(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B60K20/02 E
(21)【出願番号】P 2020091675
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 真男
(72)【発明者】
【氏名】中村 修治
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一博
(72)【発明者】
【氏名】趙 明慧
(72)【発明者】
【氏名】近藤 孝亨
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137388(JP,A)
【文献】特表2021-513480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に対し移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
車体側及び前記シフト体側の一方に設けられ、前記シフト体の移動方向に複数配置される係合部と、
車体側及び前記シフト体側の他方に設けられ、前記係合部との係合位置に配置される規制部材と、
車体側及び前記シフト体側の他方に設けられ
、かつ、前記係合部と係合されて変位されると共に、前記規制部材に対し変位可能にされ、前記規制部材に対し変位されることで前記規制部材が前記係合部と係合されて前記シフト体の移動が規制されると共に、前記規制部材と共に変位されることで前記規制部材が前記係合部と係合されずに前記シフト体の移動が許容される変位部材と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
第1の前記変位部材が第1の前記規制部材に対し変位されることで第1の前記規制部材が第1の前記係合部と係合されて前記シフト体の一方向への移動が規制されると共に、第1の前記変位部材が第1の前記規制部材と共に変位されることで第1の前記規制部材が第1の前記係合部と係合されずに前記シフト体の一方向への移動が許容され、かつ、第2の前記変位部材が第2の前記規制部材に対し変位されることで第2の前記規制部材が第2の前記係合部と係合されて前記シフト体の他方向への移動が規制されると共に、第2の前記変位部材が第2の前記規制部材と共に変位されることで第2の前記規制部材が第2の前記係合部と係合されずに前記シフト体の他方向への移動が許容される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記規制部材の変位を制限して前記変位部材が前記規制部材に対し変位されると共に、前記規制部材の変位を許容して前記変位部材が前記規制部材と共に変位される制限機構を備える請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記制限機構が作動されて前記規制部材の変位を制限すると共に、前記制限機構が作動されずに前記規制部材の変位を許容する請求項3記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されてシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシフタアッセンブリでは、アクチュエーションエレメントの歯にロック部材が係合されて、アクチュエーションエレメントの回転が規制される。
【0003】
ここで、このシフタアッセンブリでは、ロック部材が変位されてアクチュエーションエレメントの歯に係合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、シフト体の複数の移動位置においてシフト体の移動を早期に規制できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、車体側に対し移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、車体側及び前記シフト体側の一方に設けられ、前記シフト体の移動方向に複数配置される係合部と、車体側及び前記シフト体側の他方に設けられ、前記係合部との係合位置に配置される規制部材と、車体側及び前記シフト体側の他方に設けられると共に、前記規制部材に対し変位可能にされ、前記規制部材に対し変位されることで前記規制部材が前記係合部と係合されて前記シフト体の移動が規制されると共に、前記規制部材と共に変位されることで前記規制部材が前記係合部と係合されずに前記シフト体の移動が許容される変位部材と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記変位部材が前記係合部と係合されて変位される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、第1の前記変位部材が第1の前記規制部材に対し変位されることで第1の前記規制部材が第1の前記係合部と係合されて前記シフト体の一方向への移動が規制されると共に、第1の前記変位部材が第1の前記規制部材と共に変位されることで第1の前記規制部材が第1の前記係合部と係合されずに前記シフト体の一方向への移動が許容され、かつ、第2の前記変位部材が第2の前記規制部材に対し変位されることで第2の前記規制部材が第2の前記係合部と係合されて前記シフト体の他方向への移動が規制されると共に、第2の前記変位部材が第2の前記規制部材と共に変位されることで第2の前記規制部材が第2の前記係合部と係合されずに前記シフト体の他方向への移動が許容される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記規制部材の変位を制限して前記変位部材が前記規制部材に対し変位されると共に、前記規制部材の変位を許容して前記変位部材が前記規制部材と共に変位される制限機構を備える。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第4態様のシフト装置において、前記制限機構が作動されて前記規制部材の変位を制限すると共に、前記制限機構が作動されずに前記規制部材の変位を許容する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が車体側に対し移動されて、シフト位置が変更される。また、車体側及びシフト体側の一方に係合部が設けられると共に、車体側及びシフト体側の他方に規制部材が設けられており、規制部材が係合部と係合されてシフト体の移動が規制されると共に、規制部材が係合部と係合されずにシフト体の移動が許容される。
【0012】
ここで、係合部がシフト体の移動方向に複数配置される。このため、シフト体の複数の移動位置においてシフト体の移動を規制できる。
【0013】
さらに、規制部材が係合部との係合位置に配置されると共に、車体側及びシフト体側の他方に変位部材が設けられており、変位部材が規制部材に対し変位されて規制部材が係合部と係合されると共に、変位部材が規制部材と共に変位されて規制部材が係合部と係合されない。このため、規制部材を係合部との係合位置に変位させなくても、シフト体の移動を規制でき、シフト体の移動を早期に規制できる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、変位部材が係合部と係合されて変位される。このため、変位部材を係合部によって変位させることができる。
【0015】
本発明の第3態様のシフト装置では、第1の変位部材が第1の規制部材に対し変位されることで第1の規制部材が第1の係合部と係合されてシフト体の一方向への移動が規制されると共に、第1の変位部材が第1の規制部材と共に変位されることで第1の規制部材が第1の前記係合部と係合されずにシフト体の一方向への移動が許容される。また、第2の変位部材が第2の規制部材に対し変位されることで第2の規制部材が第2の係合部と係合されてシフト体の他方向への移動が規制されると共に、第2の変位部材が第2の規制部材と共に変位されることで第2の規制部材が第2の係合部と係合されずにシフト体の他方向への移動が許容される。このため、シフト体の一方向への移動及びシフト体の他方向への移動を規制できる。
【0016】
本発明の第4態様のシフト装置では、制限機構が規制部材の変位を制限して変位部材が規制部材に対し変位されると共に、制限機構が規制部材の変位を許容して変位部材が規制部材と共に変位される。このため、簡単な構成で、変位部材を規制部材に対し変位させることができると共に、変位部材を規制部材と共に変位させることができる。
【0017】
本発明の第5態様のシフト装置では、制限機構が作動されて規制部材の変位を制限すると共に、制限機構が作動されずに規制部材の変位を許容する。このため、制限機構が作動される際に、制限機構が規制部材の変位を制限すればよく、制限機構の出力を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るシフト装置を示す左斜め後方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシフト装置の第1機構を示す左斜め後方から見た分解斜視図である。
【
図3】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の第1機構等を示す上方から見た上面図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の第1機構の主要部を示す上方から見た上面図である。
【
図4】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置においてノブの一方向への回転が許容される際を示す上方から見た上面図であり、(B)は、(A)の領域4Bの拡大図である。
【
図5】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置においてノブの一方向への回転が規制される際を示す上方から見た上面図であり、(B)は、(A)の領域5Bの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が左斜め後方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示す。
【0020】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のコンソール(図示省略)に設置されて、車両の運転席(図示省略)の車両前側かつ車幅方向内側に配置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前方、右方及び上方に向けられている。
【0021】
図1に示す如く、シフト装置10には、シフト体(操作体)としての略有底円筒状のノブ12が設けられており、ノブ12は、コンソール内に支持されると共に、中心軸線周りに回転(移動)可能にされている。ノブ12は、コンソールを貫通されて、上側部分が車室内に突出されており、ノブ12は、車両の乗員(特に運転手)により一方向A及び他方向B(
図1等参照)に回転操作可能にされている。ノブ12は、他方向B側から一方向A側に回転されて、例えば、シフト位置としての「P」位置(パーキング位置)、「R」位置(リバース位置)、「N」位置(ニュートラル位置)及び「D」位置(ドライブ位置)にこの順番で配置可能にされており、ノブ12の各シフト位置の配置間隔角度は、同一にされている。
【0022】
ノブ12の下端部には、係合部としての三角柱状の第1歯14(
図3(A)参照)が複数一体に設けられており、第1歯14は、ノブ12の周方向に等間隔に配置されると共に、配置間隔角度がノブ12の各シフト位置の配置間隔角度と同一にされている。第1歯14の一方向A側の面は、被規制面14Aにされると共に、第1歯14の他方向B側の面は、被許容面14Bにされており、被規制面14Aのノブ12径方向に対する傾斜角度は、被許容面14Bのノブ12径方向に対する傾斜角度に比し小さくされている。
【0023】
ノブ12には、第1歯14の上側において、係合部としての三角柱状の第2歯16が複数一体に設けられており、第2歯16は、ノブ12の周方向に等間隔に配置されると共に、配置間隔角度がノブ12の各シフト位置の配置間隔角度と同一にされている。第2歯16の他方向B側の面は、被規制面16Aにされると共に、第2歯16の一方向A側の面は、被許容面16Bにされており、被規制面16Aのノブ12径方向に対する傾斜角度は、被許容面16Bのノブ12径方向に対する傾斜角度に比し小さくされている。
【0024】
ノブ12の下側部分の右側かつ後側には、規制機構としての第1機構18(
図2参照)が設けられている。第1機構18には、車体側及び支持体としての略直方体形箱状のケース20が設けられており、ケース20は、コンソール内に設置されている。ケース20は、上側の第1ケース20Aと下側の第2ケース20Bとが組合わされて構成されており、ケース20内の後部は、左側に開放されている。
【0025】
ケース20内の後部には、規制部材としての規制リンク22(
図3の(A)及び(B)参照)が支持されており、規制リンク22は、支持軸24を中心として回動(変位)可能にされている。規制リンク22は、ケース20から延出されて、ケース20の左側において前後方向に延伸されており、規制リンク22は、規制方向C(ノブ12側、左側)及び退避方向D(ノブ12とは反対側、右側)に回動可能にされている。規制リンク22の前側部分は、略矩形柱状にされており、規制リンク22の前端面は、規制面22Aにされると共に、規制リンク22の左端面は、許容面22Bにされている。
【0026】
ケース20内の後部には、規制リンク22の下側において、変位部材としての変位リンク26(
図3の(A)及び(B)参照)が支持されており、変位リンク26は、支持軸24を中心として回動(変位)可能にされている。変位リンク26は、ケース20から延出されて、ケース20の左側において前後方向に延伸されており、変位リンク26は、規制方向C及び退避方向Dに回動可能にされている。変位リンク26の前部には、被覆部としての略直方体形箱状の収容箱26Aが形成されており、収容箱26Aは、上側に突出されると共に、内部が後側及び左側(ノブ12側)に開放されている。収容箱26Aの上側かつ左側の角面は、変位面26Bにされており、変位リンク26の左端面は、当接面26Cにされている。
【0027】
規制リンク22の前部は、変位リンク26の収容箱26Aに挿入されており、規制リンク22の規制面22Aのノブ12径方向に対する傾斜角度は、変位リンク26の変位面26Bのノブ12径方向に対する傾斜角度に比し小さくされている。また、規制リンク22の許容面22Bは、変位リンク26の当接面26Cと略面一にされている。
【0028】
規制リンク22及び変位リンク26には、付勢部材としてのトーションスプリング28(
図3の(A)及び(B)参照)が装着されており、トーションスプリング28の上側端(一側端)近傍及び下側端(他側端)近傍には、螺旋状の螺旋部28Aが形成されている。上側の螺旋部28A内には、規制リンク22の上側において、支持軸24が挿通されており、下側の螺旋部28A内には、変位リンク26の下側において、支持軸24が挿通されている。トーションスプリング28には、螺旋部28A間において、U字状の連結部28Bが形成されており、連結部28Bは、規制リンク22及び変位リンク26の右側に掛回されている。トーションスプリング28の上側端は、規制リンク22に係止されており、このため、規制リンク22が退避方向Dに付勢されて、規制リンク22の右面が変位リンク26の収容箱26A内の右面に当接されている。トーションスプリング28の連結部28Bの中央部分は、変位リンク26の右面に当接されており、このため、変位リンク26の退避方向Dへの回動が制限されている。トーションスプリング28の下側端は、ケース20(第2ケース20B)に係止されており、このため、トーションスプリング28、規制リンク22及び変位リンク26の退避方向Dへの回動が制限されている。
【0029】
ケース20内には、制限機構としてのソレノイド30(
図3(A)参照)が固定されている。ソレノイド30のプランジャ30Aは、後方に延出されており、プランジャ30Aの後端部には、規制リンク22の後端部が機械的に接続されている。プランジャ30Aは、前方への移動を規制されており、このため、規制リンク22の規制方向Cへの回動が規制されている。また、規制リンク22が退避方向Dに回動されて、プランジャ30Aが後方に移動される。さらに、ソレノイド30が作動された際には、プランジャ30Aの後方への移動が制限されて、規制リンク22の退避方向Dへの回動が制限される。
【0030】
規制リンク22の規制面22Aと許容面22Bとの間の角部及び変位リンク26の変位面26Bと当接面26Cとの間の角部は、ノブ12の第1歯14の回転軌跡内に侵入して、第1歯14との当接位置に配置されている。
【0031】
ノブ12の下側部分の右側かつ後側には、規制機構としての第2機構32が設けられており、第2機構32は、第1機構18が上下方向及び左右方向において反転された構成にされている。第2機構32では、規制リンク22の規制面22Aと許容面22Bとの間の角部及び変位リンク26の変位面26Bと当接面26Cとの間の角部が、ノブ12の第2歯16の回転軌跡内に侵入して、第2歯16との当接位置に配置されている。
【0032】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0033】
以上の構成のシフト装置10では、ノブ12が一方向A及び他方向Bに回転されて、ノブ12のシフト位置が変更される。
【0034】
ノブ12が一方向Aに回転される際には、第1機構18において、ノブ12の第1歯14の被規制面14Aが変位リンク26の変位面26Bに当接(係合)されることで、変位リンク26が退避方向Dに回動されて、規制リンク22がトーションスプリング28の付勢力によって変位リンク26と共に退避方向Dに回動される(
図4の(A)及び(B)参照)。さらに、第2機構32において、ノブ12の第2歯16の被許容面16Bが変位リンク26の当接面26C及び規制リンク22の許容面22Bに当接されることで、変位リンク26及び規制リンク22が退避方向Dに回動される。このため、ノブ12の一方向Aへの回転が許容される。
【0035】
ノブ12が他方向Bに回転される際には、第1機構18において、ノブ12の第1歯14の被許容面14Bが変位リンク26の当接面26C及び規制リンク22の許容面22Bに当接されることで、変位リンク26及び規制リンク22が退避方向Dに回動される。さらに、第2機構32において、ノブ12の第2歯16の被規制面16Aが変位リンク26の変位面26Bに当接(係合)されることで、変位リンク26が退避方向Dに回動されて、規制リンク22がトーションスプリング28の付勢力によって変位リンク26と共に退避方向Dに回動される。このため、ノブ12の他方向Bへの回転が許容される。
【0036】
ノブ12が一方向Aに回転される際に、第1機構18において、ソレノイド30が作動された場合には、プランジャ30Aの後方への移動が制限されて、規制リンク22の退避方向Dへの回動が制限される。このため、ノブ12の第1歯14の被規制面14Aが変位リンク26の変位面26Bに当接されることで、変位リンク26がトーションスプリング28の付勢力に抗して規制リンク22と別に退避方向Dに回動されて、規制リンク22が退避方向Dに回動されない(
図5の(A)及び(B)参照)。これにより、第1歯14の被規制面14Aが規制リンク22の規制面22Aに係止(係合)されて、ノブ12の一方向Aへの回転が規制(ロック)される。
【0037】
ノブ12が他方向Bに回転される際に、第2機構32において、ソレノイド30が作動された場合には、プランジャ30Aの後方への移動が制限されて、規制リンク22の退避方向Dへの回動が制限される。このため、ノブ12の第2歯16の被規制面16Aが変位リンク26の変位面26Bに当接されることで、変位リンク26がトーションスプリング28の付勢力に抗して規制リンク22と別に退避方向Dに回動されて、規制リンク22が退避方向Dに回動されない。これにより、第2歯16の被規制面16Aが規制リンク22の規制面22Aに係止(係合)されて、ノブ12の他方向Bへの回転が規制(ロック)される。
【0038】
ここで、ノブ12の第1歯14及び第2歯16がそれぞれノブ12の回転方向に複数配置されている。このため、第1機構18及び第2機構32がそれぞれノブ12の複数の回転位置(シフト位置)においてノブ12の回転を規制できる。
【0039】
さらに、第1機構18及び第2機構32では、それぞれ、規制リンク22(規制面22A)がノブ12の第1歯14(被規制面14A)及び第2歯16(被規制面16A)の係止位置に配置されており、変位リンク26が規制リンク22と別に回動されて、規制リンク22(規制面22A)が第1歯14(被規制面14A)及び第2歯16(被規制面16A)を係止する。このため、規制リンク22(規制面22A)をそれぞれ第1歯14(被規制面14A)及び第2歯16(被規制面16A)の係止位置に変位させなくても、ノブ12の回転を規制でき、ノブ12の回転を早期に規制できる。これにより、ノブ12の回転速度が大きい場合でも、ノブ12の回転を目標回転位置(目標シフト位置)において適切に規制できる。
【0040】
また、第1機構18及び第2機構32では、それぞれ、ノブ12の第1歯14(被規制面14A)及び第2歯16(被規制面16A)が変位リンク26(変位面26B)に当接されて、変位リンク26が回動される。このため、変位リンク26をそれぞれ第1歯14及び第2歯16によって変位させることができ、構成を簡単にできる。
【0041】
さらに、第1機構18がノブ12の一方向Aへの回転を規制すると共に、第2機構32がノブ12の他方向Bへの回転を規制する。このため、ノブ12の一方向Aへの回転及びノブ12の他方向Bへの回転を規制できる。
【0042】
また、第1機構18及び第2機構32では、ソレノイド30が作動されない場合に、プランジャ30Aの後方への移動が許容されて、変位リンク26が規制リンク22と共に回動されると共に、ソレノイド30が作動された場合に、プランジャ30Aの後方への移動が制限されて、変位リンク26が規制リンク22と別に回動される。このため、簡単な構成で、変位リンク26を規制リンク22と共に変位させることができると共に、変位リンク26を規制リンク22と別に変位させることができる。
【0043】
さらに、ソレノイド30が作動された際に、ソレノイド30が、プランジャ30Aの移動を制限して、規制リンク22の回動を制限する。このため、ソレノイド30が作動された際に、ソレノイド30が規制リンク22の回動を制限すればよく、ソレノイド30が規制リンク22を回動させる場合とは異なり、ソレノイド30の出力を小さくできる。これにより、ソレノイド30の発熱、質量、体格及びコストを低減できる。
【0044】
なお、本実施形態では、ノブ12側に第1歯14及び第2歯16が設けられると共に、ケース20(車体側)に規制リンク22及び変位リンク26が設けられる。しかしながら、ノブ12側に規制リンク22及び変位リンク26が設けられると共に、車体側に第1歯14及び第2歯16が設けられてもよい。
【0045】
さらに、本実施形態では、ソレノイド30(制限機構)が作動されてノブ12の回転が規制されると共に、ソレノイド30が作動されずにノブ12の回転が許容される。しかしながら、制限機構が作動されてノブ12の回転が許容されると共に、制限機構が作動されずにノブ12の回転が規制されてもよい。この場合、制限機構が作動されて例えば磁力により規制リンク22と変位リンク26とを一体回動可能に吸着すると共に、制限機構が作動されずに変位リンク26を規制リンク22に対し相対回動可能にしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、ノブ12(シフト体)が回転される。しかしながら、シフト体が回動又はスライドされてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、シフト装置10をコンソールに設置した。しかしながら、シフト装置10をインストルメントパネルやコラムカバーに設置してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10・・・シフト装置、12・・・ノブ(シフト体)、14・・・第1歯(係合部)、16・・・第2歯(係合部)、20・・・ケース(車体側)、22・・・規制リンク(規制部材)、26・・・変位リンク(変位部材)、30・・・ソレノイド(制限機構)