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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電力変換装置及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240611BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020141333
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037283
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(72)【発明者】
【氏名】目黒 一由希
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 雄大
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-337084(JP,A)
【文献】特開平11-215838(JP,A)
【文献】特開2006-224690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
B60L 1/00
B60L 3/00
H02P 6/00
H02P 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電流源から電力変換して駆動部へ電力を供給する電力変換部と、
第2の電流源から電力が供給され、前記電力変換部を制御する制御部と、
前記電力変換部又は前記駆動部で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の電流源から前記電力変換部への電力供給を遮断することで、前記電力変換部から前記駆動部への電力供給を遮断した後、予め設定された収束経過時間を経過した時、前記第2の電流源から前記制御部への電力供給を遮断することで、前記制御部の動作を停止し、
その後、前記第2の電流源から前記制御部へ電力供給されて再起動すると、前記温度検出部が検出した実温度に基づいて、前記電力変換部が前記第1の電流源から電力変換して前記駆動部へ供給する電力を制御する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記収束経過時間は、前記駆動部に流れる電流値、前記駆動部に流れる電流の周波数、及び、前記実温度に基づいて推定した前記熱源の温度である制御用推定温度と、前記実温度との温度差が予め設定された規定範囲内に収束するものとして、予め設定された時間である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記駆動部に流れる電流値を取得するとともに、前記駆動部に流れる電流の周波数を取得し、前記温度検出部が検出した実温度を取得し、前記電流値、前記周波数及び前記実温度に基づいて前記熱源の温度を算出した制御用推定温度を取得する機能を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記駆動部への電力供給を遮断した後、前記収束経過時間の経過前に、前記熱源の温度である制御用推定温度と、前記実温度との温度差が予め設定された規定範囲内に収束した場合には、
前記収束経過時間の経過前であっても、前記制御部への電力供給を遮断することで、前記制御部の動作を停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記駆動部への電力供給を遮断した後、前記制御用推定温度と前記実温度との前記温度差が前記規定範囲内に収束している場合には、前記再起動すると、前記再起動後に前記実温度に基づいて、前記電力変換部から前記駆動部へ供給する電力を制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部が用いる情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記記憶部は、前記駆動部に流れる電流値及び前記駆動部に流れる電流の周波数の組み合わせと、前記熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを記憶しており、
前記制御部は、
前記駆動部への電力供給を遮断した後、前記収束経過時間の経過前の間に、
前記飽和温度情報テーブルを参照して、取得した前記駆動部に流れる電流値と取得した前記駆動部に流れる電流の周波数との組み合わせに対応する、前記熱源の現在の飽和温度を算出するa工程と、
前記現在の飽和温度と第1係数を用いることで、前記熱源の温度を推定した現在推定熱源温度を算出するc工程と、
前記現在推定熱源温度と第2係数を用いることで、前記熱源の近傍の温度を推定した現在推定検出部温度を算出するe工程と、
前記温度検出部が検出した実温度を取得するf工程と、
前記現在推定検出部温度から前記実温度を減算することで、温度差分を算出するg工程と、
前記温度差分に予め設定された温度補正係数を乗算することで、温度補正値を算出するh工程と、
前記現在推定熱源温度に前記温度補正値を加算することで、制御用推定温度を算出するi工程と、を実行する機能を備え、
前記c工程の前記現在推定熱源温度は、
前記現在の飽和温度が過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1N閾値以下である場合は、前記第1係数を第1N係数とし、下記式33で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1N閾値より大きい場合は、前記第1係数を前記第1N係数より小さい第2N係数とし、下記式34で算出され、
前記過去推定熱源温度は、第1の時間前に現在推定熱源温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度であり、
前記e工程の前記現在推定検出部温度は、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値以下である場合は、前記第2係数を第3N係数とし、下記式43で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値より大きい場合は、前記第2係数を前記第3N係数より小さい第4N係数とし、下記式44で算出され、
前記過去推定検出部温度は、前記第1の時間前に現在推定検出部温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力変換装置。
現在推定熱源温度 = 第1N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式33)
現在推定熱源温度 = 第2N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式34)
現在推定検出部温度 =第3N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式43)
現在推定検出部温度 =第4N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式44)
【請求項7】
前記a工程、前記c工程、前記e工程及び前記i工程は、前記第1の時間毎に繰り返し、
前記f工程、前記g工程及び前記h工程は、前記第1の時間より長い第2の時間毎に繰り返す
ことを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御部は、算出した前記制御用推定温度のデータを前記記憶部に記憶させる機能を有する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
第1の電流源と、第2の電流源と、前記第1の電流源から電力変換して駆動部へ電力を供給する電力変換部とを制御する制御装置を有し、
前記制御装置は、
前記第2の電流源から電力が供給され、前記電力変換部を制御する制御部と、
前記電力変換部又は前記駆動部で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の電流源から前記電力変換部への電力供給を遮断することで、前記電力変換部から前記駆動部への電力供給を遮断した後、予め設定された収束経過時間を経過した時、前記第2の電流源から前記制御部への電力供給を遮断することで、前記制御部の動作を停止し、
その後、前記第2の電流源から前記制御部へ電力供給されて再起動すると、前記温度検出部が検出した実温度に基づいて、前記電力変換部が前記第1の電流源から電力変換して前記駆動部へ供給する電力を制御する
ことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両は、車輪を駆動するためのモータと、モータ等を制御するための駆動装置を有する。
【0003】
このような電動車両において、モータを駆動させるときに発熱する部品の熱源の温度を直接測定できない場合に、制御部がソフト的にサーミスタにより検出した温度等に基づいて、熱源の温度を推定する場合がある(例えば、特許文献1、2参照)。この場合において、当該制御部の電源を落とすと、電源が落ちている間は熱源の温度の推定は実行されない。このため、当該制御部は、再起動時に、現在の熱源の推定温度は、把握されていない。
【0004】
そのため、上記従来の電動車両では、制御部の再起動後において、例えば、発熱する部品の熱源の推定温度が当該部品を破損させる閾値の温度以上であるにも拘わらず、サーミスタにより検出した温度に基づいて推定している熱源の温度が当該閾値未満になる場合がある。
【0005】
このような場合、制御部は、熱源の推定温度が温度保護機能を実行して熱源の温度上昇を抑える必要があるにも拘わらず、温度保護機能を実行しないため、熱源の温度が上昇し過ぎるのを抑制できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-123552号公報
【文献】特開2017-123628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の種々の態様は、制御部の動作を停止した後から制御部を再起動するまでの間に発熱する部品の熱源の温度推定が行われなくても、制御部の再起動時に、適切に温度保護機能を実行して熱源の温度が上昇し過ぎるのを抑制できる電力変換装置、及び、制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0009】
[1]第1の電流源から電力変換して駆動部へ電力を供給する電力変換部と、
第2の電流源から電力が供給され、前記電力変換部を制御する制御部と、
前記電力変換部又は前記駆動部で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1の電流源から前記電力変換部への電力供給を遮断することで、前記電力変換部から前記駆動部への電力供給を遮断した後、予め設定された収束経過時間を経過した時、前記第2の電流源から前記制御部への電力供給を遮断することで、前記制御部の動作を停止し、
その後、前記第2の電流源から前記制御部へ電力供給されて再起動すると、前記温度検出部が検出した実温度に基づいて、前記電力変換部が前記第1の電流源から電力変換して前記駆動部へ供給する電力を制御する
ことを特徴とする電力変換装置。
【0010】
[2]前記収束経過時間は、前記駆動部に流れる電流値、前記駆動部に流れる電流の周波数、及び、前記実温度に基づいて推定した前記熱源の温度である制御用推定温度と、前記実温度との温度差が予め設定された規定範囲内に収束するものとして、予め設定された時間である
ことを特徴とする上記[1]に記載の電力変換装置。
【0011】
[3]前記制御部は、
前記駆動部に流れる電流値を取得するとともに、前記駆動部に流れる電流の周波数を取得し、前記温度検出部が検出した実温度を取得し、前記電流値、前記周波数及び前記実温度に基づいて前記熱源の温度を算出した制御用推定温度を取得する機能を有する
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の電力変換装置。
【0012】
[4]前記制御部は、
前記駆動部への電力供給を遮断した後、前記収束経過時間の経過前に、前記熱源の温度である制御用推定温度と、前記実温度との温度差が予め設定された規定範囲内に収束した場合には、
前記収束経過時間の経過前であっても、前記制御部への電力供給を遮断することで、前記制御部の動作を停止させる
ことを特徴とする上記[3]に記載の電力変換装置。
【0013】
[5]前記制御部は、
前記駆動部への電力供給を遮断した後、前記制御用推定温度と前記実温度との前記温度差が前記規定範囲内に収束している場合には、前記再起動すると、前記再起動後に前記実温度に基づいて、前記電力変換部から前記駆動部へ供給する電力を制御する
ことを特徴とする上記[4]に記載の電力変換装置。
【0014】
[6]前記制御部が用いる情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記記憶部は、前記駆動部に流れる電流値及び前記駆動部に流れる電流の周波数の組み合わせと、前記熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを記憶しており、
前記制御部は、
前記駆動部への電力供給を遮断した後、前記収束経過時間の経過前の間に、
前記飽和温度情報テーブルを参照して、取得した前記駆動部に流れる電流値と取得した前記駆動部に流れる電流の周波数との組み合わせに対応する、前記熱源の現在の飽和温度を算出するa工程と、
前記現在の飽和温度と第1係数を用いることで、前記熱源の温度を推定した現在推定熱源温度を算出するc工程と、
前記現在推定熱源温度と第2係数を用いることで、前記熱源の近傍の温度を推定した現在推定検出部温度を算出するe工程と、
前記温度検出部が検出した実温度を取得するf工程と、
前記現在推定検出部温度から前記実温度を減算することで、温度差分を算出するg工程と、
前記温度差分に予め設定された温度補正係数を乗算することで、温度補正値を算出するh工程と、
前記現在推定熱源温度に前記温度補正値を加算することで、制御用推定温度を算出するi工程と、を実行する機能を備え、
前記c工程の前記現在推定熱源温度は、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1N閾値以下である場合は、前記第1係数を第1N係数とし、下記式33で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1N閾値より大きい場合は、前記第1係数を前記第1N係数より小さい第2N係数とし、下記式34で算出され、
前記過去推定熱源温度は、第1の時間前に現在推定熱源温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度であり、
前記e工程の前記現在推定検出部温度は、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値以下である場合は、前記第2係数を第3N係数とし、下記式43で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値より大きい場合は、前記第2係数を前記第3N係数より小さい前記第4N係数とし、下記式44で算出され、
前記過去推定検出部温度は、前記第1の時間前に現在推定検出部温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度である
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力変換装置。
現在推定熱源温度 = 第1N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式33)
現在推定熱源温度 = 第2N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式34)
現在推定検出部温度 =第3N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式43)
現在推定検出部温度 =第4N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式44)
【0015】
[7]前記a工程、前記c工程、前記e工程及び前記i工程は、前記第1の時間毎に繰り返し、
前記f工程、前記g工程及び前記h工程は、前記第1の時間より長い第2の時間毎に繰り返す
ことを特徴とする上記[6]に記載の電力変換装置。
【0016】
[8]前記制御部は、算出した前記制御用推定温度のデータを前記記憶部に記憶させる機能を有する
ことを特徴とする上記[6]又は[7]に記載の電力変換装置。
【0017】
[9]前記駆動部はモータであり、
前記電力変換部は、前記第1の電流源から供給された直流電圧から前記モータを駆動するためのモータ駆動電圧を生成するブリッジ回路を含み、
前記制御部は、前記モータ駆動電圧を前記モータに供給することで、前記モータを駆動させるように前記電力変換部を制御し、
前記温度検出部は、前記熱源の近傍の温度を検出するためのサーミスタである
ことを特徴とする上記[1]から[8]のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【0018】
[10]前記熱源は、
前記電力変換部のブリッジ回路を構成するトランジスタであり、
前記サーミスタは、
前記トランジスタに近接して配置されている
ことを特徴とする上記[9]に記載の電力変換装置。
【0019】
[11]前記熱源は、
前記モータのコイルであり、
前記サーミスタは、
前記コイルに近接して配置されている
ことを特徴とする上記[9]に記載の電力変換装置。
【0020】
[12]第1の電流源と、第2の電流源と、前記第1の電流源から電力変換して駆動部へ電力を供給する電力変換部とを制御する制御装置を有し、
前記制御装置は、
前記第2の電流源から電力が供給され、前記電力変換部を制御する制御部と、
前記電力変換部又は前記駆動部で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の電流源から前記電力変換部への電力供給を遮断することで、前記電力変換部から前記駆動部への電力供給を遮断した後、予め設定された収束経過時間を経過した時、前記第2の電流源から前記制御部への電力供給を遮断することで、前記制御部の動作を停止し、
その後、前記第2の電流源から前記制御部へ電力供給されて再起動すると、前記温度検出部が検出した実温度に基づいて、前記電力変換部が前記第1の電流源から電力変換して前記駆動部へ供給する電力を制御する
ことを特徴とする制御装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の種々の態様によれば、制御部の動作を停止した後から制御部を再起動するまでの間に発熱する部品の熱源の温度推定が行われなくても、制御部の再起動時に、適切に温度保護機能を実行して熱源の温度が上昇し過ぎるのを抑制できる電力変換装置、及び、制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一態様に係る制御装置を示す模式図である。
図2図1に示す電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の温度と経過時間との関係を示す図である。
図3】本発明の一態様に係る電力変換装置を示す模式図である。
図4】本発明の一態様に係る電力変換装置を備えた電動車両を説明するための模式図である。
図5図4示す電力変換部30cの周辺の構成の一例を示す図である。
図6】温度保護機能を実行するために、熱源の温度とモータの制御との関係を示す図である。
図7図6に示す制限閾値51での目標制限トルク57の特性の一例を示す図である。
図8】モータを所定の回転数で駆動させた場合における、モータの電流値61、サーミスタSが検出した実サーミスタ温度62、熱源Zの実際の温度63、及び、熱源Zの飽和温度64の関係の一例を示す図である。
図9】所定の駆動期間、モータを所定の回転数で駆動させた場合における、モータの電流と熱源Zの飽和温度との関係の一例を示す図である。
図10】駆動部としてのモータの駆動を制御する際に、制御部が、温度保護機能を実行する基準となる熱源の温度を、モータの電流値(相電流値)とモータに流れる電流の周波数との関係に従って、上記の制御用推定温度又は実サーミスタ温度を選択する方法を説明する図である。
図11】第4の実施形態に係る電力変換部30cの周辺の構成を示す図である。
図12】一定の電流でモータを駆動させて熱源の温度が上昇する場合の通電時間と熱源の温度との関係を示す図である。
図13】一定の電流でモータを駆動させても熱源の温度が下降する場合の通電時間と熱源の温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
例えば、第1の実施形態として制御装置を説明するが、この制御装置は電動車両の負荷を駆動する電動車両制御装置に適用することも可能であるし、この制御装置を電動車両の負荷以外の負荷を駆動する駆動部を制御する装置に適用することも可能である。
【0025】
また、第2の実施形態として電力変換装置を説明するが、この電力変換装置は電動車両の負荷を駆動する電動車両制御装置に適用することも可能であるし、この電力変換装置を電動車両の負荷以外の負荷を駆動する駆動部を制御する装置に適用することも可能である。
【0026】
(第1の実施形態)
<制御装置>
図1は、本発明の一態様に係る制御装置を示す模式図である。図2は、図1に示す電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の温度と経過時間との関係を示す図である。
【0027】
図1に示す制御装置12は、電流源2の第1の電流源2bと、電流源2の第2の電流源2cと、第1の電流源2bから電力変換して駆動部3へ電力を供給する電力変換部30とを制御する装置である。この制御装置12は、電力変換部30を制御する制御部10と、電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部11とを備えている。制御部10には第2の電流源2cから電力が供給される。
【0028】
制御部10は次のような制御を行う。
【0029】
第1の電流源2bから電力変換部30への電力供給を遮断することで、電力変換部30から駆動部3への電力供給を遮断する(図2に示す経過時間T1)。その後、予め設定された収束経過時間73を経過した時(図2に示す経過時間T2)、第2の電流源2cから制御部10への電力供給を遮断することで、制御部10の動作を停止する。その後、第2の電流源2cから制御部10へ電力供給されて制御部10が再起動する(図2に示す経過時間T3)。そして、第1の電流源2bから電力変換して駆動部3へ電力を供給する(図2に示す経過時間T4)。この際に、温度検出部11が検出した実温度に基づいて、電力変換部30が第1の電流源2bから電力変換して駆動部3へ供給する電力を制御する。
【0030】
上記の制御装置によれば、第1の電流源2bから電力変換部30への電力供給を遮断することで、電力変換部30から駆動部3への電力供給を遮断した後、予め設定された収束経過時間を経過した時、第2の電流源2cから制御部10への電力供給を遮断する。この時(図2に示す経過時間T2)には、温度検出部11が検出する温度である実温度72が、電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の実際の温度(又は制御用推定温度71)に十分に近づいた状態となる。このため、その後に、第2の電流源2cから制御部10へ電力供給されて制御部10が再起動され、温度検出部11が検出した実温度72に基づいて、電力変換部30が第1の電流源2bから電力変換して駆動部3へ供給する電力を制御することで、適切に温度保護機能を実行することができ、電力変換部30又は駆動部3が破損する温度を超えるほどの電力供給が行われることを防止できる。つまり、制御部10の動作を停止した後から制御部10を再起動するまでの間に熱源の温度推定が行われなくても、制御部10の再起動時に、適切に温度保護機能を実行して熱源の温度が上昇し過ぎることを抑制できる。
【0031】
なお、上記の制御用推定温度及び温度保護機能の詳細については後述する。
【0032】
上記の収束経過時間73は、駆動部3に流れる電流値、駆動部3に流れる電流の周波数、及び、前記実温度に基づいて推定した前記熱源の温度である制御用推定温度71と、前記実温度との温度差が予め設定された規定範囲内に収束するものとして、予め設定された時間である(図2参照)。このように収束経過時間73に着目することで、制御部10の動作を停止した後に、制御部10を再起動して駆動部3へ供給する電力を制御する際に、適切に温度保護機能を実行することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
<電力変換装置>
図3は、本発明の一態様に係る電力変換装置を示す模式図であり、図1と同一部分には同一符号を付し、重複する説明はなるべく省略する。
【0034】
図3に示す電力変換装置1は、第1の電流源2bから電力変換して駆動部3へ電力を供給する電力変換部30と、電力変換部30を制御する制御部10と、電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部11とを備えている。この制御部10は、第1の実施形態と同様の制御を行う。
【0035】
なお、電流源2は例えばバッテリであってもよく、第1の電流源2bは例えば第1のバッテリであってもよく、第2の電流源2cは例えば第2のバッテリであってもよい。また、駆動部3は例えばモータであってもよい。
【0036】
本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、制御部10は、駆動部3に流れる電流値を取得するとともに、駆動部3に流れる電流の周波数を取得し、温度検出部11が検出した実温度を取得し、前記電流値、前記周波数及び前記実温度に基づいて電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の温度を算出した制御用推定温度を取得する機能を有する。この機能により、例えば図2に示す経過時間T1からT2までの間の収束経過時間73において制御用推定温度と実温度との温度差を検出することができる。なお、この機能の詳細については後述する。
【0038】
また、制御部10は、駆動部3への電力供給を遮断した後(即ち経過時間T1の後)、収束経過時間73の経過前に(即ち経過時間T2の前に)、電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の温度である制御用推定温度と実温度との温度差が予め設定された規定範囲内に収束した場合には、収束経過時間73の経過前であっても、制御部10への電力供給を遮断することで、制御部10の動作を停止させるとよい。この時には、温度検出部11が検出する実温度が、電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の温度を推定した制御用推定温度に十分に近づいた状態となっている。このように収束経過時間の経過前に制御部10の電力供給を遮断することで、第2の電流源2cの電力消費を抑制できる。
【0039】
上記の制御部10の動作を停止させた後に、第2の電流源2cから制御部10へ電力供給されて再起動すると、その再起動後には温度検出部11が検出した実温度に基づいて、電力変換部30から駆動部3へ供給する電力を制御するとよい。この時には、温度検出部11が検出する温度である実温度が、電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の実際の温度に十分に近づいた状態となっているため、適切に温度保護機能を実行することができる。その結果、電力変換部30又は駆動部3が破損する温度を超えるほどの電力供給が行われることを防止できる。
【0040】
また、図3に示すように、制御部10には記憶部20が接続されており、この記憶部20は制御部10が用いる情報を記憶するものである。また、記憶部20は、駆動部3に流れる電流値及び駆動部に流れる電流の周波数の組み合わせと、前記熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを記憶している。この飽和温度情報テーブルを、制御用推定温度を求める際に用いることで、制御用推定温度の精度を向上させることができる。
【0041】
ここでの飽和温度情報テーブルとは、駆動部3を所定の周波数で予め設定された駆動期間だけ連続して駆動させたときにおける、駆動部3に流れる電流の電流値及び駆動部3に流れる電流の周波数の組み合わせと、駆動部3を駆動させるときに発熱する熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けたテーブルである。この飽和温度は、少なくとも上記の駆動期間において、制御部10が駆動部3に対して連続して通電する(連続して電流が流れる)ように電力変換部30を制御することで、飽和する熱源の温度である。
【0042】
なお、上記の「駆動部3を所定の周波数で予め設定された駆動期間だけ連続して駆動させたときにおける、駆動部3に流れる電流の電流値及び駆動部3に流れる電流の周波数の組み合わせ」を、「駆動部3を所定の回転数で予め設定された駆動期間だけ連続して駆動させたときにおける、駆動部3に流れる電流の電流値及び駆動部3の回転数の組み合わせ」と置き換えてもよい。
【0043】
<制御用推定温度の算出方法>
制御部10は、以下の(a工程)から(i工程)により制御用推定温度を算出する。
(a工程)駆動部3に流れる電流値を取得するとともに、駆動部3に流れる電流の周波数を取得し、記憶部20に記憶された前記飽和温度情報テーブルを参照して、前記電流値と前記周波数との組み合わせに対応する、熱源の現在の飽和温度を算出する。
【0044】
(c工程)前記現在の飽和温度と第1係数を用いることで、前記熱源の温度を推定した現在推定熱源温度を算出する。
詳細には、前記現在推定熱源温度は、以下の(i)から(iv)のいずれかにより算出される。
(i)前記現在推定熱源温度は、前記現在の飽和温度が過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1P閾値以上である場合は、前記第1係数を第1P係数とし、下記式31で算出される。

現在推定熱源温度 = 第1P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式31)

なお、前記過去推定熱源温度は、第1の時間前に現在推定熱源温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度である。
(ii)前記現在推定熱源温度は、前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1P閾値未満である場合は、前記第1係数を前記第1P係数より小さい第2P係数とし、下記式32で算出される。

現在推定熱源温度 = 第2P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式32)

(iii)前記現在推定熱源温度は、前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1N閾値以下である場合は、前記第1係数を第1N係数とし、下記式33で算出される。

現在推定熱源温度 = 第1N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式33)

(iv)前記現在推定熱源温度は、前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1N閾値より大きい場合は、前記第1係数を前記第1N係数より小さい第2N係数とし、下記式34で算出される。

現在推定熱源温度 = 第2N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式34)
【0045】
(e工程)前記現在推定熱源温度と第2係数を用いることで、前記熱源の近傍の温度を推定した現在推定検出部温度を算出する。
詳細には、前記現在推定検出部温度は、以下の(i)から(iv)のいずれかにより算出される。
(i)前記現在推定検出部温度は、前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2P閾値以上である場合は、前記第2係数を第3P係数とし、下記式41で算出される。

現在推定検出部温度 =第3P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式41)

なお、前記過去推定検出部温度は、前記第1の時間前に現在推定検出部温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度である。
(ii)前記現在推定検出部温度は、前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が前記第2P閾値未満である場合は、前記第2係数を前記第3P係数より小さい第4P係数とし、下記式42で算出される。

現在推定検出部温度 =第4P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式42)

(iii)前記現在推定検出部温度は、前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値以下である場合は、前記第2係数を第3N係数とし、下記式43で算出される。

現在推定検出部温度 =第3N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式43)

(iv)前記現在推定検出部温度は、前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値より大きい場合は、前記第2係数を前記第3N係数より小さい前記第4N係数とし、下記式44で算出される。

現在推定検出部温度 =第4N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式44)
【0046】
(f工程)温度検出部11が検出した実温度を取得する。
(g工程)前記現在推定検出部温度から前記実温度を減算することで、温度差分を算出する。これを式5で表すと以下のようになる。

推定検出部温度-実温度=温度差分 ・・・(式5)
【0047】
(h工程)前記温度差分に予め設定された温度補正係数を乗算することで、温度補正値を算出する。これを式6で表すと以下のようになる。

温度差分×温度補正係数=温度補正値 ・・・(式6)

なお、温度補正係数の詳細については後述する。
【0048】
(i工程)前記現在推定熱源温度に前記温度補正値を加算することで、制御用推定温度を算出する。これを式7で表すと以下のようになる。

現在推定熱源温度+温度補正値=制御用推定温度 ・・・(式7)
【0049】
上記の算出方法では、熱源の飽和温度を基準として制御用推定温度を算出する。詳細には、電力変換部30又は駆動部3の熱伝導や周囲の温度の影響を考慮して、温度検出部11が検出した実温度、駆動部3に流れる電流の電流値及び駆動部3に流れる電流の周波数に基づいて、電力変換部30又は駆動部3で発熱する熱源の温度をより正確に推定することができる。
【0050】
図3に示す制御部10は、上記の算出方法により算出した制御用推定温度のデータを記憶部20に記憶させる機能を有していてもよい。
【0051】
(第3の実施形態)
<電動車両>
図4は、本発明の一態様に係る電力変換装置を備えた電動車両を説明するための模式図である。
【0052】
図4の電動車両は、電流源としてのバッテリ2aの第1の電流源としての第1のバッテリ2dから供給される電力を用いてモータ3xを駆動することで前進または後退する車両である。なお、モータ3xは駆動部としての一例である。
【0053】
この電動車両は、電動バイク等の電動二輪車であり、より詳しくは、モータ3xと車輪等の負荷8がクラッチを介さずに機械的に直接接続された電動二輪車である。なお、本発明の一態様に係る電動車両は、二輪車に限定されるものではなく、例えば三輪または四輪の電動車両であってもよい。
【0054】
図4に示すように、電動車両は、電力変換装置1aと、記憶部20aと、第1の電流源としての第1のバッテリ2d及び第2の電流源としての第2のバッテリ2eを備えた電流源としてのバッテリ2aと、モータ3xと、アングルセンサ4と、アクセルポジションセンサ(図示せず)と、アシストスイッチ6と、メータ(表示部)7と、負荷8と、充電器9と、を備えている。
【0055】
以下、図4の電動車両の各構成要素について詳しく説明する。
【0056】
電力変換装置1aは、電動車両の各構成を制御する装置であり、既述のように、例えば、電動二輪車(電動車両)に積載されるようになっている。この場合、負荷8は、電動二輪車の車輪8である。そして、モータ3xは、当該電動二輪車の車輪に接続されている。そして、電力変換装置1aは、第1のバッテリ2dから電力変換してモータ3xへ電力を供給する電力変換部30cを制御することができる。電力変換部30cを制御することで、負荷8を駆動するモータ3xを制御することができる。
【0057】
なお、電力変換装置1aは、電動車両全体を統御するECU(Electronic Control Unit)として構成されてもよい。
【0058】
この電力変換装置1aは、図4に示すように、制御部10aと、電力変換部30cと、温度検出部11aを備えている。この温度検出部11aは、電力変換部30cの熱源Zの近傍の温度を検出するためのサーミスタSである(図5参照)。しかし、後述のように、電力変換装置1aは、モータ3xの熱源Zの近傍の温度を検出するためのサーミスタSを備えるようにしてもよい。
【0059】
そして、バッテリ2aは、第1のバッテリ2dと、第2のバッテリ2eとを含む。例えば、第1のバッテリ2ddは、リチウムイオン電池であり、第2のバッテリ2eは鉛電池である。
【0060】
第1のバッテリ2dは、電動車両の負荷8を回転させるモータ3xに電力を供給する。より詳しくは、第1のバッテリ2dは電力変換部30cに直流電力を供給する。既述のように、第1のバッテリ2dは、例えばリチウムイオン電池であるが、他の種類のバッテリを用いてもよい。
【0061】
また、第2のバッテリ2eは、例えば、制御部10aに動作電圧を供給するための鉛電池である。
【0062】
また、バッテリ2aは、バッテリ管理ユニット(BMU)を含む。バッテリ管理ユニットは、バッテリ2aの電圧やバッテリ2aの状態(充電率等)に関するバッテリ情報を制御部10aに送信する。なお、第1のバッテリ2d及び第2のバッテリ2eの各々の数は一つに限らず、複数であってもよい。すなわち、電動車両には、互いに並列または直列に接続された複数のバッテリが設けられてもよい。
【0063】
また、モータ3xは、電力変換部30cから供給される交流電力により駆動される3相モータである。このモータ3xは、負荷8としての車輪に機械的に接続されており、所望の方向に車輪を回転させる。本実施形態では、モータ3xは、クラッチ(変速機構を含む。)を介さずに車輪に機械的に直接接続されている。なお、モータ3xの種類は特に限定されない。
【0064】
また、アングルセンサ4は、モータ3xのロータの回転角度を検出するセンサである。ロータの周面には、N極とS極の磁石(センサマグネット)が交互に取り付けられている(図示せず)。
【0065】
このアングルセンサ4は、例えばホール素子により構成されており、モータ3xの回転に伴う磁場の変化を検出するようになっている。
【0066】
また、上記のアクセルポジションセンサは、電動車両(電動二輪車)のユーザによるアクセルに対する操作量(以下、「アクセル操作量」という。)を検知し、電気信号として制御部10aに送信する。アクセル操作量は、エンジン車のスロットル開度に相当する。
【0067】
上記のアクセルポジションセンサにより、ユーザが加速したい場合にアクセル操作量は大きくなり、ユーザが減速したい場合にアクセル操作量は小さくなる。
【0068】
特に、本実施形態においては、アクセルポジションセンサは、電動車両(電動二輪車)のユーザによるアクセルに対する操作量を検知し、電気信号として制御部10aに送信するようになっている。
【0069】
また、アシストスイッチ6は、ユーザが電動車両のアシストを要求する際に操作されるスイッチである。アシストスイッチ6は、ユーザにより操作されると、アシスト要求信号を制御部10aに送信する。
【0070】
また、メータ(表示部)7は、電動車両に設けられたディスプレイ(例えば液晶パネル)であり、各種情報を表示する。メータ7は、例えば、電動車両のハンドル(図示せず)に設けられる。メータ7には、電動車両の走行速度、バッテリ2aの残量、現在時刻、総走行距離、および残走行距離などの情報が表示される。残走行距離は、電動車両があとどれくらいの距離を走行できるのかを示す。
【0071】
また、充電器9は、電源プラグ(図示せず)と、この電源プラグを介して供給される交流電源を直流電源に変換するコンバータ回路(図示せず)とを有する。コンバータ回路で変換された直流電力によりバッテリ2aは充電される。充電器9は、例えば、電動車両内の通信ネットワーク(CAN等)を介して電力変換装置1aに通信可能に接続されている。
【0072】
また、制御部10aは、電力変換装置1aに接続された各種装置から情報が入出力されるようになっている。
【0073】
具体的には、制御部10aは、バッテリ2a、アングルセンサ4、アクセルポジションセンサ、アシストスイッチ6、充電器9から出力される各種信号を受信する。制御部10aは、メータ7に表示する信号を出力する。また、制御部10aは、電力変換部30cを介してモータ3xを制御する。制御部10aの詳細については後述する。
【0074】
また、記憶部20aは、制御部10aが用いる情報(後述の各種マップなど)や、制御部10aが動作するためのプログラムを記憶する。この記憶部20aは、例えば不揮発性の半導体メモリであるが、これに限定されない。なお、記憶部20aは制御部10aの一部として組み込まれていてもよい。
【0075】
特に、この記憶部20aは、飽和温度情報テーブル(図示せず)を記憶するようになっている。この飽和温度情報テーブルは、モータ3xを所定の回転数で予め設定された駆動期間だけ連続して駆動させたときにおける、モータ3xに流れる電流値及びモータ3xに流れる電流の周波数の組み合わせと、モータ3xを駆動させるときに発熱する熱源Zの熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けたテーブルである。
なお、上記の「モータ3xに流れる電流値及びモータ3xに流れる電流の周波数の組み合わせ」を、「モータ3xの相電流の相電流値及びモータ3xの回転数の組み合わせ」と置き換えてもよい。
【0076】
さらに、記憶部20aは、後述するように、熱源温度が制限閾値である場合における、駆動部としてのモータ3xに流れる電流の周波数と目標制限トルクとを関連付けた目標制限トルクテーブルを記憶するようになっている。なお、上記の「モータ3xに流れる電流の周波数」を、「モータ3xの回転数」に置き換えてもよい。
【0077】
そして、上述の飽和温度は、少なくとも既述の駆動期間において、制御部10aがモータ3xに対して連続して通電する(連続して電流(相電流)が流れる)ように電力変換部30cのブリッジ回路Xを制御することで、飽和する熱源Zの温度である(図8参照)。
【0078】
また、電力変換部30cは、バッテリ2a(より詳しくは第1のバッテリ2d)から出力される直流電力を交流電力に変換してモータ3xに供給するようになっている(図4参照)。
【0079】
そして、インバータ装置である電力変換部30cは、第1のバッテリ2dから供給された直流電圧からモータ3xを駆動するためのモータ駆動電圧を生成する第1ないし第3のハーフブリッジを含むブリッジ回路Xを備える。このブリッジ回路Xを備えることで、モータを駆動するのに必要な正弦波の位相、波高を制御し、モータを効率よく使用することで熱の発生を最低限にすることが出来る。
【0080】
図5に示すように、第1ないし第3のハーフブリッジは、それぞれ、直列に接続されたハイサイドトランジスタ(半導体スイッチQ1,Q3,Q5)とローサイドトランジスタ(半導体スイッチQ2,Q4,Q6)とを含む。
【0081】
なお、これらの半導体スイッチQ1~Q6の制御端子は、制御部10aに電気的に接続されている。電源端子30aと電源端子30bとの間には平滑コンデンサCが設けられている。半導体スイッチQ1~Q6は、例えばMOSFETまたはIGBT等である。
【0082】
そして、半導体スイッチQ1は、図5に示すように、バッテリ2a(第1のバッテリ2d)の正極が接続された電源端子30aと、モータ3xの入力端子3aとの間に接続されている。
【0083】
同様に、半導体スイッチQ3は、電源端子30aと、モータ3xの入力端子3bとの間に接続されている。
【0084】
半導体スイッチQ5は、電源端子30aと、モータ3xの入力端子3cとの間に接続されている。
【0085】
半導体スイッチQ2は、モータ3xの入力端子3aと、バッテリ2aの負極が接続された電源端子30bとの間に接続されている。
【0086】
同様に、半導体スイッチQ4は、モータ3xの入力端子3bと、電源端子30bとの間に接続されている。
【0087】
半導体スイッチQ6は、モータ3xの入力端子3cと、電源端子30bとの間に接続されている。
【0088】
なお、入力端子3aはモータ3xのU相の入力端子であり、入力端子3bはモータ3xのV相の入力端子であり、入力端子3cはモータ3xのW相の入力端子である。
【0089】
また、制御部10aは、第2のバッテリ2eから供給される直流電圧により起動するとともに、外部から入力された指令信号に応じた指令トルクをモータ3xから出力するように、電力変換部30cを制御して、モータ駆動電圧をモータ3xに供給することで、モータ3xを駆動することができる。
【0090】
ここで、前述したように、アクセルポジションセンサは、電動車両(電動二輪車)のユーザによるアクセルに対する操作量を検知し、電気信号として制御部10に送信するようになっている。そして、このアクセルポジションセンサが出力する電気信号は、この場合、当該指令信号に相当する。
【0091】
制御部10aは、モータステージに応じて、電力変換部30cの半導体スイッチQ1~Q6をオンオフ制御する。これにより、第1のバッテリ2dから供給される直流電力が交流電力に変換される。
【0092】
なお、制御部10aは、ユーザの操作入力に応じて、第1のバッテリ2dから電力変換部30cへの直流電圧の供給を停止するようになっている。一方、制御部10aは、ユーザの操作入力に応じて、第1のバッテリ2dから電力変換部30cへの直流電圧の供給を開始するようになっている。
【0093】
前述したように、サーミスタSは、モータ3xを駆動させるときに発熱する熱源Zの近傍に配置され、熱源Zの温度を検出するようになっている(図5参照)。そして、熱源Zは、図5に示すように、電力変換部30cのブリッジ回路Xを構成するトランジスタQ1~Q6である。
【0094】
このサーミスタSは、本実施形態においては、トランジスタQ1~Q6に近接して配置されている。サーミスタSを用いることで、基盤設計が容易なことと温度による抵抗変化で温度を読み取れるため、変換する制御が簡素に構築できる。
【0095】
特に、図5に示すように、サーミスタSは、3個のサーミスタS1、S2、S3を含む。そして、サーミスタS1は、第1のハーフブリッジのハイサイドトランジスタQ1の近傍に配置されている。さらに、サーミスタS2は、第2のハーフブリッジのハイサイドトランジスタQ3の近傍に配置されている。さらに、サーミスタS3は、第3のハーフブリッジのハイサイドトランジスタQ5の近傍に配置されている。
【0096】
このように、サーミスタS(S1、S2、S3)は、特に発熱量が大きいとされる第1ないし第3のハーフブリッジのハイサイドトランジスタQ1、Q3、Q5のそれぞれの近傍に配置されている。
【0097】
ここで、制御部10aの電源の立ち下げ時において、前述した制御用推定温度と、サーミスタSにより検出した実サーミスタ温度(実温度)との温度差が予め設定された規定範囲内に収束するのを待ってから、制御部10aの電源を落とすことで、その後の制御部10aの再起動時に、適切に温度保護機能を実行する動作の例について説明する。
【0098】
例えば、制御部10aは、第1のバッテリ2dから電力変換部30cへの直流電流の供給を遮断することで、電力変換部30cからモータ3xに対するモータ駆動電圧の供給を遮断して、モータ3xの制御を停止した後、予め設定された収束経過時間を経過したとき、第2のバッテリ2eから制御部10aへの直流電圧の供給を遮断することで、制御部10aの動作を停止する。
【0099】
その後、制御部10aは、第2のバッテリ2eから直流電圧が供給されて再起動すると、サーミスタSが検出した温度である実サーミスタ温度(実温度)に基づいて、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。
【0100】
これにより、制御部10aは、再起動時に、熱源Zの実際の温度に実サーミスタ温度が十分近づいた状態で、当該実サーミスタ温度に基づいて、モータ3xの制御を実行でき、適切に温度保護機能を実行することができる(図2参照)。
【0101】
なお、収束経過時間は、例えば、モータ3xの電流の電流値、モータ3xに流れる電流の周波数、及び、実サーミスタ温度に基づいて推定した熱源Zの温度である制御用推定温度と、当該実サーミスタ温度との温度差が予め設定された規定範囲内に収束するものとして、予め設定された時間である。なお、上記及び下記の「モータ3xの電流の電流値」を、「モータ3xの相電流の相電流値」に置き換えてもよい。また、上記及び下記の「モータ3xに流れる電流の周波数」を、「モータ3xの回転数」に置き換えてもよい。
【0102】
また、制御部10aは、モータ3xの制御を停止した後、既述の収束経過時間の経過前に制御用推定温度と実サーミスタ温度との当該温度差が既述の規定範囲内に収束した場合には、収束経過時間の経過に拘わらず、第2のバッテリ2eから制御部10aへの直流電圧の供給を遮断することで、制御部10aの動作を停止する。
なお、モータ3xの制御を停止した後、既述の収束経過時間の経過前に制御用推定温度と実サーミスタ温度との温度差が規定範囲内に収束したか否かを判断する方法については後述する。
【0103】
そして、制御部10aは、上記の温度差が規定範囲内に収束した経緯等を示す情報を記憶部20aに記憶させるようにしてもよい。これにより、制御部10aは、再起動後に、記憶部20aに記憶された情報を参照することで、次にモータ3xの制御を停止した後において当該温度差が規定範囲内に収束したか否かの判断材料とすることができる。
【0104】
なお、制御部10aは、サーミスタS又はモータ3xの電流(相電流)を検出する電流センサが故障している場合には、当該収束経過時間を経過したとき、第2のバッテリ2eから制御部10aへの直流電圧の供給を遮断することで、制御部10aの動作を停止するようにしてもよい。
【0105】
また、制御部10aは、記憶部20aのデータが化けている時、又は、制御部10aが暴走している時は、制御部10aの動作をリセットするようにするようにしてもよい。
【0106】
また、制御部10aは、第2のバッテリ2eの電圧が予め設定された下限電圧値未満に低下した時は、(制御部10aの電源が確保できないため、)第1のバッテリ2dから電力変換部30cへの直流電圧の供給を遮断することで、電力変換部30cからモータ3xに対するモータ駆動電圧の供給を遮断した後、第2のバッテリ2eから制御部10aへの直流電圧の供給を遮断するようにしてもよい。
【0107】
また、制御部10aは、モータ3xの制御を停止した後、制御用推定温度と実サーミスタ温度との当該温度差が既述の規定範囲内に収束している場合には、再起動すると、再起動後にサーミスタが検出した実サーミスタ温度(実温度)に基づいて、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。
【0108】
また、既述のように、記憶部20aは、算出した制御用推定温度のデータを記憶する機能を有していてもよい。
【0109】
なお、制御部10aは、再起動した時に、記憶部20aに記憶されていた制御用推定温度のデータが消失している場合には、予め設定した初期温度を制御用推定温度として用いて、当該初期温度に基づいて、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。この初期温度は、例えば、後述の制限閾値以上であり且つ異常閾値未満の温度である。
【0110】
これにより、記憶部20aに記憶されていた制御用推定温度のデータが消失している場合に、モータ3xのトルクを制限する状態から動作を開始して、安全にモータ3xを駆動させることができる。
【0111】
<温度保護機能の実行>
図6は、温度保護機能を実行するために、熱源の温度とモータの制御との関係を示す図である。図7は、図6に示す制限閾値51での目標制限トルク57の特性の一例を示す図である。
【0112】
図7に示すように、制限閾値での目標制限トルク57とモータ3xに流れる電流の周波数は二次関数の関係にある。すなわち、この目標制限トルク57は、熱源温度が図6に示す制限閾値51である場合に、モータ3xに流れる電流の周波数が増加すると増加し、一方、モータ3xに流れる電流の周波数が減少すると減少するように設定されている(図7参照)。
なお、上記及び下記の「モータ3xに流れる電流の周波数」を、「モータ3xの回転数」に置き換えてもよい。また、上記及び下記の熱源温度は、温度検出部としてのサーミスタSの検出結果に基づいて得られた温度である。
【0113】
また、記憶部20aは、上記の熱源温度が制限閾値51である場合における、モータ3xに流れる電流の周波数と目標制限トルク57とを関連付けた目標制限トルクテーブルを記憶するようになっている。したがって、制御部10aは、記憶部20aに記憶されている目標制限トルクテーブルを参照することで、モータ3xに流れる電流の周波数に関連付けられた目標制限トルク57を取得することができる。
【0114】
また、目標制限トルクテーブルでは、駆動部としてのモータ3xに流れる電流の周波数が高くなると目標制限トルク57は増加し、モータ3xに流れる電流の周波数が低くなると目標制限トルク57は減少するように設定されるとよい。これにより、制限閾値51での最小限のトルクを確保することができる。
なお、この「モータ3xに流れる電流の周波数が高くなると目標制限トルク57は増加し、モータ3xに流れる電流の周波数が低くなると目標制限トルク57は減少するように設定される」を、「モータ3xの回転数が高くなると目標制限トルクは増加し、モータ3xの回転数が低くなると目標制限トルクは減少するように設定される」に置き換えてもよい。
【0115】
ここで、温度保護機能を実行するために、図6に示すように、制御部10は、サーミスタSの検出結果に基づいて得られた熱源温度が、予め設定された制限閾値51以上であり且つ制限閾値51よりも高い予め設定された異常閾値52未満の制限状態53において、既述の指令信号に応じた指令トルクよりも小さい制限トルク54を出力するように、電力変換部30cを制御して、モータ3xを駆動する。
【0116】
なお、上記及び下記の熱源温度は、後述する制御用推定温度、又は、実サーミスタ温度(実温度)を用いてもよい。
【0117】
上記の制限トルク54を詳細に説明すると、まず、制御部10aは、モータ3xに流れる電流の周波数を取得する。
【0118】
また、上記の「モータ3xに流れる電流の周波数を取得する」を、「モータ3xの回転数を取得する」に置き換えてもよい。なお、制御部10aは、例えば、モータ3xに設けられたホール素子(図示せず)がモータ3xの回転に応じて出力した信号に基づいて、モータ3xの回転数を取得することができる。このようなホール素子を用いることで、モータ3xの回転数を取得するのに役立つと考えられる。
【0119】
次に、制御部10aは、上記の制限トルクを、記憶部20aに記憶された目標制限トルクテーブルを参照して、上記の取得した周波数に対応する目標制限トルク57の大きさ以上になるように設定する。なお、この「取得した周波数」を、「取得した回転数」に置き換えてもよい。
【0120】
これにより、熱源ZであるトランジスタQ1~Q6の温度が上昇して破損するのを抑制するとともに、モータ3xのトルクを下げながらも、電動車両の走行を継続させることができる。
なお、当該制限トルク54は、上記の熱源温度が異常閾値52を超えないように設定される。
【0121】
以上の説明により、上記の制限状態53における、制御部10aの動作により、ユーザの操作によりモータ3xのトルクを増加させてモータ3xが低角速度の状態で高電流が流れて、モータ3xを駆動させるときに発熱する熱源Zの温度が、温度保護機能を実行する制限閾値51以上に上昇する場合に、ユーザの操作に拘わらずモータの出力トルクを制限することで、温度の上昇を抑えることができる。
【0122】
一方、制御部10aは、上記の熱源温度が、上記の異常閾値52以上である異常状態55である場合、指令信号に拘わらず、モータ3xから出力するトルクがゼロになるように、電力変換部30cを制御して、モータ3xを停止させる(図6参照)。
【0123】
例えば、制御部10aは、上記の熱源温度が異常閾値52以上である異常状態55を、制御部10aのシステムの異常が発生した状態と判断するようにしてもよい。これにより、例えば、トランジスタQ1~Q6に異常が発生した場合に、電動車両の走行を適切に停止させることができる。
【0124】
また、制御部10aは、上記の熱源温度がこの異常閾値52を超えた場合には、例えば、モータ3xを停止させた後、制御部10aの動作がリセットされるまで、モータ3xの制御を再開しないようにしてもよい。
【0125】
この異常状態55における、制御部10aの動作により、制御部10aや電力変換部30c等に異常が発生して熱源Zが非常に高い温度になった場合に、モータ3xを適切に停止させることができる。
【0126】
なお、制御部10aは、上記の熱源温度が、上記の制限閾値51未満の通常状態56においては、指令信号に応じた指令トルク58を出力するように、電力変換部30cを制御して、モータ3xを駆動させる(図6参照)。
【0127】
この通常状態56における、制御部10aの動作により、ユーザの操作に基づいた指令信号に応じた指令トルク58をモータから出力させることができる。
【0128】
<制限状態における制限トルクでの動作の一例>
ここで、上記の制限状態において、制御部10aが制限トルク54を算出して、この制限トルク54でモータ3xを駆動するする動作の一例について説明する。
【0129】
先ず、制限状態において、制御部10aは、以下の(式A)に示すように、上記の熱源温度から制限閾値51を減算した値に、正の調整係数を積算することで、熱源温度と制限閾値51との間の温度差のパラメータである温度差値を算出する。
【0130】
また、上述の調整係数は、例えば、モータ3xが出力するトルクが制限トルク54になっている状態で、熱源温度が制限閾値51から異常閾値52までの範囲に収まるように設定される。

温度差値=正の調整係数×(熱源温度-制限閾値) ・・・(式A)
【0131】
次いで、制御部10aは、駆動部としてのモータ3xに流れる電流の周波数を取得する。
次に、記憶部20aに記憶された目標制限トルクテーブルを参照して、上記の取得した周波数に対応する目標制限トルク57を算出する。
【0132】
次に、制御部10aは、以下の(式B)に示すように、上記の目標制限トルク57から、モータ3xが現在出力している現在トルクを、減算した値に、上記の温度差値を積算することで、指令トルク58から差し引くための負のカットトルクを算出する。

カットトルク=温度差値×(目標制限トルク-現在トルク)・・・(式B)
【0133】
次に、制御部10aは、以下の(式C)に示すように、指令トルク58に負のカットトルクを加算する(すなわち、指令トルクからカットトルクの絶対値を減算する)ことにより、制限トルク54を算出する。

制限トルク=指令トルク+カットトルク・・・(式C)
【0134】
そして、制御部10aは、制限トルク54を出力するように、電力変換部30cを制御して、モータ3xを駆動する。
【0135】
これにより、ユーザのスロットル操作によりモータの出力トルクを増加させてモータが低角速度の状態で高電流が流れて熱源の温度が、温度保護機能を実行する閾値以上に上昇する場合に、ユーザのスロットル操作に拘わらずモータの出力トルクを制限することで、熱源の温度の上昇を抑えて、当該電動車両の走行を継続することができる。
【0136】
<温度保護機能を実行する時に用いる熱源温度を推定する方法>
温度保護機能を実行する際に用いる熱源温度を前述した制御装置1によって推定する方法の例について説明する。
ここで、熱源Zであるトランジスタのオン抵抗と駆動部としてのモータ3xの電流による温度上昇と、ユニットの熱容量、ユニットの周囲温度との熱伝導による物理モデルを考える。そして、熱源の熱が飽和するまで時間経過した際の飽和温度から当該トランジスタの温度を推測する。この推測温度と、計算誤差による実温度との乖離を防ぐために実温度を用いた手法とするものである(図8参照)。
なお、上記及び下記の「モータ3xの電流」を「モータ3xの相電流」に置き換えてもよい。
【0137】
まず、温度保護機能を実施するために、制御部10aは、モータ3xに流れる電流値(モータ3xの相電流を検出して相電流値(例えば100A))を取得するとともに、モータ3xに流れる電流の周波数(又はモータ3xの回転数(例えば1000rpm))を取得する。
【0138】
また、電流(相電流)の検出の際には、120°通電及び180°通電において、モータ3xの各トランジスタQ1~Q6のオン/オフの組み合わせで規定される6個のステージ毎に、各電流(各相電流)のピーク電流を取得して、スイッチングノイズを除去して平均化することで、電流値(相電流値)を取得するようにしてもよい。
【0139】
既述のように、記憶部20aは、モータ3xを所定の回転数で予め設定された駆動期間だけ連続して駆動させたときにおける、モータ3xに流れる電流値(相電流値)及びモータ3xに流れる電流の周波数(又はモータ3xの回転数)の組み合わせと、モータ3xを駆動させるときに発熱する熱源Zの熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを記憶している(図9参照)。
【0140】
(a工程)制御部10aは、記憶部20aに記憶された飽和温度情報テーブルを参照して、取得した電流値(相電流値;例えば100A)と取得した周波数(又は回転数(例えば1000rpm))との組み合わせに対応する(関連付けた)、熱源Zの現在の飽和温度(例えば90℃)を算出する。
【0141】
このように、現在の電流値(相電流値)と周波数(又は回転数)の各計測データに基づいて、予め設定された飽和温度情報テーブルを参照して、熱源Zの現在の飽和温度を算出する。
【0142】
次に、制御部10aは、以下の(式1)に示すように、現在の飽和温度に対する熱源Zの温度の時間変化の一次遅れの関係に基づいた第1係数(時定数)を用いることで、暫定的に推定した熱源Zの温度として現在推定熱源温度を算出する。つまり、図8に示すように、熱源の温度は、現在の飽和温度に対する一次遅れの関係65に基づく時定数(第1係数)を用いることで推定される。
なお、この第1係数は、例えば、0より大きく且つ1より小さい値である。この第1係数によって現在の飽和温度に対する一次遅れを補正することができる。
【0143】
以下に、上記の現在推定熱源温度の算出方法を詳細に説明する。
まず、第1係数について以下に詳細に説明する。図12は、一定の電流でモータを駆動させて熱源の温度が上昇する場合の通電時間と熱源の温度との関係を示す図である。図13は、一定の電流でモータを駆動させても熱源の温度が下降する場合の通電時間と熱源の温度との関係を示す図である。
【0144】
(b工程)上記の現在の飽和温度と第1の時間(例えば10ms)前(1回前)に算出した過去推定熱源温度(例えば100℃)を比較する。このとき、現在の飽和温度が過去推定熱源温度以上である以下の(式a)の場合は熱源の温度が上昇するものと判断する。このときの第1係数は正(P)となる。

(現在の飽和温度 -過去推定熱源温度)≧ 0 ・・・(式a)

なお、過去推定熱源温度は、前記第1の時間前に、現在推定熱源温度の算出方法と同様の方法で算出された温度である。また、過去推定熱源温度が算出されていない場合はサーミスタSで検出した実サーミスタ温度を用いてもよい。
【0145】
第1係数が正(P)となる場合で、現在の飽和温度と過去推定熱源温度との温度差がP傾き閾値(第1P閾値;例えば20℃)以上である以下の(式b)の場合は熱源の温度上昇が急激である以下の(i)と判断する。P傾き閾値は、ともいう。

(現在の飽和温度 -過去推定熱源温度) ≧ P傾き閾値 ・・・(式b)

(i) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて急激に上昇する場合(図12に示す符号81)であり、第1係数としてP係数(急)を使用する。このP係数(急)は例えば0.05である。このP係数(急)は、第1P係数ともいう。
【0146】
また、第1係数が正(P)となる場合で、現在の飽和温度と過去推定熱源温度との温度差がP傾き閾値(第1P閾値;例えば20℃)未満である以下の(式c)の場合は熱源の温度上昇が緩やかである以下の(ii)と判断する。

(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)< P傾き閾値 ・・・(式c)

(ii) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて緩やかに上昇する場合(図12に示す符号82)であり、第1係数としてP係数(緩)を使用する。このP係数(緩)は例えば0.03である。このP係数(緩)は、P係数(急)より小さく、第2P係数ともいう
【0147】
また、現在の飽和温度が過去推定熱源温度より低い以下の(式d)の場合は熱源の温度が下降するものと判断する。このときの第1係数は負(N)となる。

(現在の飽和温度 -過去推定熱源温度)< 0 ・・・(式d)

第1係数が負(N)となる場合で、現在の飽和温度と過去推定熱源温度との温度差がN傾き閾値(第1N閾値;例えば-30℃)以下である以下の(式e)の場合は熱源の温度下降が急激である以下の(iii)と判断する。

(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度) ≦ N傾き閾値 ・・・(式e)

(iii) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて急激に下降する場合(図13に示す符号83)であり、第1係数としてN係数(急)を使用する。このN係数(急)は例えば0.06である。このN係数(急)は、第1N係数ともいう。
【0148】
また、第1係数が負(N)となる場合で、現在の飽和温度と過去推定熱源温度との温度差がN傾き閾値(第1N閾値;例えば-30℃)より大きい以下の(式f)の場合は熱源の温度下降が緩やかである以下の(iv)と判断する。

(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度) > N傾き閾値 ・・・(式f)

(iv) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて緩やかに下降する場合(図13に示す符号84)であり、第1係数としてN係数(緩)を使用する。このN係数(緩)は例えば0.04である。なお、N係数(緩)は、N係数(急)より小さく、第2N係数ともいう。
【0149】
上記の判断に基づき、第1係数として上記の(i)から(iv)のP係数(急)からN係数(緩)のいずれかを使用する。
なお、第1係数は時定数であるため、温度が上昇する場合も下降する場合も係数は複雑なものとなるが、時定数を上記の4つの場合に近似することで、計算負荷を減らすことができるとともに熱源の温度推定の精度を高めることができる。
【0150】
(c工程)次に、以下の(式1)に示すように、上記の説明のとおり判断した第1係数(即ち、P係数(急)、P係数(緩)、N係数(急)、N係数(緩))を、前述した方法で算出した現在の飽和温度(例えば90℃)と過去推定熱源温度(例えば100℃)の差分に乗算し過去推定熱源温度に加算することで、暫定的に推定した熱源の温度として現在推定熱源温度(例えば99.6℃)を算出する。

現在推定熱源温度 = 第1係数(P係数(急)、P係数(緩)、N係数(急)、N係数(緩)のいずれか)×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式1)
【0151】
このように、時定数を計数化した第1係数を用いて、現在の飽和温度から、熱源Zであるトランジスタの温度を暫定的に推測する。
【0152】
次に、制御部10aは、以下の(式2)に示すように、熱源ZからサーミスタSへの熱伝導の時間変化の一次遅れの関係に基づき且つ既述の第1係数と異なる第2係数(時定数)を用いることで、暫定的に推定したサーミスタの温度である現在推定サーミスタ温度を算出する。つまり、図8に示すように、実サーミスタ温度は、熱源ZからサーミスタSへの熱伝導の時間変化の一次遅れの関係66に基づく時定数(第2係数)を用いることで推定される。
なお、現在推定サーミスタ温度は、現在推定検出部温度ともいう。
また、この第2係数は、例えば、0より大きく且つ1より小さい値である。この第2係数によって熱源ZからサーミスタSへの熱伝導の時間変化の一次遅れを補正することができる。
【0153】
以下に、上記の現在推定サーミスタ温度(現在推定検出部温度)の算出方法を詳細に説明する。
【0154】
まず、第2係数について以下に詳細に説明する。
(d工程)上記(式1)で算出した現在推定熱源温度と第1の時間(例えば10ms)前(1回前)に算出した過去推定サーミスタ温度を比較する。このとき、現在推定熱源温度が過去推定サーミスタ温度より高い以下の(式g)の場合はサーミスタの温度が上昇するものと判断する。このときの第2係数は正(P)となる。

(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度)≧ 0 ・・・(式g)

なお、過去推定サーミスタ温度は、前記第1の時間前に、現在推定サーミスタ温度の算出方法と同様の方法で算出された温度である。また、過去推定サーミスタ温度が算出されていない場合はサーミスタSで検出した実サーミスタ温度を用いてもよい。
【0155】
第2係数が正(P)となる場合で、現在推定熱源温度と過去推定サーミスタ温度との温度差がP傾き閾値(第2P閾値;例えば20℃)以上である以下の(式h)の場合はサーミスタの温度上昇が急激である以下の(i)と判断する。

(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度) ≧ P傾き閾値 ・・・(式h)

(i)サーミスタの温度が急激に上昇する場合であり、第2係数としてP係数(急)を使用する。このP係数(急)は例えば0.03である。このP係数(急)は、第3P係数ともいう。
【0156】
また、第2係数が正(P)となる場合で、現在推定熱源温度と過去推定サーミスタ温度との温度差がP傾き閾値(第2P閾値;例えば20℃)未満である以下の(式i)の場合はサーミスタの温度上昇が緩やかである以下の(ii)と判断する。

(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度)< P傾き閾値 ・・・(式i)

(ii) サーミスタの温度が緩やかに上昇する場合であり、第2係数としてP係数(緩)を使用する。このP係数(緩)は例えば0.02である。このP係数(緩)は、P係数(急)より小さく、第4P係数ともいう。
【0157】
また、現在推定熱源温度が過去推定サーミスタ温度より低い以下の(式j)の場合はサーミスタの温度が下降するものと判断する。このときの第2係数は負(N)となる。

(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度)< 0 ・・・(式j)

第2係数が負(N)となる場合で、現在推定熱源温度と過去推定サーミスタ温度との温度差がN傾き閾値(第2N閾値;例えば-10℃)以下である以下の(式k)の場合はサーミスタの温度下降が急激である以下の(iii)と判断する。

(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度) ≦ N傾き閾値 ・・・(式k)

(iii) サーミスタの温度が急激に下降する場合であり、第2係数としてN係数(急)を使用する。このN係数(急)は例えば0.02である。N係数(急)は、第3N係数ともいう。
【0158】
また、第2係数が負(N)となる場合で、現在推定熱源温度と過去推定サーミスタ温度との温度差がN傾き閾値(第2N閾値;例えば-10℃)より大きい以下の(式m)の場合はサーミスタの温度下降が緩やかである以下の(iv)と判断する。

(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度) > N傾き閾値 ・・・(式m)

(iv) サーミスタの温度が緩やかに下降する場合であり、第2係数としてN係数(緩)を使用する。このN係数(緩)は例えば0.01である。N係数(緩)は、第3N係数より小さく、第4N係数ともいう。
【0159】
上記の判断に基づき、第2係数として上記の(i)から(iv)のP係数(急)からN係数(緩)のいずれかを使用する。
なお、第2係数は時定数であるため、温度が上昇する場合も下降する場合も係数は複雑なものとなるが、時定数を上記の4つの場合に近似することで、計算負荷を減らすことができるとともに熱源の温度推定の精度を高めることができる。
【0160】
(e工程)次に、以下の(式2)に示すように、上記の説明のとおり判断した第2係数(即ち、P係数(急)、P係数(緩)、N係数(急)、N係数(緩))を、上記(式1)で算出した現在推定熱源温度(例えば46.65℃)と過去推定サーミスタ温度(例えば30℃)の差分に乗算し過去推定サーミスタ温度に加算することで、暫定的に推定したサーミスタの温度である現在推定サーミスタ温度(例えば30.5)を算出する。

現在推定サーミスタ温度 = 第2係数(P係数(急)、P係数(緩)、N係数(急)、N係数(緩)のいずれか) ×(現在推定熱源温度 - 過去推定サーミスタ温度)+過去推定サーミスタ温度・・・(式2)
【0161】
このように、時定数を計数化した第2係数を用いて、サーミスタSの温度を推測する。
【0162】
(f工程)次に、制御部10aは、サーミスタSが検出した実サーミスタ温度(例えば30.9℃)を取得する。
【0163】
(g工程)次に、制御部10aは、以下の(式3)に示すように、上記(式2)の現在推定サーミスタ温度(例えば30.5℃)からサーミスタSが検出した実サーミスタ温度(例えば30.9℃)を減算することで、温度差分(例えば0.4℃)を算出する。

現在推定サーミスタ温度-実サーミスタ温度=温度差分 ・・・(式3)

なお、実サーミスタ温度は、実温度ともいう。
【0164】
(h工程)次に、制御部10aは、以下の(式4)に示すように、予め設定された温度補正係数(例えば0.9)を、上記(式3)で算出した温度差分に乗算することで、上記(式1)の現在推定熱源温度(例えば46.65℃)を補正するための温度補正値(例えば0.36℃)を算出することができる。

温度差分×温度補正係数=温度補正値 ・・・(式4)

なお、温度補正係数は、温度検出部(例えばサーミスタ)の種類や個体のバラツキから温度差分を制御用推定温度に反映させる割合である。
【0165】
(i工程)次に、制御部10aは、以下の(式5)に示すように、上記(式1)の現在推定熱源温度に上記(式4)の温度補正値を加算することで、制御用推定温度(例えば47.01℃)を算出する。

現在推定熱源温度+温度補正値=制御用推定温度 ・・・(式5)

上記の(a工程)から(e工程)と(i工程)は、第1の時間毎(例えば10ms毎)に繰り返し、上記の(f工程)から(h工程)は第2の時間毎(例えば100ms毎)に繰り返す。これにより、温度の誤差を補正する温度補正値を算出する(f工程)から(h工程)については第1の時間より長い第2の時間毎とすることで、制御用推定温度の精度を保持しつつ制御部の負荷を低減することができる。なお、(h工程)の温度補正値は100ms毎にしか得られないので、10ms毎に行われる(i工程)で使用する温度補正値は10回同じ値が用いられる。
また、第1の時間毎(例えば10ms毎)に得られた制御用推定温度及び計算過程の現在推定熱源温度は記憶部に記憶され、第2の時間毎(例えば100ms毎)に得られた温度補正値及び計算過程の現在推定サーミスタ温度は記憶部に記憶される。また、第1の時間毎に得られた現在の飽和温度も記憶部に記憶されてもよいし、第2の時間毎に得られた実温度も記憶部に記憶されてもよい。
【0166】
なお、過去推定サーミスタ温度は一定間隔にて実サーミスタ温度に戻すとよい。その理由は、制御用推定温度の誤差が積み立てでずれていくので、それの対応策として誤差による実温度との差分が大きく乖離する前に補正して戻すためである。例えば、10msec毎に現在推定熱源温度と現在推定サーミスタ温度を算出し、実サーミスタ温度を使った現在推定熱源温度の補正は100msec毎に実施する。
【0167】
このようにして、熱源(ドライバ回路のトランジスタ)Zの温度を推定して、現在の熱源Zの最終的な推定温度を取得する。
【0168】
つまり、温度保護機能を実行する際に、熱伝導や周囲温度の影響を考慮して、サーミスタの検出温度、モータの電流及びその電流の周波数に基づいて、熱源(ドライバ回路のトランジスタ)Zの温度を推定することができる。これにより、算出した制御用推定温度を、前述した温度保護機能を実行する際の熱源温度とすることができる。
【0169】
また、温度保護機能を実行する際に、熱源Zの飽和温度を基準として、一次遅れの特性を考慮して推定された上記の制御用推定温度を用いることで、熱源Zであるトランジスタの故障をより確実に防止できる。
【0170】
<モータ3xの制御停止後、収束経過時間の経過前に制御用推定温度と実サーミスタ温度との温度差が規定範囲内に収束したか否かを判断する方法>
【0171】
(a工程)制御部10aは、記憶部20aに記憶された飽和温度情報テーブルを参照して、取得した電流値(例えば0A)と取得した周波数(例えば0Hz)又はモータ3xの回転数(例えば0rpm)との組み合わせに対応する(関連付けた)、熱源Zの現在の飽和温度(例えば27℃)を算出する。
【0172】
(b工程)上記の現在の飽和温度と第1の時間(例えば10ms)前(1回前)に算出した過去推定熱源温度(例えば60℃)を比較する。この場合は、現在の飽和温度(例えば27℃)が過去推定熱源温度(例えば60℃)より低いため、熱源の温度が下降するものと判断する。その場合、現在の飽和温度から過去推定熱源温度を減算した温度差が第1N閾値(例えば-30℃)以下である場合は、温度下降が急激である以下の(iii)と判断し、その温度差が第1N閾値(例えば-30℃)より大きい場合は、温度下降が緩やかである以下の(iv)と判断する。これらの判断に基づき、第1係数として以下の(iii)又は(iv)のN係数(急)又はN係数(緩)のいずれかを使用する。
【0173】
(iii) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて急激に下降する場合(図13に示す符号83)であり、第1係数としてN係数(急)を使用する。このN係数(急)は例えば0.06である。このN係数(急)は、第1N係数ともいう。
【0174】
(iv) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて緩やかに下降する場合は、第1係数としてN係数(緩)を使用する。このN係数(緩)は例えば0.04である。なお、N係数(緩)は第2N係数ともいう。
【0175】
また、第1係数は時定数であるため、温度が下降する場合も係数は複雑なものとなるが、時定数を上記の2つの場合に近似することで、計算負荷を減らすことができるとともに熱源の温度推定の精度を高めることができる。
【0176】
(c工程)次に、以下の(式1)に示すように、上記(b工程)で判断した第1係数(即ち、N係数(急)、N係数(緩);例えば0.04)を、上記(a工程)で算出した現在の飽和温度(例えば27℃)と過去推定熱源温度(例えば60℃)の差分に乗算し過去推定熱源温度に加算することで、暫定的に推定した熱源の温度として現在推定熱源温度(例えば58.68℃)を算出する。

現在推定熱源温度 = 第1係数(N係数(急)、N係数(緩)のいずれか)×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式1)
【0177】
(d工程)上記(式1)で算出した現在推定熱源温度と第1の時間(例えば10ms)前(1回前)に算出した過去推定サーミスタ温度を比較する。この場合、現在推定熱源温度が過去推定サーミスタ温度以下であるため、サーミスタの温度が下降するものと判断する。その場合、現在推定熱源温度から過去推定サーミスタ温度を減算した温度差がN傾き閾値(第2N閾値;例えば-10℃)以下である場合はサーミスタの温度下降が急激である以下の(iii)と判断し、その温度差がN傾き閾値(第2N閾値;例えば-10℃)より大きい場合はサーミスタの温度下降が緩やかである以下の(iv)と判断する。これらの判断に基づき、第2係数として以下の(iii)又は(iv)のN係数(急)又はN係数(緩)のいずれかを使用する。
【0178】
(iii) サーミスタの温度が急激に下降する場合であり、第2係数としてN係数(急)を使用する。このN係数(急)は例えば0.02である。なお、N係数(急)は第3N係数ともいう。
【0179】
(iv) サーミスタの温度が緩やかに下降する場合であり、第2係数としてN係数(緩)を使用する。このN係数(緩)は例えば0.01である。なお、N係数(緩)は、第3N係数より小さく、第4N係数ともいう。
【0180】
なお、第2係数は時定数であるため、温度が下降する場合も係数は複雑なものとなるが、時定数を上記の2つの場合に近似することで、計算負荷を減らすことができるとともに熱源の温度推定の精度を高めることができる。
【0181】
(e工程)次に、以下の(式2)に示すように、上記(d工程)で判断した第2係数(即ち、N係数(急)、N係数(緩))を、上記(式1)で算出した現在推定熱源温度(例えば58.68℃)と過去推定サーミスタ温度(例えば45℃)の差分に乗算し、過去推定サーミスタ温度に加算することで、暫定的に推定したサーミスタの温度である推定サーミスタ温度(例えば45.3℃)を算出する。
【0182】
現在推定サーミスタ温度 = 第2係数(N係数(急)、N係数(緩)のいずれか) ×(現在推定熱源温度 - 過去推定サーミスタ温度)+過去推定サーミスタ温度・・・(式2)
【0183】
(f工程)次に、制御部10aは、サーミスタが検出した実サーミスタ温度(例えば44.5℃)を取得する。
【0184】
(g工程)次に、制御部10aは、以下の(式3)に示すように、上記(式2)の現在推定サーミスタ温度(例えば45.3℃)からサーミスタSが検出した実サーミスタ温度(例えば44.5℃)を減算することで、温度差分(例えば0.8℃)を算出する。

現在推定サーミスタ温度-実サーミスタ温度=温度差分 ・・・(式3)
【0185】
(h工程)次に、制御部10aは、以下の(式4)に示すように、予め設定された温度補正係数(例えば0.9)を、上記(式3)で算出した温度差分に乗算することで、上記(式1)の現在推定熱源温度(例えば58.68℃)を補正するための温度補正値(例えば-0.72℃)を算出する。

温度差分×温度補正係数=温度補正値 ・・・(式4)
【0186】
(i工程)次に、制御部10aは、以下の(式5)に示すように、上記(式1)の現在推定熱源温度に上記(式4)の温度補正値を加算することで、制御用推定温度(例えば57.96℃)を算出する。

現在推定熱源温度+温度補正値=制御用推定温度 ・・・(式5)
【0187】
上述したように(a工程)から(e工程)と(i工程)は、第1の時間毎(例えば10ms毎)に繰り返し、上記の(f工程)から(h工程)は第2の時間毎(例えば100ms毎)に繰り返す。モータ3xの制御を停止した後、既述の収束経過時間(例えば5sec)の経過前に、上記の工程で得られた制御用推定温度(例えば35℃)と実サーミスタ温度(例えば30℃)との当該温度差(例えば5℃)が既述の規定範囲内(例えば6℃以内)に収束した場合には、収束経過時間の経過に拘わらず、第2のバッテリ2eから制御部10aへの直流電圧の供給を遮断することで、制御部10aの動作を停止する。
【0188】
<温度保護機能を実行する基準となる熱源の温度の選択方法>
図10は、駆動部としてのモータの駆動を制御する際に、制御部が、温度保護機能を実行する基準となる熱源の温度を、モータの電流値と駆動部としてのモータに流れる電流の周波数との関係に従って、上記の制御用推定温度又は実サーミスタ温度(実温度)を選択する方法を説明する図である。つまり、制御部10aは、温度保護機能を実行する基準となる熱源の温度を、既述の制御用推定温度とサーミスタSが検出する温度(実温度)とを切り換えるようにしてもよい。
なお、図10では、温度保護機能を実行する基準となる熱源の温度を、モータの電流値とモータに流れる電流の周波数との関係に従って、上記の制御用推定温度又は実サーミスタ温度(実温度)を選択する方法としているが、温度保護機能を実行する基準となる熱源の温度を、モータの相電流値とモータの回転数との関係に従って、上記の制御用推定温度又は実サーミスタ温度(実温度)を選択する方法とすることも可能である。
【0189】
制御部10aは、モータ3xの電流の電流値が予め設定された切換閾値電流45以上であり且つモータ3xに流れる電流の周波数が予め設定された切換閾値周波数46未満である第1の場合には、制御用推定温度47に基づいて、電力変換部30cからモータ3xへ供給する電力を制御する。これにより、モータ3xの駆動が制御される。
なお、上記の「モータ3xの電流の電流値が予め設定された切換閾値電流45以上であり且つモータ3xに流れる電流の周波数が予め設定された切換閾値周波数46未満である第1の場合」を、「モータ3xに流れる相電流値が予め設定された切換閾値電流以上であり且つモータ3xの回転数が予め設定された切換閾値回転数未満である第1の場合」に置き換えてもよい。
また、上記及び下記の「モータ3xの電流の電流値」を、「モータ3xの相電流の相電流値」に置き換えてもよい。
【0190】
上記の第1の場合は、モータ3xが高電流且つ低周波数で駆動しているため、サーミスタSが検出する温度が熱源Zの実際の温度に十分に追従することができない。しかし、このような場合は、より正確な熱源の温度を推定して算出した上記の制御用推定温度に基づいて、温度保護機能を実行しながら、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。これにより、熱源を有する電力変換部30cの破損を防止することができる。
【0191】
一方、制御部10aは、モータ3xの電流の電流値が切換閾値電流45未満、又は、モータ3xに流れる電流の周波数が切換閾値周波数46以上である第2の場合には、サーミスタSが検出した実サーミスタ温度(実温度)50に基づいて、電力変換部30cからモータ3xへ供給する電力を制御する。これにより、モータ3xの駆動が制御される。
【0192】
なお、上記の「モータ3xの電流の電流値が切換閾値電流45未満、又は、モータ3xに流れる電流の周波数が切換閾値周波数46以上である第2の場合」を、「モータ3xに流れる相電流値が切換閾値電流未満、又は、モータ3xの回転数が切換閾値回転数以上である第2の場合」に置き換えてもよい。
【0193】
上記の第2の場合は、モータ3が低電流、若しくは、高周波数で駆動しているため、サーミスタSが検出する温度が熱源Zの実際の温度に十分に追従することができる。このような場合は、サーミスタSが検出した実サーミスタ温度に基づいて、温度保護機能を実行しながら、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。これにより、熱源を有する電力変換部30cの破損を防止することができる。
【0194】
ここで、図10に示すように、上記の制御用推定温度とサーミスタSが検出する実サーミスタ温度とを、ヒステリシス特性を持たせるように、切り換えるようにしてもよい。
【0195】
詳細には、制御部10aは、モータ3xに流れる電流の周波数が切換閾値周波数46未満であって、モータ3xの電流の電流値が、切換閾値電流45以上からこの切換閾値電流45よりも小さい予め設定されたヒステリシス閾値電流49まで低下するように、即ち矢印41のように上記の第1の場合から第2の場合に遷移するときは、継続して制御用推定温度に基づいて、電力変換部30により、モータ3の駆動を制御する(図10参照)。
【0196】
なお、上記の「モータ3xに流れる電流の周波数が切換閾値周波数46未満であって、モータ3xに流れる電流値が、切換閾値電流45以上からこの切換閾値電流45よりも小さい予め設定されたヒステリシス閾値電流49まで低下する」を、「モータ3xの回転数が切換閾値回転数未満であって、モータ3xの相電流の相電流値が、切換閾値電流以上からこの切換閾値電流よりも小さい予め設定されたヒステリシス閾値電流まで低下する」に置き換えてもよい。
【0197】
矢印41のように上記の第1の場合から第2の場合に遷移するときは、温度の収束に時間がかかるため、サーミスタSの検出温度が熱源Zの温度に十分追従することができないことがある。この場合は、上記の制御用推定温度に基づいて、温度保護機能を実行しながら、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。これにより、熱源を有する電力変換部30cの破損を防止することができる。
【0198】
一方、制御部10aは、モータ3xに流れる電流の周波数が切換閾値周波数46未満であって、モータ3xの電流の電流値が、ヒステリシス閾値電流49未満から切換閾値電流45まで上昇するように、即ち矢印42のように上記の第2の場合から第1の場合に遷移するときは、継続して実サーミスタ温度(実温度)50に基づいて、電力変換部30により、モータ3の駆動を制御する(図10参照)。
【0199】
なお、上記の「モータ3xに流れる電流の周波数が切換閾値周波数46未満であって、モータ3xの電流の電流値が、ヒステリシス閾値電流49未満から切換閾値電流45まで上昇する」を、「モータ3xの回転数が切換閾値回転数未満であって、モータ3xの相電流の相電流値が、ヒステリシス閾値電流未満から切換閾値電流まで上昇する」に置き換えてもよい。
【0200】
矢印42のように上記の第2の場合から第1の場合に遷移するときは、温度上昇が速いため、サーミスタSの検出温度が熱源Zの温度に十分追従することができる。この場合は、上記の実サーミスタ温度に基づいて、温度保護機能を実行しながら、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。これにより、熱源を有する電力変換部30cの破損を防止することができる。
【0201】
また、制御部10aは、モータ3xの電流の電流値が切換閾値電流45以上であって、モータ3xに流れる電流の周波数が、切換閾値周波数46未満からこの切換閾値周波数46よりも高い予め設定されたヒステリシス閾値周波数48まで上昇するように、即ち矢印43のように上記の第1の場合から第2の場合に遷移するときは、継続して制御用推定温度に基づいて、電力変換部30により、モータ3の駆動を制御する(図10参照)。
【0202】
なお、上記の「モータ3xの電流の電流値が切換閾値電流45以上であって、モータ3xに流れる電流の周波数が、切換閾値周波数46未満からこの切換閾値周波数46よりも高い予め設定されたヒステリシス閾値周波数48まで上昇する」を、「モータ3xの相電流の相電流値が切換閾値電流以上であって、モータ3xの回転数が、切換閾値回転数未満からこの切換閾値回転数よりも高い予め設定されたヒステリシス閾値回転数まで上昇する」に置き換えてもよい。
【0203】
矢印43のように上記の第1の場合から第2の場合に遷移するときは、温度の収束に時間がかかるため、サーミスタSの検出温度が熱源Zの温度に十分追従することができないことがある。この場合は、上記の制御用推定温度に基づいて、温度保護機能を実行しながら、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。これにより、熱源を有する電力変換部30cの破損を防止することができる。
【0204】
一方、制御部10aは、モータ3xの電流の電流値が切換閾値電流45以上であって、モータ3に流れる電流の周波数が、ヒステリシス閾値周波数48以上から切換閾値周波数46まで低下するように、即ち矢印44のように上記の第2の場合から第1の場合に遷移するときは、継続して実サーミスタ温度(実温度)50に基づいて、電力変換部30により、モータ3の駆動を制御する(図10参照)。
なお、上記の「モータ3xの電流の電流値が切換閾値電流45以上であって、モータ3に流れる電流の周波数が、ヒステリシス閾値周波数48以上から切換閾値周波数46まで低下する」を、「モータ3xの相電流の相電流値が切換閾値電流以上であって、モータ3xの回転数が、ヒステリシス閾値回転数以上から切換閾値回転数まで低下する」に置き換えてもよい。
【0205】
矢印44のように上記の第2の場合から第1の場合に遷移するときは、温度上昇が速いため、サーミスタSの検出温度が熱源Zの温度に十分追従することができる。この場合は、上記の実サーミスタ温度に基づいて、温度保護機能を実行しながら、電力変換部30cにより、モータ3xの駆動を制御する。これにより、熱源を有する電力変換部30cの破損を防止することができる。
【0206】
(第4の実施形態)
既述の第3の実施形態では、熱源Zが、電力変換部30cのブリッジ回路Xのトランジスタである場合について説明した。しかしながら、この熱源Zが、モータ3xのコイルである場合も想定される。そこで、熱源Zが、モータ3xのコイルである第4の実施形態について、図11を参照しつつ説明する。なお、第4の実施形態は、熱源Zがモータ3xのコイルである点以外については第3の実施形態と同様である。
【0207】
図11に示すように、熱源Zは、モータ3xのコイルL1、L2、L3である。なお、この図11の例では、第3の実施形態と同様に、ドライバ回路XのトランジスタQ1~Q6も熱源Zとして記載されている。
【0208】
そして、サーミスタSは、コイルL1、L2、L3に近接して配置されている。すなわち、第1のサーミスタS1aは、熱源であるコイルL1に近接して配置されている。そして、第2のサーミスタS2aは、熱源であるコイルL2に近接して配置されている。そして、第3のサーミスタS3aは、熱源であるコイルL3に近接して配置されている。
【0209】
なお、本実施形態において、例えば、モータ3xの第1相のコイルの温度の値を、モータ3xの第2相のコイルの近傍に配置された第2のサーミスタSa2の温度の検出値と、モータ3xの第3相のコイルの近傍に配置された第3のサーミスタSa3の温度の検出値との平均値で代用するようにしてもよい。
【0210】
これにより、第1のサーミスタSa1を省略することができる。
【0211】
また、本実施形態において、必要に応じて、既述のサーミスタSが検出した実サーミスタ温度と制御用推定温度のうち、高い方の温度を、モータを駆動させるために選択するようにしてもよい。
【0212】
本実施形態によれば、熱伝導や周囲温度の影響を考慮して、サーミスタの検出温度、モータの電流及び周波数又は回転数に基づいて、熱源(電力変換部(インバータ回路)のトランジスタやモータのコイル)の温度を推定して、温度保護機能を実行することができる。
【符号の説明】
【0213】
1 電力変換装置
2 電流源
2a 第1の電流源
2b 第2の電流源
3 駆動部
10 制御部
11 温度検出部
12 制御装置
20 記憶部
30 電力変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13