(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】収容ケースおよびその収容ケースに電池パックを収容する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/213 20210101AFI20240611BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240611BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240611BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20240611BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/271 S
H01M50/291
H01M50/293
(21)【出願番号】P 2023508622
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2021046482
(87)【国際公開番号】W WO2022201672
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2021050098
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯本 満
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-097049(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073416(WO,A1)
【文献】特開2006-140025(JP,A)
【文献】実開昭53-098315(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池を組み合わせて構成された電池パックを収容する収容ケースであって、
収容部と、ブラケットと、を備え、
前記収容部は、前記電池パックを載置する載置面と、前記載置面から立ち上がる少なくとも1つの側面と、前記側面に設置された第1固定部品と、を含み、前記第1固定部品は平坦面と2つの屈曲面とを有し、前記第1固定部品の平坦面は前記側面に対して概ね垂直であり、かつ前記載置面に対して略平行に延在し、前記第1固定部品の2つの屈曲面の各々は前記第1固定部品の平坦面から前記載置面に向かって延在してハの字形状で互いに向き合っており、
前記ブラケットは、前記収容部の前記載置面に固定されており、前記ブラケットは前記収容部の前記側面に対して略平行に延在する側壁面と、前記側壁面に設置された第2固定部品と、を含み、前記第2固定部品は平坦面と2つの屈曲面を有し、前記第2固定部品の平坦面は前記側壁面に対して概ね垂直であり、かつ前記載置面に対して略平行に延在し、前記第2固定部品の2つの屈曲面の各々は前記第2固定部品の平坦面から前記載置面に向かって延在してハの字形状で互いに向き合っており、
前記電池パックは、
前記収容部の前記載置面と、前記第1固定部品の平坦面および前記第2固定部品の平坦面の両方と、で保持され、
前記収容部の前記側面と前記ブラケットの前記側壁面とで保持され、
前記第1固定部品の2つの屈曲面で支持されると共に、前記第2固定部品の2つの屈曲面で支持される、収容ケース。
【請求項2】
前記第1固定部品は、前記第1固定部品が設置されている前記側面と一体化されている、請求項1に記載の収容ケース。
【請求項3】
前記第1固定部品の2つの屈曲面の各々は、前記第1固定部品の平坦面に対して45度の角度をなす、請求項1又は2に記載の収容ケース。
【請求項4】
前記第2固定部品の2つの屈曲面の各々は、前記第2固定部品の平坦面に対して45度の角度をなす、請求項1から3までのいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項5】
前記収容部は、さらにクッション材を備え、
前記クッション材は、前記第1固定部品の平坦面および前記第1固定部品の屈曲面ならびに前記第2固定部品の平坦面および前記第2固定部品の屈曲面のそれぞれに付加されており、前記第1固定部品の平坦面および前記第1固定部品の屈曲面と前記電池パックとの間に挟まれると共に、前記第2固定部品の平坦面および前記第2固定部品の屈曲面と前記電池パックとの間に挟まれる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項6】
前記第1固定部品の平坦面および前記第1固定部品の屈曲面に付加された前記クッション材の表面に、滑り特性が良好なフィルムが付加され、前記フィルムが前記電池パックに当接する、請求項5に記載の収容ケース。
【請求項7】
前記フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする、請求項6に記載の収容ケース。
【請求項8】
前記ブラケットを前記収容部の前記載置面に固定する固定手段をさらに備える、請求項1から7までのいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項9】
前記収容ケースは前記収容部を覆う蓋板をさらに備え、前記ブラケットと前記蓋板とは、スポット溶接で一体化されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項10】
前記収容ケースに複数個の前記電池パックが収容され、
前記収容部の前記側面に複数個の前記第1固定部品が配置され、前記ブラケットの前記側壁面に複数個の前記第2固定部品が配置される、請求項1から9までのいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項11】
前記電池パックを構成する前記複数の電池の各々は円筒形を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項12】
前記側面と互いに対向する他の側面と、前記他の側面に対応して設けられる他のブラケットと、をさらに備え、前記他の側面にも前記第1固定部品が設置され、前記他のブラケットにも前記第2固定部品が設置される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項13】
請求項1に記載の電池パックを、請求項1に記載の収容ケースに収容する方法であって、
前記電池パックは、前記収容ケースに収容されたときに前記載置面と接する底面と、前記底面と互いに対向する上面とを備え、
前記電池パックの前記底面が前記載置面に対して斜めの状態で、前記電池パックの一方の側の前記上面の一端を前記第1固定部品の平坦面に当接させるステップと、
前記第1固定部品の平坦面に当接させた部分を支点として、前記電池パックの前記底面が前記載置面に対して概ね平行になるまで、前記電池パックを回動させて、前記電池パックの前記一方の側を前記載置面と前記第1固定部品との間に挿入するステップと、
前記ブラケットの前記側壁面で前記電池パックの前記一方の側と反対側の他方の側を前記収容部の前記側面に向かって押圧して、前記電池パックの前記一方の側を前記収容部の前記側面に当接させるステップと、
前記ブラケットにより前記電池パックを前記収容部の前記載置面に向かって押圧することで、前記第2固定部品の平坦面および前記第2固定部品の屈曲面により前記電池パックを前記載置面に押し付けて、前記ブラケットを前記載置面に固定手段を用いて固定するステップと、を備える方法。
【請求項14】
前記収容ケースは、さらにクッション材を備え、
前記クッション材は、前記第1固定部品および前記第2固定部品のそれぞれに付加されており、前記クッション材は、前記第1固定部品と前記電池パックとの間に挟まれると共に、前記第2固定部品と前記電池パックとの間に挟まれるようにして前記電池パックを収容する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1固定部品に付加された前記クッション材の表面に、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする滑り特性が良好なフィルムが付加され、前記フィルムが前記電池パックに当接するようにして前記電池パックを収容する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1固定部品の平坦面に当接させた部分を支点として、前記電池パックを回動させて、前記電池パックを前記載置面と前記第1固定部品との間に挿入するステップにおいて、
前記電池パックが、前記電池パックに当接する前記フィルムの表面上を滑ることで、前記電池パックを前記載置面と前記第1固定部品との間に挿入することを容易にする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記収容ケースは蓋板をさらに備え、前記蓋板と前記ブラケットとをスポット溶接するステップを含む、請求項13から16までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容ケースおよびその収容ケースに電池パックを収容する方法に関し、特に、複数の二次電池を組み合わせて構成された電池パックを収容する収容ケースおよびその収容ケースに少なくとも1つの電池パックを収容する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
停電時の電源をバックアップする無停電電源装置や非常用の電源装置、あるいは再生エネルギーによる発電システムの蓄電装置などの様々な用途に、充電可能な二次電池を多数組み合わせて構成された電池ユニットが使用されている。このような電池ユニットは、通常、箱形の収容ケースに少なくとも1つの電池パックが収容されている。
【0003】
電池ユニットを運搬するとき、また所定の場所に設置して稼働するときに、電池ユニットに外部から衝撃や振動が加わることは不可避であり、このような衝撃や振動により電池パックが電池ユニットの中で移動する場合がある。電池パックの移動は、電池パックを接続するソケットが外れる、接続配線が断線する、電池パック自体が破損する、などの不具合を生じさせる虞があり、電池パックは電池ユニットの収容ケースの中でしっかりと固定する必要がある。
【0004】
電池パックを収容ケースに固定する方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、L字形の固定部品を収容ケースの電池を載置する載置面に配設して仕切壁を構成し、その仕切壁で、収容ケース内での電池パックの載置位置を画定して収容ケースに固定する構造が知られている。
【0005】
このような技術においては、L字形の固定部品を別途作成する必要があるため部品点数が増加する。また、部品点数が増加するとそれらを取り付ける製造工程を追加することになる。加えて、別途作成した固定部品を追加工程にて取り付けるため、取り付け時に一定程度の位置合わせ余裕を設定しなければならない。これらは、電池パック載置位置の位置精度の低下、および製造コスト増大の要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示はこのような課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固定部品を収容ケースと一体化することにより電池パックの載置位置精度が向上し、部品点数および製造工程数が削減されることでより低廉な製造コストで製造可能である、電池パックを収容する収容ケースおよびその電池パックを収容ケースに収容する方法、、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一つの態様による収容ケースは、複数の電池を組み合わせて構成された電池パックを収容する収容ケースであって、収容部と、ブラケットと、を備え、収容部は、電池パックを載置する載置面と、その載置面から立ち上がる少なくとも1つの側面と、側面に設置された第1固定部品と、を含み、第1固定部品は、平坦面と2つの屈曲面とを有し、平坦面は側面に対して概ね垂直であり、かつ載置面に対して略平行に延在し、2つの屈曲面の各々は平坦面から載置面に向かって延在してハの字形状で互いに向き合っており、ブラケットは、収容部の載置面に固定されており、ブラケットは収容部の側面に対して略平行に延在する側壁面と、その側壁面に設置された第2固定部品と、を含み、第2固定部品は、平坦面と2つの屈曲面を有し、平坦面は側壁面に対して概ね垂直であり、かつ載置面に対して略平行に延在し、2つの屈曲面の各々は平坦面から載置面に向かって延在してハの字形状で互いに向き合っており、電池パックは、収容部の載置面と、第1固定部品の平坦面および第2固定部品の平坦面の両方と、で保持され、収容部の側面とブラケットの側壁面とで保持され、第1固定部品の2つの屈曲面で支持されると共に、第2固定部品の2つの屈曲面で支持される、ことを特徴とする。
【0009】
本開示の一つの態様による電池パックを、本開示の一つの態様による収容ケースに収容する方法であって、電池パックは、収容ケースに収容されたときに載置面と接する底面と、底面と互いに対向する上面とを備え、電池パックの底面が載置面に対して斜めの状態で、電池パックの一方の側の上面の一端を第1固定部品の平坦面に当接させるステップと、第1固定部品の平坦面に当接させた部分を支点として、電池パックの底面が載置面に対して概ね平行になるまで、電池パックを回動させて、電池パックの一方の側を載置面と第1固定部品との間に挿入するステップと、ブラケットの側壁面で電池パックの一方の側と反対側の他方の側を収容部の側面に向かって押圧して、電池パックの一方の側を収容部の側面に当接させるステップと、ブラケットにより電池パックを収容部の載置面に向かって押圧することで、第2固定部品の平坦面および第2固定部品の屈曲面により電池パックを載置面に押し付けて、ブラケットを載置面に固定手段を用いて固定するステップと、を備える、ことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の収容ケースその収容ケースに電池パックを収容する製造方法は、固定部品を収容ケースと一体化することにより電池パックの載置位置精度が向上し、部品点数および製造工程数が削減されることでより低廉な製造コストで製造可能である、電池パックを収容する収容ケースおよびその電池パックを収容ケースに収容する方法、を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態の電池パックを収容した収容ケースの斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の電池パックを収容した収容ケースの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の収容ケースに蓋板を追加した斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の電池パックの斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の収容ケースの収容部の斜視図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の第1固定部品の正面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態の第1固定部品に貼付されるクッション材およびフィルムの斜視図である。
【
図11】
図11は、一実施形態の収容ケースに収容された電池パックの断面を含む斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態の収容ケースのブラケットの斜視図である。
【
図14】
図14は、一実施形態の第2固定部品の正面図である。
【
図15】
図15は、一実施形態の収容ケースのブラケットの斜視図である。
【
図17】
図17は、一実施形態のブラケット及び蓋板の平面図である。
【
図18】
図18は、一実施形態の一製造ステップにおける収容ケースおよび電池パックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
<一実施形態>
図1に、一実施形態の電池パック10を収容した収容ケース1を備える電池ユニットの斜視図を示す。収容ケース1は、収容部20とブラケット30と制御回路50とを備える。ブラケット30は収容部20に固定されている。
図2には、
図1の状態からからブラケット30を外した状態の収容ケース1の分解斜視図を示す。
【0014】
収容部20は、電池パック10を載置する載置面24と、4つの側面22、22Aと、これらの側面22、22Aのうち1対の互いに対向する側面22に設置された第1固定部品23と、を含む。この収容部20は実質的に載置面24と4つの側面22、22Aとはとは、実質的に直方体形状の収容空間45を囲むように構成される。ブラケット30は、第1固定部品23が設置されている側面22と対向するように収容空間45の内に設けられた側壁面35と、側壁面35に設置された第2固定部品33と、を含む。
【0015】
図3は、電池パック10を収容した収容ケース1に加えて、収容ケース1の収容空間45を覆う蓋板40をさらに備えた収容ケース1Aの斜視図である。蓋板40はブラケット30に固定されている。
【0016】
図4に、電池パック10の斜視図を示す。電池パック10はその全体を熱収縮チューブ19で覆い固定している。熱収縮チューブとして、例えば、ヒシチューブ(登録商標)を用いることができる。電池パック10から引き出された各電極はハーネス18にまとめられており、電池パック10と外部回路との電気的な接続はハーネス18を介して行われる。
【0017】
図5Aから
図5Cに、電池パック10の内部構造を示す。電池パック10は複数の二次電池を集積して構成される。例えば、20本の円筒形の電池11がリード板12を介して直列接続され、電極を引き出すリード電極13が付加されている(
図5A)。リード板12は、各々の電池の正極および負極に、例えば、抵抗溶接により固定し得る。
【0018】
さらに、20本の電池11をまとめた組電池の電極の各々およびリード板12の各々を外部から絶縁するために、それらの表面は絶縁シート16で覆われている。その組電池のリード板12が配置された面とは反対側の面の電極の各々およびリード板14についても同様に絶縁シート16で覆われている。これらの絶縁シート16は、例えば、両面テープにより貼付することで固定し得る。さらに、この組電池を複数個積層する場合には、それぞれの絶縁シート16の間にさらに絶縁板17を配置することが好ましい。例えば、20本をまとめた組電池を2段積層する積層体の分解斜視図を
図5Bに示す。
【0019】
各組電池から引き出されてるリード電極13をハーネス18に接続し、ハーネス18を組電池の積層体に取り付ける。そして、ハーネス18部分が露出させて状態でこの積層体を熱収縮チューブ19内に入れ、チューブを熱収縮させて
図1に記載の電池パック10を構成する。
【0020】
ここで、上記のような電池パック10において、
図5Aに示すように、前記電池の長さ方向を第1方向A、前記電池の並列方向を第2方向B、そして、第1方向と第2方向の両方に直行する方向を第3方向Cとして、電池パック10が、収容ケースに収容される際の向きを、
図1を参照して示すと、電池パック10の第1方向が、
図1におけるX方向に、電池パック10の第2方向が、
図1におけるY方向に、そして、電池パック10の第3方向が、、
図1におけるZ方向に向くように配置される。
【0021】
そして、電池パック10の第1方向Aの両側は、側面22とこの側面22と対向する側壁面35とで保持され、前記第3方向Cの両側が、前記載置面24と、第1固定部品23および第2固定部品33の両方と、で保持され、第2方向Bの両側が、第1固定部品23、第2固定部品のそれぞれの両端に設けられた屈曲部(後述)で支持される。
【0022】
図6は、一実施形態の収容ケース1の収容部20の斜視図である。収容部20は、電池パック10を載置する載置面24と、側面22と、その側面22に設置された第1固定部品23と、を含む。収容部20は、長方形からなる載置面24と載置面24のそれぞれの辺から概ね垂直に立ち上がる4つの側面22、22Aとで直方体形状の収容空間45を囲むように構成される。ただし、直方体形状の載置面24に対向する面には、電池パック10等の収容部20への搭載物を載置するための開口が配置されている。
図6の一実施形態では、収容部20は互いに対向する2つの側面22を含み、それぞれの側面22に3つずつの第1固定部品23が配置されている。これら第1固定部品23は、収容部20の側面22と一体化していることが好ましい。
【0023】
図7に第1固定部品23の拡大図を示す。第1固定部品23は、側面22から概ね垂直な方向に立ち上がるリブ状の形状を有する。このリブ状の部分は、載置面24に対して略平行に延在する平坦部23aを構成する。平坦部23aと側面22との間には接続部23cが配置されている。平坦部23aは接続部23cにより側面22に支持されている。リブ状の平坦部23aの長さ方向23Xは、当該第1固定部品23が設置される側面22と平行に向いている。
【0024】
平坦部23aの両端近傍には接続部23cが配置されておらず、それら両端近傍のそれぞれから延伸する2つの屈曲部23bが配置されている。2つの屈曲部23bは、平坦部23aから載置面24へ向かう方向に屈曲している。2つの屈曲部23bは、平坦部23aに対して互いに対称となるように構成される。
【0025】
収容部20の側面22と第1固定部品、すなわち、接続部23c、平坦部23a、および2つの屈曲部23bは、一体化されていることが好ましい。これらは、側面22から、接続部23c、平坦部23aを経由して2つの屈曲部23bまで連続して延在し、その全体が同一材料で構成され得る。
【0026】
図8に、第1固定部品23の正面図を示す。平坦部23aは長さL1の平坦面23a1を有し、接続部23cは、それぞれの屈曲部23bから延伸部L2の余裕をもって、すなわち(L1-2×L2)の長さで側面22と平坦部23aとを接続する。屈曲部23bはそれぞれ長さL3の2つの屈曲面23b1を有する。2つの屈曲面23b1の各々は平坦面23a1に対して角度θをなし、平坦面23a1から載置面24に向かって延在する。2つの屈曲面33b1は平坦面33a1を挟んで互いに対称であり、ハの字形状を構成する。例えば、電池パック10の外形に個々の円筒形の電池11の形状が反映されて円弧状の形状を有するとき、この角度θは屈曲面23b1が円弧の接線となる概ね45度とすることが好ましい。また、電池パック10の外形が直方体形状であるときは、角度θは90度とすることが好ましい。このように、角度θは45度から90度までの範囲で電池パック10の形状に応じて調整し得る。
【0027】
図9は、第1固定部品23の拡大図であり、第1固定部品23の載置面24と対向する面にクッション材26が配置されている。クッション材26は、第1固定部品23の接続部23c、平坦部23aの平坦面23a1、および屈曲部23bの屈曲面23b1の全体に配置されている。このクッション材26は、電池パック10が収容部20に載置された状態で、電池パック10と第1固定部品23の間に挟まれて弾性体として機能する。クッション材26は、接着剤、例えば、両面テープにより第1固定部品23の表面に貼付され得る。
【0028】
このクッション材26の表面に、さらにフィルム27を付加することができる(
図10)。フィルム27が付加されたときは、このフィルム27が電池パック10に当接する。フィルム27としては、その表面の滑り特性が良好な材料を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分する薄膜材料が使用され得る。特に、マイラー(登録商標)シートが好適である。
【0029】
図11に、収容ケース1の収容部20に収容された電池パック10の、第1固定部品23の近傍における切断面を含む斜視図を示す。図中では省略しているが、電池パック10は、その表面が熱収縮チューブ19で覆われており、載置面24と当接する面および第1固定部品23に保持される面は、概ね平坦である。また、電池パック10が第1固定部品23に当接する部分は、電池パック10を構成する個々の電池の円筒形の形状を反映して円弧状の外形を有する(
図4参照)。
【0030】
電池パック10は、その第3方向Cの両側が、互いに対向する載置面24と第1固定部品23の平坦部23aの平坦面23a1とで保持される。電池パック10の外形において互いに反対側にある2つの円弧状の部分は、第1固定部品23の2つの屈曲部23bの屈曲面23b1で両側から支持される。第1固定部品23の平坦面23a1および屈曲面23b1には、クッション材26及びフィルム27が配置され、フィルム27と電池パック10の熱収縮チューブ19とが当接する。
【0031】
また、クッション材26は、載置面24や第1固定部品23の平坦部23aの平坦面23a1に対して電池パック10から加わる力や、収容ケース1全体の振動に起因して生じる電池パック10の振動に対して弾性体として機能する。これは、電池パック10が収容部20の中で移動することの抑止に大きく貢献する。同様に、クッション材26は、2つの屈曲部23bの屈曲面23b1の間に電池パック10から加わる力や、電池パック10の振動に対しても弾性体として機能し、電池パック10が収容部20の中で移動することの抑止に大きく貢献する。
【0032】
図12に、一実施形態の収容ケース1のブラケット30の一部の斜視図を示す。ブラケット30は、側壁面35(
図1,
図2に示す)と、第2固定部品33と、第2固定部品33を側壁面35に設置するための固定部32とを含む。
図12の実施形態では、固定部32には、3つの第2固定部品33が配置されている。
【0033】
図13は、ブラケット30の第2固定部品33の拡大図である。第2固定部品33は、固定部32から立ち上がるリブ状の形状を有する。このリブ状の部分は、載置面24に対して略平行に延在する平坦部33aの平坦面33a1を構成する。平坦面33a1と固定部32との間には接続部33cが配置されている。平坦部33aは接続部33cにより固定部32に支持されている。リブ状の平坦部33aの長さ方向33Xは、当該第2固定部品33が設置される側壁面35と平行に向いている。
【0034】
平坦部33aの両端近傍には接続部33cが配置されておらず、それら両端近傍のそれぞれから延伸する2つの屈曲部33bが配置されている。2つの屈曲部33bは、平坦部33aから載置面24へ向かう方向に屈曲している。2つの屈曲部33bは、平坦部33aに対して対称形となるように構成される。
【0035】
固定部32と第2固定部品33、すなわち、接続部33c、平坦部33a、および屈曲部33bは、一体化されていることが好ましい。これらは、固定部32から、接続部33c、平坦部33aを経由して、屈曲部33bまで連続して延在し、その全体が同一材料で構成され得る。
【0036】
図14に第2固定部品33の正面図を示す。第2固定部品33は、
図8に正面図が示された第1固定部品23と同一の形状を有することが好ましい。平坦部33aは長さL1の平坦面33a1を有し、接続部33cは、それぞれの屈曲部33bから延伸部L2の余裕をもって、すなわち(L1-2×L2)の長さで側面22と平坦部33aとを接続する。屈曲部33bはそれぞれ長さL3の2つの屈曲面33b1を有する。2つの屈曲面33b1の各々は平坦面33a1に対して角度θをなし、平坦面33a1から載置面24に向かって延在する。2つの屈曲面33b1は平坦面33a1を挟んで互いに対称でありハの字形状を構成する。例えば、電池パック10の外形に個々の円筒形の電池11の形状が反映されて円弧状の形状を有するとき、この角度θは屈曲面23b1が円弧の接線となる概ね45度とすることが好ましい。また、電池パック10の外形が直方体形状であるときは、角度θは90度とすることが好ましい。このように、角度θは45度から90度までの範囲で電池パック10の形状に応じて調整し得る。
【0037】
図15は、ブラケット30を載置面24側からみた斜視図である。ブラケット30は、固定部32に接続されて、第2固定部品33の平坦部33aに対して概ね直交する方向に立ち上がる塀状の側壁面35をさらに含む。この側壁面35は、固定部32の一端から他端まで延在し、概ね固定部32と同じ長さを有する。側壁面35は、収容部20の側面22に対し略平行に延在する。
【0038】
電池パック10は、その第3方向Cの両側が、載置面24と第2固定部品33の平坦面33a1とによっても保持される。電池パック10の外形の2つの円弧状の部分(
図11において符号11a、11bで示す部分)は、第2固定部品33の2つの屈曲面33b1で両側から支持される。第2固定部品33の平坦面33a1および屈曲面33b1には、クッション材36が配置され電池パック10の熱収縮チューブ19と当接している。
【0039】
また、クッション材36は、載置面24と平坦面33a1との間に電池パック10から加わる力や、収容ケース1全体の振動に起因する電池パック10の振動に対して弾性体として機能し、電池パック10の収容部20の中での移動の抑止に大きく貢献する。同様に、クッション材36は、2つの屈曲面33b1の間に電池パック10から加わる力や、電池パック10の振動に対して弾性体として機能し、電池パック10の収容部20の中での移動を抑止することに大きく貢献する。
【0040】
クッション材36は、さらにブラケット30の側壁面35の表面にも配置されている。電池パック10は、互いに対向するブラケット30の側壁面35と収容部20の側面22とで保持される。クッション材36は、収容部20の側面22とブラケット30の側壁面35との間に電池パック10から加わる力や、電池パック10の振動に対して弾性体として機能し、電池パック10の収容部20の中での移動を抑止することに大きく貢献する。
【0041】
図16に
図1の拡大図を示す。電池パック10が3個載置されている状態を示している。ブラケット30は電池パック10を、その第2固定部品33の平坦部33aの平坦面3a1と収容部20の載置面24とで保持し、その側壁面35と収容部20の側面22とで保持し、その第2固定部品33の2つの屈曲部33bの各々の屈曲面33b1で電池パック10を支持した状態で、収容部20の載置面24に固定手段52で固定されている。固定手段52として、例えば、ねじを用いることができる。また、リベットなどの周知の固定手段52も使用し得る。
【0042】
<一実施形態の方法>
次に、複数の電池11を組み合わせて構成された電池パック10を収容ケース1に収容する方法について説明する。
【0043】
まず、収容ケース1を構成する収容部20を準備する。この収容部20は、電池パック10を載置する載置面24と、4つの側面22、22Aと、これらの側面22、22Aのうち1対の互いに対向する側面22に設置された第1固定部品23と、を含む。この収容部20は実質的に載置面24と4つの側面22、22Aとはとは、実質的に直方体形状の収容空間45を囲むように構成される。収容空間45の一面は、収容部20の開口として、電池パック10等の収容部20への搭載物を載置するために供される。(
図6参照)。
【0044】
第1固定部品23は、収容部20の側面22に設置されており、リブ状の形状を有する。このリブ状の部分は、載置面24に対して略平行に延在する平坦部23aを構成する。第1固定部品23には、その平坦部23aの両端近傍のそれぞれから延伸する2つの屈曲部23bが配置されている。2つの屈曲部23bは、平坦部23aから載置面24へ向かう方向に屈曲している(
図7参照)。
【0045】
また、第1固定部品23の、載置面24と対向する側の面にはクッション材26が貼付されている。クッション材26は、第1固定部品23の接続部23c、平坦部23a、および2つの屈曲部23bの全体に貼付されている。このクッション材26には、その表面の滑り特性を良好するフィルム27がさらに貼付されている(
図9、
図10参照)。
【0046】
次に、収容ケース1を構成するブラケット30を準備する。ブラケット30は、固定部32と第2固定部品33と固定部32に接続された塀状の側壁面35とを含む。第2固定部品33は、側壁面35に対して概ね直交するリブ状の形状を有する。このリブ状の部分は、載置面24に対して略平行に延在する第2固定部品33の平坦部33aを構成する。第2固定部品33には、その平坦部33aの両端近傍のそれぞれから延伸する2つの屈曲部33bが配置されている。2つの屈曲部33bは、平坦部33aから載置面24へ向かう方向に屈曲している(
図12参照)。
【0047】
また、第2固定部品33の、載置面24と対向する側の面にはクッション材36が貼付されている。クッション材36は、第1固定部品23の接続部23c、平坦部23a、および2つの屈曲部33bの全体に貼付されている。さらに、側壁面35の表面にもクッション材36が貼付されている。(
図15参照)。
【0048】
続いて、電池パック10を収容部20の載置面24に載置する手順を、
図18を参照して説明する。まず、電池パック10をその第1方向Aが載置面24に対して斜めとなる状態で、電池パック10を収容部20の開口から収容部20の内部に入れて、電池パック10の底面10aの一端を載置面24に接触させる。その状態で、電池パック10の両端の円弧形状部分11a、11bと、第1固定部品23の両端近傍の屈曲部23bのそれぞれと、の位置合わせを大まかに行いながら、電池パック10の表面10bを第1固定部品23の表面に貼付されたフィルム27(
図11参照)に当接させる。
【0049】
次に、電池パック10の側面10dを矢印bの方向へ移動させることで、電池パック10の表面10bがフィルム27に当接した当接部10cを支点として電池パック10を回動させながら矢印aの方向へ押し込むことで、電池パック10を第1固定部品23と載置面24との間に挿入する。このとき、電池パック10は、滑り特性が良好なフィルム27と当接しており、その表面上で電池パック10が滑りながら挿入される。そのため、フィルム27と第1固定部品23との間にあるクッション材26に、挿入方向への応力による無用な変形を生じるさせることなく円滑に電池パック10を挿入することができる。
【0050】
続いて、ブラケット30を収容部20の載置面24に固定する手順を説明する。まず、ブラケット30を電池パック10上に仮置きする。このとき、第2固定部品33の2つの屈曲部33bの屈曲面33b1および電池パック10の両端の円弧形状部分がそれぞれ接触すると共に、第2固定部品33の平坦部33aの平坦面33a1が電池パック10の表面10bに接触し、さらに、ブラケット30の側壁面35が、電池パック10の側面10d接触するように仮置きする。
【0051】
この仮置きの状態から、ブラケット30の側壁面35で電池パック10の側面10dを収容部20の側面22に向かって押圧して電池パック10を収容部20の側面22に当接させる。さらに、ブラケット30を載置面24の方向へ押圧することで、第2固定部品33の平坦部33aの平坦面33a1および第2固定部品33の2つの屈曲部33bの屈曲面33b1により電池パック10を載置面24に押し付ける。このように、電池パック10を収容部20の側面22に当接させると共に載置面24に押し付けた状態で、ブラケット30を載置面24に固定手段52を用いて固定する。固定手段52としては、ビスによる螺合とすることができる。
【0052】
以上説明した収容ケース1に電池パック10を収容する方法について説明したが、ここで説明した方法により、電池パック10と電池パック10を収容する収容ケース1とを備える電池ユニットを製造することができる。よって、このような構成の電池ユニットの製造方法として用いることができる。。
【符号の説明】
【0053】
1 収容ケース
10 電池パック
10a 底面
10b 表面
10c 当接部
10d 側面
10 電池パック
11 電池
12 リード板
13 リード電極
14 リード板
16 絶縁シート
17 絶縁板
18 ハーネス
19 熱収縮チューブ
20 収容部
22 側面
23 第1固定部品
23a 平坦部
23a1 平坦面
23b 屈曲部
23b1 屈曲面
23c 接続部
24 載置面
26 クッション材
27 フィルム
30 ブラケット
32 固定部
33 第2固定部品
33a 平坦部
33a1 平坦面
33b 屈曲部
33b1 屈曲面
33c 接続部
35 側壁面
36 クッション材
40 蓋板
42 溶接部
45 収容空間
50 制御回路
52 固定手段
L1 平坦面長さ
L2 延伸部
L3 屈曲面長さ
θ 角度