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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】聴取装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240611BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04R1/10 104C
H04R25/02 A
H04R25/02 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019217632
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021087210
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000115636
【氏名又は名称】リオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 敦
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0159298(US,A1)
【文献】特表2009-527134(JP,A)
【文献】特開昭62-095097(JP,A)
【文献】特開昭60-232800(JP,A)
【文献】実開昭61-021191(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホンと、電子部品を収める筐体を有する本体と、当該イヤホンと当該電子部品とを接続するコードとを備え、
前記本体と前記コードとの間に、前記筐体から延出される当該コードの長さを変更可能な調整機構を有し、
前記調整機構は、
前記本体に設けられ、前記筐体に対して前記コードが延出される向きに沿って移動可能な第三本体側接続部と、
前記コードに設けられ、前記第三本体側接続部に接続される第三コード側接続部と、で構成される、ことを特徴とする聴取装置。
【請求項2】
イヤホンと、電子部品を収める筐体を有する本体と、当該イヤホンと当該電子部品とを接続するコードとを備え、
前記本体と前記コードとの間に、前記筐体から延出される当該コードの長さを変更可能な調整機構を有し、
前記調整機構は、
前記本体に設けられ、前記コードが延出される向きに沿って複数配置された挿入穴と、
前記コードに設けられ、複数の前記挿入穴のそれぞれに挿入可能なコネクタと、を備え、
前記挿入穴の何れかに前記コネクタを挿入すると前記イヤホンと前記電子部品が電気的に接続される、ことを特徴とする聴取装置。
【請求項3】
イヤホンと、電子部品を収める筐体を有する本体と、当該イヤホンと当該電子部品とを接続するコードとを備え、
前記本体と前記コードとの間に、前記筐体から延出される当該コードの長さを変更可能な調整機構を有し、
前記調整機構は、
前記本体に設けられる本体側接続部と、
前記コードに設けられ、前記本体側接続部に接続されるコード側接続部と、を備え、
前記本体は、前記コードが延出される向きに沿って複数配置された突起又は凹部を備え、
前記コードは、前記本体側接続部と前記コード側接続部を接続した状態において前記本体に設けた前記突起に嵌まり込む凹部、又は前記本体側接続部と前記コード側接続部を接続した状態において前記本体に設けた前記凹部に嵌まり込む突起を備える、ことを特徴とする聴取装置。
【請求項4】
前記本体側接続部は、前記コードが延出される向きに沿って複数配置されるものであることを特徴とする請求項3に記載の聴取装置。
【請求項5】
前記本体は、装用者の耳介の後ろ側に載置可能であって、前記コードは、当該本体から前方に向けて延出されることを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の聴取装置。
【請求項6】
前記本体は、眼鏡のテンプル、先セル、又は当該テンプルから先セルにかけての部位として構成され、前記コードは、当該本体から前方に向けて延出されることを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の聴取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声や音楽などを聴取するための様々な聴取機器が使用されている。例えば、難聴者の聴覚を補う聴取装置として、外耳道に装用するイヤホンに気導音を発生させるレシーバ(スピーカ)を組み込んだ、耳かけ型もしくはメガネ型のRIC(Receiver in the canal)型補聴器が使われている。RIC型補聴器は、特許文献1に開示されているように、概略、耳介や外耳道に装用されるイヤホンと、耳介裏側の付け根の上に載置される補聴器本体と、イヤホンと補聴器本体とを接続するコードで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-188334号公報
【文献】特開平10-56698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、装用者によって耳介の形は様々であるため、上記のコードの長さも装用者によって変わることになる。このため、このような補聴器を製造する企業では、長さの異なるコードを複数種類用意しなければならず、在庫管理の手間などが生じている。また、装用者に適した状態になるように補聴器のフィッティングを行って販売する企業においても、長さの異なるコードを在庫として用意しなければならないうえ、在庫管理の煩わしさがある。
【0005】
なお、聴取機器として装用者の耳介の形状や大きさに応じた調整が容易に行えるとするものは、特許文献2において電気音響変換装置として開示されている。しかし特許文献2に開示された電気音響変換装置は、耳介に装用される装着部2に設けられた取付け穴43に対し、耳掛け部4のスライドシャフト44がスライドし、また回転できるものであって、コードの長さを変更できるものではない。
【0006】
このような点に鑑み、本発明では、従来、装用者に応じて異なる長さで複数種類準備しなければならなかったコードが一種類で済む聴取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における聴取装置は、イヤホンと、電子部品を収める筐体を有する本体と、当該イヤホンと当該電子部品とを接続するコードとを備え、前記本体と前記コードとの間に、前記筐体から延出される当該コードの長さを変更可能な調整機構を有し、前記調整機構は、前記本体に設けられ、前記筐体に対して前記コードが延出される向きに沿って移動可能な第三本体側接続部と、前記コードに設けられ、前記第三本体側接続部に接続される第三コード側接続部と、で構成される、ことを特徴とする。
また本発明における聴取装置は、イヤホンと、電子部品を収める筐体を有する本体と、当該イヤホンと当該電子部品とを接続するコードとを備え、前記本体と前記コードとの間に、前記筐体から延出される当該コードの長さを変更可能な調整機構を有し、前記調整機構は、前記本体に設けられ、前記コードが延出される向きに沿って複数配置された挿入穴と、前記コードに設けられ、複数の前記挿入穴のそれぞれに挿入可能なコネクタと、を備え、前記挿入穴の何れかに前記コネクタを挿入すると前記イヤホンと前記電子部品が電気的に接続される、ことを特徴とするものでもある。
また本発明における聴取装置は、イヤホンと、電子部品を収める筐体を有する本体と、当該イヤホンと当該電子部品とを接続するコードとを備え、前記本体と前記コードとの間に、前記筐体から延出される当該コードの長さを変更可能な調整機構を有し、前記調整機構は、前記本体に設けられる本体側接続部と、前記コードに設けられ、前記本体側接続部に接続されるコード側接続部と、を備え、前記本体は、前記コードが延出される向きに沿って複数配置された突起又は凹部を備え、前記コードは、前記本体側接続部と前記コード側接続部を接続した状態において前記本体に設けた前記突起に嵌まり込む凹部、又は前記本体側接続部と前記コード側接続部を接続した状態において前記本体に設けた前記凹部に嵌まり込む突起を備える、ことを特徴とするものでもある。
【0008】
このような聴取装置において、前記本体側接続部は、前記コードが延出される向きに沿って複数配置されるものであることが好ましい。
【0011】
前記本体は、装用者の耳介の後ろ側に載置可能であって、前記コードは、当該本体から前方に向けて延出されるように構成することが好ましい。
【0012】
また前記本体は、眼鏡のテンプル、先セル、又は当該テンプルから先セルにかけての部位として構成され、前記コードは、当該本体から前方に向けて延出されるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の聴取装置によれば、筐体から延出されるコードの長さを調整機構によって変更することが可能であるため、従来、装用者に応じて異なる長さで複数種類準備しなければならなかったコードが一種類で済むことになり、コストが抑制でき、また、在庫管理の煩わしさを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を具現化した聴取装置(耳かけ型補聴器)の第一実施形態を模式的に示した図であって、(a)は斜視図であり、(b)は分解斜視図である。
図2】本発明を具現化した聴取装置(耳かけ型補聴器)の第二実施形態を模式的に示した図であって、(a)はコネクタの側面図、底面図、背面図であり、(b)は本体側接続部の平面図であり、(c)は本体側接続部を構成する金属板の平面図であり、(d)は本体側接続部にコネクタを接続する状況について(b)のA-Aに沿う断面で示した図である。
図3】第二実施形態の変形例について示した図であって、(a)は本体側接続部を構成する金属板の平面図であり、(b)は本体側接続部にコネクタを接続する状況について、図2(b)のA-Aに沿う断面に準じて示した図である。
図4】第二実施形態の更なる変形例について示した図である。
図5】本発明を具現化した聴取装置(耳かけ型補聴器)の第三実施形態を模式的に示した図であって、(a)はコネクタ周辺における側面図、底面図、背面図であり、(b)は本体側接続部周辺における平面図であり、(c)は本体側接続部にコネクタを接続する状況について(b)のB-Bに沿う断面で示した図である。
図6】本発明を具現化した聴取装置(メガネ型補聴器)の一実施形態に関し、(a)は耳介にかかる部分(テンプル(つる)や先セル(モダン)と称される部分)を模式的に示した斜視図であり、(b)は(a)とは視点を変えて示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を具現化した聴取装置について説明する。まず、図1を参照しながら、本発明を具現化した聴取装置の第一実施形態について説明する。
【0016】
図1に示すように本実施形態の聴取装置100は、耳かけ型補聴器として構成されるものであって、装用者の耳介裏側の付け根の上に載置可能な本体1と、外耳道と耳甲介に装用可能なイヤホン2と、本体1とイヤホン2とをつなぐとともに、装用時において耳介の前方を延在するコード3を備えている。また本体1とコード3との間には、後述する本体側接続部(第一本体側接続部)5とコネクタ(第一コード側接続部)6で構成される調整機構が設けられている。なお便宜上、本明細書等においては図1(a)に示すように、本体1からコード3が延出される側を「前」、その逆側を「後」として説明する。また「上」、「下」、「右」、「左」とは、「前」から「後」に向かって見る際の向きである。なお、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、「下」の向きは、聴取装置100を装用した状態での装用者にとっての向きでもある。
【0017】
本体1は、本体1の外殻をなす筐体4を備えている。本実施形態の筐体4は、筐体本体4aと、筐体本体4aに対して着脱可能なカバー4bとで構成されていて、筐体本体4aにカバー4bを取り付けた状態において耳介の後ろ側に収まるように形作られている。ここでコード3は、本実施形態においては、筐体本体4aとカバー4bとの間から、筐体4の長手方向(前後方向)に沿って延出されている。
【0018】
本体1は、筐体本体4aの内部において、補聴器として電気的に動作させるための電子部品を備えている。本実施形態の電子部品には、音を電気信号に変換するマイクロホンや、マイクロホンから出力される電気信号を装用者の聴力に適合するように補聴処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)が設けられた電気回路、電池、各種のスイッチ等が含まれる。
【0019】
また本体1は、図1(b)に示すように筐体本体4aにおけるカバー4bを取り付ける部位において、本体側接続部(第一本体側接続部)5を備えている。本実施形態の本体側接続部5は、平面視において長方形状をなすベース5aを備えていて、ベース5aの上面には、円形状の挿入穴5bが複数設けられている。なお、本実施形態における本体側接続部5は、ベース5aの短手方向(左右方向)に並ぶ2つの挿入穴5bを一組として、これをベース5aの長手方向(前後方向)に沿う向きに等間隔で複数組配置したものである。また挿入穴5bの壁面は、金属で形成され導電性を有しており、長手方向の列毎に電気的につながり、さらに上記の電気回路に対して電気的につながっている。
【0020】
そしてカバー4bは、図1(b)に示すようにその裏面において、突起4cを備えている。本実施形態における突起4cは、カバー4bの長手方向に等間隔で複数個設けられている。
【0021】
イヤホン2は、気導音や耳軟骨に伝わる振動を発生させるものであって、耳介や外耳道に装用することによって気導音等を聴覚器官に伝達する機能を有する。イヤホン2は様々な種類のものが使用可能であって、例えば内部に組み込んだレシーバ(スピーカ)から気導音を発生させるものでもよいし、電気機械変換器によってイヤホン2の筐体を振動させ、その振動に伴って気導音を発生させるものでもよい。また、耳介に装用した際、内部に組み込んだ電気機械変換器によって振動する振動面が耳介の壁面に接触するようにしておき、振動面からの振動を耳軟骨に伝えるようにした軟骨伝導イヤホンでもよい。
【0022】
コード3は、比較的細径の電線と、電線の外側を覆う被覆材とを備えるものであって、本体1とイヤホン2とを接続している。本実施形態のコード3は、本体1に接続される側の端部に、コネクタ(第一コード側接続部)6を備えている。コネクタ6は、挿入穴5bに挿入可能なピンの如き形態をなし、上記の電線につながるとともに導電性を有する金属製の端子6aを備えている。本実施形態のコネクタ6は、左右方向に一列になるように配置された2つの端子6aを備えていて、2つの端子6aの間隔は、左右方向に並ぶ2つの挿入穴5bの間隔と略同一である。そして2つの端子6aを2つの挿入穴5bに挿入することにより、コード3は、本体1の電子部品からの電気信号をイヤホン2に伝えることができる。またコネクタ6は、端子6aが設けられた反対側の面(上面)において、凹部6bを備えている。凹部6bは、カバー4bに設けた突起4cの何れか一つが嵌まる大きさで形成されている。
【0023】
このように構成される聴取装置100は、ベース5aの長手方向(前後方向)に沿う向きに等間隔で複数組配置された2つで一組の挿入穴5bに対し、コネクタ6の2つの端子6aは、その何れの組にも挿入することが可能である。すなわち、ベース5aの後方に設けた挿入穴5bに端子6aを挿入する場合は、筐体4から延出されるコード3の長さは短くなり、ベース5aの前方に設けた挿入穴5bに端子6aを挿入する場合は、筐体4から延出されるコード3の長さは長くなる。このように本実施形態の聴取装置100によれば、本体側接続部5とコネクタ6によって、同一のコード3であっても筐体4から延出される長さを変更することができる。
【0024】
また聴取装置100は、端子6aを何れの挿入穴5bに挿入した場合でも、コネクタ6の凹部6bに対し、カバー4bに設けた何れかの突起4cが嵌まり込むようにしているため、凹部6bと突起4cによってコネクタ6の位置を固定することができる。従って、コード3に引張力が作用することがあっても、コネクタ6が一緒に引っ張られることがないため、挿入穴5bに挿入された端子6aが根元で曲がってしまう不具合を防止することができる。また突起4cと凹部6bは、相互に嵌まり込んだ状態においてこれらの間の上下方向の隙間が小さくなるように構成することが好ましく、これにより、コネクタ6が浮き上がって端子6aが挿入穴5bから抜け出してしまう不具合が防止できる。
【0025】
なお、本実施形態ではカバー4bの裏面に突起4cを設け、コネクタ6の上面に凹部6bを設けたが、突起4cと凹部6bを設ける位置はこれに限られず、例えばカバー4bの側面とコネクタ6の側面に対してそれぞれ突起4cと凹部6bを設けてもよい。また、コネクタ6の下面に凹部6bを設け、ベース5aの上面に突起4cを設けてもよい。更に、突起4cと凹部6bを何れの部材に設けるかも任意に変更可能であって、カバー4bに凹部6bを設け、コネクタ6に突起4cを設けてもよい。
【0026】
また、突起4cと凹部6bに替えて(或いは併用して)、カバー4bとコネクタ6との間に弾性部材(ゴムやスポンジなど)を設けてもよい。弾性部材によってコネクタ6は下方に向けて押し付けられるため、この場合も、コネクタ6の位置を固定することができる。
【0027】
次に、本発明を具現化した聴取装置の第二実施形態について、図2を参照しながら説明する。本実施形態の聴取装置200は、上述した本体側接続部(第一本体側接続部)5とコネクタ(第一コード側接続部)6で構成される調整機構に替えて、本体側接続部(第二本体側接続部)15とコネクタ(第二コード側接続部)16で構成される調整機構を有するものである。なお、第二実施形態におけるその他の部位は第一実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0028】
図2(b)に示すように本体側接続部15は、筐体本体4aに設けられた平板状のベース15aと、前後方向に長く延在するとともにベース15aを貫通する2つの挿入穴15bとを備えている。また図2(c)、図2(d)に示すようにベース15aの下方には、挿入穴15bの左右両側に位置して前後方向に長く延在する一対の金属板15cが設けられている。本実施形態では2つの挿入穴15bが設けられているため、金属板15cは、合計で二対設けられている。本実施形態の金属板15cは、図2(d)に示すように横断面形状が逆V字状になるように折り曲げて形成されるものであって、左右方向に幅が狭まるようにして弾性変形することが可能である。また一対の金属板15c同士は、図2(c)に示すようにコード等によって電気的に接続されている。なおこのコード等は、第一実施形態で説明した電子部品に対して電気的に接続されている。
【0029】
コネクタ16は、コード3の端部に設けられている。コネクタ16は、上述した端子6aに替えて、直方体状に形成されて挿入穴15bに挿入可能であって、導電性を有する端子16aを備えている。本実施形態のコネクタ16は、左右方向に一列になるように配置された2つの端子16aを備えていて、それらの間隔は、2つの挿入穴15bの間隔と略同一である。また端子16aは、挿入穴15bに挿入することによって対をなす金属板15cに挟み込まれ、金属板15cと電気的に接続される。
【0030】
本実施形態の聴取装置200によれば、前後方向に長く延在する挿入穴15bの何れの位置にも端子16aを挿入することができる。すなわち、挿入穴15bの後方部分に端子16aを挿入する場合は、筐体4から延出されるコード3の長さは短くなり、ベース15aの前方部分に端子16aを挿入する場合は、筐体4から延出されるコード3の長さは長くなる。このように本実施形態の聴取装置200においても、本体側接続部15とコネクタ16によって、筐体4から延出されるコード3の長さを変更することができる。
【0031】
なお、金属板15cは図2に示したものに限定されず、例えば図3に示す金属板15dを採用してもよい。金属板15dは、金属板15cのように折り曲げずに板状のままで構成したものである。そして、図3(b)に示すように、挿入穴15bに端子16aを挿入した際、金属板15dの側面(隣り合う金属板15dに対向する側面)に端子16aの側面を接触させることによって、両者を電気的に接続させることができる。なお、金属板15dに端子16aを接触させるにあたっては、図示した金属板15dの側面とは逆側の側面(隣り合う金属板15dに対して反対側の側面)でもよい。また、図4のように、ベース15aの表面に薄板状の金属板15eを設けるとともに、コネクタ16には高さの低い端子16bを設け、金属板15eの上面と端子16bが接触するようにしてもよい。
【0032】
また図示は省略したが、本実施形態においても、第一実施形態で説明した突起4cや凹部6bを設けてもよいし、コネクタ16を押し付けるための弾性部材を設けてもよい。
【0033】
次に、本発明を具現化した聴取装置の第三実施形態について、図5を参照しながら説明する。本実施形態の聴取装置300は、第一実施形態における本体側接続部(第一本体側接続部)5とコネクタ(第一コード側接続部)6で構成される調整機構に替えて、本体側接続部(第三本体側接続部)25とコネクタ(第三コード側接続部)26で構成される調整機構を有するものである。
【0034】
図5(b)に示すように本体側接続部25は、筐体本体4aに設けられたベース25aと、ベース25aの幅方向中央部において前後方向に長く延在する貫通穴25bを備えている。また貫通穴25bが形成されるベース25aの内側側面には、図5(c)に示すように溝部25cが設けられている。なお溝部25cも、前後方向に長く延在している。また貫通穴25bの内側には、スライド部材25dが配置されている。スライド部材25dは、溝部25cに嵌まり込んで溝部25cに対して摺動可能な突起部25eを備えている。これによりスライド部材25dは、筐体本体4aに対して前後方向に移動することができる。またスライド部材25dの上面には、円形状の挿入穴25fが設けられている。本実施形態の挿入穴25fは、スライド部材25dに対して、左右方向に一列になるように2つ設けられている。また挿入穴25fは、その壁面が導電性を有していて、図5(b)に示すようにコード等によって、筐体本体4aに収められた電子部品に対して電気的に接続されている。
【0035】
コネクタ26は、第一実施形態で説明したコネクタ6に替えてコード3の端部に設けられている。またコネクタ26は、第一実施形態で説明した端子6aと同様の端子26aを備えている。本実施形態のコネクタ26は、左右方向に一列になるように配置された2つの端子26aを備えていて、それらの間隔は、2つの挿入穴25fの間隔と略同一である。また端子26aは導電性を有していて、挿入穴25fに挿入することによって端子26aと挿入穴25fは電気的に接続される。
【0036】
本実施形態の聴取装置300では、スライド部材25dを、筐体本体4aに対して前後方向に任意の位置へ移動させることができる。すなわち、スライド部材25dを後方に移動させた状態で挿入穴25fに端子26aを挿入すれば、筐体4から延出されるコード3の長さは短くなり、スライド部材25dを前方に移動させた状態で挿入穴25fに端子26aを挿入すれば、筐体4から延出されるコード3の長さは長くなる。このように本実施形態の聴取装置300においても、本体側接続部25とコネクタ26によって、筐体4から延出されるコード3の長さを変更することができる。
【0037】
なお、本実施形態においても、第一実施形態で説明した突起4cや凹部6bを設けてもよいし、コネクタ26を押し付けるための弾性部材を設けてもよい。また、スライド部材25dを前後方向に移動させるにあたり、所定の位置で段階的に止めることができるように、ベース25aに複数の凸部を設け、スライド部材25dには凸部に係合する凹部を設けてもよい(ベース25aに凹部を設け、スライド部材25dに凸部を設けてもよい)。
【0038】
これまでに述べた実施形態の聴取装置は耳かけ型補聴器として構成したものであったが、本発明の聴取装置はこれに限られるものではなく、例えば眼鏡型補聴器として具現化することも可能である。図6は、眼鏡型補聴器として具現化した聴取装置400に関し、耳介にかかる部分(テンプル(つる)や先セル(モダン)と称される部分)を示した図である。本実施形態においては、耳介にかかる部分が図1における本体1に対応していて、その内部に電子部品等が収められている。またカバー4bは、耳介にかかる部分(耳介の裏側に回り込むように屈曲する部分の前方部分)の下部に設けられている。そしてコード3は、カバー4bの前側部分から前方に向けて延出されるように設けられていて、その先端部には、外耳道に装用可能なイヤホン2が設けられている。図示は省略するが、本実施形態の聴取装置400も、上述した聴取装置100、200、300と同様な構成を採用して、同一のコード3であっても本体1から延出される長さを変更することができる。
【0039】
以上、本発明を具現化した実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、図1に示した第一実施形態の端子6aと挿入穴5bは、それぞれ左右方向に2つ並べて一組としていたが、3つ以上でもよく、その数は任意に変更してもよい。また上記の一の実施形態が備える構成を、他の実施形態に適用してもよい。なお、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。また聴取装置は、上述した補聴器に限られず、集音器やオーディオ用の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1:本体
2:イヤホン
3:コード
4:筐体
5:本体側接続部(第一本体側接続部)
6:コネクタ(第一コード側接続部)
15:本体側接続部(第二本体側接続部)
16:コネクタ(第二コード側接続部)
25:本体側接続部(第三本体側接続部)
26:コネクタ(第三コード側接続部)
100、200、300、400:聴取装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6