(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】遮音カバー、遮音シート、遮音部材、及び継手構造
(51)【国際特許分類】
F16L 55/02 20060101AFI20240611BHJP
F16L 55/033 20060101ALI20240611BHJP
F16L 43/00 20060101ALI20240611BHJP
F16L 59/22 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
F16L55/02
F16L55/033
F16L43/00
F16L59/22
(21)【出願番号】P 2020053716
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2019164257
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
(72)【発明者】
【氏名】川▲高▼ 俊基
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 総
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-141572(JP,A)
【文献】特開2003-042383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/02
F16L 55/033
F16L 43/00
F16L 59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続部と、前記第1接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部にそれぞれ接続された曲管部と、を備える継手の外面を覆う遮音カバーであって、
前記第1中心軸及び前記第2中心軸を含む面を、基準面としたときに、
自身の厚さ方向に見て矩形状を呈し、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第1外縁が前記基準面にそれぞれ沿うように配置された状態で、前記曲管部における前記曲管部が凸となる凸側の外面に接触した中間平坦片と、
前記中間平坦片において、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第2外縁のうち、前記第1接続部側の前記第2外縁から前記第1中心軸に沿って延びる第1平坦片と、
前記一対の第2外縁のうち前記第2接続部側の前記第2外縁から前記第2中心軸に沿って延びる第2平坦片と、
前記一対の第1外縁にそれぞれ設けられ、前記第1平坦片及び前記第2平坦片に第1貼付け部材によりそれぞれ接続された一対の側片と、
を備え、
前記中間平坦片と、前記第1平坦片、前記第2平坦片および前記一対の側片と、の接続部分は、折り曲げられ、
前記一対の側片は、前記中間平坦片とともに前記曲管部の外面に全周にわたって巻かれた状態で、第2貼付け部材により互いに接続されている遮音カバー。
【請求項2】
前記側片の前記第1平坦片側の外縁は、前記第1平坦片の前記側片側の外縁に接続されている請求項1に記載の遮音カバー。
【請求項3】
前記側片は、
前記第1外縁から前記曲管部の周方向に沿って延びる本体部と、
前記本体部における前記第1接続部側の外縁から延びて前記第1平坦片に接続された第1舌部と、
前記本体部における前記第2接続部側の外縁から延びて前記第2平坦片に接続された第2舌部と、
を備える請求項1又は2に記載の遮音カバー。
【請求項4】
第1接続部と、前記第1接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部にそれぞれ接続され
、前記第1中心軸方向よりも前記第2中心軸方向のほうが長い曲管部と、を備える継手の外面を覆うために用いられる遮音シートであって、
前記第1中心軸及び前記第2中心軸を含む面を、基準面としたときに、
自身の厚さ方向に見て矩形状を呈する中間平坦片と、
前記中間平坦片において、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第2外縁の一方から前記中間平坦片とは反対側に向かって延びる第1平坦片と、
前記中間平坦片において、前記一対の第2外縁の他方から前記中間平坦片とは反対側に向かって延び
、前記基準面方向において前記第1平坦片よりも長い第2平坦片と、
前記中間平坦片において、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第1外縁にそれぞれ設けられ、前記中間平坦片とは反対側に向かって延びる一対の側片と、
を備え
、
前記中間平坦片と、前記第1平坦片、前記第2平坦片および前記一対の側片と、の接続部分は、折り曲げられ、
前記一対の側片は、前記接続部分が折り曲げられた状態で、前記第1平坦片及び前記第2平坦片に第1貼付け部材によりそれぞれ接続され、
前記一対の側片は、前記中間平坦片とともに前記曲管部の外面に全周にわたって巻かれた状態で、第2貼付け部材により互いに接続される遮音シート。
【請求項5】
前記第1平坦片と前記側片との距離は、前記中間平坦片から離間するに従い漸次大きくなる請求項4に記載の遮音シート。
【請求項6】
前記曲管部の外面を覆う吸音カバーと、
前記吸音カバーの外面を覆う請求項1から3のいずれか一項に記載の遮音カバーと、
を備える遮音部材。
【請求項7】
前記第2接続部の外面を覆い、前記遮音カバーに対して前記第2中心軸に沿う方向に位置をずらして配置され、前記遮音カバーに接続された第2遮音カバーを備える請求項6に記載の遮音部材。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の遮音部材と、
前記継手と、
を備える継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音カバー、遮音シート、遮音部材、及び継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の多用途化、複雑化が進む中で、排水管をはじめとする配管システムの遮音性能の向上が求められるケースが増加している。
例えば、排水管の遮音性能を向上するうえでは、発生音が大きい縦管の脚部等、排水管の曲がり部分に充分な遮音性を付与することが有効である。
【0003】
しかしながら、脚部継手をはじめとする曲管部を有する継手は、外面に曲面をはじめとする複数の形状が互いに関連し合って形成されており、直管に比較して複雑である。このため、遮音カバーを備えた継手を製造することは、生産上・設計上の課題が多く、継手の遮音性能を向上することは容易ではない。
【0004】
そこで、例えば、遮音シートを継手の外面に巻き付けて遮音カバーを構成し、継手の遮音性能を簡易的に向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かしながら、継手に遮音カバーを取付ける作業性には、改善の余地がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、継手に取付ける際の作業性を改善した遮音カバー、遮音カバーを形成するための遮音シート、及びこの遮音カバーを備える遮音部材及び継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の遮音カバーは、第1接続部と、前記第1接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部にそれぞれ接続された曲管部と、を備える継手の外面を覆う遮音カバーであって、前記第1中心軸及び前記第2中心軸を含む面を、基準面としたときに、自身の厚さ方向に見て矩形状を呈し、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第1外縁が前記基準面にそれぞれ沿うように配置された状態で、前記曲管部における前記曲管部が凸となる凸側の外面に接触した中間平坦片と、前記中間平坦片において、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第2外縁のうち、前記第1接続部側の前記第2外縁から前記第1中心軸に沿って延びる第1平坦片と、前記一対の第2外縁のうち前記第2接続部側の前記第2外縁から前記第2中心軸に沿って延びる第2平坦片と、前記一対の第1外縁にそれぞれ設けられ、前記第1平坦片及び前記第2平坦片に第1貼付け部材によりそれぞれ接続された一対の側片と、を備え、前記一対の側片は、前記中間平坦片とともに前記曲管部の外面に全周にわたって巻かれた状態で、第2貼付け部材により互いに接続されていることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、一対の側片が第2貼付け部材により互いに接続されているため、一対の側片は、中間平坦片とともに曲管部の外面に全周にわたって巻かれている。そして、第1平坦片及び一対の側片により、曲管部における第1接続部側の端部が全周にわたって覆われ、第2平坦片及び一対の側片により、曲管部における第2接続部側の端部が全周にわたって覆われる。こうして、遮音カバーが継手に取付けられる。
この際に、第2貼付け部材は一対の側片を互いに接続するために、例えば第2中心軸に沿って貼付けられる。また、第1貼付け部材は、第1平坦片及び第2平坦片と一対の側片とを接続するために、例えば第1中心軸、第2中心軸に沿って貼付けられる。
従って、継手に遮音カバーを取付ける際に、曲管部の周方向に貼付け部材を巻くように貼付けるのが抑えられて、貼付け部材の貼付け作業が容易になる。これにより、継手に取付ける際の作業性を改善することができる。
【0009】
また、前記遮音カバーにおいて、前記側片の前記第1平坦片側の外縁は、前記第1平坦片の前記側片側の外縁に接続されていてもよい。
この発明によれば、第1平坦片と側片とが重なる部分を少なくし、遮音カバーが厚くなるのを抑制することができる。
【0010】
また、前記遮音カバーにおいて、前記側片は、前記第1外縁から前記曲管部の周方向に沿って延びる本体部と、前記本体部における前記第1接続部側の外縁から延びて前記第1平坦片に接続された第1舌部と、前記本体部における前記第2接続部側の外縁から延びて前記第2平坦片に接続された第2舌部と、を備えてもよい。
この発明によれば、第1貼付け部材により、第1舌部と第1平坦片とを接続し、かつ、第2舌部と第2平坦片とを接続することができる。
【0011】
また、本発明の遮音シートは、第1接続部と、前記第1接続部の第1中心軸と交差する第2中心軸を有する第2接続部と、前記第1接続部及び前記第2接続部にそれぞれ接続された曲管部と、を備える継手の外面を覆うために用いられる遮音シートであって、自身の厚さ方向に見て矩形状を呈する中間平坦片と、前記中間平坦片において、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第2外縁の一方から前記中間平坦片とは反対側に向かって延びる第1平坦片と、前記中間平坦片において、前記一対の第2外縁の他方から前記中間平坦片とは反対側に向かって延びる第2平坦片と、前記中間平坦片において、前記矩形状における互いに沿うように配置された一対の第1外縁にそれぞれ設けられ、前記中間平坦片とは反対側に向かって延びる一対の側片と、を備えることを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、第1中心軸及び第2中心軸を含む基準面に対して、中間平坦片の一対の第1外縁がそれぞれ沿うように配置した状態で、中間平坦片を曲管部における凸側の外面に接触させる。一対の第2外縁で折り曲げて、第1平坦片が第1中心軸に沿って延び、第2平坦片が第2中心軸に沿って延びるようにそれぞれ配置する。
一対の側片を、中間平坦片とともに曲管部の外面を全周にわたって巻いた状態にして、第2貼付け部材により一対の側片を互いに接続する。この際に、第2貼付け部材を、例えば第2中心軸に沿って貼付ける。
例えば第1貼付け部材を第1中心軸、第2中心軸に沿って貼付けることで、第1平坦片及び第2平坦片と一対の側片とをそれぞれ接続する。
以上の工程により、継手に遮音シートを取付けて遮音カバーとする。従って、継手に遮音シートを取付ける際に、曲管部の周方向に貼付け部材を巻くように貼付けるのが抑えられて、貼付け部材の貼付け作業が容易になる。これにより、継手に取付ける際の作業性を改善することができる。
【0013】
また、前記遮音シートにおいて、前記第1平坦片と前記側片との距離は、前記中間平坦片から離間するに従い漸次大きくなってもよい。
この発明によれば、第1貼付け部材により第1平坦片の外縁と側片の外縁とを接続して、第1平坦片が第1中心軸に沿って延びるように配置する際に、第1平坦片と側片とが重なる部分を少なくし、遮音シートが厚くなるのを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の遮音部材は、前記曲管部の外面を覆う吸音カバーと、前記吸音カバーの外面を覆う前記のいずれかに記載の遮音カバーと、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、継手に取付ける作業性を改善した遮音カバー、及び吸音カバーを用いて、遮音部材を構成することができる。
【0015】
また、前記遮音部材において、前記第2接続部の外面を覆い、前記遮音カバーに対して前記第2中心軸に沿う方向に位置をずらして配置され、前記遮音カバーに接続された第2遮音カバーを備えてもよい。
この発明によれば、第2遮音カバーを用いて第2接続部の外面をより確実に覆うことができる。
【0016】
また、本発明の継手構造は、前記に記載の遮音部材と、前記継手と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、継手に取付ける作業性を改善した遮音カバーを用いて継手構造を構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の遮音カバー、遮音シート、遮音部材、及び継手構造によれば、継手に取付ける際の作業性を改善して継手に遮音カバーを取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の継手構造が用いられる建築物の断面図である。
【
図3】同吸音カバーを展開した吸音シートの平面図である。
【
図4】同継手構造の第1遮音カバーの斜視図である。
【
図5】同第1遮音カバーを展開した第1遮音シートの平面図である。
【
図6】同継手構造の第2遮音カバーを展開した第2遮音シートの平面図である。
【
図7】同継手構造を施工する手順を説明する側面図である。
【
図11】同継手構造を施工する手順を説明する側面図である。
【
図13】同継手構造を施工する手順を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る継手構造の一実施形態を、
図1から
図14を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の継手構造1は、例えば、建築物100内において集合継手システム110に用いられている。なお、
図1では、後述する集合用遮音部材119及び粘着テープ120を透過させるとともに、ハッチングを付して示している。後述する側片35A及び粘着テープ45を、二点鎖線で示している。
集合継手システム110は、建築物100の排水用として用いられる。集合継手システム110は、建築物100の床スラブ101に形成されたスラブ貫通孔101a内を通して建築物100の各階に配置されている。
集合継手システム110は、集合継手111と、縦管112と、横管113と、継手構造1と、を備えている。
【0020】
集合継手111は、継手本体116と、継手本体116に固定された横管接続部117と、を備えている。継手本体116は、円筒状に形成され、継手本体116の軸線が上下方向に沿うように配置されている。ここで言う軸線と上下方向とが沿うとは、軸線と上下方向とがなす鋭角が30度以下か、軸線と上下方向とが平行であることを意味する。この鋭角は、20度以下であることがより好ましい。軸線と上下方向とが交差しない場合には、軸線等を接線により延長し、なす鋭角を求める。外縁同士、カバーの要素と軸(方向)における沿う配置関係も、同様である。
【0021】
継手本体116の上端部は縦管接続部116aであり、継手本体116の下端部は縦管接続部116bである。
横管接続部117は、継手本体116の上部の外周面に複数固定されている。複数の横管接続部117は、継手本体116の軸線周りに、互いに間隔を空けて複数配置されている。
継手本体116の外面は、集合用遮音部材119に覆われている。集合用遮音部材119は、継手本体116の外面を覆う集合用吸音カバーと、集合用吸音カバーの外面を覆う集合用遮音カバー(これらの符号は省略)と、を備えている。集合用吸音カバー、集合用遮音カバーの材質は、後述する吸音カバー21、第1遮音カバー31の材質と同様である。
集合用遮音部材119は、粘着テープ120により継手本体116に貼付けられている。
【0022】
継手本体116における複数の横管接続部117よりも下方の部分は、床スラブ101のスラブ貫通孔101a内に配置されている。すなわち、複数の横管接続部117は、床スラブ101上に配置されている。継手本体116の下端部(縦管接続部116b)は、床スラブ101よりも下方に配置されている。
床スラブ101におけるスラブ貫通孔101aの開口周縁部と集合用遮音部材119との間には、モルタル122が充填されている。
【0023】
縦管112は、縦管112の軸線が上下方向に沿うように配置されている。縦管112の下端部は、継手本体116の縦管接続部116aに接続されている。
横管113の端部は、集合継手111の横管接続部117に接続されている。横管113は、集合継手111から離間するに従い漸次、上方に向かって傾斜して、水勾配を有するように、配置されている。
【0024】
継手構造1は、継手10と、遮音部材20と、を備えている。継手10は、第1受口(第1接続部)11と、第2受口(第2接続部)12と、曲管部13と、脚体14と、を備えている。
第2受口12は、第1受口11の第1中心軸O1と交差する第2中心軸O2を有している。ここで、第1中心軸O1及び第2中心軸O2を含む面を、基準面S1とする。
曲管部13は、湾曲した管状に形成され、第1受口11及び第2受口12にそれぞれ接続されている。基準面S1上において、曲管部13の中心軸に対する中心角(曲管部13が湾曲する角度)は、約90度である。
脚体14は、この例では円筒状に形成されている。脚体14は、脚体14の軸線が第1受口11の第1中心軸O1に沿うように配置されている。脚体14の第1端は、曲管部13における、曲管部13が凸となるように湾曲する凸側の外周面に固定されている。
継手10は、第1受口11の第1中心軸O1が上下方向に沿うように配置されている。
第1受口11と集合継手111の縦管接続部116bとは、連結管124により接続されている。第2受口12には、横管113の端部が接続されている。
【0025】
遮音部材20は、吸音カバー21と、第1遮音カバー(遮音カバー)31と、第2遮音カバー56と、を備えている。以下では、吸音カバー21、第1遮音カバー31、及び第2遮音カバー56の構成を、図を用いて説明するが、吸音カバー21、第1遮音カバー31、及び第2遮音カバー56が使用される向きは、図に示す向きに限定されない。
【0026】
吸音カバー21は、継手10の曲管部13等の外面を覆っている。
図2に吸音カバー21の斜視図を示し、
図3に吸音カバー21を展開した吸音シート21Aの平面図を示す。なお、
図2以下では、各カバーやシートにおける互いに接続される部分に、同種類のハッチングを付して示している。平面状の(平坦な)吸音シート21Aを折り曲げて粘着テープ等で接続すると、立体的な吸音カバー21が構成される。
図2及び
図3に示すように、吸音カバー21(吸音シート21A)は、帯状片22と、第1舌片23と、第2舌片24と、を備えている。
【0027】
帯状片22は、展開した状態で所定の方向に長い、平面視で矩形状に形成されている。
吸音カバー21では、帯状片22の短手方向に沿う両外縁22aが粘着テープ(不図示)により互いに接続され、帯状片22は円筒状に形成されている。吸音カバー21では、帯状片22の長手方向に沿う一方の外縁22bにより、継手10の第2受口12が内部に配置される第1開口21aが形成されている。
第1舌片23及び第2舌片24は、帯状片22の長手方向に沿う他方の外縁22cに配置されている。第1舌片23及び第2舌片24は、展開した状態で帯状片22とは反対側に向かって延びている。第1舌片23及び第2舌片24は、帯状片22から延びる先端側に向かうに従い漸次、幅が狭くなっている。第1舌片23及び第2舌片24は、展開した状態の平面視で三角形状に形成されている。第1舌片23及び第2舌片24は、帯状片22の外縁22cに沿って並べて配置されている。
【0028】
ここで、吸音カバー21では、第1舌片23及び第2舌片24における、互いの間に挟まれた外縁を、外縁23a,24aと言う。吸音カバー21では、外縁23a,24aにおける帯状片22側の端部以外の部分が、粘着テープ(不図示)により互いに接続されている。
吸音カバー21では、第1舌片23の外縁23a、第2舌片24の外縁24a、及び帯状片22の外縁22cで、継手10の脚体14が内部に配置される第2開口21bが形成されている。吸音カバー21では、第1舌片23及び第2舌片24における、互いの外側となる外縁で、曲管部13の第1受口11側の端部が内部に配置される第3開口21cが形成されている。吸音カバー21の外縁23a24aの端面は、後述するリブ130の側面に当接する。
図1に示すように、なお、リブ130が複数ある場合には、リブ130が貫通するための切欠きやスリットを、吸音カバー21に設けてもよい。
【0029】
吸音カバー21は、例えば、ニードルフェルトで形成されている。例えば、ニードルフェルトには、ポリエチレンテレフタレートが40%~50%、アクリル繊維が35%~45%、ウール・レーヨンが10%~20%含まれている。ニードルフェルトを製造する際には、トゲの付いた針をニードルフェルトに刺し込み、機械的に繊維を交絡させている。
なお、吸音カバー21をサーマルフェルト、PETフェルト等のフェルトや、アクリル繊維混合物で形成してもよい。吸音カバー21の密度は、80kg/m3以上であることが好ましい。吸音カバー21の厚さは、10mm程度であることが好ましい。
吸音カバー21は、第1遮音カバー31に比べて柔らかい材料で形成されているため、吸音シート21Aのような展開形状から吸音カバー21を形成できる。
【0030】
なお、
図1に示すように、遮音部材20は、継手10の第2受口12の外面を覆う発泡テープ26を備えることが好ましい。発泡テープ26は、吸音カバー21よりも曲管部13とは反対側に配置されている。発泡テープ26は、吸音カバー21と同程度の厚さで、吸音カバー21よりも硬いことが好ましい。吸音カバー21の面密度は、1.0kg/m
2程度であることが好ましい。
【0031】
図1に示すように、第1遮音カバー31は、吸音カバー21及び発泡テープ26の外面を覆っている。すなわち、第1遮音カバー31は、吸音カバー21を介して継手10の外面を覆っている。
図4に第1遮音カバー31の斜視図を示し、
図5に第1遮音カバー31を展開した第1遮音シート(遮音シート)31Aの平面図を示す。なお、
図4では第1粘着テープ43及び第2粘着テープ44を二点鎖線で示している。平面状の(平坦な)第1遮音シート31Aを折り曲げて粘着テープで接続すると、立体的な第1遮音カバー31が構成される。
図4及び
図5に示すように、第1遮音カバー31(第1遮音シート31A)は、中間平坦片32と、第1平坦片33と、第2平坦片34と、一対の側片35A,35Bと、を備えている。
【0032】
中間平坦片32は、平坦である。ここで言う平坦であるとは、例えば、基準面S1による断面において、中間平坦片32の厚さ方向の両側のいずれの表面も、表面の長手方向の長さに対する、この表面における、中間平坦片32の厚さ方向に最も凸となる部分と最も凹となる部分とのこの厚さ方向の長さ、の比が、10%以内であることを意味する。この比は、5%以内であることがより好ましい。
中間平坦片32は、
図5に示す中間平坦片32の厚さ方向に見て矩形状を呈している。
ここで言う矩形状とは、例えば、後述する一対の第1外縁32aの一方の長さに対する他方の長さの比が30%以内であり、かつ、後述する一対の第2外縁32bの一方の長さに対する他方の長さの比が30%以内であることを意味する。この比は、20%以内であることがより好ましい。
【0033】
ここで、
図4及び
図5に示すように、矩形状の中間平坦片32では、互いに沿うように配置された一対の外縁が2組存在する。一対の外縁2組のうち、一方の一対の外縁を一対の第1外縁32aと言い、他方の一対の外縁を一対の第2外縁32bと言う。一対の第2外縁32bは、中間平坦片32が備える4つの外縁のうち、一対の第1外縁32aとは異なる外縁である。
平面視において、一対の第1外縁32a、一対の第2外縁32bは、中間平坦片32の中央部を挟んでそれぞれ反対側に配置されている。第1外縁32aと第2外縁32bとは、互いに連なって配置されている。
図1に示すように、中間平坦片32は、一対の第1外縁32aが基準面S1にそれぞれ沿うように配置されている(一対の第1外縁32aのうちの一方は不図示)。
一対の第2外縁32bのうち第1受口11側に位置する第2外縁32bを、第2外縁32b1とも言う。一対の第2外縁32bのうち第2受口12側に位置する第2外縁32bを、第2外縁32b2とも言う。
【0034】
図4に示すように、中間平坦片32における第2外縁32b2側の端部には、継手10の脚体14が内部に配置される貫通孔32cが形成されている。
中間平坦片32は、第1遮音シート31Aを折り曲げて第1遮音カバー31を形成した状態において、平坦である。
図1に示すように、中間平坦片32は、曲管部13における凸側の外面に吸音カバー21を介して接触している。中間平坦片32は、第1中心軸O1に沿って第1受口11から離間するに従い漸次、第2受口12に近づくように傾斜している。
【0035】
第1平坦片33は、第1平坦片33の厚さ方向に見て矩形状を呈している。第1平坦片33の幅(第2外縁32bに沿う方向の長さ)は、中間平坦片32から離間するに従い漸次狭くなる。第1平坦片33は第2外縁32b1から第1中心軸O1に沿って延びている(
図1参照)。
第2平坦片34は、第2平坦片34の厚さ方向に見て矩形状を呈している。第2平坦片34の幅は、中間平坦片32から離間するに従い漸次狭くなる。第2平坦片34は、第2外縁32b2から第2中心軸O2に沿って延びている(
図1参照)。
第1平坦片33及び第2平坦片34は、第1遮音シート31Aを折り曲げて第1遮音カバー31を形成した状態において、それぞれ平坦であることが好ましい。
【0036】
本実施形態では、側片35Aの構成と側片35Bの構成とは、基準面S1に対して面対称である。このため、側片35Aの構成を、数字に英大文字「A」を付加することで示す。側片35Bのうち側片35Aに対応する構成を、側片35Aと同一の数字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、側片35Aの後述する本体部38Aと側片35Bの本体部38Bとは、互いに同一の構成である。
【0037】
図4に示すように、側片35Aは、中間平坦片32の一対の第1外縁32aの一方である第1外縁32a1に設けられている。側片35Aは、本体部38Aと、第1舌部39Aと、第2舌部40Aと、を備えている。
本体部38Aは、第1外縁32a1に設けられている。本体部38Aは、第1外縁32a1から曲管部13の周方向の第1の向きに沿って延びている。
第1舌部39Aは、本体部38Aにおける第1受口11側の外縁から延びている(
図1参照)。第1舌部39Aは、第1粘着テープ(第1貼付け部材)43により第1平坦片33に接続されている。第1舌部39A(側片35A)の第1平坦片33側の外縁は、第1平坦片33の第1舌部39A側の外縁に接続されている。すなわち、第1舌部39Aの第1平坦片33側の外縁と、第1平坦片33の第1舌部39A側の外縁と、が突き合わされた状態で互いに接続されている。
第2舌部40Aは、本体部38Aにおける第2受口12側の外縁から延びている(
図1参照)。第2舌部40Aは、第1粘着テープ43により第2平坦片34に接続されている(
図4参照)。このとき、第2舌部40A(側片35A)の第2平坦片34側の外縁は、第2平坦片34の第2舌部40A側の外縁に接続されている。例えば、第1粘着テープ43は第1中心軸O1、第2中心軸O2に沿って貼付けられる。
【0038】
側片35A,35Bは、中間平坦片32とともに曲管部13の外面に全周にわたって巻かれた状態で、第2粘着テープ(第2貼付け部材)44により互いに接続されている。例えば、第2粘着テープ44は第2中心軸O2に沿って貼付けられる。
第1遮音カバー31では、第1平坦片33及び側片35A,35Bにより、曲管部13における第1受口11側の端部が内部に配置される第1開口31aが形成されている。第2平坦片34及び側片35A,35Bにより、継手10の第2受口12(曲管部13における第2受口12側の端部)が内部に配置される第2開口31bが形成されている。
図1に示すように、第1遮音カバー31における第1受口11側の端部と第1受口11とは、粘着テープ45により互いに接続されている。粘着テープ45は、第1受口11の全周にわたって巻かれている。
【0039】
第1遮音カバー31の厚さは、例えば、1mm~5mm程度であることが好ましく、2mm程度であることがより好ましい。また、第1遮音カバー31の面密度は、1kg/m2~8kg/m2であることが好ましく、3.4kg/m2程度であることがより好ましい。
第1遮音カバー31は、例えば、オレフィン系材料(オレフィン系樹脂100質量部に対して、無機フィラーを300質量部~質量部含有する樹脂組成物)等といった弾性を備えた樹脂材料により形成されている。
【0040】
前記無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらのうち、重量とコストのバランスから炭酸カルシウムを前記無機フィラーとして用いることが好ましい。なおこれらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
前記オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリαオレフィンが挙げられる。中でも密度が0.87g/cm3~0.93g/cm3のポリエチレンが、前記オレフィン系樹脂として好ましい。なお、密度が0.87g/cm3未満だと、第1遮音カバー31の強度が十分ではなく、0.93g/cm3を超えると、第1遮音カバー31を偏平させたとき第1遮音カバー31が座屈してしまうおそれがある。また、オレフィン系樹脂の曲げ弾性率が、100kg/cm2~3000kg/cm2であれば、強度、巻き加工性として十分である。
第1遮音カバー31は、オレフィン系材料とは異なる材料で形成されていてもよく、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等のエラストマー材料等を用いても構わない。
第1遮音カバー31は、吸音カバー21に比べて硬い材料で形成されているため、第1遮音シート31Aのような展開形状から第1遮音カバー31を形成する必要がある。
【0042】
第1遮音シート31Aは、継手10の外面を覆うために用いられる。
図5に示すように、第1遮音シート31Aでは、第1平坦片33は第2外縁32b1から中間平坦片32とは反対側に向かって延びている。第2平坦片34は、第2外縁32b2から中間平坦片32とは反対側に向かって延びている。
側片35Aは、第1外縁32a1に設けられ、中間平坦片32とは反対側に向かって延びている。本体部38Aは、第1外縁32a1から第2外縁32bに沿って中間平坦片32とは反対側に向かって延びている。
第1舌部39Aは、本体部38Aにおける第1平坦片33側(第1受口11側)の外縁から、本体部38Aとは反対側に向かって延びている。第1舌部39Aの幅(第2外縁32bに沿う方向の長さ)は、本体部38Aから離間するに従い漸次狭くなる。第2舌部40Aは、本体部38Aにおける第2平坦片34側(第2受口12側)の外縁から、本体部38Aとは反対側に向かって延びている。第2舌部40Aの幅は、本体部38Aから離間するに従い漸次狭くなる。
舌部39A,40Aは、平面視で三角形状を呈している。
【0043】
第1平坦片33と側片35Aの第1舌部39Aとの距離は、中間平坦片32から離間するに従い漸次大きくなっている。すなわち、第1平坦片33と第1舌部39Aとの間に形成された切れ込み46Aは、中間平坦片32から離間する向きに開くV字状に形成されている。
同様に、第2平坦片34と側片35Aの第2舌部40Aとの距離は、中間平坦片32から離間するに従い漸次大きくなっている。すなわち、第2平坦片34と第2舌部40Aとの間に形成された切れ込み47Aは、中間平坦片32から離間する向きに開くV字状に形成されている。
【0044】
側片35Bは、第1外縁32a2に設けられ、中間平坦片32とは反対側に向かって延びている。側片35Bは、側片35Aの本体部38A、第1舌部39A、第2舌部40Aと同様に構成された本体部38B、第1舌部39B、第2舌部40Bを備えている。
【0045】
第2遮音カバー56は、円筒状に形成されている。第2遮音カバー56は、吸音カバー21を介して継手10の第2接続部12の外面を覆っている。第2遮音カバー56は、第1遮音カバー31に対して第2中心軸O2に沿う方向に位置をずらして配置されている。
すなわち、第1遮音カバー31の第2接続部12側の端部と、第2遮音カバー56とは、第2中心軸O2に沿う方向に付き合わせた状態で並べて配置されている。
図1に示すように、第1遮音カバー31と第2遮音カバー56とは、粘着テープ45により互いに接続されている。粘着テープ45は、第2遮音カバー56の全周にわたって巻かれている。
第2遮音カバー56と発泡テープ26とは、粘着テープ45により互いに接続されている。粘着テープ45は、発泡テープ26の全周にわたって巻かれている。
【0046】
第2遮音カバー56を展開した第2遮音シート56Aは、
図6に示すように短冊状に形成されている。
第2遮音カバー56は、第1遮音カバー31と同様の材料で形成することができる。
【0047】
次に、以上のように構成された継手構造1を施工する手順について説明する。以下では、連結管124及び横管113が接続されていない、単体の継手10を遮音部材20で覆う手順について説明する。なお、粘着テープ43,44等を貼付ける手順は、説明を省略する。
図7に示すように、予め、継手10の第2受口12における曲管部13とは反対側の端部に、発泡テープ26を巻いておく。発泡テープ26は、第2受口12に吸音カバー21用の段差を設けるためのものである。
【0048】
ところで、サイズの大きな樹脂製の継手は、レバーブロック(登録商標)と呼ばれる継手固定治具を用いて接着接合を行うため、継手固定治具で遮音部材20を保持した際に、第1遮音カバー31が凹んだり、損傷したりする可能性がある。そこで、
図8に示すように、曲管部13の外面、すなわち、曲管部13における吸音カバー21に覆われる面に、リブ130を設けてもよい。リブ130は、第1受口11と曲管部13との境界から第2受口12と曲管部13との境界まで、曲管部13の外面に沿って設けられた板状の部材である。リブ130は、曲管部13と、第1遮音カバー31や第2遮音カバー56との間に設けられる。これにより、継手固定治具による押圧が第1遮音カバー31に加わらないようにする。リブ130は、少なくとも横管接続部117の第2受口12の第2中心軸O2よりも上側に設ける。
【0049】
図8に示すように、第1受口11の外面11aとリブ130の外面130aの間に段差がないこと、すなわち、第1受口11の外面11aとリブ130の外面130aが同一面上にあることが好ましい。これにより、継手固定治具によって第1受口11やリブ130の外面130aに加えられた押圧により、吸音カバーが変形して第1遮音カバー31に押圧が加わらないようにすることができる。
なお、第1受口11の外面11aと曲管部13の外面との間に十分なスペースがあり、リブ130により吸音カバー21の変形が抑えられる場合には、第1受口11の外面11aとリブ130の外面130aの間に段差あってもよい。これにより、曲管部13を吸音カバー21や遮音シート31で覆っても配管スペース内における継手10の収まりがよく、継手固定治具による施工を行い易くすることができる。
【0050】
図9に示すように、リブ130は、第1受口11の第1中心軸O1に沿って、第1受口11と曲管部13との境界から離れるに従って、曲管部13とは反対側に張り出す形状、すなわち、曲管部13の外面を基準とした厚さが大きくなる形状であることが好ましい。また、リブ130は、第2受口12の第2中心軸O2に沿って、第2受口12と曲管部13との境界から離れるに従って、曲管部13とは反対側に張り出す形状、すなわち、曲管部13の外面を基準とした厚さが大きくなる形状であることが好ましい。
図9に示すように、リブ130は、第1受口11の第1中心軸O1と平行な部分131と、第2受口12の第2中心軸O2と平行な部分132とを有している。第1受口11の第1中心軸O1と平行な部分131と、第2受口12の第2中心軸O2と平行な部分132とはなくてもよい。
【0051】
図10に示すように、リブ130は、第1受口11と第2受口12の境界またはその近傍から、第1受口11の第1中心軸O1と平行な部分131に、保持部133が設けられていてもよい。保持部133は、
図10に示すような曲管部13側に凹む凹部であってもよく、曲管部13とは反対側に突出する突起部であってもよい。また、リブ130は、第2受口12の第2中心軸O2と平行な部分132に、前記の保持部133と同様の構造を有していてもよい。これにより、遮音シート31を保持したり、継手10を床に置く際に、吸音カバー21が凹むことを抑制できる。
【0052】
次に、
図11に示すように、継手10の外面に吸音シート21Aを巻き付け、継手10の外面を吸音カバー21で覆う。
なお、
図8から
図10に示すように、曲管部13の外面にリブ130が設けられている場合には、
図12に示すように、継手10及びリブ130の外面に吸音シート21Aを巻き付け、継手10の外面を吸音カバー21で覆う。
【0053】
次に、
図13に示すように、継手10及び吸音カバー21の外面に第1遮音シート31A及び第2遮音シート56Aを巻き付け、継手10及び吸音カバー21の外面を第1遮音カバー31及び第2遮音カバー56で覆う。このとき、発泡テープ26で第2遮音カバー56を支持する。
なお、
図8から
図10に示すように、曲管部13の外面にリブ130が設けられている場合には、
図14に示すように、継手10、吸音カバー21及びリブ130の外面に第1遮音シート31A及び第2遮音シート56Aを巻き付け、継手10、吸音カバー21及びリブ130の外面を第1遮音カバー31及び第2遮音カバー56で覆う。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の第1遮音カバー31によれば、側片35A,35Bが第2粘着テープ44により互いに接続されているため、側片35A,35Bは、中間平坦片32とともに曲管部13の外面に全周にわたって巻かれている。そして、第1平坦片33及び側片35A,35Bにより、曲管部13における第1受口11側の端部が全周にわたって覆われ、第2平坦片34及び側片35A,35Bにより、曲管部13における第2受口12側の端部が全周にわたって覆われる。こうして、第1遮音カバー31が継手10に取付けられる。
この際に、第2粘着テープ44は側片35A,35Bを互いに接続するために、例えば第2中心軸O2に沿って貼付けられる。また、第1粘着テープ43は、第1平坦片33及び第2平坦片34と側片35A,35Bとを接続するために、例えば第1中心軸O1、第2中心軸O2に沿って貼付けられる。
従って、継手10に第1遮音カバー31を取付ける際に、曲管部13の周方向に粘着テープ43,44を巻くように貼付けるのが抑えられて、粘着テープ43,44の貼付け作業が容易になる。これにより、継手10に第1遮音カバー31を取付ける際の作業性を改善することができる。
【0055】
側片35Aの第1平坦片33側の外縁は、第1平坦片33の側片35A側の外縁に接続されている。これにより、第1平坦片33と側片35Aとが重なる部分を少なくし、第1遮音カバー31が厚くなるのを抑制することができる。
側片35Aは、本体部38Aと、第1舌部39Aと、第2舌部40Aと、を備えている。従って、第1粘着テープ43により、第1舌部39Aと第1平坦片33とを接続し、かつ、第2舌部40Aと第2平坦片34とを接続することができる。
【0056】
また、本実施形態の第1遮音シート31Aによれば、中間平坦片32の一対の第1外縁32aが基準面S1にそれぞれ沿うように配置した状態で、中間平坦片32を曲管部13における凸側の外面に吸音カバー21を介して接触させる。一対の第2外縁32bで折り曲げて、第1平坦片33が第1中心軸O1に沿って延び、第2平坦片34が第2中心軸O2に沿って延びるようにそれぞれ配置する。
側片35A,35Bを、中間平坦片32とともに曲管部13の外面を全周にわたって巻いた状態にして、第2粘着テープ44により側片35A,35Bを互いに接続する。この際に、第2粘着テープ44を、例えば第2中心軸O2に沿って貼付ける。
例えば第1粘着テープ43を第1中心軸O1、第2中心軸O2に沿って貼付けることで、第1平坦片33及び第2平坦片34と側片35A,35Bとをそれぞれ接続する。
以上の工程により、継手10に第1遮音シート31Aを取付けて第1遮音カバー31とする。従って、継手10に第1遮音シート31Aを取付ける際に、曲管部13の周方向に貼付け部材43,44を巻くように貼付けるのが抑えられて、貼付け部材43,44の貼付け作業が容易になる。これにより、継手10に第1遮音シート31Aを取付ける作業性を改善することができる。
【0057】
第1平坦片33と側片35Aとの距離は、中間平坦片32から離間するに従い漸次大きくなる。これにより、第1粘着テープ43により第1平坦片33の外縁と側片35Aの外縁とを接続して、第1平坦片33が第1中心軸O1に沿って延びるように配置する際に、第1平坦片33と側片35Aとが重なる部分を少なくし、第1遮音シート31Aが厚くなるのを抑制することができる。
また、本実施形態の遮音部材20は、吸音カバー21と、第1遮音カバー31と、を備えている。このため、継手10に取付ける作業性を改善した第1遮音カバー31、及び吸音カバー21を用いて、遮音部材20を構成することができる。
【0058】
遮音部材20は、第2遮音カバー56を備えている。従って、第2遮音カバー56を用いて継手10の第2受口12の外面をより確実に覆うことができる。
また、本実施形態の継手構造1は、遮音部材20と、継手10と、を備えている。これにより、継手10に取付ける作業性を改善した第1遮音カバー31を用いて継手構造1を構成することができる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、第1舌部39Aの第1平坦片33側の外縁は第1平坦片33の第1舌部39A側の外縁に接続されていなく、例えば平面視で第1舌部39Aの中央部と第1平坦片33の中央部とが接続されてもよい。この場合、第1遮音シートにおいて、第1平坦片33と第1舌部39Aとの距離は、中間平坦片32から離間するに従い漸次大きくなっていなくてもよい。
遮音部材20は、第2遮音カバー56を備えなくてもよい。
【0060】
継手10は、脚体14を備えなくてもよい。この場合、第1遮音カバーに貫通孔32cは形成されない。
第1接続部及び第2接続部は受口11,12であるとしたが、第1接続部及び第2接続部は受口に限定されず、挿口、フランジ等でもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 継手構造
10 継手
11 第1受口(第1接続部)
12 第2受口(第2接続部)
13 曲管部
20 遮音部材
21 吸音カバー
31 第1遮音カバー(遮音カバー)
31A 第1遮音シート(遮音シート)
32 中間平坦片
32a,32a1,32a2 第1外縁
32b,32b1,32b2 第2外縁
33 第1平坦片
34 第2平坦片
35A,35B 側片
38A,38B 本体部
39A,39B 第1舌部
40A,40B 第2舌部
43 第1粘着テープ(第1貼付け部材)
44 第2粘着テープ(第2貼付け部材)
56 第2遮音カバー
130 リブ
O1 第1中心軸
O2 第2中心軸
S1 基準面