(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】スライドチャンバ
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
G01N1/28 J
G01N1/28 U
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020047179
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520094891
【氏名又は名称】ミルテニー バイオテック ベー.フェー. ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Miltenyi Biotec B.V. & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Ebert-Strasse 68, 51429 Bergisch Gladbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ-ペーター ペータース
(72)【発明者】
【氏名】エイアド カバハ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ケーゼベアク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ボズィオ
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0151511(US,A1)
【文献】特開2016-120945(JP,A)
【文献】特開昭47-011989(JP,A)
【文献】特表2003-501620(JP,A)
【文献】特開平08-154661(JP,A)
【文献】特表2009-513978(JP,A)
【文献】国際公開第00/073766(WO,A1)
【文献】米国特許第05571721(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/28
C12M 1/34
B65D 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部部材(10)と
、透明閉鎖部材(30)と、
前記上部部材(10)と前記透明閉鎖部材(30)との間に挟みこまれる流体シール(20)と、ベース部材(40)とを備えるスライドチャンバであって、
前記上部部材(10)には、少なくとも1つの試験チャンバ(11)と、該試験チャンバ(11)の外側の、カバー部材の2つの側に配置された複数の開口(12)とが設けられており、
前記ベース部材(40)には、前記上部部材の前記開口(12)に対して相補的な相互接続手段(41)が設けられている、スライドチャンバにおいて、
前記ベース部材(40)の前記相互接続手段(41)と、前記上部部材(10)の前記開口(12)とは、横方向移動によって互いに機械的に連結する
とともに、前記横方向移動の間、前記ベース部材(40)と前記上部部材(10)との間に増大する圧力を生じるように構成されており、これにより、前記上部部材(10)を前記透明閉鎖部材(30)に対して押し付けることを特徴とする、スライドチャンバ。
【請求項2】
前記相互接続手段(41)および前記開口(12)は、前記上部部材(10)に対する前記ベース部材(40)の横方向移動によって互いから機械的に分離されるように構成されていることを特徴とする、請求項1記載のスライドチャンバ。
【請求項3】
前記上部部材(10)には、前記流体シール(20)のための凹所が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載のスライドチャンバ。
【請求項4】
前記上部部材(10)には、前記透明閉鎖部材(30)を保持するための手段が設けられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項5】
前記透明閉鎖部材(30)を保持するための手段は、前記上部部材(10)に対する前記透明閉鎖部材(30)の移動を許容するように構成されていることを特徴とする、請求項4記載のスライドチャンバ。
【請求項6】
前記透明閉鎖部材(30)を保持するための前記手段は、前記スライドチャンバを最終的に組み立てる前に前記上部部材(10)に対する前記透明閉鎖部材(30)の移動を許容するように構成されていることを特徴とする、請求項4または5記載のスライドチャンバ。
【請求項7】
前記上部部材(10)には、少なくとも1つのグリップ(14)が設けられていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項8】
前記ベース部材(40)の前記相互接続手段(41)と、前記上部部材(10)の前記開口(12)とは、バヨネット式ジョイントとして構成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項9】
前記流体シール(20)は、20~50のショアA硬さを有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項10】
前記ベース部材(40)および前記上部部材(10)は、PET、PS、PE、PPまたはCOPから製造されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項11】
前記透明閉鎖部材(30)は、顕微鏡スライドガラスであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項12】
前記試験チャンバは、前記上部部材(10)の上面に取り付けられたまたは前記上部部材(10)の上面から延びた壁部によって提供されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項13】
前記試験チャンバには、トップカバーが設けられていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のスライドチャンバ。
【請求項14】
光学的試験のための、請求項1から13までのいずれか1項記載のスライドチャンバ内に少なくとも1つの生物学的組織を準備する方法であって、前記少なくとも1つの生物学的組織を透明閉鎖部材(30)上に配置し、前記上部部材(10)および前記透明閉鎖部材(30)を、挟み込まれた流体シール(20)と組み合わせ、前記ベース部材(40)の前記相互接続手段(41)が前記上部部材(10)の前記開口(12)に挿入されるように前記ベース部材(40)を取り付け、前記透明閉鎖部材(30)に対する前記上部部材(10)の横方向移動によって前記スライドチャンバを閉鎖することを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記生物学的組織は、少なくとも2つの試験チャンバ内に配置されていることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドチャンバ、すなわち生物学的標本を分析するための顕微鏡検査スライドに取り付けられるウェルを提供する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫蛍光分析では、抗体などの1つまたは複数の抗原認識成分に結合された蛍光染料が、標的細胞の特定の検出および隔離ために使用される。このために、多数の抗体、蛍光染料、フローサイトメータ、フローソータおよび蛍光顕微鏡が開発されてきた。
【0003】
免疫蛍光分析の1つの技術は、同じ生物学的標本の蛍光シグナルの連続的排除および再染色を利用し、これにより、生物学的標本における複数の標的(抗原)の検出を可能にし、その結果、同時のラベリングおよび検出を用いる標準的手法と比較して大幅に高い多重化可能性を得るというものである。例えば、米国特許第7741045号明細書、欧州特許第0810428号明細書または独国特許第10143757号明細書は、結合された蛍光成分の光破壊または化学的破壊による蛍光シグナルの排除を開示している。
【0004】
染色および脱染色プロセスは、装置が、光学的イメージングが可能でありかつ生物学的標本に流体試薬を導入または吸引可能であるように、生物学的標本を保持または支持することを必要とする。例えば、国際公開第2018/001767号は、マルチレベル使い捨てカートリッジを開示している。マルチレベル使い捨てカートリッジは、透明支持体上に生物学的試料を受容するように構成されており、複数の流体試薬を保持するために複数の流体ウェルまたはリザーバが設けられている。
【0005】
他方、病理学試験などの生物学的標本のためのほとんどの染色実験は、数十年にわたって既知の標準的な顕微鏡検査スライド上で行われている。したがって、標準的な顕微鏡検査スライドに取り付けられる、流体試薬のためのウェルまたはリザーバを有する多くの装置が開発されてきた。いわゆる「チャンバード・スライド」は、例えば、欧州特許出願公開第0014007号明細書、欧州特許第0210071号明細書、欧州特許第1222462号明細書、英国特許出願公開第2127577号明細書、米国特許第3883398号明細書および独国特許第2157150号明細書に開示されている。本明細書に開示された装置は、顕微鏡検査スライドに接着された、またはクリップもしくはクランプなどの機械的な手段によって顕微鏡検査スライドに取り付けられた、リザーバまたはウェルを提供するプラスチック構造を有している。
【0006】
しかしながら、既知のチャンバード・スライドは、漏れが生じかつ/または使用後に試料のみと共に顕微鏡検査スライドを保管するために分解することができない。したがって、漏れの危険性なしに容易に組み立てる/分解することができるチャンバード・スライドが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、上部部材(10)と、流体シール(20)と、透明閉鎖部材(30)と、ベース部材(40)とを備えるスライドチャンバであって、上部部材(10)には、少なくとも1つの(1)試験チャンバ(11)と、試験チャンバ(11)の外側の、カバー部材の2つの側に配置された複数の開口(12)とが設けられており、
ベース部材(40)には、上部部材の開口(12)に対して相補的な相互接続手段(41)が設けられており、
ベース部材(40)の相互接続手段(41)と、上部部材(10)の開口(12)とは、横方向移動によって互いに機械的に連結するように構成されており、これにより、好ましくは水密形式で、上部部材(10)を透明閉鎖部材(30)に対して押し付ける、
スライドチャンバである。
【0008】
本発明の別の目的は、光学的試験のための、請求項に記載のスライドチャンバ内に少なくとも1つの生物学的組織を準備する方法であって、少なくとも1つの生物学的組織を透明閉鎖部材(30)上に配置し、上部部材(10)および透明閉鎖部材(30)を、挟み込まれた流体シール(20)と組み合わせ、ベース部材(40)の相互接続手段(41)が上部部材(10)の開口(12)に挿入されるようにベース部材(40)を取り付け、透明閉鎖部材(30)に対する上部部材(10)の横方向移動によってスライドチャンバを好ましくは水密形式で閉鎖することを特徴とする、方法である。
【0009】
以下の図面を参照しながら様々な典型的な詳細が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】組み立てられたスライドチャンバの側面図である。
【
図3】スライドチャンバの閉鎖機構、すなわち相互接続手段(41)および開口(12)が、手段(42a)および(42b)による上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動によって互いに機械的に連結する方法を示している。
【
図4】スライドチャンバの閉鎖機構、すなわち相互接続手段(41)および開口(12)が、手段(42a)および(42b)による上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動によって互いに機械的に連結する方法を示している。
【
図5】スライドチャンバの閉鎖機構、すなわち相互接続手段(41)および開口(12)が、手段(42a)および(42b)による上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動によって互いに機械的に連結する方法を示している。
【
図6】スライドチャンバの閉鎖機構、すなわち相互接続手段(41)および開口(12)が、手段(42a)および(42b)による上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動によって互いに機械的に連結する方法を示している。
【
図7】スライドチャンバの閉鎖機構、すなわち相互接続手段(41)および開口(12)が、手段(42a)および(42b)による上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動によって互いに機械的に連結する方法を示している。
【
図8】スライドチャンバの閉鎖機構、すなわち相互接続手段(41)および開口(12)が、手段(42a)および(42b)による上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動によって互いに機械的に連結する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面は必ずしも実寸ではなく、同じ数字が同じ特徴を指してもよいことが理解されるべきである。
【0012】
本明細書に開示されるスライドチャンバは、1つまたは複数の試験チャンバ(11)内に配置された少なくとも1つの生物学的組織に対して、湿式条件下、すなわち流体の存在下で光学的試験を行うために特に有効である。「光学的試験」という用語は、生物学的試料と、少なくとも1つの反応剤を含有する流体とを用いる、生物学または医学において既知のあらゆる試験方法をいう。この用語は、可視光マイクロコピー、蛍光顕微鏡検査、および抗体結合染料を用いるまたは用いない染色を含む。本発明によるスライドチャンバは、1つまたは2つ、4つ、さらには8つなどの複数の試験チャンバを有していてもよく、流体をこれらから容易に導入および除去することができるので、本発明のスライドチャンバは、例えば、米国特許第7741045号明細書、欧州特許第0810428号明細書、独国特許第10143757号明細書、欧州特許出願公開第3037821号明細書、欧州特許第2725359号明細書または国際公開第2017/144338号に開示されているような、多重染色および脱染色プロセスで使用することができる。「試料」、「生物学的組織」または「生物学的試料」という用語は、以下では同義的に使用されることに留意すべきである。
【0013】
試験が行われた後、本発明のスライドチャンバは、分解されてもよく、これにより、透明閉鎖部材(30)に配置された試料を回収し、選択的に、別の試験のために保管することができる。したがって、相互接続手段(41)および開口(12)は、上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動によって互いから機械的に分離されるように構成されている。
【0014】
流体によって覆われたまたは少なくとも濡らされた試料の光学的試験のために必須のことは、スライドチャンバの部品(部材)の水密組立てである。これは、上部部材(10)と透明閉鎖部材(30)とを組み合わせる流体シール(20)に対する十分な圧力を必要とする。
【0015】
このために、ベース部材(40)の相互接続手段(41)と、上部部材(10)の開口(12)とは、好ましくは、バヨネット式ジョイントとして構成されている。
図3~
図8に示すように、ベース部材(40)の相互接続手段(41)と、上部部材(10)の開口(12)とには、互いに機械的に相互接続するように構成された手段が設けられている。このような手段は、例えば、1つまたは複数の切欠きと、対応する突起(42a)および(42b)、または類似の溝およびばね設計であってよい。
【0016】
好ましくは、ベース部材(40)の相互接続手段(41)と、開口(12)とは、閉鎖プロセスの間、すなわち上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動の間、ベース部材(40)と上部部材(10)との間に増大する圧力(力)を生じるように構成されている。
【0017】
第1の変形形態では、ベース部材(40)と上部部材(10)との間の増大する圧力(力)は、ベース部材(40)の相互接続手段(41)と、開口(12)とに、
図3に示したような傾斜した形状を提供することによって達成される。別の変形形態では、ベース部材(40)の相互接続手段(41)または開口(12)には、
図7に示したような傾斜した形状が設けられている。
【0018】
本発明の別の実施形態では、ベース部材(40)と上部部材(10)との間の増大する圧力(力)は、流体シール(20)によって提供され、流体シール(20)は、閉鎖プロセスの間、すなわち上部部材(10)に対するベース部材(40)の横方向移動の間、僅かに圧縮される。この実施形態では、ベース部材(40)の相互接続手段(41)または開口(12)に傾斜した形状を設けることは不要である。この実施形態は、
図8に示されている。
【0019】
本発明の別の実施形態では、上部部材(10)には、流体シール(20)のための凹所が設けられている。流体シール(20)のための凹所は、試験チャンバの外周の周囲のみまたは試験チャンバの外周のみに設けられていてもよい。本発明の1つの変形形態では、複数の試験チャンバが使用される場合、凹所および流体シール(20)は、各試験チャンバの位置の周囲にまたは各試験チャンバの位置に設けられていてもよい。もちろん、流体シール(20)の形状は、凹所の形状を決定し、好ましくは、流体シール(20)は、例えば
図1に示したように、各試験チャンバを封止し、凹所はシールと同じ形状を有している。
【0020】
流体シール(20)および上部部材(10)には、
図1に示したように、突出部(22)および凹所/貫通孔(13)などの1つまたは複数の取付け手段が設けられていてもよい。流体シール(20)は、シリコーンゴムなどの、当技術分野において既知の任意のゴム材料から製造されてもよい。
【0021】
最善のケースでは、生物学的組織は、1つの試験チャンバ内、すなわち試験チャンバの領域内に配置され、シールは試料よりも大きい。しかしながら、試料の正しくない位置決めによってまたは試料が1つの試験チャンバにとって大きすぎる場合に、生物学的組織が少なくとも2つの試験チャンバ内に配置されることが生じ得る。この場合、シールは、それにもかかわらず、1つの試験チャンバから別の試験チャンバへのかつ/または試験チャンバからの流体の漏れを防止すべきである。言い換えれば、流体シールは、硬すぎたり柔らかすぎたりするべきではない。流体シール(20)のための好ましい材料は、20~50のショアA硬さを有している。
【0022】
試験チャンバに対する透明閉鎖部材(30)、すなわち試料の容易な位置決めのために、上部部材(10)には、好ましくは、
図1に(14)によって示したような、透明閉鎖部材(30)を保持するための手段が設けられている。ホルダは、透明閉鎖部材(30)の厚さと少なくとも同じ高さを有する壁部またはリッジであってもよく、上部部材の全ての縁部に設けられていてもよい。好ましい変形形態では、透明閉鎖部材(30)を保持するための手段は、スライドチャンバを最終的に組み立てる前に上部部材(10)に対する透明閉鎖部材(30)の移動を許容するように構成されている。例えば、透明閉鎖部材(30)が標準的な顕微鏡スライドガラスである場合、透明閉鎖部材(30)を保持するための手段は、長手方向において±15mmの顕微鏡スライドガラスの横方向移動を許容するように構成されている。やはり、位置のこのような移動または調節は、スライドチャンバを組み立てる前にのみ可能であり、相互接続手段(41)と開口(12)とが機械的に連結されたときには不可能である。
【0023】
スライドチャンバの組立ておよび分解を補助するために、上部部材(10)には、例えば、
図1に(14)で示したような少なくとも1つのグリップが設けられていてもよい。さらに、多くの顕微鏡スライドガラスは、情報目的のために一方の端部に、書込み可能領域(
図1における26)を有しているので、上部部材(10)には、試験中に顕微鏡スライドの書込み可能領域の視認性を与えるために一方の端部に少なくとも1つの透明領域(
図1における16)が設けられていてもよい。
【0024】
光学的試験方法は、しばしば、染料などの適切な反応剤を含有する流体を試料に加えることを必要とする。したがって、本発明のスライドチャンバには、(
図1および
図2に示したような)1つまたは複数の試験チャンバが設けられており、試験チャンバは、上部部材(10)の上面に取り付けられたまたは上部部材(10)の上面から延びた壁部によって提供されていてもよい。通常、試験チャンバは、0.1~5mlの容積を有している。2つ以上の試験チャンバが設けられている場合、試験チャンバは、同じまたは異なる容積を有していてもよい。
【0025】
一般的に、「開放した」試験チャンバが好ましい。しかしながら、本発明の1つの変形形態では、試験チャンバには、流体および放射の進入および除去を許容するための少なくとも1つのオリフィスを選択的に有するトップカバーが設けられている。
【0026】
ベース部材(40)および上部部材(10)を、例えば射出成形によって、PET、PS、PE、PPまたはCOPから製造することができる。好ましくは、上部部材(10)は、可視光放射および/またはUV放射を透過させ、製造のためにCOPを使用することによって達成することができる低蛍光バックグラウンドを有している。
【0027】
本発明の利用
本発明によるスライドチャンバは、細胞または生物学的組織が湿式条件下で光学的試験にさらされる生物学または医学の全ての用途において使用されてよい。これは、好ましくは生物学的試料における染色、培養、洗浄および染料の除去を伴う、細胞顕微鏡検査法または超音波顕微鏡検査法などの、顕微鏡検査、顕微鏡検査中の細胞の現場培養を含む。
【0028】
上記において概説した典型的な実装に関連して様々な詳細を説明してきたが、様々な代替例、変更例、変形例、改良および/または実質的な均等物が、既知であるかまたは現時点で予測されているもしくは現時点で予測されることがあるかにかかわらず、上記開示を検討することによって明らかになることがある。したがって、上述した典型的な実装は、例示的であり、限定的でないことが意図されている。