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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】柱梁仕口構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240611BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
E04B1/58 508S
E04B1/24 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020005247
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021113411
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓未
(72)【発明者】
【氏名】河野 隆史
(72)【発明者】
【氏名】大堀 太志
(72)【発明者】
【氏名】野澤 裕和
(72)【発明者】
【氏名】大野 正人
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘臣
(72)【発明者】
【氏名】足立 識文
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-307702(JP,A)
【文献】特開2018-071147(JP,A)
【文献】特開平11-071811(JP,A)
【文献】特開2003-027590(JP,A)
【文献】登録実用新案第3051551(JP,U)
【文献】特開2007-170168(JP,A)
【文献】特開2004-116080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管柱の外周面に備えられた複数の柱側ブラケットのフランジに亘る状態でそれらのフランジにボルトにて取付けられ、且つ、鉄骨梁のフランジの端部に前記ボルトとは別のボルトにて取付けられる連結プレートと、前記柱側ブラケットのウェブと前記鉄骨梁のウェブの端部とに亘る状態でそれらのウェブにボルトにて取付けられる接合プレートとを用いた柱梁仕口構造において、
一部の前記柱側ブラケットに対して、一部の前記鉄骨梁の端部は前記連結プレートと前記接合プレートとを介したボルト接合による剛接合とされ、他部の前記柱側ブラケットに対して、他部の前記鉄骨梁の端部は前記連結プレートを介さずに前記接合プレートのみを介したボルト接合によるピン接合とされ、
前記連結プレートの一端側は、前記柱側ブラケットに剛接合される前記鉄骨梁の梁長手方向で、当該鉄骨梁のフランジと前記柱側ブラケットのフランジとに亘る広幅に構成されて、当該柱側ブラケットのフランジに前記ボルトにて取付けられているとともに、当該鉄骨梁のフランジの端部に前記別のボルトにて取付けられており、且つ、前記連結プレートの他端側は、前記柱側ブラケットにピン接合される前記鉄骨梁の梁長手方向で、当該鉄骨梁のフランジと前記柱側ブラケットのフランジとの境界に至らない幅狭に構成されて、当該柱側ブラケットのフランジに前記ボルトにて取付けられている柱梁仕口構造。
【請求項2】
側柱である前記鋼管柱を含み、当該鋼管柱において、前記連結プレートとは別に、当該鋼管柱を迂回する状態で、前記鉄骨梁が接合されない前記柱側ブラケットのフランジと、当該柱側ブラケットに隣接し、且つ、前記鉄骨梁が接合される一対の前記柱側ブラケットのフランジとに亘る平面視U字状の連結プレートを用いて、この連結プレートを介してそれらの柱側ブラケットのフランジ同士をボルト接合している請求項1記載の柱梁仕口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管柱の外周面に備えられた複数の柱側ブラケットに亘ってボルトにて取付けられ、且つ、前記柱側ブラケットと前記鉄骨梁の端部とをボルトにて剛接合可能な連結プレートを用いた柱梁仕口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の柱梁仕口構造として、例えば、特許文献1では、直交する柱面を備えた鋼管柱と、鋼管柱の各柱面のそれぞれに隅肉溶接されたH型鋼製の柱側ブラケットと、各柱側ブラケットの端面に端部が対向する状態で配設された鉄骨梁と、鋼管柱の周方向で隣接する一対の柱側ブラケットのフランジ及び一対の鉄骨梁における端部のフランジに亘って架け渡された状態でボルト接合される連結プレートと、を有する柱梁仕口構造が開示されている。この従来の柱梁仕口構造では、鋼管柱の全ての柱側ブラケットに対して、鉄骨梁の端部が連結プレートを介した剛接合で接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-071147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の柱梁仕口構造では、作業所において鋼管柱と鉄骨梁とをボルト接合で接続するため、現場溶接や超音波探傷検査(UT検査)等を削減することができ、作業所での省力化を図ることができる。しかしながら、鋼管柱の全ての柱側ブラケットと鉄骨梁の端部とが連結プレートを介した剛接合で接続されているため、連結プレートが大型化、重量化し、且つ、ボルト接合数も多量になるため、コスト及び施工性の面で改善の余地がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、コストの低廉化と施工性の向上を図ることのできる柱梁仕口構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、鋼管柱の外周面に備えられた複数の柱側ブラケットのフランジに亘る状態でそれらのフランジにボルトにて取付けられ、且つ、鉄骨梁のフランジの端部に前記ボルトとは別のボルトにて取付けられる連結プレートと、前記柱側ブラケットのウェブと前記鉄骨梁のウェブの端部とに亘る状態でそれらのウェブにボルトにて取付けられる接合プレートとを用いた柱梁仕口構造において、
一部の前記柱側ブラケットに対して、一部の前記鉄骨梁の端部は前記連結プレートと前記接合プレートとを介したボルト接合による剛接合とされ、他部の前記柱側ブラケットに対して、他部の前記鉄骨梁の端部は前記連結プレートを介さずに前記接合プレートのみを介したボルト接合によるピン接合とされ、
前記連結プレートの一端側は、前記柱側ブラケットに剛接合される前記鉄骨梁の梁長手方向で、当該鉄骨梁のフランジと前記柱側ブラケットのフランジとに亘る広幅に構成されて、当該柱側ブラケットのフランジに前記ボルトにて取付けられているとともに、当該鉄骨梁のフランジの端部に前記別のボルトにて取付けられており、且つ、前記連結プレートの他端側は、前記柱側ブラケットにピン接合される前記鉄骨梁の梁長手方向で、当該鉄骨梁のフランジと前記柱側ブラケットのフランジとの境界に至らない幅狭に構成されて、当該柱側ブラケットのフランジに前記ボルトにて取付けられている点にある。
【0007】
上記構成によれば、連結プレートによる無溶接の柱梁仕口構造を実現しながら、ピン接合側では、他部の鉄骨梁の端部と連結プレートとのボルト接合が存在しないため、連結プレートに対するボルト接合箇所数を削減してコストの低廉化と施工性の向上を図ることができる。
【0009】
又、上記構成によれば、連結プレートの一端側が、柱側ブラケットのフランジ及び鉄骨梁の端部のフランジにボルト接合された剛接合となるので、連結プレートを介して長期荷重時に発生する曲げ応力を伝達することができる。ピン接合側では、連結プレートを介して曲げ応力を伝達する必要がないので、連結プレートの他端側のボルト接合を、柱側ブラケットのフランジのみにすることにより、連結プレートに対するボルト接合箇所数を大幅に削減して施工性の向上を図ることができる。
更に、上記構成によれば、連結プレートのピン接合側となる他端側を、剛接合側となる一端側よりも梁長手方向で幅狭に構成することができるので、連結プレートのコンパクト化、軽量化によってコスト及び施工性の改善を図ることができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、側柱である前記鋼管柱を含み、当該鋼管柱において、前記連結プレートとは別に、当該鋼管柱を迂回する状態で、前記鉄骨梁が接合されない前記柱側ブラケットのフランジと、当該柱側ブラケットに隣接し、且つ、前記鉄骨梁が接合される一対の前記柱側ブラケットのフランジとに亘る平面視U字状の連結プレートを用いて、この連結プレートを介してそれらの柱側ブラケットのフランジ同士をボルト接合している点にある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】鉄骨造建物の柱梁架構を模式的に示す平面図
図2図1のII-II線矢視での側面図
図3図1のIII-III線矢視での側面図
図4】中柱タイプの柱梁仕口構造の水平断面図
図5図4のY方向視での側面断面図
図6図4のX方向視での側面断面図
図7】側柱タイプの柱梁仕口構造の水平断面図
図8図7のY方向視での側面図
図9図7のX方向視での側面断面図
図10】側柱タイプの柱梁仕口構造の変形例を示す水平断面図
図11図10のY方向視での側面断面図
図12図10のX方向視での側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の鉄骨造建物の柱梁架構形式は、ブレースを有するラーメン架構とし、ブレースが取り付かない一般架構部において、図1図3に示すように、角形鋼管製の鋼管柱1の外周面に備えられた複数の柱側ブラケット2に亘ってボルトにて取付けられ、且つ、柱側ブラケット2と鉄骨梁3の端部とをボルトにて剛接合可能な連結プレート4を用いた柱梁仕口構造を採用する。この柱梁仕口構造では、柱側ブラケット2に対して、一部の鉄骨梁3の端部は連結プレート4を介した剛接合RJに構成され、他部の鉄骨梁3の端部は連結プレート4を介さないピン接合PJに構成されている。
【0014】
図1の鉄骨造建物の柱梁架構においては、X方向で相対向する鋼管柱1の柱側ブラケット2間には、鉄骨梁3の一例で、スパン全長に亘って同一断面形状のH型鋼製のX方向大梁31をピン接合PJする。Y方向で相対向する鋼管柱1の柱側ブラケット2間には、鉄骨梁3の一例で、スパン中央側での梁成が異なる逆ドロップハンチのY方向大梁32を剛接合RJする。Y方向大梁32を構成する梁成の小さなH型鋼製の中央側梁部材34の上側のフランジ34Bには、図1図3に示すように、X方向に沿うH型鋼製の連続小梁5が架設されている。この連続小梁5は、Y方向大梁32を構成する梁成の大きなH型鋼製の端部側梁部材33の梁成と中央側梁部材34の梁成との差に相当する梁成に構成されている。
図1図3に示すように、Y方向大梁32において、両側の端部側梁部材33の中央側端部と中央側梁部材34の端部とはピン接合PJされている。また、連続小梁5は、複数の小梁5Aをピン接合PJして構成され、連続小梁5におけるピン接合PJ間の中間部位が、Y方向大梁32の中央側梁部材34に載架されている。
【0015】
[中柱タイプの柱梁仕口構造]
次に、本発明の中柱タイプの柱梁仕口構造を、図4図6に基づいて説明する。
柱側ブラケット2は、鋼管製作工場において、鋼管柱1の直交する四つの各柱面1aにおける仕口部に隅肉溶接で接合されている。
四つの柱側ブラケット2は、図4図6に示すように、X方向大梁31の梁端部31aの端面とX方向で突き合わされるX方向ブラケット21と、Y方向大梁32の端部側梁部材33における梁端部33aの端面とY方向で突き合わされるY方向ブラケット22とに分かれる。
図4に示すように、鋼管柱1の柱面1aからX方向に沿って突出する一対のX方向ブラケット21の突出長さは、鋼管柱1の柱面1aからY方向に沿って突出する一対のY方向ブラケット22の突出長さよりも大に構成されている。
【0016】
図5に示すように、X方向ブラケット21のウェブ21Aと、これの端部にX方向から突き合わされるX方向大梁31のウェブ31Aの梁端部31aには、ボルト接合用のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。X方向ブラケット21のウェブ21AとX方向大梁31のウェブ31Aの梁端部31aとを挟持状態でボルト接合する一対のウェブ用第1接合プレート6には、X方向ブラケット21のウェブ21A側のボルト挿通孔及びX方向大梁31のウェブ31A側のボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0017】
そして、図5に示すように、突き合わせ状態にあるX方向ブラケット21のウェブ21Aと、X方向大梁31のウェブ31Aの梁端部31aとは、それらの両側面に一対のウェブ用第1接合プレート6を配置した挟持状態で、ボルト・ナット7による締結操作によってボルト接合されている。
【0018】
図6に示すように、Y方向ブラケット22のウェブ22Aと、これの端部にY方向から突き合わされるY方向大梁32の端部側梁部材33におけるウェブ33Aの梁端部33aには、ボルト接合用のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。Y方向ブラケット22のウェブ22AとY方向大梁32の端部側梁部材33におけるウェブ33Aの梁端部33aとを挟持状態でボルト接合する一対のウェブ用第2接合プレート8には、Y方向ブラケット22のウェブ22A側のボルト挿通孔及び端部側梁部材33のウェブ33A側のボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0019】
そして、図6に示すように、突き合わせ状態にあるY方向ブラケット22のウェブ22Aと、Y方向大梁32の端部側梁部材33におけるウェブ33Aの梁端部33aとは、それらの両側面に一対のウェブ用第2接合プレート8を配置した挟持状態で、ボルト・ナット7による締結操作によってボルト接合されている。
【0020】
次に、連結プレート4によるボルト接合構造について説明する。
図4図6に示すように、X方向ブラケット21の上下の両フランジ21Bと、Y方向ブラケット22の上下の両フランジ22Bの各々には、連結プレート4とボルト接合するための複数のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。Y方向に沿うY方向大梁32の端部側梁部材33における上下の両フランジ33Bの梁端部33aの各々には、連結プレート4を介して剛接合するための複数のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。
X方向に沿うX方向大梁31の両フランジ31Bの梁端部31aには、連結プレート4とボルト接合するためのボルト挿通孔は形成されていない。つまり、X方向大梁31における両フランジ31Bの梁端部31aは、連結プレート4とボルト接合されない。そのため、X方向ブラケット21とX方向大梁31とは、一対のウェブ用第1接合プレート6のみを介したピン接合PJに構成されている。
【0021】
図4図6に示すように、連結プレート4の中央部には、鋼管柱1の一つの角部1bが入り込むL字状の凹部4aが形成されている。連結プレート4の一端側の連結部4Aの端面と他端側の連結部4Bの端面との交差角は直角に構成されている。
連結プレート4は、仕口部の上方側において、鋼管柱1の管周方向で隣接する一方のY方向ブラケット22の上側のフランジ22Bと、Y方向大梁32側の上側のフランジ33Bと、X方向ブラケット21の上側のフランジ21Bをそれぞれ上下方向から挟持する状態で一対配置される。さらに、連結プレート4は、仕口部の下方側において、鋼管柱1の管周方向で隣接する一方のY方向ブラケット22の下側のフランジ22Bと、Y方向大梁32側の下側のフランジ33Bと、X方向ブラケット21の下側のフランジ21Bをそれぞれ上下方向から挟持する状態で一対配置される。
【0022】
また、図4に示すように、連結プレート4の凹部4aを鋼管柱1の角部1bに配置した状態では、連結プレート4の一端側の連結部4Aは、鋼管柱1の管周方向で隣接する一方のY方向ブラケット22のフランジ22Bと、それにY方向から対向するY方向大梁32の端部側梁部材33におけるフランジ33Bとに亘って重合配置される。連結プレート4の他端側の連結部4Bは、鋼管柱1の管周方向で隣接する他方のX方向ブラケット21のフランジ21Bに重合配置される。
【0023】
連結プレート4の一端側の連結部4Aには、図4図6に示すように、Y方向ブラケット22のフランジ22Bのボルト挿通孔及びY方向大梁32の端部側梁部材33におけるフランジ33Bのボルト挿通孔に対応するボルト接合用のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。連結プレート4の他端側の連結部4Bには、X方向ブラケット21のフランジ21Bのボルト挿通孔に対応するボルト接合用のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0024】
そして、図4図6に示すように、上方側の一対の連結プレート4は、高さレベルが一致している隣接のY方向ブラケット22の上側のフランジ22B及びY方向大梁32の端部側梁部材33における上側のフランジ33Bと、X方向ブラケット21の上側のフランジ21Bとに亘って架け渡される。
また、下方側の一対の連結プレート4は、高さレベルが一致している隣接のY方向ブラケット22の下側のフランジ22B及びY方向大梁32の端部側梁部材33における下側のフランジ33Bと、X方向ブラケット21の下側のフランジ21Bとに亘って架け渡される。
架け渡された各対の連結プレート4の一端側の連結部4Aは、高さレベルが一致しているY方向ブラケット22のフランジ22B及びY方向大梁32の端部側梁部材33におけるフランジ33Bに対して、それらを上下方向から挟持する状態でのボルト・ナット9による締結操作によってボルト接合されている。
架け渡された各対の連結プレート4の他端側の連結部4Bは、高さレベルが一致しているX方向ブラケット21のフランジ21Bに対して、それらを上下方向から挟持する状態でのボルト・ナット9による締結操作によってボルト接合されている。
【0025】
そのため、Y方向ブラケット22とY方向大梁32の端部側梁部材33とは、連結プレート4を介した剛接合RJに構成されている。X方向ブラケット21とX方向大梁31とは、連結プレート4を介しないピン接合PJに構成されている。
これにより、連結プレート4による無溶接の柱梁仕口構造を実現しながら、ピン接合PJ側では、X方向大梁31の端部と連結プレート4とのボルト接合が存在しないため、連結プレート4に対するボルト接合箇所数を削減してコストの低廉化と施工性の向上を図ることができる。
【0026】
また、上述のように、連結プレート4の一端側の連結部4Aが、Y方向ブラケット22のフランジ22B及びY方向大梁32の端部側梁部材33におけるフランジ33Bにボルト接合されて剛接合RJとなるので、連結プレート4を介して長期荷重時に発生する曲げ応力を伝達することができる。ピン接合PJ側では、連結プレート4を介して曲げ応力を伝達する必要がないので、連結プレート4の他端側の連結部4Bでのボルト接合を、X方向ブラケット21のフランジ21Bのみにすることにより、連結プレート4に対するボルト接合箇所数を大幅に削減して施工性の向上を図ることができる。
【0027】
さらに、図4に示すように、連結プレート4の一端側の連結部4Aは、梁長手方向で広幅に構成され、連結プレート4の他端側の連結部4Bは、梁長手方向で幅狭に構成されている。これにより、連結プレート4のピン接合PJ側となる他端側の連結部4Bを、剛接合RJ側となる一端側の連結部4Aよりも梁長手方向で幅狭に構成することができるので、連結プレート4のコンパクト化、軽量化によってコスト及び施工性の改善を図ることができる。
【0028】
[側柱タイプの柱梁仕口構造]
次に、本発明の側柱タイプの柱梁仕口構造を、図7図9に基づいて説明する。
柱側ブラケット2は、図7に示すように、鋼管製作工場において、鋼管柱1の直交する四つの柱面1aのうち、管周方向で連続する三つの柱面1aの仕口部に隅肉溶接で接合されている。
三つの柱側ブラケット2は、X方向大梁31の梁端部31aの端面とX方向で突き合わされる一対のX方向ブラケット21と、Y方向大梁32の端部側梁部材33における梁端部33aの端面とY方向で突き合わされる単一のY方向ブラケット22とに分かれる。
鋼管柱1の柱面1aからX方向に沿って突出する両X方向ブラケット21の突出長さは、鋼管柱1の柱面1aからY方向に沿って突出するY方向ブラケット22の突出長さよりも大に構成されている。
【0029】
図8に示すように、突き合わせ状態にあるX方向ブラケット21のウェブ21Aと、X方向大梁31のウェブ31Aの梁端部31aとは、それらの両側面に一対のウェブ用第1接合プレート6を配置した挟持状態で、ボルト・ナット7による締結操作によってボルト接合されている。
また、図9に示すように、突き合わせ状態にあるY方向ブラケット22のウェブ22Aと、Y方向大梁32の端部側梁部材33におけるウェブ33Aの梁端部33aとは、それらの両側面に一対のウェブ用第2接合プレート8を配置した挟持状態で、ボルト・ナット7による締結操作によってボルト接合されている。
【0030】
図7図9に示すように、連結プレート4の凹部4aを鋼管柱1の角部1bに配置した状態では、連結プレート4の一端側の連結部4Aは、鋼管柱1の管周方向で隣接する一方のY方向ブラケット22のフランジ22Bと、それにY方向から対向するY方向大梁32の端部側梁部材33におけるフランジ33Bとに亘って重合配置される。連結プレート4の他端側の連結部4Bは、鋼管柱1の管周方向で隣接する他方のX方向ブラケット21のフランジ21Bに重合配置される。
【0031】
連結プレート4の一端側の連結部4Aには、Y方向ブラケット22の両フランジ22Bのボルト挿通孔(図示省略)及びY方向大梁32の端部側梁部材33における両フランジ33Bのボルト挿通孔(図示省略)に対応するボルト接合用のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。連結プレート4の他端側の連結部4Bには、X方向ブラケット21の両フランジ21Bのボルト挿通孔(図示省略)に対応するボルト接合用のボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0032】
そして、上方側の一対の連結プレート4は、高さレベルが一致している隣接のY方向ブラケット22の上側のフランジ22B及びY方向大梁32の端部側梁部材33における上側のフランジ33Bと、X方向ブラケット21の上側のフランジ21Bとに亘って架け渡される。また、下方側の一対の連結プレート4は、高さレベルが一致しているY方向ブラケット22の下側のフランジ22B及びY方向大梁32の端部側梁部材33における下側のフランジ33Bと、X方向ブラケット21の下側のフランジ21Bとに亘って架け渡される。
架け渡された各対の連結プレート4の一端側の連結部4Aは、高さレベルが一致しているY方向ブラケット22のフランジ22B及びY方向大梁32の端部側梁部材33におけるフランジ33Bに対して、それらを上下方向から挟持する状態でのボルト・ナット9による締結操作によってボルト接合されている。
架け渡された各対の連結プレート4の他端側の連結部4Bは、高さレベルが一致しているX方向ブラケット21のフランジ21Bに対して、それらを上下方向から挟持する状態でのボルト・ナット9による締結操作によってボルト接合されている。
【0033】
そのため、Y方向ブラケット22とY方向大梁32の端部側梁部材33とは、連結プレート4を介した剛接合RJに構成されている。X方向ブラケット21とX方向大梁31とは、連結プレート4を介しないピン接合PJに構成されている。
【0034】
図7図8に示すように、鋼管柱1の両X方向ブラケット21における上側のフランジ21B,21B間及び下側のフランジ21B,21B間の各々には、柱側ブラケット2が設けられていない鋼管柱1の背面側の柱面1aの外側を迂回する背面視略扁平Uの字状の第2連結プレート10が設けられている。第2連結プレート10の両端部とX方向ブラケット21のフランジ21Bとは突合せ溶接で接合されている。さらに、第2連結プレート10の中間部は、鋼管柱1の背面側の柱面1aに隅肉溶接で接合されている。
【0035】
[側柱タイプの柱梁仕口構造の変形例]
図10図12は、上述の側柱タイプの柱梁仕口構造において、第2連結プレート10の取付け構造の変形例を示す。そのため、第2連結プレート10の取付け構造以外の構成は、上述の側柱タイプの柱梁仕口構造の構成と同一であるから、同一の構成箇所には同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
そして、この側柱タイプの柱梁仕口構造の変形例では、鋼管柱1の背面側の柱面1aに、X方向ブラケット21及びY方向ブラケット22と同じH型鋼製の第3ブラケット23が隅肉溶接されている。第2連結プレート10は、高さレベルが一致しているX方向ブラケット21の上下のフランジ21Bの上下両面と第3ブラケット23の上下のフランジ23Bの上下両面とに亘って架け渡される。
架け渡された各対の第2連結プレート10は、両X方向ブラケット21のフランジ21B及び第3ブラケット23のフランジ23Bに対して、それらを上下方向から挟持する状態でのボルト・ナット11による締結操作によってボルト接合されている。
〔その他の実施形態〕
上述の各実施形態では、鉄骨梁3を構成する一方のY方向大梁32を、スパン中央側での梁成が異なる逆ドロップハンチ形式に構成したが、スパン全長に亘って同一断面形状の大梁から構成してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 鋼管柱
2 柱側ブラケット
3 鉄骨梁
4 連結プレート
21B フランジ
22B フランジ
33B フランジ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12