(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】乾式電極用フリースタンディングフィルム、その製造装置、これを含む乾式電極、および二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20240611BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240611BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240611BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240611BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/66 A
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2022558537
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 KR2022000986
(87)【国際公開番号】W WO2022164120
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0011773
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0005069
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】テゴン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミョンス・キム
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/191397(WO,A1)
【文献】特表2020-522090(JP,A)
【文献】国際公開第2019/222110(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/181887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式電極用のフリースタンディングフィルムであって、
バインダー、活物質および導電材を含み、
溶媒に由来する物質を含まず、
前記フリースタンディングフィルムは、200μmの厚さを基準として2000gf/cm
2
~4000gf/cm
2
の引張強度を有する、フリースタンディングフィルム。
【請求項2】
前記バインダーは、繊維化可能なポリマーを含み、前記繊維化可能なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項1に記載のフリースタンディングフィルム。
【請求項3】
前記フリースタンディングフィルムの200μmの厚さを基準として厚さ偏差が0.5%以下である、請求項1に記載のフリースタンディングフィルム。
【請求項4】
前記フリースタンディングフィルムの厚さは、10~1000μmである、請求項1に記載のフリースタンディングフィルム。
【請求項5】
前記請求項1に記載のフリースタンディングフィルムを製造する装置であって、
バインダー、活物質および導電材を含む無溶媒混合物が貯蔵される本体と、
前記無溶媒混合物を混合して繊維化組成物を製造し、前記本体から押出させる1つ以上の押出機と、
互いに対面した状態で向かい合う方向に回転し、前記繊維化組成物を排出する一対のプレフォーミングロールとを含むフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項6】
前記バインダーは、繊維化可能なポリマーを含み、前記繊維化可能なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項
5に記載のフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項7】
前記押出機は、回転によるミリング、またはブレンディングによる混合を行い、前記無溶媒混合物に剪断力を印加して繊維化組成物を形成する、請求項
5に記載のフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項8】
前記本体の下端に排出口が形成されており、前記押出機は、前記本体の上下方向に運動して、圧力によって前記繊維化組成物を前記排出口を介して押出させる、請求項5に記載のフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項9】
前記押出機は、スクリューである、請求項
5に記載のフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項10】
前記プレフォーミングロールは、前記本体の末端に位置する、請求項
5に記載のフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項11】
前記本体の下端に排出口が形成されており、前記プレフォーミングロールは、前記本体の排出口の下部に位置して、前記押出機が繊維化組成物を押出させると同時にフィルム状に成形する、請求項
5に記載のフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項12】
前記フリースタンディングフィルム製造装置は、前記バインダー、活物質および導電材を混合して無溶媒混合物を形成するプレ混合機と、前記プレフォーミングロールによってフィルム状に成形された繊維化組成物をカレンダリングするカレンダーとをさらに含む、請求項
5に記載のフリースタンディングフィルム製造装置。
【請求項13】
請求項1から4のいずれか一項に記載のフリースタンディングフィルムが、プライマー層のコーティングされた集電体上にラミネーションされている、乾式電極。
【請求項14】
請求項
5から
12のいずれか一項に記載のフリースタンディングフィルム製造装置を用いて製造されたフリースタンディングフィルムが、プライマー層のコーティングされた集電体上にラミネーションされている、乾式電極。
【請求項15】
請求項
13に記載の乾式電極を含む二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年1月27日付の韓国特許出願第10-2021-0011773号および2022年1月13日付の韓国特許出願第10-2022-0005069号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、乾式電極用フリースタンディングフィルム、その製造装置、これを含む乾式電極、および二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加によって代替エネルギー、クリーンエネルギーの使用に対する要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学を利用した発電、蓄電分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表例として二次電池が挙げられ、次第にその使用領域が拡大している傾向にある。
【0005】
このような二次電池のうち代表的なリチウム二次電池は、モバイル機器のエネルギー源だけでなく、最近は、大気汚染の主要原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両など化石燃料を使用する車両を代替できる電気自動車、ハイブリッド電気自動車の動力源としての使用が実現化されており、グリッド化による電力補助電源などの用途にも使用領域が拡大している。
【0006】
このようなリチウム二次電池の製造工程は、大きく、電極工程、組立工程、化成工程の3段階に区分される。前記電極工程は再度、活物質混合工程、電極コーティング工程、乾燥工程、圧延工程、スリッティング工程、巻取工程などに区分される。
【0007】
このうち、活物質混合工程は、電極で実際の電気化学反応が起こる電極活性層形成のためのコーティング物質を配合する工程であって、詳しくは、電極の必須要素である電極活物質とその他の添加剤である導電材と充填材、粒子間の結着と集電体に対する接着のためのバインダー、および粘度付与と粒子分散のための溶媒などを混合して流動性を有するスラリーの形態に製造するものである。
【0008】
このように電極活性層形成のために混合された組成物を広い意味で電極合剤(electrode mixture)と称したりもする。
【0009】
以後、電極合剤を電気伝導性の集電体上に塗布する電極コーティング工程と、電極合剤に含有されていた溶媒を除去するための乾燥工程が行われ、追加的に電極が圧延されて所定の厚さに製造される。
【0010】
一方、前記乾燥過程で電極合剤に含有されていた溶媒が蒸発することによって、予め形成された電極活性層にピンホールやクラックのような欠陥が誘発されることがある。また、活性層の内外部が均一に乾燥するのではないので、溶媒蒸発速度の差による粒子浮遊現象、つまり、先に乾燥する部位の粒子が浮かび上がりながら、相対的に後に乾燥する部位と間隙を形成して電極の品質が低下することもある。特に、厚膜コーティングの場合には、電極の乾燥時、溶媒の蒸発により多くの時間がかかるようになり、相対的に軽い導電材、バインダーの浮遊現象が深刻化するため、高品質の電極の製造が難しいという致命的なデメリットがある。
【0011】
そこで、以上の問題解決のために、活性層の内外部が均一に乾燥するようにしながらも、溶媒の蒸発速度を調節できる乾燥装置などが考慮されているが、このような乾燥装置は非常に高価で運用にも多大な費用と時間がかかることから、製造工程性の面から不利であるという点がある。
【0012】
したがって、最近は、溶媒を使用しない乾式電極を製造する研究が活発に行われている。
【0013】
前記乾式電極は、一般に、集電体上に、活物質、バインダー、導電材などを含み、フィルム状に製造されたフリースタンディングフィルムをラミネーションすることによって製造される。
【0014】
したがって、高品質の厚膜電極の製造が可能であり、人体に有害な有機溶媒の使用が不要であり、長い乾燥による高い工程費用などを同時に解決できる革新的な技術として注目されている。
【0015】
一方、このような乾燥電極を製造する時は、バインダーとして主にポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)粉末を使用するが、このようなPTFEは数百nm以下の直径を有する一次粒子の内部に(‐CFε‐CFε‐)nの原子配列を有する長い繊維状組織がきちんと整列されており、特定の条件で剪断力を受けると長く繊維状に引き抜かれ、このようなPTFEナノ繊維が活物質と導電材とをロープ(rope)のように連結して電極の形態を維持させる役割を果たす。
【0016】
一方、前記PTFEの繊維化が行われた活物質と導電材との混合物はチューインガムのような状態で流動性が大きく低下しているため、フリースタンディングフィルムの形態に製造するための圧延、カレンダーなどのための均一な定量供給が難しくなって、圧延、カレンダー時の圧延密度を均一に制御することは容易ではない。
【0017】
したがって、このような問題を解決できる乾式電極製造のためのフリースタンディング(自立)フィルム技術の開発が切実なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記の問題を解決するためのものであって、引張強度が向上したフリースタンディングフィルムを提供することを目的とする。
【0019】
また、前記フリースタンディングフィルムを製造するための装置であって、押出機による繊維化組成物の製造後、本体から外部に押出させる時の負荷を最小化しながらも、フリースタンディングフィルムが均一な密度を有するようにして定量押出が可能になることによって、前記条件を満足するフリースタンディングフィルム製造装置を提供することを目的とする。
【0020】
本発明はさらに、前記フリースタンディングフィルムを含む乾式電極、これを含む二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一実施形態による乾式電極用フリースタンディングフィルムは、
バインダー、活物質および導電材を含み、
前記フリースタンディングフィルムは、200μmの厚さを基準として2000gf/cm2以上の引張強度を有することを特徴とする。
【0022】
ここで、前記バインダーは、繊維化可能なポリマーを含み、前記繊維化可能なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)であってもよい。
【0023】
さらに具体的には、前記フリースタンディングフィルムは、200μmの厚さを基準として2000gf/cm2~4000gf/cm2の引張強度を有することができる。
【0024】
また、前記フリースタンディングフィルムは、200μmの厚さを基準として厚さ偏差が0.5%以下であってもよい。
【0025】
このような前記フリースタンディングフィルムの厚さは、10~1000μmであってもよい。
【0026】
一方、本発明の他の実施形態によるフリースタンディングフィルム製造装置は、
乾式電極用フリースタンディングフィルムを製造する装置であって、
バインダー、活物質および導電材を含む無溶媒混合物が貯蔵される本体と、
前記無溶媒混合物を混合して繊維化組成物を製造し、前記本体から押出させる1つ以上の押出機と、
互いに対面した状態で向かい合う方向に回転し、前記繊維化組成物を排出する一対のプレフォーミングロールとを含むことを特徴とする。
【0027】
ここで、前記バインダーは、繊維化可能なポリマーを含み、前記繊維化可能なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)であってもよい。
【0028】
一方、前記押出機は、回転によるミリング、またはブレンディングによる混合を行い、前記無溶媒混合物に剪断力を印加して繊維化組成物を形成することができる。
【0029】
また、前記本体は、下端に排出口が形成されており、前記押出機は、本体の上下方向に運動して、圧力によって前記繊維化組成物を前記排出口を介して押出させることができる。
【0030】
ここで、前記押出機は、上記で説明したように、前記本体に貯蔵された物質を混合し、これに対して圧力を作用して前記本体から外部に前記物質を排出させることができる形態であれば限定されず、いかなる構造の押出機でも可能であるが、詳しくは、スクリューであってもよい。
【0031】
前記プレフォーミングロールは、前記本体の末端に位置することができ、具体的には、前記本体の排出口の下部に位置して、前記押出機が繊維化組成物を押出させると同時にフィルム状に成形することができる。
【0032】
一方、本発明による前記フリースタンディングフィルム製造装置は、さらに、前記バインダー、活物質および導電材を混合して無溶媒混合物を形成するプレ(pre)混合機と、前記プレフォーミングロールによってフィルム状に成形された繊維化組成物をカレンダリングするカレンダーとをさらに含むことができる。
【0033】
一方、本発明のさらに他の実施形態によれば、前記フリースタンディングフィルムが、プライマー層の形成された集電体上にラミネーションされた乾式電極を提供し、具体的には、前記フリースタンディングフィルム製造装置を用いて製造されたフリースタンディングフィルムが、プライマー層の形成された集電体上にラミネーションされた乾式電極を提供する。
【0034】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、前記乾式電極を含む二次電池を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明によるフリースタンディングフィルム製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に対する理解のために、本発明をさらに詳細に説明する。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則り、本発明の技術的な思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0038】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0039】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、
乾式電極用フリースタンディングフィルムであって、
バインダー、活物質および導電材を含み、
前記フリースタンディングフィルムは、200μmの厚さを基準として2000gf/cm2以上の引張強度を有するフリースタンディングフィルムが提供される。
【0041】
ここで、前記バインダーは、繊維化可能なポリマーを含み、前記繊維化可能なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)であってもよい。
【0042】
このような前記フリースタンディングフィルムは、さらに具体的には、200μmの厚さを基準として2000gf/cm2~4000gf/cm2、詳しくは2000gf/cm2~3000gf/cm2、最も詳しくは2200gf/cm2~2700gf/cm2の引張強度を有することができる。
【0043】
ここで、前記引張強度は、前記フリースタンディングフィルムを幅20mm×長さ20mm×厚さ200μmに裁断してサンプリングし、前記サンプルを用いて、LLOYD社のUTM装置により角度180度、速度50mm/minの条件で引張強度(サンプルの破断が発生しない時点まで加えた力の最大値)を測定して求められる。
【0044】
前記範囲を超えて、過度に低い引張強度を有すると、ロールツーロールの連続工程で電極が簡単に切断されやすい工程性低下の問題がある。
【0045】
また、前記フリースタンディングフィルムは、200μmの厚さを基準として厚さ偏差が0.5%以下であってもよい。
【0046】
前記厚さ偏差は、自動厚さ測定器(Mahr、Millimar)を用いてフリースタンディングフィルムの厚さを1cmの間隔で20個の地点を測定して求められる。
【0047】
前記範囲を超えて、厚さ偏差が大きい場合、均一な密度を有することができないので不良率が増加し、これによって寿命特性が低下する問題があるので、好ましくない。
【0048】
このような前記フリースタンディングフィルムの厚さは、10~1000μmであってもよい。詳しくは、50~500μm、さらに詳しくは、100~500μmであってもよい。
【0049】
つまり、本発明による乾式電極用フリースタンディングフィルムは、比較的厚く作製可能で、厚膜電極の製造に適する。
【0050】
一方、このようなフリースタンディングフィルムは、下記のような特定の製造装置を用いて製造される。
【0051】
具体的には、本発明の他の実施形態によれば、
前記フリースタンディングフィルムを製造する装置であって、
バインダー、活物質および導電材を含む無溶媒混合物が貯蔵される本体と、
前記無溶媒混合物を混合して繊維化組成物を製造し、前記本体から押出させる1以上の押出機と、
互いに対面した状態で向かい合う方向に回転し、前記繊維化組成物を排出する一対のプレフォーミングロールとを含むフリースタンディングフィルム製造装置が提供される。
【0052】
図1には、本発明によるフリースタンディングフィルム製造装置100の一部が模式的に示されている。
【0053】
以下、
図1を参照して、本発明によるフリースタンディングフィルム製造装置を具体的な製造方法とともに説明する。
【0054】
本発明によるフリースタンディングフィルム製造装置100は、バインダー、活物質および導電材を含む無溶媒混合物が貯蔵される本体110と、前記無溶媒混合物を混合して繊維化組成物111を製造し、繊維化組成物111に圧力を加えて前記本体から外部に繊維化組成物111を押出させる押出機120と、互いに対面した状態で向かい合う方向に回転し、繊維化組成物111を排出する一対のプレフォーミングロール130とを含む。
【0055】
また、前記バインダー、活物質および導電材を含む無溶媒混合物は、前記物質を混合機で混合して形成される。
【0056】
したがって、
図1には示さないが、本発明によるフリースタンディングフィルム製造装置100は、前記混合機をさらに含むことができる。ここで、前記混合機は、それぞれの材料を一括投入する構成であってもよく、投入する順序が制御できるように分割投入する構成で配置されてもよい。
【0057】
前記混合機で混合物を製造するための混合は、前記活物質、導電材、およびバインダーが均一に分布できるように行われるものであり、パウダー状に混合されるので、これらの単純な混合を可能にするものであれば限定されず、多様な方法によって混合できる。ただし、本願が溶媒を使用しない乾式電極で製造されるので、前記混合は、乾式混合で行われ、ブレンダ、ミル(mill)のような混合機に前記物質を投入して行われる。
【0058】
前記混合は、均一性を確保するために、混合機で5000rpm~20000rpmで30秒~2分、詳しくは10000rpm~15000rpmで30秒~1分間混合して製造される。また、装置の発熱問題および適用材料の耐久性が確保されれば、乾式混合での分散性を改善するために、前記混合工程を1回以上繰り返して実施することもできる。
【0059】
一方、前記バインダーは、繊維化可能なポリマーを含むことができ、前記繊維化可能なポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)であってもよい。このような繊維化可能なポリマーは、バインダーの全体重量を基準として、50重量%以上含まれ、100重量%であってもよい。
【0060】
また、前記バインダーは、前記ポリテトラフルオロエチレンのほか、PEO(polyethylene oxide,ポリエチレンオキシド)、PVDF(polyvinylidene fluoride,ポリビニリデンフルオライド)およびPVDF‐HFP(polyvinylidene fluoride‐co‐hexafluoropropylene,ポリビニリデンフルオライド‐co‐ヘキサフルオロプロピレン)、アクリル系バインダーなどが追加的に含まれてもよいし、その他当業界にて知られたその他のバインダーが追加的に含まれてもよい。
【0061】
ここで、前記バインダーの組成は、前記乾式電極が正極なのか、負極なのかによって異なる。
【0062】
また、前記活物質の種類および組成も、前記乾式電極が正極なのか、負極なのかによって異なる。
【0063】
前記乾式正極を形成するためのフリースタンディングフィルムを製造するために、前記活物質は、リチウム遷移金属酸化物またはリン酸鉄リチウム化合物、金属酸化物形態であれば限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や、1種またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、xは0~0.33である)、LiMnO3、Li2MnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiFe3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、Ca、Zr、Ti、B、P、W、Si、Na、K、Mo、V、Nb、RuまたはGaであり、x=0.01~0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である)またはLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンで置換されたLiMn2O4;リン酸金属リチウム化合物LiMPO4(ここで、MはM=Fe、CO、Ni、またはMnである)、ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0064】
前記乾式負極を形成するためのフリースタンディングフィルムを製造するために、前記活物質は、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の第1族、第2族、第3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SiO、SiO/C、SiOx(1<x<2)、SiO2などのシリコン系酸化物;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、およびBi2O5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li‐Co‐Ni系材料などを使用することができる。
【0065】
ただし、前記乾式電極は、詳しくは、正極であってもよく、したがって、フリースタンディングフィルムの製造のための活物質は、詳しくは、正極活物質であってもよいし、さらに詳しくは、リチウム遷移金属酸化物、リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト酸化物、リチウムニッケル‐マンガン‐コバルト酸化物に一部が他の遷移金属で置換された酸化物、リチウム鉄リン酸化物などであってもよい。
【0066】
一方、黒鉛を主活物質とする負極の場合には、前記正極活物質の適用に比べて比表面積が大きい導電材の使用が不要であったり、その量を大きく低減可能で、PTFEバインダーを繊維化する乾式電極の実現が正極に比べて容易である。しかし、一般に、シリコン系活物質を使用する負極材料は、正極材料に比べて相対的に高容量の材料であるので、電極設計上、正極に比べて負極の厚さが薄く実現されるため、フリースタンディングフィルムを製造する面では、工程上の難易度が高くなりうる。
【0067】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;グラフェン;活性カーボン;活性カーボン繊維;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、フェーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉体などの金属粉体;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性材料などが使用できるが、詳しくは、導電材の均一な混合と、導電性の向上のために、活性カーボン、黒鉛、カーボンブラック、グラフェンおよび単層または多層カーボンナノチューブからなる群より選択される1種以上を含むことができ、さらに詳しくは、カーボンブラックまたは活性カーボンを含むことができる。
【0068】
前記活物質、導電材、およびバインダーの混合比は、活物質:導電材:バインダーが重量比で60~99.8重量%:0.1~20重量%:0.1~20重量%含まれ、詳しくは、80~99重量%:0.5~10重量%:0.5~10重量%含まれる。
【0069】
前記範囲を超えて、バインダーの含有量が過度に多い場合には、バインダーが後に過度に繊維化されながら、硬くなるため、工程上装置に負荷がかかり、電極自体に対する抵抗も大きく増加しうる。これに対し、バインダーの含有量が過度に少ない場合には、十分な繊維化が行われず、フリースタンディングフィルムが製造されにくかったり、電極脱離など電極物性が低下する問題がありうる。
【0070】
また、前記範囲を超えて、導電材の含有量が過度に多い場合、相対的に活物質の含有量が減少して容量減少の問題があり、PTFEの繊維化が妨げられることがある。逆に、導電材の含有量が過度に少ない場合には、十分な導電性を確保できなかったり、フリースタンディングフィルムの電極物性が低下しうることから、好ましくない。
【0071】
一方、場合によっては、前記混合物に電極の膨張を抑制する成分である充填剤が追加的に投入されてもよいし、前記充填剤は、当該電池に化学的変化を誘発することなく繊維状材料であれば特に制限されるわけではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0072】
このように無溶媒混合物が製造されると、前記無溶媒混合物は、本体110に投入、貯蔵される。
【0073】
以後、1つ以上の押出機120を回転させて前記無溶媒混合物をミリング、またはブレンディングによる混合と、前記無溶媒混合物に剪断力を印加して前記バインダーを繊維化させることによって、繊維化組成物111を形成する。
【0074】
ここで、前記押出機120の回転は、10rpm~500rpmで1分~30分間行われる。
【0075】
また、前記繊維化組成物を製造するための温度は、20~120℃、詳しくは、40~120℃、さらに詳しくは、60~120℃で行われる。
【0076】
このような押出機120の種類は限定されないが、一つの例として、スクリューであってもよい。
【0077】
図面には、押出機120が1つでシングル押出機を示したが、ミキシング効率性を高めるためには、一対の押出機、つまり、2つの押出機が平行に噛み合って配置されたツインスクリューが適用されれば、さらに好ましい。
【0078】
前記バインダーの繊維化可能なポリマーであるPTFEが剪断力を受けると、繊維化されて前記活物質と導電材とを結着させる構成は当業界にて公知である。
【0079】
以後、押出機120は、本体110の上下方向に運動して、繊維化組成物111に圧力を加え、本体110の下端に形成された排出口を介して押出させる。
【0080】
ここで、繊維化組成物111の押出速度は、100ml/分~5000ml/分であってもよい。
【0081】
前記押出速度は、後に説明するプレフォーミングロールの周速に関連する。
【0082】
前記押出速度が前記範囲を超えて過度に低い場合には、工程所要時間が長くて、効率的でなく、過度に高い場合には、押出部分での過負荷の問題が発生しうるので、好ましくない。
【0083】
このように押出された繊維化組成物111は、フリースタンディングフィルムに製造するための過程が行われる。このような過程は、通常、カレンダーによるカレンダリング、つまり、ローリングによって行われる。
【0084】
しかし、本発明によれば、本体110の末端、つまり、本体110の下端に形成された排出口の下部に位置するスリットガイド(slit guide)を除去し、プレフォーミングロール130を位置させて、カレンダリングと別途に押出機120が繊維化組成物111を押出させると同時にフィルム状に成形することができる。
【0085】
ここで、図面には、本体110の下端に排出口が形成された構成、この下部にプレフォーミングロール130が位置する構成のみを示したが、前記本体110は、繊維化組成物111を側面に押出する形態であってもよいし、ここで、排出口は本体の側面末端、プレフォーミングロール130は本体110の側面に位置してもよいことはもちろんである。また、押出方向も、押出機120が左右方向に運動して、押出される形態であってもよい。
【0086】
このようにスリットガイドではないプレフォーミングロール130を適用する場合、本体110で繊維化組成物111が押出される部分にかかる負荷を最小化させることができ、バインダーの含有量を増やして、繊維化を多く進行させてもフィルム状に成形が容易に行われて、優れた物性のフリースタンディングフィルムの製造が可能である。
【0087】
プレフォーミングロール130の直径は限定されないが、10~500mm、詳しくは10~300mm、さらに詳しくは10~150mmであってもよい。
【0088】
前記範囲を超えて、過度に小さい場合、繊維化組成物111に加えられる圧力が小さくて好ましくなく、過度に大きい場合、空間的、費用的な面から非効率的である。
【0089】
プレフォーミングロール130の表面温度は、例えば、20~120℃、詳しくは40~120℃、さらに詳しくは60~120℃であってもよい。
【0090】
前記範囲を超えて、過度に低い場合には、繊維化可能なポリマーが活性化されない問題があり、過度に高い場合には、繊維化可能なポリマーの繊維化が急激に進行しながら、繊維の直径が薄くなり、一部は切れながら活物質をバインディングできなくなり、これによってフリースタンディングフィルムの品質を低下させる問題があるので、好ましくない。
【0091】
ここで、プレフォーミングロール130の周速は、前記本体から繊維化組成物が押出される速度に関連し、所望するフリースタンディングフィルムの厚さに影響される。例えば、プレフォーミングロール130の周速は、10rpm~500rpmであってもよい。
【0092】
前記範囲を超えて、周速が過度に速い場合、プレフォーミングロールと本体末端との間に繊維化組成物がかたまることがあり、周速が過度に遅い場合、フリースタンディングフィルムの厚さ偏差が大きくなりうるので、好ましくない。
【0093】
一方、このようにプレフォーミングロール130によってフィルム状に成形された繊維化組成物111をカレンダリングする過程がさらに含まれてもよい。
【0094】
つまり、本願は、繊維化組成物111をプレフォーミングロール130によってフィルム状に製造してフリースタンディングフィルムを製造することができるが、追加的に、カレンダー過程をさらに含んでもよい。
【0095】
したがって、本発明によるフリースタンディングフィルム製造装置も、
図1に示さないが、カレンダリングを行うカレンダーをさらに含むことができる。
【0096】
ここで、前記カレンダリングも、カレンダーロールによって行われる。ここで、前記ロールの直径は、プレフォーミングロール130によって加えられる圧力より大きくなるように前記プレフォーミングロール130の直径より大きく、このような範囲内で、例えば、50~1000mm、詳しくは、100~1000mm、さらに詳しくは、100~500mmであってもよい。
【0097】
また、前記カレンダーロールの表面温度は、20~200℃、詳しくは40~150℃、さらに詳しくは60~150℃であってもよい。
【0098】
前記カレンダーロールの周速は、10rpm~500rpmであってもよい。
【0099】
このようなカレンダーロールによって剪断圧力を加えて、最終的にフリースタンディングフィルムを製造することができる。
【0100】
一方、本発明のさらに他の実施形態によれば、また、前記フリースタンディングフィルムが、プライマー層のコーティングされた集電体上にラミネーションされた乾式電極が提供される。
【0101】
また、具体的には、前記フリースタンディングフィルム製造装置を用いて製造されたフリースタンディングフィルムが、プライマー層のコーティングされた集電体上にラミネーションされた乾式電極が提供される。
【0102】
つまり、前記乾式電極は、プライマー層のコーティングされた集電体上にフリースタンディングフィルムが形成された構造であってもよい。
【0103】
前記フリースタンディングフィルムの製造に使用されたPTFEポリマーは、繊維化により活物質と導電材とを結着させてフィルム状に作製されるが、集電体に対する接着力を有しないので、前記プライマー層のコーティングされた形態の集電体を用いて、集電体とフリースタンディングフィルムとの結着力を確保できる。
【0104】
前記集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用できる。集電体はまた、その表面に微細な凹凸を形成またはメッシュ状に加工して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0105】
前記プライマー層は、集電体上に全体的、部分的にコーティングされてもよいし、詳しくは、全体的にコーティングされる。
【0106】
このようなプライマー層は、導電性物質と結着剤とを含むことができ、前記導電性物質は、導電性を呈する物質であれば限定されないが、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛などの炭素系物質であってもよい。前記結着剤は、溶剤に溶解可能なフッ素系(PVDFおよびPVDF共重合体を含む)、アクリル系バインダーおよび水系バインダーなどを含むことができる。
【0107】
このような前記フリースタンディングフィルムとプライマー層のコーティングされた集電体との結着は、ラミネーションで行われる。
【0108】
前記ラミネーションも、ラミネーションロールによって行われ、ここで、ラミネーションロールは、80℃~200℃の温度に維持される。
【0109】
一方、本発明のさらに他の実施形態によれば、前記乾式電極を含む二次電池が提供される。
【0110】
具体的には、前記乾式電極、分離膜、対電極を含む電極組立体が、電解液と共に電池ケースに内蔵された構造からなる。前記二次電池のその他の構成は従来よく知られているので、これに関する説明を省略する。
【0111】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に理解するために、本発明による実施例、比較例、および実験例に基づいて詳細に説明する。
【0112】
<実施例1>
LiMn2O4正極活物質97gと、導電材としてケッチェンブラック1.5g、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)1.5gを、KM Tech社の粉体混合(Powder Mixer)装置で5℃、10000rpm、5分間混合し、自体作製した最大トルク150N・mのツインスクリュー型(Twin Screw Type)押出機からスリットを除去し、直径100mmの一対のプレフォーミングロールを押出機の下端に形成した押出機に、摂氏90度の温度で、100rpmの下、前記混合物を5g/secの速度で投入した。前記混合物は剪断力が印加されながら押出され、同時にプレフォーミングロール(ロール直径:100mm、ロール温度:100℃、周速:100rpm、ロール間隔:400μm)による圧延を進行させた。
【0113】
前記圧延されたフィルムをラップカレンダー(ロール直径:200mm、ロール温度:100℃、20rpm)に2回繰り返し投入し、ロールの間隔を調節して、最終的に厚さ200μmのフリースタンディングフィルムを製造した。
【0114】
<実施例2>
前記実施例1において、LiMn2O4 95.5gと、導電材として活性カーボン1.5g、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3.0gを、KM Tech社の粉体混合(Powder Mixer)装置で混合した混合物を前記押出機に投入したことを除けば、実施例1と同様に厚さ200μmのフリースタンディングフィルムを製造した。
【0115】
<比較例1>
前記実施例1において、押出機でTダイスリットを用い、プレフォーミングロールを用いないことを除けば、実施例1と同様にフリースタンディングフィルムを製造した。
【0116】
<比較例2>
前記実施例2において、押出機でTダイスリットを用い、プレフォーミングロールを用いない押出機に、LiMn2O495.5gと、導電材として活性カーボン1.5g、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3.0gの混合物を投入し、押出を行ったが、押出が行われずフリースタンディングフィルムを製造できなかった。
【0117】
<比較例3>
LiMn2O4正極活物質95.5gと、導電材として活性カーボン1.5g、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3.0gを、KM Tech社の粉体混合(Powder Mixer)装置で5℃、10000rpm、5分間混合し、前記混合した混合物をツインスクリュー混練装置(Twin Screw Kneader)(入江商会、PBV‐0.1L)に投入し、摂氏90度の温度で、100rpm下、約3分間混合して繊維化組成物を製造し、前記繊維化組成物をロールによって圧延して、厚さ400μmのフィルム状に製造した。
【0118】
前記製造されたフィルムをラップカレンダー(ロール直径:200mm、ロール温度:100℃、20rpm)に投入して、ロールの間隔を調節して、最終的に厚さ200μmのフリースタンディングフィルムを製造した。
【0119】
<比較例4>
前記比較例3において、混合物を前記ツインスクリュー混練装置(Twin Screw Kneader)に投入して、摂氏25度の温度で繊維化組成物を製造したことを除けば、比較例3と同様にフリースタンディングフィルムを製造した。
【0120】
<比較例5>
前記比較例3において、混合物をペースト混合装置(Paste Mixer)(Thinky、ARE‐400)に投入し、摂氏25度の温度で、1000rpm下、約5分間混合して繊維化組成物を製造したことを除けば、比較例3と同様にフリースタンディングフィルムを製造した。
【0121】
<比較例6>
前記比較例3において、LiMn2O4正極活物質95.5gと、導電材として活性カーボン1.5g、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3.0gを、KM Tech社の粉体混合(Powder Mixer)装置で5℃、10000rpm、5分間混合し、前記混合物を同一の装置で摂氏25度の温度に再調整した後、10000rpm下、約5分間混合して繊維化組成物を製造したことを除けば、比較例3と同様にフリースタンディングフィルムを製造した。
【0122】
<実験例1>
前記実施形態1~2および比較例1~6のフリースタンディングフィルムの厚さ偏差を測定して、下記表1に示した。
【0123】
前記厚さ偏差は、自動厚さ測定器(Mahr、Millimar)を用いてフリースタンディングフィルムの厚さを1cmの間隔で20個の地点を測定して求めた。
【0124】
<実験例2>
前記実施形態1~2および比較例1~6のフリースタンディングフィルムの引張強度を測定して、下記表1に示した。
【0125】
前記引張強度は、前記フリースタンディングフィルムを幅20mm×長さ20mm×厚さ200μmに裁断してサンプリングし、前記サンプルを用いて、LLOYD社のUTM装置により角度180度、速度50mm/minの条件で引張強度(サンプルの破断が発生しない時点まで加えた力の最大値)を測定して求めた。
【0126】
<実験例3>
前記実施形態1~2および比較例1~6のフリースタンディングフィルムを、カーボンブラック:PVDFバインダーが混合されたプライマー層のコーティングされたアルミニウム箔(20μm、Primer Coated Al Foil、ドンウォンシステムズ)の一面に位置させ、120℃に維持されるラミネーションロールによりラミネーションして電極を製造した。
【0127】
前記電極と、リチウム金属を対極とし、EC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチルカーボネート):DEC(ジエチルカーボネート)=1:2:1の溶媒に1MのLiPF6が含まれている電解液を用いてコイン型半電池を製造した。
【0128】
前記製造したコイン型半電池を、25℃、3.0~4.30Vの電圧範囲で0.33C-rateの電流条件で充放電を100回実施した後、1回の放電容量対比100回の放電容量維持率を計算して、その結果を下記表1に示した。
【0129】
【0130】
前記表1を参照すれば、本発明による装置を用いて製造すれば、フリースタンディングフィルムの厚さ偏差も少ないだけでなく、引張強度および寿命特性にも優れていることを確認できる。
【0131】
しかし、Tダイスリットが形成された押出機を用いる場合、バインダーの含有量が少ない場合には大して問題にならないが、それにもかかわらず、厚さ偏差や、特に、引張強度および寿命特性の面から本願の構成を用いることがさらに好ましい。これは、押出機の定量押出で供給量の不均一が解消すると同時に、押出部位に負荷が小さくてさらに厚さ偏差が現れないためと思われる。
【0132】
一方、バインダーの含有量が増加して繊維化が多く進行すると、Tダイスリットが形成された押出機を用いる場合、押出部位で負荷が大きくなって押出が行われないことを確認できる。よって、好ましくない。
【0133】
一方、押出機のほか、他の混練機を用いて単純圧延する場合には、ミキシング時間を増やしたり、昇温しても、PTFE繊維化に対する電極混合物の均一度を高めることが容易ではなく、結果として電極の厚さ偏差が激しくなり、引張強度および寿命特性も劣化することを確認できる。
【0134】
これに対し、本発明により提案されたフリースタンディングフィルムと乾式電極は、電極の品質を均一に維持可能で、電極の厚さ偏差を低減しながらも、優れた引張強度および容量維持率の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明によれば、フリースタンディングフィルムを製造するための装置として押出機を適用して均一な定量フィーディング(feeding)を可能にする。
【0136】
さらに、既存の押出によって繊維化組成物が排出される部分にスリットガイドを除去し、プレフォーミングロールを適用することによって、排出部での負荷を最小化しながらも均一な密度を有し、引張強度および寿命特性が向上したフリースタンディングフィルムを製造することができる。