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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20240611BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20240611BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D9/00 Z
A47K17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020049332
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147889
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】今井 將椰
(72)【発明者】
【氏名】行武 陽平
(72)【発明者】
【氏名】原 拓弥
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-071803(JP,A)
【文献】実開平01-120585(JP,U)
【文献】特開平01-223232(JP,A)
【文献】特開2018-079056(JP,A)
【文献】特開2012-184651(JP,A)
【文献】Geberit AquaClean Mera Comfort,YouTube[Online][video],Bidet24,2019年01月15日,[2023年11月6日検索],<https://www.youtube.com/watch?v=Q21CrbRPk5o>,1:04~1:48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/02
E03D 9/00
A47K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁掛け式の便器本体と、
前記便器本体の下面に設けられ床面を照らす光源と、
前記便器本体の下面に配置される人体検知部と、を備え、
前記光源の照射範囲は、平面視で前記便器本体の左右幅よりも左右方向に広い範囲であり、
前記光源は、前記人体検知部よりも後方に配置される、便器装置。
【請求項2】
壁掛け式の便器本体と、
前記便器本体の下面に設けられ床面を照らす光源と、を備え、
前記便器本体の下面には、導光板が配置される、便器装置。
【請求項3】
前記便器本体の下面には、凹部が形成され、
前記光源は、前記凹部に配置される、請求項1又は2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記光源の照射範囲は、平面視で前記便器装置の前方の範囲を含む、請求項1からのいずれかに記載の便器装置。
【請求項5】
前記便器本体の下面には、排水トラップが配置され、
前記光源は、前記排水トラップよりも前記便器本体の前方に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器本体の周壁や床面を照らす照明灯を備える便器装置が知られている。このような便器装置によれば、トイレルームの照明装置を点灯せずに便器本体の周辺を明るくすることができ、夜間の使用に対しても明るすぎる照明で人を覚醒させることがない(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-184651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術は、便器の周壁部に光源が配置され、便器周辺を照らすように構成されている。しかし、複数の光源が便器の周壁部の視認されやすい箇所に配置されているため、光源が目立つことから意匠性が悪い問題がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、床面を照射可能な光源を備え、かつ好ましい意匠性が得られる便器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、壁掛け式の便器本体と、前記便器本体の下面に設けられ床面を照らす光源と、を備える、便器装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る便器装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る便器装置を下面から視た図である。
図3】本実施形態に係る便器装置の上面図である。
図4】本実施形態に係る便器装置の図3のA-A'線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の便器装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、便器装置1の便座23に着座した便器装置1のユーザ(以下、単に「ユーザ」と記載する場合がある)から視た場合の前後の方向を前後方向と定義する。前後方向に交差する左右を結ぶ方向を左右方向と定義する。鉛直方向に沿った上下の方向を上下方向と定義する。
【0009】
図1に示すように、便器装置1は、便器本体2と、便蓋3と、機能部4と、を有する。便器装置1は、例えばトイレルーム(図示省略)に配置され、汚物を下水へ流して洗浄する水洗式の装置である。
【0010】
便器本体2は、壁掛け式の便器であり、便器本体2の下面とトイレルームの床面Fとの間に所定の間隔が空くように配置され、壁面Wに設置される。便器本体2は、ボウル部21と、排水口22と、便座23と、を有する。便器本体2の下面には、図4に示すように、凹部24が形成され、図2に示すように、人体検知部6と、光源7と、排水トラップ8と、導光板9と、が配置される。
【0011】
ボウル部21は、上部が開口し凹状に形成され、汚物等を受け入れる部分である。排水口22は、ボウル部21の下端に配置されて外部の下水管(図示省略)と連続する開口である。排水口22は、図4に示す排水トラップ8を介して下水管と連続する。排水トラップ8は、排水口22の下端と下水管との間で下方に延びた後上方へ屈曲するU字状の流路を有する。排水トラップ8に水が溜まることで、下水管側からの臭気のボウル部21側への移動が防止される。便座23は、中央が開口した略環状で平坦な部材であり、ボウル部21の上部に開閉可能に載置される。便座23は、開口がボウル部21の開口に連通するように載置される。
【0012】
便蓋3は、ボウル部21及び便座23の開口を覆い、便座23の上部に配置される。便蓋3は、便座23と同様に開閉可能に取り付けられる。
【0013】
機能部4は、便器本体2の後方に配置され、便座23及び便蓋3の開閉機構や、便蓋3の開閉を制御する制御部(図示省略)を有する。制御部は、後述する人体検知部6によりユーザを検知した場合、モータ装置等により便蓋3の開閉機構を動作させ便蓋3を開く制御を行う。機能部4は、上記開閉機構や制御部以外に、加温装置、音楽基板、スピーカー等の機能部品を有していてもよい(いずれも図示省略)。機能部4には、各種の機構や装置を接続し、機能部4内の機能部品に電力を供給するための電気配線や、給水用の配管等が配置される。機能部4の上面は、トップカバー5で被覆される。
【0014】
人体検知部6は、ユーザを検知するセンサ装置である。人体検知部6は、図2及び図4に示すように、便器本体2の下面の凹部24に配置され、検知範囲60内の物体を検知する。人体検知部6は、便器本体2に接近するユーザの足等を検知できる。人体検知部6による検知結果は、機能部4における制御部に対して送信及び入力される。人体検知部6は、特に制限されないが、例えば発光部と受光部(図示省略)とを有する光学式測距センサである。光学式測距センサは、発光部から照射された赤外光等の光の反射光を受光部で受光することで、ユーザ等の対象との距離を測定できる。上記光学式測距センサとしては、例えば赤外線測距センサが挙げられる。人体検知部6は、上記以外に焦電式の赤外線センサや超音波式のセンサであってもよい。
【0015】
人体検知部6は、図2及び図4に示すように、後述する光源7及び排水トラップ8よりも便器本体2の前方に配置される。人体検知部6の配置を上記とすることで、人体検知部6の取付や検知範囲60の調整を容易に行うことができる。上記に加え、人体検知部6を便器本体2の下面の凹部24に配置することで、人体検知部6を目立たなく配置できるため、便器装置1の意匠性を向上できる。
【0016】
光源7は、便器本体2の下面に配置され、トイレルームの床面Fに向けて光を照射する。トイレルームの照明装置(図示省略)は、通常、トイレルームの天井に配置されるため、便器本体2の下方は陰になりやすい。上記に加えて、便器本体2の下面には排水トラップ8が配置されるため、便器本体2の下方は排水トラップ8の凹凸により視認し難い。光源7によりトイレルームの床面Fを照射することで、便器本体2の下方を照らすことができる。
【0017】
光源7は、トイレ装置1の間接照明として使用できる。例えば、ユーザが夜間に便器装置1を使用する際に、ユーザは、トイレルームの照明装置を使用せずに光源7のみを使用できる。上記により、ユーザの目に直接眩しい光が入らないため、ユーザが夜間に覚醒してしまうことを抑制できる。上記以外に、光源7によりトイレルームの床面Fに向けて光が照射されるため、ユーザが床面Fを清掃する場合、落下物を探索する場合等に利便性を向上できる。
【0018】
光源7は、特に制限されないが、例えばLED素子を有するLED光源である。光源7は、図2に示すように、便器本体2の下面に配置され、照射範囲70内に対して光を照射する。光源7から照射される光は、特に制限されないが、例えば白色、昼白色、昼光色等の光が照射される。光源7を主に夜間に使用する場合、光源7から照射される光を、色温度及び照度の低い光とすることが好ましい。例えば光源7から照射される光を、トイレルームの照明装置から照射される光よりも、色温度及び照度の低い光とすることができる。光源7から照射される光の色温度及び照度は、任意に変更可能であってもよい。
【0019】
光源7は、図4に示すように、便器本体2の下面に形成される凹部24に配置される。光源7を外部から視認し難い凹部24に配置することで、便器装置1の意匠性を向上できる。上記に加えて、便器本体2の下面のスペースを有効活用できる。光源7の配置数は、特に制限されないが、便器本体2の下面の中央部付近に、例えば1つ配置することができる。
【0020】
光源7は、図2及び図4に示すように、人体検知部6よりも便器本体2の後方に配置される。これにより、光源7の照射範囲70が、人体検知部6の検知範囲60と重ならないように光源7を配置できる。従って、光源7から照射される光が、検知範囲60に入ることで、人体検知部6が誤作動することを防止できる。上記に加えて、光源7は、排水トラップ8よりも便器本体2の前方に配置される。これにより、光源7の取付や照射範囲70の調整を容易に行えると共に、光源7から便器本体2の前方及び左右に向けて照射される光が、排水トラップ8に遮られることがなく、効果的に照明を行える。
【0021】
光源7の照射範囲70は、平面視で便器装置1の前方及び左右にはみ出る範囲であることが好ましい。図3は、便器装置1の上面図であり、範囲70aは、床面Fにおける照射範囲70を示す。図3に示すように、照射範囲70は、平面視で便器装置1の前方の範囲を含む。上記に加えて、照射範囲70は、平面視で便器装置1の左右幅よりも左右方向に広い範囲である。照射範囲70を上記のような範囲とすることで、光源7の間接照明としての効果が好ましく得られる。照射範囲70の便器装置1の前方側の範囲は、検知範囲60と重ならない程度であることが好ましい。照射範囲70は、検知範囲60よりも左右方向に広い範囲であることが好ましい。図3に示す範囲60aは、床面Fにおける検知範囲60を示す。範囲60aと、範囲70aとは、互いに重ならない範囲であることが好ましい。照射範囲70は、ユーザが任意の範囲に変更可能である。照射範囲70は、便器本体2の後方の、例えばトイレルームの壁面まで広がる範囲であってもよい。
【0022】
光源7からの光の照射は、特に制限されないが、常時照射されてもよいし、任意の状況で光が照射されるように制御されてもよい。例えば、ユーザがトイレルームに入出した際に、ユーザの入室を検知する検知部を便器装置1に設けてもよい。そして、上記検知部によりユーザが検知された場合、光源7から光が照射されるように、光源7が制御されてもよい。上記検知部によりユーザが検知されなくなった場合には、光源7から光を照射しないように制御を行ってもよい。上記構成により、ユーザがトイレルームに入室している間にのみ、光源7から光が照射されるため、便器装置1の節電効果が得られる。
【0023】
光源7からの光の照射は、便器装置1の周囲の照度を検出可能な照度センサを設け、便器装置1の周囲の照度が一定の閾値を下回る場合にのみ、光源7から光が照射されるように、便器装置1を構成してもよい。あるいは、便器装置1にRTC等の時計を内蔵する制御部を設け、上記制御部は、夜間にのみ光が照射されるように光源7の制御を行ってもよい。上記構成により、便器装置1の節電効果が得られる。更に、夜間には光源7を間接照明として用いることができるため、ユーザは覚醒することなく便器装置1を使用できる。
【0024】
光源7からの光の照射は、ユーザが便器装置1を使用する頻度の高い時間帯に行われてもよい。例えば、人体検知センサ等によりユーザの入室が検知された時刻を記憶可能な制御部を設け、上記制御部は、ユーザが便器装置1を使用する頻度の高い時間帯を判定可能であってもよい。上記判定された、ユーザが便器装置1を使用する頻度が高い時間帯には、光源7から光が常時照射されるように、便器装置1を構成してもよい。上記により、ユーザがトイレルームに入室して人体検知センサによりユーザが検知され、光源7から光が照射されるまでの時間差を無くすことができるため、便器装置1の利便性を向上できる。上記制御は、他の制御と組み合わせてもよい。
【0025】
光源7からの光の照射は、複数のユーザに合わせて可変なものとしてもよい。例えば、便器装置1は顔認識センサ等、ユーザ識別機能を有するユーザ識別部を含めて構成してもよい。例えば、ユーザ識別部はユーザ識別情報と共に、ユーザの好みに応じた光の照度や色温度等のパラメータや、照射方法等の情報を対応させて予め記憶しておくことができる。上記により、ユーザ識別部がユーザを識別すると、そのユーザの好みに応じた光と照射方法により、光源7から光が照射される。あるいは、ユーザの好みによっては光源7から光が照射されないように制御できる。このため、ユーザの好みに応じた利便性の高い照明を行うことができる。
【0026】
導光板9は、便器本体2の下面に配置される。導光板9の一部は光源7に接続され、光源7から照射される光を伝播可能な素材で構成される。導光板9は、例えばアクリル樹脂等で構成できる。例えば導光板9の一部をくり抜き、上記くり抜いた部分に光源7を配置できる。上記により、導光板9の上記くり抜いた端面に光源7から照射される光が入光して伝播される。導光板9により、光源7から照射される光を、トイレルームの床面Fに対してムラなく均一に照射できる。
【0027】
導光板9が配置される位置は、便器本体2の下面であれば特に制限されないが、便器本体2の下面の全体又は一部に配置できる。例えば、図2及び図4に示すように、便器本体2の下面の排水トラップ8が配置される中央部から、便器本体2の前方にかけての一部に配置できる。これにより、便器装置1の前方及び左右を効果的に照明できる。
【0028】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。上記実施形態では、光源7から光が照射される必要性が低い場合に、光源7から光が照射されないような制御を行う、便器装置1の構成について説明した。例えば、便器装置1に人体検知部を設け、上記人体検知部によりユーザが検知された場合にのみ光源7から光が照射される制御を行う構成について説明した。しかし、上記に限定されない。光源7から照射される光は、状況に応じて常時照射されるように切り替え可能であってもよい。
【0029】
光源7から照射される光が常時照射される、常時照射モードを設けて便器装置1を構成してもよい。例えば、ユーザがトイレルームの床面F等を清掃する場合には、光源7から光が常時照射されることが好ましい。上記に加えて、便器装置1が有する人体検知部6によりユーザが検知されることで、便蓋3が開閉しないことが好ましい。従って、便器装置1にユーザがトイレルームの清掃を行う際に使用できる清掃モードを設け、該清掃モード中には光源7から光が常時照射されると共に、人体検知部6がユーザを検知しても便蓋3が開閉しないような制御を行うことができる。上記清掃モードでは、ユーザは、任意に光源7の照射範囲70の位置の変更、及び範囲の拡大、並びに光源7の照度を上げる操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 便器装置、2 便器本体、24 凹部、6 人体検知部、
7 光源、8 排水トラップ、9 導光板、F 床面
図1
図2
図3
図4