可能に接続される。なお図1において情報処理システム1は1のユーザ端末3を含むように図示されるが、ユーザ端末3の数は2以上であってもよい。
【0016】
1.2 ユーザ端末3
ユーザ端末3は、CO2排出量の削減についての施策を検討する組織のユーザが操作するコンピュータ端末である。ユーザは、施策を検討する組織に属する者であり、一例として企業の経営者、その従業員、又は上記企業に削減計画を提案するコンサルタントであってよい。以降、施策を検討する組織を、対象組織と称する。例えばユーザ端末3は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、又はその他入出力可能な通信端末である。
【0017】
図2は、ユーザ端末3のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末3は、制御部31と、通信部35と、記憶部36と、入力部37と、表示部38とを備え、これらの構成要素がユーザ端末3の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。制御部31は、プロセッサ32と、ROM33と、RAM34とを含む。制御部31、通信部35及び記憶部36については、後述の、情報処理装置2における制御部21、通信部25及び記憶部26と略同様のため省略する。
【0018】
入力部37は、ユーザ端末3の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部37は、表示部38と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部37がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介して制御部31に転送され、制御部31が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0019】
表示部38は、例えば、ユーザ端末3の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部38は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、ユーザ端末3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0020】
1.3 情報処理装置2
情報処理装置2は、CO2の排出量を削減するための施策を検討し、削減計画を作成することを支援するコンピュータである。
【0021】
図3は、情報処理装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置2は、制御部21と、通信部25と、記憶部26と、入力部27とを備え、これらの構成要素が情報処理装置2の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。
【0022】
制御部21は、プロセッサ22と、ROM23と、RAM24とを備える。プロセッサ22は、ROM23又は記憶部26に記憶されたプログラムを実行することにより、各機能を実現する。各機能については次節で詳述する。ROM23は、ROM(Read-only memory)等の非一時的な記憶媒体であり、プロセッサ22が各種制御又は演算を行うための各種プログラム又はデータが予め格納されている。RAM24は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶媒体であり、プロセッサ22の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。このRAM24には、本実施形態による各種処理を行うためのエリアが確保可能になっている。
【0023】
通信部25はネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。記憶部26は、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体を含む記憶装置である。
【0024】
入力部27は、上述のユーザ端末3における入力部37と略同様のため省略する。なお入力部27は情報処理装置2において必須ではない。
【0025】
2.機能構成
本節では、情報処理装置2の機能構成について説明する。
図4は、情報処理装置2の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置2の制御部21はプログラムを実行することにより、受付部211、第1選択部212、第2選択部213、決定部214及び表示制御部215の機能を実現する。
【0026】
受付部211は、ユーザからの各種情報の入力を受け付ける。すなわちユーザ端末3は、入力部37を介してユーザから情報を取得し、情報処理装置2に送信する。そして受付部211は、通信部25を介して情報を受信することで、当該情報を受け付ける。
例えば受付部211は、第1受付ステップとして第1入力情報をユーザから受け付ける。第1入力情報は、環境負荷物質であるCO2の排出に関する基本情報である。また受付部211は、第2受付ステップとして、第2入力情報をユーザから受け付ける。第2入力情報は、後述する第2施策候補のうち少なくとも一部について、対象組織ごとの効果を算出するための情報である。第1入力情報及び第2入力情報については後で詳述する。
【0027】
第1選択部212は、第1選択ステップとして、第1受付ステップにて取得した第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択する。
【0028】
第2選択部213は、第2選択ステップとして、複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、複数の第1施策候補の中から第2施策候補を選択する。第2施策候補は、ユーザに採用可否の具体的な検討を推奨する施策であり、ユーザから第2入力情報の入力を受け付け可能な施策である。なお受け付け可能な状態とは、ユーザが第2入力情報を入力するための手段を情報処理装置2が提供している状態を指す。
【0029】
決定部214は、決定ステップとして、第2受付ステップにおいて取得した第2入力情報に基づいて第2施策候補の中から採用施策を決定する。採用施策は、ユーザがCO2の排出削減のために採用する予定の施策である。
【0030】
表示制御部215は、表示制御ステップとして、制御部21における各種処理結果をユーザ端末3の表示部38に表示させる。すなわち表示制御部215は、各種処理結果を、通信部25を介してユーザ端末3に送信する。そしてユーザ端末3は、受信した情報を表示部38に表示する。例えば表示制御部215は、上記決定ステップにおいて決定した採用施策に関する情報を、ユーザ端末3の表示部38に表示させる。また例えば表示制御部215は、第1入力情報又は第2入力情報等の各種情報を入力するための手段として、入力領域を表示部38に表示させる。
【0031】
3.情報処理装置2の動作について
第3節では、図を参照しながら情報処理装置2により実行される情報処理方法の流れについて説明する。なお、処理の順番は適宜入れ替えることができ、複数の処理が同時に実行されてもよいし、一部の処理が省略されてもよい。
【0032】
3.1 情報処理の概要
図5は、情報処理方法の流れを示すフローチャートである。まず情報処理装置2の受付部211は、第1受付ステップとして、ユーザから第1入力情報の入力を受け付ける(S11)。これにより受付部211は、第1入力情報を取得する。
【0033】
次に第1選択部212は、第1選択ステップとして、第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から第1施策候補群を選択する(S12)。
【0034】
次に第2選択部213は、生成ステップとして、複数の第1施策候補の間の優先順位を決定し、優先順位情報を生成する(S13)。
【0035】
そして第2選択部213は、第2選択ステップとして、S13で生成した優先順位情報に基づいて、第1施策候補群から一部の第1施策候補を、第2施策候補群として選択する(S14)。なおS12~S14は別々に行われてもよいし、並行して行われてもよい。
【0036】
次に表示制御部215は、第1表示制御ステップとして、第2施策候補群に関する情報をユーザ端末3の表示部38に表示させる(S15)。例えば表示制御部215は、第2施策候補の各々に対応する施策名と、各々を実施した際の効果の基準情報とを、ユーザ端末3の表示部38に表示させる。
【0037】
次に制御部21は、S16に示す処理を実行する。S16に示す処理は、S160及びS161を主に含む。S160において、受付部211は、第2施策候補群のうちの少なくとも一部の第2施策候補に対応する第2入力情報の入力を、ユーザから受け付ける。そしてS161において、決定部214は第2入力情報に基づいて、第2施策候補群から採用施策を決定する。このとき決定部214は、第2入力情報に基づいて自動で採用施策を決定してもよい。しかし決定部214は、第2入力情報に基づいて算出された効果を基礎としてユーザが採用施策を選択した場合、当該選択操作に基づいて採用施策を決定してもよい。S16に示す処理については、後で詳述する。
【0038】
次に表示制御部215は、採用施策に関する情報を、ユーザ端末3の表示部38に表示させる(S17)。
【0039】
[効果]
このように本実施形態の情報処理装置2は、まずはユーザの第1入力情報に基づいて施策候補を絞り、次に施策候補間の優先順位に従って入力が必要な施策候補をさらに絞り込む。すなわち情報処理装置2は、膨大な数の施策の中からユーザの入力が必要となる施策を2段階に分けて絞り込む。これによりユーザは全ての施策に関して必要な情報を入力しなくてよいため、ユーザの入力負担を軽減できる。その結果、ユーザが施策を検討するための時間及び手間を軽減できる。
【0040】
3.2 情報処理の詳細
次に上述した情報処理の詳細について説明する。
【0041】
[第1入力情報の入力画面:S11]
図6は、S11においてユーザから第1入力情報の入力を受け付ける際にユーザ端末3の表示部38に表示される表示画像4の一例を示す図である。表示画像4は、第1入力情報の入力を受け付けるための入力領域41,42,43を含む。
【0042】
第1入力情報は、CO2の排出に関する基本情報である。第1入力情報は、記憶部26に記憶されている施策の各々が対象組織に適するか否かを経験則に基づいて判定するための基礎となる情報であってよい。第1入力情報は、使用中又は使用予定である燃料の種類、対象組織の業種、目標となる削減量のデータ、排出量の実績データ、対象組織の事業内容、及び組織が有する設備に関するデータのうち少なくともいずれかを含んでよい。
【0043】
一例として図4に示すように、入力領域41は、第1入力情報として、使用中の燃料の種類、各燃料の使用量、及び各燃料について用途別の使用量の内訳の入力をユーザから受け付けるための領域である。また入力領域42は、第1入力情報として、対象組織の業種の選択をユーザから受け付けるための領域である。また入力領域43は、第1入力情報として、目標削減率及び達成年度の入力をユーザから受け付けるための領域である。
【0044】
なお受付部211は、サプライチェーンごと、又はスコープごとに第1入力情報を取得してよい。スコープとは、温室効果ガス排出量の測定・管理に係るフレームワークを検討・策定するイニシアチヴであるGHGプロトコルによって定められる区分である。上述したGHGプロトコルは、自社における直接排出をスコープ1と、自社が購入又は使用した電力、熱、又は蒸気などのエネルギー起源の間接排出をスコープ2と、そしてサプライチェーン全体におけるスコープ1及び2以外の間接排出をスコープ3と定めている。
【0045】
[第1施策候補群及び第2施策候補の選択:S12~S14]
次に第1施策候補群及び第2施策候補の選択方法について説明する。図7は、第1施策候補及び第2施策候補の選択方法を説明するための図である。
【0046】
情報処理装置2の記憶部26には、排出削減に関する複数の施策A~Zから構成される施策リスト5が格納されている。なお排出削減に関する複数の施策A~Zは、後述するネットゼロ系の施策を含んでもよいし、含まなくてよい。第1選択部212は、第1入力情報に基づいて、施策A~Zの中から対象組織に適応可能であると判定される施策A~Kを第1施策候補群6として選択する。換言すると第1選択部212は、第1入力情報に基づいて、対象組織には適応できない、又は対象組織の排出削減施策としては適当でないと判定される施策L~Zを、施策候補から除外する。
【0047】
そして第2選択部213は、第1施策候補群6の間の優先順位を決定し、優先順位に基づいて、第1施策候補群6から第2施策候補群7を選択する。
【0048】
(第1施策候補群6の選択の詳細:S12)
次に第1選択部212が複数の施策の中から第1施策候補群6を選択する際の手順を説明する。
【0049】
第1選択部212は、第1入力情報として入力された燃料種、スコープ、用途、又は業種の少なくともいずれかの情報に基づいて、入力された第1入力情報に対応する施策を第1施策候補群6として選択してよい。例えば第1選択部212は、第1入力情報として入力された燃料種及び用途の情報に基づいて、入力された燃料種及び用途に対応する施策を第1施策候補群6として選択してよい。また第1選択部212は、第1入力情報として入力された業種の情報に基づいて、入力された業種に対応する施策を第1施策候補群6として選択してよい。一例として第1選択部212は、上記選択において施策実績テーブルT1を用いる。
【0050】
図8は、施策実績テーブルT1の一例を示す図である。施策実績テーブルT1は、記憶部26に格納される。施策実績テーブルT1は、各施策について、条件別の過去の採用実績を示したテーブルである。条件は、燃料種、スコープ及び用途、又は業種であってよい。図8に示すように、一例として施策実績テーブルT1は、各施策について燃料種及び用途別の過去の採用実績を示す。各フィールドには、該当する条件でその施策を採用した組織の数が格納されている。一例として燃料種は、軽油、重油、灯油、LPG、LNG、揮発油又はナフサ等である。また一例として用途は、船舶用、航空機用、自動車用、コンロ用、給湯用又は冷暖房用等である。
【0051】
例えば第1選択部212は、施策実績テーブルT1において、入力された第1入力情報に対応するカラムを参照し、燃料種及び用途の両方で採用実績がある施策を第1施策候補群6として選択してよい。なお第1選択部212は、燃料種及び用途の両方で採用実績が所定数以上である施策を第1施策候補群6として選択してもよい。このように第1選択部212は、第1入力情報及び過去の採用実績に基づいて第1施策候補群6を決定してよい。
【0052】
(第1施策候補間の優先順位付けの詳細:S13)
次に、第2選択部213が第1施策候補群6の間の優先順位を決定し、優先順位情報を生成する際の手順について説明する。優先順位の付け方は、これに限らないが、以下の第1~第2の方法がある。
【0053】
まず第1の方法として、基準情報を用いてルールベースで優先度θを算出する方法が挙げられる。具体的には第2選択部213は、第1施策候補群6の各々に対応する基準情報に基づいて、優先順位情報を生成する。基準情報は、各施策について、他組織でその施策を過去に実施した際の施策効果の実績データ又は実績データの統計値である。また基準情報は、行政機関や自治体が公開している施策効果のデータを含んでもよい。例えば第2選択部213は、記憶部26に記憶される基準テーブルT2を用いて基準情報を取得してよい。
【0054】
図9は、基準テーブルT2の一例を示す図である。基準テーブルT2は、施策ごとにレコードを含む。各レコードは、施策名T21と、基準情報T22とを含む。
施策名T21は、施策を識別する情報である。
基準情報T22は、その施策を実施した場合の施策効果に関する基準情報である。基準情報T22は、1又は複数の項目に対応する基準情報を含む。具体的には基準情報T22の項目は、CO2削減量あたりの投資額、投資回収年数、CO2削減量、コスト削減額、投資額規模、年間の追加投資額、施策の持続時間、及び施策の実行容易性の少なくともいずれかである。CO2削減量あたりの投資額は、投資額規模をCO2削減量で割った値であり、円/ton-CO2e(CO2e=CO2 equivalent)で表される。投資回収年数は、投資額規模をコスト削減額で割った値である。CO2削減量は、その施策を実施することによるCO2の削減量に加えて、他の温室効果ガスの削減量をCO2に換算した値を含む。コスト削減額は、施策実施後のエネルギーコストの削減額である。投資額は、その施策を実施するための初年度に必要なコストである。追加投資額は、その施策を実施した場合の投資額と、CO2を削減する施策ではない投資を実施した場合の投資額との差分である。一例として、対象組織が所有する自動車を電気自動車に買い替えるという施策について、追加投資額は、電気自動車への買い替えコストとガソリン車への買い替えコストとの差分であってよい。施策の実行容易性は、準備期間の長さ、設備停止の有無、他の設備との接続確認の有無、関与する者の多さ、及び関与する者が社外の者か否か等の情報に基づいて算出される値であってよい。各項目の基準情報は、他組織でその施策を過去に実施した際の、その項目の実績データを収集して、平均をとる等の統計処理を施すことによって得られる。
【0055】
第2選択部213は、第1施策候補群6の各々について、その第1施策候補に対応するレコードの基準情報T22を読み出す。次に第2選択部213は、基準情報T22に基づいて第1施策候補ごとの優先度θを算出する。より具体的には、第2選択部213は、基準情報T22に含まれる各項目に基づいて第1施策候補ごとの項目別優先度を算出し、項目別優先度に基づいて優先度θを算出してよい。優先度θの算出にあたっては、第2選択部213は項目に応じた重み付けを行ってよい。
【0056】
例えば優先度θは、以下の式(1)で表されてよい。
θ=a・w+b・x ...式(1)
ここでwは投資回収年数に対応する項目別優先度であり、xはCO2削減量あたりの投資額に対応する項目別優先度である。そしてa,bは重み係数である。
【0057】
一例として第2選択部213は、基準テーブルT2から各第1施策候補の投資回収年数を読み出し、各第1施策候補について投資回収年数が小さいほど値が大きくなるように、投資回収年数に対応する項目別優先度wを算出する。また一例として第2選択部213は、基準テーブルT2から各第1施策候補のCO2削減量あたりの投資額を読み出し、各第1施策候補についてCO2削減量あたりの投資額が大きいほど値が高くなるように、CO2削減量あたりの投資額に対応する項目別優先度xを算出する。次に第2選択部213は、算出した項目別優先度w,xの各々に対して予め定められた重み係数を乗じて足し合わせた値を、優先度θとして算出する。そして第2選択部213は、優先度θが大きい順にソートして優先順位を決定する。
【0058】
またw,xは、基準情報T22に含まれる複数の項目の基準情報に基づいて算出された値であってもよい。例えばwは投資額対CO2削減量、すなわち投資額規模とCO2削減量との比であってよい。また例えばxは投資回収年数であってよい。
【0059】
なお優先度θの算出にあたっては、組織の属性、例えば業種を用いてよい。具体的には記憶部26は組織の属性ごとに異なる基準テーブルT2を有しており、第2選択部213は、組織の属性に基づいて基準テーブルT2を選択した上で、上述の手順で優先順位を決定してよい。このとき組織の属性は、S11において第1入力情報の一部として取得されていてよい。
【0060】
また優先度θは、同じ業種で過去に採用実績がない施策については値が小さくなるように構成されていてよい。さらに優先度θは、同じ業種での採用実績数に応じて値が大きくなるように構成されていてよい。このとき優先度θは、以下の式(2)で表されてよい。
θ=a・w+b・x+c・y+d・z ...式(2)
ここでyは同じ業種において採用実績があるか否かを示す係数である。同じ業種において採用実績がある場合、yは1であり、同じ業種において採用実績がない場合、yは0である。zは、同じ業種における採用実績数を正規化した値である。そしてc,dは重み係数である。このとき第2選択部213は、各施策について業種別の過去の採用実績の情報を取得してよい。
【0061】
なお上述の例においてはパラメータが、同じ業種に属する組織の採用実績数であったが、これに代えて対象組織と属性が類似する組織の採用実績数としてもよい。属性の類似性については、業種、従業員規模、地域、及び売上規模の少なくともいずれかに基づいて決定されてよい。
【0062】
なお優先度θは、施策分類に応じても変化してよい。一例として施策分類は、継続的に運用するものであるか、設備更新等のスポット対応であるか、ネットゼロ系の施策であるかの別であってよい。ネットゼロ系の施策とは、一例として、カーボンオフセットの購入又は再生可能エネルギーを電源とした電力契約プランへの更新といった施策であってよい。このとき優先度θは、以下の式(3)で表されてよい。
θ=a・w+b・x+c・y+d・z+e・p ...式(3)
ここでpは施策分類を示す係数である。eの値は継続的に運用する施策が最も大きく、設備更新等のスポット対応の施策が次に大きく、ネットゼロ系の施策が最も小さくてよい。
【0063】
次に第2の方法として、学習済の機械学習モデルを用いて優先順位をつける方法が挙げられる。すなわち第2選択部213は、学習済の機械学習モデルを用いて、ユーザから受け付けた第1入力情報から第1施策候補ごとの優先度θを取得し、優先度θに基づいて優先順位をつける。機械学習モデルは、第1入力情報を入力として各施策の優先度θを出力する。機械学習モデルは、他組織における過去の採用実績と、その他組織の第1入力情報とを訓練データとして、重み係数を学習することによって得られる。優先度θ及び重み係数については第1の方法において説明済であるため、説明を省略する。
【0064】
(第2施策候補群7の選択の詳細:S14)
次に第2選択部213が、第1施策候補群6から第2施策候補群7を選択する際の手順を説明する。第2選択部213は、優先順位に基づいて第1施策候補群6から第2施策候補群7を選択する。例えば第2選択部213は、優先順位において上から所定個の第1施策候補を、第2施策候補群7として選択してよい。また例えば第2選択部213は、各第1施策候補に対応する効果の規模を試算し、目標削減率に達するまで優先順位において上から順に第1施策候補を第2施策候補群7に追加することを繰り返してよい。
【0065】
そして表示制御部215は、S14において選択した第2施策候補群7に関する情報をユーザ端末3に送信し、ユーザ端末3は受信した情報を表示部38に表示してよい(第1表示制御ステップ)。
【0066】
図10は、ユーザ端末3の表示部38に表示される表示画像8の一例を示す図である。表示画像8は、第2施策候補群7に関する情報を含む。このとき表示画像8は、第2施策候補群7から除外された施策に関する情報を含まなくてよい。このようにユーザに提示される施策が限定されるため、ユーザの施策の検討負担が軽減される。
【0067】
ここで第2施策候補群7に関する情報は、各第2施策候補の識別情報と、各第2施策候補に対応する施策効果の基準情報とを含む。より具体的には、図10に示すように表示画像8は、施策名81と、CO2削減量あたりの投資額82と、投資回収年数83と、CO2削減量規模84と、実行容易性85とを含む。
【0068】
CO2削減量あたりの投資額82、投資回収年数83、CO2削減量規模84、及び実行容易性85の各々は、基準テーブルT2の各項目についての項目別優先度をN段階評価(Nは自然数)で表した指標であってよい。なお図10においてN=5であるが、Nはこれに限らない。また図10において上述の指標を数値として表してもよい。このように各第2施策候補について項目別優先度をユーザに提示することにより、ユーザは重視する項目の施策について優先的に検討できる。したがってユーザの検討負担が軽減される。
【0069】
なお表示画像8において、第2施策候補間の情報の表示順位は、S13において生成した優先順位情報に基づいて決定される。すなわち優先順位が高い第2施策候補に関する情報から優先的に表示される。これによりユーザは、数ある施策の中から対象組織に対して優先度が高い施策を優先的に検討できるため、ユーザの検討負担が軽減される。
【0070】
さらに表示画像8は、各第2施策候補について、その第2施策候補に関する情報に対応付けられた位置に、その第2施策候補について選択するための選択領域86を含んでよい。このとき制御部21は、ユーザからの選択操作に応じて、選択された第2施策候補について対象組織の状況に応じた具体的な施策効果を算出できるように構成されていてよい。上記算出は、後述する図11に示すS16において実行されてよい。
【0071】
[採用施策の決定処理の第1具体例:S16]
次に制御部21がユーザに第2施策候補群7を提示してから採用施策を決定するまでの処理、すなわちS16に示す処理の第1具体例について説明する。
【0072】
図11は、第2受付方法及び決定方法の流れの第1具体例を示すフローチャートである。第1具体例では、S16は、S1601~S1607に示す処理を含む。
まず受付部211は、ユーザから1の第2施策候補の選択を受け付ける(S1601)。選択された1の第2施策候補は、対象施策とも称される。例えばユーザ端末3が図10の表示画像8における選択領域86を選択したことに応じて、受付部211は、ユーザから1の第2施策候補の選択を受け付ける。
【0073】
次に表示制御部215は、対象施策に対応する第2入力情報の入力画面をユーザ端末3の表示部38に表示させる。そして受付部211は第2受付ステップとしてユーザからの上記入力を受け付ける(S1602)。
【0074】
次に決定部214は、ユーザから取得した対象施策に対応する第2入力情報に基づいて、対象組織に応じた対象施策の効果を算出する(S1603)。算出対象となる効果は、CO2削減量あたりの投資額、投資回収年数、CO2削減量、コスト削減額、投資額、及び施策の持続時間のうちの少なくともいずれかである。
【0075】
次に表示制御部215は、算出した対象施策の効果を、ユーザ端末3の表示部38に表示する(S1604:第2表示制御ステップ)。
【0076】
図12は、ユーザ端末3の表示部38に表示される表示画像9の一例を示す図である。表示画像9は、対象施策に対応する第2入力情報を入力するための入力領域93を含む。入力領域93は、入力領域930と入力領域931とを含む。
【0077】
第2入力情報は、導入済設備の有無、導入済設備の規模、又は導入予定の設備の規模を含む。図12に示す表示画像9においては、第2入力情報は、導入予定の設備の対象面積である。ユーザは、入力領域930を介して第2入力情報の入力が可能である。
【0078】
なお効果の算出には、施策ごとに他のパラメータが必要となる。例えば図12に示す表示画像9においては、他のパラメータとして、電気の排出係数、想定稼働年数、日中の電気料金、及びFIT買取価格が示される。これらのパラメータについては、記憶部26は参照値を予め記憶していてよい。例えば制御部21は後述するパラメータテーブルT3から、各対象施策の効果の算出に必要なパラメータの参照値を読み出し、読み出した参照値を入力領域931に挿入してよい。
【0079】
図13は、パラメータテーブルT3の一例を示す図である。パラメータテーブルT3は、施策の識別情報と、その施策に対応する効果の導出式と、効果の導出式に用いられるパラメータ項目とを対応付ける。一例として施策の識別情報は施策名である。また一例として効果の導出式は、コスト削減額の導出式及び投資額の導出式である。
【0080】
例えば施策Aについて効果の導出式に用いられるパラメータとしては、対象面積という項目と、電気排出係数という項目とが挙げられる。パラメータテーブルT3において電気排出係数については対応する参照値が格納されている。一方、対象面積については対応する参照値が格納されていない。したがって制御部21は、対象面積についてはユーザから入力を求め、電気排出係数については参照値を自動入力値として用いる。換言すると、まず決定部214は、対象施策に対応する施策効果の算出に必要な情報を特定する。次に決定部214は、特定した必要な情報のうち、記憶部26に参照値が格納されている情報については、参照値を読み出し、記憶部26に参照値が格納されていない情報については、第2入力情報としてユーザから入力を受け付ける。そして決定部214は、参照値及び第2入力情報に基づいて、対象施策の効果を算出する。このように施策効果の算出に必要な項目のうち、参照値を有する項目については入力を自動化することで、ユーザから取得すべき情報をできる限り少なくすることができる。したがって効果削減のためのユーザの入力負担及び調査負担を軽減できる。なお入力領域931に挿入された値は、ユーザ操作により調整可能となっていてよい。
【0081】
図12に戻り説明を続ける。上述のように第2入力情報に基づいて算出された効果を、表示制御部215は計算結果91として表示する。これにより対象施策の効果をユーザが把握できる。
【0082】
以上説明したように、制御部21は、第1表示制御ステップにおいて施策の効果の概要を提示した後、ユーザが選択した対象施策の効果を対象組織の状況に応じて具体的に算出し、第2表示制御ステップにおいて算出結果をユーザに提示する。ユーザは、効果の概要を確認の上で施策を絞り込み、絞り込んだ施策の上記計算結果91に基づいて対象施策を採用するか否かを容易に検討できる。そして受付部211は、対象施策の採用可否について操作を受け付ける(S1605)。決定部214は、採用とのユーザ操作を受け付けた場合、当該対象施策を採用施策群に追加する。換言すると、決定部214は、計算結果91を閲覧したユーザの操作に基づいて、対象施策を採用施策として決定する(S1606)。しかしこれに代えて、ユーザは、後述の削減計画に基づいて対象施策を採用するか否かを判定してもよい。
【0083】
削減計画は、以下の計画作成ステップにおいて作成されてよい。まず受付部211は、対象施策の開始時期の入力をユーザから受け付ける。図12に示す入力領域92は、対象施策の開始時期を入力するための入力領域である。決定部214は、対象施策の開始時期に基づいて、年度ごとの排出量及び削減量を算出する。そして表示制御部215は、年度ごとの排出量及び削減量をユーザ端末3の表示部38に表示する。
【0084】
そして決定部214は、追加された採用施策群に対応する排出量及び削減量を算出し、削減目標が達成されるか否かを判定する(S1607)。決定部214は、削減目標が達成されると判定するまでS1601~S1607に示す処理を繰り返す。決定部214は、削減目標が達成されると判定した場合(S1607でYES)、採用施策の検討を終了し、採用施策群を決定する(S1608)。
【0085】
[採用施策の決定処理の第2具体例:S16]
次にS16に示す処理の第2具体例について説明する。第2具体例においては、受付部211は、受付ステップにおいて、第2施策候補群7のうち優先順位の高い第2施策候補から順に、その第2施策候補に関する質問に対する回答を、第2入力情報としてユーザから受け付ける。第2選択部213は、その第2施策候補に関して質問すべき事項が終了する度に、取得した第2入力情報に基づいて優先順位情報を修正する。そして決定部214は、修正した優先順位情報に基づいて、第2施策候補群7の中から採用施策を決定していく。ユーザは、限定された第2施策候補について、質問に対する回答を答えるだけでよいため、入力負担が軽減される。
【0086】
ここで受付部211は、受付ステップにおいて、優先順位情報に基づいて質問群の中から1の質問を選択する。そして受付部211は、質問に対する回答に基づいて、次に回答を受け付ける質問を決定してよい。具体的にはまず第2選択部213は、優先順位情報に基づいて、第2入力情報を受け付け可能な第2施策候補群7を決定してよい。ここで第2施策候補の各々は、その第2施策候補を採用施策として採用するか否かを判定するための複数の質問(質問群)と対応づけられている。そして受付部211は、決定した第2施策候補に対応する質問群の中から、1の質問を選択してよい。受付部211は、回答に応じて、次に回答を受け付ける質問を、引き続き同じ第2施策候補に対応する質問群の中から選択するか、異なる第2施策候補に対応する複数の質問の中から選択するかを決定してよい。受付部211が回答に基づいて次の質問を決定することで、ノックアウトとなる質問を優先的に答えさせる等の構成をとることができる。その結果、受付部211はユーザの入力負担を軽減しつつ効率的に第2入力情報を取得できる。
【0087】
図14は、第2受付方法及び決定方法の流れの第2具体例を示すフローチャートである。まず受付部211は、S13において生成した優先順位に基づいて1の第2施策候補を対象施策として選択する(S1611)。
【0088】
次に受付部211は、対象施策に対応する質問群の中から質問を選択する(S1612)。上記質問は、第2入力情報を回答させるための簡易質問である。受付部211は、後述する質問テーブルT4を用いて、質問を選択してよい。そして表示制御部215は、選択された質問を表示し、受付部211が選択した質問に対する回答をユーザから受け付ける(S1613)。
【0089】
図15は、質問テーブルT4の一例を示す図である。質問テーブルT4は、記憶部26に予め格納されていてよい。質問テーブルT4は、施策と、1以上の質問とを対応付けるテーブルである。より具体的には質問テーブルT4は、施策名と、1以上の質問T44とを含む。質問T44は、その質問の回答が施策不採用の決め手となるノックアウト要因となる質問であるノックアウト質問と、施策を実施した場合のCO2削減量を算出するための質問とを含む。より具体的にはCO2削減量を算出するための質問とは、施策を実施するための設備の規模、又は規模感を決めるための質問である。そして各質問T44には、その質問の回答がノックアウト要因となるか否かを示す情報T42と、同じ施策に対応する質問群の中でのその質問の優先順位T43とが対応付けられている。
【0090】
図16は、ユーザ端末3の表示部に表示される表示画像10の一例を示す図である。表示画像10には、対象施策が施策Aである場合の質問101,102と、各質問に対応する入力領域1011,1021とが含まれる。質問101,102は、質問テーブルT4において施策Aに対応付けられた質問のうち、優先順位T43が1位及び2位である質問である。なお質問101,102は、施策不採用の決め手となるノックアウト要因T42として定められている。ユーザは質問101,102に対する回答として入力領域1011,1021に入力し、回答を確定する。
【0091】
図14に戻り説明を続ける。ユーザからの回答を受け付けた受付部211は、ノックアウト要因T42に対応する質問101,102について、ノックアウト要因、すなわち不採用の決め手となる回答があったか否かを判定する(S1614)。不採用の決め手となる回答があった場合には(S1614でYES)、第2選択部213は、S13で決定した施策間の優先順位を修正する(S1615)。なおS1615において第2選択部213は、必要に応じて第2施策候補群7の構成を修正してよい。このとき受付部211は、施策Aに対応する残りの質問については、ユーザから回答を受け付けない。その代わりに、受付部211は処理をS1611に戻す。すなわち受付部211は、第1施策候補の間の優先順位が施策Aの次に高い施策Bを対象施策として選択し、同様の処理を実行する。このようにノックアウト要因があった場合には対象施策に対応する残りの質問をユーザに提示しないで、次の施策の質問に移ることで、ユーザの入力負担を有効に軽減できる。
【0092】
一方、不採用の決め手となる回答がなかった場合には(S1614でNO)、決定部214は、対象施策を採用施策として決定する(S1616)。そして受付部211は、施策を実施するための設備の規模又は規模感を決めるための質問をユーザに提示し、回答を受け付ける(S1617)。
【0093】
次に決定部214は、既に決定した採用施策群の予想削減量を、質問に対応する回答に基づいて算出する(S1618)。このとき予想削減量の算出の基礎となる情報は、上記設備の規模又は規模感を決めるための質問に対する回答(例えば数値情報)を含むが、S1614においてノックアウト要因を判定するための質問に対する回答(例えばYES/NOの情報)を含まなくてよい。そして決定部214は、予想削減量が目標削減量に達するかを判定する(S1619)。
【0094】
決定部214は、目標削減量を達成すると判定しなかった場合(S1619でNO)、処理をS1611に戻し、追加すべき採用施策を検討する。一方、決定部214は、目標削減量を達成すると判定した場合(S1619でYES)、採用施策の検討を終了し、採用施策群を決定する(S1620)。
【0095】
なお、S1611~S1619を繰り返しても、予想削減量が目標削減量を達成しない場合がある。例えば目標削減量が、ノックアウト要因がなかった第1施策候補全てを実施した場合の予想削減量よりも大きい場合が当てはまる。この場合、決定部214は、上述のネットゼロ系の施策を採用し、又は、すでにネットゼロ系の施策を採用している場合はその施策実施の規模感を大きくすることで、予想削減量が目標削減量を達成するように採用施策群を調整してよい。ネットゼロ系の施策を採用するという上記の調整処理は、複数の施策A~Zがネットゼロ系の施策を含んでいない場合に実施されてよい。
【0096】
(優先順位の修正方法及び第2施策候補群の修正方法:S1615)
図17は、第1施策候補間の優先順位の修正方法及び第2施策候補群の修正方法を説明するための図である。S13において第1施策候補群6内の優先順位は、高い順に、施策A、施策B、施策C、...、施策E、施策F、...、施策Kである。そしてS14において選択された第2施策候補群7は、施策Aから施策Eまでの5つの施策から構成されている。
【0097】
ここでユーザの回答によって施策Aにノックアウト要因が存在することが判明した場合、施策Aを第1施策候補群6及び第2施策候補群7から除外する。すなわち第2選択部213は、新しい第1施策候補群6において、優先順位が最も高い施策を、施策Aから施策Bに変更する。なお施策Aを除外した施策Bから施策Eまでの4つの施策では、目標削減量を達成する見込みがたたない場合、第2選択部213は、第2施策候補群7には選択されていないが優先順位が高い第1施策候補を、第2施策候補群7に追加する。第2選択部213は、上記追加処理を、目標削減量を達成する見込みがたつまで繰り返す。
【0098】
[削減計画の作成]
さらに決定部214は、採用施策を採用した場合の削減計画を作成してよい。削減計画の作成にあたり、まず決定部214は、各採用施策について、その施策を開始する開始時期を決定する。例えば決定部214は、各採用施策に対応する投資回収年数と、各採用施策を実施するための投資額に関する情報と、施策を実施するための予算に関する予算情報とに少なくとも基づいて、各採用施策の開始時期を決定してよい。予算情報は、対象組織が1年間に利用可能な投資上限額を含む。
【0099】
開始時期を決定するアルゴリズムは、これに限らないが、例えば以下のようなアルゴリズムが考えられる。まず決定部214は、採用施策を、運用変更に特徴がある運用変更系施策と、設備投資に特徴がある設備投資系施策とに分類する。運用変更系施策は、投資額が比較的小さく、設備投資系施策は、投資額が比較的大きい。したがって決定部214は、運用変更系施策については1年目でまとめて実施するように開始時期を設定する。一方、決定部214は、設備投資系施策については、投資額が1つの年度に集中しないように、つまり年度の間の投資額の差分が小さくなるように、開始時期を分散させる。このとき決定部214は、投資額が小さい設備投資系施策ほど開始時期が早くなるように、開始時期を設定してよい。
【0100】
そして決定部214は、上述のように決定した各採用施策の開始時期を用いて削減計画を作成する。表示制御部215は、削減計画に関する情報を表示してよい。
【0101】
例えば表示制御部215は、削減計画に関する情報として、採用施策の基本情報を開始時期とともに一覧で、ユーザ端末3の表示部38に表示させてよい。
図18は、ユーザ端末3の表示部38に表示される表示画像11の一例を示す図である。表示画像11には、採用施策の基本情報と、開始時期とを含むテーブルが含まれる。具体的にはテーブルは、施策名111と、スコープの種別112と、燃料種113と、用途114と、開始時期115とを含む。これに加えて、パラメータ項目116と、パラメータ項目に対応する数値117とを含んでもよい。このようにユーザに採用施策に関する情報を一覧で提示することで、ユーザが採用施策の詳細を把握できる。
【0102】
また例えば表示制御部215は、削減計画に関する情報として、予想排出量及び予想削減量の推移を視覚的に、ユーザ端末3の表示部38に表示させてよい。
図19は、ユーザ端末3の表示部38に表示される表示画像12の一例を示す図である。表示画像12は、採用施策の実施前の予想排出量の推移と、実施後の予想排出量の推移とを比較するグラフである。実施前後の予想排出量の差分が、予想削減量に相当する。このようにユーザに予想排出量及び予想削減量の推移を視覚的に提示することで、ユーザが採用施策の効果を直観的に把握できる。したがってユーザによる採用施策の妥当性の検討負担を軽減できる。
【0103】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記によって限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0104】
(工程別の施策採用ステップ)
例えば情報処理装置2の制御部21は、サプライチェーンにおける対象組織の事業活動または特定製品の生産活動の工程別に、採用施策を決定してよい。例えば制御部21は、ユーザに、工程ごとに、その工程に対応する1以上の施策をユーザに提示し、ユーザから採用施策の選択を受け付けてよい。また例えば制御部21は、工程ごとに、図5に示す処理を実行してもよい。
【0105】
(監視ステップ)
また例えば情報処理装置2の制御部21は、対象組織が採用施策の実施後に、以下の監視ステップを実行してもよい。監視ステップは、対象組織の削減計画における予想排出量と排出量の実績との差分を監視するステップである。
具体的には制御部21は、監視ステップにおいて、ユーザから排出量の実績の入力を受け付けたことに応じて、削減計画における予想排出量と排出量の実績との差分を算出してよい。そして制御部21は、差分が所定値以上である場合に、計画と実績とが乖離する原因を分析してよい。また制御部21は、この場合、ユーザに計画と実績とが乖離していることを示すアラートを通知してよい。さらに制御部21は、分析した原因に基づいて、予想排出量又は予想削減量の算出のためのパラメータを修正してよい。また制御部21は、ユーザがその施策を第2施策候補として選択する際、又は採用施策として決定する際に、計画と実績とがずれる傾向にある施策である旨のメッセージを表示してよい。加えて制御部21は、分析した原因に応じて、削減計画を変更するか否かを判定してよい。削減計画を変更する場合には、制御部21は、図14に示す処理と同様に、優先順位に従って採用施策として選択されていない第2施策候補を新たな採用施策として追加し、又はネットゼロ系の施策を追加またはパラメータを修正してよい。
【0106】
(スコープ3の算出ステップ)
また例えば情報処理装置2の制御部21は、対象組織の活動に関連するサプライチェーン排出量の中で他の事業者の排出量(いわゆるスコープ3の排出量)の算出ステップを実行してもよい。
具体的には制御部21は、他の事業者に関するカテゴリ(例えば運輸又は倉庫等)に応じた削減施策を、ユーザに提示してよい。カテゴリに応じた削減施策は、当該他の事業者の排出要因を因数分解し、それぞれの因数を削減するための施策、または当該排出量を予測するための予測式の各因数に対応する施策であってよい。そして制御部21は、ユーザから、各変数について変更可能な量の入力を受け付け、受け付けた量に基づいてスコープ3の予想削減量を算出してよい。
【0107】
上述の実施形態では、情報処理装置2として単一の装置である場合を説明したが、情報処理装置2の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現されてもよい。この場合、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置2の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0108】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる
情報処理装置。
(付記2)
前記制御部は、
前記複数の第1施策候補の各々に対応する基準情報に基づいて、前記優先順位情報を生成する生成ステップをさらに実行する
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記制御部は、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補に関する質問群に対する回答を、前記第2入力情報として前記ユーザから受け付け、
前記第2入力情報に基づいて前記優先順位情報を修正し、修正した前記優先順位情報に基づいて、前記第2施策候補の中から前記採用施策を決定する決定ステップをさらに実行する
付記1又は2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記制御部は、前記受付ステップにおいて、
前記優先順位情報に基づいて前記質問群の中から1の質問を選択し、
前記1の質問に対する回答に基づいて、次に回答を受け付ける質問を決定する
付記3に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記制御部は、計画作成ステップをさらに実行し、
前記制御部は、前記計画作成ステップにおいて、
前記ユーザから受け付けた予算情報と、前記採用施策に対応する投資回収年数と、前記採用施策に対応するコストに関する情報とに少なくとも基づいて、前記採用施策の開始時期を含む削減計画を作成し、
前記表示制御ステップにおいて、前記削減計画を表示する
付記1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記制御部は、第1表示制御ステップと、第2表示制御ステップとをさらに実行し、
前記制御部は、
前記第1表示制御ステップにおいて、前記第2施策候補の各々に対応する施策効果の基準情報を、前記表示部に表示させ、
前記第2表示制御ステップにおいて、前記第2施策候補の中から選択された1以上の前記第2施策候補について、前記1以上の前記第2施策候補に対応する前記第2入力情報に基づいて、前記1以上の前記第2施策候補に対応する前記施策効果を算出し、算出した結果を前記表示部に表示させる
付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記制御部は、前記第2表示制御ステップにおいて、
選択された前記1以上の前記第2施策候補に対応する前記施策効果の算出に必要な項目を特定し、
前記必要な項目のうち、記憶部に参照値が格納されていない項目については、前記第2入力情報として前記ユーザから入力を受け付け、
前記必要な項目のうち、前記記憶部に参照値が格納されている項目については、前記参照値を読み出す
付記6に記載の情報処理装置。
(付記8)
制御部を有する情報処理装置と、
表示部を有する、ユーザが操作するユーザ端末と
を備える情報処理システムであって、
前記制御部は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行し、
前記制御部は、
前記第1選択ステップにおいて、前記ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザ端末に送信し、
前記ユーザ端末は、前記採用施策に関する情報を前記表示部に表示する
情報処理システム。
(付記9)
情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
前記情報処理方法は、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを備え、
前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる
情報処理方法。
(付記10)
情報処理装置に、第1選択ステップと、第2選択ステップと、受付ステップと、表示制御ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から複数の第1施策候補を選択し、
前記第2選択ステップにおいて、前記複数の第1施策候補の間の優先順位を示す優先順位情報に基づいて、前記複数の第1施策候補の中から、前記ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択し、
前記受付ステップにおいて、前記第2施策候補の少なくとも一部に対応する前記第2入力情報を、前記ユーザから受け付け、
前記表示制御ステップにおいて、受け付けた前記第2入力情報に基づいて前記第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、前記ユーザが操作するユーザ端末の表示部に表示させる
プログラム。
【符号の説明】
【0109】
1 情報処理システム
2 情報処理装置
3 ユーザ端末
21 制御部
22 プロセッサ
23 ROM
24 RAM
25 通信部
26 記憶部
27 入力部
211 受付部
212 第1選択部
213 第2選択部
214 決定部
215 表示制御部
4 表示画像
41,42,43 入力領域
5 施策リスト
6 第1施策候補群
7 第2施策候補群
8 表示画像
81 施策名
82 CO2削減量あたりの投資額
83 投資回収年数
84 CO2削減量規模
85 実行容易性
86 選択領域
9 表示画像
91 計算結果
92,93,930,931 入力領域
10 表示画像
101,102 質問
1011,1021 入力領域
11 表示画像
111 施策名
112 スコープの種別
113 燃料種
114 用途
115 開始時期
116 パラメータ項目
117 数値
12 表示画像
T1 施策実績テーブル
T2 基準テーブル
T3 パラメータテーブル
T4 質問テーブル
NW ネットワーク
【要約】
【課題】環境負荷物質の排出削減策の検討において、ユーザの入力負担を軽減する。
【解決手段】情報処理装置の制御部は、第1選択ステップにおいて、ユーザから受け付けた、環境負荷物質の排出に関する第1入力情報に基づいて、排出削減に関する複数の施策の中から第1施策候補を選択する。また制御部は、第2選択ステップにおいて、複数の第1施策候補の間の優先順位情報に基づいて、複数の第1施策候補の中から、ユーザからの第2入力情報の入力を受け付け可能な第1施策候補を、第2施策候補として選択する。また制御部は、受付ステップにおいて、第2施策候補の少なくとも一部に対応する第2入力情報を、ユーザから受け付ける。また制御部は、表示制御ステップにおいて、受け付けた第2入力情報に基づいて第2施策候補の中から決定された採用施策に関する情報を、ユーザ端末の表示部に表示させる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19