(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】光学系及びそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20240611BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
G02B13/04
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2020125741
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】米山 修二
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-220875(JP,A)
【文献】特開2009-014819(JP,A)
【文献】特開2014-032329(JP,A)
【文献】特開2012-048016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、および、第3群
からなり、各群は
、フォーカシング時に可変の間隔で隔てられており、前記第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負の第1メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負の第2メニスカスレンズ、両凹レンズからなり、前記第1メニスカスレンズの焦点距離をf1GN1、前記第2メニスカスレンズの焦点距離をf1GN2とするとき、
0.60<f1GN1/f1GN2<1.50
なる条件を満足し
、
前記第2群は、物体側から像側へ順に、曲率半径の絶対値が物体側面よりも小さい凸の像側面を有する正レンズ、曲率半径の絶対値が像側面よりも小さい凹の物体側面を有する負レンズ、両凸レンズからなる
ことを特徴とする光学系。
【請求項2】
物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、および、第3群
からなり、各群は
、フォーカシング時に可変の間隔で隔てられており、前記第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負の第1メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負の第2メニスカスレンズ、両凹レンズからなり、前記第1メニスカスレンズの焦点距離をf1GN1、前記第2メニスカスレンズの焦点距離をf1GN2とするとき、
0.60<f1GN1/f1GN2<1.50
全系の焦点距離をf、前記第1群の焦点距離をf1、前記第2 群の焦点距離をf2とするとき、
-1.3<f/f1<-1.1
0.50<f/f2<0.57
なる条件を満足する
ことを特徴とする光学系。
【請求項3】
物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、および、第3群
からなり、各群は
、フォーカシング時に可変の間隔で隔てられており、前記第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負の第1メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負の第2メニスカスレンズ、両凹レンズからなり、前記第1メニスカスレンズの焦点距離をf1GN1、前記第2メニスカスレンズの焦点距離をf1GN2とするとき、
0.60<f1GN1/f1GN2<1.50
前記第3群は、最も物体側から像側へ順に、正レンズと負レンズの接合レンズ、絞りが配置されている
ことを特徴とする光学系。
【請求項4】
前記第1群は少なくとも1枚の非球面レンズを有することを特徴とする請求項1
ないし3のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項5】
前記第2メニスカスレンズは非球面を有することを特徴とする請求項1
ないし4のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項6】
全系の焦点距離をf、前記第3群の前記絞りの像側に隣接する光学面の曲率半径をRastとするとき、
-0.20<f/Rast<0.10
なる条件を満足することを特徴とする請求項
3に記載の光学系。
【請求項7】
請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の光学系と、前記光学系によって形成された光学像を光電変換する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に関し、特に広い画角を有する広角レンズ及びそれを有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子としてCCDやCMOSなどが使われており、1画素の大きさが非常に小さい高画素の撮像素子が開発されている。このような撮像素子に対応するには撮像レンズに高い解像度が要求される。
【0003】
このような高画素の撮像素子に広角レンズを用いようとすると、その広い画角に伴い発生する像面湾曲や非点収差により高解像度を達成するのは困難である。
【0004】
特許文献1には3つのレンズ群からなる広角レンズが開示されており、フォーカシングに際し各群の間隔を変化させて収差の距離変化を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された光学系のようにフォーカシングの際に各群間の間隔を変えても、収差変化が充分に抑制されているとは言えない。
【0007】
そこで本発明は、全倍率範囲に渡り高解像度を有する光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例にかかる光学系は、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、および、第3群からなり、各群は、フォーカシング時に可変の間隔で隔てられており、前記第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負の第1メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負の第2メニスカスレンズ、両凹レンズからなり、前記第1メニスカスレンズの焦点距離をf1GN1、前記第2メニスカスレンズの焦点距離をf1GN2とするとき、
0.60<f1GN1/f1GN2<1.50
前記第2 群は、物体側から像側へ順に、曲率半径の絶対値が物体側面よりも小さい凸の像側面を有する正レンズ、曲率半径の絶対値が像側面よりも小さい凹の物体側面を有する負レンズ、両凸レンズからなる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、全倍率範囲に渡り高解像度を有する光学系を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例1の光学系の無限遠にフォーカス時の収差図である。
【
図3】実施例1の光学系の中間倍率にフォーカス時の収差図である。
【
図4】実施例1の光学系の最大倍率にフォーカス時の収差図である。
【
図6】実施例2の光学系の無限遠にフォーカス時の収差図である。
【
図7】実施例2の光学系の中間倍率にフォーカス時の収差図である。
【
図8】実施例2の光学系の最大倍率にフォーカス時の収差図である。
【
図10】実施例3の光学系の無限遠にフォーカス時の収差図である。
【
図11】実施例3の光学系の中間倍率にフォーカス時の収差図である。
【
図12】実施例3の光学系の最大倍率にフォーカス時の収差図である。
【
図14】実施例4の光学系の無限遠にフォーカス時の収差図である。
【
図15】実施例4の光学系の中間倍率にフォーカス時の収差図である。
【
図16】実施例4の光学系の最大倍率にフォーカス時の収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例に係る広角レンズについて、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
各実施例の広角レンズは、ビデオカメラやデジタルカメラ、銀塩フィルムカメラ、テレビカメラ等の撮像装置に用いられる撮影光学系である。
図1、5、9、13に示す光学系の断面図において、左方が物体側(前方)であり、右方が像側(後方)である。また各断面図において、絞りは、開放Fナンバーの光束を決定する。
【0013】
無限遠物体から最至近距離物体へのフォーカシングに際して、各レンズ群は、図中の矢印に示すように移動する。なお、本明細書において「レンズ群」とは、複数のレンズから構成されていてもよいし、1枚のレンズから構成されていてもよい。
【0014】
ビデオカメラやデジタルカメラなどの撮像装置に各実施例の光学系を使用する場合は、像面は、光学系によって形成された光学像を光電変換するCCDセンサ又はCMOSセンサ等の固体撮像素子に相当する。銀塩フィルムカメラの撮像装置に各実施例の光学系を使用する場合は、像面はフィルム面に相当する。
【0015】
図2、6、10、14は各実施例における無限遠にフォーカスした場合の収差図である。球面収差図においてFno.はFナンバーであり、粗い破線はd線(波長587.6nm)、実線はg線(波長435.8nm)、細かい破線はC線(波長656.3nm)に対する球面収差を示している。像面湾曲図において実線Sはサジタル像面、破線Mはメリディオナル像面である。歪曲収差図はd線について示している。yは像面上での画面中心からの高さである。
【0016】
図3、7、11、15は各実施例における中間倍率にフォーカスした場合の、
図4、8、12、16は各実施例における最大倍率にフォーカスした場合の収差図である。球面収差図においてFe.は有限共役状態での有効Fナンバーである。像面湾曲図と歪曲収差図は
図2、6、10、14と同様である。
【0017】
本発明の実施例にかかる広角レンズは、物体側より像側へ順に負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、正または負の屈折力を有する第3群を有する。各群は可変の間隔で隔てられており、特に第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズ(第1メニスカスレンズ)1-1、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズ(第2メニスカスレンズ)1-2、両凹レンズ1-3からなる。
また、負の屈折力を有する第1群は少なくとも1枚の非球面レンズを有している。
【0018】
このような構成とすることで、所謂レトロフォーカスタイプを構成している。特に物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズを第1レンズ1-1、第2レンズ1-2に配することで、画角に伴って発生するため特に広角レンズで問題となるディストーションの発生を防いでいる。
第1群の非球面レンズも主にディストーションを補正している。
【0019】
第3レンズ1-3は両凹レンズとすることで、第1、第2レンズで曲げられ入射角が小さくなった軸外光束に対し最小偏角に近い形で、収差発生を最小に収めつつ再び屈折し第2群への入射高さを高くし、第2群での収差補正をしやすくしている。
【0020】
また、前記第1群の最も物体側の負レンズ1-1の焦点距離をf1GN1、前記第1群の物体側から2番目の負レンズ1-2の焦点距離をf1GN2とするとき、
0.60<f1GN1/f1GN2<1.50 ・・・(1)
なる条件を満足することを特徴とする広角レンズである。
【0021】
条件式(1)は第1レンズ1-1と第2レンズ1-2のパワーの比に関するもので、その範囲に1を含み、第1レンズ1-1と第2レンズ1-2のパワーが比較的近いことを表している。第1レンズ1-1も第2レンズ1-2も共に物体側に凸面を向けたメニスカス形状で、屈折力が均等に近くなるように分割し、軸外光束を徐々に屈折することで収差発生を最小に収めている。このため、条件式(1)の上限、下限のどちらを越えても第1レンズ1-1と第2レンズ1-2のパワーのバランスが崩れ、特にディストーションを適切な値に留めることが出来なくなってしまう。
【0022】
条件式(1)の下限を越えると、第1レンズ1-1のパワーが過剰となり、第2レンズ1-2のパワーが弱くなりバランスが崩れてしまい、収差(特にディストーション)の発生を最小に収めることが困難になる。
【0023】
条件式(1)の上限を越えると、第2レンズ1-2のパワーが過剰となり、第1レンズ1-1のパワーが弱くなりバランスが崩れてしまい、収差(特にディストーション)の発生を最小に収めることが困難になる。
【0024】
本発明の実施例では第1群中の第2レンズ1-2を非球面レンズとしている。非球面レンズにディストーション補正の作用を与えるには、軸外光束の入射高さが変化する、絞りから離れた物体側が良いが、一般的にレトロフォーカスタイプの物体側レンズは画角に伴いレンズ径が大型化する。最も物体側のレンズを非球面レンズとすれば、ディストーション補正には有利だがレンズが大型化してしまいコストが高くなってしまう。しかし、非球面の位置を、レンズ径の小さい像側に移動し絞りに近づければ、コストには有利だがディストーション補正の能力が小さくなってしまう。そこで、本発明の実施例のように第2レンズ1-2を非球面レンズとすることが最もコストとディストーション補正のバランスが良い。
【0025】
条件式(1)の数値範囲は、次のように設定することが好ましい。
0.80<f1GN1/f1GN2<1.30 ・・・(1a)
【0026】
条件式(1)の数値範囲は、次のように設定するとより好ましい。
0.90<f1GN1/f1GN2<1.10 ・・・(1b)
【0027】
本発明の実施例にかかる広角レンズの第2群は、正の屈折力を有し、物体側から像側へ順に、像側により強い正のパワーを有する面を向けた正レンズ2-1、物体側により強い負のパワーを有する面を向けた負レンズ2-2、両凸レンズ2-3からなっている。
【0028】
正の屈折力の第2群は、負の屈折力の第1群からの発散光束を受けて収束し第3群に入射する役割を担っている。そのため第2群は比較的強いパワーを持っており、第2群自身の収差発生を抑えておかなければならない。そこで、ザイデルの5収差全てを補正できる最も簡単な構成の正、負、正のトリプレットタイプを採っている。実際には収差を0に補正するのではなく、負レンズのみで構成された1群からの大きな収差を補正するため大きな収差を発生するような形状をしている。
【0029】
第2群の最も物体側の正レンズ2-1は無限遠物点に対し球面収差が小さい形状をしているが、2群内での共役状態では負の球面収差と内コマを発生している。これにより、負の第1群で発生した正の球面収差と外コマを補正している。2群の物体側から2番目の負レンズ2-2は2群の物体側の正レンズ2-1で発生した球面収差やコマをあまり補正しないような形状をしており、色収差とペッツバール和を補正している。第2群の物体側から3番目の2-3レンズは両凸形状をしており第1群からの大きな正の球面収差を負の球面収差で補正している。
【0030】
更に、実施例にかかる広角レンズは以下の条件式(2)、(3)を満足することが望ましい。
-1.30<f/f1<-1.10 ・・・(2)
0.50<f/f2<0.57 ・・・(3)
ここで、fはd線(波長587.6nm)におけるレンズ全系の焦点距離、f1は第1群の焦点距離、f2は第2群の焦点距離を表している。
【0031】
条件式(2)は第1群のパワーに関し、条件式(2)の下限を下回って第1群の負のパワーが強まればディストーションや像面湾曲を適切な値に保てなくなる。条件式(2)の上限を上回って第2群の負のパワーが弱くなるとバックフォーカスが短くなり過ぎてしまう。
【0032】
条件式(3)は第2群のパワーに関し、条件式(3)の下限を下回って第2群のパワーが弱くなると、負の球面収差が小さくなってしまい負の第1群で発生した正の球面収差を充分に補正できなくなってしまう。条件式(3)の上限を越えて第2群のパワーが強くなると、反対に負の球面収差が大きくなり過ぎ全系の球面収差を適切に保てなくなる。
【0033】
また、実施例にかかる広角レンズは可変の間隔により各群が分割されているが、可変間隔は、近距離物体へのフォーカシング時に可変として所謂フローティングとして用いられる。このフローティングにより、レトロフォーカスタイプで、近距離物体への合焦時に起こる像面湾曲変化を補正することができる。
【0034】
条件式(2)と条件式(3)のように第1群と第2群のパワーを定めることによりフローティング時の各群の移動量を適切に定めることが出来る。
【0035】
条件式(2)、(3)の数値範囲は、次のように設定することが好ましい。
-1.25<f/f1<-1.14 ・・・(2a)
0.51<f/f2<0.56 ・・・(3a)
【0036】
条件式(2)、(3)の数値範囲は、次のように設定するとより好ましい。
-1.20<f/f1<-1.16 ・・・(2b)
0.52<f/f2<0.55 ・・・(3b)
【0037】
本発明の実施例にかかる広角レンズの第3群は、物体側から像側へ順に正の屈折力の3-1レンズと負の屈折力の3-2レンズとの接合レンズが配置され、その直後に絞りを有している。更に絞りの像側の3-3レンズの物体側面の曲率半径をRastとすると以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
-0.20<f/Rast<0.10 ・・・(4)
【0038】
第3群の物体側の正レンズ3-1と負レンズ3-2の接合レンズは接合面で大きな正の球面収差を発生して全系の球面収差を適切に補正する役割をしている。また、軸上色収差の補正もしている。
【0039】
条件式(4)は絞り直後の3-3レンズの物体側面の曲率半径に関するものである。条件式(4)の下限を越えて負に曲率が大きくなれば、特にサジタル光束の面への入射角が大きくなりサジタルコマが発生してしまう。条件式(4)の上限を越えて曲率が正に大きくなれば、非点収差が大きくなり全系の値を適切に留めることが出来なくなる。
【0040】
条件式(4)の数値範囲は、次のように設定するとより好ましい。
-0.15<f/Rast<0.06 ・・・(4a)
条件式(4)の数値範囲は、次のように設定するとより好ましい。
-0.10<f/Rast<0.05 ・・・(4b)
【0041】
ここまで述べてきたようなレンズ構成を有し、かつ、各条件式を満たすことにより、実施例にかかる広角レンズは全物体距離にわたって高い解像度を得ることができる。
【0042】
[実施例1]
図1は、実施例1の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の断面図である。
図2と
図3、および
図4は、それぞれ、実施例1の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の収差図と中間倍率での収差図、および最至近距離物体にフォーカス時の収差図である。
【0043】
実施例1の広角レンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、第3群を有し、各群は可変の間隔で隔てられている。無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際して、各群が矢印に示すように移動する。
【0044】
このフローティング機構により、無限遠から最至近距離への全物体距離にわたって、像面湾曲を補正することができる。
【0045】
第1群は物体側から順に、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-1レンズ、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-2レンズ、両凹レンズの1-3レンズからなり、負のメニスカスレンズの1-2レンズは両面が非球面の非球面レンズである。
この第1群の構成により主にディストーションを良好に補正している。
【0046】
第2群は、物体側から像側へ順に、像側により強い正のパワーを有する面を向けた正レンズの2-1レンズ、物体側により強い負のパワーを有する面を向けた負レンズの2-2レンズ、両凸レンズの2-3レンズからなる。すなわち、2-1レンズは、曲率半径の絶対値が物体側面よりも小さい凸の像側面を有する正レンズである。2-2レンズは、曲率半径の絶対値が像側面よりも小さい凹の物体側面を有する負レンズである。
【0047】
第3群は、物体側から像側へ順に正の屈折力の3-1レンズと負の屈折力の3-2レンズとの接合レンズが配置され、その像側に隣接して絞りを有している。
【0048】
[実施例2]
図5は、実施例2の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の断面図である。
図6と
図7、および
図8は、それぞれ、実施例2の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の収差図と中間倍率での収差図、および最至近距離物体にフォーカス時の収差図である。
【0049】
実施例2の広角レンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、第3群を有し、各群は可変の間隔で隔てられている。無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際して、各群が矢印に示すように移動する。
【0050】
このフローティング機構により、無限遠から最至近距離への全物体距離にわたって、像面湾曲を補正することができる。
【0051】
第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-1レンズ、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-2レンズ、両凹レンズの1-3レンズからなり、負のメニスカスレンズの1-2レンズは両面が非球面の非球面レンズである。
この第1群の構成により主にディストーションを良好に補正している。
【0052】
第2群は、物体側から像側へ順に、像側により強い正のパワーを有する面を向けた正レンズの2-1レンズ、物体側により強い負のパワーを有する面を向けた負レンズの2-2レンズ、両凸レンズの2-3レンズからなる。すなわち、2-1レンズは、曲率半径の絶対値が物体側面よりも小さい凸の像側面を有する正レンズである。2-2レンズは、曲率半径の絶対値が像側面よりも小さい凹の物体側面を有する負レンズである。
【0053】
第3群は、物体側から像側へ順に正の屈折力の3-1レンズと負の屈折力の3-2レンズとの接合レンズが配置され、その像側に隣接して絞りを有している。
【0054】
[実施例3]
図9は、実施例3の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の断面図である。
図10と
図11、および
図12は、それぞれ、実施例3の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の収差図と中間倍率での収差図、および最至近距離物体にフォーカス時の収差図である。
【0055】
実施例3の広角レンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、第3群を有し、各群は可変の間隔で隔てられている。無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際して、各群が矢印に示すように移動する。
【0056】
このフローティング機構により、無限遠から最至近距離への全物体距離にわたって、像面湾曲を補正することができる。
【0057】
第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-1レンズ、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-2レンズ、両凹レンズの1-3レンズからなり、負のメニスカスレンズの1-2レンズは両面が非球面の非球面レンズである。
この第1群の構成により主にディストーションを良好に補正している。
【0058】
第2群は、物体側から像側へ順に、像側により強い正のパワーを有する面を向けた正レンズの2-1レンズ、物体側により強い負のパワーを有する面を向けた負レンズの2-2レンズ、両凸レンズの2-3レンズからなる。すなわち、2-1レンズは、曲率半径の絶対値が物体側面よりも小さい凸の像側面を有する正レンズである。2-2レンズは、曲率半径の絶対値が像側面よりも小さい凹の物体側面を有する負レンズである。
【0059】
第3群は、物体側から像側へ順に正の屈折力の3-1レンズと負の屈折力の3-2レンズとの接合レンズが配置され、その像側に隣接して絞りを有している。
【0060】
[実施例4]
図13は、実施例4の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の断面図である。
図14と
図15、および
図16は、それぞれ、実施例4の広角レンズの無限遠物体にフォーカス時の収差図と中間倍率での収差図、および最至近距離物体にフォーカス時の収差図である。
【0061】
実施例4の広角レンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、第3群を有し、各群は可変の間隔で隔てられている。無限遠から最至近距離へのフォーカシングに際して、各群が矢印に示すように移動する。
【0062】
このフローティング機構により、無限遠から最至近距離への全物体距離にわたって、像面湾曲を補正することができる。
【0063】
第1群は物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-1レンズ、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズの1-2レンズ、両凹レンズの1-3レンズからなり、負のメニスカスレンズの1-2レンズは両面が非球面の非球面レンズである。
この第1群の構成により主にディストーションを良好に補正している。
【0064】
第2群は、物体側から像側へ順に、像側により強い正のパワーを有する面を向けた正レンズの2-1レンズ、物体側により強い負のパワーを有する面を向けた負レンズの2-2レンズ、両凸レンズの2-3レンズからなる。すなわち、2-1レンズは、曲率半径の絶対値が物体側面よりも小さい凸の像側面を有する正レンズである。2-2レンズは、曲率半径の絶対値が像側面よりも小さい凹の物体側面を有する負レンズである。
【0065】
第3群は、物体側から像側へ順に正の屈折力の3-1レンズと負の屈折力の3-2レンズとの接合レンズが配置され、その像側に隣接して絞りを有している。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明の広角レンズはこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0067】
[数値実施例]
以下に、実施例1~4のそれぞれに対応する数値実施例1~4を示す。数値実施例1~4に関して、条件式(1)~(4)に対応する数値を表1に示す。また、数値実施例1~4において、Riは物体側より第i番目の光学面の曲率半径、Diは物体側より第i面と第i+1面の間の光学面の間隔、Ndiは物体側より第i面と第i+1面の間の光学部材のd線に対する屈折率、Vdiは物体側より第i面と第i+1面の間の光学部材の材料のアッベ数を示す。フラウンホーファー線のF線(486.1nm)、d線(587.6nm)、C線(656.3nm)に対する材料の屈折率をそれぞれNF、Nd、NCとする。そして、アッベ数Vdを、
Vd=(Nd-1)/(NF-NC)
として表す。
【0068】
BFはバックフォーカスを示す。in Airはフィルターが無い場合を表し、BFはフィルターが無い場合のバックフォーカスを示す。
【0069】
非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正としCを近軸曲率半径Rの逆数、Kを円錐定数、A4、A6、A8、A10をそれぞれ非球面係数としたとき、
【数1】
で表している。非球面係数の「E-x」は×10
-xを意味する。
【0070】
[数値実施例1]
焦点距離 25.66
Fナンバー 3.20
像高 17.95
面番号 R D Nd Vd
1 46.536 3.500 1.92286 18.90
2 31.410 6.410
3 50.760 3.500 1.49700 81.55 (非球面)
4 26.274 17.470 (非球面)
5 -56.264 3.000 1.60300 65.44
6 56.264 16.900
7 373.700 9.820 1.78472 25.68
8 -69.223 9.380
9 -68.593 3.000 1.65412 39.68
10 -141.315 0.430
11 95.443 10.000 1.71299 53.87
12 -95.443 22.020
13 56.680 10.000 1.49700 81.55
14 -35.990 4.170 1.59551 39.24
15 -526.400 6.540
16 ∞ 2.930 (絞り)
17 -368.600 1.700 1.69895 30.13
18 19.455 3.330 1.59522 67.74
19 73.807 0.200
20 35.293 5.000 1.59522 67.74
21 -51.374 5.440
22 -53.265 6.000 1.86100 37.10
23 73.960 8.970 (非球面)
24 171.350 7.080 1.80000 29.84
25 -33.200 1.900
26 -95.670 1.710 1.64769 33.79
27 ∞ 21.503
28 ∞ 1.720 1.51633 64.14 (フィルター)
29 ∞
30 ∞ (像面)
非球面係数
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 0.06400 1.28290E-05 -1.26120E-08 1.16110E-11 2.11000E-15
4 -0.01464 1.27350E-05 -6.85600E-09 -1.46480E-11 4.68900E-14
23 0.00000 1.54200E-05 1.22000E-09 -2.81600E-11 0.00000E+00
倍率 0.00000 -0.03302 -0.06577
物体距離 ∞ 734.333 347.473
D 6 16.900 17.285 17.667
D12 22.020 20.589 19.165
BF 24.142 23.746 23.371 (in Air)
【0071】
[数値実施例2]
焦点距離 25.64
Fナンバー 3.01
像高 17.95
面番号 R D Nd Vd
1 45.980 3.500 1.92286 18.90
2 31.110 4.520
3 50.960 3.500 1.48749 70.24 (非球面)
4 26.350 18.170 (非球面)
5 -56.050 3.000 1.60300 65.44
6 56.050 16.908
7 350.570 10.000 1.78472 25.68
8 -70.590 9.000
9 -69.530 3.000 1.65412 39.68
10 -133.130 1.540
11 96.824 10.000 1.71299 53.87
12 -96.824 22.022
13 56.610 10.000 1.49700 81.55
14 -35.390 8.880 1.59551 39.24
15 -802.500 3.930
16 ∞ 2.590 (絞り)
17 1453.600 1.700 1.69895 30.13
18 19.050 3.170 1.59522 67.74
19 71.340 0.200
20 36.090 5.000 1.59522 67.74
21 -54.930 5.200
22 -59.510 6.000 1.86100 37.10
23 62.730 9.200 (非球面)
24 153.200 7.250 1.80000 29.84
25 -33.870 1.430
26 -105.260 1.700 1.64769 33.79
27 848.600 21.632
28 ∞ 1.720 1.51633 64.14 (フィルター)
29 ∞
30 ∞ (像面)
非球面係数
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 0.06400 1.36110E-05 -1.43055E-08 1.28290E-11 1.90200E-15
4 -0.01464 1.35800E-05 -8.27280E-09 -1.61510E-11 4.95990E-14
23 0.00000 1.49670E-05 -1.94900E-09 -2.25700E-11 0.00000E+00
倍率 0.00000 -0.03315 -0.06630
物体距離 ∞ 731.467 344.816
D 6 16.908 17.306 17.703
D12 22.022 20.622 19.227
BF 23.271 23.716 24.161 (in Air)
【0072】
[数値実施例3]
焦点距離 25.46
Fナンバー 3.20
像高 17.95
面番号 R D Nd Vd
1 41.963 3.500 1.92286 18.90
2 29.247 4.599
3 32.966 3.500 1.49700 81.55 (非球面)
4 19.046 18.307 (非球面)
5 -61.242 3.000 1.60300 65.44
6 61.242 17.963
7 369.459 9.820 1.78472 25.68
8 -69.266 0.527
9 -68.657 3.000 1.65412 39.68
10 -165.882 0.200
11 101.057 10.000 1.71299 53.87
12 -101.057 21.940
13 89.491 10.000 1.49700 81.55
14 -41.492 4.170 1.59551 39.24
15 -228.337 12.630
16 ∞ 1.486 (絞り)
17 -180.651 1.700 1.69895 30.13
18 18.721 3.330 1.59522 67.74
19 111.164 0.200
20 33.311 5.000 1.59522 67.74
21 -60.474 7.434
22 -60.511 6.000 1.86100 37.10
23 80.633 5.730 (非球面)
24 106.258 7.282 1.80000 29.84
25 -31.347 0.199
26 -154.813 1.710 1.64769 33.79
27 111.770 25.791
28 ∞ 1.720 1.51633 64.14 (フィルター)
29 ∞
30 ∞ (像面)
非球面係数
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 -0.09304 -4.60739E-06 5.96973E-09 -7.19807E-12 2.08578E-15
4 -0.90992 2.95283E-06 9.95813E-09 1.25571E-12 -9.93222E-15
23 0.00000 1.72050E-05 1.40349E-09 -2.71133E-11 -2.68776E-14
倍率 0.00000 -0.03315 -0.06630
物体距離 ∞ 728.979 345.187
D 6 17.963 18.240 18.507
D12 21.940 20.653 19.412
BF 28.423 28.960 29.501 (in Air)
【0073】
[数値実施例4]
焦点距離 25.67
Fナンバー 3.20
像高 17.95
面番号 R D Nd Vd
1 46.490 3.500 1.92286 18.90
2 30.839 2.943
3 51.738 3.500 1.48749 70.24 (非球面)
4 26.920 17.930 (非球面)
5 -56.263 3.000 1.60300 65.44
6 56.738 16.876
7 416.052 10.000 1.78472 25.68
8 -71.030 9.757
9 -69.906 3.000 1.65412 39.68
10 -125.473 0.835
11 96.222 10.215 1.71299 53.87
12 -95.345 22.011
13 54.872 9.975 1.49700 81.55
14 -35.332 5.741 1.59551 39.24
15 1285.041 5.041
16 ∞ 3.997 (絞り)
17 699.495 1.700 1.69895 30.13
18 18.849 3.517 1.59522 67.74
19 74.928 0.200
20 38.900 4.903 1.59522 67.74
21 -50.239 4.965
22 -53.370 6.000 1.86100 37.10
23 73.121 8.351 (非球面)
24 148.659 7.425 1.80000 29.84
25 -33.860 1.787
26 -155.146 1.700 1.64769 33.79
27 213.846 21.633
28 ∞ 1.720 1.51633 64.14 (フィルター)
29 ∞
30 ∞ (像面)
非球面係数
面番号 K A4 A6 A8 A10
3 0.06400 1.38364E-05 -1.41894E-08 1.29480E-11 1.39343E-15
4 -0.01464 1.40234E-05 -8.39805E-09 -1.29416E-11 4.52829E-14
23 0.00000 1.44851E-05 -2.80148E-09 -1.91778E-11 0.00000E+00
倍率 0.00000 -0.03315 -0.06629
物体距離 ∞ 733.301 346.280
D 6 16.876 17.286 17.694
D12 22.011 20.603 19.202
BF 23.271 23.716 24.161 (in Air)
【0074】
【符号の説明】
【0075】
1-1:第1群第1レンズ、1-2:第1群第2レンズ、1-3:第1群第3レンズ
2-1:第2群第1レンズ、2-2:第2群第2レンズ、2-3:第2群第3レンズ
3-1:第3群第1レンズ、3-2:第3群第2レンズ、3-3:第3群第3レンズ
3-4:第3群第4レンズ、3-5:第3群第5レンズ、3-6:第3群第6レンズ
3-7:第3群第7レンズ、3-8:第3群第8レンズ