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特許7502048メッシュ部品、メッシュ部品製造方法、ポンプ式製品およびエアゾール式製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】メッシュ部品、メッシュ部品製造方法、ポンプ式製品およびエアゾール式製品
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20240611BHJP
   B65D 83/14 20060101ALI20240611BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240611BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240611BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20240611BHJP
   B01D 46/10 20060101ALI20240611BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20240611BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B01D39/16 Z
B65D83/14 200
B65D47/34 110
B29C45/26
B29C45/00
B01D46/10 A
B01D29/04 510D
B01D29/04 530A
B01D35/02 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020036666
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021137718
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝彦
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-174591(JP,A)
【文献】国際公開第2020/116302(WO,A1)
【文献】特開2019-151360(JP,A)
【文献】特開2011-050833(JP,A)
【文献】特表2017-514719(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1188456(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D27/00-39/20
B01D46/00-46/90
B29C45/00-45/84
B65D47/00-47/44
B65D83/00-83/76
B01F21/00-25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュを形成する部分であるメッシュ部を備える樹脂製のメッシュ部品であって、
前記メッシュ部は、前記メッシュを形成する線状の部分である、複数の線状部を備え、
前記複数の線状部は、
第1の線状部と、
前記メッシュ部の延在方向と直交する方向における厚みが前記第1の線状部より厚い第2の線状部と
を備えるッシュ部品を備え、
前記メッシュ部品は、流体に前記メッシュを通過させる位置に配置され、
前記第1の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部と、前記第2の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部とは、前記延在方向と直交する方向における位置が同一であることを特徴とするポンプ式製品
【請求項2】
前記第2の線状部は、前記延在方向における前記メッシュ部の中央部に少なくとも配置されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ式製品
【請求項3】
前記延在方向に前記メッシュ部に隣接して配置される枠部を備え、
前記第2の線状部は、前記枠部に接続されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプ式製品
【請求項4】
メッシュを形成する部分であるメッシュ部を備える樹脂製のメッシュ部品であって、
前記メッシュ部は、前記メッシュを形成する線状の部分である、複数の線状部を備え、
前記複数の線状部は、
第1の線状部と、
前記メッシュ部の延在方向と直交する方向における厚みが前記第1の線状部より厚い第2の線状部と
を備えるメッシュ部品を備え、
前記メッシュ部品は、流体に前記メッシュを通過させる位置に配置され、
前記第1の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部と、前記第2の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部とは、前記延在方向と直交する方向における位置が同一であることを特徴とするエアゾール式製品。
【請求項5】
前記第2の線状部は、前記延在方向における前記メッシュ部の中央部に少なくとも配置されることを特徴とする請求項4に記載のエアゾール式製品。
【請求項6】
前記延在方向に前記メッシュ部に隣接して配置される枠部を備え、
前記第2の線状部は、前記枠部に接続されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のエアゾール式製品。
【請求項7】
メッシュを形成する部分であるメッシュ部を備える樹脂製のメッシュ部品であって、
前記メッシュ部は、前記メッシュを形成する線状の部分である、複数の線状部を備え、
前記複数の線状部は、
第1の線状部と、
前記メッシュ部の延在方向と直交する方向における厚みが前記第1の線状部より厚い第2の線状部と
を備え、
前記第1の線状部の延在方向に直交する、前記メッシュ部の延在方向における前記第1の線状部の幅と、前記第2の線状部の延在方向に直交する、前記メッシュ部の延在方向における前記第2の線状部の幅とは同一であり、
前記メッシュ部は、前記メッシュ部の延在方向における前記メッシュ部の中央部に前記第1の線状部または前記第2の線状部が少なくとも配置されることを特徴とするメッシュ部品。
【請求項8】
前記第2の線状部は、前記メッシュ部の延在方向における前記メッシュ部の中央部に少なくとも配置されることを特徴とする請求項7に記載のメッシュ部品。
【請求項9】
前記メッシュ部の延在方向に前記メッシュ部に隣接して配置される枠部を備え、
前記第2の線状部は、前記枠部に接続されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のメッシュ部品。
【請求項10】
前記メッシュ部において前記メッシュ部の延在方向における端部から中央部に向けて樹脂が流れるように、請求項7から請求項9までのいずれかに記載のメッシュ部品を射出成形することを特徴とするメッシュ部品製造方法。
【請求項11】
請求項7から請求項9までのいずれかに記載のメッシュ部品を備え、
前記メッシュ部品は、流体に前記メッシュを通過させる位置に配置されることを特徴とするポンプ式製品。
【請求項12】
請求項7から請求項9までのいずれかに記載のメッシュ部品を備え、
前記メッシュ部品は、流体に前記メッシュを通過させる位置に配置されることを特徴とするエアゾール式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュが形成されている樹脂製のメッシュ部品、メッシュ部品製造方法、ポンプ式製品およびエアゾール式製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂製のメッシュ部品として、メッシュを形成する部分であるメッシュ部と、射出成形される際にメッシュ部に溶融状態の樹脂を行き渡らせるためにメッシュ部に隣接して設けられるリブとを備えるものが知られている(例えば特許文献1-4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-087174号公報
【文献】特開平9-136338号公報
【文献】特開2016-203520号公報
【文献】特開2018-053833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のメッシュ部品においては、メッシュ部とは別にリブを備えているので、リブが存在する分だけメッシュの面積が小さくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、メッシュの面積を増加させることができるメッシュ部品、メッシュ部品製造方法、ポンプ式製品およびエアゾール式製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のメッシュ部品は、メッシュを形成する部分であるメッシュ部を備える樹脂製のメッシュ部品であって、前記メッシュ部は、前記メッシュを形成する線状の部分である、複数の線状部を備え、前記複数の線状部は、第1の線状部と、前記メッシュ部の延在方向と直交する方向における厚みが前記第1の線状部より厚い第2の線状部とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明のメッシュ部品は、メッシュを形成する線状部のうち第2の線状部が第1の線状部よりメッシュ部の延在方向と直交する方向における厚みが厚いので、射出成形によって製造される際に、メッシュ部とは別の部分ではなく、メッシュ部の一部である第2の線状部によって第1の線状部に溶融状態の樹脂を行き渡らせることができ、その結果、メッシュの面積を増加させることができる。
【0008】
本発明のメッシュ部品において、前記第2の線状部は、前記延在方向における前記メッシュ部の中央部に少なくとも配置されても良い。
【0009】
この構成により、本発明のメッシュ部品は、メッシュ部の延在方向におけるメッシュ部の中央部に第2の線状部が少なくとも配置されるので、メッシュ部においてメッシュ部の延在方向における端部から中央部に向けて溶融状態の樹脂が流れるように射出成形されたとしても、メッシュ部の延在方向におけるメッシュ部の中央部に溶融状態の樹脂を行き渡らせることができる。
【0010】
本発明のメッシュ部品は、前記延在方向に前記メッシュ部に隣接して配置される枠部を備え、前記第2の線状部は、前記枠部に接続されても良い。
【0011】
この構成により、本発明のメッシュ部品は、メッシュ部の延在方向にメッシュ部に隣接して配置される枠部にメッシュ部の第2の線状部が接続されるので、枠部からメッシュ部の延在方向におけるメッシュ部の中央部に向けて溶融状態の樹脂が流れるように射出成形されたとしても、枠部からメッシュ部の第2の線状部に溶融状態の樹脂を容易に流れ込ませることができ、その結果、メッシュ部の延在方向におけるメッシュ部の中央部に溶融状態の樹脂を行き渡らせることができる。
【0012】
本発明のメッシュ部品製造方法は、前記メッシュ部において前記延在方向における端部から中央部に向けて樹脂が流れるように、上述のメッシュ部品を射出成形することを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明のメッシュ部品製造方法は、メッシュ部においてメッシュ部の延在方向における端部から中央部に向けて溶融状態の樹脂が流れるようにメッシュ部品を射出成形するので、メッシュ部の延在方向におけるメッシュ部の中央部に溶融状態の樹脂をメッシュ部の第2の線状部によって行き渡らせることができる。
【0014】
本発明のポンプ式製品は、上述のメッシュ部品を備え、前記メッシュ部品は、流体に前記メッシュを通過させる位置に配置されることを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明のポンプ式製品は、面積を増加させることができたメッシュを流体に通過させる位置にメッシュ部品が配置されるので、単位時間当たりにメッシュを通過させる流体の量を増加させることができる。
【0016】
本発明のポンプ式製品において、前記第1の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部と、前記第2の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部とは、前記延在方向と直交する方向における位置が同一であっても良い。
【0017】
この構成により、本発明のポンプ式製品は、メッシュ部の第1の線状部の、流体の流れの上流側の端部と、メッシュ部の第2の線状部の、流体の流れの上流側の端部とが、メッシュ部の延在方向と直交する方向における位置が同一であるので、流体の流れにおいてメッシュ部の直前で乱流が発生することを抑えることができ、その結果、単位時間当たりにメッシュを通過させる流体の量を増加させることができる。
【0018】
本発明のエアゾール式製品は、上述のメッシュ部品を備え、前記メッシュ部品は、流体に前記メッシュを通過させる位置に配置されることを特徴とする。
【0019】
この構成により、本発明のエアゾール式製品は、面積を増加させることができたメッシュを流体に通過させる位置にメッシュ部品が配置されるので、単位時間当たりにメッシュを通過させる流体の量を増加させることができる。
【0020】
本発明のエアゾール式製品において、前記第1の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部と、前記第2の線状部の、前記流体の流れの上流側の端部とは、前記延在方向と直交する方向における位置が同一であっても良い。
【0021】
この構成により、本発明のエアゾール式製品は、メッシュ部の第1の線状部の、流体の流れの上流側の端部と、メッシュ部の第2の線状部の、流体の流れの上流側の端部とが、メッシュ部の延在方向と直交する方向における位置が同一であるので、流体の流れにおいてメッシュ部の直前で乱流が発生することを抑えることができ、その結果、単位時間当たりにメッシュを通過させる流体の量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のメッシュ部品、メッシュ部品製造方法、ポンプ式製品およびエアゾール式製品は、メッシュの面積を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ノズルが押し下げられていない状態での本発明の一実施の形態に係るポンプ式製品の一部の側面断面図である。
図2】ノズルが押し下げられている状態での図1に示すポンプ式製品の一部の側面断面図である。
図3図1に示すメッシュ部品の斜視図である。
図4図3に示すメッシュ部品の平面図である。
図5図3に示すメッシュ部品の正面図である。
図6図3に示すメッシュ部品の底面図である。
図7図4のA-A矢視断面図である。
図8図3に示すメッシュ部品の射出成型用の金型の側面断面図である。
図9図8に示す第2の固定側部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
まず、本実施の形態に係るポンプ式製品の構成について説明する。
【0026】
図1は、ノズル11が押し下げられていない状態での本実施の形態に係るポンプ式製品10の一部の側面断面図である。図2は、ノズル11が押し下げられている状態でのポンプ式製品10の一部の側面断面図である。
【0027】
図1および図2に示すように、ポンプ式製品10は、泡が吐出されるノズル11と、図示していない容器内の液を吸い上げるためのチューブ12と、チューブ12に接続されて液をチューブ12側からノズル11側に送る液用ポンプ13と、空気をノズル11側に送る空気用ポンプ14と、メッシュが形成されているメッシュ部品20を備えている。
【0028】
メッシュ部品20は、液用ポンプ13によって送り出された液と、空気用ポンプ14によって送り出された空気とが混合された流体にメッシュを通過させる位置に配置されている。メッシュ部品20は、底面側が流体の流れの上流側になるようにポンプ式製品10に配置されている。
【0029】
図3は、メッシュ部品20の斜視図である。図4は、メッシュ部品20の平面図である。図5は、メッシュ部品20の正面図である。図6は、メッシュ部品20の底面図である。図7は、図4のA-A矢視断面図である。なお、図7においては、メッシュ部品20の一部が省略して描かれている。
【0030】
図3図7に示すように、メッシュ部品20は、メッシュを形成する部分であるメッシュ部30と、矢印20aで示す方向に直交する方向、すなわち、メッシュ部30の延在方向にメッシュ部30に隣接して配置される枠部40とを備えている。メッシュ部品20は、射出成形で製造される樹脂製の成形品である。
【0031】
メッシュ部30は、メッシュを形成する線状の部分である、複数の線状部31を備えている。複数の線状部31には、矢印20aで示す方向に直交する矢印20bで示す方向に延在するものと、矢印20aで示す方向、および、矢印20bで示す方向の両方に直交する矢印20cで示す方向に延在するものとが存在する。メッシュ部30は、矢印20bで示す方向に延在する複数の線状部31と、矢印20cで示す方向に延在する複数の線状部31とによって、複数の孔32が形成されている。複数の孔32は、矢印20bで示す方向と、矢印20cで示す方向とにそれぞれ均等な間隔で配置されている。例えば、メッシュ部品20の底面において、線状部31の幅は、0.07mmであり、孔32の一辺の長さは、0.1mmである。
【0032】
複数の線状部31は、メッシュ部30の延在方向と直交する方向、すなわち、矢印20aで示す方向における厚みが互いに同一である、複数の第1の線状部31aと、矢印20aで示す方向における厚みが第1の線状部31aより厚い、複数の第2の線状部31bとを備えている。複数の第2の線状部31bは、矢印20aで示す方向における厚みが互いに同一である。例えば、矢印20aで示す方向における厚みは、第1の線状部31aが0.15mmであり、第2の線状部31bが0.2mmである。
【0033】
メッシュ部30は、矢印20bで示す方向に延在する5本の第2の線状部31bと、矢印20cで示す方向に延在する5本の第2の線状部31bとの合計10本の第2の線状部31bを備えている。矢印20bで示す方向に延在する5本の第2の線状部31bは、矢印20cで示す方向における中央に配置された1本の第2の線状部31bと、この第2の線状部31bに対して矢印20cで示す方向において両隣に配置された2本ずつの第2の線状部31bとである。矢印20cで示す方向に延在する5本の第2の線状部31bは、矢印20bで示す方向における中央に配置された1本の第2の線状部31bと、この第2の線状部31bに対して矢印20bで示す方向において両隣に配置された2本ずつの第2の線状部31bとである。第2の線状部31bは、矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部に少なくとも配置されている。
【0034】
第2の線状部31bは、枠部40に接続されている。
【0035】
次に、メッシュ部品20の製造方法について説明する。
【0036】
図8は、メッシュ部品20の射出成型用の金型50の側面断面図である。
【0037】
図8に示すように、金型50は、固定側の部分である固定側部60と、固定側部60に対して矢印50aで示す方向に移動可能である可動側の部分である可動側部70とを備えている。金型50は、固定側部60および可動側部70が接触することによって、メッシュ部品20用の空洞51を形成する。
【0038】
固定側部60は、メッシュ部品20の枠部40の外周面を形成するための第1の固定側部61と、メッシュ部品20の底面を形成するための第2の固定側部62とを備えている。
【0039】
第1の固定側部61は、外部から溶融状態の樹脂が導入されるランナー61aと、ランナー61aに導入された溶融状態の樹脂を空洞51に導入するためのゲート61bと、メッシュ部品20の枠部40の外周面を形成するための部分61cと、第2の固定側部62が収納される収納部61dとを備えている。ゲート61bは、空洞51に対して矢印50aで示す方向に直交する矢印50bで示す方向に配置されている。
【0040】
図9は、第2の固定側部62の平面図である。
【0041】
図8および図9に示すように、第2の固定側部62は、メッシュ部品20の底面を形成するための部分62aを備えている。第2の固定側部62は、矢印50aで示す方向、および、矢印50bで示す方向の両方に直交する矢印50cで示す方向に並べて配置された複数のプレート62bを備えている。複数のプレート62bのそれぞれは、矢印50cで示す方向に直交する方向に延在している。
【0042】
空洞51内に溶融状態の樹脂が導入される場合、空洞51内の空気は、複数のプレート62b同士の間の隙間から矢印50aで示す方向に抜け出す。プレート62bは、矢印50cで示す方向における厚みに関して、矢印50cで示す方向における外側の隣のプレート62bと同一であるか、矢印50cで示す方向における外側の隣のプレート62bより薄い。矢印50cで示す方向における中央部のプレート62bは、矢印50cで示す方向における厚みに関して、矢印50cで示す方向における最も外側のプレート62bより薄い。したがって、矢印50cで示す方向における中央部側は、矢印50cで示す方向における最も外側と比較して、空洞51内の空気が抜け出し易い。
【0043】
図8に示すように、可動側部70は、メッシュ部品20の枠部40の上面を形成するための第1の可動側部71と、メッシュ部品20のメッシュ部30の上面側、および、メッシュ部品20の枠部40の内周面を形成するためのピンである第2の可動側部72とを備えている。
【0044】
第1の可動側部71は、メッシュ部品20の枠部40の上面を形成するための部分71aと、第2の可動側部72が収納される収納部71bとを備えている。
【0045】
第2の可動側部72は、メッシュ部品20のメッシュ部30の上面側を形成するための部分72aと、メッシュ部品20の枠部40の内周面を形成するための部分72bとを備えている。
【0046】
図8に示すように金型50で空洞51が形成された状態で、ランナー61aおよびゲート61bを介して、溶融状態の樹脂が空洞51内に導入される。このとき、枠部40に溶融状態の樹脂が流れ込んだ後、メッシュ部30において矢印20aで示す方向に直交する方向における端部から中央部に向けて樹脂が流れるように、メッシュ部品20が射出成形される。そして、空洞51内の樹脂が固まった後、固定側部60から可動側部70が離されることによって、メッシュ部品20が取り出される。
【0047】
以上に説明したように、メッシュ部品20は、メッシュを形成する線状部31のうち第2の線状部31bが第1の線状部31aより矢印20aで示す方向における厚みが厚いので、射出成形によって製造される際に、メッシュ部30とは別の部分ではなく、メッシュ部30の一部である第2の線状部31bによって第1の線状部31aに溶融状態の樹脂を行き渡らせることができ、その結果、メッシュの面積を増加させることができる。
【0048】
ポンプ式製品10は、面積を増加させることができたメッシュを流体に通過させる位置にメッシュ部品20が配置されるので、単位時間当たりにメッシュを通過させる流体の量を増加させることができる。
【0049】
ポンプ式製品10は、メッシュ部30の第1の線状部31aの、流体の流れの上流側の端部、すなわち、メッシュ部品20の底面側の端部と、メッシュ部30の第2の線状部31bの、流体の流れの上流側の端部、すなわち、メッシュ部品20の底面側の端部とが、矢印20aで示す方向における位置が同一であるので、流体の流れにおいてメッシュ部30の直前で乱流が発生することを抑えることができ、その結果、単位時間当たりにメッシュを通過させる流体の量を増加させることができる。
【0050】
メッシュ部品20は、本実施の形態において、図1に示すように、底面側が流体の流れの上流側になるようにポンプ式製品10に配置されている。しかしながら、メッシュ部品20は、底面側が流体の流れの下流側になるようにポンプ式製品10に配置されても良い。
【0051】
メッシュ部品20は、本実施の形態において、図1に示すように、ポンプ式製品10において1つのみが配置されている。しかしながら、メッシュ部品20は、ポンプ式製品10において複数が流路上に配置されても良い。
【0052】
メッシュ部品20は、メッシュ部30において矢印20aで示す方向に直交する方向における端部から中央部に向けて溶融状態の樹脂が流れるように射出成形されるので、矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部に溶融状態の樹脂をメッシュ部30の第2の線状部31bによって行き渡らせることができる。
【0053】
メッシュ部品20は、矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部に第2の線状部31bが少なくとも配置されるので、メッシュ部30において矢印20aで示す方向に直交する方向における端部から中央部に向けて溶融状態の樹脂が流れるように射出成形された場合に、矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部に溶融状態の樹脂を行き渡らせることができる。
【0054】
なお、メッシュ部品20は、矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部以外の部分のみに第2の線状部31bが配置されても良い。
【0055】
メッシュ部品20は、矢印20aで示す方向に直交する方向にメッシュ部30に隣接して配置される枠部40にメッシュ部30の第2の線状部31bが接続されるので、枠部40から矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部に向けて溶融状態の樹脂が流れるように射出成形された場合に、枠部40からメッシュ部30の第2の線状部31bに溶融状態の樹脂を容易に流れ込ませることができ、その結果、矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部に溶融状態の樹脂を行き渡らせることができる。
【0056】
なお、メッシュ部品20は、メッシュ部30の第2の線状部31bが枠部40に接続されなくても良い。
【0057】
メッシュ部品20の底面における、線状部31の幅、および、孔32の一辺の長さは、第2の線状部31bを全て第1の線状部31aに置き換えたと仮定した場合に、矢印20aで示す方向に直交する方向におけるメッシュ部30の中央部に溶融状態の樹脂が行き渡らない不良、すなわち、ショートショットが生じる程度に小さいことが好ましい。
【0058】
メッシュ部品20は、本実施の形態において、ポンプ式製品10における泡の生成のために設けられている。しかしながら、メッシュ部品20は、ポンプ式製品における、泡の生成のための用途以外の用途に用いられても良い。例えば、メッシュ部品20は、流体中の不純物の除去のためのフィルターの用途でポンプ式製品に備えられても良い。
【0059】
メッシュ部品20は、本実施の形態において、ポンプ式製品10に備えられている。しかしながら、メッシュ部品20は、エアゾール式製品に備えられても良い。例えば、メッシュ部品20は、流体中の不純物の除去のためのフィルターの用途でエアゾール式製品に備えられても良い。メッシュ部品20は、エアゾール式製品に備えられる場合に、ポンプ式製品に備えられる場合と同様に、流体にメッシュを通過させる位置に配置される。また、メッシュ部品20は、エアゾール式製品に備えられる場合に、ポンプ式製品に備えられる場合と同様に、第1の線状部31aの、流体の流れの上流側の端部と、第2の線状部31bの、流体の流れの上流側の端部とが、矢印20aで示す方向における位置が同一であっても良い。エアゾール式製品は、ポンプ式製品と同様にメッシュ部品20を備える場合、ポンプ式製品がメッシュ部品20を備えて得ることができる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 ポンプ式製品
20 メッシュ部品
20a 矢印(メッシュ部の延在方向と直交する方向を示す矢印)
30 メッシュ部
31 線状部
31a 第1の線状部
31b 第2の線状部
40 枠部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9