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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】日除けシステム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/00 20060101AFI20240611BHJP
   B60J 3/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B60J7/00 E
B60J3/00 H
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020045240
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2020152371
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】19164027.5
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503036818
【氏名又は名称】イナルファ・ルーフ・システムズ・グループ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルドゥス・ヤーコブス・マリー・フェルハーグ
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・アルベルト・ガルシア・フロレス
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-061228(JP,A)
【文献】特開2014-136457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0333097(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0355249(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105936207(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107487164(CN,A)
【文献】中国実用新案第205706108(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ルーフアセンブリで使用するための日除けシステム(1)であって、
前記車両ルーフアセンブリの下の開口部を開く、または少なくとも部分的に閉じることが可能な柔軟なサンスクリーン(2)であって、少なくとも主要部分(3)および2つの対向する、側方に配置された内向きに折り畳まれた部分(4)、前縁(5)および後縁(6)を有し、前記柔軟なサンスクリーン(2)は、前記主要部分(3)および前記内向きに折り畳まれた部分(4)の間に延在し、かつ長手方向に延在する中間部分(7)をさらに備え、各内向きに折り畳まれた部分(4)は、折り目(8)によって前記中間部分(7)に接続される、柔軟なサンスクリーン(2)と、
前記柔軟なサンスクリーン(2)を前記後縁(6)で巻きとり、かつ展開するための巻取シャフト(9)と、
前記柔軟なサンスクリーン(2)の前記前縁(5)に取り付けられた操作ビーム(10)と、
隣接する内向きに折り畳まれた部分(4)および前記柔軟なサンスクリーン(2)の対応する中間部分(7)の少なくとも一部分を横方向において保持し、かつ長手方向において摺動可能にガイドするための2つの対向する長手方向ガイド(11,11’)であって、前記ガイド(11,11’)には、ロック部材(12)および前記柔軟なサンスクリーン(2)の前記内向きに折り畳まれた部分(4)と係合するためのガイドチャンバ(13)が設けられ、前記柔軟なサンスクリーン(2)が少なくとも部分的に展開される場合に、前記内向きに折り畳まれた部分(4)が前記長手方向ガイド(11,11’)から外に移動することを防止する、2つの対向する長手方向ガイド(11,11’)と、
を備え、
各中間部分(7)が、長手方向に延在し、かつ少なくとも前記主要部分(3)の材料を備える第1の圧縮部分(14)を含み、前記第1の圧縮部分(14)が、前記柔軟なサンスクリーン(2)の前記主要部分(3)の隣接する部分の厚さより薄い厚さ(t1)となるように、前記第1の圧縮部分(14)は、圧縮処理の影響を受けて確立されることを特徴とする、日除けシステム。
【請求項2】
前記中間部分(7)、前記内向きに折り畳まれた部分(4)、および前記折り目(8)が前記主要部分(3)の側方縁部によって形成された、請求項1に記載の日除けシステム。
【請求項3】
前記折り畳まれた部分(4)、前記折り目(8)および前記中間部分の一部が別個の帯状部分によって形成された、請求項1に記載の日除けシステム。
【請求項4】
前記第1の圧縮部分(14)が、前記サンスクリーン(2)の前記主要部分(3)の材料によって形成された第1の層(15)と、前記別個の帯状部分の一部分によって形成された第2の層(16)とを含む、請求項に記載の日除けシステム。
【請求項5】
第1の層(15)および第2の層(16)が互いに重なって配置され、前記第1および第2の層(15,16)の少なくとも相当部分が圧縮処理の影響をうけて圧縮され、前記圧縮処理は、前記第2の層(16)が前記第1の層(15)に固定して接続された前記第1の圧縮部分(14)を形成するような圧力処理および温度処理の少なくとも1つを備える、請求項に記載の日除けシステム。
【請求項6】
前記第2の層(16)が低い摩擦係数を有する材料で作られている、請求項に記載の日除けシステム。
【請求項7】
前記第1の圧縮部分(14)が0.3mm~1.75mmの範囲の厚さ(t1)を有する、請求項1に記載の日除けシステム。
【請求項8】
前記第1の圧縮部分(14)の横幅(W1)が4mm~30mmの範囲である、請求項1に記載の日除けシステム。
【請求項9】
前記第1の圧縮部分(14)が前記第1および第2の層(15;16)の間の追加的な固定(18)をさらに備える、請求項に記載の日除けシステム。
【請求項10】
前記中間部分(7)が、前記第1の圧縮部分(14)に隣接し、前記第1の圧縮部分(14)より外側の第2の圧縮部分(21)を備え、前記第2の圧縮部分の厚さが前記第1の圧縮部分(14)の厚さよりも薄い、請求項1に記載の日除けシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の第1の圧縮部分(14)を形成する方法であって、前記方法は、
圧縮ツール(20)の上部分および下部分の間に前記柔軟なサンスクリーン(2)の少なくとも側方領域を適用するステップと、
前記圧縮ツール(20)の上部分および下部分を共に締め付けるステップであって、それによって締め付けツール(20)がクランプ力を発生させるステップと、
を備え、
前記圧縮ツール(20)の前記上部分および下部分がそれぞれの締め付け面に150℃~200℃の範囲、および特に160℃~190℃の範囲の温度を生成し、
前記圧縮ツール(20)の前記上部分および前記下部分の締め付け、およびツール半体部の加熱の期間が、0.5秒~20秒の範囲、および特に5秒~15秒の範囲の時間にわたり、
前記圧縮ツール(20)の前記上部分および前記下部分の締め付け、およびツール半体部の冷却の期間が、0.5秒~40秒の範囲、特に5秒~30秒の範囲の時間にわたる、方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の日除けシステムで使用するサンスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従った車両ルーフアセンブリに使用するための日除けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような日除けシステムは、当技術分野で知られている。このような日除けシステムが、例えばマイクロファイバー布のように相対的に厚く相対的に重い柔軟な日除けを備えている場合、柔軟なサンスクリーンの長手方向のガイド内でのスライド可能なガイドは、布がガイドチャネル内で受ける摩擦によって危険にさらされる可能性がある。例えば、摩擦が非常に大きく、布がガイド溝の中にはまってしまうことがある。布の素材の厚みや、布の処理に使用する物質と長手方向ガイドの表面が化学反応を起こし、その化学反応が柔軟なサンスクリーンとガイドの摩擦に影響を与える場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、車両ルーフアセンブリで使用するためのこのような日除けシステムの代替設計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、日除けシステムは、請求項1の特徴部分の特徴を有する。
【0005】
この中間部分の圧縮処理は有利であり、いくつかの目的のために使用することができる。第1に、この圧縮処理は、中間部分の第1の圧縮部分に存在する主要部分の材料の表面の摺動特性を改善するために使用することができる。これは、中間部分の前記材料が長手方向ガイドと接触している状況において有用である。特に、柔軟なサンスクリーンの主要部分の材料がマイクロファイバー材料、例えばポリエステルやポリウレタンなどから作られている場合、圧縮処理は、その表面での摩擦係数を低下させる。また、サンスクリーンを処理する化学物質(例えば難燃剤)を中和し、サンスクリーンの材料と長手方向ガイドの表面との間で化学反応が起こらないようにすることができる。圧縮処理は、柔軟なサンスクリーンの主要部分の材料を、第1の圧縮部分の材料の別個の部分に付着させるためにも使用することができる。中間部分および内向きに折り畳まれた部分の一部が別個の材料片から作られている実施形態では、圧縮処理は、接着剤またはステッチのような追加の手段を使用せずに、または追加の手段を使用して、柔軟なサンスクリーンの主要部分の材料の第1の層を別個の材料片の重なり合う第2の層に取り付けるために使用することができる。後者は、主要部分および別個の材料片を作るために使用される材料に依存する。
【0006】
このように、本発明の第一の態様によれば、中間部分、内向きに折り畳まれた部分および折り目は、主要部分の側方縁部によって形成される。この実施形態では、柔軟なサンスクリーンの主要部分の側方縁部は、第1の圧縮部分と内向きに折り畳まれた部分と折り目とが一体に形成されるように形成されている。これにより、柔軟なサンスクリーンの側方ガイドを安価で効果的に改善したものを製造することができる。
【0007】
別の実施形態によれば、折り畳まれた部分、折り目及び中間部分の一部は、別個の帯状部分によって形成される。この実施形態では、別個の帯状部分は、主にガイド面と係合するように使用される。このようにして、別個の帯状部分の材料のタイプは、例えば摩擦係数に関連して、ガイドチャネルに適合するように選択することができる。第2の層の摩擦係数が低いと、柔軟なサンスクリーンの摺動力を低くすることができる。
【0008】
この最後の実施形態の別の態様では、第1の圧縮部分は、サンスクリーンの主要部分の材料によって形成された第1の層と、別個の帯状部分の一部によって形成された第2の層とを含む。第1の層と第2の層は互いに重なり合って配置され、第1の層と第2の層の少なくとも本質的な部分は、圧縮処理の影響下で圧縮され、第2の層が第1の層に固定的に接続された第1の圧縮部を形成するように、圧縮処理が圧力処理と温度処理の少なくとも1つからなる。処理後に第1の圧縮部を形成する重なり合う第1の層と第2の層に適用されるそのような処理は、第1の圧縮部が第1の層の厚さに対して厚さが減少し、ガイド表面に関してより低い摩擦係数を提供するだけでなく、第1の圧縮部はまた、主要部分の重なり合う部分と別個の帯状部分の間の接続を形成するという効果を有する。この接続は、層が互いに溶融または溶接されることによって引き起こされ得る。
【0009】
前述した実施形態の別の態様では、第2の層は、低摩擦係数を有する材料で作られている。この場合、ガイド面との組み合わせで摩擦の可能な限り低い係数に達することができるように、そのような材料が選択される。別個の帯状部分は、長手方向のガイドと摺動可能に係合しており、柔軟なサンスクリーンが巻取シャフトから巻き取られたり巻き出されたりする場合に、柔軟なサンスクリーンの主要部分の材料がガイドと摺動可能に係合している状況と比較して、別個の帯状部分がガイド内でより少ない摩擦を引き起こす可能性がある。これは、主要部分がマイクロファイバー布または別の適切な材料で作られることができ、第1の層が受ける圧縮処理にもかかわらず、より高い摩擦係数を有することができるからである。
【0010】
本発明の別の態様では、第1の圧縮部分は、0.3mm~1.75mmの範囲、特に0.4mm~1mmの範囲の厚さを有する。これは、第1の圧縮部分が第1の層のみからなる場合、または第1の圧縮部分が第1の層と第2の層からなる場合の厚さを含む。第1の層と第2の層のそれぞれは、使用する材料が異なるため、圧縮処理を行う前の厚さは様々であってもよい。また、圧縮処理後の厚みは、第1の層および第2の層の使用する材料の種類によっても異なる場合がある。また、第1の層と第2の層に使用される材料の種類によって、第1の層と第2の層との間で良好な密着性を得るために、圧縮部分の厚さを非常に薄く形成する必要がある場合がある。
【0011】
本発明の別の態様では、第1の圧縮部分の横方向の幅W1は、4mm~30mmの範囲であり、特に6mm~20mmの範囲である。横方向の幅W1は、第1の圧縮部分が主要部分の材料のみで構成されているか、または第1の圧縮部分が主要部分の第1の層と第2の層、および別個の帯状部分で構成されているかに依存する。第1の圧縮部分が主要部分の材料のみで構成されている場合には、第1の層と第2の層の間の接続は必要ない。この場合、第1の圧縮部分の幅W1は、横方向の長手方向ガイドの形状にのみ依存する。第1の圧縮部分は、ガイド面が第1の圧縮部分にのみ接触しているような幅を有することが好ましい。この場合、第1の圧縮部分は、中間部分全体に延在することができる。
【0012】
第1の圧縮部分が第1および第2の層を含む場合、幅W1は、横方向のガイドの形状だけでなく、第1および第2の層の間の接続の強度にも依存する。この強度は、対向する長手方向のガイドの間で柔軟なサンスクリーンを張った状態に保つために柔軟なサンスクリーンにかけられる横方向の力のために必要とされる。サンスクリーンに横方向の大きな力がかかるため、範囲の最大幅を維持する必要がある場合がある。
【0013】
さらに別の実施形態によれば、第1の圧縮部分は、第1の層と第2の層の間に追加の固定をさらに備える。そのような追加的な固定は、縫合、接着、または超音波溶接による追加的な処理であってもよい。追加の固定は、柔軟なサンスクリーンの横方向の力が大きく、ガイドの横方向のセクションによって与えられる境界のために、第1の圧縮部分の幅が十分でないかもしれない場合に必要とされる。追加の固定は、長手方向において、第1の圧縮部分の領域における第1の層と第2の層との間に延びていてもよい。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、中間部分は、第1の圧縮部分に隣接する第2の圧縮部分からなり、第2の圧縮部分の厚さは、第1の圧縮部分の厚さよりも薄い。通常、内向きに折り畳まれた部分は、柔軟なサンスクリーンが巻取シャフトに巻き取られる場合に展開される。この展開は、長手方向ガイドの端部と巻取シャフトとの間の領域で起こる。内向きに折り畳まれた部分がガイド溝から引き出された瞬間に、横方向外方に展開し、巻取シャフトに展開して巻き上げられる。この内向きに折り畳まれた部分の展開動作により、ガイド端部と巻軸との間に空間が生じる。この空間を減らすために、内向きに折り畳まれた部分を折り畳んだ状態で巻取シャフトに巻き上げるのが良いだろう。しかし、折り畳まれた状態で巻取シャフトに巻かれたこの内向きに折り畳まれた部分の厚みは、残りの柔軟なスクリーンの厚みよりも厚くなる場合がある。これは、柔軟なサンスクリーンを巻取シャフトに巻き取る際にシワが発生する原因となる。そこで、内向きに折り畳まれた部分を折り畳んだ状態でシワにならずに巻取シャフトに巻き取ることができるように、第1の圧縮部分に隣接して第2の圧縮部分を設けることが提案される。第2の圧縮部分と内向きに折り畳まれた部分との合計厚みが第1の圧縮部分と実質的に等しくなるように、内向きに折り畳まれた部分を第2の圧縮部分に向かって折り畳む場合に、第2の圧縮部分が内向きに折り畳まれた部分を受け止めることができるようになっている。これにより、柔軟なサンスクリーンを、しわのない方法で巻取シャフトに巻き取ることができる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、第1の圧縮部分および任意に第2の圧縮部分を形成する方法は、以下のステップからなる。
- 圧縮ツールの上部分と下部分との間に、柔軟なサンスクリーンの少なくとも側方領域を適用するステップ。
- 圧縮ツールの上部分と下部分を共に締め付けることで、締め付けツールがクランプ力を発生させ、
* 圧縮ツールの上部分および下部分が150℃~200℃の範囲、特に160℃~190℃の範囲でそれぞれの締め付け表面の温度を生成し、
・ 圧縮ツールの上部分と下部分を締め付け、ツールの半体部を加熱する期間は、0.5秒~20秒の範囲、特に5秒~15秒の範囲にわたり、
* 圧縮ツールの上部分と下部分を締め付け、ツールの半体部を冷却する期間は、0.5秒~40秒の範囲、特に5秒~30秒の範囲にわたる。
【0016】
このようなプロセスは、圧縮ツール半体部の間に主要部分の材料のみを有する実施形態において、また、ツール半体部の間に主要部分の第1層と第2層、および別個の帯状部分を有する実施形態において、第1の圧縮部分および任意で第2の圧縮部分を確立することができる。このプロセスでは、ツール半体部の加熱期間の後、ツール半体部が締め付けプロセスを開始したクランプ力でともに締め付けされている間に、ツール半体部を冷却することを想定している。この冷却は、ツール半体部の加熱装置を切るだけで自然に徐々に冷却することもでき、空気や冷却液による追加冷却で強制的に冷却し、より早くツール半体部を冷却することもできる。
【0017】
この圧縮処理は、様々な材料、例えば、サンスクリーン材料としてポリエステルおよびポリウレタンからなるマイクロファイバー材料に有益な効果を与えることができる。第1の層としてのこの材料が、第1の層と第2の層の間の接着剤の有無にかかわらず、例えばPES(ポリエーテルスルホン)の織層と経編層からなる第2の層と組み合わされている場合にも効果的である。また、より良好な摺動特性を有する公知の材料の別個の帯状部分と組み合わせられているか、または組み合わされていない、当技術分野で知られている他のサンスクリーンブラックアウト材料も、上記のプロセスで処理するために使用することができる。
【0018】
また、本発明は、上記のような日除けシステムに使用するためのサンスクリーンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を解明する。
図1】車両のオープンルーフ構造の等角図である。
図2】日除けシステムの一部を示すオープンルーフ構造の一部の等角図である。
図3】本発明に従った異なる実施形態による、図2の線A-Aによる断面図である。
図4a】本発明に従った異なる実施形態による、図2の線A-Aによる断面図である。
図4b】本発明に従った異なる実施形態による、図2の線A-Aによる断面図である。
図5a】本発明に従った異なる実施形態による、図2の線A-Aによる断面図である。
図5b】本発明に従った異なる実施形態による、図2の線A-Aによる断面図である。
図6】柔軟なサンスクリーンの側方部分と圧縮ツールの2つのツール半体部とを示す概略図である。
図7】柔軟なサンスクリーンの側方部分と圧縮ツールの2つのツール半体部とを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、オープンルーフアセンブリと日除けシステム1を有する車両の一部を示す。オープンルーフアセンブリは、ルーフアセンブリの開口部を少なくとも部分的に開くことができ、かつ、開口部を閉じることができる少なくとも1つの開閉可能な半透明パネルからなる。オープンルーフアセンブリは、車両の長手方向から見て開閉可能パネルの後方に配置された第2の半透明パネルをさらに含んでいてもよい。第2のパネルは、開閉可能パネルであってもよいし、固定パネルであってもよい。日除けシステム1は、車両のルーフ内のオープンルーフアセンブリの下方に配置されている。日除けシステム1は、オープンルーフアセンブリの下にある開口部を閉じ、少なくとも部分的に開くことが可能である。
【0021】
図2は、オープンルーフアセンブリのフレームに組み込まれた日除けシステム1を示す。日除けシステム1は、柔軟なサンスクリーン2を巻いたり展開したりするための巻取シャフト9を備える。巻取シャフト9は、フレームの後端付近に配置され、フレームと回転可能に連結されている。フレームは、その後端部で、対向する長手方向ガイド11,11’の後部を連結する後ビームを備える。柔軟なサンスクリーン2は、その後端部が巻取シャフト9に固定され、その反対側の前端部が操作ビーム10に固定されている。柔軟なサンスクリーン2の側方縁部は、フレームの側方でフレームの一部を形成する長手方向ガイド11,11’と摺動可能に係合している。操作ビーム10はまた、スライドシュー(図示せず)によって長手方向ガイド11、11’と摺動可能に係合している。フレームの前端部は、フレームの前部において、対向する長手方向ガイド11,11’を連結する前ビームを備える。サンスクリーン2の材料は、例えば、約68%のポリエステルと約32%のポリウレタン(アルカンターラ)からなるマイクロファイバー材料であってもよい。
【0022】
図3図5bの断面図に見られるように、各長手方向ガイド11、11’はガイドチャンバ13を備え、ガイドチャンバ13は、底面19とフランジまたはロック部材12を備える。柔軟なサンスクリーン2は、乗員が車内から見ることができる主要部分3と、柔軟なスクリーンの各側方に形成された中間部分7とを備え、中間部分7はさらに、第1の圧縮部分14を備える。内向きに折り畳まれた部分4は、折り目8によって中間部分7に連結される。この折り目8は、内向きに折り畳まれた部分4が巻取シャフト9に巻き取られる前に主要部分3に沿って折り畳まれる場合に、ヒンジとして機能してもよい。内向きに折り畳まれた部分4は、ガイド11,11’のロック部材12の後ろに引っ掛かり、中間部分7の一部は、ガイドチャンバ13の底面19に支持されている。この構造により、柔軟なサンスクリーン2の側方端部がガイドチャンバ13から垂直方向に離れることなく、対向するガイド11,11’の間で柔軟なサンスクリーン2を緊張状態に保つことができる。
【0023】
中間部分7は、圧縮処理で処理される部分である第1の圧縮部分14を備える。この場合、第1の圧縮部分14は、実質的に完全な中間部分7を占めるので、圧縮部分14の幅W1は、中間部分7の幅に実質的に等しい。圧縮処理後、第1の圧縮部分14の厚さt1は、柔軟なサンスクリーン2の主要部分3の少なくとも隣接する部分の厚さt0よりも薄い。厚さt1は、第1の圧縮部分14の上側がロック部材12の下部先端に沿ってスライドし、その下側がガイドチャンバ13の底面19に沿ってスライドできるように選択される。このようにして、内向きに折り畳まれた部分4および中間部分7の一部は、ガイドチャンバ13内にロックされ、横方向にガイドチャンバ13から出ることができない。アルカンターラ製サンスクリーン2の場合、主要部分の厚さt0は、たとえば、一般に1mm+/-0.15mmとすることができる。このような場合、第1の圧縮部分14の厚さt1は、例えば、約0.4mmとすることができる。
【0024】
内向きに折り畳まれた部分4は、PES材料(ポリエーテルサルホン)または同じグループの材料の適切な材料のライナー17を備えており、ライナー17は、内向きに折り畳まれた部分4に押し込まれている。作業は、圧縮処理と同じ作業ステップで行うことができるが、順番に行うこともでき、最初に第1の圧縮部分14が形成され、その後ライナー17が内向きに折り畳まれた部分4に形成される。また、最初にライナー17が内向きに折り畳まれた部分4に形成され、その後に第1の圧縮された部分14が形成されるような順序で行われることも考えられる。
【0025】
さらに、図3では、ガイド11,11’の下部と係合するヘッドライナーの一部が示されている。柔軟なサンスクリーン2の隣接する主要部分3と比較して、圧縮処理後の表面品質が異なる可能性がある表面のため、柔軟なサンスクリーン2の中間部分7または第1の圧縮部分14が車両の乗員に見えることは望ましくない。ヘッドライナーは、車両内の乗員からガイド11,11’を隠す。中間部分7および第1の圧縮部分14は、乗員の視界の方向に見た場合に、ガイド11,11’の突出部分の背後およびヘッドライナーの上部の背後に横たわっており、したがって、乗員の視線から隠すことができる。
【0026】
図4aでは、別の実施形態が示されており、中間部分7および内向きに折り畳まれた部分4は、柔軟なサンスクリーン2の主要部分3とは異なる材料の別個の帯状部分によって形成されている。中間部分7内では、別個の帯状部分は、主要部分3の材料と重なっている。主要部分3の材料の第1の層15と、別個の帯状部分の材料の第2の層16とを形成している。この場合、圧縮部分14は、中間部分よりも小さく、重なり合う第1の層15および第2の層16よりもわずかに大きい。
【0027】
図4aでは、第1の層15は、第2の層16よりも上にあり、ロック部材12の下端との接触は、第1の層15によって確立され、長手方向ガイド11,11’の下面19と中間部分7との間のより大きな接触面積は、別個の帯状部分によって確立されている。第1の層15と第2の層16は、互いに重なり合うように配置され、第1の層15と第2の層16は、圧縮処理の影響を受けて圧縮され、圧縮処理は、第2の層16が第1の層15に固定的に接続されるように、圧力処理と温度処理の少なくとも1つを含む。もちろん、第1の層15と第2の層16の材料は、圧縮処理の影響下でそれらの間に結合を形成するように選択されるべきである。第1の圧縮部分14は、0.3mm~1.75mmの範囲内、特に0.4mm~1mmの範囲内の厚さt1を有していてもよい。第1の圧縮部分14の厚さt1は、柔軟なサンスクリーン2の主要部分3の少なくとも隣接する部分の厚さt0と実質的に等しいか、またはそれよりも小さくてもよい。第1の層15の厚さだけでは、当然ながら、圧縮処理のために、主要部分3の厚さよりも薄くなる。また、一般的には、主要部分3の材料は、別個の帯状部分の材料よりも圧縮されることになるが、これは必ずしも必要ではない。一例として、サンスクリーン2の主要部分3が、アルカンターラ製(前記のように)であり、別個の帯状部分が一般的な厚さ0.75mm±0.2mmを有するレプタイル布製である場合、層15,16の厚さは、圧縮前は1.75mmであり、圧縮後は0.63mm程度の厚さt1を有し、主要部分3の厚さt0よりも薄い。
【0028】
第1の圧縮部分14の横方向の幅W1は、4mm~30mmの範囲内、特に6mm~20mmの範囲内の幅とすることができる。この幅W1は、一般に、実質的に中間部分7の全体が圧縮されている図3の実施形態よりも小さいであろう。別個の帯状部分は、PES材料(ポリエーテルスルホン)または同じグループの材料の別の適切な材料の織層および経編層で作られてもよい。別個の帯状部分を摩擦係数の低い別の材料で作ることも考えられる。
【0029】
図4bでは、中間部材7と長手方向ガイド11,11’との間の唯一の接触表面領域が別個の帯状部分によって確立されるように、第2の層16は、第1の層15の上にある。図4bの後者の実施形態では、別個の帯状部分の材料のすべてが長手方向ガイド11,11’の表面と摺動可能に係合しており、別個の帯状部分とガイドとの間の摩擦係数が低い最適な摺動係合が形成され、これにより、少ない力で日除けシステム1の巻き取りおよび展開が可能となるという利点がある。
【0030】
図5aと図5bでは、追加の固定方法を示す実施形態が示されており、図5aでは、追加の固定18は、第1の層15と第2の層16の間に配置された接着剤の層によって行われ、第1の層15と第2の層16の間の接続を確実にすることができる。図5bでは、追加の固定18は、別個の帯状部分の長手方向の長さに沿った縫い目の連続であることが示されている。第1の層15、16と第2の層15、16との間の強固な接続を形成するために、より多くの、例えば隣接する互いに平行な縫い目の連続が提供されることが考えられる。
【0031】
図6では、2つのツール半体部を有する圧縮ツール20が示されている。第1の圧縮部14を形成するために、ツール20は、上述したような範囲にある幅W1を有している。第1の層15と第2の層16との間の重なりの公差を許容するために、ツール幅W1は、第1の層15と第2の層16との間の重なりの幅よりもわずかに広いことが、図面から明らかだろう。
【0032】
図7では、別の実施形態が示されており、それにより、圧縮ツール20は、第1の圧縮部分14に隣接し、かつ外側に第2の圧縮部分21を形成することを可能にする第2のステージを備えており、それにより、第2の圧縮部分21の厚さt2は、内向きに折り畳まれた部分4が第2の圧縮部分21に対して完全に折り畳まれた場合に、スタックの総厚さが、第1および第2の層15,16を含む第1の圧縮部分14の厚さt1と実質的に同じであるようなものである。第1および第2の圧縮部分14,21は、このようにして、一般に、少なくとも中間部分7の全体に沿って延びることになる。
【0033】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲内で広く変化し得、前に記載された実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
1 日除けシステム
2 柔軟なサンスクリーン
3 主要部分
4 内向きに折り畳まれた部分
5 前縁
6 後縁
7 中間部分
8 折り目
9 巻取シャフト
10 操作ビーム
11,11’ 長手方向ガイド
12 ロック部材
13 ガイドチャンバ
14 第1の圧縮部分
15 第1の層
16 第2の層
17 ライナー
18 追加の固定
19 底面
20 圧縮ツール
21 第2の圧縮部分
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7