(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】乗物屋根のための透光性屋根組立体
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/62 20170101AFI20240611BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240611BHJP
B60Q 3/208 20170101ALI20240611BHJP
B60J 7/02 20060101ALI20240611BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240611BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240611BHJP
【FI】
B60Q3/62
F21S2/00 435
F21S2/00 439
F21S2/00 443
B60Q3/208
B60J7/02 C
B60R11/02 C
F21Y115:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019236901
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-14
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503036818
【氏名又は名称】イナルファ・ルーフ・システムズ・グループ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・ファン・ドレヴェールト
(72)【発明者】
【氏名】セルゲーヴィジ・ロイコ
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-174132(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298601(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011016433(DE,A1)
【文献】特表2015-531149(JP,A)
【文献】国際公開第2016/129645(WO,A1)
【文献】特開2005-347010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00-3/88
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00
F21V 8/00
B60J 7/02
B60R 11/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物屋根のための透光性屋根組立体であって、
-透光性領域を有するパネルであって、前記乗物屋根にある開口部を覆うように配設され、前記透光性領域を通して第1方向で可視光が通過することを可能とするように構成されており、前記第1方向が、乗物の内部と前記乗物の外部との間で延在しかつ当該パネルの表面に対してほぼ垂直である、パネルと、
-第2方向で前記パネル内に光を供給するように構成された光源であって、前記第2方向が、前記第1方向に対してほぼ垂直である、光源と、
-前記パネルの前記透光性領域の前記表面に配設された出力結合パターンであって、前記パネル内を伝搬する光を出力結合させるための光方向変更材料からなるドットを備え、前記ドットそれぞれが、ドット表面積を有する、出力結合パターンと、
を備え、
前記ドットそれぞれが、150マイクロメートル以下の等価径を有し、前記ドットの前記等価径が、前記ドットの前記ドット表面積と同じ表面積を有する円の直径に対応し、
前記出力結合パターンの前記ドットの全ドット表面積が、前記透光性領域の前記表面に配設された前記ドット全ての前記ドット表面積の和に等しく、前記全ドット表面積が、前記透光性領域の全表面積の10%未満であることを特徴とする透光性屋根組立体。
【請求項2】
前記等価径が、約50マイクロメートル以上約80マイクロメートル以
下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項3】
前記等価径が、約50マイクロメートル以上約70マイクロメートル以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項4】
前記等価径が、約20マイクロメートル以上約50マイクロメートル以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項5】
前記全ドット表面積が、前記透光性領域の全表面積の約1%以上約7%以下の範
囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項6】
前記全ドット表面積が、前記透光性領域の全表面積の約3%以上約6%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項7】
前記全ドット表面積が、前記透光性領域の全表面積の約4%以上約5%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項8】
前記ドットが、前記表面に規則的に配設されており、前記ドットが、隣接するドットとの間で間隔距離で配設されており、前記間隔距離が、前記等価径の3倍より大き
いことを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項9】
前記ドットが、前記表面に規則的に配設されており、前記ドットが、隣接するドットとの間で間隔距離で配設されており、前記間隔距離が、前記等価径の4倍より大きいことを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項10】
前記ドットが、前記表面に規則的に配設されており、前記ドットが、隣接するドットとの間で間隔距離で配設されており、前記間隔距離が、前記等価径の5倍より大きいことを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項11】
前記光源が、複数の個別の光源、特に複数のLEDを備えることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項12】
ドット被覆率が、単位面積での全面積に対する前記単位面積での前記ドット全ての全ドット表面積の比であり、前記光源に近接する側における前記ドット被覆率が、前記光源から離間する側における前記ドット被覆率と比較して小さいことを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項13】
前記パネルが、不透明領域をさらに備え、
前記不透明領域におけるドット被覆率が、前記透光性領域における
ドット被覆率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項14】
前記パネルが、前記出力結合パターンが存在しない非被覆領域をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項15】
前記光源が、前記パネルにある凹所
に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項16】
前記光源が、前記パネルの前記透光性領域の境界にある凹所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項17】
当該透光性屋根組立体が、光画像を投影するための画像投影機をさらに備え、
前記画像投影機が、前記出力結合パターンに前記光画像を投影するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【請求項18】
前記光方向変更材料が、反射性材料及び光輝性材料のうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の透光性屋根組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物(車両)のための透光性屋根組立体に関し、光源は、透光性屋根組立体のパネルに光を供給するように構成されており、パネルを導光体として使用し、適切な構造体をパネルに適用して上記構造体の所定の場所において光を出力結合させる(couple out)。
【背景技術】
【0002】
乗物のための透光性屋根組立体は、一般的に公知である。例えば、ガラスパネルは、乗物の屋根にある開口を覆って配設されており、日光が屋根を通して乗物の内部に入ることを可能とする。公知の透光性屋根組立体において、少なくとも部分的に透過性を有するパネルは、開口部を覆って固定的に配設されている一方で、別の公知の透光性屋根組立体において、パネルは、移動可能に配設されている。特に、移動可能に配設されたパネルは、傾け可能であり得るかつ/またはスライド可能であり得る。
【0003】
さらに、公知であることは、少なくとも部分的に透光性を有するパネルの縁部近傍に光源を配設し、それにより、光源から放出された光をパネル内に投入し、光がパネルにわたって伝搬しており、パネルは、導光体として機能する。光を乗物の内部へ向けるために、光出力結合構造体が設けられている。例えば、光反射型ドットは、パネルの第1面に配設されている。パネル内を伝搬して第1面にあるこのような反射型ドットに衝突する光は、その後、反対側の第2面に向けて方向変更され、第2面においてパネルから出ており、これにより、乗物の内部を照明する。
【0004】
機能的な照明として光出力結合を実現するために、公知の透光性屋根組立体では、比較的大きな反射型ドットを付与している。ドットは、比較的大径である。例えば夜などの特に背景が暗い状態での照射時に、反射型ドットは、照らされて別個の光源としてはっきり表れ、これにより、機能的な照明を提供する。しかしながら、例えば背景が明るい日中において、ドットは、暗いドットとして知覚され、視界を妨害する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の透光性屋根組立体の上述した欠点の観点から、本発明の目的は、視界を妨害することなく機能的な照明を提供するように構成された透光性屋根組立体を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1にかかる透光性屋根組立体において実現される。請求項1にかかる開放屋根組立体は、パネルと、光源と、出力結合パターンと、を備える。パネルは、透光性領域を備え、乗物屋根にある開口部を覆うように配設され、透光性領域を通して第1方向で可視光が通過することを可能とするように構成されており、第1方向は、乗物の内部と乗物の外部との間で延在し、パネルの表面にほぼ垂直である。光源は、第2方向でパネル内に光を供給するように構成されており、第2方向は、第1方向に対してほぼ垂直である。出力結合パターンは、パネルの透光性領域の表面に配設されており、パネル内を伝搬する光を出力結合させるための光方向変更材料からなるドットを備える。ドットそれぞれは、80マイクロメートル以下の等価径を有する。ドットの等価径は、上記ドットのドット表面積と同じ表面積を有する円の直径に対応する。全ドット表面積は、透光性領域の全表面積の10%未満であり、出力結合パターンのドットの全ドット表面積は、透光性領域の表面に配設されたドット全てのドット表面積の和に等しい。
【0007】
本発明によれば、小ドットをパターンで付与し、パネルの透光性領域の表面積の10%以下は、ドットで覆われる。ドットは、任意の種の形態または形状を取り得る。乗物の通常の視認距離において、これらドットは、好ましくは、これらドットの寸法に起因して人間の視界によって個別に識別できない。したがって、等価径は、好ましくは、80マイクロメートル未満であり得る。さらに、表面の10%未満を覆っているので、透光性領域を通した視界は、妨害なくはっきりと見える。一方、光源から照射されると、はっきりとした個別の光源が認知可能ではないにもかかわらず、小ドットは、光を内部へ方向変更する。
【0008】
しかしながら、特有の形態において、等価径は、80マイクロメートルより大きくてもよい。このような形態において、ドットは、乗物のタイプ間で変化する通常視認距離に応じて、個別に識別可能であり得る。依然として、ドットの等価径が約150マイクロメートル未満のままである場合、ドットは、視認者が外を見ることに焦点を合わせていると、視認不能なままである。特に、外光や視認者の焦点がドットの平面からずっと離間した平面に向けられていることに起因して、ドットは、視認した画像から消える。
【0009】
一形態において、ドットの等価径は、約50マイクロメートル以上約70マイクロメートル以下の範囲にある。このようなドットは、スクリーン印刷によって容易にかつコスト効率よく製造可能である。別の形態において、等価径は、約20マイクロメートル以上約50マイクロメートル以下の範囲にある。この範囲にある寸法を有するドットは、例えばインクジェット印刷によって形成され得る。これらドットの非常に小さい寸法に起因して、このようなドットは、人間の目によって検知することがより困難である。
【0010】
スクリーン印刷は、透光性屋根システムで使用されるガラスまたは他の透光性材料と組み合わせて使用するのに非常に適した方法である。
【0011】
インクジェット印刷は、液滴寸法及び液滴配置が比較的高い精度である非常に小さなインク液滴を可能とする製造技術であり、出力結合パターンにおけるドットの高精度かつ均一な分配をもたらすことができる。
【0012】
インクジェット印刷は、後に多層パネルにおいて中間層として使用される可撓性材料箔またはウェブにドットを印刷するための適切な製造方法であり得る。例えば、ドットは、PVBまたはEVA箔上に印刷され得る。そして、印刷したPVBまたはEVA箔は、2つのガラス層間に配設され得る。特に、箔の印刷面は、ガラス層の表面に配設され得、このガラス層には、光を結合し、それにより、印刷したドットは、光を出力結合するためにこのようなガラス層と接触する。特に小寸法及び低表面被覆率に起因して、ガラス層とEVAまたはPVB中間層との間の付着強度は、十分なままであり得る。
【0013】
スクリーン印刷もしくはインクジェット印刷または任意の他の適切な技術によって付与されたインクは、白色反射性インクであり得、光方向変更特性をもたらす。さらに、光輝性インクは、代替としてまたはさらに付与され得る。もちろん、インクジェットインクは、反射性かつ光輝性双方であり得る。光輝性インクは、例えば、紫外線光を可視光に変換し得る。したがって、特有の形態において、少なくとも2つの光源を設け得、一の光源は、反射される可視光を出力し、一の光源は、変換される紫外線光を出力する。さらに、光出力結合パターンは、利用可能な光源のうちの1つを適切に選択することによって、特定の光効果を選択的に得られ得るように設計され得る。
【0014】
一形態において、全ドット表面積は、透光性領域の全表面積の約1%以上約7%以下の範囲、好ましくは約3%以上約6%の範囲、特に好ましくは約4%以上約5%以下の範囲にあり得る。特に光出力に関して適切な光源を使用すると、透光性領域のドット被覆率をさらに減少させるのに十分であり得る。被覆率を低減すると、ドットの視認性は、さらに低減する。留意することは、光源による光出力が十分な強度であると、被覆率は、出力結合パターンの所望の光出力にしたがってさらに低減され得る。
【0015】
一形態において、ドットは、表面に規則的に配列されており、ドットは、隣接するドットとの間において間隔距離で配設されている。特に、間隔距離は、等価径の3倍より大きい、好ましくは等価径の4倍より大きい、より好ましくは等価径の5倍より大きい。このため、パターンの低視認性、対応して高透過性が得られる。
【0016】
一形態において、光源は、複数のLEDを備える。例えば、LEDは、パネルの周辺に規則的に1つずつ配列されており、透光性領域にわたって均一な光出力を提供する。別の例において、複数のLEDをほぼ同じ位置に配設し得、LEDそれぞれは、異なる色の光を出力し得る、例えば、3つのLEDは、赤色、緑色及び青色の光を各別に出力し得る。このため、従来から周知のように、LEDごとの光出力を制御することによって、仮想的に任意の色の光を生成させ得る。一般に、複数のLEDを用いることにより、光効果をもたらすことが可能となる。
【0017】
一形態において、光源に近い側のドット被覆率は、光源から遠い側のドット被覆率と比較して低い。上述のように、ドット被覆率は、単位面積での全面積に対する単位面積でのドット全ての全ドット表面積の比である。ドット被覆率が高いと、より多くの光を出力結合する一方、ドットカバー率が低いと、より少ない光を出力結合する。光源に近いと、より多くの光が利用可能である一方、光源から離間していると、光量は、少なくなる。透光性領域にわたって均一な光出力を達成するため、光源に近い側のドット被覆率を低減し得、光源から遠い側で、ドット被覆率を増加させ得る。もちろん、留意することは、別の形態において、別の光効果を所望して局所的なドット被覆率を別に選択し得る。
【0018】
さらに、一形態において、パネルは、不透明領域を備え得、この不透明領域におけるドット被覆率は、透光性領域におけるよりも高くなり得る。公知の透光性屋根組立体において、パネルの透過性領域は、不透明領域、例えばエナメル層で形成された黒色領域で囲まれている。このような不透明領域は、例えば、開放屋根組立体の機能素子を覆うためにまたは任意の他の理由のために設けられ得る。このような不透明領域において、透過性がないことに関して、ドット被覆率は、比較的高くなり得る、かつ/または、ドット表面積は、大きくなるように選択され得る。このため、このような不透明領域において、光出力は、高くなり得る。
【0019】
さらなる形態において、パネルは、ドットが配設されていない非被覆領域を備え得る。特に、このような非被覆領域は、LED光源のような個別の光源によって光をパネルに結合するパネルの縁部に隣接して設けられ得る。非被覆領域において、出力結合される光は、非常に少なくまたはなく、個別の複数の光源からの光を混合するまたは混ぜ合わせることを可能とし、個別の複数の光源が光画像において視認可能であることを防止する。例えば、3つの異なる色、例えば赤色、緑色及び青色(RGB)などの個別の複数のLEDのアレイは、設けられ得、非被覆領域は、光を出力結合する前に3色を白色光へ混合することを可能とするように設計かつ構成され得る。
【0020】
一形態において、透光性屋根組立体は、光画像を投影するための画像投影機をさらに備え、画像投影機は、光画像を出力結合パターンに投影するように構成されている。光源を点灯させることに替えて、画像投影機は、出力結合パターンに画像または映画を投影するために使用され得る。比較的大きなドットを有する従来技術のパターンが視認に十分な画像品質を提供するのに適していない一方で、本発明にかかる出力結合パターンは、投影した画像または映画を提示するのに十分な画像解像度を提供する。画像投影機は、乗物の任意の適切な場所に位置し得る。例えば、投影機は、適切な光学系を用いて、運転席もしくは助手席のヘッドレストに、または、屋根の直下に配設され得る。このため、従来技術の粗いパターンと比較して、本発明のマイクロドットパターンは、より多くの用途に適している。
【0021】
平面光源としてマイクロドットパターンを用いる場合、一形態において、透光性屋根組立体には、表示層が設けられ得、特に、液晶ディスプレイ(LCD)層が設けられ得る。平面光源として、マイクロドットパターンは、LEDディスプレイ層のためのバックライト光源として適切である。さらに、昼光条件中に、LEDディスプレイ層は、光をフィルタするためのまたは過剰な量の光を遮蔽するための手段としても使用され得、これにより、日よけとして機能する。
【0022】
本発明のさらなる範囲の適用性は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、理解すべきことは、添付の概略的な図面を参照して、本発明の範囲内における様々な変更及び改変がこの詳細な説明から当業者に明らかであるので、詳細な説明及び具体的な例が、本発明の実施形態を示す一方で、例のみとして与えられていること、である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】開放屋根組立体を有する乗物屋根を示す斜視図である。
【
図2C】
図2Aの出力結合パターンにおける4つのドットを示す図である。
【
図3A】ガラスパネル上に配設された4つの例示的な出力結合パターンを有するガラスパネルを示す図である。
【
図3B】それぞれがガラスパネル上に配設された4つの例示的な出力結合パターンを有する2つのガラスパネルを示す図である。
【
図3D】領域被覆率の関数として出力結合した光(輝度)の量を示すグラフである。
【
図4A】本発明で使用するための一実施形態にかかる多層ガラスパネルを示す断面図である。
【
図4B】
図4Aにかかる第1実施形態にかかるガラスパネルを示す拡大断面図である。
【
図4C】
図4Aにかかる第2実施形態にかかるガラスパネルを示す拡大断面図である。
【
図4D】本発明で使用するためのさらなる実施形態にかかる多層ガラスパネルを示す断面図である。
【
図5A】本発明にかかる一実施形態におけるガラスパネルを示す部分上面図である。
【
図5B】
図5Aにかかる一実施形態におけるガラスパネルを示す部分上面図である。
【
図6A】本発明にかかる第1実施形態のパネルを示す上面図である。
【
図6B】本発明にかかる第1実施形態のパネルを示す上面図である。
【
図6C】本発明にかかる第2実施形態のパネルを示す上面図である。
【
図6D】本発明にかかる第2実施形態のパネルを示す上面図である。
【
図7A】本発明にかかる第3実施形態のパネルを示す上面図である。
【
図7B】本発明にかかる第3実施形態のパネルを示す上面図である。
【
図8】本発明の一実施形態にかかる
図3Aのガラスパネルであって画像をガラスパネルに投影させたガラスパネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を添付の図面を参照しながら説明し、ここで、複数の図面にわたって、同じ参照符号は、同一のまたは同様の要素を特定するために使用される。
【0025】
図1Aは、乗物屋根1を示しており、この乗物屋根は、この乗物屋根に配設された開放屋根組立体を有する。開放屋根組立体は、可動パネル2aと固定パネル2bとを備える。可動パネル2aが第1屋根開口部3aを覆うように移動可能でありそれにより第1屋根開口部3aを開閉できるので、可動パネル2aは、閉塞部材とも称される。導風板4は、第1屋根開口部3aの前側に配設されている。
【0026】
図示の実施形態において、可動パネル2aは、閉位置にあり得、この位置では、可動パネル2aが第1屋根開口部3aを覆うように配設されて第1屋根開口部を閉塞し、そのため、通常は乗物屋根1の平面に配設されている。さらに、可動パネル2aは、傾斜位置にあり得、この位置では、可動パネル2aの後端部REが閉位置と比較して上昇している一方で、可動パネル2aの前端部FEが依然として閉位置にある。さらに、可動パネル2aは、開位置にあり得、この位置では、可動パネル2aをスライドさせて開放し、第1屋根開口部3aが部分的にまたは完全に露出されている。
図1Aにおいて留意することは、可動パネル2aは、開位置にあること、である。
【0027】
留意することは、図示した乗物屋根1が乗用車に対応していること、である。しかしながら、本発明は、乗用車に限定されない。可動パネルが設けられ得る任意の他種の乗物も同様に想定される。
【0028】
図1Bは、
図1Aに示すものと同じ乗物屋根を示しており、パネル2a及び2bを有する。特に、
図1Aは、開位置にある開放屋根組立体を示しているが、
図1Bは、閉位置にある開放屋根組立体を示す分解図である。さらに、
図1Bのこの分解図では、第2屋根開口部3bが示されている。第1及び第2屋根開口部3a、3bは、開放屋根組立体の枠体5に設けられている。枠体5の縁部5aは、第1屋根開口部3aを画成する。
【0029】
第2屋根開口部3bは、固定パネル2bの下方に配設されており、それにより、光は、固定パネル2bがガラスパネルまたは例えばプラスチック材料もしくは任意の他の適切な材料で形成された同様の透光性を有するパネルであると仮定すると、固定パネル2bを通して乗物内部空間に入る。透光性を有するまたは透明な固定パネル2bを有する第2屋根開口部3bは、選択的であり、別の実施形態の開放屋根組立体では省略され得る。
【0030】
導風板4は、一般的に、例えば貫通孔が設けられた織布もしくは不織布またはウェブまたはネットなどの可撓性材料である。可撓性材料は、例えば棒状または管状の構造体である支持構造体4aによって支持されており、この構造体は、ヒンジ4bにおいて枠体5に直接的にまたは間接的にヒンジ連結されている。
【0031】
導風板4は、第1屋根開口部3aの前方に配設されており、可動パネル2aが開位置にあるときに気流を適応させる。パネルの上昇位置において、導風板4は、運転中の気流に起因する不快な雑音を低減させる。可動パネル2aが閉位置にまたは傾斜位置にあるときに、導風板4は、可動パネル2aの前端部FEの下方に保持されている。
【0032】
通常、導風板4は、可動パネル2aが開位置へスライドすると、バネ力によって上昇され、導風板4は、可動パネル2aがその閉位置へ戻るようにスライドすると、可動パネル2aによって下方へ押される。
図1Aにおいて、可動パネル2aは、開位置で示されており、導風板4は、上昇位置で示されている。
図1Bにおいて、可動パネル2aは、閉位置で示されており、導風板4は、対応して、パネルが下方へ保持される位置で示されている。
【0033】
図1Bは、駆動組立体をさらに示しており、この駆動組立体は、第1案内組立体6a、第2案内組立体6b、第1駆動ケーブル7及び第2駆動ケーブル8を有する。第1及び第2案内組立体6a、6bは、可動パネル2aの側端部SEに各別に配設されており、案内組立体それぞれは、案内体及び機構を備え得る。案内体は、枠体5に連結されている一方、機構は、可動部品を備えており、案内体においてスライド式に可動である。第1及び第2駆動ケーブル7、8は、案内組立体6a、6bそれぞれの機構と駆動モータ9との間に設けられている。
【0034】
駆動ケーブル7、8は、駆動モータ9を案内組立体6a、6bそれぞれの機構に連結しており、それにより、駆動モータ9を動作させると、機構は、移動を開始する。特に、駆動ケーブル7、8のコアは、駆動モータ9によって移動させられ、それにより、案内組立体6a、6bそれぞれの機構を押し引きする。このような駆動組立体は、従来周知であり、したがって本明細書ではさらに明らかにしない。
【0035】
図示した実施形態において、案内組立体6a、6bは、可動パネル2aの後端部REを上昇させて移動を開始し得、それにより、可動パネル2aを傾斜位置に至らせる。そして、傾斜位置から、案内組立体6a、6bは、スライドを開始し得、可動パネル2aを開位置へ至らせる。しかしながら、本発明は、このような実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態において、可動パネル2aは、後端部REを上昇させて傾斜位置へ移動可能であり得る一方、開位置は、まず後端部REを下降させそして可動パネル2aを固定パネル2bの下方にまたは可動パネル2aの後端部REの背後に設けられた任意の他の構造体もしくは要素の下方へスライドさせることによって、達する。さらなる例示的な実施形態において、可動パネル2aは、閉位置と傾斜位置との間または閉位置と開位置との間を単に移動可能であり得る。
【0036】
図示した実施形態において、駆動モータ9は、凹所10において可動パネル2aの前端部FEの近傍または下方に備え付けられている。別の実施形態において、駆動モータ9は、任意の他の適切な位置または場所に位置付けられ得る。例えば、駆動モータ9は、可動パネル2aの後端部REの近傍もしくは下方または固定パネル2bの下方に配設され得る。
【0037】
制御ユニット11は、概略的に図示されており、駆動モータ9に動作式に連結されている。制御ユニット11は、当業者に公知であるソフトウエア制御型処理ユニットまたはASICのような専用処理ユニットのような、任意の種の処理ユニットであり得る。制御ユニット11は、独立型制御ユニットであり得る、または、多目的汎用乗物制御ユニットのような別の制御ユニットに動作式に接続され得る。さらに別の実施形態において、制御ユニット11は、このような汎用乗物制御ユニットに組み込まれ得る、または、汎用乗物制御ユニットの一部であり得る。本質的に、制御ユニット11は、駆動モータ9のひいては可動屋根組立体の動作を実行するのに適した、動作を実行できる、かつ、動作を実行するように構成された任意の制御ユニットによって具現化され得る。
【0038】
開放屋根組立体は、照明システムをさらに備え得る。
図2Aは、可動パネル2a及び/または固定パネル2bの表面に配設された従来技術の反射型ドットパターンを示す。従来技術のシステムにおいて、例えばLEDもしくは白熱灯または任意の他の適切な光源などの光源21は、光を導光体22内へ向け、この導光体は、透光性材料の筒状ユニットであり得る。従来から公知のように、光は、導光体22を通って伝搬し得る。導光体22の材料と周辺空気との間の境界における全内反射に起因して、光は、導光体22内に保持される。導光体22の表面が空気と接触していない場合には、光は、導光体22から出得る、または、所定角度で導光体22内に反射して戻され得、それにより、光が反対側の表面において導光体22から出得る。公知の適切な構成を用いて、光源21に由来する光は、導光体22を通って伝搬し、出力結合パターン20が設けられた透光性パネル内に入る。例えば、出力結合パターン20は、白色塗料またはインクなどの反射性塗料またはインクから形成され得る。上述のように、反射性塗料またはインクからなるドットは、光線の全内反射を防止する。その替わりに、反射型ドットに衝突した光線は、別の角度で反射し、反対側の面において透光性パネルから出ることが可能とされる。このため、適切な構成を用いて、光源21から乗物の内部へ光を向けることができる。
【0039】
出力結合パターン20のセクションBを
図2Bにおいてより詳細に示す。出力結合パターン20は、所定パターンにある反射型ドット23を備える。特に、反射型ドット23は、横方向間隔距離24a及び長手方向間隔距離24bで配列されており、これら間隔距離のいずれかは、間隔距離24と称され得る。間隔距離は、あるドットの中心から隣接するドットの中心までの距離であり、共通して、同様に、ピッチと称され得る。
【0040】
特有の実施形態において、横方向及び長手方向間隔距離24a及び24bは、ほぼ等しくてもよい。本明細書で使用するように、間隔距離24は、上述のように、一般に間隔距離24のみに言及していても、長手方向及び横方向間隔距離24a、24bのいずれかを示し得、長手方向及び横方向間隔距離24a、24bは、等しくてもよく、等しくなくてもよい。当業者が迅速に理解することは、互いに対して適切な長手方向間隔距離24b及び適切な横方向間隔距離24aをどのように選択して設けるか、である。
【0041】
図2Aを参照すると、間隔距離24は、可動パネル2aまたは固定パネル2bの表面にわたって変化し得る。例えば、第1領域Iには、比較的少量の比較的小さいドットがある。第2領域IIには、より多くの比較的小さいドットがあり、第3領域IIIでは、ドットの数が十分に大きくなり得、かつ、ドットの寸法が十分に大きくなり得る。もちろん、一実施形態において、一領域におけるドットの寸法及びこのような一領域におけるドットの数は、照明効果がとりわけこれら態様双方によるにもかかわらず、独立して選択され得る。そのため、所望の照明効果を実現するため、これら態様は、互いに基づいて選択され得る。
【0042】
図2Cにおいてより詳細に示すように、第1領域Iでは、ドットが、約1.5mm×約1.5mmの寸法を有するほぼ正方形のドットを有する。このようなドットのドット表面積は、2.25mm
2である。本明細書において比較を容易にするために、このようなドットは、直径1.69mmの円形ドットが同じドット表面積2.25mm
2を有するので、約1.69mmの等価径を有するとして示す。本発明が反射型ドットの任意の種の形態または形状に限定されないが、等価径は、これらドット表面積に基づいて決定され割り当てられ得る。間隔距離24a、24bが約6.1mmであると、一ドット当たりの面積は、約6.1mm×約6.1mmである。その結果、ドットは、局所的に、約2.25/37.21=全表面積の約0.06を覆う。したがって、全表面積被覆率は、約6%である。
【0043】
第3領域IIIでは、反射型ドットが、約1.5mm×約5mm(7.5mm2)の長方形を有しており、間隔距離は、6.1mmである。このため、全表面積被覆率は、約18%である。第2領域IIでは、全表面積被覆率は、約12%である。
【0044】
実験装置を用いて、第1、第2及び第3領域I、II、IIIの輝度を測定した。
【0045】
【0046】
表1から明らかなように、測定した輝度は、全表面積被覆率に比例していない(列:「被覆率」)。もちろん、この従来技術の実施形態において、全表面積被覆率が最も高い第3領域IIIは、導光体22に最も近接して配設されている。必然的に、導光体22からの距離が最小であること及び出力結合パターン20の全表面積被覆率が最高であることの双方に起因して、第3領域IIでは、最も高い輝度を予想し得る。
【0047】
留意することは、
図2Aから
図2Cの従来技術の実施形態におけるドットの寸法が比較的大きいこと、である。この比較的大きい寸法は、光源21を点灯させるとドットを明確に照らす。さらに、第1領域Iにおける全表面積被覆率が比較的小さいことにより、外への視界がもたらされる。一方、ドットの寸法に起因して、領域Iにおいても、ドットは、個別に明確に視認可能なままである。その上、比較的大きいドットの数に起因して、外への視界は、第3領域において制限される。
【0048】
図3Aは、4つの領域(a)~(d)を有するガラスパネル30の写真を示す。領域(a)~(d)それぞれには、本発明にかかる出力結合パターンが設けられている。領域(a)~(d)の出力結合パターンは、約50マイクロメートルの等価径を有するドットを備えており、ガラスパネル30の表面にスクリーン印刷することによって白色スクリーン印刷インクから形成されている。ドットは、デカルト格子で配列されているが、本発明は、格子に関して限定されていない。ドットは、デカルト格子のように、規則的な格子に均一に配列され得る、または、任意の他の規則的なもしくは不規則的な格子にしたがって配列され得る。領域(a)~(d)は、
図3Cにも示すように、ドット間の間隔距離が変化する。
【0049】
【0050】
写真において、ガラスパネル30は、テーブルに対してほぼ垂直に配設されている。環境光のみがある、すなわち、ガラスパネル30には光が結合していない。比較的多量の光をガラスパネル30の前面に入射させ、これに起因して、反射型ドットは、十分な量の光を反射させ、その結果、灰色の外観をもたらす。依然として、領域(b)、(c)及び(d)に示すように、背景は、ガラスパネル30を通して明確に視認可能である。領域(a)に関して留意することは、テーブル頂面による均一な暗い背景の結果として、白色表面の外観をもたらすこと、である。しかしながら、特に、乗物の内部が比較的暗くかつ外部が比較的明るいので、白色の外観は、弱まる。
【0051】
図3Bは、全部で8つの領域(1a)~(1d)及び(2a)~(2d)を有する2つのガラスパネル30の写真を示す。
図3A及び
図3Cに関して示しかつ説明したように、領域(2a)~(2d)は、領域(1a)~(1d)に各別に対応する。上記表2で説明し
図3Cに示すように、領域(1a)~(1d)は、領域(a)~(d)と同様の出力結合パターンを各別に有する。しかしながら、領域(2a)~(2d)には、不透明白色インクが形成されている一方、領域(1a)~(1d)には、半透過白色インクが形成されている。半透過ドットに入射した光の一部は、半透過インクを通過し得る一方、入射光の残りの部分は、反射される。透過光と反射光との比率は、とりわけ、インクの具体的な特質及びドットの厚さに依存する。半透過インクは、不透明白色インクと比較して、単位面積当たりの反射する光が少ない一方、透過パネルを通して外部周囲を見たときに、日中により透過性の外観を提供し得る。
【0052】
図3Bにおいて、周辺光がないが、光は、導光体(例えば
図2A)を通してガラスパネル30へ供給される。領域(1a)~(1d)及び(2a)~(2d)は、出力結合パターンによって光を出力結合することに起因して照らされる。領域(1a)~(1d)に半透過インクが設けられている第1ガラスパネル30について、一領域(1a)は、十分な量の光を反射する一方、他の3つの領域(1b)~(1d)は、反射する光が少ない。第2ガラスパネル30にある領域(2a)~(2d)は、はっきりと照らされている。不透明インクを用いた最も密度の低い領域(2d)でさえも、半透過インクを用いた最も密度の高い領域(1a)よりも出力する光がより多い。そのため、用途及び望む外観に応じて、半透過または不透明インクを使用し得る。
【0053】
比較理由として、半透過インクを用いたガラスパネル30の実際の輝度を最も明るい領域(1a)に対する3つの副領域(例えば
図2A:I、II、III)に関して測定した。
【0054】
【0055】
半透過インクからなる最も密度の高い出力結合パターンの輝度は、平均全表面積被覆率が十分に低いという事実(12.2%に対して8.7%)にかかわらず、従来技術の出力結合パターンの輝度と同程度である。
【0056】
図3Dでは、
図3Bにおける4つの出力結合パターン(1a)~(1d)それぞれの平均輝度のグラフ(実線)を示す。
図3Bの出力結合パターン(1a)~(1d)それぞれに関して、最小局所輝度、最大局所輝度及び平均局所輝度を判断した。輝度は、導光体22に近接して配設された出力結合パターン(1a)~(1d)それぞれを有する出力結合パターン(1a)~(1d)それぞれについて判断した。対応する測定データを表4に示す。
図3Dは、測定した平均輝度に基づいた傾向線(破線)をさらに示す。
【0057】
【0058】
測定データに基づいてわかることは、パネル30の様々な出力結合パターン20の輝度が出力結合パターン20の全表面積被覆率に比例しないことである。その替わりに、全表面積被覆率が減少すると、輝度は、比例よりも減少が小さく見える。そのため、密度が小さい出力結合パターンの結果として生じる輝度は、予想よりも高く見える。これにより、全表面積被覆率に対する輝度の比例依存性における仮定で予測されるよりも全表面積被覆率を減少させることができる。
【0059】
留意することは、従来の実施形態である
図2A及び
図2Bでは不透明パターンを使用している一方で、表3及び表4のデータを得るために使用した実施形態では半透過インクを使用していること、である。このため、比較的大きなドットを有する従来技術の実施形態と比較して、半透過インクドットを有する本発明の一実施形態では、光源を点灯させたときに、外の日光により、視界が妨害されず、明瞭な視界が提供されつつ、同じ量の光が乗物の内部へ出力される。さらに、半透過インクに替えて不透明インクを用いると、輝度は、さらに増加され(例えば
図3B)、輝度を低減させることなく全表面積被覆率をさらに低減させることが可能となる。
【0060】
図4Aは、本発明にかかる開放屋根組立体で使用するための多層ガラスパネル100の断面を示しており、外側ガラスパネル101及び内側ガラスパネル102は、中間層103によって取り付けられている。このような中間層は、従来技術から公知である。例えば、中間層103は、EVAまたはPVBで形成され得る。他の材料は、同様に公知であり適している。
【0061】
内側ガラスパネル102の側縁部には、光源104が設けられている。光源104は、光105をその側縁部を通して内側ガラスパネル102内に結合するのに適した任意の光源であり得る。例えば、公知の光源は、内側ガラスパネル102の側縁部内に直接光を方向付けるLED、あるいはまたはさらに、内側ガラスパネル102の側縁部に隣接して配設された細長い側方放射型導光体(例えば
図2A)である。
【0062】
図2Aに関して説明したが
図4Aにおいてより詳細に示すように、出力結合パターン106は、内側ガラスパネル102の表面に設けられている。特に、出力結合パターン106は、内側ガラスパネル102と中間層103との間の境界面に配設されている。図示のように、光線105は、内側ガラスパネル102を通って伝搬し、出力結合パターン106のドットに衝突し得る。衝突すると、光線105は、少なくとも部分的に反射され、反射光線107は、内側ガラスパネル102の反対側の表面において内側ガラスパネル102から出ることができ、このため、乗物の内部乗客区画108内へ放射される。
【0063】
図4B及び
図4Cは、
図4Aの多層ガラスパネル100を製造するための第1及び第2実施形態を各別に示す。
図4Bの第1実施形態において、出力結合パターン106は、中間層103の表面に設けられている。そして、出力結合パターン106が設けられた表面は、例えばオートクレーブで熱及び圧力をかけることによって、内側ガラスパネル102の表面に付着される。パターン106の面積被覆率が低くドットが小さいことに起因して、中間層103には、内側ガラスパネル102に取り付けられる十分な表面積がある。
【0064】
中間層材料は、可撓性箔であり得、出力結合パターン106は、単純な処理技術、例えばインクジェット印刷などによって、中間層材料に設けられ得る。可撓性箔が例えばロール状に保存され得るので、可撓性箔には、一般的なロール・ツー・ロール型インクジェットプリンタを用いて、出力結合パターン106が設けられ得る。
【0065】
乗物屋根に関して、多層ガラスパネル100は、通常、二次元に湾曲されている。中間層材料からなる平坦箔に印刷すると、印刷したパターンは、湾曲した内側ガラスパネル102上に箔を設けたときに中間層箔の必要な伸長に適合して準備が整い得る。例えば、例えば
図3Cに示すように、矩形格子上に配列されたドットパターンを実現するために、出力結合パターン106のドットは、平坦箔上に印刷される際に、異なる、矩形ではない格子上に位置付けられる必要がある。矩形ではない格子は、このような実施形態において、予想される伸長に従って決定され、内側ガラスパネル102上で伸長した後に、ほぼ矩形状となる。
【0066】
別の実施形態において、出力結合パターン106は、内側ガラスパネル102上に直接付与される。適切な技術は、スクリーン印刷であるが、他の技術を同様に使用し得る。例えば、インクジェット印刷を適用し得る。
【0067】
内側ガラスパネル102上に出力結合パターン106を付与することは、内側ガラスパネル102を曲げる前にまたは曲げた後に実行し得る。曲げる前に、内側ガラスパネル102は、平坦なガラスパネルであり、これにより、出力結合パターン106の付与を容易にし、多くの技術を容易に使用し得る。依然として、内側ガラスパネル102を曲げるときに、印刷した出力結合パターン106を損傷させる危険性があり得る。
【0068】
曲げた後では、出力結合パターン106を付着させることがよりこんなになり得る。例えば、インクジェット印刷を用いると、ロボットアームは、パターン106を付与しながら内側ガラスパネル102の表面の湾曲した輪郭に沿い得る、または、曲がった内側ガラスパネル102は、例えば吸引テーブルなどのテーブル上で一時的に平坦化され得、これは、スクリーン印刷を用いるのに適している。
【0069】
図4Dは、本発明にかかる開放屋根組立体で使用するための一実施形態における多層ガラスパネル100を示しており、さらに、
図4Aの実施形態と比較して第1及び第2機能層108a及び108bをさらに導入している。この実施形態において、外側ガラスパネル101と中間層103との間には、第1機能層108aが設けられている。第1機能層108aは、基本的に、任意の機能層であり得る。例えば、エレクトロクロミック層のような切替可能な日よけ層、SPD層またはPDLC層は、多層パネル100を通過する外光量を制御するために設けられ得る。あるいはまたはさらに、第1機能層108aは、従来技術において公知であるように、赤外光フィルタ層のような受動層を備え得る。
【0070】
第2機能層108bは、内側ガラスパネル102の内側に設けられている。このため、光源104から到来して出力結合パターン106によって乗物内部に向けて方向変更された光は、第2機能層108bを通過する。したがって、この第2機能層108bは、この光を使用する機能層であり得る。例えば、第2機能層108bは、表示層、特に液晶ディスプレイ(LCD)層であり得る。平面光源として、微小ドットの出力結合パターン106は、このようなLCDディスプレイ層のバックライト光源として適切である。さらに、昼光条件中に、LCDディスプレイ層は、同様に、光をフィルタするためのまたは過剰な量の光を遮蔽するための手段として使用され得、これにより、第1機能層108aに加え、または第1機能層に替えて、日よけとして機能する。
【0071】
当業者に明らかなように、第1及び第2機能層108a、108bは、同様に任意の他の機能を提供し得、機能層それぞれは、能動層であっても受動層であってもよい。
【0072】
留意することは、
図4Dのこの実施形態において、2つの追加の機能層108a、108bを示して説明していること、である。当業者に明らかなように、多層ガラスパネル100の所望の機能性に応じて、より多くの機能層を追加し得る、または、図示した機能層108a、108bのいずれか一方を省略し得る。
【0073】
図5A及び
図5Bは、さらなる実施形態を示しており、非被覆領域110は、例えばLEDなどの個別の光源111A~111Dのアレイ111と出力結合パターン106との間に設けられている。
図5Bに示すように、個別の光源111A~111Dそれぞれは、バンドル角αを有するバンドル光112A~112Dを放射する。所定距離dの後のみ、隣接する個別のバンドルは、重なる。したがって、距離dにわたって、個別のバンドルは、視認可能であり得る。個別のバンドルの視認性を低減するために、非被覆領域には、出力結合ドットが設けられていない。
【0074】
距離dは、例えば、個別の光源111A~111Dとバンドル角αとの間の距離に依存する。さらに、光が均一になるための距離は、距離dよりも大きくなり得る。したがって、当業者に明らかなように、非被覆領域の幅、すなわち個別の光源111A~111Dと出力結合パターン106との間の距離は、要件に応じて適切に選択され得、同様に、他の態様は、個別の光源111A~111D間の距離などで考慮される。
【0075】
特有の実施形態において、個別の光源111A~111Dは、様々な色を有し得る。例えば、光源111A~111Dは、赤色、緑色及び青色(RGB)のような3色を有し得る。色RGBを混合することにより、白色光をもたらす。非被覆領域は、3色を白色光へ混合する場所から所定距離に出力結合パターン106が配設されるように設計されかつ構成されている。そして、どの光源111A~111Dを点灯させたかに応じて、出力結合された光の色は、個別の光源111A~111Dに近接する側において光源111A~111Dの別個の様々な色が局所的に視認可能でない状態で、変化され得る。
【0076】
図6Aは、本発明の第1実施形態を示しており、開放屋根組立体の可動のまたは固定のパネル2には、透過性領域25と、第1導光体22a及び第2導光体22bと、が設けられている。透過性領域25において、均一な出力結合パターン(例えば
図3C参照)は、本発明に従って設けられている、すなわち、ドットは、比較的小さく、全表面積被覆率は、低い。適切な光源(図示略)を用いて導光体22a、22b双方を照らすと、
図6Bに示すように広がった光を得る(上記表3も参照)。導光体22a、22bに近接して、比較的多量の光を出力結合する一方、透過性領域25の中心部分において、十分に少ない光を出力結合する。
【0077】
図6C及び
図6Dは、本発明の第2実施形態を示しており、光は、例えばLEDなどの光源21によってパネル2内へ直接供給されている。個別に対処可能な光源21によりかつ/またはパネル2の縁部それぞれに沿って光源21を設けることにより、透過性領域25に光パターンを提供することが可能となる。例えば、透過性領域25の中心に向けられた光源21a(大きなブロックで示される)からの強度がより大きい光出力及びパネル2の角近傍に配設された光源21b(小さいブロックで示される)からの強度がより小さい光出力を用いて、
図6Dに示すように、星形の光パターンを得ることができる。当業者に明らかなように、多くの他のパターンが得られ得る。
【0078】
別の光効果は、反射型ドットの局所的な全表面積被覆率を調節することによって得られ得る。例えば、
図7A及び
図7Bに示すように、パネル2は、透過性領域25及び不透明領域26を備え得る。不透明領域26において、全表面積被覆率は、
図5Bに示すような十分に高い輝度を得るように比較的高くなり得る。さらに、例えば米国特許第9006751号明細書(例えば
図13参照)で示すように、光源21は、透過パネルの凹所に設けられ得る。光源21を透過性領域25と不透明領域26との間の境界に配設することによって、適切な構成を提供し得る。特有の実施形態において、少なくとも2つの光源21は、上記境界においてこのような凹所に設けられ得、それにより、透過性及び不透明領域25、26のいずれを照らすか選択し得る。もちろん、光源は、同様に、任意の他の実施形態においてこのような凹所に設けられ得、このため、透過性領域及び不透明領域を有する実施形態に限定されない。
【0079】
一実施形態において、局所的な全表面積被覆率は、より均一な光画像を得るように構成され得る。このような実施形態では、光源近傍の全表面積被覆率を低いままとし得る一方、さらに離間している側での局所的な全表面積被覆率を増加させ得る。
【0080】
図8は、本発明にかかる出力結合パターンのさらなる用途を示す。
図8は、
図3Aのガラスパネル30を示しており、昼光条件において、一般的なプロジェクタ装置によって画像を出力結合パターンに投影する。全表面積被覆率における差に起因した領域ごとの反射光の量における差は、画像のコントラストにおける差で明確に視認可能である。投影デバイスは、必要に応じて、不透明領域26の透過性領域25に画像または動画を投影するように乗物に配設され得る。これらは、エンターテイメントとして投影され得るが、同様に、より多くの機能的な方式で使用され得る。例えば、警告信号を投影し得る。
【0081】
一般的に、投影機を使用してまたは例えば赤色、緑色及び青色LEDなどの個別に対処可能なLEDのような適切な光源によって、本発明にかかる開放屋根組立体は、乗物の内部に特定の雰囲気を発生させるために使用され得る。例えば、暑い日では、青色光を作り出し得、これにより、涼しい感覚をもたらす一方で、寒い日では、より赤みがかった光を提供し得る。光の色は、同様に、例えば、操縦者を起きたままとする(青色光)ために、または、ナビゲーションシステムに連結したときに警報雰囲気(赤色/黄色)を作り出することによって、到来する交通に関して操縦者に警告するために、使用され得る。
【0082】
パネル2の透過性に影響を与えることなくより多くの効果及び/または光出力の増加は、例えば反射型ドットのみを用いることによって達成され得る。例えば、ドットは、光輝性インクで形成され得る。特に、追加的にまたは代替的に、蛍光白色インクを適用可能であり、例えば紫外線光源などの適切な光源を使用し得る。
【0083】
さらに、留意することは、実際の輝度が光源の光出力に応じること、である。パネル2に沿って複数のLEDを使用することは、単一の光源及び導光体のみを用いた実施形態と比較してより多くの光出力を提供すると予想され得る。しかしながら、留意することは、導光体を用いた実施形態において、同様に、例えば分岐した/またはフォーク状の導光体であって複数の光源が光を導光体内へ方向付ける導光体などを利用して、複数の光源を使用し得る。さらに、光源は、光出力を調整する可能性を提供するために、選択可能な(調光可能な)光出力を有し得る。示したことは、適切なLEDのような高強度の光源を用いて、ドットの全表面積被覆率をさらに低減しつつ十分な光出力を維持し得ること、である。特に、不透明白色インクからなるドットの全表面積被覆率を約3%以下まで低減し得る。
【0084】
本発明の詳細な説明を本明細書で開示しているが、理解することは、開示した実施形態が本発明の単なる例であり、これら開示した実施形態を様々な態様で具現化し得る、ことである。したがって、本明細書で開示した具体的な構造的な及び機能的な詳細は、限定すると解釈されず、単に特許請求の範囲の根拠として及び当業者に予想可能な任意の適切な詳細な構造において本発明を様々に採用することを教示する代表的な根拠として解釈される。特に、別個の従属請求項で提示して説明した特徴は、組み合わせて適用され得、このような請求項の任意の有利な組合せを本明細書で開示する。
【0085】
さらに、想定されることは、構造的要素は、3次元(3D)印刷技術を適用することによって、発生し得ること、である。したがって、構造的要素への任意の言及は、任意のコンピュータ実行可能命令を包含することを意図しており、これら命令は、3次元印刷技術または同様のコンピュータ制御型製造技術によってコンピュータに対してこのような構造的要素を発生させるように指示する。さらに、構造的要素への任意のこのような言及は、同様に、このようなコンピュータ実行可能命令を担持するコンピュータ読込可能媒体を包含することを意図する。
【0086】
さらに、本発明で使用されている用語及び語句は、制限されることを意図してらず、むしろ本発明の理解可能な説明を提供することを意図している。本発明で使用されているような用語「ある」または「一の」は、1以上を定義している。本明細書で使用されているような2以上を定義している。本明細書で使用されているような「別の」は、少なくとも第2のものまたは第3以降のものを定義している。本明細書で使用されているような用語「含む」及び/または「有する」は、必ずしも直接的ではないが、接続されていることを定義している。
【0087】
このため、明らかなことは、説明した発明と同じことが多くの方法で有効とされ得ること、である。このような変形例は、本発明の精神及び範囲から逸脱するとみなされず、当業者に明らかな全てのこのような改変が以下の特許請求の範囲内に含まれることを意図している。
【符号の説明】
【0088】
1 乗物屋根、2 パネル、2a 可動パネル、2b 固定パネル、3a 第1屋根開口部、3b 第2屋根開口部、10 凹所、20 出力結合パターン、21,21a,21b 光源、22 導光体、22a 第1導光体、22b 第2導光体、23 反射型ドット、24 間隔距離、24a 横方向間隔距離、24b 長手方向間隔距離、25 透過性領域、26 不透明領域、30 ガラスパネル、100 多層ガラスパネル、104 光源、106 出力結合パターン、110 非被覆領域、111A,111B,111C,111D 光源