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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/653 20140101AFI20240611BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240611BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240611BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20240611BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240611BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240611BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240611BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6551
H01M10/6554
H01M50/204 401H
H01M50/211
H01M50/289
H01M50/293
H01M50/296
H01M50/548 301
H01M50/588
H01M50/591
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022517236
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 KR2021008807
(87)【国際公開番号】W WO2022014966
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0086792
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スビン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・キョン・パク
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0030967(KR,A)
【文献】国際公開第2019/151037(WO,A1)
【文献】特開2019-125449(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235724(WO,A1)
【文献】特表2019-500736(JP,A)
【文献】特表2018-538662(JP,A)
【文献】特表2018-507512(JP,A)
【文献】国際公開第2020/060054(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画化された複数のモジュール領域を有する下部パックハウジングと、
前記モジュール領域内で前記下部パックハウジングに塗布された熱伝導性樹脂層と、
前記熱伝導性樹脂層上の前記複数のモジュール領域それぞれに装着されている複数の電池セル積層体と、
前記複数の電池セル積層体を覆う上部パックハウジングと、
を含み、
前記熱伝導性樹脂層は、前記複数の電池セル積層体の下部面と接触する、電池パック。
【請求項2】
前記複数のモジュール領域は前記下部パックハウジング内に形成された複数の隔壁で区画され、前記隔壁は前記複数の電池セル積層体のうちの隣接する電池セル積層体の間に位置する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記熱伝導性樹脂層は、第1熱伝導性樹脂層と、第2熱伝導性樹脂層と、を含み、
前記複数のモジュール領域は、前記隔壁によって互いに区画される第1領域と、第2領域と、を含み、
前記第1熱伝導性樹脂層は前記第1領域に対応するように形成されており、前記第2熱伝導性樹脂層は前記第2領域に対応するように形成されている、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1熱伝導性樹脂層と前記第2熱伝導性樹脂層とは互いに離隔して位置する、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記複数の電池セル積層体の上部に塗布されたサーマルペースト層をさらに含む、請求項3に記載の電池パック。
【請求項6】
前記サーマルペースト層は、前記上部パックハウジングと前記電池セル積層体とを結合する接着成分を含む、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記複数のモジュール領域の第1領域および第2領域のそれぞれに第1電池セル積層体および第2電池セル積層体が装着されており、
前記隔壁の高さは前記第1電池セル積層体の側面の高さおよび前記第2電池セル積層体の側面の高さより高い、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記電池セル積層体は第1方向に沿って積層されている複数の電池セルを含み、
前記電池セル積層体は前記第1方向に沿って互いに隣接する電池セルの間に位置する接着部材をさらに含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項9】
前記熱伝導性樹脂層は、前記下部パックハウジングと前記電池セル積層体を結合する接着成分を含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項10】
前記下部パックハウジングと前記熱伝導性樹脂層との間に位置する放熱層をさらに含む、請求項9に記載の電池パック。
【請求項11】
前記電池セル積層体に含まれている電池セルからそれぞれ突出した電極リードと、
前記電極リードが突出した前記電池セル積層体の前面および後面を覆う絶縁カバーと、 をさらに含み、
前記絶縁カバーは前記下部パックハウジングと対向する、請求項1から10のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項12】
前記絶縁カバーには端子バスバー開口部が形成されており、前記端子バスバー開口部を通じて端子バスバーが外部と連結されており、
前記端子バスバー開口部は、前記電池セル積層体に含まれている複数の電池セルの積層方向を基準にして前記絶縁カバーの最外殻に形成されている、請求項11に記載の電池パック。
【請求項13】
請求項1に記載の電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年7月14日付韓国特許出願第10-2020-0086792号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものであって、より具体的には、生産性が向上した電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。これにより、多様な要求に応えられる二次電池に対する研究が多く行われている。
【0004】
二次電池は携帯電話機、デジタルカメラ、ノートパソコンなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0005】
小型モバイル機器にはデバイス1台当り一つまたは二、三、四個の電池セルが使用されるのに対し、自動車などのように中大型デバイスには高出力大容量が必要である。したがって、複数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが使用される。
【0006】
中大型電池モジュールはできれば小さな大きさと重量で製造されるのが好ましいので、高い集積度で積層でき容量に比べて重量の小さい角型電池、パウチ型電池などが中大型電池モジュールの電池セルとして主に使用されている。一方、電池モジュールは、セル積層体を外部衝撃、熱または振動から保護するために、前面と後面が開放されて電池セル積層体を内部空間に収納するモジュールフレームを含むことができる。
【0007】
図1は、従来の電池モジュールにおいてフレーム底部に形成されたホールを示す斜視図である。図2は、図1の電池モジュールを上下にひっくり返した様子を示す斜視図である。図3は、図1の切断線A-Aに沿って切断した断面図である。図4は、図2の電池モジュールがヒートシンクと結合された様子を示す図である。
【0008】
図1図3を参照すれば、電池モジュールは電池セル積層体15を外部衝撃、熱または振動から保護するために、前面と後面が開放されて電池セル積層体15を内部空間に収納するモジュールフレーム10を含むことができる。モジュールフレーム10はトップ部12とボトム部11を有し、図2の電池モジュールを上下にひっくり返した様子を示す図1を参照すれば、モジュールフレーム10のボトム部11には注液ホール20が形成できる。
【0009】
このような注液ホール20を通じて熱伝導性樹脂が電池セル積層体15とモジュールフレーム10のボトム部11の間に注液されて図3に示したような熱伝導性樹脂層40を形成することができる。
【0010】
熱伝導性樹脂層40は、電池セル積層体15から発生した熱を電池モジュールの外に伝達することができる。モジュールフレーム10のボトム部11にはチェッキングホール30がさらに形成され、熱伝導性樹脂を注液する時、必要以上に注入された熱伝導性樹脂はチェッキングホール30を通じて電池モジュールの外に吐出され、これによって注液量を確認することができる。
【0011】
図1は、熱伝導性樹脂を注液するために電池モジュールを180度ひっくり返した状態であり、この時、図3に示したように電池モジュール内部の部品が重力によって下へ移動することがある。電池モジュール内部には複数の電池セル14が積層されて形成された集合体である電池セル積層体15が装着されており、重力によって電池セル積層体15が下へ移動するため、熱伝導性樹脂を注液することができる空間が元来設計された空間より広くなり、この時、熱伝導性樹脂が注液されてボトム部11と電池セル積層体15の間の空間を満たす熱伝導性樹脂の量が必要以上に増加することがある。これにより、逆吐出が起こるか未硬化によって電池モジュールの品質問題を発生させることがある。
【0012】
図4を参照すれば、図2の電池モジュールは電池セル14から発生した熱を冷却させるためにヒートシンク60と結合して電池パックを形成することができる。この時、ヒートシンク60は、冷媒が流入するインレット、冷媒が流出するアウトレット、インレットとアウトレットを連結する冷却流路が形成された下部プレート62、および下部プレート62を覆う上部プレート61を含む。ここで、電池モジュールのボトム部11とヒートシンク60の間に熱伝達部材50がさらに形成できる。
【0013】
電池セル14から発生した熱は、熱伝導性樹脂層40、モジュールフレーム10のボトム部11、熱伝達部材50および、ボトム部11の下面に位置したヒートシンク60を順次に経て電池モジュール外部に伝達される。しかし、このような場合、熱伝達経路が複雑で、電池セル14から発生した熱が効果的に伝達されにくい。モジュールフレーム10自体が熱伝導特性を低下させることがあり、モジュールフレーム10、熱伝達部材50およびヒートシンク60それぞれの間に形成されるエアーギャップ(Air gap)などの微細な空気層も熱伝導特性を低下させる要因になることがある。
【0014】
また、図2を再び参照すれば、電池セル積層体15の前面(x軸方向)および後面(x軸反対方向)を覆うようにエンドプレート25が形成できる。エンドプレート25は外部の衝撃から電池セル積層体15およびその他の電装品を物理的に保護し、y軸と平行な方向を基準にしてエンドプレート25の最外殻に位置するモジュールマウンティング構造28によって電池モジュールをパックフレームと固定して電池パックを形成することができる。このようなモジュールマウンティング構造28はボルトなどの締結部材を必要として生産性が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、製造工程の単純化を通じて冷却効率および生産性を向上させる電池パックおよびこれを含むデバイスを提供することである。
【0016】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様による電池パックは、複数のモジュール領域を有する下部パックハウジングと、前記モジュール領域内で前記下部パックハウジングに塗布された熱伝導性樹脂層と、前記熱伝導性樹脂層上の前記複数のモジュール領域それぞれに装着されている複数の電池セル積層体と、前記複数の電池セル積層体を覆う上部パックハウジングとを含む。
【0018】
前記複数のモジュール領域は前記下部パックハウジング内に形成された複数の隔壁で区画され、前記隔壁は前記複数の電池セル積層体のうちの隣接する電池セル積層体の間に配置できる。
【0019】
前記熱伝導性樹脂層は第1熱伝導性樹脂層と第2熱伝導性樹脂層とを含み、前記複数のモジュール領域は前記隔壁によって互いに区画される第1領域と第2領域とを含み、前記第1熱伝導性樹脂層は前記第1領域に対応するように形成され、前記第2熱伝導性樹脂層は前記第2領域に対応するように形成できる。
【0020】
前記第1熱伝導性樹脂層と前記第2熱伝導性樹脂層とは互いに離隔して配置できる。
【0021】
前記電池パックは、前記複数の電池セル積層体の上部に塗布されたサーマルペースト層をさらに含むことができる。
【0022】
前記サーマルペースト層は、前記上部パックハウジングと前記電池セル積層体とを結合する接着成分を含むことができる。
【0023】
前記複数のモジュール領域の第1領域および第2領域のそれぞれに第1電池セル積層体および第2電池セル積層体が装着されており、前記隔壁の高さは前記第1電池セル積層体の側面の高さおよび前記第2電池セル積層体の側面の高さより高くてもよい。
【0024】
前記電池セル積層体は第1方向に沿って積層されている複数の電池セルを含み、前記電池セル積層体は前記第1方向に沿って互いに隣接する電池セルの間に位置する接着部材をさらに含むことができる。
【0025】
前記熱伝導性樹脂層は、前記下部パックハウジングと前記電池セル積層体とを結合する接着成分を含むことができる。
【0026】
前記電池パックは、前記下部パックハウジングと前記熱伝導性樹脂層との間に位置する放熱層をさらに含むことができる。
【0027】
前記電池パックは、前記電池セル積層体に含まれている電池セルからそれぞれ突出した電極リードと、前記電極リードが突出した前記電池セル積層体の前面および後面を覆う絶縁カバーと、をさらに含み、前記絶縁カバーは前記下部パックハウジングと対向してもよい。
【0028】
前記絶縁カバーには端子バスバー開口部が形成されており、前記端子バスバー開口部を通じて端子バスバーが外部と連結され、前記端子バスバー開口部は、前記電池セル積層体に含まれている複数の電池セルの積層方向を基準にして前記絶縁カバーの最外殻に形成できる。
【0029】
本発明の他の一態様によるデバイスは、前述の電池パックを含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様によれば、モジュールフレーム構造物なしにパックハウジングに電池セルが直接組立てられることによって、熱伝達性能が向上し、モジュール組立後にパックを組み立てる方式の代わりにパックに電池セルを直ちに組み立てることによって、組み立て簡素化を通じて生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来の電池モジュールにおいてフレーム底部に形成されたホールを示す斜視図である。
図2図1の電池モジュールを上下にひっくり返した様子を示す斜視図である。
図3図1の切断線A-Aに沿って切断した断面図である。
図4図2の電池モジュールがヒートシンクと結合された様子を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による電池モジュールの斜視図である。
図6図5の電池モジュールに対する分解斜視図である。
図7図5の電池モジュールに含まれている電池セルに対する斜視図である。
図8図5の電池モジュールに含まれている絶縁カバーを示す斜視図である。
図9】本発明の他の一実施形態による電池パックに対する分解斜視図である。
図10図9のx軸方向に沿ってxz平面に切断した断面図一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0034】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張されるように示した。
【0035】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという時、これは他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分「の直上に」あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「の上に」または「上に」位置することを意味するのではない。
【0036】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0037】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態による電池モジュールの斜視図である。図6は、図5の電池モジュールに対する分解斜視図である。図7図5の電池モジュールに含まれている電池セルに対する斜視図である。
【0039】
図5図7を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュール100は、複数の電池セル110が積層された電池セル積層体200を含む。
【0040】
まず、電池セル110はパウチ型電池セルであるのが好ましく、長方形のシート型構造に形成できる。例えば、本実施形態による電池セル110は二つの電極リード111、112を含み、電極リード111、112はセル本体113を基準にして互いに反対方向を向いている。電極リード111、112は、セル本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。より詳しくは、電極リード111、112は電極組立体(図示せず)と連結され、前記電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。二つの電極リード111、112のうちの一つは正極リード111であり、他の一つは負極リード112であり得る。即ち、一つの電池セル110を基準にして正極リード111と負極リード112が互いに反対方向を向くように突出してもよい。
【0041】
一方、電池セル110は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態でセルケース114の両端部114a、114bとこれらを連結する一側部114cを接着することによって製造できる。言い換えれば、本実施形態による電池セル110は合計3箇所のシーリング部を有し、シーリング部は熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、他の一側部は連結部115からなり得る。セルケース114は樹脂層と金属層を含むラミネートシートからなり得る。
【0042】
このような電池セル110は複数個で形成でき、複数の電池セル110は相互電気的に連結されるように積層されて電池セル積層体200を形成する。特に、図7に示されているように、第1方向であるx軸方向に沿って複数の電池セル110が積層できる。これにより、電極リード111、112はそれぞれy軸方向と-y軸方向に突出してもよい。
【0043】
一方、本実施形態による電池モジュール100は、図1図4で説明した従来の電池モジュールとは異なり、モジュールフレームと金属材質のエンドプレートが除去されたモジュール-レス(module-less)構造を形成することができる。モジュールフレームの代わりに、本実施形態による電池モジュール100は、側面プレート600とホールディングバンド700を含むことができる。モジュールフレームとエンドプレートが除去されることによって、電池セル積層体200をモジュールフレーム内部に収納する工程や、モジュールフレームとエンドプレートを組み立てる工程のように精密なコントロールが要求される複雑な工程が不必要である。また、除去されたモジュールフレームとエンドプレートだけ電池モジュール100の重量を大きく減らすことができるという長所を有する。また、本実施形態による電池モジュール100はモジュールフレームの除去によって、電池パック組み立て工程時、再作業性が有利であるという長所を有することができる。これに対し、従来の電池モジュールはモジュールフレームの溶接構造によって不良が発生しても再作業が不可能であった。
【0044】
側面プレート600は板状型部材であって、電池セル積層体200の両側面に位置して、電池モジュール100の剛性を補完することができる。このような側面プレート600は弾性性質を有し射出成形で製造されるプラスチック素材を含むことができ、場合によって板スプリング素材が適用できる。
【0045】
ホールディングバンド700は電池セル積層体200の両端部で電池セル積層体200を囲む部材であって、電池セル積層体200を構成する複数の電池セル110と側面プレート600を固定する機能を果たすことができる。このように、ホールディングバンド700を通じて電池セル積層体200および側面プレート600を固定した後、電極リード111、112が突出する方向に該当する電池セル積層体200の前面と後面に絶縁カバー400を配置することができる。このようなホールディングバンド700は所定の弾性力を有する素材からなり、具体的に板スプリングの構造が適用できる。
【0046】
図8は、図5の電池モジュールに含まれている絶縁カバーを示す斜視図である。
【0047】
図6および図8を参照すれば、本実施形態による電池モジュール100は、電極リード111、112が突出した電池セル積層体200の前面および後面を覆う絶縁カバー400を含むことができる。このような絶縁カバー400は電気的絶縁を帯びる素材を含むことができ、一例としてプラスチック素材、高分子素材または複合素材を含むことができる。また、絶縁カバー400は、電池セル積層体200の前面および後面を覆うことができるように一種のバスケット形に形成できる。
【0048】
前述のとおり、本実施形態による電池モジュール100はエンドプレートとバスバーフレームが除去でき、その代わりに絶縁カバー400を設けることができる。一方、電池セル積層体200の外側に位置した電池セル110の電極リードは端子バスバー500と電気的に連結できる。従来の電池モジュールがバスバーを通じて電極リードを互いに連結したこととは異なり、本実施形態による電極リード111、112は互いに直接接合され、そのうちの一部が端子バスバー500と電気的に連結されることによって、HV(High Voltage)連結を形成することができる。したがって、本実施形態によるHV連結構造で、バスバーおよびバスバーが装着されるバスバーフレームは除去できる。ここで、HV連結は電力を供給するための電源の役割のためのものであって、電池セル間の連結や電池モジュール間の連結を意味する。
【0049】
一方、本実施形態による絶縁カバー400は金属材質のエンドプレートなどの構成の代わりに、LVコネクタ310と端子バスバー500の外部連結を案内することができる。具体的に、絶縁カバー400にLVコネクタ310の外部連結、即ち、LV(Low Voltage)連結を案内するためのコネクタ開口部440が形成でき、端子バスバー500の外部連結、即ち、HV連結を案内するための端子バスバー開口部450が形成できる。ここで、LV連結は電池セルの電圧を感知し制御するためのセンシング連結を意味する。
【0050】
絶縁カバー400は、LV連結とHV連結時、外部伝導性物体との接触を遮断し絶縁性を確保することができる。また、HV連結過程で、端子バスバー500に形成された貫通ホールを通じてボルトおよびナット締結が行われ、絶縁カバー400に形成された端子バスバー開口部450は前記ボルトおよびナット締結が正しく行われる一種のガイドとしての機能を果たすことができる。
【0051】
本実施形態による端子バスバー開口部450は、電池セル積層体200に含まれている複数の電池セル110の積層方向を基準にして絶縁カバー400の最外殻に配置できる。従来は絶縁カバーまたは金属材質のエンドプレートの最外殻にパックフレームと連結されるためのモジュールマウンティング構造が形成されているため端子バスバー開口部450の形成位置に制約があった。しかし、本実施形態によれば、モジュールマウンティング構造の代わりに、後述のように下部パックハウジングの底部に塗布された熱伝導性樹脂層によって電池セル積層体200が固定できる。したがって、モジュールマウンティング構造を省略することによって、端子バスバー開口部450を絶縁カバー400の最外殻に形成することができる。
【0052】
図9は、本発明の他の一実施形態による電池パックに対する分解斜視図である。
【0053】
図9を参照すれば、本発明の一実施形態による電池パック1000は、電池モジュール100、電池モジュール100を収納するパックフレーム1100、および電池モジュール100とパックフレーム1100の底部1111との間に位置する熱伝導性樹脂層1200を含むことができる。
【0054】
まず、電池モジュール100は前述のとおり、絶縁カバーを含み、その代わりにモジュールフレームとエンドプレートが除去されたモジュール-レス(module-less)構造を形成することができる。このような電池モジュール100が複数個でパックフレーム1100に収納されて電池パック1000を形成することができる。
【0055】
パックフレーム1100は、下部パックハウジング1110および下部パックハウジング1110を覆う上部パックハウジング1120を含むことができ、下部パックハウジング1110の底部1111に複数の電池モジュール100が配置できる。下部パックハウジング1110は複数のモジュール領域を有し、複数のモジュール領域は下部パックハウジング1110内に形成された複数の隔壁1350で区画できる。隔壁1350は、複数の電池モジュール100のうちの互いに隣接する電池モジュール100の間に形成されている。例えば、熱伝導性樹脂層1200は互いに隣接する第1熱伝導性樹脂層と第2熱伝導性樹脂層を含み、複数のモジュール領域は隔壁1350によって互いに区画される第1領域と第2領域を含み、前記第1熱伝導性樹脂層は前記第1領域に対応するように形成され、前記第2熱伝導性樹脂層は前記第2領域に対応するように形成できる。この時、前記第1熱伝導性樹脂層と前記第2熱伝導性樹脂層は隔壁1350によって互いに離隔して配置できる。
【0056】
一方、熱伝導性樹脂層1200は、下部パックハウジング1110の底部1111に熱伝導性樹脂(Thermal resin)が塗布されて形成できる。前記熱伝導性樹脂は熱伝導性接着物質を含むことができ、具体的にシリコン(Silicone)素材、ウレタン(Urethan)素材、およびアクリル(Acrylic)素材のうちの少なくとも一つを含むことができる。前記熱伝導性樹脂は、塗布時には液状であるが、塗布後に硬化されて電池モジュール100を下部パックハウジング1110に固定する役割を果たすことができる。また、熱伝導特性に優れて電池モジュール100から発生した熱を迅速に底部1111に伝達して電池パック1000の過熱を防止することができる。本実施形態によれば、電池モジュール100はモジュールフレームが省略されるため、図6の電池セル積層体200の下部面が下部パックハウジング1110に塗布された熱伝導性樹脂層1200上に直接装着できる。電池セル積層体200の下部面は熱伝導性樹脂層1200と接触し得る。この時、接着性能を有する熱伝導性樹脂層1200によって電池セル積層体200は下部パックハウジング1110に固定できる。下部パックハウジング1110と熱伝導性樹脂層1200の間に別途の部材または層が付加されない場合、下部パックハウジング1110は熱伝導性樹脂層1200と接触し得る。
【0057】
図5に示されているように、本実施形態による電池モジュール100は、モジュールフレームが除去されたモジュール-レス(module-less)構造において、電池セル110の一部が外部に露出されることがあり、構造的安定性のために露出される電池セル110を固定することが必須である。よって、本実施形態による電池パック1000は底部1111に電池モジュール100、特に電池モジュール100を構成するそれぞれの電池セル110を固定することができる熱伝導性樹脂層1200を形成することによって、構造的安定性を向上させることができる。また、モジュールフレームを省略して、電池セルから発生した熱を熱伝導性樹脂層からパックフレームに直ちに伝達して冷却効率を高めることができる。パックフレームには、図示していないが、ヒートシンク構造が形成できる。
【0058】
図10は、図9のx軸方向に沿ってxz平面に切断した断面図一部を示す。
【0059】
図10は本発明の他の一実施形態による電池パックを示し、本実施形態による電池パック1000は、複数の電池セル積層体200上部に塗布されたサーマルペースト層1300をさらに含むことができる。サーマルペースト層1300は、上部パックハウジング1120と電池セル積層体200を結合するための接着成分を含むことができる。電池セル積層体200の上部面はサーマルペースト層1300と接触し得る。上部パックハウジング1120の下部に別途の部材または層が付加されない場合、上部パックハウジング1120はサーマルペースト層1300と接触し得る。この時、モジュール-レス構造に該当する本実施形態による電池モジュールの固定力をさらに向上させることができる。
【0060】
本実施形態によれば、電池モジュール100と隔壁1350の間には側面プレート600が形成できる。側面プレート600は電池セル積層体200の最外殻の電池セル110の側面と対向し得る。側面プレート600は、電池セル積層体200の最外殻の電池セル110の側面および隔壁1350のうちの少なくとも一つに付着できる。
【0061】
複数のモジュール領域のうちの第1領域に装着されている第1電池セル積層体と、第2領域に装着されている第2電池セル積層体の間には隔壁1350が配置できる。この時、隔壁1350の高さは第1電池セル積層体200aの側面の高さおよび第2電池セル積層体200bの側面の高さより高くてもよい。このような高さの差によってサーマルペーストを電池セル積層体200上部の所望の部位に塗布してサーマルペースト層1300を形成することによって接着力を強化させることができる。
【0062】
また、電池セル積層体200は互いに隣接する電池セル110の間に位置する接着部材120をさらに含むことができる。このような接着部材120によって、モジュールフレームが省略されることによって弱まることのある電池セル積層体200の固定力を強化させることができる。図示していないが、本実施形態による電池パックは、下部パックハウジング1110と熱伝導性樹脂層1200の間に位置する放熱層をさらに含むことができる。
【0063】
前述の電池モジュールおよびこれを含む電池パックは多様なデバイスに適用できる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用できるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0064】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0065】
100:電池モジュール
200:電池セル積層体
400:絶縁カバー
450:バスバー開口部
700:ホールディングバンド
1100:パックフレーム
1110:下部パックハウジング
1120:上部パックハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10