(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】バルブ組立体上のアクチュエータを動作させる2つの空気圧信号の生成
(51)【国際特許分類】
F16K 31/12 20060101AFI20240611BHJP
F16K 31/42 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F16K31/12
F16K31/42
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018138947
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-04-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-24
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502122473
【氏名又は名称】ドレッサ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Dresser,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド・ジョージ・ワッツ
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】関口 哲生
【審判官】米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/025302(WO,A1)
【文献】特表2018-523069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K31/12-31/165
F16K31/36-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座(112)に対して移動可能な閉鎖部材(110)を備えるバルブ(106)と、
前記閉鎖部材(110)を移動させるように前記バルブ(106)に結合されているアクチュエータ(104)と、
第1の空気出力部(146)および第2の空気出力部(148)を介して前記アクチュエータ(104)に空気的に結合され、前記第1の空気出力部(146)および前記第2の空気出力部(148)の一方が前記アクチュエータ(104)に直接結合する、コントローラ(100)と、
を備え、
前記コントローラ(100)は、
前記閉鎖部材(110)の所望の位置に対応する電子制御信号を空気入力信号に変換する信号変換器(142)と、
前記空気入力信号に応じて、単一の空気入力を第1の空気出力信号(134)および第2の空気出力信号(136)に変換するように構成される空気増幅器(144)であって、前記第1の空気出力信号(134)および前記第2の空気出力信号(136)が前記第1の空気出力部(146)および前記第2の空気出力部(148)にそれぞれ向けられる空気増幅器(144)と、
前記第1の空気出力部(146)と前記第2の空気出力部(148)の他方の下流でかつ前記アクチュエータ(104)の上流で結合されるボリウムブースタ(152)と、を備えるバルブ組立体(102)。
【請求項2】
前記
空気増幅器(144)は、前記空気入力信号に応じて、進入する媒介空気から前記第1の空気出力信号(134)および前記第2の空気出力信号(136)を独立して生成するように構成される流量変更構造(150)であって、前記第1の空気出力信号(134)および前記第2の空気出力信号(136)が前記コントローラ(100)から前記第1の空気出力部(146)および前記第2の空気出力部(148)をそれぞれ介して流れる流量変更構造(150)を備える、請求項1記載のバルブ組立体(102)。
【請求項3】
前記流量変更構造(150)は一対の空気リレーとして機能し、当該空気リレーの各々が前記第1の空気出力部(146)および前記第2の空気出力部(148)にそれぞれ結合される、請求項2記載のバルブ組立体(102)。
【請求項4】
前記第1の空気出力信号(134)および前記第2の空気出力信号(136)は、同じ圧力である、請求項2又は3記載のバルブ組立体(102)。
【請求項5】
前記流量変更構造(150)は、第1の圧力にある前記空気入力信号を使用して、進入する媒介空気を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力にある一対の空気出力信号(134、136)に変換するように構成されている、請求項2から4のいずれか1項記載のバルブ組立体(102)。
【請求項6】
前記流量変更構造(150)は、第1の圧力にある前記空気入力信号を使用して、進入する媒介空気を前記第1の圧力に比例する第2の圧力にある一対の空気出力信号(134、136)に変換するように構成されている、請求項2から4のいずれか1項記載のバルブ組立体(102)。
【請求項7】
前記第2の圧力は、前記一対の空気出力信号(134、136)の両方について同じである、請求項5又は6記載のバルブ組立体(102)。
【請求項8】
前記ボリウムブースタ(152)は所定の圧力を維持しつつ前記アクチュエータ(104)への空気の流量を増加させるように構成されている、請求項1から7のいずれか1項記載のバルブ組立体(102)。
【請求項9】
バルブの閉鎖部材(110)の所望の位置に対応する電子制御信号を空気入力信号に変換するように構成された信号変換器(142)と、
前記信号変換器(142)に空気的に結合された空気増幅器(144)と、
前記空気増幅器(144)に結合される一対の出力ポート(146、148)と、
一対の独立した空気出力信号(134、136)のうちの一つを受け取るように前記空気増幅器(144)の下流に結合されたボリウムブースタ(152)と、を備え、
前記空気増幅器(144)は、前記信号変換器(142)からの前記空気入力信号を使用して、進入する媒介空気を前記一対の独立した空気出力信号(134、136)に変換し、当該空気出力信号(134、136)のうちの各々が前記一対の出力ポート(146、148)にそれぞれ流れるように構成されているバルブポジショナ(100)。
【請求項10】
前記空気増幅器(144)は、前記空気入力信号に応じて、進入する媒介空気から第1の空気圧信号(134)および第2の空気圧信号(136)を独立して生成するように構成される流量変更構造(150)であって、前記第1の空気圧信号(134)および前記第2の空気圧信号(136)が前記一対の出力ポート(146、148)からそれぞれ流れる流量変更構造(150)を備える、請求項9記載のバルブポジショナ(100)。
【請求項11】
前記流量変更構造(150)は、前記空気入力信号および前記進入する媒介空気を受け取る一対の空気リレーとして機能する、請求項10記載のバルブポジショナ(100)。
【請求項12】
前記信号変換器(142)に結合された主ボード(156)をさらに備え、前記主ボード(156)は、制御信号に応答して前記信号変換器(142)を動作させるように電流を生成するように構成されている、請求項9から11のいずれか1項記載のバルブポジショナ(100)。
【請求項13】
バルブの閉鎖部材の所望の位置に対応する電子制御信号を受信するステップと、
前記電子制御信号に応答して空気入力信号を生成するステップと、
空気増幅器によって、前記空気入力信号を使用して、媒介空気を一対の空気出力信号に変換するステップと、
前記一対の空気出力信号を使用して、前記バルブを移動させるようにアクチュエータを動作させるステップと、
前記一対の空気出力信号のうちの1つをボリウムブースタを通して流して前記アクチュエータの上流の圧力を増加するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ組立体およびバルブポジショナに関する。
【背景技術】
【0002】
流量調整は、多くの産業で重要である。プロセスライン、ガス分配ネットワーク、または流動物質を移送する任意の系統のいずれで見られるものであっても、バルブ組立体などの流量装置が、設定パラメータ内で物質の流れを調節するのに不可欠である。あるいは、問題がある場合、バルブ組立体は、流れを完全に遮断することができる。
【0003】
バルブ組立体は、機械機構を利用してこの流れを調節することができる。バルブ組立体の場合、これらの機構は、ステムを介して閉鎖部材に結合する空気式のようなアクチュエータを含むことができる。閉鎖部材には、プラグ、ボール、バタフライバルブ、および/または流れを妨げるために台座に接触できる器具などが含まれ得る。検出機構は、台座に対する閉鎖部材の位置を監視するのに役立ち得る。この検出機構は、位置センサと、閉鎖部材と協働して移動するステムまたは他の構造に位置センサを結合する機械的リンク機構とを有し得る。いくつかの例では、アクチュエータには、エネルギー(例えば、圧縮空気)を機械的運動に変換して閉鎖部材を開位置、半開き位置、および閉位置の間で移動させる空気式アクチュエータが含まれる。
【0004】
バルブ組立体は、装置の動作を自動化する計算処理コンポーネントも備えることができる。これらの計算処理コンポーネントは、コントローラまたは「バルブポジショナ」の一部として統合されてもよい。動作中、コントローラは、プロセス制御システム(「分散制御システム」または「DCSシステム」も同様)から制御信号を受信し処理する。制御信号は、バルブ組立体のための動作パラメータを定めることができる。これらの動作パラメータは、バルブ組立体を通じてプロセスラインに入る物質の適切な流れを設定することができる。コントローラは、しばしば位置センサからの出力と組み合わせて、動作パラメータを変換して、アクチュエータに入る媒介ガス(instrument gas)を調節することができる。媒介ガスは、バルブステムを移動して動作パラメータと一致するように閉鎖部材を台座に対して所定位置に置くようにアクチュエータへの圧力をかける(または圧力を下げる)ことができる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される主題は、バルブ組立体の性能を高める改善に関する。特に関心があることは、アクチュエータがより迅速にまたはより良い応答時間でバルブを開閉するように動作するようバルブ組立体を装備することができるコントローラの実施形態である。上記実施形態は、単一の空気圧信号を使用して媒介空気(instrument air)を一対の空気出力信号に変換することができ、この一対の空気出力信号の少なくとも一方は、アクチュエータに圧力をかけるアクチュエータに直接流れることに注目されたい。他方は、アクチュエータの上流に見られるボリウムブースタへ流れることができる。提案されるこの「デュアルポート」設計は、バルブ組立体上のアクチュエータを動作させるために、異なるパラメータ(例えば、流量、圧力など)を有する異なる空気圧信号を供給するように独立した圧力制御を行う。
【0006】
次に、添付図面の参照を簡単に行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】バルブ組立体などの流量装置を動作させるのに使用されるコントローラの例示的な実施形態の概略ブロック図である。
【
図2】
図1のコントローラのための構造の一例の概略ブロック図である。
【
図3】バルブ組立体を制御するシステムの一部としての
図2のコントローラの概略ブロック図である。
【
図4】分解形態における
図1のコントローラのための構造の一例の斜視図である。
【
図5】
図4のコントローラを備えるバルブ組立体のための構造の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
該当する場合、同じ参照符号は、いくつかの図の全体にわたって同一または対応する構成要素およびユニットを示しており、これらの図は、特に断りがない限り、原寸に比例していない。本明細書に開示された実施形態は、いくつかの図のうちの1つまたは複数の図、あるいはこのいくつかの図の組み合わせに現れる要素を含み得る。また、方法は、例示的なものにすぎず、例えば、個々の段階の順序変更、追加、除去、および/または変更を行うことによって修正されてもよい。
【0009】
以下の詳解は、流量装置および流体制御で使用するコントローラの実施形態を説明する。このコントローラは、バルブ組立体と共に動作することが示されているが、概念は、他の流体調節装置(例えば、圧力調節器)、特に、作動用に流体を利用する流体調節装置に及び得る。実施形態は、ボリウムブースタ、または同様の圧力増加装置と協働するように構成され得る。以下により説明されるように、これらの構成は、ボリウムブースタを手動で調整する必要をなくすことができる。「デュアルポート」設計は、使用を妨げ得る何らかの遅延および性能の不確かさなどのボリウムブースタが導入し得る異常を、または較正ソフトウェアによってコントローラが実現できる自動調整機能の故障さえも、正すこともできる。
【0010】
図1は、これらの改善を実現するためのコントローラ100の例示的な実施形態を概略的に示す。コントローラ100は、数字102で全体的に特定されるとともに本明細書では「バルブ組立体」として説明される流量装置の一部として示される。この点で、バルブ組立体102は、作動要素108(または、バルブ組立体については、「バルブステム108」)を介してバルブ106に結合するアクチュエータ104を備えることができる。バルブ106は、台座112に対して移動することができる閉鎖部材110を備えることができる。バルブ組立体102は、物質118を移送するための導管116を備えるプロセスライン114に組み入れることができる。プロセス制御システム120は、バルブ組立体102などのプロセスライン114上の流量装置に結合することができる。プロセス制御システム120は、1つまたは複数の信号(例えば、制御信号124および電力信号126)を供給する主制御ループ122で構成することができる。この構成は、流体入力130、典型的には媒介空気を供給する流体供給部128を備えることもできる。やはり示されるように、コントローラ100は、媒介ガス130を一対の空気圧信号(例えば、第1の空気圧信号134および第2の空気圧信号136)に変調するように構成することができる空気出力装置132を備えることができる。空気出力装置132は、場合によってはアクチュエータ104の上流の位置において、補助的空気制御部138に結合することができる。補助的空気制御部138は、媒介ガス130を変調して第3の空気圧信号140(または「ブースト信号140」)を生成することができる。
【0011】
広くは、空気出力装置132の使用により、バルブ組立体102の性能を改善するためにコントローラ100を装備する。空気出力装置132の「デュアルポート」設計に作用する装置は、補助的空気制御部138を動作させるために信号134、136のうちの1つを有効に供給するとともに、独立に、信号134、136のうちの1つをアクチュエータ104に供給することができる。この構成は、アクチュエータ104の独立した圧力制御をもたらす。この機能は、ブースト信号140を生成するのに制御部138に必要な圧力差の構築に相関関係がある動作上の「デッドバンド」から生じ得る制御および応答時間の乱れを防ぐことができる。この設計は、これらのデッドバンドが分かるような経験と時間を必要とする手動調整に頼るのを減らすこともできる。加えて、この設計は、補助的空気制御部138による遅延および他の動作上の不確かさを隠すことができて、バルブ組立体102の動作を自動調整する較正ソフトウェアの適切な使用によってプロセスライン114上のプロセス特性の変動を許容することを可能にする。
【0012】
図2は、デュアルポート設計を実施するコントローラ100についての例示的な構造の概略図を示す。空気出力装置132は、増幅器144に結合する信号変換器142を備えることができる。一実施では、増幅器144は、一対の出力ポート(例えば、第1の出力ポート146および第2の出力ポート148)を備えることができる。ポート146、148は、信号134、136を生成することができる増幅器144の内部の流量変更構造150と対応し得る。補助的空気制御部138は、ボリウムブースタ152とバイパス154とを備えるように構成することができる。ボリウムブースタ152は、定圧流量増幅器に類似し得るものであり、これは、ライン制御圧力を維持しつつアクチュエータ104への空気の流量を増加させる。バイパス154は、安定のためのゲイン調整として働くのに役立つ。やはり図示されるように、コントローラ100は、信号変換器146に結合する中央または主ボード156を備えることができる。主ボード156は、必要に応じて、いくらかの周辺制御(例えば、プッシュボタン入力装置158およびディスプレイ160)に結合することもできる。電源162は、主ボード156またはコントローラ100の他の部分に通電するために電気信号(例えば、電流、電圧など)を供給することができる。コントローラ100は、コントローラ100を主制御ループ122および媒介空気供給部128に結合することができる信号インターフェース164からの利益を得ることもできる。内部には、空気バス166および電気バス168は、コントローラ100の構成要素間で空気信号および電気信号を伝えるのに役立ち得る。空気バス166は、導管またはチュービングを備えることができるが、同様に一体型マニホールドが使用されてもよい。電気バス168の例は、SPI、I
2C、UNI/O、1-Wire、またはこれを書いている時点またはこの後明らかにする時点で知られている1つまたは複数のシリアルコンピュータバスなどの標準的なまたは特許を有する通信バスを利用し得る。
【0013】
図3は、
図2のコントローラ100の動作に一致する電気信号と空気圧信号の両方についての信号パターンを示す。左から右に移動するとき、電気バス168は、信号124、126をそれぞれ主ボード156および電源162に向けることができる。主制御ループ122は、産業オートメーションの環境に用いられるように構成することができる。これらの構成は、例えば、4~20ミリアンペアのFoundationフィールドバス、またはプロフィバスのようなプロトコルを用いることができ、これらは、バルブ組立体102に(制御信号124を介して)制御を与えるとともに(電力信号126を介して)電力を与えるのに役立つ。主制御ループ電源122から利用できる電力は、約40ミリワットであり得る。一実施では、電源162は、コントローラ100の全電気コンポーネントのための適切な直流電圧レールを発生させることができる。
【0014】
主ボード156は、コントローラ100上のファンクションおよび動作機能を扱うように構成することができる。これらの構成は、しばしば基板(例えば、プリント回路ボード)上に存在する1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えることができるトポロジーを用いる計算処理回路を含み得る。この計算処理回路は、動作を実行するのに必要な処理部およびメモリが完全に一体化されているマイクロコントローラで構成することができる。実行可能な命令は、いくらかのファンクションを実行するためのプロセッサを構成するコンピュータプログラム(例えば、ファームウェア、ソフトウェアなど)の形態でメモリ上に存在し得る。使用時、主ボード156は、制御信号124を処理して、閉鎖部材110の適切な位置に対応する、典型的には電流である入力信号Isを生成することができる。電流空気(I/P)変換器などの信号変換器146は、入力信号Isを比例空気圧力出力Ps(「信号圧Ps」または「パイロット圧Ps」も同様)に変換することができる。しかしながら、信号圧Psは、アクチュエータ104に適切に通電するには不十分である流れのパラメータ(例えば、流量、圧力など)を示すのが一般的である。
【0015】
増幅器144の流量変更構造150は、この欠点を直すように構成され得る。これらの構成は、構成要素(例えば、絞り、バルブなど)を例えば、媒介空気用入力130、信号圧用入力Ps、およびデュアルポート146、148を有する単一または単体のパッケージに組み込むことができる。まとめて、構成要素は、互いに組み合わされると、異なるパラメータ(例えば、異なる流量、異なる圧力など)を示す別々の空気圧信号134、136を独立して生成することができる空気リレーおよび同様の装置に類似し得る。一実施では、この構造は、信号圧Psに応答して移動する1つまたは複数の絞りに作用することができる。この絞りは、媒介空気130を変調してポート146、148から出る空気圧信号134、136を生成するように内部バルブ(またはバルブ)を動作させることができる。空気圧信号134、136は、平衡状態で信号圧Psに比例するパラメータを有することができる。内部構成要素のサイジングおよび流量変更構造150の流量係数(CV)は、空気圧信号134、136用のパラメータに影響を及ぼし得る。例えば、流量変更構造150は、第1の空気圧信号134の圧力および流量が第2の空気圧信号136の圧力および流量よりも大きいように比較的小さい信号圧Psを変換することができる。このやり方で、第1のポート146は、閉鎖部材110のより高速な応答のための要求を満たすようにより大きい容量の流量(例えば、第1の空気圧信号134)を供給することができる。第2のポート148は、例えば、閉鎖部材110の小さい移動または比較的低速の応答が必要であるときに、アクチュエータ102の微調整のために小さい容量の流量(例えば、第2の空気圧信号136)を供給することができる。
【0016】
ボリウムブースタ152は、バルブ組立体102に対する性能要求を満たすように構成することができる。好ましくは、ブースト信号140は、第1の空気圧信号134の圧力および流量よりも(およびまた第2の空気圧信号136の圧力および流量よりも)大きい圧力および流量にある。この特徴は、増幅器144および流量変更構造150単独の能力よりも勝り得る、(緊急遮断などの)閉鎖部材110のより高い圧力の流れまたはより高速の応答を要求し得るバルブ組立体102の動作に対処するのに役立つ。一実施では、流量変更構造150は、第1の空気圧信号134の圧力をとても迅速に発生させるために小さい閉じた体積を備えることができる。一致して、ボリウムブースタ152は、必要に応じて、アクチュエータ104に、大容量の空気(例えば、ブースト信号140)を迅速に加圧および印加することができる。流量変更構造150は、例えば、アクチュエータ104の移動と協働して第2の空気圧信号136の圧力をより低速で発生させることができる。
【0017】
バイパス154は、ボリウムブースタ152の使用と共に、安定のためにゲイン調整として働くように構成することができる。これらの構成は、入口および出口がボリウムブースタ152のそれぞれ上流および下流で見られる流路(例えば、パイプ、導管、チューブなど)を備えることができる。バイパス154は、ボリウムブースタ152の体積ブーストファンクションを起動することなく入口から出口まで移動する小容量の空気を変えるために調整部(例えば、ねじ、バルブなど)を備えることができる。この機能は、過大の容量により生じ得るバルブ位置のオーバーシュートを防ぐためにボリウムブースタ152の感度を調節することができる。本明細書に示されるように、流量変更構造150は、流量がボリウムブースタ152を動作させるのに十分であるまで(始動時または初期設定時に)優勢であり得る「デッドバンド」の問題を防ぐために、バイパス154に頼るのを減らすことができる。いくらかの実施は、バイパス154の必要性を完全になしで済ませる、したがってこれらのデッドバンドの問題をなくすように、流量変更構造150を構成することができる。例えば、ボリウムブースタ152が、とても大きい容量の必要性と微調整用の第2の空気圧信号136の使用の必要性を満たすように第1の空気圧信号134を構成することは役立ち得る。このようにしてデッドバンドをなくすことによって、ボリウムブースタ152は、最も迅速な応答を可能にさせ得る。
【0018】
図4は、分解形態におけるコントローラ100のための例示的な構造の斜視図を示す。コントローラ100は、典型的には機械加工または形成された金属、プラスチック、または複合材料のマニホールド本体172を有するマニホールド170を備えることができる。マニホールド本体172は、マニホールド170の構成要素間に流体を向けるように流れの特徴(例えば、開口、流路など)を備えることができる。離れている装置174は、信号変換器146および増幅器148をマニホールド本体172に取り付けるように働くことができる。コントローラ100は、中央ハウジング176およびカバー(例えば、第1のカバー178および第2のカバー180)として全体的に示されるエンクロージャを有することもできる。カバー178、180は、バルブ組立体102の周囲の環境に広がる状態から調整構成要素を保護するために中央ハウジング176に固定することができる。プッシュボタン入力装置158およびディスプレイ160は、第1のカバー178上に存在することができる。プッシュボタン装置158は、エンドユーザ(例えば、技師)がコントローラ100と交信することを可能にするように、主ローカルユーザインターフェースとして働くことができる。この機能は、例えば、較正、設定、およびモニタリングなどのファンクションを手動で実行するためエンドユーザがメニュー構造によってバルブ動作モードおよびステップから抜け出ることを可能にするために、定期的なメンテナンス、設定、およびセットアップにとって重要であり得る。ディスプレイ160は、制御信号、バルブ位置、またはアクチュエータ圧力の値を読むために使用される典型的にはアルファベットと数字を組み合わせられたLCDディスプレイまたは同様の装置により具体化され得る。一実施では、コントローラ100は、コントローラ100がバルブ組立体102内のバルブを動作させるために使用する流体の流れの状態(例えば、圧力、流量など)の指標を与えることができる1つまたは複数のゲージ(例えば、第1のゲージ182および第2のゲージ184)をさらに備えることができる。
【0019】
図5は、バルブ組立体102についての例示的な構造の斜視図を示す。この構造は、化学製品製造、精製製品製造、および資源抽出に向けられている産業に典型的な産業プロセスラインにおけるプロセス流体を調節するのに役立ち得る。図示されているように、バルブ組立体102は、開口端(例えば、第1の開口端192および第2の開口端194)を有する流路190を形成する本体188と共に流体継手186を備えることができる。閉鎖部材110および台座112のようなバルブ構成要素は、本体188の内部に存在し現在の図では隠され得る。アクチュエータ104は、周辺部のまわりの絞り(図示せず)を穴に入れるように縁部のあたりを締める、典型的には2つの部品と共に丸く膨らんだハウジング196を備えることができる。本明細書に示されるように、アクチュエータは、しばしば、加圧空気を機械的運動に変え、この機械的運動によって、例えば、開位置、半開き位置、および閉位置の間で閉鎖部材110を台座112に対して移動させる。
図5には示されていないが、検出機構は、閉鎖部材110の位置を監視するために使用することができる。この検出機構は、位置センサと、閉鎖部材110と協働して移動するバルブステム108または他の構造に位置センサを結合する機械的リンク機構とを有することができる。
【0020】
本明細書は、例を用いて、最良の形態を含めて本発明を開示するとともに、任意の装置またはシステムを製造および使用し、任意の組み込まれた方法を実施するなど、当業者が本発明を実施することも可能にする。単数で挙げられるおよび単語「a」または「an」に続く要素または機能は、除外が明確に示されていない限り、複数の前記要素または機能を除外しないと理解されたい。権利主張される本発明の「一実施形態」の参照は、挙げられた特徴をやはり組み込む追加の実施形態の存在を除外するものと解釈されるべきではない。さらに、特許請求の範囲は、実際、本発明の特許性のある範囲を定めるいくつかの例である。この範囲は、当業者が想到する他の例を含むとともに想定し得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言とは異ならない構造的な要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言とは違いがわずかである同等な構造的な要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0021】
いくつかの要素および句を含む例が以下に出現するが、他の要素および句と組み合わせられ得るこの要素および句のうちの1つまたは複数は、本開示の範囲および要旨の範囲内で考えられる実施形態を説明する。
【0022】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
台座(112)に対して移動可能な閉鎖部材(110)を備えるバルブ(106)と、
前記閉鎖部材(110)を移動させるように前記バルブ(106)に結合されているアクチュエータ(104)と、
第1の空気出力部(146)および第2の空気出力部(148)を介して前記アクチュエータ(104)に空気的に結合され、その一方が前記アクチュエータ(104)に直接結合するコントローラ(100)と
を備えるバルブ組立体(102)。
[実施態様2]
前記第1の出力部(146)と前記第2の出力部(148)の一方の下流でかつ前記アクチュエータ(104)の上流で結合されるボリウムブースタ(152)
をさらに備える、実施態様1記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様3]
前記コントローラ(100)は、単一の空気入力が第1の空気出力信号(134)および第2の空気出力信号(136)に変換するように構成される空気増幅器(144)であって、それぞれ各1つが前記第1の空気出力部(146)および前記第2の空気出力部(148)に向けられる空気増幅器(144)を備える、実施態様1記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様4]
前記コントローラ(100)は一対の空気リレーを備え、それぞれ各1つが前記第1の空気出力部および前記第2の空気出力部に結合される、実施態様1記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様5]
前記コントローラ(100)は、進入する媒介空気から第1の空気圧信号(134)および第2の空気圧信号(136)を独立して生成するように構成される流量変更構造(150)であって、それぞれ各1つが前記コントローラ(100)から前記第1の空気出力部(146)および前記第2の空気出力部(148)を介して流れる流量変更構造(150)を備える、実施態様1記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様6]
前記第1の空気圧信号(134)および前記第2の空気圧信号(136)は、同じ圧力である、実施態様5記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様7]
前記コントローラ(100)は、第1の圧力にある空気入力信号を使用して、進入する媒介空気を前記第1の圧力よりも高い第2の圧力にある一対の空気出力信号(134、136)に変換するように構成されている流量変更構造(150)を備える、実施態様1記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様8]
前記第2の圧力は、前記空気出力信号(134、136)の両方について同じである、実施態様7記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様9]
前記コントローラ(100)は、第1の圧力にある空気入力信号を使用して、進入する媒介空気を前記第1の圧力に比例する第2の圧力にある一対の空気出力信号(134、136)に変換するように構成されている流量変更構造(150)を備える、実施態様1記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様10]
前記第2の圧力は、前記空気出力信号(134、136)の両方について同じである、実施態様9記載のバルブ組立体(102)。
[実施態様11]
信号変換器(142)と、
前記信号変換器(142)に空気的に結合される流量変更構造(150)と、
前記流量変更構造(150)に結合される一対の出力ポート(146、148)と
を備えたバルブポジショナ(100)であって、
前記流量変更構造(150)は、前記信号変換器(142)からの空気入力信号を使用して、進入する媒介空気を一対の独立した空気出力信号(134、136)に変換し、各1つが前記一対の出力ポート(146、148)に流れるように構成されているバルブポジショナ(100)。
[実施態様12]
前記流量変更構造(150)は、前記空気入力信号および前記進入する媒介空気を受け取る一対の空気リレーを備える、実施態様11記載のバルブポジショナ(100)。
[実施態様13]
前記一対の独立した空気出力信号(134、136)の一方を受け取るように前記流量変更構造(150)の下流に結合されたボリウムブースタ(152)
をさらに備える、実施態様11記載のバルブポジショナ(100)。
[実施態様14]
前記信号変換器(142)に結合された主ボード(156)をさらに備え、前記主ボード(156)は、制御信号に応答して前記信号変換器(142)を動作させるように電流を生成するように構成されている
実施態様11記載のバルブポジショナ(100)。
[実施態様15]
前記一対の独立した空気出力信号(134、136)は、前記空気入力信号の前記圧力よりも比例的に高い圧力で前記一対の出力ポート(146、148)から出る、実施態様11記載のバルブポジショナ(100)。
[実施態様16]
前記一対の独立した空気出力信号(134、136)は、同じ圧力で前記一対の出力ポート(146、148)から出る、実施態様11記載のバルブポジショナ(100)。
[実施態様17]
電子制御信号を受信するステップと、
前記電子制御信号に応答して空気入力信号を生成するステップと、
前記空気入力信号を使用して、媒介空気を一対の空気出力信号(134、136)に変換するステップと、
前記一対の空気出力信号(134、136)を使用して、バルブ(106)を移動させるようにアクチュエータ(104)を動作させるステップと
を含む方法。
[実施態様18]
前記アクチュエータ(104)の上流で前記一対の空気出力信号(134、136)の一方の圧力を増加させるステップ
をさらに含む、実施態様17記載の方法。
[実施態様19]
前記空気入力信号は第1の圧力であるとともに、前記一対の空気出力信号(134、136)は、前記第1の圧力よりも比例的に高い第2の圧力である、実施態様17記載の方法。
[実施態様20]
前記一対の空気出力信号(134、136)は、同じ圧力である、実施態様17記載の方法。
【符号の説明】
【0023】
100 コントローラ
102 流量装置
104 アクチュエータ
106 バルブ
108 作動要素
110 閉鎖部材
112 台座
114 プロセスライン
116 導管
118 物質
120 プロセスシステム
122 主制御ループ
124 制御信号
126 電力信号
128 流体供給部
130 流体入力
132 空気出力装置
134 第1の空気圧信号
136 第2の空気圧信号
138 補助的空気制御部
140 第3の空気圧信号
142 信号変換器
144 増幅器
146 第1の出力ポート
148 第2の出力ポート
150 流量変更構造
152 ボリウムブースタ
154 バイパス
156 主ボード
158 プッシュボタン入力装置
160 ディスプレイ
162 電源
164 信号インターフェース
166 導管
168 バス
170 マニホールド
172 マニホールド本体
174 離れている装置
176 中央ハウジング
178 カバー
180 カバー
182 第1のゲージ
184 第2のゲージ
186 流体継手
188 本体
190 流路
192 第1の開口端
194 第2の開口端
196 丸く膨らんだハウジング