(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】外装物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/72 20060101AFI20240611BHJP
A61F 13/76 20060101ALI20240611BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A61F13/72 100
A61F13/76
A61F13/56 100
(21)【出願番号】P 2020039700
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 涼子
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-147424(JP,A)
【文献】特開2013-172867(JP,A)
【文献】登録実用新案第3058259(JP,U)
【文献】実開昭49-144409(JP,U)
【文献】特開2010-233602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品が取り付けられた状態で着用される外装物品において、
着用者の腹側に配される腹側部と、前記着用者の背側に配される背側部と、前記腹側部と前記背側部の間であって前記吸収性物品がのせられる股下部と、を備え、前記腹側部と前記背側部を結ぶ方向を前後方向とするとき、
前記股下部は、前記着用者の大腿の付け根に沿う両側縁部に、前記股下部を側方に拡幅すると共に、
前記前後方向に細長い延出部がそれぞれ形成され、
前記延出部は、前記前後方向に直交する幅方向の一方の端部である基部が前記側縁部に固定され、
且つ、前記着用者側に折り返
し可能であり、
前記
幅方向の他方の端部である前記延出部の先端部には、
前記延出部が折り返されたときに前記吸収性物品に係合し、前記延出部が展開状態のときに露出して前記吸収性物品に対して非係合状態になる係合部が設け
られている
ことを特徴とする外装物品。
【請求項2】
請求項1に記載された外装物品において、
前記係合部は、面ファスナーのフック部によって形成されている
ことを特徴とする外装物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された外装物品において、
前記延出部は、前記腹側部と前記背側部を結ぶ前後方向の端部に、前記係合部を設けない非係合領域を有する
ことを特徴とする外装物品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された外装物品において、
前記係合部は、前記延出部の内側面に設けられている
ことを特徴とする外装物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装物品及びこれに取り付けられる吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸収性物品が取り付けられた状態で着用される外装物品として、股下部を二重構造とし、この股下部の両側に設けられたウイング貼着用突片を折り返して、股下部に挿入可能としたショーツが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、吸収性物品の後部側を固定する後部固定手段を備えた生理用ショーツが知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、股下部の内側に貫通孔が形成された被覆部材を着脱可能に設け、股下部と被覆部材の間に吸収性物品を挟持可能としたショーツも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-14980号公報
【文献】特開2008-79745号公報
【文献】特開2002-345893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の外装物品は、吸収性物品を取り付ける際、この吸収性物品の裏面に設けられたズレ止め粘着剤を外装物品に貼り付けて固定する。しかしながら、このズレ止め粘着剤は、石油を原料として製造されることが一般的であり、環境汚染へのリスクが高いとして、削減への取り組みが求められている。また、ズレ止め粘着剤を吸収性物品の裏面に設けた場合、ズレ止め粘着剤を覆っておく剥離紙が必要となり、廃棄物が増えるという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、ズレ止め粘着剤を使用することなく吸収性物品を固定でき、環境負荷を軽減することができる外装物品と、これに取り付けられる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の外装物品は、吸収性物品が取り付けられた状態で着用される外装物品であって、着用者の腹側に配される腹側部と、前記着用者の背側に配される背側部と、前記腹側部と前記背側部の間であって前記吸収性物品がのせられる股下部と、を備え、前記腹側部と前記背側部を結ぶ方向を前後方向とするとき、前記股下部は、前記着用者の大腿の付け根に沿う両側縁部に、前記股下部を側方に拡幅すると共に、前記前後方向に細長い延出部がそれぞれ形成され、前記延出部は、前記前後方向に直交する幅方向の一方の端部である基部が前記側縁部に固定され、且つ、前記着用者側に折り返し可能であり、前記幅方向の他方の端部である前記延出部の先端部には、前記延出部が折り返されたときに前記吸収性物品に係合し、前記延出部が展開状態のときに露出して前記吸収性物品に対して非係合状態になる係合部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された本発明の外装物品は、ズレ止め粘着剤を使用することなく吸収性物品を固定することができ、ズレ止め粘着剤を不使用にして環境負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3A】実施例1のショーツに、吸収性物品を取り付けた状態での吸収性物品の短手方向の要部断面図である。
【
図3B】実施例1のショーツに、吸収性物品を取り付けた状態での吸収性物品の長手方向の要部断面図である。
【
図4】実施例1のショーツに、吸収性物品を載置した状態での要部断面図である。
【
図5】実施例1のショーツに取り付けられる吸収性物品を示す斜視図である。
【
図6】実施例1のショーツに、第1変形例の吸収性物品を取り付けた状態での要部断面図である。
【
図7】第1変形例のショーツに、実施例1に示す吸収性物品を取り付けた状態での要部断面図である。
【
図8】第1変形例のショーツに、第2変形例の吸収性物品を取り付けた状態での要部断面図である。
【
図9】(a)は第2変形例のショーツの要部を示す展開図であり、(b)は第3変形例のショーツの要部を示す展開図である。
【
図10】第4変形例のショーツに、第3変形例の吸収性物品を取り付けた状態での要部断面図である。
【
図11】第5変形例のショーツに、第4変形例の吸収性物品を取り付けた状態での要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の外装物品及びこれに取り付けられる吸収性物品を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
以下、実施例1のショーツ10(外装物品)、及び、これに取り付けられる吸収性物品20の構成を、
図1~
図5に基づいて説明する。
【0011】
実施例1のショーツ10は、吸収性物品20を取り付けて着用する下着であり、
図1に示すように、着用者の腰回りに沿うウエスト開口11と、着用者の大腿回りに沿う一対のレッグ開口12、12と、を有している。このショーツ10は、伸縮性や通気性、吸湿速乾性、防水性等の必要な機能を有する布地によって形成され、着用時に着用者の腹側に配される腹側部13と、着用時に着用者の背側に配される背側部14と、腹側部13と背側部14の間の股下部15と、有している。なお、腹側部13と背側部14と股下部15とは、同一の布地で形成されてもよいし、部分的に異なる布地を用いて形成されてもよい。さらに、必要に応じて複数の布地を重ね合わせて股下部15等を形成してもよい。
【0012】
以下の説明では、腹側部13と背側部14を結ぶ方向を前後方向αとし、この前後方向αに直交する方向を幅方向βとする。また、前後方向αのうち、腹側部13側を「前側」とし、背側部14側を「後側」という。
【0013】
そして、実施例1のショーツ10では、腹側部13と背側部14の互いの両側部が縫い合わされて、ウエスト開口11と一対のレッグ開口12、12が形成される。また、
図2Aに示すように、股下部15は、前端部15aが腹側部13に縫い付けられて連結され、後端部15bが背側部14に縫い付けられて連結されている。さらに、この股下部15は、着用時に着用者の大腿の付け根に沿う両側縁部15c、15cに、股下部15を幅方向βに拡幅する延出部16、16がそれぞれ形成されている。
【0014】
延出部16は、前後方向αに細長い布片であり、幅方向βの一方の端部(以下、「基部16a」という)が、股下部15の側縁部15cに縫い付け固定されている。ここで、延出部16は、縦寸法L1(前後方向αの長さ寸法)が5~12cm、好ましくは7~10cmに設定されている。また、延出部16の幅寸法の最小値W1(基部16aから、延出部16の幅方向βの他方の端部(以下、「先端部16b」という)までの長さの最小値)は、1~4cm、好ましくは2~3cmに設定されている。そして、この延出部16は、
図3に示すように、着用者側(ショーツ10の内側)に折り返されて装着状態になる。このため、
図4に示すように、延出部16が展開状態のときにショーツ10の内部に臨む面が内側面17aとなり、ショーツ10の外部(例えば衣服)に臨む面が外側面17bとなる。
【0015】
そして、延出部16の先端部16bの内側面17aには、係合部18が設けられている。係合部18は、不織布や面ファスナーのループ部に対して着脱可能に係合する面ファスナーのフック部によって形成されており、前後方向αに沿って直線状に延びている。この係合部18は、延出部16の前後方向αの中間部に配置され、縦寸法L2(前後方向αの長さ)が5~12cm、好ましくは7~10cmに設定されている。また、係合部18の幅寸法W2(幅方向βの長さ)は、3~15mm、好ましくは5~10mmに設定されている。ここで、係合部18の縦寸法L2は、延出部16の縦寸法L1よりも短く設定されおり、延出部16は、
図2Bに拡大して示すように、前後方向αの両端部16c、16dのそれぞれに、係合部18を設けない非係合領域18aを有している。
【0016】
吸収性物品20は、生理用ナプキンやおりものシート、失禁パッド、医療用パッド等であり、ショーツ10の股下部15を中心とする領域に取り付けられて体液(経血やおりもの等)の吸収に使用される。この吸収性物品20は、ショーツ10に取り付けられた状態で、ショーツ10の前後方向αに沿う帯形状を呈している(
図2A参照)。そして、吸収性物品20は、
図3に示すように、表面シート21と、吸収体22と、裏面シート23と、一対のサイドシート24、24と、を備えている。
【0017】
表面シート21は、吸収性物品20の使用状態で着用者に接し、体液を速やかに透過させる液体透過性を有する薄膜部材である。この表面シート21は、極細繊維を絡み合わせた不織布や、薄いフィルムにメッシュ状の孔を開けた多孔性プラスチックシート等によって形成されている。なお、不織布を形成する素材として、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0018】
吸収体22は、表面シート21と裏面シート23の間に配置され、表面シート21を透過した体液を吸収する。この吸収体22は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉、高吸水ポリマー繊維及びこれらの組合せを用いることができる。また、吸収体22には合成繊維を混合してもよい。実施例1では、綿状パルプと吸水性ポリマーの混合体をクレープ紙によって包み込むことで吸収体22を形成している。さらに、この吸収体22と表面シート21との間には、親水性の不織布等からなるセカンドシート22aを介装している。なお、吸収体22としては、シート状のエアレイド不織布を用いてもよいし、積繊パルプを含まないSAP(Super Absorbent Polymer:高吸水性重合体)シートを用いることも可能である。シート状の吸収体22とする場合は、クレープ紙は不要となる。
【0019】
裏面シート23は、吸収性物品20の使用状態でショーツ10に接し、体液の漏れを規制する液体不透過性を有する薄膜部材である。この裏面シート23は、吸収体22が積層されて、吸収体22の裏側を覆う。そして、吸収体物品20の短手方向の両端部では、
図3Aに示すように、裏面シート23と表面シート21の両側部に設けられたサイドシート24とが一体的に接合されている。また、吸収性物品20の長手方向の両端部では、
図3Bに示すように、裏面シート23と表面シート21とセカンドシート22aとが一体的に接合されている。なお、表面シート21に吸収された体液が、吸収性物品20の短手方向の両側部から染み出すことを防止するため、吸収体物品20の短手方向の両端部では、サイドシート24と裏面シート23との間に表面シート21は介装されない。また、裏面シート23と表面シート21やサイドシート24等との接合は、ホットメルト等の接着剤や、ヒートシール等の接着手段等によって行われる。
【0020】
そして、この裏面シート23の裏面(ショーツ10に対向する面)23aには、粘着性を有するズレ止め粘着剤や、非粘着性のズレ止め材等は何ら設けられていない。なお、「ズレ止め粘着剤」とは、例えば、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤及びこれらの組合せを主成分とする接着剤である。一般的に、スチレン系ポリマーとしては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等が挙げられる。また、粘着付与剤としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。さらに、可塑剤としては、例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステル等のポリマー可塑剤が挙げられる。
【0021】
また、「ズレ止め材」とは、ショーツ10と吸収性物品20の間の摩擦を増大させる部材であり、例えば、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレン-イソプレンゴム等をベースポリマーとする材料を単独又は組み合わせて形成される部材である。
【0022】
一対のサイドシート24、24は、いずれも二つ折りにされた不織布製の薄膜部材であり、二つ折りの折り目24aが吸収性物品20の中心に向けられた状態で、外側面の一方がホットメルト等の接着剤や、ヒートシール等の接着手段等によって表面シート21の両側部にそれぞれ接合されている。なお、以下では、サイドシート24の内側面のうち、表面シート21に接合された方を「底面25a」といい、底面25aに対向する方を「上面25b」という。そして、このサイドシート24は、
図5に示すように、折り目24aが吸収性物品20の長手方向に延びており、長手方向の両端部において底面25aと上面25bとが貼り合わされ、長手方向の中間部に側方に開放したポケット部25が形成されている。
【0023】
ポケット部25は、吸収性物品20の両側縁20a、20aに形成された凹部である。なお、吸収性物品20の側縁20aは、この吸収性物品20をショーツ10に取り付けたときに着用者の大腿の付け根に沿う縁部である。このポケット部25は、着用者側(ショーツ10の内側)に折り返された延出部16の先端部16bを差し込み可能な奥行を有している。また、ポケット部25は、ショーツ10に取り付けたときに前後方向αに沿う長手方向の開口寸法L3(前後方向αの長さ寸法)が、5~15cm、好ましくは7~12cmに設定されている。なお、ポケット部25の開口寸法L3は、延出部16の縦寸法L1よりも1~5cm程度、好ましくは2~3cm程度長く設定されている。
【0024】
そして、このポケット部25は、不織布からなるサイドシート24によって形成されているため、面ファスナーのフック部からなる係合部18は、ポケット部25の内部に着脱可能に係合することができる。すなわち、延出部16を折り返してポケット部25に差し込んだ際、係合部18が対向する領域である底面25aは、この係合部18が着脱可能に係合する被係合部に相当する。
【0025】
以下、実施例1のショーツ10及び吸収性物品20の作用を説明する。
【0026】
実施例1のショーツ10に実施例1の吸収性物品20を取り付ける場合、着用者は、まず、吸収性物品20の裏面シート23をショーツ10に対向させた状態で、この吸収性物品20を股下部15に乗せる(
図4参照)。
【0027】
続いて、吸収性物品20の載置位置を調整した後、股下部15の側縁部15cに形成された延出部16を着用者側(ショーツ10の内側)に折り返し、この延出部16の先端部16bを吸収性物品20に形成されたポケット部25に差し込む。そして、
図3に示すように、ポケット部25に差し込まれた延出部16を底面25aに押し付け、係合部18を底面25aに係合する。
【0028】
この結果、吸収性物品20がショーツ10に対して固定され、吸収性物品20がショーツ10に取り付けられる。その後、着用者はショーツ10を着用する。
【0029】
このように、実施例1のショーツ10では、延出部16に設けられた係合部18を吸収性物品20に係合することで、吸収性物品20をショーツ10に固定して取り付けることができる。このため、一般的に石油を原料とするズレ止め粘着剤を吸収性物品20に設ける必要がなく、環境汚染へのリスクを抑制することができる。また、ズレ止め粘着剤を設けないことで、剥離紙を不要とすることができる。さらに、係合部18が設けられたショーツ10は、洗濯して繰り返し使用することができるため、使用の都度廃棄することがない。これにより、廃棄物の削減を図り、環境負荷を軽減することができる。
【0030】
なお、実施例1では、係合部18を面ファスナーのフック部で形成し、係合部18が係合するポケット部25の底面25aを不織布で形成している。ここで、不織布は、例えば吸収性物品20の表面シート21やサイドシート24等を形成する素材である。そのため、係合部18を係合させるために、吸収性物品20に特殊な素材を使用する必要がなく、吸収性物品20を安価に製造することが可能である。
【0031】
また、実施例1では、ショーツ10の股下部15の両側縁部15c、15cに、股下部15を側方に拡幅する延出部16がそれぞれ形成され、この延出部16の先端部16bに係合部18が設けられている。これにより、係合部18を吸収性物品20に係合させる際、延出部16を折り返し、延出部16で吸収性物品20を挟み込むことができる。そのため、吸収性物品20の位置ずれを、より効果的に抑制することができる。
【0032】
しかも、この実施例1では、吸収性物品20の両側縁20a、20aに、側方に開放し、着用者側に折り返された延出部16を差し込み可能な一対のポケット部25、25が形成されている。そして、このポケット部25が、不織布からなるサイドシート24によって形成されており、係合部18が対向する底面25aが、係合部18が着脱可能に係合する被係合部に相当する。
【0033】
このため、着用者側に折り返した延出部16を、吸収性物品20に形成したポケット部25に差し込み、ポケット部25の内側に係合部18を係合させることができる。これにより、延出部16を、ポケット部25の上面25bで覆うことができ、延出部16に体液が付着することを防止できる。すなわち、ショーツ10を汚れにくくできる。
【0034】
さらに、この実施例1のショーツ10では、係合部18が延出部16の内側面17aに設けられている。ここで、延出部16の内側面17aは、延出部16が展開状態のときにショーツ10の内部に臨む面であり、延出部16を折り返した際、ショーツ10側に向く。そのため、この内側面17aに設けた係合部18が着用者の肌に触れることを防止でき、着用時の違和感を抑制することができる。また、係合部18が着用者の肌に触れないため、係合部18の幅寸法W2を広く設定することができる。これにより、吸収性物品20との係合面積を広く確保することができ、吸収性物品20の固定力の向上を図ることができる。
【0035】
そして、使用済みの吸収性物品20を廃棄するときには、着用者は延出部16を引っ張ることで係合部18を吸収性物品20から引き剥がし、吸収性物品20をショーツ10から取り外して廃棄する。
【0036】
ここで、係合部18の縦寸法L2が、延出部16の縦寸法L1よりも短く設定され、延出部16は、前後方向αの両端部16c、16dのそれぞれに、係合部18を設けない非係合領域18aを有している。そのため、係合部18を吸収性物品20から引き剥がす際、着用者は、延出部16が有する非係合領域18aを摘まんで引っ張ることができる。これにより、係合部18を吸収性物品20から剥がしやすくなり、吸収性物品20を容易に廃棄することができる。
【0037】
さらに、ポケット部25は、開口寸法L3が、延出部16の縦寸法L1よりも長く設定されている。これにより、延出部16とポケット部25との間に余裕が生じ、延出部16をポケット部25に差し込みやすくできる。さらに、ショーツ10に対する吸収性物品20の前後方向αの取付位置を調整することができ、適切な位置に吸収性物品20を取り付けることが可能となる。
【0038】
なお、実施例1では、吸収性物品20を取り付ける外装物品として、ウエスト開口11と、一対のレッグ開口12、12を有するショーツ10としている。これにより、吸収性物品20の位置ずれをより抑えることができる。
【0039】
以上、本発明の外装物品及び吸収性物品を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、各実施例の組み合わせや、追加等は許容される。
【0040】
例えば、実施例1では、表面シート21の両側部に、二つ折りにされた不織布によって形成されたサイドシート24を接合し、このサイドシート24の前後方向の両端部の底面25aと上面25bを貼り合わせてポケット部25を形成した吸収性物品20をショーツ10に取り付ける例を示した。しかしながら、これに限らず、実施例1のショーツ10には、
図6に示す第1変形例の吸収性物品20Aを取り付けることができる。
【0041】
この第1変形例の吸収性物品20Aは、表面シート21の両側部に二つ折りにされた不織布製のサイドシート26を接合し、このサイドシート26の折り目26aを起点として立ち上がった先端部に、糸ゴム等の伸縮性弾性部材26bを配してギャザー26cを形成している。この場合、ギャザー26cが対向するサイドシート26の底面26dに係合部18を係合させる。これにより、ギャザー26cの立上りを妨げることなく、ショーツ10に第1変形例の吸収性物品20Aを固定することができる。
【0042】
また、実施例1では、係合部18を延出部16の内側面17aに設けたショーツ10の例を示した。しかしながら、これに限らない。例えば、
図7に示す第1変形例のショーツ10Aのように、係合部18を延出部16の外側面17bに設けてもよい。この場合、係合部18は、延出部16をポケット部25に差し込んだ際、ポケット部25の上面25bに係合される。つまり、延出部16の外側面17bに係合部18を設けた場合では、ポケット部25に延出部16差し込んだときに係合部18が対向する領域である上面25bが、係合部18が着脱可能に係合する被係合部に相当する。
【0043】
さらに、図示しないが、係合部18は、延出部16の内側面17aと外側面17bの双方に設けてもよい。この場合には、係合部18を、ポケット部25の底面25a及び上面25bのそれぞれに係合することができ、吸収性物品20をより強固に固定することができる。
【0044】
さらに、第1変形例のショーツ10Aには、
図8に示す第2変形例の吸収性物品20Bを取り付けることができる。この第2変形例の吸収性物品20Bは、裏面シート23の両側部を、吸収性物品20Bの中央に向かって折り込むと共に、折り込んだ領域の前後方向の両端部を閉じることで、裏面シート23の外側(ショーツ10A側)にポケット部23αが形成されている。さらに、ポケット部23αには、表面シート21の両側部に接合した不織布製のサイドシート27の一部が差し込まれ、ポケット部23αの内側に貼り付けられている。これにより、第2変形例の吸収性物品20Bでは、裏面シート23の外側に形成されたポケット部23αのサイドシート27が貼り付けられた領域が、係合部18が係合する被係合部となる。
【0045】
なお、
図8では、第1変形例のショーツ10Aに第2変形例の吸収性物品20Bを取り付けた例を示しているが、これに限らない。例えば、第2変形例の吸収性物品20Bにおいて、ポケット部23αの内側の全面に不織布製のサイドシート27を貼り付けた場合では、延出部16の内側面17aに係合部18を設けた実施例1のショーツ10に、この吸収性物品20Bを取り付けることが可能となる。
【0046】
そして、実施例1のショーツ10では、延出部16の先端部16bに形成された係合部18が、前後方向αに沿って直線状に延びている例を示したが、これに限らない。例えば、
図9(a)に示す第2変形例のショーツ10Bのように、延出部16に前後方向αに沿って並ぶ複数(
図9(a)では五個)の係合部18を設けてもよい。
【0047】
さらに、
図9(b)に示す第3変形例のショーツ10Cのように、股下部15の両側縁部15c、15cのそれぞれに、複数の延出部16(
図9(b)では二個)を設け、各延出部16の先端部16bに係合部18を設けてもよい。
【0048】
なお、係合部18や延出部16の数は任意に設定することができる。また、係合部18は、必ずしも延出部16の先端部16bに設ける必要はなく、例えば、延出部16の全面に係合部18を設けてもよい。
【0049】
さらに、延出部16は、実施例1では股下部15とは別の布地によって形成し、股下部15に縫い付け固定する例を示したが、これに限らない。股下部15と延出部16とを一枚の布地によって一体的に形成してしてもよい。
【0050】
そして、実施例1のショーツ10では、股下部15の側縁部15cに形成された延出部16に係合部18が設けられた例を示したが、これに限らない。例えば、
図10に示すように、着用者に接する股下部15の内側面15dに係合部18を設けた第4変形例のショーツ10Dであってもよい。この第4変形例のショーツ10Dには、裏面シート28を、液体不透過性を有する第1シート28aと、ショーツ10Bに対向する第1シート28aの外側に不織布製の第2シート28bを積層した二層構造の薄膜部材で形成した第3変形例の吸収性物品20Cを固定することができる。なお、
図10では、股下部15の内側面15dに係合部18を設けた例を示したが、第3変形例の吸収性物品20Cの裏面シート28が接する領域であれば、腹側部13の内側や背側部14の内側にも係合部18を設けてもよい。
【0051】
また、
図11に示すように、衣類に接する股下部15の外側面15eに係合部18を設けた第5変形例のショーツ10Eであってもよい。この第5変形例のショーツ10Eには、裏面シート29を、液体不透過性を有する第1シート29aと、ショーツ10Cに対向する第1シート29aの外側に不織布製の第2シート29bを積層した二層構造の薄膜部材で形成すると共に、股下部15を挟み込む一対のウイング部29cを有している第4変形例の吸収性物品20Dを固定することができる。
【0052】
さらに、実施例1では、係合部18を、不織布や面ファスナーのループ部に着脱可能に係合する面ファスナーのフック部によって形成した例を示したが、これに限らない。特に不織布に対して容易に係合し、繰り返し着脱可能な部材であれば係合部18として適用することができる。
【0053】
そして、実施例1では、吸収性物品20を取り付ける外装物品を、ウエスト開口11及び一対のレッグ開口12、12を有するショーツ10とする例を示したが、これに限らない。外装物品は、吸収性物品20が取り付けられた状態で着用すると共に、繰り返し使用できればよいため、例えば、テープタイプのおむつカバーであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 ショーツ(外装物品)
11 ウエスト開口
12 レッグ開口
13 腹側部
14 背側部
15 股下部
16 延出部
18 係合部
20 吸収性物品
21 表面シート
22 吸収体
23 裏面シート
24 サイドシート
25 ポケット部