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特許7501980水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーション
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20240611BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20240611BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20240611BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20240611BHJP
   C02F 1/34 20230101ALI20240611BHJP
   C02F 1/48 20230101ALI20240611BHJP
【FI】
H05H1/24
B01F23/20
B01F25/40
B01J19/08 D
B01J19/08 E
C02F1/34
C02F1/48 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020565926
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 KR2019002200
(87)【国際公開番号】W WO2020171261
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2020-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520440032
【氏名又は名称】ケー フュージョン テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クワク、ホン キル
【合議体】
【審判長】波多江 進
【審判官】秋田 将行
【審判官】松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-119347(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1778438(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に長手方向に沿って作動流体が通過可能な流路が形成されるリアクターと、
前記流路に配置されて前記流路を一側及び他側空間に区画し、内側に前記流路より小さな大きさの貫通孔を形成して、前記流路の一側空間に流入した前記作動流体に空洞現象による微細気泡を発生させ、一側に前記貫通孔に流入する前記作動流体と摩擦されて前記作動流体に同種電荷を放出する金属性触媒を備えて、前記微細気泡を崩壊させてプラズマを発生させるように構成される誘電性挿入物と、
を含み、
前記プラズマに露出されてイオン化された作動流体が流れる前記流路の他側空間は、楕円構造に形成される、水中プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記流路の一側空間は、水平方向側直径と垂直方向側直径が同一である正円構造に形成され、
前記流路の他側空間は、水平方向側直径が垂直方向側直径に比してさらに大きく形成される、請求項1に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項3】
前記流路の他側空間は、垂直方向に対向配置された複数の平面区間と、水平方向に対向配置された複数の曲面区間を含むトラック型楕円構造に形成される、請求項2に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項4】
前記作動流体は、軽水または軽水と重水が混合された混合流体または軽水とメタノールが混合された混合流体または軽水とエタノールが混合された混合流体に適用可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の水中プラズマ発生装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の水中プラズマ発生装置を含む、水素ステーション。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の水中プラズマ発生装置を含む、プラズマ活性水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーションに関し、より詳細には、一方向に移動中である流体(液体)を利用して連続的にプラズマを発生させ、これを通して流体をイオン化してプラズマ活性水を生成するか、イオン化された流体から水素イオンを分離して水素ガスを生産できる水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマとは、超高温で負電荷を持つ電子(e-)と正電荷を帯びたイオン(A+、水素原子核)とに分離された気体状態を意味する。また、プラズマは、電気を帯びた粒子が集まっている気体を意味することもある。プラズマは、電荷分離度が非常に高いが、全体的に負と正の電荷数が同一で電気的に中性を帯びるようになる。分子状態の気体に高いエネルギーが加えられると数万℃で気体は電子と原子核とに分離されてプラズマ状態となる。
【0003】
言い換えれば、固体にエネルギーを加えると液体、気体となり、さらにこの気体状態に高いエネルギーを加えると数万℃で気体は原子核周囲を回っている最外殻電子(e-)が軌道を離脱(イオン化エネルギー)したイオン化状態となるが、このとき、分子状態の気体特性を失った異なる次元の物質となる。プラズマを第4の物質状態という。このようなイオン化状態で、A原子は、下記のような構造式となる。
【0004】
[構造式]A原子⇔A+e
【0005】
プラズマは、原子の核周囲を回っている最外殻電子が解離してカチオンとアニオンが共存した状態で、電気的には中性を帯びる。プラズマは、電気をよく通るようになる。
【0006】
また、物質がイオン化された状態で時間が経つにつれ、また安定した本来の状態に戻りながらエネルギーを放出するが、自然現象で見られる代表的なプラズマがすなわち稲妻であり、北極地方のオーロラ、大気の中のイオン層等がプラズマ状態である。
【0007】
プラズマは、原子核と電子が分離された状態であって、気体状態の原子に多くの熱を加えた時に分離されて現れる現象であるため、摂氏1,500万℃を超える熱い太陽の中で全ての原子はプラズマ状態であるようになる。
【0008】
宇宙全体を見ると、プラズマが最もよくある状態であるといえる。しかし、日常生活でプラズマを利用するためには、このように人工的に作らなければならない。プラズマを人工的に生成実用化しようとする努力は、年ごろ着実に推進されてきた。
【0009】
プラズマを作るためには、熱を加える方法で作り出すことができ、高い電場や磁場を加えて電子の衝突を誘導して作り出すことができる。多くは直流、超高周波、電子ビーム等の電気的方法を加えてプラズマを生成した後、磁場等を使用してこのような状態を維持するようにしなければならない。
【0010】
しかし、エネルギーに使用するために既存に使用されてきた技術、即ち、気体を通した高い密度を有するプラズマ生成技術は、入力エネルギーが出力エネルギーより大きいか、超高温を利用したプラズマを閉じ込めることができる超高温状態に耐える物質を開発できず、進行が難しい状態である。
【0011】
また、プラズマは、直接産業的に使用され得るエネルギー源であるが、既存のプラズマ生成方式では、多くの電気を使用してプラズマを作り、ここで得られた電気をエネルギー源に使用する矛盾が繰り返され、結局、エネルギー使用の効率を低下させる深刻な問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2010-0011246号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、のような問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、空洞現象を通して一方向に移動する流体内に5μmの大きさ以下に形成され、負電荷の表面電位を帯びる微細気泡(Micro-Nano Bubble)を大量に発生させ、金属性触媒を通して流体と共に移動される微細気泡に同種電荷を印加して斥力により微細気泡を連続で崩壊させることで高密度のプラズマを生成できる水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーションを提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、リアクターの外面に設けられる複数個の磁性体を遮蔽し、流路を中心に向かい合う複数個の磁性体をウェッジ構造に形成することで流路に安定した磁界を形成し、磁束密度を極大化できる水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーションを提供することである。
【0015】
また、本発明のまた他の目的は、イオン化された作動流体が流れる流路を楕円構造に形成することでイオン分離効率を極大化することができ、水中プラズマを利用してプラズマ活性水を生成するか、自ら水素ガスを生産及び供給できる水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーションを提供することである。
【0016】
本発明の課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から当業に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
課題を解決するための本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置は、内側に長手方向に沿って作動流体が通過可能な流路が形成されるリアクター;及び、流路に配置されて流路を一側及び他側空間に区画し、内側に流路より小さな大きさの貫通孔を形成して、流路の一側空間に流入した作動流体に空洞現象による微細気泡を発生させ、一側に貫通孔に流入する作動流体と摩擦されて微細気泡に同種電荷を放出する金属性触媒を備えて、微細気泡を崩壊させてプラズマを発生させるように構成される誘電性挿入物;を含み、プラズマに露出されてイオン化された作動流体が流れる流路の他側空間は、楕円構造に形成される。
【0018】
流路の一側空間は、水平方向側直径と垂直方向側直径が同一である正円構造に形成され、流路の他側空間は、水平方向側直径が垂直方向側直径に比してさらに大きく形成され得る。
【0019】
流路の他側空間は、垂直方向に対向配置された複数個の平面区間と、水平方向に対向配置された複数個の曲面区間を含むトラック型楕円構造に形成され得る。
【0020】
作動流体は、軽水または軽水と重水が混合された混合流体または軽水とメタノールが混合された混合流体または軽水とエタノールが混合された混合流体に適用可能であり得る。
【0021】
流路の他側空間に対応するリアクターの外面に設けられ、流路の他側空間に磁界を形成して、誘電性挿入物を通過してプラズマに露出されてイオン化された作動流体からHイオン及びOHイオンを分離させるように構成されるイオン分離部;をさらに含み、リアクターの外面に接触するイオン分離部の接触面は、流路の他側空間の直径に対応するか、流路の他側空間の直径より大きな幅に形成され得る。
【0022】
リアクターの外面には、流路に向かって予め設定された深さに陥没してイオン分離部が安着可能な安着支持溝が形成され、安着支持溝に接触した接触面と、流路の他側空間を形成するリアクターの内面は、最小4~11mmの間の距離だけ離隔され得る。
【0023】
イオン分離部は、流路を中心に垂直方向に沿って対向配置され、リアクターの外面の全体または一部を囲むように形成される複数個の磁性体を含み、複数個の磁性体は、S極性が流路に向かうようにリアクターの上側に配置される第1磁性体;及び、N極性が流路に向かうようにリアクターの下側に配置される帯びる第2磁性体;を含むことができる。
【0024】
複数個の磁性体は、流路に向かって断面の幅が次第に狭くなるウェッジ(WEDGE)構造に形成され得る。
【0025】
イオン分離部は、複数個の磁性体の両側面を支持して複数個の磁性体の流動を制限するように形成される磁性体支持部;をさらに含むことができる。
【0026】
イオン分離部は、第1磁性体及び第2磁性体を囲むように第1磁性体及び第2磁性体の外側に設けられ、第1磁性体及び第2磁性体を通して形成される磁界を遮蔽するように構成される遮蔽部;をさらに含むことができる。
【0027】
遮蔽部は、金属性素材で形成され、多層構造に形成され得る。
【0028】
イオン分離部は、S極性が第1磁性体に向かうように第1磁性体の両側面に配置される第3磁性体;及び、第3磁性体に対向配置され、N極性が第2磁性体に向かうように第2磁性体の両側面に配置される第4磁性体;をさらに含むことができる。
【0029】
リアクターに設けられ、内側にイオン分離部を通して分離されたHイオン及びOHイオンを互いに異なる方向に分岐させるように構成される複数個の分岐流路が形成される分岐部;をさらに含むことができる。
【0030】
複数個の分岐流路は、Hイオンが含まれた作動流体の移動を案内する第1分岐流路;及び、水平方向に沿って第1分岐流路に対向配置され、OHイオンが含まれた作動流体の移動を案内する第2分岐流路;を含み、第1分岐流路と第2分岐流路は、26.5度~30度の角度に分岐され得る。
【0031】
一方、本発明の実施例に係る水素ステーションは、上述した水中プラズマ発生装置を含む。
【0032】
また、本発明の実施例に係るプラズマ活性水製造システムは、上述した水中プラズマ発生装置を含む。
【発明の効果】
【0033】
本発明の実施例によれば、プラズマに露出されてイオン化された作動流体が流れる流路の他側空間を楕円構造に形成することで、イオン分離効率を極大化することができ、リアクターの外面に設けられる複数個の磁性体を遮蔽し、流路を中心に向かい合う複数個の磁性体をウェッジ構造に形成することで、流路に安定した磁界を形成し、磁束密度を極大化することができる。
【0034】
また、内側に作動流体が移動可能な流路が形成されるリアクター、及び流路に収容されて流路の一側空間に空洞現象を誘発し、一側に流体の流れ時に摩擦電気を発生させる誘電性挿入物を備えることで、リアクターに流入して一方向に移動する流体内に5μmの大きさ以下に形成され、負電荷の表面電位を帯びる微細気泡を大量に発生させ、流体と共に移動される微細気泡に同種電荷を印加して斥力により微細気泡を連続で崩壊させて高密度のプラズマを連続的に生成することができる。
【0035】
また、従来の気体プラズマ発生装置のように数千~数万ボルト以上の高電圧を利用することなく、室温で炭化水素系オイルまたは軽水(HO)または軽水と重水(DO)が混合された作動流体または軽水とメタノールまたは軽水とエタノールが混合された作動流体の循環だけでプラズマを生成できることで、気体プラズマに比して高密度のプラズマを生成できることはもちろん、装置の構造を単純化してコストを節減することができる。
【0036】
また、作動流体を一方向に循環させて連続的にプラズマを生成でき、プラズマが液状の流体の中に閉じ込められた状態で発生することで、音波発光(Sonoluminescence)または化学発光(Chemoluminescence)を通したプラズマの生成を排除して工程を簡素化でき、プラズマの損失率を最小化することができる。
【0037】
また、速い速度で循環する作動流体内で高密度のプラズマを発生させて作動流体をイオン化し、イオン化された作動流体が移動される経路に磁場を形成して作動流体に含まれたイオンを電気的極性によって効率的に分離させることができる。
【0038】
また、軽水(HO)または軽水と重水(DO)の混合物を作動流体に適用する場合、振動弛緩(Oscillation Relaxation)現象の発生なしにイオン化された作動流体からHイオン及びOHイオンを分離でき、さらに分離されたHイオンを収集して高純度の水素を大量生産することができる。
【0039】
また、プラズマが発生する内部空間に一部が露出されるようにリアクターに脱着可能な複数個のプローブを備えることで、プローブにキャパシタ等を連結する場合、高電圧の電気エネルギーを獲得することができる。
【0040】
また、リアクターからイオン分離部を脱去する場合、プラズマ活性水(PAW:Plasma Activated Water)だけを製造可能であって、別途の電気分解装置を利用するか気体式プラズマを水中に照射する従来のプラズマ活性水製造方式に比して迅速にプラズマ活性水の製造が可能であり、製造コストを飛び切り節減でき、さらに低コストで大量のプラズマ活性水を多様な食品及び農業分野はもちろん多様な産業分野に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置を概略的に示した構成図である。
図2】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置のリアクターを示した横断面図である。
図3】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置のリアクターに誘電性挿入物が配置された状態を示した横断面図である。
図4】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の第1流路及び第2流路側断面を概略的に示した図である。
図5】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置に金属性プローブが設けられた状態を概略的に示した図である。
図6】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の誘電性挿入物が流路に配置された状態を概略的に示した断面図である。
図7】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の誘電体を示した図である。
図8】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の誘電体を示した図である。
図9】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の誘電体を示した図である。
図10】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の誘電体を示した図である。
図11】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の誘電体のまた他の実施例を概略的に示した断面図である。
図12】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置でイオン分離部を通して分離されたイオンの移動方向を概略的に示した図である。
図13】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置に遮蔽部が適用された状態を概略的に示した断面図である。
図14】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置で複数個の磁性体がウェッジ構造に適用された状態を概略的に示した断面図である。
図15】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置で複数個の磁性体がウェッジ構造に適用された状態を概略的に示した断面図である。
図16】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置に補助磁性体が適用された状態を概略的に示した断面図である。
図17】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置に分岐部が設けられた状態を概略的に示した断面図である。
図18】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置の金属性挿入物の他の実施例を概略的に示した断面図である。
図19】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置を含む水素ステーションを概略的に示した概念図である。
図20】本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置を含むプラズマ活性水製造システムを概略的に示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下においては、添付の図面を参照して多様な実施例をより詳細に説明する。本明細書に記載の実施例は、多様に変形され得る。特定の実施例が図面で描写され、詳細な説明で詳しく説明され得る。しかし、添付の図面に開示された特定の実施例は、多様な実施例を容易に理解するようにするためのものであるだけである。従って、添付の図面に開示された特定実施例により技術的思想が制限されるものではなく、発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての均等物または代替物を含むものと理解されるべきである。
【0043】
第1、第2等のように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用され得るが、このような構成要素は、上述した用語により限定されることはない。上述した用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0044】
本明細書において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか、「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。これに対して、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか、「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0045】
一方、本明細書において使用される構成要素に対する「モジュール」または「部」は、少なくとも一つの機能または動作を遂行する。そして、「モジュール」または「部」は、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより機能または動作を遂行することができる。また、特定ハードウェアで遂行されなければならないか、少なくとも一つのプロセッサで遂行される「モジュール」または「部」を除く複数の「モジュールら」または複数の「部ら」は、少なくとも一つのモジュールに統合されてもよい。単数の表現は、文脈上、明らかに異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0046】
その他にも、本発明を説明するにあたって、関連した公知機能あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、それについての詳細な説明は、縮約または省略する。
【0047】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例に係る水中プラズマ発生装置1(以下、「水中プラズマ発生装置1」という)は、一方向に移動中である作動流体に多量の微細気泡(Micro-Nano Bubble)を発生させ、これを利用して連続的にプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置であって、リアクター10を含む。
【0048】
リアクター10は、誘電率を有する誘電性素材で作製され、内側に作動流体が通過され得る管形の構造に形成される。例えば、誘電性素材は、透光性多結晶質セラミック、エンジニアリングプラスチック、アクリル、タンタル(Tantalum)、クォーツ、パイレックス(登録商標)、ファイバーグラス、クリスタル等に適用され得る。
【0049】
さらに詳細には、リアクター10は、一側に作動流体が流入する流入口が形成され、他側に作動流体が流出する流出口が形成され、内側に長手方向に沿って流入口と流出口を連結して作動流体が通過可能な流路が形成される管形構造に形成される。
【0050】
図2及び図3を参照すると、流路は、長さまたは内径の大きさが異なる複数個の区間に区分され、内側に収容される後述する誘電性挿入物20を通して複数個の空間に区画され得る。
【0051】
さらに詳細には、流路は、流入口と連結されて外部から作動流体が流入し、誘電性挿入物20により空洞現象が発生する第1流路11と、流出口と連結され、リアクター10の軸方向に沿って第1流路11に対向する位置に形成され、誘電性挿入物20を通過してプラズマに露出されてイオン化された作動流体が流れる第2流路12、及び、第1流路11と第2流路12との間に形成されて第1流路11及び第2流路12を互いに連通させ、第1流路11及び第2流路12に比して相対的に小さな内径の大きさに形成され、誘電性挿入物20が収容される第3流路13を含むことができる。
【0052】
ここで、プラズマに露出されてイオン化された作動流体が流れる第2流路12は、楕円構造に形成される。
【0053】
さらに詳細には、空洞現象が発生する第1流路11とプラズマに露出されてイオン化された作動流体が流れる第2流路12は、互いに異なる形状に形成され得る。
【0054】
図4を参照すると、空洞現象が発生する第1流路11は、水平方向側直径HDと垂直方向側直径VDが同一である正円構造に形成され(図4の(a))、イオン化された作動流体が流れる第2流路12は、水平方向側直径HDが垂直方向側直径VDに比してさらに大きな楕円構造に形成され得る(図4の(b))。このとき、第2流路12は、第1流路11の領域内に収容される大きさに形成され得る。詳細には、第2流路12の水平方向側直径HDは、第1流路11の水平方向側直径HDに対応し、第2流路12の垂直方向側直径VDは、第1流路11の垂直方向側直径VDより小さな大きさに形成され得る。しかし、第1流路11と第2流路12は、必ずしも互いに異なる形状に形成されるものではなく、必要に応じて同じ形状に適用され得る。
【0055】
一方、第2流路12は、トラック型(TRACK TYPE)楕円構造に形成され得る。
【0056】
さらに詳細には、第2流路12は、垂直方向に対向配置された複数個の平面区間P1と、水平方向に対向配置された複数個の曲面区間P2を含むトラック型楕円構造に形成され得る。
【0057】
従って、後述するイオン分離部30を通して分離されたイオンは、トラック型楕円構造に形成された第2流路12を移動して複数個の曲面区間P2側に密着し、これを通してイオン分離効率が極大化され得る。
【0058】
しかし、第2流路12は、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要に応じて正円構造あるいは多角形構造等に変更されて適用され得る。
【0059】
再び図2及び図3を参照すると、第2流路12の長さL2は、第1流路11の長さL1及び第3流路13の長さL3よりさらに長く形成され、第1流路11の長さと第3流路13の長さが連結された長さよりさらに長く形成され得る。これを通して、イオン分離部30を通して第2流路12に形成される磁界区間をより長く形成し、イオン分離効率を極大化することができる。
【0060】
例えば、流路は、誘電性挿入物20の外形に対応する形状に形成され、誘電性挿入物20が収容される流路の一区間と、これに対応する誘電性挿入物20の一区間は、多面体構造に形成され得る。これを通して、誘電性挿入物20が流路内で回転することを予防して、後述する金属性挿入物22及びホールディング挿入物23に形成された貫通孔20aと誘電性挿入物20に形成された貫通孔20aの位置が外れることを予防できる。また、第1流路11の内径及び第2流路12の内径は、互いに異なる大きさに形成され得る。これを通して、作業者が誘電性挿入物20を流路に挿入する場合、第1流路11と第2流路12の混同を予防できる。しかし、流路は、必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な形状に変更されて適用され得る。
【0061】
また、流路を形成するリアクター10の内側には、係止ジョー14及び案内面15が形成され得る。
【0062】
さらに詳細には、第1流路11及び第3流路13の間には、作動流体の移動方向に沿って誘電性挿入物20が係って支持される係止ジョー14が形成され得る。そして、第2流路12及び第3流路13の間には、誘電性挿入物20から吐出された後、第3流路13側に逆流する作動流体と接触して、作動流体の移動を案内する案内面15が形成され得る。
【0063】
ここで、案内面15は、作動流体との接触時、抵抗力を最小化できるように、作動流体が逆流する方向に向かって弧形状に曲げられた曲面または直線形状に傾斜した傾斜面の構造に形成され得る。これによって、誘電性挿入物20から吐出されて逆流する作動流体を円滑に誘電性挿入物20側に案内することはもちろん、逆流する作動流体とリアクター10の内面間の摩擦を最小化してリアクター10の損傷を予防できる。
【0064】
また、リアクター10の外面には、後述するイオン分離部30が安着可能な安着支持溝16が形成され得る。
【0065】
安着支持溝16は、第2流路12に対応するリアクター10の外面に形成され、リアクター10の外面から流路に向かって予め設定された深さに陥没して形成され得る。そして、安着支持溝16は、後述するイオン分離部30の第1磁性体31及び第2磁性体32が互いに対向配置され得るようにリアクター10の軸方向に対して垂直な方向に沿ってリアクター10の一側及び他側にそれぞれ形成され得る。これによって、安着支持溝16に安着したイオン分離部30は、第2流路12に対応する位置に配置され、リアクター10の軸方向への流動が制限され得る。例えば、安着支持溝16は、第2流路12が形成された区間と同じ長さに形成され得る。従って、リアクター10の長手方向に沿って安着支持溝16が形成された区間の長さは、第1流路11及び第2流路12が形成された区間の長さよりさらに長く形成され、これを通してイオン分離部30の磁界区間を増大させてイオン分離効果を向上させることができる。
【0066】
また、流入口及び流出口が形成されるリアクター10の一側及び他側端部には、それぞれ他の部品との連結のために外周面にねじ山が形成された複数個の締結部が備えられ得る。例えば、リアクター10の内部に流入する高圧の作動流体に耐えるために、流入口側の締結部の長さは、流出口側の締結部の長さよりさらに長く形成され得る。そして、流入口の内径は、流出口の内径よりさらに大きく形成され得る。しかし、締結部の長さ及び内径の大きさは、これに限定されるものではなく、多様な形態及び構造に変更されて適用され得る。
【0067】
また、リアクター10の各締結部には、他の部品との連結時、作動流体の漏水を予防できるように他の部品と締結部との間の気密を維持するパッキング部材(図示しない)が設けられ得る。例えば、パッキング部材は、Oリング(O-ring、O字形ゴムリング)またはガスケット形態に形成され得る。しかし、パッキング部材は、必ずしもこの形状に限定されるものではなく、多様な形態に変更されて適用され得る。
【0068】
また、リアクター10には、図5に示されたように、後述する金属性プローブ40を挿入可能なプローブ挿入孔41がさらに形成され得る。プローブ挿入孔41は、プローブ40の外面に対応する大きさに形成され、リアクター10の表面から第2流路12まで連通されるようにリアクター10を貫通して形成され得る。
【0069】
また、リアクター10には、プローブ挿入孔41を選択的に開閉することのできる開閉部材(図示しない)がさらに備えられ得る。
【0070】
開閉部材は、プローブ挿入孔41に挿入される挿入部、及び挿入部の外側に備えられて挿入部がプローブ挿入孔41に挿入される場合、リアクター10の外面に支持される支持部を含むことができる。例えば、開閉部材は、リアクター10と同一の誘電性素材で形成されるか、所定の弾性力を有する気密性素材で形成され得る。
【0071】
従って、リアクター10に金属性プローブ40が設けられない場合、作業者は、開閉部材をプローブ挿入孔41に挿入してプローブ挿入孔41を閉鎖させ、これを通してプローブ挿入孔41に作動流体が流出することを予防できる。
【0072】
しかし、開閉部材は、必ずしもこれに限定されるものではなく、同じ機能を果たすことのできる条件内で多様な形態に変更されて適用され得る。
【0073】
また、本水中プラズマ発生装置1は、誘電性挿入物20を含む。
【0074】
図3及び図6を参照すると、誘電性挿入物20は、リアクター10に挿入され、作動流体から電子が放出される空洞現象によるプラズマ生成に必要な環境を提供するように構成される。
【0075】
さらに詳細には、誘電性挿入物20は、流路に配置されて流路を一側及び他側空間に区画する。そして、誘電性挿入物20の内側には、区画された複数個の空間(第1流路11及び第2流路12)を互いに連通させ、第1流路11に比して断面の幅が相対的に小さな貫通孔20aが形成される。ここで、第1流路11の直径と貫通孔20aの直径の比率は、10:1の比率に適用されることが好ましくあり得る。しかし、第1流路11の直径と貫通孔20aの直径の比率は、必ずしもこれに限定されるものではなく、10:0.5~10:4の少なくともいずれか一つの大きさに適用され得る。また、第1流路11に収容される誘電性挿入物20の一側には、作動流体の流入時、貫通孔20aに流入した作動流体と摩擦されて作動流体と共に貫通孔20aを通過する微細気泡に同種電荷を放出する金属性触媒(金属性挿入物22)を備える。
【0076】
従って、図6に示されたように、リアクター10の一側空間(第1流路11)に流入した作動流体には、第1流路11及び貫通孔20aの間で発生する空洞現象(cavitation)により負電荷の表面電位を帯びる5μm以下の微細気泡が多量発生する。ここで、空洞現象によって発生する5μm以下の大きさに収縮した多量の微細気泡は、ゼータ電位(zeta potential)特性によって表面に負電位が急増するようになる。そして、作動流体と共に貫通孔20aに流入して金属性触媒(金属性挿入物22)を通過する多量の微細気泡は、表面電位の電荷(-電荷)と金属性触媒から放出される同種電荷(-電荷)との間の斥力により連続的に崩壊されて高密度のプラズマを発生させ、これを通して誘電性挿入物20を通して吐出されて流路の他側空間(第2流路12)に移動された作動流体は、高密度のプラズマに露出されてイオン化される。
【0077】
誘電性挿入物20についてさらに詳細に説明する。
【0078】
図6及び図7を参照すると、誘電性挿入物20は、予め設定された誘電率を有する誘電性素材で形成され、第1流路11及び第3流路13に対応する大きさに形成されて第1流路11、第2流路12及び第3流路13にわたって収容され、内側に貫通孔20aが形成される誘電体21を含むことができる。例えば、誘電体21は、エンジニアリングプラスチック、アクリル、クォーツ、パイレックス、セラミック、ファイバーグラス及びクリスタル等のように所定の誘電率を有する多様な誘電性素材に適用され得る。
【0079】
また、誘電体21は、流路内で配置される位置によって第1部分211、第2部分212及び第3部分213に区分され得る。
【0080】
第1部分211は、第1流路11に対応する大きさに形成されて第1流路11に収容され、作動流体が流入する場合、作動流体に加圧されて一面が係止ジョー14に係って支持され得る。例えば、第1部分211は、後述する第2部分212及び第3部分213に比して断面の大きさがさらに広く形成され得る。即ち、第1部分211は、第1流路11に対応する大きさに形成されて第1流路11を形成するリアクター10の内周面に支持されることはもちろん、作動流体の移動方向に沿ってリアクター10の内側に形成された係止ジョー14に係って支持されることで、作動流体の流入時にも作動流体の圧力により流動されず、安定して固定された状態を維持することができる。
【0081】
第2部分212は、第1部分211から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて、第3流路13に対応する大きさに形成されて第3流路13に収容され得る。例えば、第2部分212は、第1部分211よりさらに長く形成されることが好ましくあり得る。
【0082】
また、第2部分212には、逆流した作動流体が収容可能な捕集溝214が形成され得る。
【0083】
捕集溝214は、後述する第3部分213から吐出されて第3部分213の表面に沿って第2部分212に向かって逆流する作動流体が流入し得るように、第2部分212の外周面から内側に向かって予め設定された深さに陥没して形成され得る。
【0084】
そして、捕集溝214は、図9に示されたように、第2部分212の外面に単一形態に形成されるか、図7図8及び図10に示されたように、第2部分212の長手方向に沿って複数個に形成され得る。ここで、第2部分212の長手方向に沿って複数個に形成された捕集溝214は、第2部分212の長手方向に沿って少なくとも2つ以上の位置に形成され得、等間隔に離隔されて配置され得る。
【0085】
一方、図7から図10を参照すると、捕集溝214は、第3部分213から予め設定された距離だけ離隔された位置に形成され得る。即ち、第3部分213と隣接した位置に形成される捕集溝214と第3部分213との間には、捕集溝214と第3部分213を離隔させるブロック部212aが備えられ、これを通して第3部分213の表面に沿って捕集溝214側に流入する作動流体の流入を最小化することができる。
【0086】
また、捕集溝214は、図10に示されたように、V字またはU字等のように多様な形態に食刻されて形成され得る。
【0087】
これを通して、捕集溝214は、作動流体が収容可能な所定の空間を提供して作動流体が第1部分211に逆流することを低減させることはもちろん、作動流体が円滑に流出入可能な形態に形成されることで、捕集溝214に収容された作動流体が第3部分213を通して吐出される作動流体と共に合流されるようにしてプラズマ発生を加速化させることができる。
【0088】
しかし、第2部分212には、必ずしも捕集溝214が形成されなければならないものではなく、捕集溝214は、必要に応じて選択的に誘電体21に形成され得る。
【0089】
再び、図6及び図7を参照すると、第3部分213は、第2部分212から軸方向に沿って予め設定された長さに延びて、第2部分212と同じ外形の大きさに形成されて第2流路12に収容され得る。そして、第3部分213は、作動流体の移動方向に向かって直径の大きさが次第に減少する構造に形成され得る。
【0090】
即ち、第3部分213は、第2部分212から延びて第2流路12に露出された状態で配置され、作動流体の移動方向に向かって直径の大きさが次第に減少する表面構造を通して、端部から吐出されて逆流する作動流体を第2部分212側に円滑に案内でき、これを通してプラズマ反応を加速させることができる。
【0091】
また、第2流路12に露出された第3部分213の表面は、外側に向かって曲げられた曲面形状に形成され得る。従って、第3部分213を通して吐出されて逆流する作動流体は、曲面形状に形成された第3部分213の表面に沿って第2部分212側に移動され得る。
【0092】
しかし、第3部分213の表面形状は、これに限定されるものではなく、多様な構造及び形状に変更されて適用され得る。
【0093】
図8を参照すると、第3部分213の表面は、内側に向かって凹に曲げられた曲面形状に形成され得る。従って、第3部分213を通して吐出されて逆流する作動流体は、内側に向かって凹に曲げられた曲面形状の第3部分213の表面に沿って第2部分212側に移動され得る。また、第3部分213から吐出されて逆流する作動流体は、上述の第3部分213の表面形状構造及び第3部分213から連続的に吐出される作動流体の流れを通して加速化され得る。
【0094】
また、図9を参照すると、第3部分213の表面は、傾斜面の形態に形成され得る。従って、第3部分213を通して吐出されて逆流する作動流体は、傾斜面形状の第3部分213の表面に沿って第2部分212側に移動され得る。
【0095】
一方、貫通ホールが形成された誘電体21の内部には、渦流突起215がさらに形成され得る。
【0096】
図7を参照すると、渦流突起215は、貫通孔20aを通過する作動流体に渦流が発生し得るように、誘電体21の長手方向に沿って誘電体21の内面全体に螺旋形状に突設され得る。これによって、誘電体21の内部で微細気泡の発生がさらに活性化され得ることはもちろん、微細気泡の崩壊をさらに加速化させることができる。
【0097】
また、図11を参照すると、誘電体21の内部に形成された渦流突起215は、誘電体21の一区間にのみ形成され得る。
【0098】
さらに詳細には、誘電体21の内部に形成された渦流突起215は、誘電体21の第1部分211と第2部分212の一部にわたって形成され得る。
【0099】
例えば、渦流突起215が形成された流路区間a1と渦流突起215が形成されていない流路区間a2は、誘電体21の内部に1.3:1の比率に形成され得る。
【0100】
ここで、渦流突起215が形成されていない流路区間a2を形成する貫通孔20aは、作動流体の移動方向に沿って次第に広くなる構造に形成され得る。
【0101】
さらに詳細には、渦流突起215が形成されていない流路区間a2を形成する貫通孔20aは、渦流突起215が形成された流路区間a1と連通されて第2部分212に形成され、予め設定された長さだけ同じ直径の大きさを維持する第1貫通部20a1と、第1貫通部20a1から延びて第2部分212と第3部分213にわたって形成され、作動流体の移動方向に沿って直径の大きさが漸進的に増加する第2貫通部20a2を含むことができる。
【0102】
例えば、第1貫通部20a1と第2貫通部20a2の連結部位は、作動流体の流れが円滑であり得るように曲面処理され得、第2貫通部20a2は、作動流体の移動方向に沿って直径の大きさが漸進的に増加するように形成され、誘電体21の半径方向側に湾曲した曲面形態に形成され得る。
【0103】
また、図3及び図6を参照すると、誘電性挿入物20は、金属性挿入物22と、ホールディング挿入物23をさらに含むことができる。
【0104】
金属性挿入物22は、第1流路11に収容され、一面が誘電体21に接触した状態で誘電体21の前方に配置され、作動流体の流入時、作動流体と摩擦されて電子を放出し得る。例えば、金属性挿入物22は、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル、銅、アルミニウム、白金、パラジウム、チタン等の多様な金属からなり得る。また、金属性挿入物22は、予め設定された厚さに形成され、第1流路11に対応する外形の大きさに形成され得る。また、金属性挿入物22の内側には、作動流体が通過可能な貫通孔20aが形成され得る。例えば、貫通孔20aの内部には、螺旋形の溝が形成され、作動流体が通過する場合、作動流体に渦流現象(スクリュー現象)を誘導し得る。
【0105】
ホールディング挿入物23は、第1流路11に収容されて金属性挿入物22の前方に配置され、金属性挿入物22に接触した状態を維持することができる。そして、ホールディング挿入物23は、作動流体の流入時、金属性挿入物22から放出される電子をホールディング(holding)できるように所定の誘電率を有する誘電性素材で形成され得る。即ち、ホールディング挿入物23は、金属性挿入物22から発生する電子を蓄積する役割を果たすことができる。例えば、ホールディング挿入物23は、エンジニアリングプラスチック(PC)、アクリル、クォーツ、パイレックス、セラミック、ファイバーグラス及びクリスタル等のように所定の誘電率を有する誘電性素材で形成され得る。また、ホールディング挿入物23は、予め設定された厚さに形成され、第1流路11に対応する外形の大きさに形成され得る。また、ホールディング挿入物23の内側には、作動流体が通過可能な貫通孔20aが形成され得る。例えば、貫通孔20aの内部には、螺旋形の溝が形成され、作動流体が通過する場合、作動流体に渦流現象(スクリュー現象)を誘導し得る。
【0106】
また、本水中プラズマ発生装置1は、イオン分離部30を含む。
【0107】
図3及び図12を参照すると、イオン分離部30は、誘電性挿入物20を通過した作動流体が収容される流路の他側空間(第2流路12)に対応するリアクター10の外面に設けられる。そして、イオン分離部30は、第2流路12に磁界を形成して、誘電性挿入物20を通過してプラズマに露出されてイオン化された作動流体からHイオン及びOH-イオンを分離させる。
【0108】
ここで、リアクター10に供給される作動流体は、比抵抗10Ωcm以上の軽水(HO)または軽水と重水(DO)が混合された混合流体または軽水とメタノールまたは軽水とエタノールが混合された混合流体に適用され得る。しかし、作動流体は、これに限定されるものではなく、本水中プラズマ発生装置1を通過する場合、プラズマを発生させることのできる条件内で多様な流体に変更されて適用され得る。
【0109】
一方、図13及び図14を参照すると、リアクター10の外面に接触した状態で配置されるイオン分離部30の接触面CSは、流路の他側空間(第2流路12)の直径Dに対応するか、流路の他側空間(第2流路12)の直径Dより大きな幅に形成される。
【0110】
即ち、安着支持溝16に接触した状態で配置される接触面CSは、第2流路12と同じ平面積の大きさに形成されるか、第2流路12に比して大きな平面積の大きさに形成され得る。
【0111】
ここで、安着支持溝16に接触した接触面CSは、第2流路12に加えられる磁力の強度がより向上し得るように、流路の他側空間(第2流路12)を形成するリアクター10の内面から予め設定された距離D'だけ離隔され得る。
【0112】
さらに詳細には、接触面CSは、リアクター10の内面から最小4~11mmの間の距離だけ離隔された位置に配置され得る。しかし、接触面CSとリアクター10の内面との間の離隔距離は、これに限定されるものではなく、リアクター10の素材、リアクター10の硬度、リアクター10及び流路の大きさ等によって変更され得る。
【0113】
イオン分離部30についてさらに詳細に説明する。
【0114】
図13及び図14を参照すると、イオン分離部30は、安着支持溝16に安着して第2流路12を中心に垂直方向に沿って対向配置される複数個の磁性体31、32を含むことができる。
【0115】
ここで、複数個の磁性体31、32は、図13に示されたように、リアクター10の外面に設けられる場合、リアクター10の外面の全体を囲むように形成されるか、図14に示されたように、リアクター10の外面の一部を囲むように形成され得る。例えば、各磁性体31、32は、半円筒形構造または棒形構造に形成され得る。
【0116】
複数個の磁性体は、第1磁性体31と第2磁性体32を含むことができる。
【0117】
さらに詳細には、複数個の磁性体は、S極性が第2流路12に向かうようにリアクター10の上側に配置される第1磁性体31と、第1磁性体31に対向配置され、N極性が第2流路12に向かうようにリアクター10の下側に配置される第2磁性体32を含むことができる。しかし、複数個の磁性体は、必ずしもこれに限定されるものではなく、図面に示されたものとは異なり、第1磁性体31と第2磁性体32が互いに相反する位置に配置されてもよい。これを通して、イオン分離部30で分離されて作動流体と共に移動されるイオンの方向を変更することができる。
【0118】
また、複数個の磁性体31、32は、ウェッジ(WEDGE)構造に形成され得る。
【0119】
図14を参照すると、複数個の磁性体31、32は、磁力の損失を最小化し、磁力の性質を向上させることができるように、第2流路12に向かって断面の幅が次第に狭くなるウェッジ(WEDGE)構造に形成され得る。ここで、複数個の磁性体31、32の各接触面CSは、第2流路12の直径に対応する大きさに形成され、ウェッジ構造を形成する各磁性体31、32の外面は、予め設定された角度αに傾斜するように形成され得る。例えば、各磁性体31、32の外面は、20~30度の間の角度に傾斜するように形成され得る。そして、リアクター10の外面に形成された安着支持溝16は、ウェッジ構造に形成された各磁性体31、32の外面に対応する形状に形成され得る。
【0120】
参考までに、接触面CSが第2流路12の直径範囲を外れる広い平板形態の磁性体で第2流路12に磁界を形成する場合、全体磁場は高くあり得るが、第2流路12に適用される単位面積当たりの磁束密度が低くなるようになる。そして、磁束密度の大きさは、磁性体間の距離の二乗に反比例するようになる。
【0121】
従って、上述したように、第1磁性体31と第2磁性体32をウェッジ構造に形成して第1磁性体31と第2磁性体32との間の間隔を最小化し、第1磁性体31と第2磁性体32の各接触面CSを第2流路12の領域に一致させることで、高い磁束密度を得ることができる。そして、磁力の消失を最小化して第1磁性体31と第2磁性体32との間に均一な磁界を形成してイオン分離効率を向上させることができる。
【0122】
例えば、複数個の磁性体31、32は、ネオジム永久磁石あるいはサマリウムコバルト系永久磁石に適用され得、第2流路12には、10,000ガウス(GAUSS)以上の磁束が適用され得る。しかし、本水中プラズマ発生装置は、必ずしも上述した永久磁石形態の磁性体を利用して磁界を形成するのではなく、必要に応じて超伝導等のように高い磁束密度を得ることのできる磁界形成手段を利用して磁界を形成することができる。また、複数個の磁性体は、図面に示されたものとは異なり、第1磁性体31と第2磁性体32が互いに相反する位置に配置されてもよい。これを通して、イオン分離部30で分離されて作動流体と共に移動されるイオンの方向を変更することができる。
【0123】
また、イオン分離部30は、磁性体支持部34をさらに含むことができる。
【0124】
図15を参照すると、磁性体支持部34は、各磁性体31、32の両側面を支持し、これを通して水平方向に各磁性体31、32の流動を制限することができる。
【0125】
また、イオン分離部30は、遮蔽部33をさらに含むことができる。
【0126】
図13及び図16を参照すると、遮蔽部33は、第1磁性体31及び第2磁性体32を囲むように第1磁性体31及び第2磁性体32の外側に設けられ、第1磁性体31及び第2磁性体32を通して形成される磁界を遮蔽することができる。
【0127】
例えば、遮蔽部33は、磁気力が外部空間に漏れないように、磁気力を遮断可能な金属性素材で形成され、リアクター10の半径方向に沿って多層構造に形成され得る。
【0128】
また、遮蔽部33は、第1磁性体31及び第2磁性体32を支持して第1磁性体31及び第2磁性体32の流動を制限でき、第1磁性体31及び第2磁性体32から選択的に脱去可能であるように、複数個の部品が相互締結された構造に形成され得る。
【0129】
例えば、遮蔽部33は、ハウジング部とブラケット部を含むことができる。ハウジング部は、内部が中空された二重管形状に形成され、リアクター10の軸方向に挿入されて複数個の磁性体31、32の外面を支持することができる。そして、ブラケット部は、内側にリアクター10が貫通可能な貫通孔を形成してハウジング部の開口された両端部に結合されてハウジング部の開口部を閉鎖し、ハウジング部とリアクターの外面との間を気密して複数個の磁性体31、32が収容されたハウジング部の内部空間を密閉させ、複数個の磁性体31、32の両端部を支持することができる。
【0130】
しかし、遮蔽部33は、必ずしもこれに限定されるものではなく、上型と下型とからなり、上型と下型の結合を通して複数個の磁性体31、32を囲む蓋形態、あるいは複数個のパネル型部材が相互結合を通して複数個の磁性体31、32を囲むパネル形態等、多様な形態に変更されて適用され得る。
【0131】
また、イオン分離部30は、第1磁性体31及び第2磁性体32の磁力を極大化させる補助磁性体をさらに含むことができる。
【0132】
図16を参照すると、補助磁性体は、第3磁性体35及び第4磁性体36を含むことができる。
【0133】
第3磁性体35は、S極性が第2流路12に向かうようにリアクター10の上側に配置される第1磁性体31の両側面に配置され、S極性が第1磁性体31に向かうように配置され得る。そして、第4磁性体36は、N極性が第2流路12に向かうようにリアクター10の下側に配置される第2磁性体32の両側面に配置され、N極性が第2磁性体32に向かうように配置され得る。ここで、第3磁性体35及び第4磁性体36は、第1磁性体31及び第2磁性体32と同じ磁力の大きさを有し得る。
【0134】
即ち、第2流路12を中心に対向配置された第1磁性体31及び第2磁性体32の両側面に、第1磁性体31及び第2磁性体32と同じ磁力の大きさを有する複数個の補助磁性体(第3磁性体35及び第4磁性体36)を配置し、第1磁性体31及び第2磁性体32が第2流路12に向かう極性と同じ極性が第1磁性体31及び第2磁性体32に向かうように複数個の補助磁性体(第3磁性体35及び第4磁性体36)を配置することで、第1磁性体31及び第2磁性体32の磁力を極大化することができる。
【0135】
例えば、第1磁性体31が7,000ガウスで着磁された場合、S極性が第1磁性体31に向かうように同じ磁力の大きさ(7,000ガウス)を有する第3磁性体35を第1磁性体31の両側面に配置させると、第1磁性体31は、第2流路12に向かって14,000ガウスの磁力を発生させることができる。
【0136】
また、本水中プラズマ発生装置1は、分岐部50をさらに含むことができる。
【0137】
図17を参照すると、分岐部50は、リアクター10の他側に設けられ、内側に第2流路12と連通されて第2流路12を通して流入した作動流体及びイオンを複数の方向に分岐させるように予め設定された角度βに分岐された複数個の分岐流路51が形成され得る。これによって、分岐部50は、複数個の分岐流路51を通してイオン分離部30を通して分離されたHイオン及びOHイオンを作動流体と共に互いに異なる方向に分岐させることができる。
【0138】
複数個の分岐流路51は、Hイオンが含まれた作動流体の移動を案内する第1分岐流路511と、水平方向に沿って第1分岐流路511に対向配置され、OHイオンが含まれた作動流体の移動を案内する第2分岐流路512を含むことができる。
【0139】
ここで、複数個の分岐流路51は、磁界区間が終了するリアクター10の他側端部から作動流体の移動方向に沿って「<」形状のように予め設定された角度に分岐されるように形成され得る。これを通して、プラズマの発生時、磁力により分離された不安定なイオン(水素と酸素(即ち、電子))が安定化(再結合)される時間を最小化して水素の生産効率を極大化することができる。しかし、複数個の分岐流路51は、必ずしも磁界区間が終了するリアクター10の他側端部から延びる構造に限定されるものではなく、磁界区間内から作動流体の移動方向に沿って予め設定された角度に分岐されて延びるように形成され得る。
【0140】
例えば、第1分岐流路511及び第2分岐流路512は、26.5度~30度の角度に分岐され得る。
【0141】
また、本水中プラズマ発生装置1は、金属性プローブ40をさらに含むことができる。
【0142】
図5の(a)を参照すると、金属性プローブ40は、複数個で備えられ、第1磁性体31及び第2磁性体32が対向配置された方向に対して垂直な方向に対向配置され、リアクター10を貫通して一部が流路の他側空間(第2流路12)に収容され得る。従って、複数個の金属性プローブ40にキャパシタ等を連結する場合、高電圧の電気エネルギーを獲得することができる。例えば、金属性プローブ40は、銀、銅、アルミニウム、金、ニッケル及び銅等の多様な金属素材で形成され得る。
【0143】
一方、図5の(b)を参照すると、流路の他側空間(第2流路12)で、誘電性挿入物20の端部と金属性プローブ40との間の距離D1は、金属性プローブ40とリアクター10の端部との間の距離D2よりさらに長く形成され得る。
【0144】
また、図面には示されていないが、本水中プラズマ発生装置1は、浄水部(図示しない)、動力部(図示しない)、ポンプ(図示しない)、貯蔵タンク(図示しない)、流量調節部(図示しない)、蓄圧器(図示しない)、流体移動部(図示しない)、計測部(図示しない)及びコントロールパネル(図示しない)をさらに含むことができる。
【0145】
浄水部は、作動流体を浄水することができる。ここで、作動流体は、軽水または軽水と重水の混合流体または炭化水素系オイルまたは軽水とメタノールの混合流体または軽水とエタノールの混合流体等を使用することができ、仮に、軽水を使用する場合、比抵抗10Ωcm以上の範囲で浄水されることが好ましくあり得る。また、軽水と重水が混合された混合流体を作動流体に使用する場合、重水を軽水に対比して0.01%から100%程度に配合して使用することが好ましくあり得る。また、炭化水素系オイル、またはミネラルオイル(Mineral Oil)を使用する場合、粘度が40以下のものを使用することが好ましくあり得る。しかし、作動流体は、これに限定されるものではなく、本水中プラズマ発生装置1を通過する場合、プラズマを発生させることのできる多様な流体に変更されて適用され得る。
【0146】
動力部は、浄水部で浄水された作動流体をリアクター10の内部に供給するための動力を提供することができる。即ち、動力部は、動力部の一側に配置される後述するポンプを回転させ、作動流体をリアクター10に予め設定された圧力で伝達することができる。例えば、動力部は、モータ等に適用され得る。
【0147】
ポンプは、動力部の一側に配置され、動力部から動力の伝達を受けて、リアクター10に作動流体を既設定された圧力で伝達することができる。例えば、ポンプの駆動によって、後述する貯蔵タンクに貯蔵された作動流体は、貯蔵タンクからポンプに伝達され、ポンプに伝達された作動流体は、リアクター10に供給され得る。
【0148】
貯蔵タンクは、リアクター10及び後述する温度調節部を通過した作動流体を貯蔵し、ポンプに作動流体を供給することができる。例えば、貯蔵タンクの内部には、循環して流入した作動流体の状態を安定化させるための隔壁が設けられ得る。また、貯蔵タンクには、温度調節のために熱交換器(図示しない)がさらに設けられ得る。
【0149】
流量調節部は、貯蔵タンクからリアクター10に流入する中間に配置され、リアクター10に流入する作動流体の流量を調節するように構成され得る。例えば、流量調節部は、ポンプとリアクター10との間に配置され得る。
【0150】
蓄圧器は、流量調節部とリアクター10との間に設けられ、作動流体が一定に流れずプラズマが瞬間的に切れてまた発生する脈動現象を防止できる。例えば、蓄圧器は、脈動現象を低減するために2台以上設けられることが好ましくあり得る。
【0151】
流体移動部は、浄水部、リアクター10及び貯蔵タンク等、上述したそれぞれの装置を互いに連結する配管形態に形成され、内部に作動流体が循環され得る流路が形成され得る。例えば、流体移動部は、誘電性素材で形成され得る。
【0152】
計測部は、リアクター10の入口、出口及び流体移動部の少なくともいずれか一箇所に配置され、作動流体の圧力及び温度を計測することができる。これを通して、計測された作動流体の圧力及び温度は、作動流体の圧力及び温度を制御する用途に使用され得る。例えば、リアクター10の入口で測定された作動流体の温度及び圧力がプラズマ発生に十分な圧力及び温度に達していない場合、ポンプ(図示しない)を制御して圧力を高めることができる。そして、後述する温度調節部(図示しない)で作動流体の温度を低減させることを中止させることができる。また、温度調節部に流入する流体移動部に配置された計測部は、作動流体の温度を測定して、リアクター10の内部で摩擦熱及びプラズマ発生によって上昇した作動流体の温度を測定することができる。そして、測定された温度は、温度調節部で作動流体の温度を調節するデータとして使用され得る。
【0153】
コントロールパネルは、本水中プラズマ発生装置1をつけたり消したりすることができる電源装置、及び作動流体の圧力及び温度を調節できる操作装置を含むことができる。そして、コントロールパネルは、上述した計測部により計測される圧力及び温度を表示できるディスプレイパネルをさらに含むことができる。
【0154】
以下においては、図3及び図6を参照して、作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を詳細に説明する。
【0155】
参考までに、作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を説明するための各構成については、説明の便宜上、本水中プラズマ発生装置1を説明しながら使用した図面符号を同一に使用し、同一または重複した説明は省略する。
【0156】
まず、誘電性挿入物20を通した作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を説明する。
【0157】
図3及び図6の(a)を参照すると、リアクター10の第1流路11を通して誘電性挿入物20、金属性挿入物22及びホールディング挿入物23を順に挿入する。誘電性挿入物20を挿入する時には、第3部分213が先に第1流路11に挿入され得るように挿入する。
【0158】
本水中プラズマ発生装置1を作動させると、高圧の作動流体がリアクター10の流入口側に流入する。このとき、作動流体が高圧で流入するので、誘電性挿入物20、金属性挿入物22及びホールディング挿入物23を順に密着させる。
【0159】
作動流体は、リアクター10の内部に流入して直線で貫通ホールに向かって流れる第1流れf1と、第1流れf1の間で渦流が形成される第2流れf2を形成することができる。作動流体が流れるリアクター10の第1流路11の直径より誘電性挿入物20、金属性挿入物22及びホールディング挿入物23に形成された貫通孔20aの直径が相対的に非常に狭いため、ホールディング挿入物23の貫通孔20aの近くで貫通孔20aに流入しなかった作動流体は渦流を形成する第3流れf3を有し得る。そして、第3流れf3は、また第1流れf1に組み込まれて貫通孔20aの内部に流入し得る。
【0160】
貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、金属性挿入物22、ホールディング挿入物23及び誘電性挿入物20の貫通孔20aの内部に形成された螺旋形の溝等により渦流を形成する第4流れf4を形成することができる。そして、貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、金属性挿入物22と摩擦して流れるようになる。このような摩擦により金属性挿入物22から大量の電子が放出される。金属性挿入物22から放出された電子の一部は作動流体と共に流れていき、放出された電子の他の一部はホールディング挿入物23に蓄積されるようになる。
【0161】
貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、非常に狭くなった直径のため空洞現象により微細気泡を形成することができる。このような微細気泡は、貫通孔20aの内部を通りながらさらに多く形成される。また、形成された微細気泡は作動流体内に留まり、作動流体が誘電性挿入物20の貫通孔20aを通過する場合、崩壊され得る。微細気泡の崩壊と作動流体に帯電した電子により誘電性挿入物20の第2部分212の貫通孔20a及び第2流路12でプラズマが主に発生する。
【0162】
ここで、微細気泡は、多くは直径50μm以下の大きさを持つ気泡を意味する。微細気泡は、気液界面により囲まれて形成され、その界面に水の表面張力が作用する。表面張力は、気泡内部を圧縮する力で作用し得る。環境圧力による気泡内部の圧力上昇は、理論的に下記の式1により求めることができる。
【0163】
<式1> ΔP=4σ/D
【0164】
ここで、ΔPは圧力上昇の程度であり、σは表面張力、Dは気泡直径である。
【0165】
【表1】
<表1>
【0166】
表1を参照すると、直径が約10μmである微細気泡は、約0.3気圧の内部圧力を有し、直径が1μmである微細気泡は、約3気圧の圧力を有する。また、界面には、イオン濃度が増加するようになる。このような微細気泡が崩壊(Collapse)するとき、約40KHzの超音波と約140dbの高い音圧、そして4000℃から6000℃に達する瞬間的な高熱が発生する。このような超音波、高い音圧及び瞬間的な高熱と作動流体内の浮遊電子により微細気泡が崩壊しながらプラズマが発生する。
【0167】
オイルまたは水等の流体の場合、作動流体の走行速度が速くなり、局部圧力が蒸気圧より低くなると、作動流体が水蒸気化されて空洞(cavity)が発生する。
【0168】
通常の気泡は、水面に上昇して表面で破裂するが、原子や分子の大きさに近いマイクロ(μm)ナノサイズになると、同じ物質でも異なる行動や性質を有するようになるが、気泡でも同じ現象がある。50μm(0.05mm)以下の微細気泡は、水中で縮小されてついに消滅するが、この過程で核生成(necleation)、気泡成長、そして適切な条件での内破崩壊等、最小限3つの連続的なステップを経る。
【0169】
この過程で、微細気泡は、それ以上自身を維持するためにエネルギーを吸収できない程度に過大成長し、「急激な崩壊」を通して猛烈に内破され、この崩壊ステップの間に放出される温度と圧力は、閉じ込められていた気体の分子が割れる程度におびただしく上昇するが、これは「均一超音波化学」の基礎となる現象でもある。
【0170】
また、微細気泡は、電荷を帯びており、周辺に電場によって上昇しながらジグザグに運動をする。このとき、微細気泡そのものが微細な振動を起こすが、「自己加圧効果」により1μsec(1/1,000,000秒)程度の短い時間での圧縮と崩壊の連鎖反応を繰り返す。
【0171】
また、自己加圧効果は、球形の界面を有する微細気泡内部で表面張力が気体を圧縮する力により発生するが、膨張または崩壊するとき、崩壊する気泡内部の強力な圧力と温度は、核反応を触発させる程度に高くなる。このとき、微細気泡の内部温度は、太陽の表面温度に匹敵する5,500℃まで瞬間的に上昇し、微細気泡の壁の崩壊(内破)速度は7,000m/secまで加速され、その衝撃波は11,000m/secに達し、20,000K~30,000K(ケルビン温度)まで達する強烈な光を発するが、これがすなわちプラズマの発生である。
【0172】
このような微細気泡の破壊力は、水または他の流体と関連した日常生活でもよく現れている。例えば、水中でプロペラの回転によりプロペラまたは船体表面に流れる流体の走行速度が速くなり、局部圧力が蒸気圧より低くなることで空洞現象が生じ、この過程で数多くの微細気泡が発生し、生成と崩壊が連続で繰り返されるが、この微細気泡が崩壊する度に発生するおびただしいエネルギーは、金属プロペラと船体、ポンプ等の表面を毀損させるため、船舶の運航に莫大な支障をきたしている。このような結果を通して微細気泡の破壊力は証明されている。
【0173】
誘電性挿入物20の貫通孔20aを通過した作動流体は、第3部分213の前方側、即ち、リアクター10の流出口側に向かって放出されるようになる。放出される作動流体の一部は、第3部分213の表面に沿って第2部分212に向かって逆流する第5流れf5を形成し、放出される作動流体の他の一部は、第3部分213の前方側に流れる第6流れf6を形成する。
【0174】
第5流れf5による作動流体は、第3流路13と誘電性挿入物20の第2部分212の微細な隙間の間に流れ込み得る。先に言及したように、誘電性挿入物20の第2部分212の直径は第3流路13と対応するように形成され、誘電性挿入物20の第2部分212とリアクター10の第2流路12が互いに密着するように誘電性挿入物20がリアクター10の内部に挿入されなければならない。そうでない場合、多くの量の作動流体が第3流路13を通して逆流し、プラズマ発生の効率が低下し得る。
【0175】
第3流路13と誘電性挿入物20との間に逆流した作動流体は、誘電性挿入物20の第2部分212に形成された捕集溝214に流入するようになる。流入した作動流体は、捕集溝214に留まっていて、第6流れf6が強くなると、また第3流路13と誘電性挿入物20との間を通して第2流路12側に抜け出ながら第6流れf6をさらに強化させることができる。この時には、捕集溝214に留まっていた作動流体に含まれた微細気泡が崩壊してプラズマをさらに多く発生させることができる。
【0176】
このように、捕集溝214は、逆流する作動流体が留まることのできる空間を提供すると同時に第2流路12で発生するプラズマを強化させる2つの役割を全て果たすことができる。
【0177】
次に、他の実施例に係る誘電性挿入物20を通した作動流体の流れ、作動流体の流れと連係される各挿入物の作用、微細気泡の形成過程及び崩壊過程を説明する。
【0178】
図6の(b)に示されたリアクター10の内部の誘電性挿入物20、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cは、図5の(a)に示されたリアクター10の内部と比較して誘電性挿入物20の長さ、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cの個数のみが異なるだけで、他の構成要素は実質的に同一であるので、重複した説明を省略する。
【0179】
図6の(b)を参照すると、リアクター10の内部に挿入された誘電性挿入物20は1個であり、金属性挿入物22a、22b、22c、22dは計4個であり、ホールディング挿入物23a、23b、23cは計3個である。しかし、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cの個数は、必要に応じて変更されて適用され得る。
【0180】
誘電性挿入物20の第2部分212は、図6の(a)に示された誘電性挿入物20と比較したとき、もう少し長く形成される。これは、誘電性挿入物20の第2部分212側に第4金属性挿入物22dがもう一つ挿入されるからである。具体的に、誘電性挿入物20の第2部分212を貫通して第4金属性挿入物22dが誘電性挿入物20の前面側で先に挿入される。誘電性挿入物20は、前面側に第4金属性挿入物22dが差し込まれたままリアクター10の内部に挿入される。従って、第3部分213の始まりの部分が第2流路12から始まることができるように、第2部分212は、第4金属性挿入物22dの厚さだけさらに長く形成され得る。ただし、図面に示されたものとは異なり、誘電性挿入物20の第2部分212がもう少し長く形成されないこともあり得る。
【0181】
第4金属性挿入物22dの内径は、誘電性挿入物20の第2部分212の外径と対応し、第4金属性挿入物22dの外径は、リアクター10の内径に対応する。第4金属性挿入物22dは、第1流路11に差し込まれながら、前面側には係止ジョー14と接触し、後面側には誘電体21挿入物の第1部分211と接触する。
【0182】
第4金属性挿入物22dが差し込まれた誘電性挿入物20がリアクター10の内部に挿入された後、第4金属性挿入物22dを除く第1から第3金属性挿入物22a、22b、22cと第1から第3ホールディング挿入物23a、23b、23cが順に交互にリアクター10の内部に挿入される。具体的に、誘電性挿入物20、第3金属性挿入物22c、第3ホールディング挿入物23c、第2金属性挿入物22b、第2ホールディング挿入物23b、第1金属性挿入物22a、第1ホールディング挿入物23aが順にリアクター10の内部に挿入される。
【0183】
以下、作動流体の流れ及び作動流体の流れと連係される各挿入物の作用を説明する。
【0184】
図6を参照すると、リアクター10の第1流路11を通して、上述したように、誘電性挿入物20、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cが挿入されたリアクター10の内部に高圧の作動流体が流入する。
【0185】
作動流体は、上述したように、誘電性挿入物20、金属性挿入物22a、22b、22c、22d及びホールディング挿入物23a、23b、23cに形成された貫通孔20aを通して流れる第1流れf1と、第1ホールディング挿入物23aの外面とぶつかって渦流が形成される第3流れf3を形成することができる。
【0186】
貫通孔20aの内部に流入した作動流体は、ホールディング挿入物23a、23b、23c、第1から第3金属性挿入物22a、22b、22c及び誘電性挿入物20の貫通孔20aに形成された螺旋形の溝等により渦流となる第4流れf4を形成することができる。
【0187】
第4流れf4は、第1ホールディング挿入物23a、第1金属性挿入物22a、第2ホールディング挿入物23b、第2金属性挿入物22b、第3ホールディング挿入物23c及び第3金属性挿入物22cに順に接触する。これによって、各金属性挿入物22a、22b、22cから大量の電子が作動流体に流入し、放出された電子の一部はホールディング挿入物23a、23b、23cに蓄積され、放出された電子の他の一部は第4流れf4と共に第3部分213を通して放出される。
【0188】
第3部分213の前方側に向かって放出された作動流体の一部は、第3部分213の表面に沿って第2部分212に向かって逆流する第5流れf5を形成する。そして、第3部分213の前方側に向かって放出された作動流体の他の一部は、第3部分213の前方側に流れる第6流れf6を形成する。
【0189】
このとき、第5流れf5は、第3流路13と誘電性挿入物20の第2部分212の微細な隙間の間に流れ込み得る。第3流路13と誘電性挿入物20との間に逆流した作動流体は、誘電性挿入物20の捕集溝214に流入する。
【0190】
そして、捕集溝214に流入した作動流体は、上述したように、第6流れf6が強くなると、また第3流路13と誘電性挿入物20との間を通して第2流路12側に抜け出ることができる。
【0191】
一方、捕集溝214に流入した作動流体及び第3流路13と誘電性挿入物20の隙間に逆流した作動流体は、第1流路11の内側端部に配置された第4金属性挿入物22dと接触し、もう一度プラズマを形成することができる。具体的に、捕集溝214に流入した作動流体は、第3流路13と誘電性挿入物20の隙間に逆流した作動流体と会って第1流路11側まで流入し得る。このとき、作動流体は、第1流路11側の内側端部に配置された第4金属性挿入物22dと接触して電子の供給を受けることができる。
【0192】
このような第4金属性挿入物22dは、第5流れf5を通して第1流路11側に流入した作動流体が誘電性挿入物20と接触して発生し得る誘電性挿入物20のすす及び損傷を減少させることができる。また、第4金属性挿入物22dは、逆流した第5流れf5に電子を供給することでプラズマ発生をさらに加速させることができる。
【0193】
ここで、第4金属性挿入物22dには、微細気泡の電子を拡散させることのできる拡散溝22d1がさらに形成され得る。
【0194】
さらに詳細には、図6の(b)及び図18を参照すると、リアクター10の段差付けられた部位に接触した第4金属性挿入物22dの一側には、端部から内側に向かって予め設定された角度αに傾斜した拡散溝22d1が形成され得る。
【0195】
これによって、第4金属性挿入物22d側に移動された微細気泡は、拡散溝22d1を通して第4金属性挿入物22dの半径方向側に拡散されて第4金属性挿入物22dと反応してプラズマを形成するようになり、これを通して安定した電圧分布が形成され得る。
【0196】
例えば、拡散溝22d1は、第4金属性挿入物22dの一側端部から内側に向かって16~19度の間の角度に傾斜するように形成され得る。しかし、拡散溝22d1は、これに限定されるものではなく、同じ機能を具現できる条件内で多様な形状及び角度に変更されて適用され得る。
【0197】
一方、図6を参照すると、リアクター10の内部では、作動流体の流れによってプラズマが発生と消滅を繰り返し、複数の位置でプラズマが同時に発生することもあり得る。
【0198】
例えば、リアクター10の内部で発生するプラズマは、発生する位置によって第1プラズマ、第2プラズマ及び第3プラズマに区分し得る。
【0199】
第1プラズマは、誘電性挿入物20の捕集溝214に入っている作動流体で発生したプラズマである。先に言及したように、誘電性挿入物20の端部から吐出された作動流体の一部は、捕集溝214側に逆流して捕集溝214に入っている。捕集溝214に入った作動流体は、捕集溝214の内部で誘電性挿入物20の円周表面に沿って回転するようになる。このような回転過程で第1プラズマが発生し得る。
【0200】
第2プラズマは、捕集溝214の内部にあった作動流体が第3部分213の端部側に漏れ出ながら発生し得る。捕集溝214の内部にあった作動流体は、第3部分213の端部側から吐出される作動流体の流れに合流して、第3部分213の端部側に吐出される作動流体の流れを強化させることができるが、このような過程で第2プラズマが発生し得る。一方、第2プラズマは、捕集溝214の内部にあった作動流体が誘電性挿入物20の第3部分213の外側に吐出される作動流体の流れを強化させるということを示す一例であるといえる。
【0201】
第3プラズマは、誘電性挿入物20の貫通孔20aから第3部分213の端部に吐出される作動流体で発生し得る。第3プラズマは、貫通孔20aの内部から発生することもあり得る。そして、第3プラズマは、誘電性挿入物20を抜け出した直後にも発生し得る。このような第3プラズマは、リアクター10の内部で発生するプラズマの中で主なプラズマであるといえる。例えば、リアクター10にキャパシタ等と連結された金属性プローブ40を連結する場合、第3プラズマを通して電気エネルギーを獲得することができる。
【0202】
以下においては、図19及び図20を参照して、本水中プラズマ発生装置を含むアプリケーションについて詳細に説明する。
【0203】
参考までに、本水中プラズマ発生装置1を含むアプリケーションを説明するための各構成については、説明の便宜上、本水中プラズマ発生装置1を説明しながら使用した図面符号を同一に使用し、同一または重複した説明は省略する。
【0204】
図19を参照すると、本水中プラズマ発生装置1は、水素ガスを生産及び供給可能な水素ステーション2に適用され得る。
【0205】
水素ステーション2は、本水中プラズマ発生装置1及び水素ガス生成部201を含む。
【0206】
水素ガス生成部201は、本水中プラズマ発生装置1と連結され、本水中プラズマ発生装置1を通して分離されたHイオンが含まれた作動流体が貯蔵され得る。そして、水素ガス生成部201の内部には、内部に貯蔵された作動流体と化学的反応を起こし、作動流体から水素を気体に転換して分離させる触媒2011が備えられ得る。例えば、触媒2011は、鉛(Pb)またはロジウム(Rh)に適用され得る。しかし、触媒2011は、必ずしもこれに限定されるものではなく、同じ機能を果たすことのできる条件内で多様な物質に変更されて適用され得る。また、水素ガス生成部201の内部には、生成した水素ガスを精製する精製手段2012がさらに備えられ得る。これを通して、水素ガス生成部201の内部には、精製手段2012を中心に予め設定された基準純度以上の水素ガスと基準純度未満の水素ガスが区分された状態で貯蔵され得る。例えば、精製手段2012は、鉛成分を含むメンブレンフィルター(membrane filter)に適用可能であり、水素ガス生成部201の内部には、メンブレンフィルターを中心にメンブレンフィルターを通して精製された99.97%純度以上の水素ガスと、メンブレンフィルターを通して精製できなかった99.97%純度未満の水素ガスが貯蔵され得る。また、水素ガス生成部201の一側には、水素が分離された作動流体が排出される排出口2013が形成され、排出口2013には、排出された作動流体を本水中プラズマ発生装置1に再供給するように構成された再供給管2014が備えられ得る。しかし、水素ガス生成部201は、必ずしもこれに限定されるものではなく、水素イオンが含まれた作動流体から高純度の水素ガスを生産できる多様な構成に変更されて適用され得る。
【0207】
また、本水素ステーション2は、水素ガス生成部201で生成した水素ガスを予め設定された圧力で圧縮するように構成される圧縮部202、圧縮された水素ガスが貯蔵される貯蔵部203、貯蔵部203に貯蔵された水素ガスを外部に供給するように構成される供給部204、及び本水中プラズマ発生装置1、水素ガス生成部201、圧縮部202、貯蔵部203及び供給部204を内部に収容可能な保管部205をさらに含むことができる。
【0208】
しかし、本水素ステーション2は、必ずしもこれに限定されるものではなく、本水中プラズマ発生装置1を利用して水素ガスを生成できる条件内で、多様な構成に変更されて適用され得る。
【0209】
このように、本水中プラズマ発生装置1を利用して水素ガスを自ら生産及び供給できる水素ステーション2を具現可能であることで、従来、大型製造施設で化石燃料を改質して水素ガスを生産した後、生産された水素ガスを特定場所に位置したステーションに供給する方式に比して、安全かつ容易に水素ガスを生産可能であることはもちろん、コストを飛び切り節減でき、小規模で多様な場所に具現可能であり、水素充填のためのインフラを構築することができる。
【0210】
図20を参照すると、本水中プラズマ発生装置1は、プラズマ活性水を生産及び供給可能なプラズマ活性水製造システム3に適用され得る。
【0211】
プラズマ活性水製造システム3は、作動流体をイオン化させてプラズマ活性水に転換させる本水中プラズマ発生装置1、プラズマ活性水が貯蔵される活性水貯蔵部301及びプラズマ活性水を目的位置に供給する供給ライン302を含む。
【0212】
プラズマ活性水製造システム3に適用される本水中プラズマ発生装置1は、リアクター10及び誘電性挿入物20で構成され、微細気泡を通してプラズマを発生させると同時に内部で発生したプラズマを通して作動流体をイオン化させることで、プラズマ活性水を製造するようになる。
【0213】
活性水貯蔵部301は、本水中プラズマ発生装置1と連結され、本水中プラズマ発生装置1を通して生成したプラズマ活性水が貯蔵され得る。そして、活性水貯蔵部301には、後述する供給ライン302と連結され、プラズマ活性水が排出される排出口(図示しない)が形成され得る。例えば、活性水貯蔵部301には、内部に流入するプラズマ活性水をろ過可能なろ過手段(図示しない)と、プラズマ活性水を予め設定された温度に維持させることのできる温度制御手段(図示しない)がさらに備えられ得る。しかし、活性水貯蔵部301は、必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な形態に変更されて適用され得る。
【0214】
供給ライン302は、活性水貯蔵部301と連結され、活性水貯蔵部301に貯蔵されたプラズマ活性水を予め設定された目的地点に供給するように構成され得る。例えば、供給ライン302は、単一管形態に形成されるか、連結された目的地点によって分岐された多重管形態に形成され得る。そして、供給ライン302には、プラズマ活性水の供給を制御できるように制御バルブ(図示しない)がさらに備えられ得る。
【0215】
しかし、プラズマ活性水製造システム3は、必ずしもこれに限定されるものではなく、本水中プラズマ発生装置1を利用してプラズマ活性水を生産及び供給できる条件内で、多様な構成に変更されて適用され得る。
【0216】
このように、本水中プラズマ発生装置1を利用してプラズマ活性水を自ら生産及び供給できるプラズマ活性水製造システム3を具現可能であることで、従来、農畜水産業で二酸化炭素やオゾンを溶解させて使用していた溶解水をプラズマ活性水に代替可能であり、大規模で使用可能であることはもちろん、コストを節減でき、さらにプラズマ活性水を通して栽培または養殖された製品の品質を向上させ、環境汚染を最小化することができる。
【0217】
このように、本発明の実施例によれば、従来の気体プラズマ発生装置のように数千~数万ボルト以上の高電圧を利用することなく、室温で作動流体を循環させるだけでプラズマを生成できることで、気体プラズマに比して高密度のプラズマを生成できることはもちろん、装置の構造を単純化してコストを節減することができる。
【0218】
また、音波発光(Sonoluminescence)または化学発光(Chemoluminescence)を通したプラズマの生成を排除して工程を簡素化でき、プラズマの損失率を最小化することができる。
【0219】
また、分離部30及び金属性プローブ40を排除した状態では、基本的にプラズマ活性水を製造することができ、必要に応じてイオン分離部30または金属性プローブ40を選択的に適用して水素イオンを分離するか、電気エネルギーを獲得可能であることで、水素ガス製造システムまたはプラズマ活性水製造システムまたはプラズマ発電システムに全て適用され得る。
【0220】
以上においては、本発明の好ましい実施例について図示して説明したが、本発明は、上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を外れることなく当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることはもちろん、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならないだろう。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本実施例に係る水中プラズマ発生装置及びそれを含むアプリケーションは、水素ガス製造システム、プラズマ活性水製造システム、電気エネルギーを発生させる発電システム等に使用され得る。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
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