(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】店舗装置およびその動作制御方法,ならびに店舗装置の動作制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20240611BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20240611BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240611BHJP
【FI】
G06Q20/24
G06Q30/06
G07B15/00 510
(21)【出願番号】P 2020011314
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】阿部 圭佐
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-120546(JP,A)
【文献】特開2004-38668(JP,A)
【文献】特開2018-5564(JP,A)
【文献】特開2013-137755(JP,A)
【文献】特開2008-257515(JP,A)
【文献】特開2015-41339(JP,A)
【文献】特開2017-215829(JP,A)
【文献】特開2003-22483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台のユーザ端末のそれぞれから送信される,個別の注文商品識別子,個別の決済識別子および共通のETC車載器識別子を含む注文データセットを受信する注文受信手段,
決済機関のコンピュータに,上記決済識別子,および上記注文商品識別子によって特定される商品決済金額を送信して決済を依頼する決済依頼手段,
新たなETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときにレコードを作成し,そのレコードに上記ETC車載器識別子および上記注文商品識別子を記憶し,記憶されているETC車載器識別子と同じETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときに,そのETC車載器識別子を含む作成済みのレコードに,当該別の注文データセットに含まれる注文商品識別子を追加登録することによって,上記ETC車載器識別子をキーにして,上記注文受信手段によって受信される複数の注文データセットに含まれる複数の上記注文商品識別子を名寄せする名寄せ手段,
店舗装置が設置されている店舗付近に設置されたETCゲートから,上記ETC車載器識別子によって特定されるETC車載器が搭載されている車両の到着情報を受信する車両到着情報受信手段,ならびに
上記車両到着情報受信手段によって車両到着情報が受信されたときに上記名寄せ手段による名寄せを終了し,名寄せ処理を終了したタイミング,または商品の受け渡しを終えたタイミングに上記レコードを消去する消去手段を備えている,
店舗装置。
【請求項2】
複数台のユーザ端末のそれぞれから送信される,個別の決済済み注文商品識別子および共通のETC車載器識別子を含む注文データセットを受信する注文受信手段,
新たなETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときにレコードを作成し,そのレコードに上記ETC車載器識別子および上記注文商品識別子を記憶し,記憶されているETC車載器識別子と同じETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときに,そのETC車載器識別子を含む作成済みのレコードに,当該別の注文データセットに含まれる注文商品識別子を追加登録することによって,上記ETC車載器識別子をキーにして,上記注文受信手段によって受信される複数の注文データセットに含まれる複数の上記決済済み注文商品識別子を名寄せする名寄せ手段,
店舗装置が設置されている店舗付近に設置されたETCゲートから,上記ETC車載器識別子によって特定されるETC車載器が搭載されている車両の到着情報を受信する車両到着情報受信手段,ならびに
上記車両到着情報受信手段によって車両到着情報が受信されたときに,上記名寄せ手段による名寄せを終了し,名寄せ処理を終了したタイミング,または商品の受け渡しを終えたタイミングに上記レコードを消去する消去手段を備えている
,
店舗装置。
【請求項3】
上記注文データセットが店舗を識別する店舗識別子,および
上記ETC車載器識別子によって特定されるETC車載器が搭載されている車両が上記店舗識別子によって特定される店舗に到着する到着予想時刻を含む,
請求項1または2に記載の店舗装置。
【請求項4】
現在時刻が上記到着予想時刻またはその所定時間前となったタイミングに,上記名寄せ手段は名寄せを終了する,
請求項3に記載の店舗装置。
【請求項5】
注文受信手段によって,複数台のユーザ端末のそれぞれから送信される,ETC車載器識別子,決済識別子および注文商品識別子を含む注文データセットを受信し,
決済依頼手段によって,決済機関のコンピュータに,上記決済識別子,および上記注文商品識別子によって特定される商品決済金額を送信して決済を依頼し,
名寄せ手段によって,新たなETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときにレコードを作成し,そのレコードに上記ETC車載器識別子および上記注文商品識別子を記憶し,記憶されているETC車載器識別子と同じETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときに,そのETC車載器識別子を含む作成済みのレコードに,当該別の注文データセットに含まれる注文商品識別子を追加登録することによって,上記ETC車載器識別子をキーにして,受信し複数の注文データセットのそれぞれに含まれる上記注文商品識別子を名寄せし,
車両到着情報受信手段によって
,店舗装置が設置されている店舗付近に設置されたETCゲートから,上記ETC車載器識別子によって特定されるETC車載器が搭載されている車両の到着情報を受信し,
上記車両到着情報受信手段によって車両到着情報が受信されたときに上記名寄せ手段による名寄せを終了し,消去手段によって,名寄せ処理を終了したタイミング,または商品の受け渡しを終えたタイミングに上記レコードを消去する,
店舗装置の動作制御方法。
【請求項6】
注文受信手段によって,複数台のユーザ端末のそれぞれから送信される,個別の決済済み注文商品識別子および共通のETC車載器識別子を含む注文データセットを受信し,
名寄せ手段によって,新たなETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときにレコードを作成し,そのレコードに上記ETC車載器識別子および上記注文商品識別子を記憶し,記憶されているETC車載器識別子と同じETC車載器識別子を含む注文データセットを受信したときに,そのETC車載器識別子を含む作成済みのレコードに,当該別の注文データセットに含まれる注文商品識別子を追加登録することによって,上記ETC車載器識別子をキーにして,上記注文受信手段によって受信される複数の注文データセットに含まれる複数の上記決済済み注文商品識別子を名寄せし,
車両到着情報受信手段によって
,店舗装置が設置されている店舗付近に設置されたETCゲートから,上記ETC車載器識別子によって特定されるETC車載器が搭載されている車両の到着情報を受信し,
上記車両到着情報受信手段によって車両到着情報が受信されたときに上記名寄せ手段による名寄せを終了し,消去手段によって,名寄せ処理を終了したタイミング,または商品の受け渡しを終えたタイミングに上記レコードを消去する,
店舗装置の動作制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,店舗装置およびその動作制御方法,ならびに店舗装置の動作制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できる電子料金収受システム(ETCシステム)が知られている。車両に搭載されたETC車載器に挿入されるETCカード(クレジットカード)が用いられて料金収受が行われる。近年では,有料道路の料金収受以外の民間の商業施設等でETCカード決済を利用する検討も行われている。特許文献1は,ガソリンスタンド,ドライブスルー店,駐車場の支払システムにETCカード決済を利用するものを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ETCカード決済では,ETC車載器に挿入されたETCカード(そのETCカードと連携するクレジットカード)を用いて決済が行われるので,たとえば複数のメンバからなるグループが一台の車両に搭乗しており,それぞれが各々商品を注文したとしても,それぞれが決済(支払)をすることはできず,ETC車載器に挿入されたETCカードの所有者(複数のメンバの一人)が決済することになる。
【発明の開示】
【0005】
この発明は,商品注文および決済について個々人のそれぞれが行うことができるようにしつつ,注文商品の引き渡しについては車両単位で行うことができるようにすることを目的とする。
【0006】
第1の発明による店舗装置は,複数台のユーザ端末のそれぞれから送信される,個別の注文商品識別子,個別の決済識別子,および共通のETC車載器識別子を含む注文データセットを受信する注文受信手段,決済機関のコンピュータに,上記決済識別子,および上記注文商品識別子によって特定される商品決済金額を送信して決済を依頼する決済依頼手段,ならびに上記ETC車載器識別子をキーにして,上記注文受信手段によって受信される複数の注文データセットに含まれる複数の上記注文商品識別子を名寄せする名寄せ手段を備えている。
【0007】
この発明は上記店舗装置の動作制御方法,およびこれを実現するコンピュータ・プログラムも提供する。
【0008】
第1の発明による店舗装置は,ETC車載器が搭載されている車両に搭乗しているユーザからの商品注文を受け付けるものである。ユーザは,店舗を訪問する前に商品注文を行うことができる。車両で店舗に到着したときに,注文商品の受け渡しをスムーズに受けることができる。
【0009】
車両に搭乗している複数のユーザは,ユーザのそれぞれが所有するユーザ端末(典型的にはスマートフォン)を用いてそれぞれ商品注文を行う。複数台のユーザ端末のそれぞれから店舗装置には,注文した商品を特定する注文商品識別子(たとえば注文商品を特定するための商品番号)が送信される。注文商品識別子に加えて,注文商品の代金を決済するための決済識別子(クレジットカード番号,デビットカード番号,その他の電子決済可能な番号など),およびETC車載器識別子(搭乗している車両に搭載されているETC車載器に固有の番号など)も,複数台のユーザ端末のそれぞれから店舗装置に送信される。店舗装置の注文受信手段によって,複数台のユーザ端末のそれぞれからの注文商品識別子,決済識別子およびETC車載器識別子を含む注文データセットが,受信される。注文商品識別子および決済識別子は,一般には注文データセットごとに異なる。他方ETC車載器識別子は複数の注文データセットにおいて共通する。
【0010】
店舗装置は,複数台のユーザ端末のそれぞれから受信した注文データセットに含まれる決済識別子,および同じく注文データセットに含まれる注文商品識別子によって特定される商品代金を用いて,決済機関のコンピュータに決済を依頼する(決済依頼手段の処理)。決済依頼は,決済識別子によって特定される決済機関(たとえばクレジットカード会社)のコンピュータに送信されるのは言うまでもない。決済機関は,たとえば,店舗に対し商品代金(商品代金から決済手数料を引いた残金)を支払いかつユーザの銀行口座から商品代金を引き落とす処理を後日に行うことになる。
【0011】
店舗装置はさらに,注文データセットに含まれるETC車載器識別子をキーにして,複数の注文データセットに含まれる複数の上記注文商品識別子を名寄せ(グーピング)する)(名寄せ手段の処理)。これによって,特定車両に搭乗している複数のユーザのユーザ端末からの注文商品を特定しかつまとめることができる。
【0012】
第1の発明によると,商品注文および決済について個々人のそれぞれが行うことができるようにしつつ,注文商品の引き渡しについては車両単位で行うことができ,車両が店舗に到着したときに,車両の搭乗している複数のユーザの注文商品をひとまとめにして引き渡すことができる。
【0013】
一実施態様では,上記店舗装置は,店舗装置が設置されている店舗付近に設置されたETCゲートから,上記ETC車載器識別子によって特定されるETC車載器が搭載されている車両の到着情報を受信する車両到着情報受信手段をさらに備えている。車両の店舗到着が分かるので,複数のユーザの注文商品をひとまとめにして引き渡しをする準備することができる。好ましくは,上記車両到着情報受信手段によって車両到着情報が受信されたときに,上記名寄せ手段は名寄せを終了する。
【0014】
他の実施態様では,上記注文データセットが店舗を識別する店舗識別子,および上記ETC車載器識別子によって特定されるETC車載器が搭載されている車両が上記店舗識別子によって特定される店舗に到着する到着予想時刻を含む。到着予想時刻を,複数のユーザの注文商品をひとまとめにして引き渡しをする準備に用いることができる。好ましくは,現在時刻が上記到着予想時刻またはその所定時間前となったタイミングに,上記名寄せ手段は名寄せを終了する。
【0015】
第1の発明では,注文データセットを受信した店舗装置が,決済機関のコンピュータに対して商品代金の決済を依頼している(代理決済)。商品代金の決済についてはユーザ端末と決済機関のコンピュータとの間の通信によって,店舗装置への商品注文に先立って,完結させるようにしてもよい。
【0016】
ユーザ端末と決済機関のコンピュータとの間で注文商品についての決済処理をあらかじめ完結させることを前提とする第2の発明による店舗装置は,複数台のユーザ端末のそれぞれから送信される,個別の決済済み注文商品識別子および共通のETC車載器識別子を含む注文データセットを受信する注文受信手段,ならびに上記ETC車載器識別子をキーにして,上記注文受信手段によって受信される複数の注文データセットに含まれる複数の上記決済済み注文商品識別子を名寄せする名寄せ手段を備えている。「個別の決済済み注文商品識別子」は,複数台のユーザの端末のそれぞれが用いられて注文される商品であって,かつその商品代金についてあらかじめ決済機関によって決済(支払)処理が既に行われている(決済済み)商品を識別する番号等を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施例の商品注文システムの処理を概略的に示すブロック図である。
【
図3】第1実施例の変形例の商品注文システムの処理を概略的に示すブロック図である。
【
図4】第2実施例の商品注文システムの処理を概略的に示すブロック図である。
【実施例】
【0018】
図1は第1実施例の商品注文システムを構成するハードウェアおよびその処理を概略的に示すブロック図である。
【0019】
第1実施例の商品注文システムは,店舗を訪問する前に,車両に搭乗している複数の搭乗者のそれぞれからの商品注文を受付け,車両が店舗に到着したときには注文商品をまとめて受け取ることができるようにするシステムである。以下では,いわゆるドライブスルー(車両から降りることなく窓越しに注文商品を受け取るサービス)を例にする。
【0020】
車両10にETC(Electronic Toll Collection)(電子料金収受)車載器12が搭載されている。ETC車載器12は,処理機能部,ETCカード挿入部などを備える本体と,アンテナとを備えるもので,本体およびアンテナを一つの筐体に収めた2ピースタイプ(ETC車載器とETCカードとによって構成されるので2ピースタイプと呼ばれる),本体からアンテナを分離させた3ピースタイプ,車両にあらかじめETC車載器12が取り付けられたビルトインタイプなど,いずれのタイプであってもよい。
【0021】
ETC車載器12の本体はメモリ(図示略)を備え,このメモリにETC車載器12に固有の管理番号(以下,「ETC車載器管理番号」という)が記憶されている。以下に説明するように,商品注文システムでは,車両10に搭載されているETC車載器12に固有のETC車載器管理番号が利用される。
【0022】
ETC車載器12が備えるカード挿入部にはクレジットカード会社が発行するETCカード11が挿入され,これによって有料道路の通行料金の収受をクレジットカード決済することができる。しかしながら,第1実施例の商品注文システムではこのETCカード11は特には必要とされない。これについての詳細も以下の説明から明らかにされよう。
【0023】
第1実施例では,車両10に3名の搭乗者が搭乗しており,3名の搭乗者はそれぞれ自分のスマートフォン21~23を所持(所有)しているものとする。スマートフォン21~23が用いられて商品の事前注文(車両10で店舗を訪問する前のタイミングの注文)が行われる。スマートフォン21~23はCPU(Central Processing Unit ),表示装置,入力装置,通信装置,メモリ,記憶装置等を備えるコンピュータ装置である。
【0024】
スマートフォン21~23のそれぞれには,あらかじめ商品注文用アプリケーション・プログラム(以下,商品注文アプリと言う)がインストールされる。
【0025】
商品注文アプリが起動されることで,スマートフォン21~23の表示画面には店舗(ドライブスルーサービスを提供している店舗)の選択および注文商品の選択のための画面が現れる。スマートフォン21~23の表示画面に表示される指示(選択肢)にしたがって,ドライブスルー利用可能な店舗の選択,注文商品の選択,および注文が行われる。
【0026】
商品注文アプリによってスマートフォン21~23の表示画面に表示される店舗選択および商品選択のための画面(コンテンツ)は,インターネットを通じてスマートフォン21~23のそれぞれにダウンロードされる。
【0027】
スマートフォン21~23にはさらに,決済に用いるべきクレジットカードのカード番号,およびETC車載器管理番号も入力される。クレジットカード番号およびETC車載器管理番号はスマートフォン21~23のメモリ等にあらかじめ記憶させておき,これを商品の注文のときに読み出すようにしてもよい。たとえば商品注文アプリは,初回利用時にカード番号およびETS車載器管理番号の入力を求め,2回目以降ではメモリに記憶されているデータを用いるように動作させることができる(ステップ(i)および(ii))。
【0028】
決済に用いるクレジットカード(カード番号)は,一般にスマートフォン21~23の所持者(3名の搭乗者)のそれぞれで異なるので,互いに異なるクレジットカード番号が3台のスマートフォン21~23のそれぞれに入力される。他方,スマートフォン21~23のそれぞれに入力されるETC車載器管理番号は同じ番号である。たとえば,車両10が備えるカーナビゲーション装置の表示画面に車両10に搭載されているETC車載器12の管理番号を表示させることができる。これを各自がスマートフォン21~23に入力することによって,3台のスマートフォン21~23のそれぞれに同じETC車載器管理番号が入力される。
【0029】
3名の搭乗者のそれぞれが自分のスマートフォン21~23を用いて店舗を選択し,かつ注文商品を選択し,注文ボタンをタップする。3台のスマートフォン21~23のそれぞれから,選択された店舗のコンピュータ(以下,店舗装置40という)に,選択された店舗情報(たとえば店舗識別番号),選択された注文商品情報(たとえば商品番号),クレジットカード番号およびETC車載器管理番号が,注文データセットとしてインターネットを通じて送信される(ステップ(iii) )。店舗装置40は,CPU,メモリ,通信装置,入力装置,表示装置等を備えるコンピュータ装置である。なお,選択店舗は,必須ではないものの,一般には3名全員について同じ店舗とされる。
【0030】
注文データセットはスマートフォン21~23から選択された店舗装置40にインターネット等を経由して直接に送信してもよいし,たとえば複数の店舗を統括する統括本部(チェーン本部のコンピュータ)に送信し,統括本部から店舗装置40に送信(転送)するようにしてもよい。
【0031】
注文データセットを受信した店舗装置40は,注文データセットに含まれる注文商品情報およびクレジットカード番号に基づいて,クレジットカード会社の決済処理装置(コンピュータ装置)31,32…に注文商品についてのクレジット決済の請求を送信する(ステップ(iv))。店舗装置40は,注文商品情報たとえば商品番号によって特定される商品の代金(金額)を,クレジットカード番号とともにクレジットカード会社の決済処理装置31,32・・・に送信する。
【0032】
クレジットカード会社の決済処理装置31,32・・・では与信照会,売上処理等の決済処理が行われ(ステップ(v)),その処理結果が店舗装置40に送信される(ステップ(vi) )。店舗装置40と決済処理装置31,32・・・との間の通信もインターネットを介して行われる。
【0033】
店舗装置40からスマートフォン21~23に注文受付通知が送信される(ステップ(vii) )。一般には,クレジットカード会社の決済処理装置31,32・・・による決済処理が正常終了したことを前提に「注文を受け付けました。」といった注文確認電文が,スマートフォン21~23に送信される。
【0034】
注文を受け付けた店舗では,注文商品の受け渡しの準備(たとえば調理)に取り掛かることができる。
【0035】
上述したように,スマートフォン21~23から店舗装置40に送信される注文データセットは同じETC車載器管理番号を含む。注文データセットに含まれるETC車載器管理番号を用いて,注文データセットに含まれる注文情報(商品番号)がグルーピング(集約)される(ステップ(viii) )。すなわち,スマートフォン21~23のそれぞれから店舗装置40に送信される注文データセットはそれぞれ独立しているが,注文データセットに含まれるETC車載器管理番号をキーにして,注文データセットに含まれる注文情報がグルーピングされる。ETC車載器管理番号をキーに用いた注文データセット(注文情報)のグルーピングを,以下,「名寄せ」と呼ぶ。
【0036】
名寄せ処理は店舗装置40で行ってもよいし,店舗装置40とは別のコンピュータ装置(名寄せ装置)41で行ってもよい。店舗装置40と別の名寄せ装置41に名寄せ処理を実行させる場合には,店舗装置40が注文データセットを受信するたびに,店舗装置40から名寄せ装置41に注文データセット(または注文データセットに含まれる少なくともETC車載器管理番号および注文情報の組)が送信される。店舗装置40が他のコンピュータ装置に名寄せ処理を依頼し,その処理結果を店舗装置40が受けとるようにしてもよい。
【0037】
図2は名寄せ装置41において実行される名寄せ処理の結果(名寄せ装置41が備える記憶装置に記憶される名寄せデータ42)の一例を示している。
【0038】
名寄せ装置41は,上述のように,スマートフォン21~23から注文データセットが送信されるたびに,そこに含まれるETC車載器管理番号をキーにして名寄せ処理を実行する。3台のスマートフォン21~23から送信される3つの注文データセットには,車両10に搭載されているETC車載器12に固有のETC車載器管理番号が含まれるので,これらのスマートフォン21~23のそれぞれから送信される注文データセット(そこに含まれる注文情報)は,このETC車載器管理番号をキーにしてグルーピングされることになる。
【0039】
名寄せ装置41は,新たなETC車載器管理番号を含む注文データセットを受信したときにレコードを作成し,そのレコードにETC車載器管理番号および注文情報(注文番号)を記憶する。名寄せデータ42に既に記憶されているETC車載器管理番号と同じETC車載器管理番号を含む注文データセットを受信すると,そのETC車載器管理番号を含む作成済みのレコードに,当該別の注文データセットに含まれる注文情報(商品番号)を追加される。同一のETC車載器管理番号を含む注文データセットが受信されるたびに,その注文データセットに含まれる注文情報(商品番号)がレコードに追加登録されることになる。ETC車載器管理番号と一または複数の注文情報を含むレコード・データを,以下,名寄せ情報と呼ぶ。
【0040】
図1に戻って,店舗の入り口付近(たとえば店舗の駐車場入り口)に,ETC車載器12と無線通信可能なETCゲート(路側無線装置)51が設置されている。ETCゲート51はETC車載器12と無線通信し,ETC車載器12に記憶されているETC車載器管理番号を読み出す(受信する)ことができる。
【0041】
ETCゲート51は,受信したETC車載器管理番号を名寄せ装置41に送信する(ステップ(ix))。
【0042】
ETC車載器管理番号を受信した名寄せ装置41は,そのETC車載器管理番号を含む名寄せ情報(レコード)に関する名寄せ処理を終了し,受信したETC車載器管理番号を含む名寄せ情報を店舗装置40に送信する(ステップ(x) )。店舗では,名寄せ情報に基づいて,スマートフォン21~23のそれぞれから受け付けた複数の注文商品を,たとえば一つの袋にまとめて収納することができ,ひとまとめにした商品を車両10の搭乗者に窓越しに受け渡すことができる(ステップ(xi))。
【0043】
名寄せ処理を終了したタイミングで,または商品の受け渡しを終えたタイミングで,名寄せ装置41において対応する名寄せ情報を消去してもよい。
【0044】
このように商品注文システムでは,店舗を実際に訪問する前にあらかじめ商品を注文することができ,店舗を訪問したときにすぐに商品を受けとることができる。混雑時の待ち時間を短縮することができる。
【0045】
商品注文およびクレジットカード決済はスマートフォン21~23の所持者のそれぞれが行うことができるので,たとえば代表者がいったん全額支払い,その後に他の者に請求をする手間は一切不要である。さらに,搭乗者それぞれからの個別注文であるにも関わらず,店舗における商品の受け渡しでは複数の搭乗者を一グループとしてまとめて扱うことができる。店舗における商品受け渡しの手間も大幅に簡略化することができる。
【0046】
上述した第1実施例では,車両10がETCゲート51を通過したときに名寄せ処理を終了し,商品の受け渡しの準備に取り掛かっている。車両10のETCゲート51の通過タイミングを名寄せ処理の終了タイミングとするのに代えて,スマートフォン21~23から店舗装置40に店舗情報で特定される店舗に到着する店舗到着予定時刻を送信させ,その到着予定時刻(または到着予定時刻の所定時間前(たとえば1分前)であってもよい)に名寄せ処理を終了してもよい。店舗到着予定時刻は,車両10に搭載されているカーナビゲーションから取得してもよいし,スマートフォン21~23にインストールされる商品注文アプリが,現在地と店舗情報で特定される店舗との間の距離および車両10の移動速度を用いて算出するようにしてもよい。この場合,車両10のETCゲート51の通過は車両10が店舗に到着したことを店員に知らせるために用いることができる。
【0047】
図3は第1実施例の変形例の商品注文システムの処理を概略的に示すブロック図である。
図1に示す商品注文システムとは,クレジットカード決済のタイミングが異なっている。
【0048】
第1実施例の変形例の商品注文システムでは,車両10が店舗に到着したタイミング,すなわち車両10がETCゲート51を通過したタイミングに,クレジットカード決済処理が行われる(ステップ(viii),ステップ(ix)およびステップ(x) )。すなわち,店舗装置40は,ETCゲート51によって読み出されるECT車載器管理番号の通知を受信したあとに,クレジットカード会社の決済処理装置31,32・・・に決済請求する。
【0049】
店舗が,たとえば作り置き可能な商品のみを販売する店舗であれば,調理時間を考慮する必要がないので,車両10が店舗に到着した後に注文商品の受け渡しの準備を開始すればよい。変形例の商品注文システムはそのような店舗に適している。
【0050】
図4は第2実施例の商品注文システムの処理を概略的に示すブロック図である。
図1に示す第1実施例の商品注文システムとは,クレジットカード決済処理が,店舗装置40とクレジットカード会社の決済処理装置31,32・・・の間ではなく,スマートフォン21~23とクレジットカード会社の決済処理装置31,32・・・の間で行われる点が異なっている。
【0051】
スマートフォン21~23のそれぞれにおいて注文ボタンがタップされると,スマートフォン21~23からクレジットカード会社の決済処理装置31,32・・・に,クレジットカード番号および注文商品の代金(金額)を含む決済請求が送信され(ステップ(iii) ),処理結果が返信される(ステップ(iv),ステップ(v))。
【0052】
その後に,スマートフォン21~23のそれぞれから店舗装置40に注文データセットが送信される。第1実施例と異なり,第2実施例では,注文データセットには,選択された店舗情報,選択された注文商品情報であって,その注文商品情報によって特定される商品についての決済(支払)が既に完了していることを示す情報(決済済み注文商品情報),およびETC車載器管理番号を含み,クレジットカード番号は注文データセットには含められない。その後の処理は第1実施例と同じである。
【符号の説明】
【0053】
10 車両
12 ETC車載器
21,22,23 スマートフォン
31,32 決済処理装置
40 店舗装置
41 名寄せ装置
51 ETCゲート