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▶ ヒルシュベルク エンジニアリング アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】接触装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/32 20060101AFI20240611BHJP
   B01D 3/26 20060101ALI20240611BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240611BHJP
   B01J 10/00 20060101ALI20240611BHJP
   F28F 13/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B01J19/32
B01D3/26 A
B01D53/18 130
B01J10/00 102
F28F13/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018551780
(86)(22)【出願日】2017-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2017056422
(87)【国際公開番号】W WO2017167591
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】16163271.6
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519404643
【氏名又は名称】ヒルシュベルク エンジニアリング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュベルク, セバスティアン
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】長谷川 真一
【審判官】関根 裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-516745(JP,A)
【文献】特開2012-130918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0246484(US,A1)
【文献】特開昭59-46484(JP,A)
【文献】米国特許第4769186(US,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸留カラム、抽出カラム又はガススクラバーを使用することによって、第1の流体と第2の流体との接触を生成する方法であって、前記蒸留カラム、抽出カラム又はガススクラバーは少なくとも2つの流体フローを接触させるための接触装置を備え、平均直径が200マイクロメートル~1ミリメートルの、第1の流体を導くための気孔及び/又はキャピラリを有する構造体(100.0)であって、前記構造体(100.0)は、平均直径が200マイクロメートル~1ミリメートルの気孔及び/又はキャピラリを含まずに第2の流体を導く接触領域を備え、前記接触領域において前記第1の流体を前記第2の流体と接触させることができるように設計されている前記接触領域を備える、構造体(100.0)を備え、前記第2の流体のフローを遮断するために少なくとも1つのフロー遮断器(120.0)を前記接触領域(100.0)内に設け、前記フロー遮断器(120.0)が、少なくとも2つのレッジ(120.0)を備え、隣接する2つの前記レッジ(120.0)の間隔と前記レッジ(120.0)の高さとの比が1~10の範囲であり、前記構造体に前記第1の流体を分配するためのディストリビュータが前記接触装置の第1の端部において配置され、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部において、前記第1の流体を前記構造体から収集するためのコレクタが設けられており前記第2の流体が前記フロー遮断器(120.0)によって渦動せしめられ、これにより、前記第1の流体と前記第2の流体との並流接触が局所的に達成される、方法
【請求項2】
前記第2の流体が、前記レッジの方向と交差する第2の方向に流れることができることを特徴とする、請求項1に記載の方法
【請求項3】
第1の流体がフロー遮断器ユニットと交差する第1の方向に流れることができるように前記構造体(100.0)を設計し、前記フロー遮断器(120.0)を配置していることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法
【請求項4】
前記第1の方向が前記レッジの方向に対して60°~90°の角度を備えることを特徴とする、請求項3に記載の方法
【請求項5】
隣接する2つの前記レッジ(120.0)の間隔と前記レッジ(120.0)の高さとの比が3~7の範囲となることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
前記構造体(100.0)が、以下の構成
e)組織、
f)開放気孔材料、
g)キャピラリ、
h)段付き構造、
の1又は複数を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記構造体(100.0)をハニカム形状に形成し、これによって前記フロー遮断器(
120.0)が前記ハニカムの半径方向内側に突出していることを特徴とする、請求項1
~6のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
前記ハニカムが正多角形の形状の断面を有することを特徴とする、請求項7に記載の方法
【請求項9】
前記構造体(100.0)がステップバー要素を備えることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法
【請求項10】
前記第2の流体の流速を溢流が発生しないように選択していることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、より詳細には、少なくとも2つの流体フローを接触させるための接触装置に関し、前記装置は、第1の流体を導くための構造体であって、第2の流体を導き、これによって接触領域において第1の流体を第2の流体と接触させることができるように配置される界面をさらに有する、構造体を備える。本発明はまた、第1の流体と第2の流体との接触を生成するための少なくとも1つの装置及び方法を備える構成に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスエンジニアリングでは、異なる流体フローを異なる手順工程において互いに接触させている。流体フロー間の物質及びエネルギーの交換又は化学反応は、対象とするフロー間の接触によって可能となる。これらの流体フローは2つの不混和流体、又はガス状流体と液体とから構成されている。接触を生成するために様々な技術が適用されている。一方では、流体間に大きな表面を生成するために、一方の流体フローをそれぞれの他方のフローに分散又は噴霧してもよい。通常、2つの流体は後の工程で再度分離される。さらに、これらの2つの流体はあるレセプタクルを同時に通過することができ、そのレセプタクルの内側には流体フローを接触させるための大きな表面が設けられている。このような装置の例としては、タワー充填カラム又は構造化充填カラムが挙げられる。接触させる流体フローを同時に通過させる方法が特に有効である。それぞれの装置の例としては、プレートカラム、タワー充填カラム、構造化充填カラム、流下膜式蒸発器、薄膜蒸発器その他が挙げられる。いくつかのプロセスでは、直交流接触装置も同様に使用することができる。直交流接触装置では、2つの流体フローは並流接触装置と同様に同じ方向に流れることはなく、向流接触装置と同様に反対方向にも流れることはなく、むしろ互いに交差して、その交差中に物質を交換する。その例としては直交流膜式蒸発器又はガススクラバーが挙げられ、ここでは流体が重力のために膜として充填物又は構造化内部の表面を下方に流れる一方で、蒸気又はガスフローが流体のフロー方向から逸れる方向に構造物を通過し、且つ前記膜と接触する。
【0003】
この原理を大規模に実装するためには、単に重力の助けを借りて向流接触又は直交流接触を行うことが、コスト上の理由から合理的であることが判明した。しかしながら、これには、接触する流体が互いに引っ張り合うため、達成可能なスループットの限界が見られる。向流接触の場合、特定のスループットのために流体フロー間の力は重力よりも大きくなり、これによって装置における2つの相の重い方が押し下げられることが想定される。相間の力が重力よりも大きくなるとすぐに、溢流が発生する。この重い相はフラッディング点によって装置を通ってこれ以上下方に流れることはできないが、むしろ軽い相によって上方に引っ張られる。直交流接触の場合、流体膜はこれを横切る流体フローによって引っ張られる。直交流接触では、流体を引っ張る現象のためにプロセスを適切に制御することができず、また膜内の余分な液相の収集、或いは2つのフローの分離がより困難となる。
【0004】
そのような流体と流体との接触プロセスの一種として蒸留が挙げられる。この場合、通常流体フローとガスフローとの間で物質交換が同時に生じる。構造化充填における蒸留では、通常、約10mbar/m~12mbar/mのガス流体の圧力低下が生じる場合に自然制限があることが判明した。したがって、通常カラムが溢流するので、上昇したガスフローにおける圧力のより大きな低下を伴うプロセス点は、実現不可能となることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在知られている接触装置には、溢流する傾向があるため、可能となる物質移動が制限されているという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、最初に記載した技術分野に関連し、2つの流体を接触させる装置を提供することであり、これにより、溢流の危険性や1つの流体が引っ張られる危険性が低減される。これは特に、2つの流体の流速が非常に速い場合に、処理される流体間で強力な物質交換を達成でき、且つ物質交換のための装置をよりコンパクトに構築できるような方法で行われる。
【0007】
本目的のための解決策は、特許請求項1の特徴によって定義されている。本発明によれば、第2の流体のフローを遮断するために少なくとも1つのフロー遮断器を接触領域内に配置している。
【0008】
本装置は、1つのプロセスにおいて第1の流体と第2の流体との接触を生成するために、このフロー遮断器とともに使用される。
【発明の効果】
【0009】
好ましくは、第2の流体の流速は溢流が起こらないように選択される。前記構造体の接触領域におけるフロー遮断器の形成により、中でも向流の場合に起こる溢流現象、或いはそれぞれ、直交流の場合に起こる膜内での流体の引っ張り現象を防止できるような効果がとりわけ得られる。具体的には、両方の場合において、第1の流体は第1の流体を導くための構造体に、特に構造体の気孔及び/又はキャピラリに導かれ、これによって第1の流体が第1の流体を導くための構造体を湿潤するようにしている。第2の流体は、接触領域に沿って、とりわけ本装置において第1の流体を導くための構造体の外側に位置し、且つ特に構造体の気孔及び/又はキャピラリを何ら備えていない領域を流れ、これによって第2の流体が第1の流体を導くための構造体をほとんど湿潤しないか、又は全く湿潤しないようにしている。これにより、第1の流体を第2の流体に分散させることのない(又はその逆の場合も同様である)方法で、第1の流体を第2の流体と接触させるためのとりわけ効率的な装置を提供している。このようにして、界面において第1の流体と第2の流体とのとりわけ強力な接触が達成される。
【0010】
いくつかの変形例では、溢流の危険性がただ低減されるように流速を選択することができる。
【0011】
構造体を、原則として任意に選択することができる。構造体に関する唯一の要件は、構造体の第1の端部から構造体の第2の端部まで流体を導くことが可能なことである。第1の流体を直線的に導く必要はないが、構造体を通るランダムな経路に沿ってこれを導くこともできる。
【0012】
接触領域はとりわけ、第1の流体を導くための構造体の表面、包絡面及び/又は境界面の領域である。接触領域は、第1の流体を導くための構造体の幾何学的形状によって、とりわけ第1の流体を導くための構造体の外側境界及び/又は包絡面の幾何学的形状によって実質的に定義されている。この接触領域は、とりわけ第1の流体を導くための構造体の外側に位置し、且つ特に気孔及び/又はキャピラリを何ら備えていない。接触領域は、第1の流体を導くための構造体の内側を流れる第1の流体が、第1の流体を導くための構造体の外側を流れる第2の流体とこの接触領域で接触することができるように設計されている。
【0013】
本発明による装置を使用する場合、第1の流体と第2の流体との接触領域に界面が形成される。換言すれば、これは2つの流体間の相分離面である。したがって、この界面は、第1の流体を導くための構造体における幾何学的に異なる表面として自動的には理解されない。この界面は、第1の流体を導くための構造体の表面、包絡面及び/又は境界面と必ずしも同一である必要は特にない。使用される流体に応じて流体間の界面は異なっていてもよく、たとえば第1の流体を導くための構造体の表面、包絡面及び/又は境界面の上に位置していてもよい。界面の形態及び位置は、とりわけ使用される流体、流動状態及び/又は2つの流体のフローにおける圧力分布に依存する。波動現象に起因して、且つ/又は構造体の1つの領域で、特定の時間中に流体が流出するよりも多く流入する場合において、界面の形態及び位置はまた、時間の経過とともに動的に変化してもよい。この界面は、具体的には湾曲且つ/又は隆起した表面であり、少なくとも1つのフロー遮断器によってとりわけ遮断され、且つ/又は制限されている。
【0014】
原則として、第1の流体及び/又は第2の流体は、とりわけ液体、蒸気、エアロゾル、泡などの任意の流動物質として存在してもよい。ここでは、2つの流体を互いに均質に混合することができないという前提条件に従うものとする。本明細書における「均質な混合物」については、分子レベルで混合され、且つ1つの相にある2つの流体の混合物、すなわちこれらを混合物として光学的には認識できないような混合物と定義している。
【0015】
第1の流体は、特に抽出において本装置を使用する場合、液体であることが好ましい。とりわけ蒸留又はガススクラブに関しては、第1の流体はまたガスであってもよい。
【0016】
第2の流体は、好ましくはガスとして存在する。いくつかの変形例では、これは液体であってもよい。しかしながら、第1の流体と第2の流体とは同時にガスとして存在することはない。
【0017】
フロー遮断器は、第2の流体のフローに影響を及ぼすことができる構成要素であることが好ましい。「フローを遮断する」という用語は、一般にフローの挙動を変化させることとして理解される。そのような変化には、流速の低下、又は流体フローの方向転換などが含まれ得る。
【0018】
「及び/又は」という用語を含む参照を行う上で、原則として、列挙した特徴の非ヌルサブセットを選択できるように解釈しなければならない。
【0019】
プロセスにおいて、第2の流体のフロー方向を少なくとも1つのフロー遮断器を介して系統的に変化させること、とりわけ局所的にこれを逆転させることが特に好ましい。これにより、局所的に規定される少なくとも1つの局部渦が第2の流体に生成される。これにより、第1の流体と第2の流体との間でとりわけ局所的に、並流接触を達成することができる。
【0020】
いくつかの変形例では、本装置を渦が発生しないように操作することもできる。代わりに、たとえば第2の流体の減速のみが生じるように、本装置を操作することができる。
【0021】
構造体、接触領域及び/又は境界面は、好ましくは各流体において良好な混合が達成されるように配置される。これにより、接触領域において常に新鮮な流体が得られるという状態を実現できる。
【0022】
フロー遮断器は、少なくとも2つのレッジであって、前記レッジによって第2の流体が、特に前記レッジの方向と交差する第2の方向に流れることができる、レッジを好ましくは備える。レッジという用語は、実質的にはプリズム要素として理解されている。好ましくは、このレッジは長方形ブロック形状、とりわけ細長いブロック形状である。好ましい実施形態では、レッジを構造体と一体的に形成することができるが、いくつかの変形例では、本装置をレッジと構造体とから構成することもできる。さらに、レッジを長方形でない断面を用いてプリズム状に形成することができる。
【0023】
いくつかの変形例では、フロー遮断器を別々に形成することもできる。このフロー遮断器は、たとえば波線形状、ジグザグ形状、蛇行形状又は類似した他の任意の形状であってもよい。当業者であれば、フロー遮断器においてさらに別の構成が可能であることを理解している。
【0024】
このようにして、直交流における溢流現象、又は直交流における引っ張り現象は、それぞれ、第1の流体及び第2の流体における2つのフロー方向間で境界面に沿って配置されるレッジ装置によって好ましくは防止される。これらのレッジは、好ましくは実質的に構造体を第2の流体が湿潤しないように、その移動方向に対してほぼ直角であることが好ましい。実際には、特に好ましい実施形態では、これらのレッジは第2の流体のフロー方向に対して70°~90°の範囲の角度を形成していることが証明された。特定の実施形態では、この角度は70°より小さくてもよい。
【0025】
隣接する2つのレッジの間隔とレッジの高さとの比率は、好ましくは1対10の範囲、特に好ましくは3対7の範囲となる。これはつまり、隣接する2つのレッジの間隔が、好ましくはこのようなレッジの高さよりも1対10倍、特に好ましくは3対7倍長いことを意味する。試験では、隣接する2つのレッジの間隔が不十分である場合、通常第1の流体と第2の流体との接触を十分に確保できないことを証明することができた。一方、間隔があまりにも開き過ぎる場合には、フロー遮断器としてのレッジの効果が小さくなり過ぎてしまう可能性があり、これによってむしろ溢流を再度引き起こすことになる。1~10の間、特に好ましくは3~7の間となる上記係数の範囲はまた、使用される流体並びにこのような装置の大きさ、フロー方向、及び体積流量などに依存する。したがって、当業者であれば係数が10を超えるか、又は1未満となってもよいことを理解する。
【0026】
レッジ間のフローは、レッジの適切な高さと、隣接するレッジ間の適切な間隔とを採用することによって、具体的に調整することができる。驚くべきことに、数多くの試験において、適切な寸法、とりわけレッジの高さとレッジの間隔との比率を選択することにより、境界面の相間の速度は通常低下するが、第1の流体と第2の流体との間の物質交換を増大させることができるということが判明した。
【0027】
この原理によって構造体を生成することができ、その内側で、第1の流体及び第2の流体における2つの流体フローが接触領域内に非常に大きな特有の相分離面を形成し、さらに非常に速い速度でこれを送り込むことができる。とりわけ向流を使用する場合、接触させる2つの流体の速度を実質的に上昇させることができ、したがって、大幅にコンパクト化した装置を構成することができる。たとえば、蒸留カラムでは構造体の最大容量を5倍以上に増加させることができ、相間で同時に強力な交換を行うことができる。このような操作では圧力損失が著しくなり、先行技術の限界である10mbar/m~12mbar/mよりはるかに高くなるが、溢流は発生しない。構造体の寸法を適切に設定することにより、第1の流体のスループットを大幅に調整することができる。これにより、蒸留カラム、抽出カラム、ガススクラバーなどの物質交換システムにおいて適切なパラメータを選択することで、先行技術と比較して、性能を飛躍的に向上させることができる。
【0028】
好ましくは、第1の流体がフロー遮断器と交差する第1の方向に流れることができるように構造体を構成し、フロー遮断器を配置する。このようにして、とりわけフロー遮断器の方向又はレッジの方向に対してそれぞれ平行となる方向に第1の流体を流れさせないようにすることができる。したがって、このように第1の流体がフロー遮断器又はレッジの後ろにそれぞれ部分的に導かれないようにすることで、第2の流体を第1の流体と良好に接触させることができる。
【0029】
いくつかの変形例では、構造体は、レッジに対して平行に導かれる第1の流体がレッジの後ろに導かれないような構造であってもよい。これは、適切な流路及びキャピラリなどを使用することによって達成することができる。さらに、一実施形態では直交流を設け、これによって第1の流体がレッジに対して直角に導かれ、また第2の流体がレッジに対して平行に導かれるようにしてもよい。
【0030】
向流接触の場合、レッジをたとえば水平に配置してもよい。直交流の場合、レッジをほぼ直角に配置することができ、これは、第2の流体が構造体をほとんど湿潤しないか、又は構造体を全く湿潤せず、直交流では通常ほぼ水平に流れるためである。レッジの寸法を適切に選択すると、接触面での相間の速度を大幅に低下させることができ、これによって流体の引っ張りをほとんど回避することができる。
【0031】
さらに、好ましい実施形態では、レッジを、これらの間に規定された渦が形成されるような寸法にすることができる。これにより、第2の流体の流速を低下させることができ、或いはフロー方向を別の方向に向けることができる。レッジが第2の流体のフロー方向に対して直角である場合、いくつかの状況下では、渦によってフロー方向を接触面に沿って完全に方向転換させることさえできる。厳密には2つの相が直接接触している向流接触装置の場合、局所的に並流接触装置を形成することができる。この場合、並流接触装置では通常溢流が発生しないので、特に有利である。
【0032】
好ましくは、第1の方向はレッジの方向に対して60°~90°の角度、とりわけ75°~90°の角度、好ましくは80°~90°の角度を形成する。これにより、2つの流体においてとりわけ最適化された接触が可能となる。
【0033】
或いは、この角度は異なる範囲、とりわけ60°未満であってもよい。
【0034】
本方法の好ましい実施形態では、構造体は第1の流体によって湿潤されるが、とりわけ第2の流体は構造体の表面を全く湿潤しないか、又はわずかしか湿潤しない。
【0035】
いくつかの変形例では、たとえば流体の粘度に応じて、構造体の気孔サイズに基づき構造体を具体的に選択することにより、2つの流体のスループットを調整することもできる。流体の濡れ性を前提とする代わりに、或いは複数のレッジの選択に加えて、1つのレッジ、1つのカラー及び/又は1つの表面構造を設けてもよい。
【0036】
構造体及び接触領域を通る流体の導通は、レッジの濡れ性を選択することによってさらに制御することができる。特に好ましい実施形態では、レッジは第1の濡れ性を有する構造体に近接する領域と、第1の濡れ性とは異なる第2の濡れ性を有する、構造体に対して遠位の領域とを備える。このようなレッジの構成により、第1の流体がレッジの外側領域に流入し、且つ第2の流体によってそこで引っ張られることを防止できる。このようにして、類似の又は同一の濡れ性又は極性をそれぞれ有する第1及び第2の流体を共に用いて、本方法を実施することができる。
【0037】
一実施形態では、構造体は親水性材料、とりわけ酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンなどの親水性セラミック製であってもよく、したがって極性物質に対して非常に良好に湿潤することができる。内側セグメントにおいて、すなわち構造体の方向において、レッジは親水性材料、とりわけ酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンなどの親水性セラミック製であってもよく、外側セグメントにおいて、レッジはより疎水性の高い材料、とりわけレアアースを含むセラミック材料製であってもよい。より疎水性の高い材料として特に適しているのは、たとえば二酸化セリウムである。当業者であれば、さらに別の適切な材料又はコーティングに精通している。親水性セラミックは、水に対して10°未満の接触角を有するセラミック材料として特に理解される。85°を超える接触角は疎水性とみなされる。
【0038】
この点でも、複数のレッジの領域の濡れ性を選択する代わりに、又はそれに加えて、1つのレッジ、1つのカラー及び/又は1つの表面構造を設けてもよい。
【0039】
好ましくは、本構造体は以下の特徴である
a)組織、
b)開放気孔材料、とりわけ発泡体、
c)キャピラリ、
d)段付き構造、
の1又は複数を備える。
【0040】
キャピラリを備える構造体が特に好ましい。この点で、本構造体は段付き構造、開放気孔材料又は発泡体などを備えていてもよい。とりわけ段付き構造は、実際には特に有利であることが判明した。
【0041】
しかしながら、いくつかの変形例では、本構造体は他の特徴又は付加的特徴を備えていてもよい。
【0042】
キャピラリ、段付き構造の自由空間、及び/又は気孔の平均直径は好ましくは50マイクロメートル~5ミリメートルの範囲、特に100マイクロメートル~2ミリメートルの範囲、とりわけ200マイクロメートル~1ミリメートルの範囲である。これにより、直径はそれぞれの構造体の長手方向に対してとりわけ直角に測定される。
【0043】
レッジは第1の流体によって、好ましくは構造体のキャピラリの側で容易に湿潤することができ、これらは好ましくは動作中に湿潤する。これは、キャピラリ力によって圧力差のバランスをとるのに役立つ。キャピラリに接触しない反対側では、有利には、レッジが第1の流体によって湿潤されることがないように、又は湿潤が非常に困難となるようにレッジを配置している。これは、たとえばレッジの表面のこの領域に適切な表面構造を設けることによって達成することができ、その理由としては、レッジの表面のこの領域を適切に被覆できるか、又はレッジのこの領域が第1の流体によって湿潤されにくい材料で作製されているからである。本明細書に記載の構造体が通常小さな寸法を有し、また通常複合3次元構造を有するために、この材料選択はレッジに特に有利であることが判明した。
【0044】
第1の流体がレッジに対して平行に流れない場合、これがレッジの下を流れることができるようにしなければならない。これを様々な方法で達成することができる。たとえば、キャピラリをレッジの下に配向して形成することができる。有利には、レッジの前の領域とレッジの後ろの領域との圧力差のバランスをキャピラリ力によってとることができるように、キャピラリの寸法を決めることができる。しかしながらその一方で、キャピラリの寸法をあまりに小さくし過ぎてはならず、これは、非常に小さなキャピラリでは摩擦のために流速が遅くなり過ぎてしまう場合があるためである。したがって、好ましくは2つの流体、及び温度、流速、体積流量などを含む装置のさらに別のプロセスパラメータに応じてキャピラリを調整しなければならない。
【0045】
液体を導くキャピラリ構造体を、互いに対して平行に配置され、バーを介して互いに結合された高さの列として設けてもよい。しかしながら、これを異なる櫛形状(三角形、長方形、正方形、六角形)を有するハニカム体として一体的に設けてもよい。第2の流体のフロー方向に対して厳密に直角となるように、レッジを位置合わせすることもできる。特に互いに対して平行に配置された複数の平面からなる本体を備えるバージョンではまた、第2の流体のフロー方向に対して直角となる位置に対して小さな角度でレッジを配置することができる。これにより、循環流動が第2の流体のフローにおいて誘起され、その結果第2の流体の混合が別途行われる。
【0046】
第1の流体が流れるキャピラリは、欧州特許出願公開第2897783号明細書に記載されているように、ステップバーを交差させることによって有利に実現され得る。このようにして、物質交換中に確実に構造体のキャピラリ内で液体が強く混合され、その結果として物質交換が強化されるようにすることができる。ただし、キャピラリをランダムに配置することもでき、たとえばこれを市販されているプラスチック材料、金属又はセラミック製の開放気孔発泡構造体で作製することもできる。キャピラリ構造体の他の設定としては、たとえば組織又は他の多孔質材料を用いることも想定できる。
【0047】
好ましくは、本構造体をハニカム形状に構築し、これによってフロー遮断器がハニカムの内側に突出している。特に好ましい実施形態では、複数の装置は接合境界面を共同で備え、これによって第2の流体を導くための多角形流路を形成している。ハニカム構造体は簡素に設計されているので、コスト効率よくこれを製造することができる。
【0048】
いくつかの変形例では、他の任意の形状を有する構造体を設けることができる(下記参照)。
【0049】
好ましくは、このハニカムは正多角形、とりわけ三角形、長方形又は六角形として形成された断面を有する。これらの設計には、個々の装置をとりわけ容易に構築して、複数のモノリスを備える配置を形成できるという利点がある。
【0050】
いくつかの変形例では、他の断面を同様に設けてもよい。
【0051】
本構造体がステップバー要素を備えていることが特に好ましい。このステップバー要素を使用することは、本構造体を交互積層により形成する上で特に好ましく、なぜならこのようにしてトレッド層を形成することができるからである。その上、段付き構造は、オーバーフロー時に第1の流体がそれ自体で混合されるという利点を有する。
【0052】
いくつかの変形例では、本構造体はまた、ステップバー要素の代わりに滑らかなランプを備えていてもよい。
【0053】
本構造体は、好ましくは横方向に配置される複数のステップバー要素を備える。このようにして、第1の流体が本構造体で多数の方向転換を経なければならない状態が実現され、これにより、今度は混合が改善されることになる。
【0054】
一変形例では、ここでもまた横方向に配置される滑らかなランプを設けてもよい。
【0055】
とりわけ、第1の流体が流れるキャピラリを使用する実施形態では、欧州特許出願公開第2897783号明細書に記載されているように、ステップバーを交差させることによって有利にこれを実現することができる。これにより、物質交換中に確実に構造体のキャピラリ内で液体が強く混合され、その結果として物質交換が強化されるようにすることができる。
【0056】
ただし、変形例ではキャピラリをランダムに配置することもでき、たとえばこれをプラスチック材料、金属又はセラミックからなる開放気孔発泡構造体で作製することもできる。キャピラリ構造体の他の組立てとしては、たとえば組織又は他の多孔質材料を用いることも想定できる。
【0057】
ある構成は、好ましくは1つの構造体と1つのフロー遮断器とを備える装置であって、前記構造体に第1の流体を分配するためのディストリビュータが前記装置の第1の端部において配置され、前記第1の端部の反対側に位置する他方端部において、第1の流体を前記構造体から収集するためのコレクタが配置されている、装置を備える。これにより、流体結合における構造体がディストリビュータとコレクタとの間に実質的に介在しているので、とりわけ容易に構造体に供給を行うことができる。ディストリビュータとコレクタとは、それぞれ第1の流体用に1又は複数の供給ライン或いは排出ラインを備えていてもよい。ただし、ディストリビュータとコレクタとが、それぞれ厳密に1つの供給ライン又は排出ラインを有していることが特に好ましい。
【0058】
いくつか変形例ではまた、ディストリビュータ及び/又はコレクタを省略してもよい。この場合、たとえば第1の端部において、本構造体に直接第1の流体が作用するようにすることができる。また、第1の流体が複数の装置(以下参照)の構造体を通って導かれるように、これらの複数の装置を互いに結合することもでき、ここで第1の端部の装置はディストリビュータを備え、第2の端部の装置はコレクタを備える。これらの装置の設計に応じて、コレクタとディストリビュータとは、第1の流体のフロー方向に対して必ずしも互いに対向する必要はない。最後に、ディストリビュータとコレクタとは、共に装置における一体部分であってもよく、且つ装置と一体的に結合されていてもよい。
【0059】
とりわけ高性能向流接触装置の場合、第1の流体を確実に導入して均一に分配し、且つ下端部の構造体から流体を導出するために、本構造体において、本構造体の上端部に第1の流体を分配するための、とりわけ液体を分配するためのディストリビュータを設けており、このディストリビュータは、好ましくは前記構造体に応じて調整されている。本構造体の対向端部には、対応する少なくとも1つの液体コレクタを設けていることが好ましい。
【0060】
たとえば、とりわけ液体ディストリビュータである前記ディストリビュータと、たとえば、とりわけ液体コレクタである前記コレクタとを、上記の構造体を交互積層組立する方法と同じ製造方法で形成することができ、この方法で本装置も同様に製造することができる。さらに、ディストリビュータとコレクタとを、接触装置の構造体と固定して製造することもでき、とりわけ一体的に構築又は製造することができる。
【0061】
流体又は液体が構造体内でひとたび均一に分配されると、流体又は液体の偏在(流量範囲における不均一な体積流量)が起こる危険性は通常全くないか、又はわずかとなる。構造化充填カラム又はタワー充填カラムなどの従来の向流接触装置とは対照的に、流体又は液体を定期的に新たに分配することはそれぞれほとんど必要ないか、或いは全く必要ではない。これはまた、先行技術の接触装置に対して、構造量を著しく減少させるのに役立つ。
【0062】
好ましくは、第1の装置の構造体から第2の装置の構造体に第1の流体を導くことができるようにするために、第1の装置の第1の端部が第2の装置の第2の端部に結合されるように、2つの装置を配置している。このような構成のいくつかでは並列且つ/又は直列に結合することができ、これによって接触装置の性能が向上する。このようにして、上記の複数の装置をモジュールのようにまとめて、任意の大きさの接触装置を形成することができる。
【0063】
いくつかの変形例では、これらの装置を、たとえば並列にのみ配置することができる。
【0064】
上記の装置の製造方法は、アディティブ法による組立てを含む。これにより、本装置をとりわけ容易に組み立てることができる。好ましくは、この組立ては化学的又は物理的プロセスを用いたデータモデルによって直接行われる。当業者であれば、複数の方法に精通している。
【0065】
本装置の組立ては、好ましくは互いに連続的に重なり合って塗布される積層方式で行われる。このようにして、本装置をコスト効率よく大量生産することができる。さらに、これは本構造体及びレッジの異なる幾何学的形状を非常に容易に形成するのに役立つ。このような方法は3次元印刷法としても知られており、原則としてほぼすべての材料で実施することができる。
【0066】
上記の装置などの本体を交互積層組立することにより、非常に小型の装置を形成することも可能である。レッジの高さは、たとえば50マイクロメートル~数百マイクロメートルの範囲とすることができる。キャピラリの寸法は、通常所望の液体スループット及び液体の粘度によってあらかじめ定義される。それらは、数百マイクロメートルから数ミリメートルの範囲で変動し得る。低粘度の液体を処理するために、1000m/mを超える特別な接触面を備える構造化向流接触装置を形成することができる。
【0067】
いくつかの変形例では、交互積層組立てを控えることもできる。その代わりに、本装置の単一構成要素を製造し、別の手順工程においてこれらを互いに結合することができる。当業者であれば、これに関してさらに別の変形例に精通している。
【0068】
1つの層の塗布に続いて、好ましくは結合プロセスを実施する。本工程では、たとえば層を硬化させることができる。このような結合プロセスにおいて、硬化層によって、いくつかの状況下で既に硬化されている可能性がある既存の層で化合物を形成することができる。
【0069】
選択された材料によっては、この結合プロセスを省略することもできる。さらに、複数の層を塗布した後に毎回、結合プロセスを実施することもできる。
【0070】
好ましくは、層はステンシルを用いて塗布される。このステンシルを、印刷版上に均一な平面として配置することができるように設計してもよい。ステンシルの凹部は、通常層の形状を画定する。ステンシル又は成形ツールは、複数の同一又は異なる層の形状を画定することができる。また、平面内での位置がただ異なっている(転向、回転、ミラーリング)ため、ステンシルをとりわけ同じ層に使用することもできる。本プロセスにより、迅速且つ自動的に層を重ねることができる。したがって、本プロセスは装置の大量生産にとりわけ適している。特定の実施形態では、この成形ツールはスクリーンであり、とりわけ工業スクリーン印刷のスクリーンである。
【0071】
いくつかの変形例ではまた、ステンシルの使用を控えることもできる。中間空間については、除去可能な充填材料でこれを充填することができる。層の材料が十分な固有安定性を有する場合には、この中間空間の充填も同様に控えることができる。
【0072】
ステンシルは、好ましくは塑性変形可能な塊を形成して、1つの層を設けるために使用される。これにとりわけ適しているのは懸濁液である。これらは主物質として細粒度電源を含むことができる。この目的には、とりわけ金属、金属合金、並びにセラミック及びガラスセラミックが適している。塑性変形可能な塊を形成するために、とりわけCMC(カルボキシメチルセルロース)、及びポリオレフィン、デンプン(コーンミール、小麦粉など)を例とする有機結合剤を添加することができる。或いは、様々なタイプのフォトポリマーを有機結合剤として使用することができる。様々なフォトポリマーが多数存在する。好ましくは、とりわけアクリルモノマー、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、トリメチルプロパントリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレートなどを使用可能な結合剤として考慮することができ、これらは0.5%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどの少量の光開始剤で混合されている。それぞれの要件に応じて、これらのモノマーを異なるポリアクリレートオリゴマーと混合することができる。
【0073】
塑性変形可能な塊を焼結に使用することを意図している場合において、たとえばセラミック、金属又はガラスを対象としているとき、この塊は好ましくは、とりわけ35容量%を超え、より厳密にはとりわけ50容量%を超えるような特に高い割合となる焼結粉末を含有する。
【0074】
特定の実施形態では、塑性変形可能な塊は、塊のレオロジー特性を変化させるために使用できる、たとえば分散助剤などの付加添加剤を含む。当業者はそのような添加剤に精通しており、必要前提条件に合わせてこれらを個別に選択することができる(Journal of Engineering、第2013巻(2013)、論文識別番号930832)。
【0075】
別の実施形態では、塑性変形可能な塊は純プラスチック製部品を含む。これらは、後に重合される、対応するモノマー及び/又はオリゴマーを含むことができる。そのような塑性変形可能な塊はまた、レオロジー特性を設定するための付加添加剤、及び溶媒、顔料、触媒又は殺生物剤を含むことができる。
【0076】
特定の実施形態では、塑性変形可能な塊は、金属、金属合金、セラミック、金属セラミック複合材、ガラス、プラスチック材料、及び/又は強化繊維若しくは金属若しくはセラミック粒子を有するプラスチック複合材からなる群より選択される懸濁液として、基材粉末を含んでいてもよい。これらの材料の配合物も同様に想定できる。
【0077】
好ましくは、1つのフロー遮断器を1つの構造体に設ける。このフロー遮断器が複数の塗布層を備えていることが特に好ましい。これにより、フロー遮断器を構造体とは別個に、又はこれと一体的に設けることができる。好ましい手段では、フロー遮断器を、濡れ性に関して異なる様々な材料で設けてもよい。このようにして、第1の濡れ性を有し、且つ構造体に面しているストラットの第1の領域は、1又は複数の層で第1の材料を収容することができるが、塗布される次層の1又は複数は、第1の濡れ性とは異なる第2の濡れ性を有する第2の材料から構成されていてもよい。
【0078】
或いは、本構造体のみを交互積層構築して、フロー遮断器をその後本構造体に結合してもよい。
【0079】
本装置は、好ましくは結合プロセスによって、とりわけ加熱又は焼結によって凝固する。金属、金属合金、セラミック、ガラス又はこれらの材料の複合体など、上述した材料からなる群より選択する焼結材料を塑性変形可能な塊として使用する場合、本発明による方法は、特に好ましくは焼結のための塗布層の熱処理を含み、これは塗布層の成形プロセス完了後に行われる。
【0080】
好ましい実施形態では、接触装置は500℃~2500℃、好ましくは600℃~1700℃となる範囲の温度で焼結される。
【0081】
いくつかの変形例では、使用される材料が許容するのであれば、この凝固プロセスを省略することができる。さらに、この凝固プロセスは、重合などを発生させることによっても実施することができる。当業者であれば、この点に関してさらに別の技術に精通している。
【0082】
本装置の製造方法は、好ましくは国際出願PCT/CH2014/000177号明細書による方法である。
【0083】
本装置は、好ましくはこれを清掃することができるように設けられる。本装置を加熱によって、とりわけバーンアウトによって清掃できるように、本装置をセラミックから製造することが特に好ましい。
【0084】
或いは、とりわけ動作中に本装置が化学物質にさらされる場合、又は除去できない残留物が発生する場合には、本装置を一回使用を意図するものとすることもできる。
【0085】
両方の流体フローでのはるかに速い流速及びはるかに高い流体スループット、及び相間における非常に大きな比表面積を併せて達成していることに基づいて、物質交換プロセスをはるかに小さな体積で実施できるような装置又は構成を実現している。とりわけFLNGプラットフォーム(浮遊液化天然ガス)を例とする浮遊プラットフォームに設置される化学プラントの場合、構造体積は非常に重要且つ高価であるため、本明細書に記載の装置又は構成はFLNGプラットフォームにおいて特に好ましいものである。また一方で、本出願に記載の方法では、コスト効率のよいプラントを概ね実現することができる。提示している構造化向流及び直交流流体接触装置(装置又は構成それぞれ)は、必要な処理量に関する複数の要因によって、先行技術の装置よりも小さくすることができる。
【0086】
本発明のさらに有利な実施形態及び特徴の組み合わせは、以下の詳細な説明と特許請求の範囲の全体とから明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
実施形態の例を説明するために使用している図面は以下の内容を示す。
図1】接触装置の機能を示した概略図である。
図2】向流接触装置として形成された第1の実施形態の概略図である。
図3a】向流接触装置として形成された第2の実施形態の概略図である。
図3b】向流接触装置として形成された第3の実施形態の概略図である。
図4】段付き構造を備える第4の実施形態の概略図である。
図5a】直交流接触装置として形成された第5の実施形態の概略図である。
図5b】直交流接触装置として形成された第6の実施形態の概略図である。
図6】熱交換器として形成された第7の実施形態の概略図である。
図7】傾斜レッジを備える向流接触装置として形成された、第8の実施形態の概略図である。
図8】三角形の断面を有する流路を備える、モノリスに関する第1の実施形態の概略図である。
図9】長方形の断面を有する流路を備える、モノリスに関する第2の実施形態の概略図である。
図10】六角形の断面を有する流路を備える、モノリスに関する第3の実施形態の概略図である。
図11a】液体ディストリビュータと液体コレクタとを備える、複数のモノリス構造体で構築された接触装置の概略図である。
図11b図11aの接触装置の液体ディストリビュータに焦点を合わせた切欠図である。
図11c図11aの接触装置の液体コレクタに焦点を合わせた切欠図である。
図12】接触装置の交互積層組立てを示した概略図である。そして
図13】第1の流体を導くための段付き構造を備える、図10によるモノリスに関する特に好ましい実施形態の概略図である。
【0088】
原則として図面においては、同じ部分には同じ参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、接触装置100.0の機能を示した概略図である。接触装置100.0は、第1の流体を導くための構造体110.0と、並列に配置された複数のレッジ120.0の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。レッジ120.0は構造体110.0に結合されている。構造体110.0の外面の領域には、第2の流体を導き、且つ第1の流体と第2の流体とを接触させるように配置された接触領域104.0が設けられている。構造体110.0は、様々な実施例をもって以下に例示するように、様々な方法で形成することができる。構造体110.0は、とりわけ壁と、キャピラリと、気孔と、組織とから構成されていてもよく、これらを第1の流体によって好ましくは容易に湿潤することができる。
【0090】
レッジ120.0は、第1の流体によって容易に湿潤することができる、本構造体に面した領域を備える。レッジ120.0はさらに、第1の流体によってほとんど湿潤することができない、本構造体に背向した領域を備える。このように、第2の流体が反対方向に高速で流れる領域から第1の流体を離間させておく必要があり、これは、第1の流体がここで第2の流体によって引っ張られる可能性があるためである。異なる濡れ性レベルの代わりに、とりわけその形状、引裂き縁部などを含むレッジの他の特性を与えている。
【0091】
動作中、第1の流体、とりわけ液体は、第1の方向101.0に構造体を通って導かれる。第2の流体、とりわけ液体若しくは気体、又は蒸気なども、接触領域104.0に形成される相境界面104.1に沿って、複数のレッジ120.0にわたって第2の方向102.0に導かれる。このように2つの流体間に形成される相境界又は境界面104.1は図1において破線で示され、図示のように湾曲した形態を示している。図1において描出している中では、方向101.0と方向102.0とが互いに対向しており、これは向流に相当する。以下の実施例では、2つの流体において想定可能な互いに対する他のフロー方向を示している。レッジ120.0間の領域では、第2の流体が第1の流体と接触する。これらの2つの流体は、この領域でエネルギー又は物質を交換することができる。この場合、隣接するレッジの間隔とレッジの高さとは、約5対2の関係を有する。その結果、レッジ120.0の間で第2の流体は大幅に低下した流速を示す。渦が発生するために、第2の流体はまた、レッジ120.0間においてレッジ120.0の外側のフロー方向と比較して大幅に変化したフロー方向を示す。このようにして、ここで第1及び第2の流体の並流接触が自由表面で理想的に生成され、これにより最終的には、溢流を実質的に防止することができる。
【0092】
図2は、向流接触装置として形成された接触装置100.1の第1の実施形態を示した概略図である。接触装置100.1は、構造体110.1と、並列に配置された複数のレッジ120.1の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。構造体110.1は実質的に板状であり、且つ組織又は開放気孔発泡体とから構成され、これを通って第1の流体は方向101.1へと流れることができる。レッジ120.2は、構造体110.1に一定の間隔をおいて結合されている。この場合、レッジ間の間隔とレッジの高さとの比率は約5対1となる。構造体110.1は両側にレッジ120.1を有し、これにより、複数対のレッジは構造体110.1に対して互いに対向している。第2の流体は、実質的に第1の流体とは反対の方向となる方向102.1に流れる。第2の流体はバーを介して構造体100.2の両側へと導かれ、その結果、2つの流体の接触を両側で達成することができる。
【0093】
図3aは、向流接触装置として形成された接触装置100.2の第2の実施形態を示した概略図である。接触装置100.2は、構造体110.2と、並列に配置された複数のレッジ120.2の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。構造体110.2は、ここでも実質的に板状に配置され、且つ並列に配置された一連のバー111.2を備え、その間において開放キャピラリが両側に設けられている。レッジ120.2は構造体110.2に結合されている。レッジ120.2は、バー111.2に対して直角に配置されている。構造体100.2は、ここでも両側にレッジ120.2を有し、これらは対をなして、構造体100.2に対して互いに対向している。本実施例では、レッジ間の間隔とレッジの高さとの比率は約6対1となる。第1の流体が構造体110.2を通ってバー111.2間で方向101.2に流れる一方、第2の流体はレッジ120.2に対して直角に、したがってバー111.2に対して平行に導かれる。第2の流体はバーを介して構造体100.2の両側へと導かれ、その結果、2つの流体の接触を両側で達成することができる。
【0094】
図3bは、向流接触装置として形成された接触装置100.3の第3の実施形態を示した概略図である。接触装置100.3は、構造体110.3と、並列に配置された複数のレッジ120.3の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。接触装置100.2以外は、構造体110.3は、バー111.3によって形成されている、この場合は片側開放キャピラリのみを示している。構造体100.3の第1の側面はレッジ120.3を介して構造体100.2に同種結合されているが、構造体100.3の対向する第2の側面は、プレート112.3に結合されている。本実施例では、レッジ間の間隔とレッジの高さとの比率は約5対1となる。したがって、第2の流体は、第1の側面で102.3の方向にのみ導かれる。
【0095】
図4は、段付き構造を備える接触装置100.4の第4の実施形態を示した概略図である。接触装置100.4は、構造体110.4と、並列に配置された複数のレッジ120.4の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。構造体110.4は、複数の長手方向の段部要素113.4を備える。これは2つの層で組み立てられている。第1の層において、要素113.4の段が互いに対向するように、要素113.4を一定の間隔をおいて並列に配置している。第2の層も同様に構築されている。2つの層をここで、段側面が互いに接触し、且つ第1の層の要素113.4が第2の層の要素113.4に向かってほぼ直角に配向されるように配置している。1つの層における隣接する2つの要素113.4の間隔は、隣接する2つのレッジ120.4の間隔の約3分の1である。レッジ120.4は、ここでも構造体110.4の両側に配置され、これにより、2つのレッジ120.4は構造体110.4に対して互いに対向している。要素113.4は、レッジ120.4に対して約45°となる角度を形成している。本実施例では、レッジ間の間隔とレッジの高さとの比率は約7対1となる。第1の流体は、構造体において平面101.4の2つの平面に導かれる。第1の流体は、一方の平面内でレッジに対して45°の角度で導かれ、また他方の平面で約-45°又は315°の角度でそれぞれ導かれる。平均すると、第1の流体は第2の流体に対して依然として反対方向に流れている。したがって、接触装置100.4は向流接触装置となる。
【0096】
図5aは、ここでも直交流接触装置として形成された、接触装置100.5の第5の実施形態を示した概略図である。接触装置100.5は、構造体110.5と、並列に配置された複数のレッジ120.5の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。構造体110.5は構造体110.3と同様に構築され、複数の平行バー111.5が後壁112.5に配置されている。この場合、2本おきにバー111.5にレッジ120.5が設けられる。ただし、当業者であれば、たとえば1本おきに、3本おきに、或いは4本おきなどとなるように、バー111.5にレッジ120.5を設けられることを理解している。本実施例では、レッジ間の間隔とレッジの高さとの比率は約7対1となる。第1の流体がバー111.5間で方向101.5に導かれる一方、第2の流体はレッジ120.5に対して直角に、且つ方向101.5に対しても直角となるように、方向102.5に導かれる。
【0097】
図5bは、直交流接触装置として形成された接触装置100.6の第6の実施形態を示した概略図である。接触装置100.6は、構造体110.6と、並列に配置された複数のレッジ120.6の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。この場合、構造体110.6は、たとえば接触装置100.5によればプレート112.6のみを備える。プレート112.6を組織又は平板として設けることができる。プレート112.6上に、レッジ120.6を互いに対して平行となるように配置している。本実施例では、レッジ間の間隔とレッジの高さとの比率は約6対1となる。
【0098】
図6は、図3bによる2つの接触装置100.3を備える、熱交換器として形成された第7の実施形態の概略図である。実質的に、これは図3bによる接触装置の別の適用可能性である。2つの接触装置は、熱伝達媒体が流れることができる中間空間を2つのプレート112.7が画定するように配置されている。
【0099】
図7は、傾斜レッジを備える向流接触装置として形成された、接触装置100.8の第8の実施形態を示した概略図である。接触装置100.8は、構造体110.8と、並列に配置された複数のレッジ120.8の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。構造体110.8は、第1の流体のフロー方向101.8に対して約5°~10°の角度で傾斜しているレッジが並列に配置された、プレート112.8を備える。構造体100.8は、同様に配置されたレッジ120.8を有する第2のプレート112.8を備える。第1のプレート112.8のレッジ120.8における1つの方向が第2のプレート112.8のレッジ120.8における1つの方向と交差するように、2つのプレート112.8は対向レッジ120.8に対向している。第1及び第2のプレート112.8のレッジ120.8は離間しており、したがって第2の流体のための流動空間を形成している。第2の流体は方向102.8に、したがって第1の流体とは反対方向となる方向101.8に流れる。レッジ120.8の配向により、第2の流体のフローにおいて方向102.8の軸線上方の回転運動が誘発され、これは第2の流体の混合を強化するのに適している。
【0100】
より大きなモノリス構造体を設けることができるように、上記の接触装置をモジュール式に組み立てることができる。モノリスに関しては、上記の説明による複数の接触装置から組み立てられる3つの実施例を挙げることができる。
【0101】
図8は、三角形の断面を有する流路を備える、モノリス100.9に関する第1の実施形態を示した概略図である。モノリス100.9は、構造体110.9と、並列に配置された複数のレッジ120.9の形態をとるフロー遮断器とから実質的に構成される。本実施例では、本構造体は開放気孔材料製であり、第1の流体のフロー方向101.9において複数の平行流路を備え、この平行流路を通って第2の流体が第1の流体に対して向流となるように導かれている。本実施例では、これらの流路は三角形の断面を有する。これらの流路内には、内側に突出するレッジ120.9と周方向レッジとを、フロー方向101.9に対して直角に一定の間隔をおいて配置している。
【0102】
図9は、長方形の断面を有する流路を備える、モノリス100.10に関する第2の実施形態を示した概略図である。実質的に、モノリス100.10はモノリス100.9と同様に組み立てられ、これにより流路は六角形の断面を有し、したがってハニカム形状に形成されている。これらの流路内には、内側に突出するレッジ120.10と周方向レッジとを、フロー方向101.10に対して直角に一定の間隔をおいて配置している。
【0103】
図10は、六角形の断面を有する流路を備える、モノリス100.11に関する第3の実施形態を示した概略図である。実質的に、モノリス100.11はモノリス100.9と同様に組み立てられ、これにより、流路は長方形の断面を有する。これらの流路内には、内側に突出するレッジ120.11と周方向レッジとを、フロー方向101.11に対して直角に一定の間隔をおいて配置している。
【0104】
当業者であれば、これらのモノリスの流路がまた、たとえば五角形、円形、長方形、スリット形状などの異なる形状の断面を備えている可能性があることを認識している。
【0105】
図11aは、液体ディストリビュータ130.12と液体コレクタ140.12とを備える、図8図10又は図13のうちの1つによるモノリス100.12を示した概略図である。液体ディストリビュータ130.12の入口で方向101.12に流れる第1の流体がモノリス100.12の構造体に到達し、且つこれを通過できるように、液体ディストリビュータ130.2をモノリス100.12の端部に結合している。モノリスの対向端部には、液体ディストリビュータ130.12と同様に組み立てられた液体コレクタ140.12を、第1の流体がモノリス100.12の構造体からの流出時に収集され、且つこれが排液管を介して排出されるように配置している。液体ディストリビュータ130.12と液体コレクタ140.12とは、双方ともモノリス100.12の上記流路と連通している複数の開口部を備え、これにより、第2の流体は液体ディストリビュータ130.12を介して流路に到達することができ、且つ再度液体コレクタ140.12を介してこれを流路から排出できるようにしている。
【0106】
図11bは、図11aによる接触装置100.12の液体ディストリビュータ130.12に焦点を合わせた切欠図である。
【0107】
図11cは、図11aによる接触装置100.12の液体コレクタ140.12に焦点を合わせた切欠図である。
【0108】
好ましい実施形態では、構造体が酸化アルミニウムから構成されていてもよく、したがって容易に湿潤することができる一方、レッジの内側、すなわち構造体の方向が酸化アルミニウムから構成され、外側は二酸化セリウムから構成されており、後者は湿潤が不十分となる。当業者であれば、接触装置を製造するのに適したさらに別の材料又はコーティングについても、それぞれ精通している。
【0109】
最後に、図12は、接触装置1の積層設計を示した概略図である。接触装置1は、要素2a、2bを段付きにする必要がある。第1の段部要素2aは右下から左上へと延在している一方、第2の段部要素2bは左下から右上へと延在し、且つ第1の段部要素2aの裏側の高さとなるように配置されている。通常のフロー方向Tは、下側から上側に向かっている。下側又は上側の区分はランダムに選択され、図面を説明するのに役立つのみで、接触装置1との機能的関係性は何ら有していない。通常のフロー方向Tが示しているのは、接触装置1を通過する流体が下端部、すなわち本実施例では接触装置1の入口端部で接触装置1と初めて接触し、且つ接触装置1の上端部において、出口端部11で前記接触装置から流出するということである。段部要素2a、2bは、段部要素2a、2bに全体で1つの段付き構造をもたらす複数の層2、2’、2’’、2’’’、2’’’’、2’’’’’によって形成されている。この場合、第1の層2に第2の層2’が部分的に重なり、第2の層2’に、今度は第3の層2’’が部分的に重なっている。重なり度、すなわち第2の層2’の表面共有部分と密着している第1の層2の段における表面共有の度合いは、本実施例では接触装置1全体を通して一定である。個々の層2、2’、2’’、2’’’、2’’’’、2’’’’’は、第1の段部要素2aの段と第2の段部要素2bの段との両方を形成している。本実施例では、重なり度は約50%であり、すなわちこれは、主フロー方向に対して直角に延在する層の表面の50%が隣接層と密着接触しているということになる。本実施例では、層の厚さ、すなわち主フロー方向Tに対して平行に延在する表面は、後続の層が重ならない自由表面に相当する。層が重なり合った表面共有部分は、混合表面5を形成している。混合表面5は、完成した接触装置1内と密着結合されている。
【0110】
段部要素2a、2bの層2’’’’の例で例示すると、これは層2’’’’にあるか、又は拡張軸線X、Yの表面積にある両方の段が接合層を形成していることを意味する。層2’’’’の段部要素2a、2bの段の間に、凹部12を設けている。例示している段部要素2a、2bは互いに向かって双方向に延在しており、また段部要素2a、2bの各段の縁部をすべて通ると仮定された中間軸線上で計算した場合、これらは90°の角度で交差している。
【0111】
図13は、別の請負業者又は別のモノリス100.13を示した概略図である。この別のモノリス100.13は、図10に概略的に示しているモノリス100.11の特に好ましい実施形態である。流体が導かれる流路はまた、長方形の断面を有する。これらの流路内には、内側に突出するレッジ120.13と周方向レッジとを、第1の流体のフロー方向101.113に対して直角に、又は第2の流体102.13のフロー方向において、一定の間隔をおいて配置している。モノリス100.13では、図4に示す実施形態と同様に、第1の流体を導くための構造体110.13を段付き構造として形成している。したがって、互いに対して直角に配置された複数の段付き部分構造ユニットの網状構造が、フロー方向101.13又は102.13それぞれに配置されているか、又は一定の間隔をおいて配置されている直方体状の結合要素114.13を介して、周方向レッジ120.13の領域において互いに結合続されていることから、モノリス構造体100.13 が得られる。結合要素114.13の短い縁部は周方向レッジ120.13の短い縁部と一致している。
【0112】
しかしながら、上述した実施形態は例示として理解されるに過ぎず、本発明の根幹をなす枠組みの中で修正可能となっている。
【0113】
図1に示す接触装置1を多重に形成することができ、これによってより多くの段部要素2a、2bを備える大型の接触装置1が形成される。このような要素は、大型の接触装置1を製造するために所望の頻度で、たとえば間隔Aをおいて、且つ異なる基本配向において繰り返し設けてもよい。
【0114】
図1に例示している層2、2’、2’’、2’’’、2’’’’、2’’’’’の層厚さは、30μm~10mmまで異なっていてもよい。本実施例では、層2、2’、2’’、2’’’、2’’’’、2’’’’’は500μmの層厚さを有する。
【0115】
図2では、組織又は開放気孔発泡体を、たとえば図4に示すようなステップバーの形態で規則配置されるキャピラリシステムとして設けることもできる。図8図9及び図10に示すランダム構造を有する開放気孔材料を、規則配置されるキャピラリ及び/又はステップバーを備える規則構造に置き換えることもできる。
【0116】
要約すると、本発明によれば、2つの流体をとりわけ効率的な方法で互いに接触させることができ、これによって溢流の危険性を低減することができる装置を提供することが確定される。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12
図13