(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】アミノ基含有共重合体
(51)【国際特許分類】
C08F 8/30 20060101AFI20240611BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20240611BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240611BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C08F8/30
C08F220/10
C08F290/06
C11D3/37
(21)【出願番号】P 2020103045
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】金尾 竜佑
(72)【発明者】
【氏名】張替 尊子
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-034294(JP,A)
【文献】特開昭49-050084(JP,A)
【文献】特開2004-067934(JP,A)
【文献】特開2003-192722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 8/00 - 8/50
C08F 220/00 - 220/70
C08F 290/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基含有共重合体であって、
該アミノ基含有共重合体は、下記式(1-1);
【化1】
(式中、R
1
、R
2
及びR
3
は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R
4
及びR
5
は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基を表す。但し、R
4
及びR
5
がともに水素原子ではない場合、R
4
及びR
5
のうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基であって、1級アミノ基を有するものである。A
1
は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。x1は、0~4の数を表す。y1は、0又は1を表す。)で表される構造単位(a1)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)と
水酸基、オキシアルキレン基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する親水性基含有単量体(C)由来の構造単位(c)とを有し、
該構造単位(a1)、(b)及び(c)以外のその他の構造単位(e)を有していてもよく、
該構造単位(a1)、(b)、(c)及び(e)の含有割合が、全構造単位100質量%に対してそれぞれ1~50質量%、5~50質量%、15~85質量%及び0~10質量%であり、
該疎水性単量体(B)は、単独重合体の溶解性パラメータが13以下であ
り、下記式(4);
【化2】
(式中、R
9
、R
10
、R
11
は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R
12
は、炭素数1~30の炭化水素基を表す。)で表される化合物であり、
該親水性基含有単量体(C)は(ポリ)アルキレングリコール系単量体(C1)を含み、該アミノ基含有共重合体は、該(ポリ)アルキレングリコール系単量体(C1)由来の構造単位(c1)を有し、該構造単位(c1)の割合が全構造単位100質量%に対して15~85質量%であることを特徴とするアミノ基含有共重合体。
【請求項2】
アミノ基含有共重合体であって、
該アミノ基含有共重合体は、下記式(1-2);
【化3】
(式中、R
1
、R
2
及びR
3
は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R
4’
及びR
5’
は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基を表す。但し、R
4’
及びR
5’
のうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基である。A
1
は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。x1は、0~4の数を表す。y1は、0又は1を表す。)で表される構造単位(a2)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)と
水酸基、オキシアルキレン基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する親水性基含有単量体(C)由来の構造単位(c)とを有し、
該構造単位(a2)、(b)及び(c)以外のその他の構造単位(e)を有していてもよく、
該構造単位(a2)、(b)、(c)及び(e)の含有割合が、全構造単位100質量%に対してそれぞれ1~50質量%、5~50質量%、15~85質量%及び0~10質量%であり、
該疎水性単量体(B)は、単独重合体の溶解性パラメータが13以下であ
り、下記式(4);
【化4】
(式中、R
9
、R
10
、R
11
は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R
12
は、炭素数1~30の炭化水素基を表す。)で表される化合物であり、
該親水性基含有単量体(C)は(ポリ)アルキレングリコール系単量体(C1)を含み、該アミノ基含有共重合体は、該(ポリ)アルキレングリコール系単量体(C1)由来の構造単位(c1)を有し、該構造単位(c1)の割合が全構造単位100質量%に対して15~85質量%であることを特徴とするアミノ基含有共重合体。
【請求項3】
前記
構造単位(a2)は、
構造単位(a2)が有するアミノ基の水素原子の一部又は全部が、炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を有する基で置換された構造を有することを特徴とする請求項
2に記載のアミノ基含有共重合体。
【請求項4】
前記構造単位(a
1)は、(ポリ)アルキレンイミン構造を有するものであることを特徴とする請求項
1に記載のアミノ基含有共重合体。
【請求項5】
前記構造単位(a2)は、(ポリ)アルキレンイミン構造を有するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載のアミノ基含有共重合体。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載のアミノ基含有共重合体を含むことを特徴とする洗剤用添加剤。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれかに記載のアミノ基含有共重合体と該共重合体以外の洗剤用添加剤とを含むことを特徴とする洗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ基含有共重合体に関する。より詳しくは、液体洗剤や粉末洗剤等の洗剤用途に有用なアミノ基含有共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料類に用いられる洗剤には、洗剤の洗浄効果を向上させることを目的として、ゼオライト、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの洗剤ビルダー(洗剤助剤)を配合することが行われている。
上記の各種洗剤ビルダーに加えて、近年では、重合体が洗剤ビルダーとして洗剤組成物に配合されている。
このような重合体に関して、例えば、特許文献1~5には、第3級又は4級アミノ基を有する単量体由来の構造単位とポリアルキレングリコール含有単量体由来の構造単位とを有する共重合体が開示されている。
また、特許文献6、7には、特定の不飽和カルボン酸系単量体、及び/又は、特定の不飽和アルコール系単量体を必須に含む単量体成分を共重合して得られる共重合体の有するカルボキシル基の少なくとも一部にアルキレンイミンを開環付加させることによりアミノ基が導入されてなる共重合体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-038078号公報
【文献】特許第5224643号公報
【文献】特開2006-176641号公報
【文献】国際公開第2018/074334号
【文献】特開2003-40719号公報
【文献】特許3917857号公報
【文献】特許3961845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、衣類等に用いられる素材として、耐久性に優れ、乾燥が速く、皺になりにくい等の点から、ポリエステル等の化繊が増加している。ポリエステルには上記のようなメリットがある一方で、疎水性繊維であるため皮脂汚れとの吸着力が強く、綿等に比べて汚れが落ちにくいというデメリットがある。また、近年、共働き世帯が増えていることに伴い、洗濯物をまとめて洗うことが多くなっており、洗濯物が汚れたまま長時間放置されることも、汚れが落ちにくいことの一因である。このような状況の中で、従来の洗剤用途に用いられる種々の重合体は、汚れを落としやすくすることができるソイルリリース性において充分とはいえず、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、従来の重合体よりもソイルリリース性に優れる重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、洗剤用途に用いられる重合体について種々検討したところ、特定の構造のアミノ基を有する単量体由来の構造単位と特定の疎水性単量体由来の構造単位とを有する共重合体が従来の重合体よりも、ソイルリリース性に優れることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0007】
すなわち第1の本発明は、アミノ基を有する単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)とを有し、上記アミノ基を有する単量体(A)は、第1級アミノ基を有する単量体(A1)を含み、上記疎水性単量体(B)は、単独重合体の溶解性パラメータが13以下であるアミノ基含有共重合体である。
【0008】
第2の本発明は、アミノ基を有する単量体(A)由来の構造単位(a)と疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)とを有し、上記アミノ基を有する単量体(A)は、窒素原子を2以上有する単量体(A2)を含み、上記疎水性単量体(B)は、単独重合体の溶解性パラメータが13以下であるアミノ基含有共重合体である。
【0009】
上記窒素原子を2以上有する単量体(A2)は、第2級アミノ基及び/又は第3級アミノ基を有することが好ましい。
【0010】
上記窒素原子を2以上有する単量体(A2)は、アミノ基の水素原子の一部又は全部が、炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を有する基で置換された構造を有することが好ましい。
【0011】
上記共重合体は、更に、水酸基、オキシアルキレン基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する単量体(C)由来の構造単位(c)を有することが好ましい。
【0012】
前記構造単位(a)は、(ポリ)アルキレンイミン構造を有するものであることが好ましい。
【0013】
第1の本発明のアミノ基含有共重合体は、下記式(1-1);
【0014】
【0015】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基を表す。但し、R4及びR5がともに水素原子ではない場合、R4及びR5のうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基であって、1級アミノ基を有するものである。A1は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。x1は、0~4の数を表す。y1は、0又は1を表す。)で表される構造単位(a1)を有することが好ましい。
【0016】
第2の本発明のアミノ基含有共重合体は、下記式(1-2);
【化2】
【0017】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R4’及びR5’は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基を表す。但し、R4’及びR5’のうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基である。A1は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。x1は、0~4の数を表す。y1は、0又は1を表す。)で表される構造単位(a2)を有することが好ましい。
【0018】
上記構造単位(c)は、下記式(2);
【0019】
【0020】
(式中、R6、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子、若しくは、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基、又は、該親水性基を有していてもよい炭素数1~3のアルキル基を表す。Zは、水素原子、メチル基、又は、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する炭素数2~30の炭化水素基を表す。A2は、同一又は異なって、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有していてもよいアルキレン基を表す。nは、(AO)の平均付加モル数を表し、0~200の数である。x2、wは、同一又は異なって、0~4の数を表す。y2、vは、同一又は異なって、0又は1を表す。)で表されることが好ましい。
【0021】
上記アミノ基含有共重合体は、構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して1~50質量%であることが好ましい。
【0022】
上記アミノ基含有共重合体は、構造単位(b)の割合が、全構造単位100質量%に対して5~50質量%であることが好ましい。
【0023】
上記アミノ基含有共重合体は、構造単位(c)の割合が、全構造単位100質量%に対して0~95質量%であることが好ましい。
【0024】
本発明はまた、上記アミノ基含有共重合体を含む洗剤用添加剤でもある。
【0025】
本発明は更に、上記アミノ基含有共重合体と該共重合体以外の洗剤用添加剤とを含む洗剤組成物でもある。
【発明の効果】
【0026】
本発明のアミノ基含有共重合体は、上述の構成よりなり、ソイルリリース性に優れるため、ポリエステル等の繊維製品に対する洗剤等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明を詳述する。本明細書中において単に「本発明」という場合には第1及び第2の本発明に共通する事項を意味するものとする。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
【0028】
本発明のアミノ基含有共重合体は、アミノ基を有する単量体(A)由来の構造単位(a)と、単独重合体の溶解性パラメータが13以下である疎水性単量体(B)由来の構造単位(b)とを有する。
本発明のアミノ基含有共重合体を含む洗剤を用いてポリエステル等の衣類等を洗濯することで、構造単位(b)における疎水基がポリエステル等の疎水性繊維に対して吸着し、洗濯後においてもアミノ基含有共重合体が繊維に吸着した状態を維持することができる。このような衣類には、吸着したアミノ基含有共重合体の上から汚れが付着することになるため、汚れが繊維の奥に浸透することが充分に抑制され、界面活性剤の作用により、アミノ基含有共重合体とともに汚れが容易に除去され、ソイルリリース性に優れると考えられる。また、第1の本発明のアミノ基含有共重合体が第1級アミノ基を有し、第2の本発明のアミノ基含有共重合体が単量体(A)において2以上の窒素原子を有することにより、汚れとの親和性を向上させることができ、これによっても汚れが落ちやすくなると考えられる。更に、本発明のアミノ基含有共重合体が界面活性剤と相互作用し、布に付着した汚れに働きかけ、汚れを浮かびあがらせることができる。ポリマーが付着した汚れ粒子は分散安定性が良好なため、再度布に付着することを防止することができる。これらの作用により、本発明のアミノ基含有共重合体は洗浄力に優れる。また本発明のアミノ基含有共重合体を用いて洗濯を繰り返すことにより、衣類等にアミノ基含有共重合体が定着することで優れた防汚性を発揮し、更にソイルリリース性をより充分に発揮する。
【0029】
本発明のアミノ基含有共重合体は、構造単位(a)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して1~50質量%であることが好ましい。これにより、上記アミノ基含有共重合体の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、ソイルリリース性により優れることとなる。より好ましくは2~45質量%であり、更に好ましくは3~40質量%であり、特に好ましくは4~35質量%であり、最も好ましくは5~30質量%である。
【0030】
第1の本発明のアミノ基含有共重合体は、構造単位(a1)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して1~50質量%であることが好ましい。これにより、上記アミノ基含有共重合体の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、ソイルリリース性により優れることとなる。より好ましくは2~45質量%であり、更に好ましくは3~40質量%であり、特に好ましくは4~35質量%であり、最も好ましくは5~30質量%である。
【0031】
第2の本発明のアミノ基含有共重合体は、構造単位(a2)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して1~50質量%であることが好ましい。これにより、上記アミノ基含有共重合体の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、ソイルリリース性により優れることとなる。より好ましくは2~45質量%であり、更に好ましくは3~40質量%であり、特に好ましくは4~35質量%であり、最も好ましくは5~30質量%である。
【0032】
第1の本発明のアミノ基含有共重合体は、構造単位(a1)を有していればよいが、更に構造単位(a2)を有していてもよい。
また第2の本発明のアミノ基含有共重合体は、構造単位(a2)を有していればよいが、更に構造単位(a1)を有していてもよい。
第1の本発明のアミノ基含有共重合体における構造単位(a2)、第2の本発明のアミノ基含有共重合体における構造単位(a1)は特に制限されないが、それぞれ、全構造単位100質量%に対して0~20質量%であることが好ましい。より好ましくは0~10質量%であり、更に好ましくは0~5質量%であり、特に好ましくは0~1質量%である。
【0033】
本発明のアミノ基含有共重合体は、構造単位(b)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して5~50質量%であることが好ましい。これにより、上記アミノ基含有共重合体の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、ソイルリリース性により優れることとなる。より好ましくは10~45質量%であり、更に好ましくは15~40質量%であり、特に好ましくは20~35質量%である。
【0034】
本発明のアミノ基含有共重合体は、構造単位(c)を含むものであることが好ましく、その含有割合は、全構造単位100質量%に対して0~95質量%であることが好ましい。これにより、上記アミノ基含有共重合体の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、ソイルリリース性により優れることとなる。より好ましくは15~90質量%であり、更に好ましくは30~85質量%であり、特に好ましくは45~75質量%である。
【0035】
本発明のアミノ基含有共重合体は、親水性基含有単量体(C)として(ポリ)アルキレングリコール系単量体(C1)由来の構造単位(c1)を含んでいてもよく、その含有割合は、全構造単位100質量%に対して0~95質量%であることが好ましい。これにより、上記アミノ基含有共重合体の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、ソイルリリース性により優れることとなる。より好ましくは15~90質量%であり、更に好ましくは30~85質量%であり、特に好ましくは45~75質量%である。
【0036】
本発明のアミノ基含有共重合体は、親水性基含有単量体(C)として不飽和モノカルボン酸(C2)由来の構造単位(c2)を含んでいてもよく、その含有割合は、全構造単位100質量%に対して0~50質量%であることが好ましい。これにより、上記アミノ基含有共重合体の親水性と疎水性のバランスがより好適な範囲となり、ソイルリリース性により優れることとなる。より好ましくは0~40質量%であり、更に好ましくは0~30質量%であり、特に好ましくは0~15質量%である。
【0037】
本発明のアミノ基含有共重合体は、親水性基含有単量体(C)として(ポリ)アルキレングリコール系単量体(C1)、不飽和モノカルボン酸(C2)以外の親水性基含有単量体(C3)由来の構造単位(c3)を含んでいてもよく、その含有割合は、全構造単位100質量%に対して0~30質量%であることが好ましい。より好ましくは0~25質量%であり、更に好ましくは0~20質量%であり、特に好ましくは0~15質量%である。
【0038】
本発明のアミノ基含有共重合体は、上記構造単位(a)、(b)及び(c)以外のその他の構造単位(e)を有していてもよい。
上記共重合体における構造単位(e)の割合は、全構造単位100質量%に対し0~30質量%であることが好ましい。
より好ましくは0~20質量%であり、更に好ましくは0~10質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
【0039】
本発明のアミノ基含有共重合体は、重量平均分子量は3000~300000であることが好ましい。これにより本発明のアミノ基含有共重合体は、界面活性剤との相溶性にも優れることとなる。好ましくは5000~250000であり、より好ましくは7000~200000であり、更に好ましくは10000~100000である。
上記重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0040】
<第1級アミノ基含有単量体(A1)>
第1の本発明において、アミノ基を有する単量体(A)は、第1級アミノ基を有する単量体(A1)(以下、第1級アミノ基含有単量体(A1)又は単量体(A1)ともいう。)を含む。第1級アミノ基含有単量体(A1)は第1級アミノ基を有する限り特に制限されないが、(ポリ)アルキレンイミン構造を有するものであることが好ましい。
【0041】
第1の本発明のアミノ基含有共重合体は、上記式(1-1)で表される構造単位(a1)を有することが好ましい。上記式(1-1)で表される構造単位(a1)を形成する単量体としては、下記式(3-1);
【0042】
【0043】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基を表す。但し、R4及びR5がともに水素原子ではない場合、R4及びR5のうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基であって、1級アミノ基を有するものである。A1は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。x1は、0~4の数を表す。y1は、0又は1を表す。)で表される単量体が挙げられるが、構造単位(a)は式(3-1)で表される単量体)から得られるものに限定されない。
【0044】
上記R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基である。上記アルキル基として好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基であり、1又は2であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、又は、メチル基であることが好ましい。より好ましくはR1、R2が水素原子であって、R3が水素原子又はメチル基である。更に好ましくは、R1、R2が水素原子であって、R3がメチル基である。
【0045】
上記R4及びR5は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基であって、R4及びR5がともに水素原子ではない場合、R4及びR5のうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基であって、1級アミノ基を有するものである。
【0046】
上記R4及びR5のアルキレンアミノ基の繰り返し数は特に制限されないが、R4及びR5におけるアルキレンアミノ基を合計して0~9であることが好ましい。より好ましくは0~7であり、更に好ましくは0~4であり、特に好ましくは1~2であり、最も好ましくは1である。すなわちR4及びR5の一方がアルキレンアミノ基であり、もう一方が水素原子である形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0047】
上記(ポリ)アルキレンアミノ基が有していてもよい置換基としては特に制限されないが、炭素数1~30の炭化水素基、水酸基、オキシアルキレン基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びこれらの塩の基等が挙げられる。
【0048】
A1は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。上記炭素数として好ましくは2~8であり、より好ましくは炭素数2~4であり、更に好ましくは炭素数2~3であり、最も好ましくは2である。
上記R4及びR5のアルキレンアミノ基のアルキレン基の炭素数の好ましい範囲も同様である。
【0049】
上記x1は、0~4の数を表し、y1は、0又は1を表す。
x1として好ましくは0~3であり、より好ましくは0~2であり、更に好ましくは0又は1である。
(x1,y1)の組み合わせとしては、(0,1)、(1,0)、(2,0)が好ましく、より好ましくは(0,1)(2,0)であり、最も好ましくは(0,1)である。
【0050】
上記第1級アミノ基含有単量体(A1)として具体的には、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸のアルキレンイミン付加物、(メタ)アリルアミン、ビニルアミン、ビニルアニリン等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸のアルキレンイミン付加物である。
上記(メタ)アクリル酸のアルキレンイミン付加物におけるアルキレンイミン付加物の平均付加モル数としては特に制限されないが、1~10であることが好ましい。より好ましくは1~8であり、更に好ましくは1~5であり、特に好ましくは1~3である。
【0051】
<窒素原子を2以上有するアミノ基含有単量体(A2)>
第2の本発明において、アミノ基を有する単量体(A)は、2以上の窒素原子を有する単量体(A2)(以下、窒素原子を2以上有するアミノ基含有単量体(A2)又は単量体(A2)ともいう。)を含む。単量体(A2)はアミノ基を有するものであって、窒素原子を2以上有する限り特に制限されないが、アミノ基を2以上有することが好ましい。
【0052】
上記単量体(A2)が有するアミノ基は、第1~3級アミノ基のいずれであってもよいが、上記単量体(A2)は、第2級アミノ基及び/又は第3級アミノ基を有することが好ましい。これにより、第2の本発明の共重合体は、ソイルリリース性により優れることとなる。
上記単量体(A2)は、第1級アミノ基を有していてもよく、第2級アミノ基及び/又は第3級アミノ基と第1級アミノ基とを有する形態は、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記単量体(A2)は、第2級アミノ基及び/又は第3級アミノ基のみを有するものであってもよく、このような形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0053】
上記単量体(A2)は、アミノ基の水素原子の一部又は全部が、炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を有する基で置換された構造を有していてもよい。
上記アルキル基の炭素数としては、1~20が好ましく、より好ましくは1~15であり、更に好ましくは1~10である。
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、及び、後述の疎水性単量体(B)のR12におけるアルキル基の具体例が挙げられる。
上記アリール基の炭素数としては、6~20が好ましく、より好ましくは6~15であり、更に好ましくは6~10である。
上記アリール基の具体例としては、後述の疎水性単量体(B)のR12におけるアリール基の具体例が挙げられる。
【0054】
上記単量体(A2)は、(ポリ)アルキレンイミン構造を有するものであることが好ましい。
第2の本発明のアミノ基含有共重合体は、上記式(1-2)で表される構造単位(a2)を有することが好ましい。
上記式(1-2)で表される構造単位(a2)を形成する単量体としては、下記式(3-2);
【0055】
【0056】
(式中、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R4’及びR5’は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基を表す。但し、R4’及びR5’のうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基である。A1は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。x1は、0~4の数を表す。y1は、0又は1を表す。)で表される単量体が挙げられるが、構造単位(a2)は式(3-2)で表される単量体)から得られるものに限定されない。
【0057】
上記式(3-2)におけるR1、R2、R3、A1、x1及びy1は、上記式(3-1)におけるこれらと同様である。
R4’及びR5’は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基又は炭素数1~30のアルキル基を表。R4’及びR5’は、これらのうち少なくとも一方は置換基を有していてもよい(ポリ)アルキレンアミノ基であり、その具体例は、式(3-1)におけるR4及びR5と同様である。
【0058】
上記R4’及びR5’のアルキレンアミノ基の繰り返し数は、R4’及びR5’におけるアルキレンアミノ基を合計して1~9であることが好ましい。より好ましくは1~7であり、更に好ましくは1~4であり、特に好ましくは1~2であり、最も好ましくは1である。すなわちR4’及びR5’の一方がアルキレンアミノ基であり、もう一方が水素原子である形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0059】
上記単量体(A2)において、例えばR4’が、繰り返し数1又は2のアルキレンアミノ基である場合、それぞれ、-A1NR4’’
2、-A1NR4’’-A1NR4’’
2 (式中、A1は、同一又は異なって、炭素数2~18のアルキレン基を表す。R4’’は、同一又は異なって、水素原子、又は、炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を表す。)で表すことができる。
上記R4’’におけるアルキル基、アリール基の炭素数の好ましい範囲、具体例は、上述のとおりである。
【0060】
<疎水性単量体(B)>
上記疎水性単量体(B)は、単独重合を行って得られた単独重合体(ホモポリマー)に対する溶解性パラメータが13以下でありする。なお、溶解性パラメータが13以下であっても、アミノ基を有するものについては、アミノ基含有単量体(A)に分類する。
ここで、上記溶解性パラメータは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE」(1974年、Vol.14、No.2)の147~154ページに記載の方法によって計算される値である。
以下にその方法を概説する。単独重合体の溶解性パラメータ(δ)(cal/cm3)1/2は、該重合体を形成している構成単位の蒸発エネルギー(△ei)及びモル体積(△vi)に基づいて、下記の計算法により算出される。
δ=(△ei/△vi)1/2 (cal/cm3)1/2
【0061】
疎水性単量体を単独で重合した際に得られた単独重合体(ホモポリマー)に対する溶解性パラメータが13以下であれば、本発明の共重合体における疎水性が充分なものとなり、疎水性の繊維への吸着性に優れる。上記溶解性パラメータとして好ましくは12以下であり、より好ましくは11以下である。上記溶解性パラメータとしては通常5以上である。
【0062】
上記疎水性単量体としては、単独重合体での溶解性パラメータが13以下であれば特に制限されないが、エチレン性不飽和基と炭素数1~30の炭化水素基を有する単量体であることが好ましい。上記炭化水素基の炭素数として好ましくは2~22であり、より好ましくは3~16であり、更に好ましくは4~8である。
疎水性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と置換基を有していてもよい炭素数1~30のアルコールとのエステル類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体;ペンテン、ヘキセン等の炭素数5~20のオレフィン系単量体;酢酸ビニル等の不飽和アルコールと炭素数2~8のカルボン酸とのエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等の炭素数1~20のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン等の環状ビニル系単量体が挙げられる。
【0063】
上記アルコールが有していてもよい置換基は、水酸基、オキシアルキレン基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基以外の置換基であればよいが、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アルコールの炭素数として好ましくは2~22であり、より好ましくは3~16であり、更に好ましくは4~8である。
上記炭素数1~30のアルコールとして好ましくは、炭素数1~30のアルキルアルコールや炭素数6~30のアリールアルコール等が挙げられる。
【0064】
上記炭素数1~30のアルキルアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール(ラウリルアルコール)、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びイコシルアルコール等である。
【0065】
上記炭素数6~30のアリールアルコールとして好ましくはフェノール、ベンジルアルコール、メチルフェニルアルコール(o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール)、クレオソール、エチルフェニルアルコール、プロピルフェニルアルコール、ブチルフェニルアルコール、ブチルメチルフェニルアルコール、ジメチルフェニルアルコール、ジエチルフェニルアルコール、ジブチルフェニルアルコール、ヒドロキシビフェニル、4-ヒドロキシメチルビフェニル、3-ヒドロキシメチルビフェニル、4-ヒドロキシエチルビフェニル、3-ヒドロキシエチルビフェニル、ナフトール、1-ヒドロキシメチル-ナフタレン、1-ヒドロキシエチル-ナフタレン、2-ヒドロキシメチル-ナフタレン、2-ヒドロキシエチル-ナフタレン等が挙げられる。
【0066】
上記疎水性単量体(B)として好ましくは下記式(4);
【0067】
【0068】
(式中、R9、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。R12は、炭素数1~30の炭化水素基を表す。)で表される化合物である。
すなわち、本発明のアミノ基含有共重合体は、下記式(5);
【0069】
【0070】
(式中、R9、R10、R11、R12は、式(4)と同じである。)で表される構造単位を有することが好ましい。
なお、本発明のアミノ基含有共重合体が上記式(5)で表される構造単位を有する場合、当該構造単位は上記式(4)で表される化合物を用いて重合することで得られるものであってもよく、その他の方法で得られるものであってもよい。
【0071】
上記R9、R10、R11におけるアルキル基として好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
R9、R10、R11は、同一又は異なって、水素原子、又は、メチル基であることが好ましい。より好ましくはR9、R10が水素原子であって、R11が水素原子又はメチル基である。
【0072】
上記炭化水素基の炭素数は、1~22であることが好ましい。より好ましくは2~16であり、更に好ましくは2~12であり、特に好ましくは4~12であり、最も好ましくは4~8である。
【0073】
上記R12における炭化水素基としては、特に制限されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の鎖状炭化水素基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の環状炭化水素基が挙げられる。上記炭化水素基は、分岐を有していてもよく、分岐を有する場合の炭化水素基の炭素数は、主鎖及び分岐鎖の合計の炭素数を意味する。
【0074】
上記R12におけるアルキル基の炭素数として好ましくは2~22であり、更に好ましくは2~16であり、特に好ましくは2~12であり、最も好ましくは4~8である。
上記R12におけるアリール基の炭素数として好ましくは6~12であり、更に好ましくは6~10であり、特に好ましくは6~8である。
【0075】
上記R12におけるアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルへキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、イコシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、例えば、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
上記アルキニル基としては、例えば、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
【0076】
上記R12におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、1-メトキシ-4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ブチルメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ジブチルフェニル基、2-(2-メチルフェニル)エチル基、2-(3-メチルフェニル)エチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-(4-プロピルフェニル)エチル基、ビフェニル基、ビフェニルメチル基、ビフェニルエチル基、ナフチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0077】
上記R12におけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0078】
上記R12における炭化水素基として、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはアリール基である。
上記疎水性単量体(B)として好ましくはアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートであり、より好ましくはアリール(メタ)アクリレートである。
【0079】
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばエチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも好ましくはエチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートであり、より好ましくはエチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
【0080】
上記アリール(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチルフェニル(メタ)アクリレート、プロピルフェニル(メタ)アクリレート、ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ペンチルフェニル(メタ)アクリレート、ヘキシルフェニル(メタ)アクリレート、ブチルメチルフェニル(メタ)アクリレート、ジメチルフェニル(メタ)アクリレート、ジエチルフェニル(メタ)アクリレート、ジブチルフェニル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、4-メチルフェニル(メタ)アクリレート、4-メチルベンジル(メタ)アクリレート、1-メトキシ-4-メチルフェニル(メタ)アクリレート、2-(2-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-メチルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、ビフェニルメチル(メタ)アクリレート、ビフェニルエチル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート、ナフチルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも好ましくはフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートである。
【0081】
<親水性基含有単量体(C)>
上記親水性基含有単量体(C)は、水酸基、オキシアルキレン基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有するものであり、アミノ基を有する単量体(A)とは異なる単量体である。
上記親水性基における塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属等の1価金属塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属等の2価金属塩;アンモニウム塩;有機アミン塩等が挙げられる。
上記親水性基として好ましくは水酸基、オキシアルキレン基である。
上記親水性基含有単量体(C)は、親水性基を同一又は異なって複数有していてもよく、例えば、2以上の水酸基を有する形態や、水酸基とオキシアルキレン基とを有する形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0082】
上記親水性基含有単量体(C)は、下記式(6);
【0083】
【0084】
(式中、R6、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子、若しくは、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基、又は、該親水性基を有していてもよい炭素数1~3のアルキル基を表す。Zは、水素原子、メチル基、又は、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する炭素数2~30の炭化水素基を表す。A2は、同一又は異なって、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有していてもよいアルキレン基を表す。nは、(AO)の平均付加モル数を表し、0~200の数である。x2、wは、同一又は異なって、0~4の数を表す。y2、vは、同一又は異なって、0又は1を表す。)で表されるものであることが好ましい。
【0085】
上記親水性基における塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属等の1価金属塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属等の2価金属塩;アンモニウム塩;有機アミン塩等が挙げられる。
【0086】
上記親水性基として好ましくは水酸基、オキシアルキレン基である。
上記親水性基含有単量体(C)は、親水性基を同一又は異なって複数有していてもよく、例えば、2以上の水酸基を有する形態や、水酸基とオキシアルキレン基とを有する形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0087】
上記R6、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子、若しくは、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基、又は、該親水性基を有していてもよい炭素数1~3のアルキル基を表す。
上記アルキル基として好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基であり、1又は2であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
R6、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子、又は、メチル基であることが好ましい。より好ましくはR6、R7が水素原子であって、R8が水素原子又はメチル基である。更に好ましくは、R6、R7が水素原子であって、R8がメチル基である。
【0088】
上記Zは、水素原子、メチル基、又は、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有する炭素数2~30の炭化水素基を表す。
上記炭化水素基としては、特に制限されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の鎖状炭化水素基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の環状炭化水素基が挙げられる。上記炭化水素基は、分岐を有していてもよく、分岐を有する場合の炭化水素基の炭素数は、主鎖及び分岐鎖の合計の炭素数を意味する。
上記アルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルへキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ステアリル基、イコシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
上記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
【0089】
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、1-メトキシ-4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ブチルメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ジブチルフェニル基、ビフェニル基、ビフェニルメチル基、ビフェニルエチル基、ナフチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル等が挙げられる。
【0090】
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
上記炭化水素基として、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはアルキル基である。
【0091】
上記炭化水素基の炭素数として好ましくは2~20であり、より好ましくは2~15であり、更に好ましくは2~10であり、特に好ましくは2~5である。
【0092】
上記Zとして好ましくは、水素原子、メチル基である。
【0093】
上記A2は、同一又は異なって、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、第2級又は3級アミノ基及びこれらの塩の基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基を有していてもよいアルキレン基を表す。これは、ポリアルキレングリコール中にn個存在するAOのオキシアルキレン基が全て同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。
上記Aで表されるアルキレン基は、炭素数2~18であることが好ましく、より好ましくは、炭素数2~4である。
【0094】
A2Oで表されるオキシアルキレン基としては、例えば、アルキレンオキシドの付加反応により形成される基及びこれに上記親水性基を付加した構造の基であり、このようなアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、スチレンオキシド及び炭素数2~18のアルキレンオキシド等が挙げられる。より好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、更に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
なお、式(2)、(6)におけるA2Oで表されるオキシアルキレン基は、アルキレンオキシドの付加反応により形成される基に限られない。
【0095】
また、上記ポリアルキレングリコールが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の中から選ばれる任意の2種類以上のアルキレンオキシド付加物である場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、ポリアルキレングリコール中のオキシアルキレン基として、オキシエチレン基を必須成分として有することが好ましく、50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが更に好ましい。
【0096】
上記nは、(A2O)の平均付加モル数を表し、0~200の数である。好ましくは1~180であり、より好ましくは2~150であり、より好ましくは10~100であり、更に好ましくは15~80であり、特に好ましくは20~50である。
上記Zがメチル基である場合、nは10以上であることが好ましい。
nが1である場合、上記A1は、水酸基を有するアルキレン基であることが好ましい。
【0097】
上記x2は、0~4の数を表し、y2は、0又は1を表す。
x2として好ましくは0~3であり、より好ましくは0~2であり、更に好ましくは0又は1である。
(x2,y2)の組み合わせとしては、(0,1)、(1,0)、(2,0)が好ましく、より好ましくは(0,1)(2,0)であり、最も好ましくは(0,1)である。
【0098】
上記vは、0又は1を表す、wは、0~4の数を表す。
vは0であることが好ましい。
wとして好ましくは0~3であり、より好ましくは0~2であり、更に好ましくは0又は1であり、最も好ましくは0である。
【0099】
上記親水性基含有単量体(C)として具体的には例えば、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;メトキシ(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等や、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、3-メチル-3-ブテン-1-オール(イソプレノール)、3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-2-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-1-オールのいずれかにアルキレンオキシドを10~100モル付加した化合物等の(ポリ)アルキレングリコール系単量体;グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α―アリルオキシアクリル酸及びこれらの塩等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの塩、それらの無水物等の不飽和ジカルボン酸類等が挙げられる。これらの中でも(ポリ)アルキレングリコール系単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、不飽和モノカルボン酸類が好ましい。
【0100】
本発明のアミノ基含有共重合体は、アミノ基含有単量体(A)、疎水性単量体(B)及び親水性基含有単量体(C)以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよい。
単量体(E)は、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基及びこれらの塩の基を有さず、かつ、単独重合体の溶解性パラメータが13より大きい、又は、水酸基並びにカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基及びこれらの塩の基を有しないものであれば特に制限されないが、例えばエチレン、プロピレン等の炭素数2~4のオレフィン系単量体、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0101】
<アミノ基含有共重合体の製造方法>
本発明のアミノ基含有共重合体の製造は、特に制限されないが、単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例、並びに、各単量体の好ましい割合は、上述のとおりである。
上記共重合体の製造方法は、アミノ基含有単量体(A)又はその前駆体及び疎水性単量体(B)を含む単量体成分を重合する工程(以下、「重合工程」ともいう)を含むことが好ましい。このような共重合体の製造方法もまた、本発明の1つである。
【0102】
上記重合工程において、アミノ基含有単量体(A)の前駆体を用いて重合を行い、重合工程後にアミン化合物を反応させて製造してもよい。
アミノ基含有単量体(A)の前駆体としては、アミン化合物を反応させることができる限り特に制限されないが、エチレン性不飽和結合と、アミン化合物と反応性を有する官能基とを有するものであることが好ましい。官能基として好ましくはカルボキシル基、エポキシ基、水酸基等が挙げられる。好ましくはカルボキシル基である。
アミノ基含有単量体(A)の前駆体として好ましくは上述の不飽和モノカルボン酸系単量体であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0103】
上記重合工程における、単量体成分の重合を開始する方法としては、特に制限されないが、例えば、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光重合開始剤存在下に光を照射する方法等が挙げられる。
上記重合工程では、重合開始剤を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(2,2’-アゾビス-2-アミジノプロパン二塩酸塩)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾジイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、残存単量体が減少する傾向にあることから、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、より好ましくは過硫酸塩である。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0104】
上記重合開始剤の使用量としては、単量体の使用量(アミノ基含有単量体(A)、疎水性単量体(B)、親水性基含有単量体(C)及びその他の単量体(E)の合計の使用量)100gに対して、0.1g以上、10g以下であることが好ましく、0.2g以上、8g以下であることがより好ましく、0.25g以上、7g以下であることが更に好ましく、0.3g以上、5g以下が最も好ましい。
【0105】
上記重合工程では、必要に応じ重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤として具体的には、チオグリコール酸(メルカプト酢酸)、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸(チオ乳酸)、4-メルカプトブタン酸、チオリンゴ酸及びこれらの塩等のメルカプトカルボン酸やメルカプトエタノール、チオグリセロール、2-メルカプトエタンスルホン酸等;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、次亜リン酸塩及びこれらの水和物等;亜硫酸水素(塩)や亜硫酸水素(塩)を発生し得る化合物(重亜硫酸(塩)、ピロ亜硫酸(塩)、亜ジチオン酸(塩)、亜硫酸(塩)等);等が挙げられる。中でもメルカプトカルボン酸等のメルカプト基を有する化合物が好ましく、より好ましくはカルボキシル基を有するメルカプト基含有化合物(メルカプトカルボン酸)である。
【0106】
本発明の共重合体の製造における連鎖移動剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量100モル%に対して、0.5モル%以上、30モル%以下が好ましく、より好ましくは0.7モル%以上、25モル%以下であり、更に好ましくは0.8モル%以上、20モル%以下であり、最も好ましくは1モル%以上、10モル%以下である。
【0107】
上記重合工程において、重合温度としては、40℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは55℃以上である。また、より好ましくは120℃以下であり、更に好ましくは110℃以下である。
【0108】
上記重合工程において単量体成分の反応容器への投入方法は特に限定されず、全量を反応容器に初期に一括投入する方法;全量を反応容器に分割又は連続投入する方法;一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割又は連続投入する方法等が挙げられる。なお、ラジカル重合開始剤を使用する場合、反応容器に初めから仕込んでもよく、反応容器へ滴下してもよく、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
上記のようにして得られた共重合体は、そのままでも液体洗剤用添加剤等の洗剤添加剤として用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミンが好適である。また、反応終了後、必要ならば濃度調整を行うこともできる。
【0109】
重合時に使用される溶媒は、使用するモノマーや開始剤、製造するポリマーを溶解できるものから適時選択され、水;エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、フェノキシエタノール等の炭素数1~8のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル類;スルホン、ジエチルスルホン、ビス(2-ヒドロキシエチル)スルホンなどのスルホキシド(ジメチルスルホキシド等)等;環状エーテル(テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン等);ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル及びメタクリルニトリル等);カーボネート(エチレンカーボネート及びプロピオンカーボネート等);ケトン(アセトン、ジエチルケトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン及びジアセトンアルコール等)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも好ましくは水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フェノキシエタノールである。
【0110】
上記重合工程において、アミノ基含有単量体(A)の前駆体を用いる場合、重合工程後に重合反応物にアミン化合物を反応させることによりアミノ基を導入することができる。
上記製造方法が、アミノ基含有単量体(A)の前駆体を含む単量体成分を重合させる工程と、重合工程で得られた重合反応物にアミン化合物を反応させる工程とを含む形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記アミン化合物としては重合反応物にアミノ基を導入することができる限り特に制限されないが、例えば、アルキレンイミン、アミノ基含有単量体(A)の前駆体と反応性を有する官能基とアミノ基とを有する化合物が挙げられる。中でも好ましくはアルキレンイミンであり、より好ましくはエチレンイミンである。
【0111】
上記アミン化合物を反応させる工程におけるアミン化合物の使用量は特に制限されないが、重合工程におけるアミノ基含有単量体(A)の前駆体の使用量100モル%に対して、50~1000モル%であることが好ましい。より好ましくは50~500モル%であり、更に好ましくは50~300モル%である。
【0112】
第2の本発明のアミノ基含有共重合体において、単量体(A2)のアミノ基の水素原子の一部又は全部が、炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を有する基で置換された構造を有する場合、重合反応物にアミン化合物を反応させる工程の後に、得られた生成物のアミノ基の水素原子の一部又は全部を炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を有する化合物で置換することにより製造することができる。
【0113】
上記炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を有する化合物としては、アミノ基と反応性を有する官能基と上記アルキル基若しくはアリール基とを有するものであればよい。アルキル基若しくはアリール基の具体例は上述のとおりである。
アミノ基と反応性を有する官能基としては、カルボキシル基又はその塩若しくはそのハロゲン化物、エポキシ基、ハロゲノ基等が挙げられる。
上記炭素数1~30のアルキル基若しくは炭素数6~30のアリール基を有する化合物として具体的にはラウリン酸、ブチルグリシジルエーテル、塩化ベンジル等が挙げられる。好ましくはブチルグリシジルエーテルである。
【0114】
<アミノ基含有共重合体の用途>
本発明のアミノ基含有共重合体は、洗剤用途、スケール防止剤用途に用いられる。
洗剤とは家庭用の衣料用、食器用合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
すなわち本発明は、上記アミノ基含有共重合体を含む洗剤用添加剤でもある。
本発明は更に、上記アミノ基含有共重合体を洗剤用添加剤として使用する方法でもある。
本発明はまた、本発明のアミノ基含有共重合体と該共重合体以外の洗剤用添加剤とを含む洗剤組成物でもある。
本発明のアミノ基含有共重合体は、界面活性剤との相溶性に優れるため、液体洗剤用途に好適に用いることができる。上記洗剤組成物は、液体洗剤組成物であることが好ましい。
本発明は更に、洗剤組成物を製造する方法であって、上記製造方法は、上記アミノ基含有共重合体を該共重合体以外の洗剤用添加剤に添加する工程を含む洗剤組成物の製造方法でもある。
本発明のアミノ基含有共重合体以外の洗剤添加剤としては、界面活性剤や通常洗剤に用いられる添加剤であれば特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見を適宜参照することができ、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を用いることができる。
本発明のもう一つの好適な用途としてはスケール防止剤である。スケール防止剤とは、冷却水系、ボイラ水系、膜処理に係る水系、地熱発電所の還元井に係る水系等のスケールが付着している水系で用いられる剤である。
【0115】
界面活性剤以外の添加剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン-チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、粉末洗剤組成物の場合には、ゼオライトを配合することが好ましい。
【0116】
上記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0117】
上記アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸又はエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0118】
上記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0119】
上記カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0120】
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10~80質量%であり、好ましくは15~75質量%であり、更に好ましくは18~70質量%であり、特に好ましくは20~68質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
【0121】
上記界面活性剤の中でも好ましくはアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤であり、特にノニオン界面活性剤である。ノニオン性系界面活性剤は油汚れに強いため、本発明のアミノ基含有共重合体とノニオン性系界面活性剤とを含む液体洗剤組成物は、油汚れに対する洗浄力により優れることとなる。本発明のアミノ基含有共重合体とノニオン性系界面活性剤とを含む液体洗剤組成物は本発明の好適な実施形態の1つである。
【0122】
上記ノニオン性界面活性剤の含有割合は、洗剤組成物100質量%に対して1~60質量%であることが好ましい。より好ましくは3~60質量%であり、更に好ましくは5~50質量%である。
上記ノニオン性界面活性剤の含有割合はまた、界面活性剤の全量100質量%に対して、10~100質量%であることが好ましい。より好ましくは15~90質量%であり、更に好ましくは20~90質量%である。
【0123】
上記洗剤組成物は、親水性溶剤を含むことが好ましい。
親水性溶剤としては特に制限されず、液体洗剤に通常用いられるものを使用することができるが、例えば、水;エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、フェノキシエタノール等の炭素数1~8のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル類;スルホン、ジエチルスルホン、ビス(2-ヒドロキシエチル)スルホンなどのスルホキシド(ジメチルスルホキシド等)等;環状エーテル(テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン等);ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル及びメタクリルニトリル等);カーボネート(エチレンカーボネート及びプロピオンカーボネート等);ケトン(アセトン、ジエチルケトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン及びジアセトンアルコール等)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも好ましくはエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、フェノキシエタノールである。
【0124】
上記洗剤組成物は、親水性溶剤を液体洗剤組成物100質量%に対して0.1~30質量%の割合で含むことが好ましい。より好ましくは1~27質量%であり、更に好ましくは2~25質量%である。
【0125】
上記洗剤組成物は、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などのアルカリビルダー;トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、(メタ)アクリル酸の共重合体塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー;カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体;等が挙げられる。上記の他の洗剤ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、水酸化ナトリウム、アンモニウム、アミン等のアルカリ剤が挙げられる。
【0126】
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1質量%~80質量%であり、より好ましくは2質量%~70質量%であり、更に好ましくは3質量%~60質量%であり、一層好ましくは5質量%~55質量%であり、特に好ましくは5質量%~50質量%であり、最も好ましくは10質量%~50質量%である。
【0127】
上記洗剤組成物は酵素を含んでいてもよい。このような酵素としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどが挙げられる。
上記酵素の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは5質量%以下である。
【実施例】
【0128】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0129】
<共重合体の重量平均分子量測定>
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定条件、装置などは以下の通りである。
装置:東ソー社製 EcoSEC HLC-8320GPC
検出器:示差屈折率計(RI)検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel α-M、α-2500
カラム温度:40℃
流速:0.4mL/min
注入量:20μL(試料濃度0.4wt%の溶離液調製溶液)
検量線:ジーエルサイエンス社製 ポリエチレングリコール
GPCソフト:東ソー社製 EcoSEC-WS
溶離液:0.5M酢酸+0.2M硝酸Na/アセトニトリル=50/50(v/v)
【0130】
<実施例1>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、エタノール90g、を仕込み、攪拌下、70℃に昇温した。次いで攪拌下、70℃一定状態の重合反応系中に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数23、新中村化学製の商品名「M-230G」)69.7g、メタクリル酸(以下、MAAともいう。)14.1g、イオン交換水22.4gからなるモノマー溶液1;ベンジルメタクリレート(以下、BnMAともいう。)36gからなるモノマー溶液2;2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(富士フイルム和光純薬(株)社製の商品名「V-65」)の5%エタノール溶液13gからなる開始剤水溶液をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、モノマー溶液と開始剤水溶液は同時に滴下を開始し、モノマー溶液1は120分間、モノマー溶液2は150分間、開始剤水溶液は180分間滴下した。
全滴下終了後、さらに150分間反応溶液を70℃に保持して熟成し、重合を完結させ、前駆体1を得た。
前駆体1を含む溶液にイオン交換水を加え、ロータリーエバポレータで濃縮し、前駆体1水溶液を得た。上記水溶液の前駆体1の固形分は17.5%であった。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、上記前駆体1水溶液111.4g、イオン交換水38.6g、20%エチレンイミン(以下、EIともいう。)水溶液2.9gを仕込み、攪拌下、70℃に昇温、120分間保持し、共重合体1を得た。
【0131】
<実施例2>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、上記前駆体1水溶液111.4g、イオン交換水38.6g、20%エチレンイミン(以下、EIともいう。)水溶液5.8gを仕込み、攪拌下、70℃に昇温、120分間保持し、共重合体2を得た。
【0132】
<実施例3>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、上記前駆体1水溶液111.4g、イオン交換水38.6g、20%エチレンイミン(以下、EIともいう。)水溶液11.5gを仕込み、攪拌下、70℃に昇温、120分間保持し、共重合体3を得た。
【0133】
<実施例4>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、上記前駆体1水溶液111.4g、イオン交換水38.6g、20%エチレンイミン(以下、EIともいう。)水溶液17.3gを仕込み、攪拌下、70℃に昇温、120分間保持し、共重合体4を得た。
【0134】
<実施例5>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、エタノール90gを仕込み、攪拌下、70℃に昇温した。次いで攪拌下、70℃一定状態の重合反応系中に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数23、新中村化学製の商品名「M-230G」、以下、PGM23Eともいう)78g、メタクリル酸(以下、MAAともいう。)6g、エタノール28gからなるモノマー溶液1;ベンジルメタクリレート(以下BnMAともいう。溶解性パラメータ:9.8)36gからなるモノマー溶液2;2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(富士フイルム和光純薬(株)社製の商品名「V-65」)の5%エタノール溶液17.1gからなる開始剤水溶液をそれぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、モノマー溶液と開始剤水溶液は同時に滴下を開始し、モノマー溶液1は120分間、モノマー溶液2は150分間、開始剤水溶液は180分間滴下した。
全滴下終了後、さらに150分間反応溶液を70℃に保持して熟成し、重合を完結させ、前駆体2を得た。
前駆体2を含む溶液にイオン交換水を加え、ロータリーエバポレータで濃縮し、前駆体2溶液を得た。上記水溶液の前駆体1の固形分は19.0%であった。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、上記前駆体2水溶液157.4g、イオン交換水72.6g、30%エチレンイミン(以下、EIともいう。)水溶液2.6gを仕込み、攪拌下、70℃に昇温、120分間保持し、共重合体5を得た。
【0135】
≪ソイルリリース性評価≫
実施例1~5で製造した共重合体1~5及び比較共重合体1、2として上記前駆体1、2について、以下の方法によりソイルリリース性評価を行った。
<布の前処理方法>
(1):浸漬条件
Testfabiric社製 Style730(ポリエステル繊維)を5×5cmに裁断したものを用意した。実施例、比較例で得られた共重合体を50ppmに調整した水溶液300gを準備し、マグネティックスターラーで撹拌しながら、上記布5gを添加し、10分間撹拌した。10分後、布の重量の3倍になるように脱水し、1日間風乾した。
(2):洗濯条件
Testfabiric社製 Style730(ポリエステル繊維)を5×5cmに裁断したものを用意した。エマルゲン108(花王社製)250ppm、かつ実施例、比較例で得られた共重合体を25ppmに調整した水溶液300gを準備し、マグネティックスターラーで撹拌しながら、上記布5gを添加し、10分間撹拌した。10分後、すすぎを行った後に脱水し、1日間風乾した。
【0136】
<汚染布の作成>
オリーブオイル61.5g、オレイン酸37g、酸化鉄(III)1g、オイルレッド0.5gを混合し、油脂汚染液を作成した。この汚染液を50μL、上記前処理方法1で得られたポリマー処理布に滴下し、1時間放置した後、余計な油脂を濾紙で挟んでふき取り、汚染布を作成した。
【0137】
<洗浄力評価>
(1)-1:硬度母液の調製
塩化カルシウム2水和物8.39g、塩化マグネシウム6水和物2.9gをビーカーにはかりとり、イオン交換水を加え1000gとした。
(1)-2:硬水の調製
炭酸水素ナトリウム1.54g、0.1N塩化水素10g、硬度母液(1)-1;200gをビーカーに入れてイオン交換水で希釈して20000gとした。
(1)-3:界面活性剤水溶液の作成
ネオペレックスG-65(花王社製)13.85gとエマルゲン108(花王社製)3gをビーカーに測りとり、イオン交換水を加えて200gとし、界面活性剤溶液を調整した。
(2):洗浄力試験
(1)-3の界面活性剤水溶液16.67gと(1)-2の硬水を混合し、4000gの洗浄液を作成した。ターゴットメーターを25℃にセットし、洗浄液500gをポットにいれた。予め色差計(日本電色工業社製:SE-6000)で反射率を測定した汚染布5枚、浴比調整布とを合わせて16.67gポットに入れて、120rpmで10分間撹拌して洗浄した。ポットの水を捨て、すすぎ1回を行った後、布を脱水し1日間風乾させた。
風乾後、色差計にて再度、白布の反射率を測定し、下記式により洗浄率を求めた。得られた洗浄率に基づき、以下の判定基準で洗浄力を評価した。結果を表1に示す。
◎:洗浄率90%以上
〇:洗浄率60%以上、90%未満
×:洗浄率60%未満
表1中、MAA-EI100は、MAA100モル%に対して、EIが100モル%付加していることを表す。MAA-EI200は、MAA100モル%に対して、EIが200モル%付加していることを表す。MAA-EI300は、MAA100モル%に対して、EIが300モル%付加していることを表す。
【0138】
【0139】