(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】レンズユニット、カメラモジュールおよびカメラモジュール付き自動車
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20240611BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240611BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240611BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20240611BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240611BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240611BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240611BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G03B15/00 V
G02B7/02 A
G03B17/02
B60R1/06 Z
H04N23/55
H04N23/52
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2020073280
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】平間 浩之
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087479(JP,A)
【文献】特開2015-210333(JP,A)
【文献】特開2020-016862(JP,A)
【文献】実開昭58-146206(JP,U)
【文献】特開2018-101855(JP,A)
【文献】特開2020-027278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 17/04 - 17/17
B60R 1/00 - 1/31
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って並べられた複数のレンズと、これら複数のレンズが収納される鏡筒と、前記複数のレンズのうち最も物体側に位置する物体側レンズを前記鏡筒に保持固定する保持部とを備えたレンズユニットであって、
前記保持部に前記物体側レンズの
物体側の面の外周部に開口する通気部が設けられ、この通気部は前記鏡筒の外部に連通し
、
前記通気部は、前記保持部の内周面に、前記物体側レンズの物体側の面の外周部から周方向と交差する方向に延びるように、かつ周方向に沿って所定間隔で複数設けられることで、前記物体側レンズに付着して外周部に流れた水滴を前記鏡筒の外部に排出することを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記保持部が、前記鏡筒の物体側端部に装着されたキャップである場合、
前記キャップの内面および/または前記物体側端部の外面に、前記通気部を前記鏡筒の外部に連通させる連通部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記保持部が前記
鏡筒の物体側端部を内側にカシメてなるカシメ部である場合、
前記物体側端部の内周部と前記物体側レンズの外周部との間に周方向に沿って延在し、かつ前記通気部と連通する周溝が設けられ、
前記カシメ部に前記周溝と前記鏡筒の外部とを連通させる連通部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記連通部は前記カシメ部に形成された貫通孔であることを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記連通部に吸引手段が接続され、この吸引手段によって前記通気部の前記開口から前記物体側レンズに付着している付着物を吸引することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記連通部に噴出手段が接続され、この噴出手段によって前記通気部の前記開口から流体を噴出させて前記物体側レンズに付着している付着物を吹き飛ばすことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のレンズユニットを備えていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項8】
請求項5に記載のレンズユニットを備えたカメラモジュールを有するカメラモジュール付き自動車であって、
前記吸引手段は、自動車に設けられていることを特徴とするカメラモジュール付き自動車。
【請求項9】
請求項6に記載のレンズユニットを備えたカメラモジュールを有するカメラモジュール付き自動車であって、
前記噴出手段は、自動車に設けられていることを特徴とするカメラモジュール付き自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車等の車両に搭載される車載カメラを構成するレンズユニット、カメラモジュールおよびカメラモジュール付き自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車に車載カメラを搭載し、駐車をサポートしたり、画像認識により衝突防止を図ったりすることが行なわれており、さらにそれを自動運転に応用する試みもなされている。また、このような車載カメラ等のカメラモジュールは、一般に、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒(バレル)と、レンズ群の少なくとも一個所のレンズ間に配置される絞り部材とを有するレンズユニットを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特に、車載カメラ用のレンズユニットでは、少なくとも一部が車外に設置される場合、防水および防塵の目的で、
図11に示すように、例えば最も物体側に位置するガラスレンズ100と鏡筒102との間に径方向でOリング104が介挿され、鏡筒102の内側のレンズ群L内に水や塵埃が侵入しないようにしている。この場合、ガラスレンズ100の外周面100aに、該レンズ100の像側(結像側)部分に径が小さくなった段差状の縮径部100bが設けられ、この縮径部100bにOリング104が装着されて、ガラスレンズ100の外周面100aと鏡筒102の内周面102aとの間でOリング104が径方向で圧縮されることにより、鏡筒102の物体側端部が封止された状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、
図11に示すような従来のレンズユニットでは、最も物体側に位置する物体側レンズの外周部をカシメ部等の保持部によって鏡筒に保持固定している。
このようなレンズユニットを、車載カメラに使用した場合、目的とする撮影範囲に応じて、レンズユニットの光軸を水平面に対して若干下方に傾けて配置されるため、雨天時に鏡筒から露出する物体側レンズの表面に付着した水滴が重力によって外周部に向けて下側に流れ、当該外周部に溜まる場合がある。このように物体側レンズの外周部に水滴が溜まると車載カメラによる画像の一部(特に周辺部)に画像ボケが発生する虞がある。
また、車載カメラに使用されるレンズユニットでは、その物体側レンズに粉塵が付着して、この粉塵によって車載カメラによる画像が不鮮明になる虞がある。
さらに、車載カメラに使用されるレンズユニットでは、その物体側レンズに雨水等の水滴が付着すると、画像ボケが生じ、さらに寒冷地では水滴が表面結露し、この表面結露によって鮮明な画像が得られない虞がある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、物体側レンズに付着した水滴や粉塵等を除去できるレンズユニット、カメラモジュールおよびこのカメラモジュールを備えた自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るレンズユニットは、光軸に沿って並べられた複数のレンズと、これら複数のレンズが収納される鏡筒と、前記複数のレンズのうち最も物体側に位置する物体側レンズを前記鏡筒に保持固定する保持部とを備えたレンズユニットであって、
前記保持部に前記物体側レンズの外周部に開口する通気部が設けられ、この通気部は前記鏡筒の外部に連通していることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記通気部は保持部に少なくとも1以上設けるが、物体側レンズの外周方向に所定間隔で複数設けるのが好ましい。
【0009】
本発明においては、物体側レンズを鏡筒に保持固定する保持部に、物体側レンズの外周部に開口する通気部が設けられ、この通気部が鏡筒の外部に連通しているので、物体側レンズに付着して外周部に流れた水滴を、通気部を通して鏡筒の外部に排出して除去できる。このため、物体側レンズの外周部に水滴が滞留するのを防止できる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記保持部が、前記鏡筒の物体側端部に装着されたキャップである場合、
前記キャップの内面および/または前記物体側端部の外面に、前記通気部を前記鏡筒の外部に連通させる連通部が設けられていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、キャップの内面および/または鏡筒の物体側端部の外面に、通気部を鏡筒の外部に連通させる連通部が設けられているので、物体側レンズに付着して外周部に流れた水滴を通気部および連通部を通して外部に確実に排出して除去できる。
【0012】
また、本発明の前記構成において、前記保持部が前記物体側端部を内側にカシメてなるカシメ部である場合、
前記物体側端部の内周部と前記物体側レンズの外周部との間に周方向に沿って延在し、かつ前記通気部と連通する周溝が設けられ、
前記カシメ部に前記周溝と前記鏡筒の外部とを連通させる連通部が設けられていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、鏡筒の物体側端部の内周部と物体側レンズの外周部との間に周方向に沿って延在し、かつ通気部と連通する周溝が設けられ、カシメ部に周溝と鏡筒の外部とを連通させる連通部が設けられているので、物体側レンズに付着して外周部に流れた水滴を通気部、周溝および連通部を通して外部に排出して除去できる。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記連通部は前記カシメ部に形成された貫通孔であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、連通部がカシメ部に形成された貫通孔であるので、当該貫通孔を後加工でカシメ部に形成でき、連通部の形成が容易となる。
【0016】
また、本発明の前記構成において、前記連通部に吸引手段が接続され、この吸引手段によって前記通気部の前記開口から前記物体側レンズに付着している付着物を吸引するようにしてもよい。
【0017】
ここで、吸引手段としては、例えばバキュームポンプやアスピレータ等が挙げられるがこれに限るものではない。
また、付着物は、水滴や粉塵等を含み、物体側レンズの表面に付着していればよく、水滴の場合、外周部に流れていなくてもよく、少なくとも物体側レンズの表面の一部に付着していればよい。
【0018】
このような構成によれば、連通部に接続された吸引手段によって、通気部の開口から物体側レンズに付着している付着物を吸引するので、当該付着物を確実に通気部および連通部を介して外部に排出して除去できる。
【0019】
また、本発明の前記構成において、前記連通部に噴出手段が接続され、この噴出手段によって前記通気部の前記開口から流体を噴出させて前記物体側レンズに付着している付着物を吹き飛ばすようにしてもよい。
【0020】
ここで、噴出手段としては、例えば噴射ポンプが挙げられるがこれに限るものではない。また、流体は気体および液体を含み、気体の場合、圧縮空気、温風などが挙げられ、液体の場合、水や温水が挙げられる。
【0021】
このような構成によれば、噴出手段によって通気部の開口から流体を噴出させて物体側レンズに付着している付着物を吹き飛ばすので、当該付着物を外部に排出して除去できる。
【0022】
本発明に係るカメラモジュールは、前記レンズユニットを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、前記レンズユニットの作用効果をカメラモジュールで得ることができる。
【0023】
本発明に係るカメラモジュール付き自動車は、前記レンズユニットを備えたカメラモジュールを有するカメラモジュール付き自動車であって、前記吸引手段は、自動車に設けられていることを特徴とする。
【0024】
吸引手段としては、例えば、自動車にアスピレータを取り付け、このアスピレータに排気ガスや自動車が走行している際に自動車が受ける風(空気)を流通させることによって、ベンチュリ効果によって吸引するようにすればよい。
【0025】
本発明によれば、吸引手段が自動車に設けられているので、カメラモジュールに吸引手段を設ける必要がなく、カメラモジュール自体の大型化を防止できる。
【0026】
また、本発明に係るカメラモジュール付き自動車は、前記レンズユニットを備えたカメラモジュールを有するカメラモジュール付き自動車であって、前記噴出手段は、自動車に設けられていることを特徴とする。
【0027】
噴出手段としては、例えば、自動車のウインドウォッシャー液を噴出する噴出管を利用したり、自動車が走行している際に自動車が受ける風(空気)を利用して流体を噴出するようにすればよい。また、自動車のエアコンからの温風を利用して、当該温風を噴出するようにしてもよい。
【0028】
本発明によれば、噴出手段が自動車に設けられているので、カメラモジュールに噴出手段を設ける必要がなく、カメラモジュール自体の大型化を防止できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、レンズユニットの物体側レンズに付着した水滴や粉塵等を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るレンズユニットを示すもので、平面図である。
【
図3A】本発明の第1の実施形態に係るカメラモジュールの一例を示す断面図である。
【
図3B】本発明の第1の実施形態に係るカメラモジュールの他の例を示す断面図である。
【
図4】
図3Aに示すカメラモジュールを自動車に取り付ける際に傾けた状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るレンズユニットを示すもので、平面図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係るレンズユニットを示す断面図である。
【
図8】
図7に示すレンズユニットを備えたカメラモジュールを示す断面図である。
【
図9】本実施形態に係るカメラモジュール付き自動車を示す側面図である。
【
図10】レンズユニットの変形例を示す要部の断面図である。
【
図11】従来のレンズユニットの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下で説明する本実施の形態のレンズユニットは、車載カメラ等のカメラモジュール用のものであるが、これに限ることはない。例えば防犯カメラ等のカメラモジュール用のものであってもよい。
また、本実施の形態のレンズユニットが、車載カメラ等のカメラモジュール用のものである場合、当該カメラモジュールは、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。また、
図2、
図3、
図4、
図6、
図7、
図8、
図10および
図11においてレンズについてはハッチングを省略している。
【0032】
(第1の実施形態)
図1および
図2は、本発明の第1の実施形態に係るレンズユニット11を示すもので、
図1は平面図、
図2は
図1におけるA-A線断面図である。
図1および
図2に示すように、本実施の形態のレンズユニット11は、例えば金属製の円筒状の鏡筒(バレル)12と、鏡筒12の段付きの内側収容空間S内に配置される複数のレンズ、例えば、物体側から、第1のレンズ(物体側レンズ)13、第2のレンズ14、第3のレンズ15、第4のレンズ16、第5のレンズ17、第6のレンズ18および第7のレンズ19から成る7つのレンズと、絞り部材22とを備えている。
【0033】
絞り部材22は、本実施の形態では、第3のレンズ15と第4のレンズ16との間に介挿されており、透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。このようなレンズユニット11を備える車載カメラは、レンズユニット11と、図示しないイメージセンサを有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
【0034】
鏡筒12の内側収容空間S内に組み込まれて収容保持される複数のレンズ13~19は、それぞれの光軸を一致させた状態で積み重ねられて配置されており、1つの光軸Oに沿って各レンズ13~19が並べられた状態となって、撮像に用いられる1群のレンズ群を構成している。また、本実施の形態において、像側に位置する2つの第5および第6のレンズ17,18は貼り合わせレンズであるが、そうである必要はない。なお、これらのレンズ13~19の表面には、必要に応じて、反射防止膜、親水膜、撥水膜等が設けられる。
【0035】
鏡筒12の物体側端部(
図2において上端部)には保持部としての金属製のキャップ23が螺着され(したがって、着脱可能に取り付けられ)ており、このキャップ23によってレンズ群の最も物体側に位置する物体側レンズ(ガラスレンズ)13が鏡筒12の物体側端部に光軸方向および径方向の両方向で固定されている。
キャップ23は鏡筒12の物体側端部に形成されている雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する円筒状の螺着部23aと、この螺着部23aの上端に物体側レンズ13の中央部側に向けて屈曲するように一体形成されたレンズ押え部23bとを備えている。
【0036】
また、物体側レンズ13の外周部には平面状に斜めにカットされた平坦部13dが周方向に沿って設けられており、当該平坦部13dに、鏡筒12に螺着されたキャップ23のレンズ押え部23bが当接されている。これによって、物体側レンズ13は鏡筒12の物体側端部に光軸方向および径方向の両方向で固定されている。
なお、鏡筒12およびキャップ23の材質は、金属製に限られるものではなく、例えば樹脂製であっても構わない。保持部は、鏡筒12に螺合されるキャップ23に限らず、物体側レンズ13を光軸方向で鏡筒12の物体側端部に固定できるものであればどのような部材であってもよい。また、後述するように、鏡筒12の物体側端部を径方向内側にカシメてなるカシメ部40(
図6参照)によって物体側レンズ13が鏡筒12の物体側の端部に固定されても構わない。
【0037】
また、鏡筒12の像側の端部(
図2において下端部)には、第7のレンズ19よりも径の小さい開口部を有する内側フランジ部24が設けられている。この内側フランジ部24と前記キャップ23とにより、鏡筒12内にレンズ群を構成する複数のレンズ13~19と絞り部材22とが光軸方向で保持固定されている。また、鏡筒12の像側の端部には、フィルタ20が接着剤によって固定されている。
【0038】
また、最も物体側に位置する物体側レンズ13は、その物体側の面が物体側へ向けて突出する凸状面13aとして形成されるとともに、その像側の面に、物体側へ向けて凹む径方向内側の凹面部13bと、光軸方向に面する径方向外側の平面としての外端部13cとを有する。
そして、本実施の形態では、光軸方向で互いに対向する第1のレンズ(物体側レンズ)13の外端部13cと鏡筒12の平面としてのレンズ支持面部(物体側レンズ13を光軸方向で支持する)12bとの間に、シール部材としてのOリング26が介挿されている。このOリング26は、第1のレンズ(物体側レンズ)13の外端部13cと鏡筒12のレンズ支持面部12bとの間を鏡筒12の物体側端部で封止し、これにより、レンズユニット11の物体側の端部から鏡筒12内に水や塵埃等の微粒子が浸入するのを防止している。なお、物体側レンズ13の外端部13cと鏡筒12のレンズ支持面部12bとの間に介挿されるシール部材は、Oリングに限定されず、外端部13cとレンズ支持面部12bとの間をシールできればどのような形態であっても構わない。
【0039】
また、保持部としてのキャップ23には、物体側レンズ13の外周部に開口する複数の通気部30が周方向に所定間隔で設けられ、これら通気部30は鏡筒12の外部に連通している。
すなわち、キャップ23のレンズ押え部23bの内周面には、通気部30が物体側レンズ13の平坦部13dに沿って設けられるとともに周方向に沿って所定間隔で複数設けられている。通気部30はレンズ押え部23bの内周面に、周方向と交差(例えば直交)する方向に延びるようにして形成された溝であり、当該通気部(溝)30の底面と平坦部13dとの間には所定の隙間(溝30の深さに相当する隙間)が設けられている。
通気部30の先端部(
図2において上端部)は物体側レンズ13の外周部に開口しており、この開口から水滴が通気部30に流入可能となっている。レンズ押え部23bに複数の通気部30が周方向に沿って所定間隔で設けられているため、物体側レンズ13の外周部はレンズ押え部23bによって周方向に断続的に押えられることになる。
【0040】
キャップ23の内面には、通気部30を鏡筒12の外部に連通させる連通部35が周方向に所定間隔で複数設けられ、これら複数の連通部35はそれぞれ複数の通気部30に連通している。つまり、複数の連通部35は複数の通気部30と周方向に等しい間隔でかつ同数設けられている。
連通部35は、キャップ23の螺着部23aの内面に形成された雌ねじ部の一部を光軸方向に沿って凹溝状に切り欠いて形成されたものであり、周方向に所定間隔で複数形成されている。このような連通部35は、キャップ23の下端部まで延在しており、通気部30に流入した水滴は連通部35を通ってキャップ23の下端部から外部に排出するようになっている。この水滴の流れを
図2において、二点鎖線Wで示す。このような構成であれば、通気部30と連通部35の位置関係に配慮することなく、効果的な通気が期待できる。
【0041】
また、本実施形態では、連通部35をキャップ23の内面に設けたが、連通部35を鏡筒12の物体側端部の外面に設けてもよい。この場合、鏡筒12の物体側端部の外面に設けられた雄ねじ部の一部を光軸方向に沿って凹溝状に切り欠いて形成すればよい。
この場合、通気部30と連通部35の円周方向における位置は必ずしも一致している必要はないが、ねじ加工開始位置と通気部30および連通部35の位置関係を制御して、通気部30と連通部35の位置を合わせる方が望ましい。通気部30と連通部35の位置が一致することで、通気がより効率的に行われる。
また、連通部35を鏡筒12の物体側端部の外面およびキャップ23の内面の双方に設けてもよい。
【0042】
図3Aは、以上のような構成を成すレンズユニット11を有する本実施形態のカメラモジュール300の一例を示す概略断面図である。
図3Aに示すように、このカメラモジュール300は、フィルタ20が装着された
図1の第1の実施形態に係るレンズユニット11を含んで構成されるが、後述する
図5および
図6に示す第2の実施形態に係るレンズユニット11Aを含んで構成されてもよい。
【0043】
カメラモジュール300は、外装部品である上ケース(カメラケース)301と、レンズユニット11を保持するマウント(台座)302とを備えている。また、カメラモジュール300は、シール部材303およびパッケージセンサ(撮像素子)304を備えている。
上ケース301は、レンズユニット11の物体側の端部を露出させて他の部分を覆う部材である。
レンズユニット11はマウント302に接着剤adにより接着固定されている。マウント302の内部にはパッケージセンサ304が配置されている。接着剤adはUV硬化性接着剤や熱硬化性接着剤、あるいはUVと熱が併用されるタイプの接着剤が用いられる。パッケージセンサ304とレンズユニット11のアライメント調整を行った後、UV硬化または熱硬化により、それらが固定される。アライメント調整を行うことで、より解像度の高い像が得られやすく、また接着によりレンズユニット11とパッケージセンサ304内部は密閉されるため、後述するシール部材303が不要になる利点がある。
【0044】
パッケージセンサ304は、マウント302の内部に配置されており、かつ、レンズユニット11により形成される物体の像を受光する位置に配置されている。また、パッケージセンサ304は、CCDやCMOS等を備えており、レンズユニット11を通じて集光されて到達する光を電気信号に変換する。変換された電気信号は、カメラにより撮影された画像データの構成要素であるアナログデータやデジタルデータに変換される。
【0045】
図3Bは、レンズユニット11を有する本実施形態のカメラモジュール300の他の例を示す概略断面図である。本例では、上ケース301が鏡筒12の外周面12aに鍔状に設けられるフランジ部25に係合されている。なお、
図2に示すレンズユニット11は、フランジ部25を有していないが、レンズユニット11を備えたカメラモジュール300を構成する場合、フランジ部25を鏡筒12と一体的に形成するのが好ましい。
また、マウント302は、上ケース301の内部に配置されており、レンズユニット11の雄ねじ11aと螺合する雌ねじ302aを有する。シール部材303は、上ケース301の内面とレンズユニット11の鏡筒12の外周面12aとの間に介挿された部材であり、上ケース301の内部の気密性を保持、雨水等がカメラモジュール300の内部に侵入することを防止するための部材である。
【0046】
このような構成のカメラモジュール300は、
図4に示すように、光軸Oを水平面に対して若干に傾けて物体側レンズ13が下に傾くように自動車に取り付けられる。このため、レンズユニット11の物体側レンズ13の凸状面(表面)13aに付着した水滴Wdは下方に向けて流れて物体側レンズ13の外周部に集まる。
しかし、本実施形態では、物体側レンズ13を鏡筒12に保持固定する保持部としてのキャップ23に、物体側レンズ13の外周部に開口する通気部30が設けられ、この通気部30が連通部35を通して鏡筒12の外部に連通しているので、物体側レンズ13に付着して外周部に流れた水滴Wdを通気部30および連通部35を通して鏡筒12の外部に確実に排出して除去できる。このため、物体側レンズ13の外周部に水滴が滞留するのを防止できる。
【0047】
また、本実施形態では、通気部30がキャップ23に物体側レンズ13の周方向に沿って複数設けられているため、上述したように、カメラモジュール300を水平面に対して若干傾けて物体側レンズ13が下に傾くように自動車に取り付けても、通気部30を物体側レンズ13の外周部の最下部に容易に配置できるので、自動車へのカメラモジュール300の取付けが容易となる。
このように、本実施形態では、通気部30をキャップ23に物体側レンズ13の周方向に沿って複数設けたが、カメラモジュール300を自動車に取り付ける際に、通気部30を物体側レンズ13の外周部の最下部に容易に配置できるのであれば、通気部30はキャップ23に少なくも1つ設ければよい。
【0048】
(第2の実施形態)
図5および
図6は、本発明の第2の実施形態に係るレンズユニット11Aを示すもので、
図5は平面図、
図6は
図5におけるA-A線断面図である。
第2の実施形態のレンズユニット11Aが第1の実施形態のレンズユニット11と異なる点は、鏡筒12の物体側端部に設けられて、物体側レンズ13を鏡筒12に保持固定する保持部の構成であるので、以下では保持部について説明し、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付してその説明を省略する場合もある。
【0049】
鏡筒12の物体側端部(
図6において上端部)には保持部としてのカシメ部40が設けられている。カシメ部40は鏡筒12の物体側端部を径方向内側にカシメることによって形成されたものであり、このカシメ部40によって、レンズ群の最も物体側に位置する物体側レンズ13が鏡筒12の物体側端部に光軸方向および径方向の両方向で固定されている。すなわち、物体側レンズ13の外周部には平面状に斜めにカットされた平坦部13dが設けられており、当該平坦部13dに、カシメ部40が圧接されることによって、物体側レンズ13は鏡筒12の物体側端部に光軸方向および径方向の両方向で固定されている。
【0050】
また、保持部としてのカシメ部40には、物体側レンズ13の外周部に開口する複数の通気部30Aが周方向に所定間隔で設けられ、これら通気部30Aは鏡筒12の外部に連通している。
すなわち、カシメ部40の内周面には、通気部30Aが物体側レンズ13の平坦部13dに沿って設けられるとともに周方向に沿って所定間隔で複数設けられている。通気部30Aはカシメ部40の内周面に、周方向と交差(例えば直交)する方向に延びるようにして形成された溝であり、当該通気部(溝)30Aの底面と平坦部13dとの間には所定の隙間(溝30Aの深さに相当する隙間)が設けられている。
また、鏡筒12の物体側端部の内周部と物体側レンズ13の外周部との間には、周方向に沿って延在し、かつ通気部30Aと連通する周溝31が設けられている。この周溝31は鏡筒12の物体側端部の内周面をカシメ部40の基端部(下端部)を含んで凹溝状に周方向に沿って切り欠くことによって形成されたもので、周方向に所定間隔で複数設けられた前記通気部30Aと連通している。
また、カシメ部40に複数の通気部30Aが周方向に沿って所定間隔で設けられているため、物体側レンズ13の外周部はカシメ部40によって周方向に断続的に押えられることになる。
【0051】
また、カシメ部40の基端部(下端部)には、周溝31と鏡筒12の外部とを連通させる連通部45が設けられている。この連通部45はカシメ部40の基端部に光軸Oと直交して形成された貫通孔45であり、当該貫通孔45は周方向に沿って所定間隔で複数設けられ、これら複数の貫通孔(連通部)45は周溝31に連通している。したがって、カシメ部40に設けられた通気部30Aは周溝31および貫通孔45を介して鏡筒12の外部と連通している。
【0052】
貫通孔45は鏡筒12を、金型を用いて樹脂射出成形する際にスライドコアを用いて形成してもよいし、鏡筒12を樹脂射出成形で形成した後、後加工でドリル等の穴明け工具によって形成してもよい。また、貫通孔45を後加工によって形成する場合、カシメ部40をカシメる前に形成してもよいし、カシメた後に形成してもよい。
貫通孔45を後加工でカシメ部40に形成することによって、連通部45の形成が容易となる。
【0053】
以上のような構成を成すレンズユニット11Aは、第1の実施形態と同様にして、上ケース301およびマウント302に同様にして組み込まれることによって、カメラモジュールを構成するが、当該カメラモジュールは第1の実施形態のカメラモジュール300と同様であるので、その説明は省略する。
【0054】
このようなカメラモジュールは、図示は省略するが、光軸Oを水平面に対して若干に傾けて物体側レンズ13が下に傾くように自動車に取り付けられる。このため、レンズユニット11の物体側レンズ13の凸状面(表面)13aに付着した水滴Wdは下方に向けて流れて物体側レンズ13の外周部に集まる。
しかし、本実施形態では、物体側レンズ13を鏡筒12に保持固定する保持部としてのカシメ部40に、物体側レンズ13の外周部に開口する通気部30Aが設けられ、この通気部30Aが周溝31および貫通孔(連通部)45を通して鏡筒12の外部に連通しているので、物体側レンズ13に付着して外周部に流れた水滴を通気部30A、周溝31および貫通孔(連通部)45を通して鏡筒12の外部に確実に排出して除去できる。このため、物体側レンズ13の外周部に水滴が滞留するのを防止できる。
【0055】
また、本実施形態では、通気部30Aがカシメ部40に物体側レンズ13の周方向に沿って複数設けられているため、上述したように、カメラモジュールを水平面に対して若干傾けて物体側レンズ13が下に傾くように自動車に取り付けても、通気部30Aを物体側レンズ13の外周部の最下部に容易に配置できるので、自動車へのカメラモジュールの取付けが容易となる。
このように、本実施形態では、通気部30Aをカシメ部40に物体側レンズ13の周方向に沿って複数設けたが、カメラモジュールを自動車に取り付ける際に、通気部30Aを物体側レンズ13の外周部の最下部に容易に配置できるのであれば、通気部30Aはカシメ部40に少なくも1つ設ければよい。
【0056】
なお、本実施形態では、鏡筒12の物体側端部の内周面に周溝31を形成したが、この周溝31を形成しなくてもよい。この場合、通気部30Aを貫通孔(連通部)45の近傍まで深く形成し、通気部30Aを直接貫通孔(連通部)45に連通させて、外部に連通させてもよい。
【0057】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係るレンズユニット11Bを示す断面図である。
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、キャップ23に設けられた通気部30を鏡筒12の外部に連通させる連通部35に吸引手段50を設けた点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施形態の
図3Bに示すレンズユニット11と同一構成には同一符号を付してその説明を省略する場合もある。なお、本実施形態では、第1の実施形態の
図3Aに示すレンズユニット11を使用してもよい。
【0058】
本実施形態のレンズユニット11Bでは、キャップ23が円筒状の螺着部23aと、この螺着部23aの上端に物体側レンズ13の中央部側に向けて屈曲するように一体形成されたレンズ押え部23bと、螺着部23aの下端から下方に光軸Oと平行に延出する円筒状の延出部23cとを有している。
延出部23cの下端部は鏡筒12のフランジ部12fの上面近傍まで延出しており、当該延出部23cとフランジ部12fの上面との間にシール部材27が設けられ、当該シール部材27はフランジ部12fと延出部23cの下端部とに密着している。これによって、延出部23cの下端とフランジ部12fとの間の隙間からの水や粉塵等の異物の侵入を防止している。
【0059】
また、延出部23cの内周面に対向する鏡筒12の頭部の外周面には、周溝12mが周方向に沿って形成され、この周溝12mに対向する延出部23cには複数の貫通孔23dが周方向に所定間隔でかつ連通部35と連通して設けられている。つまり、貫通孔23dは連通部35と周方向に等しい間隔でかつ同数設けられ、当該連通部35に連通している。
複数の貫通孔23dのうち少なくとも1つの貫通孔23dには、吸引手段50が接続されている。吸引手段50は、吸引管51と吸引部52を備えている。吸引管51の先端部は貫通孔23dにねじ込みや接着等によって挿入固定されている。したがって、吸引手段50は、貫通孔23d、周溝12mを介して連通部35に接続され、当該連通部35と連通している。
【0060】
本実施形態では、吸引手段50は1本の吸引管51を備えており、当該吸引管51の先端部が1つの貫通孔23dに挿入固定されている。残りの複数の貫通孔23dには当該貫通孔23dを閉塞する閉塞プラグ28が挿入され、これによって、残りの貫通孔23dは閉塞されている。
なお、吸引手段50は、吸引管51を2本以上備えていてもよく、この場合、2本以上の吸引管51をそれぞれ貫通孔23dに接続し、吸引管51が接続されていない貫通孔23dに閉塞プラグ28を挿入する。
【0061】
このような構成のレンズユニット11Bは、第1の実施形態のレンズユニット11と同様に、
図8に示すように、外装部品である上ケース(カメラケース)301と、レンズユニット11Bを保持するマウント(台座)302とを備えるとともに、シール部材303およびパッケージセンサ(撮像素子)304を備えることによってカメラモジュール300となる。
【0062】
このようなカメラモジュール300および吸引手段50は、
図9に示すように、自動車Mに設けられる。吸引手段50の吸引管51の基端部はバキュームポンプやアスピレータ等の吸引部52に接続されている。吸引部52がアスピレータの場合、例えば、自動車Mのボンネット裏のエンジンルームにアスピレータ52を取り付け、このアスピレータ52に排気ガスや自動車が走行している際に自動車が受ける風(空気)を流通させることによって、ベンチュリ効果によって吸引するようにすればよい。また、吸引部52がバキュームポンプである場合も、自動車Mのボンネット裏のエンジンルームにバキュームポンプ52を取り付ければよい。
また、カメラモジュール300は、自動車Mの適宜の部位に取り付ければよいが、例えば
図9に示すように、自動車Mのバンパーやサイドミラーに取り付ければよい。
そして、カメラモジュール300は、吸引管51によって吸引部52に接続されている。吸引部52には複数の吸引管51が接続され、各吸引管51が各カメラモジュール300に接続されている。
【0063】
本実施形態のレンズユニット11Bを備えたカメラモジュール300によれば、連通部35に接続された吸引手段50によって、通気部30の開口から物体側レンズ13に付着している付着物(水滴や粉塵)を吸引するので、当該付着物を確実に通気部30および連通部35を介して外部に排出して除去できる。
【0064】
また、本実施形態では、吸引手段50の1本の吸引管51の先端部が1つの貫通孔23dに挿入固定され、残りの複数の貫通孔23dには閉塞プラグ28によって閉塞されているので、残りの貫通孔23dから外部の空気が吸引されることがない。このため吸引手段50による吸引作用を効果的に発揮させることができる。
また、吸引手段50が自動車Mに設けられているので、カメラモジュール300に吸引手段50を設ける必要がなく、カメラモジュール300自体の大型化を防止できる。
【0065】
また、本実施形態では、複数の貫通孔23dのうち少なくとも1つの貫通孔23dに、吸引手段50を接続したが、
図7に示すように、これに代えて噴出手段60を接続してもよい。
噴出手段60は、噴出管61を備え、この噴出管61の先端部が貫通孔23dにねじ込みや接着等によって挿入固定されている。本実施形態では、噴出手段60は1本の噴出管61を備えており、当該噴出管61の先端部が1つの貫通孔23dに挿入固定されている。残りの複数の貫通孔23dには当該貫通孔23dを閉塞する閉塞プラグ28が挿入され、これによって、貫通孔23dは閉塞されている。
なお、噴出手段60は、噴出管61を2本以上備えていてもよく、この場合、2本以上の噴出管61をそれぞれ貫通孔23dに接続し、噴出管61が接続されていない貫通孔23dに閉塞プラグ28を挿入する。
【0066】
また、噴出管61の基端部は噴出ポンプ等の噴出部62に接続されている。
噴出ポンプ62は、例えば、
図9に示すように、自動車Mのボンネット裏のエンジンルームに取り付け、この噴出ポンプ62から圧縮空気を噴出管61に供給する。この噴出管61を流れる圧縮空気は前記周溝12m、連通部35、通気部30を流れ、当該通気部30の先端部の開口から物体側レンズ13の外周部に噴出される。したがって、物体側レンズ13の表面(凸状面)13aに付着している水滴や粉塵等の付着物は吹き飛ばされるので、当該付着物を外部に排出して除去できる。
【0067】
また、本実施形態では、噴出手段60の1本の噴出管61の先端部が1つの貫通孔23dに挿入固定され、残りの複数の貫通孔23dには閉塞プラグ28によって閉塞されているので、残りの貫通孔23dから外部に空気が噴出することがない。このため噴出手段60による噴出作用を効果的に発揮させることができる。
また、噴出手段60が自動車Mに設けられているので、カメラモジュール300に噴出手段60を設ける必要がなく、カメラモジュール300自体の大型化を防止できる。
【0068】
なお、本実施の形態では、噴出手段60は噴出ポンプ62を備え、この噴出ポンプ62から圧縮空気を噴出するようにしたが、圧縮空気に代えて水や温水等の液体を噴出するようにしてもよい。この場合、噴出ポンプ62から前記液体を噴出するようにしてもよいし、噴出管61にウインドウォッシャー液を供給して、当該ウインドウォッシャー液を周溝12m、連通部35、通気部30を通して、当該通気部30の先端部の開口から物体側レンズ13の外周部に噴出させるようにしてもよい。
さらに、噴出管61にエアコンに温風を供給し、当該温風を同様にして通気部30の先端部の開口から物体側レンズ13の外周部に噴出させるようにしてもよい。また、噴出管61の基端部を直接または間接的に自動車Mの前側に向けて開口させ、自動車Mの車速に応じて空気を同様にして通気部30の先端部の開口から物体側レンズ13の外周部に噴出させるようにしてもよい。
【0069】
なお、本実施の形態では、キャップ23に設けられた通気部30を鏡筒12の外部に連通させる連通部35に吸引手段50または噴出手段60を別々に接続したがが、
図10に示すように、キャップ23の延出部23cに設けられた貫通孔23dに、共有管55の先端部を挿入固定するとともに、共有管55の基端部を吸引管51と噴出管61とに分岐し、吸引管51を吸引部52に接続し、噴出管61を噴出部62に接続してもよい。この場合、吸引管51と噴出管61との分岐部に電磁バルブ等の切替えバルブ65を設け、この切替えバルブ65によって吸引手段50による吸引と噴出手段60による噴出とを切り替えるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、第1の実施形態のレンズユニット11に吸引手段50および/または噴出手段60を設けることで、レンズユニット11Bとしたが、これに限ることなく、第2の実施形態のレンズユニット11Aに吸引手段50および/または噴出手段60を設けることで、レンズユニット11Bとしてもよい。
この場合、吸引手段50および/または噴出手段60の吸引管51、噴出管61または共有管55をカシメ部40に設けられた連通部(連通孔)45に接続すればよい。
【符号の説明】
【0071】
11,11A,11B レンズユニット
12 鏡筒
13 物体側レンズ
13~19レンズ
30,30A 通気部
23 キャップ(保持部)
31 周溝
35 連通部(貫通孔)
40 カシメ部(保持部)
45 連通部(貫通孔)
50 吸引手段
60 噴出手段
300 カメラモジュール
M 自動車
O 光軸