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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】巻線装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/00 20060101AFI20240611BHJP
   H01F 41/064 20160101ALI20240611BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B65H63/00 B
H01F41/064
H01F41/04 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020143624
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038908
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 由太
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168697(JP,A)
【文献】特表2016-530540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 63/00
H01F 41/064
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンが取り付けられる主軸と、
前記主軸を回転させることで前記ボビンに線条材料を巻き付ける巻回部と、
前記主軸に沿うトラバース方向に沿って、所定の距離範囲内の計測領域における前記ボビンに巻き付けられた線条材料の表面形状に対応する情報を取得する非接触センサと、
前記非接触センサと前記主軸との距離を変更する位置変更機構と、
前記ボビンの姿勢に応じて前記位置変更機構により前記非接触センサと前記主軸との距離を調整する制御部とを備える、巻線装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記巻回部により主軸を回転させる制御を行うと共に、前記主軸の回転角度に同期させて前記非接触センサと前記主軸との距離を調整する、請求項1に記載の巻線装置。
【請求項3】
前記ボビンの前記線条材料が巻き付けられる部位は、前記トラバース方向に対して垂直な断面において略矩形状をなす4つの面を有するように構成されており、
前記制御部は、前記線条材料が1層分だけ巻回される度に、前記主軸を90度ずつ回転させながら、前記4つの面のそれぞれの上における前記線条材料の表面形状に対応する情報を取得する、請求項1又は2に記載の巻線装置。
【請求項4】
前記非接触センサは、前記計測領域内で、トラバース方向に対して垂直な方向の凹凸があることを検出し、
前記制御部は、前記非接触センサにより凹凸があることが検出された場合に検出時動作を行う、請求項1から3のいずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項5】
前記非接触センサは、前記計測領域のうち所定のマスク領域を除いた領域において、凹凸があることの検出を行う、請求項4に記載の巻線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、線条材料を主軸に巻き取る巻線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、線条材料を主軸に取り付けたボビンに巻き取ってコイル状にするための装置が用いられている。このような装置としては、例えば変圧器などに用いられる巻線を製造するために用いられる、巻線装置がある(例えば、下記特許文献1参照)。このような巻線装置は、主軸とともに回転するボビンに対してトラバース機構を用いて線条材料を送り出すことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-267169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
線条材料を主軸に取り付けたボビンなど(以下、単に主軸ということもある)に巻き取る場合において、主軸に巻いた線条材料が巻回途中で交差したり隣の線に乗り上げたりピッチ飛びが発生するというような不良巻回状態(線乗りエラーということがある)になることがある。例えば整列巻きなどを行う場合において、このような不良巻回状態になることは好ましくない。そのため、このような不良巻回状態になったことを確実に発見する必要がある。不良巻回状態になったら、例えば線状材料の一部分を巻き戻したうえでまき直す必要があるためである。
【0005】
ところで、一般に、測定対象物の凹凸を測定するために、例えばインラインプロファイル測定器などの非接触計測手段が用いられる場合がある。インラインプロファイル測定器は、ラインレーザを測定対象に照射し、その反射光から断面形状を取得する測定器である。インラインプロファイル測定器は、センサヘッドから所定の距離範囲内の測定対象領域について、計測を行うことができるものである。
【0006】
しかしながら、このような、センサから所定の距離範囲内を測定対象とする非接触計測手段を、線条材料をボビンに巻き取る場合に用いることができない場合があった。すなわち、不良巻回状態を確実に発見するためにはボビン周長にわたって計測を行う必要があるが、例えば、変圧器等に用いられているような矩形形状のボビンが用いられるような場合には、ボビンの回転姿勢(回転位相)によって、非接触計測手段とボビンに巻回されている線条材料の外周面との距離が異なることになる。ボビンの回転姿勢によって、非接触計測手段とボビンに巻回されている線条材料の外周面との距離が所定の距離範囲から外れてしまうと、適切に不良巻回状態を発見することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、ボビンに巻いた線条材料の不良巻回状態が発生したことを確実に検出することができる巻線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第一の発明の巻線装置は、ボビンが取り付けられる主軸と、主軸を回転させることでボビンに線条材料を巻き付ける巻回部と、主軸に沿うトラバース方向に沿って、所定の距離範囲内の計測領域におけるボビンに巻き付けられた線条材料の表面形状に対応する情報を取得する非接触センサと、非接触センサと主軸との距離を変更する位置変更機構と、ボビンの姿勢に応じて位置変更機構により非接触センサと主軸との距離を調整する制御部とを備える、巻線装置である。
【0009】
かかる構成により、非接触センサと主軸との距離を調整することでボビンに巻いた線条材料の不良巻回状態が発生したことを確実に検出することができる。
【0010】
また、本第二の発明の巻線装置は、第一の発明に対して、制御部は、巻回部により主軸を回転させる制御を行うと共に、主軸の回転角度に同期させて非接触センサと主軸との距離を調整する、巻線装置である。
【0011】
かかる構成により、簡素な構成で、非接触センサと主軸との距離を確実に調整することができる。
【0012】
また、本第三の発明の巻線装置は、第一又は二の発明に対して、ボビンの線条材料が巻き付けられる部位は、トラバース方向に対して垂直な断面において略矩形状をなす4つの面を有するように構成されており、制御部は、線条材料が1層分だけ巻回される度に、主軸を90度ずつ回転させながら、4つの面のそれぞれの上における線条材料の表面形状に対応する情報を取得する、巻線装置である。
【0013】
かかる構成により、ボビンに巻いた線条材料の不良巻回状態が発生したことをより確実に検出することができる。
【0014】
また、本第四の発明の巻線装置は、第一から三のいずれか1つの発明に対して、非接触センサは、計測領域内で、トラバース方向に対して垂直な方向の凹凸があることを検出し、制御部は、非接触センサにより凹凸があることが検出された場合に検出時動作を行う、巻線装置である。
【0015】
かかる構成により、線条材料の不良巻回状態が発生したことを確実に検出し、検出時動作を自動的に実行させることができる。
【0016】
また、本第五の発明の巻線装置は、第四の発明に対して、非接触センサは、計測領域のうち所定のマスク領域を除いた領域において、凹凸があることの検出を行う、巻線装置である。
【0017】
かかる構成により、トラバース方向において部分的に凹凸がある形状を有するボビンを用いる場合であっても、線条材料の不良巻回状態が発生したことを適切に検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による巻線装置によれば、ボビンに巻いた線条材料の不良巻回状態が発生したことを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る巻線装置の正面図
図2】同巻線装置の平面図
図3】同検査装置を示す側面図
図4】同検査装置を示す正面図
図5】同検査装置の計測領域について説明する図
図6】同非接触センサにより取得される情報の一例を示す第1のグラフ
図7】同非接触センサにより取得される情報の一例を示す第2のグラフ
図8】同非接触センサによる検出位置を説明する図
図9】同巻線装置の動作を示すフローチャート
図10】同巻線装置が行う検査動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、巻線装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0021】
なお、以下において、巻線装置の巻回部の主軸の回転軸を主軸ということがあり、当該回転軸に沿う方向を「トラバース方向」、回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、径方向すなわち回転軸に直交する方向のうち水平面に垂直な方向を「上下方向(図1における上側が「上」)」、とそれぞれ称することがある。また、線条材料の搬送経路上の一の基点に対して、主搬送方向において下流側にある点を「後段」と称し、上流側にある点を「前段」と称することがある。なお、これらの呼び方は、実施の形態における巻線装置自体の構成を説明の便宜のために定義したものにすぎず、本発明に係る巻線装置の使用態様などについて、何ら限定するものではない。
【0022】
(実施の形態)
【0023】
巻線装置は、ボビン(巻枠ということもある)が取り付けられている主軸を回転させるとともに、主軸に平行なトラバース方向において、線条材料をボビンに送り出すヘッド部とボビンとの相対的な位置関係を変化させることにより、ボビンに線条材料を巻き付けるように構成されている。本実施の形態において、巻線装置は、所定の距離範囲内の断面形状に対応する情報を取得する非接触計測手段である非接触センサと、ボビンの姿勢に応じて非接触センサと主軸との距離を変更する位置変更機構とを備えている。ここで、巻線装置の制御部は、巻回部の動作を制御して主軸を回転させると共に、主軸の回転角に応じて非接触センサと主軸との距離を調整する。
【0024】
なお、本実施の形態において、ボビンは矩形状であり、1層分の巻回を行う毎に、主軸を90度回転させながら4つの辺のそれぞれの表面形状に対応する情報を取得される。非接触センサは、計測領域内で、トラバース方向に対して垂直な方向の凹凸があることを検出する。好ましくは、制御部は、凹凸があることが検出された場合に検出時動作を行う。ここで非接触センサは、計測領域のうち所定のマスク領域を除いた領域において、凹凸があることの検出を行う。以下、このように構成されている巻線装置について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る巻線装置1の正面図である。図2は、同巻線装置1の平面図である。
【0026】
図1において、前から見た巻線装置1が示されている。図1及び図2の右端に設けられた供給源99から、巻線装置1に、線条材料Lが巻線装置1に供給されるが、その部位の詳細な図示は簡略化されている。なお、線条材料Lとしては、絶縁被膜を有する銅線が用いられるが、これに限られるものではない。例えば、その他の導線であってもよいし、金属板など帯状の材料であってもよい。また、導線でないものであってもよい。
【0027】
図1及び図2に示されるように、巻線装置1は、大まかに、制御部2と、操作入力部6と、巻回部10と、巻戻し装置30と、線掛け部50と、トラバース部60とを備える。
【0028】
巻回部10は、主軸11を有している。巻回部10は、主軸11を回転させることで、線条材料を巻き付けるためのボビン21を回転させて、ボビン21に線条材料Lを巻き付ける(巻回する、巻き回すなどということもある。)。巻戻し装置30は、後述のように、主軸11に巻き付けられた線条材料Lの一部を巻き戻すための部位である。トラバース部60は、ボビン21に線条材料Lを送り出す部位であって、巻回部10に連動して動作する。
【0029】
制御部2は、後述のように、操作入力部6により受け付けられた作業者による操作やその他の取得した情報に基づいて、巻線装置1の各部の動作を制御する。
【0030】
操作入力部6は、例えば種々の操作ボタンやスイッチ等が配置された操作パネルであり、作業者による操作が入力される部位である。なお、操作入力部6は、テンキーやキーボードやマウスやタッチパネル等を利用して構成されているものなど、何でもよい。操作入力部6に入力された操作は、例えば、制御部2により受け付けられる。なお、巻線装置1に通信可能に接続された他の装置において受け付けられた操作に基づく信号等を受信することにより、制御部2が当該操作を受け付けることができるように構成されていてもよい。
【0031】
制御部2は、格納部3を備える。
【0032】
格納部3は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。格納部3には、所定の設定情報が格納されている。所定の設定情報は、例えば、一の巻線20を製造する場合の巻回部10及びトラバース部60のそれぞれを同期させてシーケンス制御を行うための制御プログラムであるが、これに限られない。所定の設定情報は、例えば、一の巻線20を製造する場合における、巻回部10や巻戻し装置30を含む巻線装置1の各部を同期させてシーケンス制御を行うための制御プログラムであってもよい。また、制御プログラムにより利用されるパラメータ(例えば、巻線の回転数(巻数)や、線条材料Lの径寸法や、後述のようなヘッド部90を変位させる位置や主軸の回転角や、検査装置15の動作に関する、ボビン21の形状に関する情報などの情報などであるが、これに限られない)等が設定情報として格納されていてもよい。
【0033】
なお、格納部3に設定情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して設定情報が格納部3で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された設定情報が格納部3で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された設定情報が格納部3で記憶されるようになってもよい。
【0034】
制御部2は、例えば、プログラマブルロジックコントローラであるが、これに限られない。制御部2は、その他のMPUやメモリ等から実現されうるコンピュータ等であってもよい。制御部2の処理手順は、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されていてもよいし、ハードウェア(専用回路)で実現されていてもよい。
【0035】
制御部2は、例えば、格納部3から読み出した設定情報に基づいてシーケンス制御を行うことにより、主軸11を回転させる制御や、ボビン21とヘッド部90との相対的な位置関係を変化させる制御や、後述のように、巻戻し装置30と主軸11とを動作させて、線条材料Lの巻戻し動作を実行させる制御などを行う。
【0036】
巻回部10は、主軸11を備える。
【0037】
本実施の形態において、主軸11は、後端部において巻回部10の本体に支持されている。主軸11は、前方に突出する片持ち梁状に構成されている。主軸11は、例えば、巻回部10に設けられているモータ(図示せず)の駆動力により回転する。本実施の形態においては、主軸11は、線条材料Lを巻き上げる際には、図1に矢印R1で示される方向に回転するが、これに限られない。なお、線条材料Lを巻き上げる際の主軸11の回転方向を正転と呼ぶことがあり、これと逆の方向となる主軸11の回転方向を逆転と呼ぶことがある。
【0038】
主軸11には、巻線20のボビン21が取り付けられる。ボビン21は、線条材料Lが巻き付けられる部分であり、例えば樹脂等の絶縁体で構成されている。ボビン21は、主軸11の前方から主軸11の前端部近傍に配置された状態で、主軸11に対して回転しないようにして固定される。すなわち、ボビン21は、主軸11と共に回転する。なお、2以上のボビン21が互いに同軸に並んで主軸11に取り付けられており、2以上の巻線20が同時に製造されるようにしてもよい。
【0039】
本実施の形態において、巻回部10は、検査装置15を備えている。検査装置15は、主軸11に取り付けられているボビン21の下方に位置するように配置されている。検査装置15の詳細については、後述する。
【0040】
トラバース部60は、移動フレーム61と、ボールねじ63と、支持台65と、ヘッド部90とを備える。トラバース部60は、ボビン21に巻き上げられる線条材料Lをヘッド部90に向けて導く。本実施の形態において、トラバース部60は、トラバース方向においてボビン21に対するヘッド部90を変位させる。トラバース部60の動作は、制御部2によって、巻回部10の動作と同期して行われるように制御される。
【0041】
移動フレーム61は、例えば、略水平の板状部を有している。移動フレーム61は、支持台65の上方に配置されており、支持台65に対してトラバース方向に変位可能である。移動フレーム61は、レールを介して、支持台65に対してトラバース方向にスライド可能である。本実施の形態においては、トラバース方向が移動方向となるように配置されたボールねじ63によって、移動フレーム61がトラバース方向に変位するように構成されている。なお、ボールねじ63は、制御部2による制御動作(駆動電流の供給など)に従って動作する図示しないモータ等により駆動されるが、これに限られない。
【0042】
移動フレーム61には、ヘッド部90が、線条材料Lの搬送経路に沿って配置されている。ヘッド部90は、移動フレーム61とともに、トラバース方向に変位可能に配置されている。すなわち、トラバース部60は、巻回部10に対して、ヘッド部90をトラバース方向に変位させることができるように構成されている。
【0043】
ヘッド部90は、ヘッドローラ91を備える。ヘッドローラ91は、線条材料Lをボビン21に向けて送り出す。
【0044】
なお、トラバース部60には、例えば、線条材料Lの一部分の被膜を剥離する被膜除去装置や、線条材料Lを切断するための切断装置など、他の装置がさらに設けられていてもよい。
【0045】
線掛け部50は、供給源99から引き出された線条材料Lが掛けられる部位である。線掛け部50は、下流において主軸に巻き取られる線条材料Lの張り具合を調整する機構である。本実施の形態において、線掛け部50は、移動フレーム61と供給源99との間に配置されている。線掛け部50は、例えば、供給源99から引き出される線条材料Lについて接触するように配置された複数のローラを有している。また、線掛け部50には、テンショナ55が設けられている。これらのローラやテンショナ55により、線掛け部50とトラバース部60との間において線条材料Lが適切な撓み具合(テンション)を保ち、安定して線条材料Lが搬送されるように構成されている。
【0046】
供給源99は、例えば、巻線20の材料としての線条材料Lがスプールに巻き付けられたものや、線条材料Lがコイラーなどにより集積されてなる束である。なお、供給源99は、これに限られず、巻線装置1に対して線条材料Lを供給可能に構成された他のシステム又は装置等であってもよい。
【0047】
巻戻し装置30は、例えば、線条材料Lを挟み込むことが可能なローラ対と、ローラ対を駆動するための駆動部31とを備える。駆動部31は、例えばモータである。本実施の形態において、巻戻し装置30は、線掛け部50の前段に設けられている。
【0048】
巻戻し装置30は、例えば、制御部2の制御に基づいて、線条材料Lを挟んだローラ対を、駆動部31により回転させることにより、線条材料Lを上流に向けて送る巻戻し動作を行うことができる。巻戻し動作は、巻回部10により主軸11を逆転させながら行われるが、これに限られず、主軸11を外力により回転自在な状態にして行われてもよい。
【0049】
次に、検査装置15について説明する。
【0050】
図3は、同検査装置15を示す側面図である。図4は、同検査装置15を示す正面図である。
【0051】
図3及び図4において、検査装置15以外の巻回部10を構成する部分の図示は、一部を除いて省略されている。
【0052】
検査装置15は、大まかに、非接触センサ16と、位置変更機構17と、第二直動機構18とを備える。主軸11やボビン21に対向する検査装置15の上部には、天板15bが配置されている。天板15bは、巻回部10の筐体に対して固定されている。
【0053】
位置変更機構17及び第二直動機構18は、天板15bに対して、非接触センサ16を変位させることができる。すなわち、検査装置15が位置変更機構17と第二直動機構18とを有していることにより、非接触センサ16は、主軸11に対して変位可能である。なお、第二直動機構18は設けられていなくてもよい。
【0054】
位置変更機構17は、モータ171と、ボールねじ173と、モータ171とボールねじ173とを接続するカップリング172とを備える。また、位置変更機構17は、非接触センサ16を支持する可動支持部材174と、モータ171及びボールねじ173のシャフト等を支持するフレーム175等を備える。ボールねじ173のナットには、可動支持部材174を介して非接触センサ16が取り付けられている。
【0055】
位置変更機構17は、非接触センサ16と主軸11との距離を変更する。位置変更機構17を、第一直動機構と呼んでもよい。本実施の形態において、位置変更機構17は、非接触センサ16を上下方向に変位させる。例えば、可動支持部材174は、フレーム175に対して、ボールねじ173のナットとともに上下方向に変位可能になるように、フレーム175に固定されているレール上を摺動可能である。換言すると、位置変更機構17は、非接触センサ16を、上下方向に変位可能に支持している。位置変更機構17により、ボビン21と非接触センサ16との距離が適切になるように、非接触センサ16の位置を調整することができる。
【0056】
なお、位置変更機構17は、このようなボールねじ173を用いた構成に限られない。モータ171を用いて駆動されるその他の直動機構を用いたものであってもよい。また、位置変更機構17は、例えば、エアシリンダや油圧シリンダ等の流体シリンダを用いた直動アクチュエータや、ソレノイド等の電磁力により動作する直動アクチュエータなど、他種の動力源や機構を用いたものであってもよい。
【0057】
また、位置変更機構17は、非接触センサ16を支持するものに限られず、相対的に非接触センサ16と主軸11との距離を変更可能に構成されていればよい。例えば、巻回部10の筐体に対して主軸11の位置を変更可能に構成されていてもよい。
【0058】
第二直動機構18は、モータ181とボールねじ183とを備える。ボールねじ183のナットには、位置変更機構17のフレーム175が取り付けられている。位置変更機構17のフレーム175は、天板15bに設けられたレール18cに沿って、ボールねじ183のナットと共に、トラバース方向に変位可能である。すなわち、第二直動機構18は、トラバース方向において、非接触センサ16とボビン21との距離を変更する。位置変更機構17は、非接触センサ16を、上下方向に変位可能に支持している。第二直動機構18により、トラバース方向において、ボビン21に対する非接触センサ16の位置が適切になるように、非接触センサ16の位置を調整することができる。
【0059】
このように位置変更機構17や第二直動機構18が設けられていることにより、寸法等の使用が異なる複数種類の巻線20の巻回時に、非接触センサ16を適正な位置に配置して用いることができる。なお、このような位置変更機構17や第二直動機構18は、制御部2によってモータ171やモータ181が駆動されるように構成されていればよい。
【0060】
非接触センサ16は、例えば、レーザ光を照射することにより、レーザ光の照射面の形状に対応する情報を得ることができるインラインプロファイル測定器である。非接触センサ16は、情報を得ることができる対象領域となる、所定の計測領域Rを有している。本実施の形態において、非接触センサ16は、所定の距離範囲内の計測領域Rにおける、ボビン21に巻き付けられた線条材料Lの表面形状(すなわち、巻回中の巻線20の表面形状)に対応する情報を取得する。換言すると、非接触センサ16は、線条材料Lの表面形状を検出する。取得される表面形状に対応する情報は、主軸11に沿うトラバース方向に沿ったものである。すなわち、非接触センサ16は、計測領域Rにおいて、巻回中の巻線20の断面の外周縁の形状を検出することができる。なお、ここで情報とは、特定の形式の情報に限られず、線条材料Lの表面形状の検知結果を示しうるものであればなんでもよい。
【0061】
本実施の形態において、非接触センサ16は、計測領域R内で、トラバース方向に対して垂直な方向に凹凸があることを検出する。凹凸とは、巻線20の巻回層の表面から突出したり凹んでいたりする部分をいい、突出部や起伏部などと呼んでもよい。すなわち、非接触センサ16は、巻回中の巻線20の断面の外周縁の形状において、他の部分から径方向(一例として、上下方向)に突出したり径方向に凹んだりする部分がある場合に、それを検出する。非接触センサ16は、例えば、計測領域R内で計測された巻線20の断面の外周縁の位置(例えば、非接触センサ16からの距離)の平均値に対して、当該外周縁の位置が所定の閾値以上離れている地点があるとき、凹凸があることを検出する。なお、凹凸があることの判定方法はこれに限られない。
【0062】
図5は、同検査装置15の計測領域Rについて説明する図である。
【0063】
図5においては、図4のA-A線断面が示されている。ボビン21の図示は、説明のため簡略化されている。図5に示されるように、本実施の形態において、非接触センサ16は、計測領域Rのうち、所定のマスク領域Mを除いた対象領域R2において、凹凸があることの検出を行う。すなわち、非接触センサ16は、トラバース方向にわたって所定の範囲における、非接触センサ16から所定の第1の距離だけ離れた位置から第2の距離だけ離れた位置までの領域を、形状を取得可能な計測領域Rとするものである。そして、非接触センサ16は、この計測領域Rのうち、予め設定されたマスク領域Mを除いた部分の領域を、実際に凹凸があることの検出について対象とする領域である対象領域R2とする様に設定されている。換言すると、非接触センサ16においては、対象領域R2としないマスク領域Mが予め設定されている。
【0064】
なお、本実施の形態において、ボビン21には、収容部211と、テーパ部212と、仕切り215とが設けられている。
【0065】
収容部211は、ボビン21の外周にわたって設けられた部位であり、そのトラバース方向の両端には、巻回される線条材料Lを収容部211に留めるための壁部が設けられている。線条材料Lは、トラバース方向両端の壁部間の収容部211に巻回される。
【0066】
テーパ部212は、収容部211の外周面のうち、トラバース方向の一部に設けられている、トラバース方向に行くにつれて外周面の外径が徐々に大きくなるように構成された部位である。
【0067】
仕切り215は、トラバース方向において収容部211を2以上に分割するための突出部である。
【0068】
本実施の形態において、マスク領域Mは、ボビン21の断面形状に対応する形状に設定されている。すなわち、例えば、図5に示されるように、マスク領域Mは、テーパ部212や、仕切り215を含む領域に設定される。これにより、テーパ部212や、仕切り215が、対象領域R2に含まれないこととなる。したがって、非接触センサ16は、収容部211の外側に巻回された巻線20の外周面の形状に対応する情報のみを取得可能である。
【0069】
図6は、同非接触センサ16により取得される情報の一例を示す第1のグラフである。図7は、同非接触センサ16により取得される情報の一例を示す第2のグラフである。
【0070】
図6及び図7は、それぞれ同様の方法により示されている。図の上下方向は、非接触センサ16と、スキャンのためのレーザ光が照射された部位との距離に対応する。また、図の左右方向は、トラバース方向に対応する。図6には、正常に巻回されている巻線20の表面形状に対応する情報が示されている。他方、図7には、整列巻き状態が適正ではない、線条材料Lの線乗りエラー(線が他の線に乗り上げたり線が交差したりした状態)が発生している巻線20の表面形状に対応する情報が示されている。
【0071】
図6に示されるように、正常に巻回されている状態においては、対象領域R2で計測された最外層の線状部材Lの表面が、略フラットになっている。
【0072】
他方、図7に示されるように、線乗りエラーが発生している状態においては、対象領域R2で計測された最外層の線状部材Lの一部に、トラバース方向に対して垂直な方向の凹凸が発生している。非接触センサ16は、例えば、対象領域R2における巻線20の断面の外周縁の位置の平均値に対して、当該外周縁の位置が所定の閾値以上離れている地点があるとき、凹凸があることを検出する。換言すると、図7に寸法線で示されるように、対象領域R2における巻線20の断面の外周縁の位置の平均値と、最も非接触センサ16から近い(又は離れた)外周縁の位置との距離が所定の閾値以上であれば、非接触センサ16により凹凸があることが検出される。
【0073】
制御部2は、ボビン21の姿勢(回転位相)に応じて、位置変更機構17により、非接触センサ16と主軸11との距離を調整する。本実施の形態において、制御部2は、巻回部10により主軸11を回転させる制御を行うと共に、主軸11の回転角度に同期させて、非接触センサ16と主軸11との距離を調整する。制御部2は、非接触センサ16による巻線20の表面形状の検出を行う場合において、常に非接触センサ16と主軸11との距離が略一定となるように、非接触センサ16の位置を調整する。
【0074】
このような制御は、例えば、制御部2が、ボビン21の形状に関する情報と、ボビン21の回転角とを取得し、取得した情報に基づいて位置変更機構17の動作を制御することにより行うことができる。例えば、制御部2は、ボビン21の回転角度によって得られる主軸11と、巻回中の巻線20の外周面(整列巻き面)との間の距離を逐次演算し、その演算結果に基づいて位置変更機構17のフィードバック制御を行うことで、非接触センサ16のセンサヘッドと整列巻き面との間の距離とを同期させる制御を行うことができる。主軸11に取り付けられているボビン21の形状に関する情報は、例えば、格納部3に予め格納されていればよいが、これに限られない。なお、制御部2は、ボビン21の収容部211の外周縁と天板15bとの距離を計測する測距センサを用いて、それに応じて位置変更機構17の動作を制御するように構成されていてもよい。また、主軸11の回転角と調整すべき非接触センサ16の位置とを対応付けたテーブルを、用いるボビン21の形状毎に予め用意しておき、制御部2が、そのテーブルに基づいて非接触センサ16の位置を調整するように構成されていてもよい。
【0075】
なお、制御部2は、位置変更機構17や第二直動機構18に設けられているエンコーダからの信号や、モータ171やモータ181などからの信号等に基づいて、現在の非接触センサ16の位置や非接触センサ16の変位量等を適宜取得可能に構成されている。
【0076】
ここで、本実施の形態において、非接触センサ16による検出は、ボビン21の周方向において互いに異なる所定の複数個所において、定期的に行われる。定期的に行われるとは、例えば、整列巻の1層分が巻き終わる度に行われるが、これに限られない。例えば、整列巻の所定層分(例えば、2層分)が巻き終わる度に行われてもよいし、所定時間毎に行われてもよい。
【0077】
本実施の形態において、ボビン21としては、略矩形形状のものが用いられる。略矩形形状であるとは、ボビン21の線条材料Lが巻き付けられる部位である収容部211が、トラバース方向に対して垂直な断面において、略矩形状をなす4つの面を有するように構成されていることをいう。そして、制御部2は、線条材料Lが1層分だけ巻回される度に、主軸11を90度ずつ回転させながら、非接触センサ16により4つの面のそれぞれの上における線条材料Lの表面形状に対応する情報が取得されるようにする。
【0078】
また、制御部2は、非接触センサ16により凹凸があることが検出された場合には、所定の検出時動作を行う。検出時動作は、例えば、所定量だけ線条材料Lを巻き戻す動作であるが、これに限られない。例えば、巻回を一次停止することや、作業者等に通報することや、これらの組み合わせなどが検出時動作として行われる。
【0079】
図8は、同非接触センサ16による検出位置を説明する図である。
【0080】
図8は、トラバース方向から見たボビン21と非接触センサ16とが示されている。ボビン21は、図に示されように略矩形であり、図示しない収容部211の形状も略矩形である。
【0081】
非接触センサ16による検出は、例えば1層の線条材料Lを巻き終える度に行われる。すなわち、1層の線条材料Lを巻き終える度に、一の検出機会が到来する。一の検出機会においては、周方向において順に、主軸11を90度間隔で回転させながら、ボビン21の各辺上の点における検出が行われる。すなわち、図8に示されるように、第1の短辺上の点S1、第1の長辺上の点S2、第2の短辺上の点S3、第2の長辺上の点S4、のそれぞれについて、順に、計測が行われる。換言すると、ボビン21を、第1の短辺を非接触センサ16に対向させた第1姿勢、第1の長辺を非接触センサ16に対向させた第2姿勢、第2の短辺を非接触センサ16に対向させた第3姿勢、第2の長辺を非接触センサ16に対向させた第4姿勢、のそれぞれとして、順に、計測を行う。この場合、主軸11を中心にボビン21が回転することに伴って、短辺上の点S1,S3と非接触センサ16との距離と、長辺上の点S2,S4と非接触センサ16との距離とが等しくなるように、制御部2が非接触センサ16の位置を調整する。ボビン21が第1姿勢又は第3姿勢である場合には、非接触センサ16を下側の第1位置にセットする。ボビン21が第2姿勢又は第4姿勢である場合には、非接触センサ16を上側の第2位置にセットする。すなわち、非接触センサ16は、主軸11の回転に伴って、矢印Dで示されるように、所定量だけ上下に変位することとなる。ここで、ボビン21の収容部211が完全に矩形である場合、非接触センサ16が変位する所定量は、長辺の長さから短辺の長さを引いた値に0.5を乗じた値となる。
【0082】
本実施の形態において、このように周方向において4点における検出を行うことで、線条材料Lの不良巻回状態が発生したことを確実に検出することができる。制御部2は、予め定められた回転角に主軸11を回転させると共に、それに対応する所定の位置に非接触センサ16を変位させることで、確実に検出が行われるようにすることができる。したがって、制御部2による演算にかかる負荷を小さくすることができ、構成を簡素化することができる。
【0083】
なお、検出を行う検出箇所はさらに多くてもよい。ボビン21の形状や主軸11の回転角度に応じて、各検出箇所において非接触センサ16の位置と測定箇所との距離が略一定に保たれるようにしてより多くの検出箇所で検出を行うようにすることで、検出精度をより高くすることができる。また、主軸11を回転させながらごくわずかな間隔で検出を行うような、周方向にわたってほぼ連続的に検出を行うようにしてもよい。この場合、ボビン21の形状や主軸11の回転角度に応じて、非接触センサ16の位置が、主軸11との距離が一定となるように連続的に調整されるようにすればよい。
【0084】
巻線装置1は、制御部2による制御動作によって以下に説明するような動作を実行可能である。
【0085】
図9は、同巻線装置1の動作を示すフローチャートである。
【0086】
(ステップS11)制御部2は、巻回部10により主軸11を正転させることで主軸11に線条材料Lを巻き付ける(巻回動作)。
【0087】
(ステップS12)制御部2は、検査タイミングが到来したか否かを判断する。検査タイミングが到来したと判断したときにはステップS13に進み、そうでない場合はステップS14に進む。検査タイミングは、例えば、上述のとおり整列巻の1層分が巻き終わったタイミングとすればよいが、これに限られない。
【0088】
(ステップS13)制御部2は、検査動作を行う。検査動作の詳細については、後述する。検査動作が終了すると、ステップS14に進む。
【0089】
(ステップS14)制御部2は、巻回されている巻線20について、不具合が発生したか否かを判断する。例えば、制御部2は、不具合フラグがセットされている場合に、不具合が発生したと判断する。そのほか、制御部2は、例えば、巻線20の巻き上げ動作を監視しているオペレータによる所定の操作入力が行われた場合に、不具合が発生したと判断するようにしてもよい。また、そのほか、制御部2は、巻線装置1に設けられている各種のセンサ(図示せず)により所定の状態が検知された場合に、不具合が発生したと判断するようにしてもよい。不具合が発生したと判断された場合はステップS15に進み、そうでない場合はステップS17に進む。
【0090】
(ステップS15)制御部2は、巻戻し動作を実行する。これにより、線条材料Lの巻戻しが行われる。巻戻し動作は、巻回部10により主軸11を逆転させている状態で、線条材料Lを主軸11から離れる方向に送るように巻戻し装置30を動作させるものである。
【0091】
(ステップS16)制御部2は、巻戻し動作が終了すると、不具合フラグをクリアし、ステップS1に戻る。
【0092】
(ステップS17)制御部2は、巻回が完了したか否かを判断する。例えば、1つの巻線20を巻き上げるための処理のシーケンスが全て完了した場合に、制御部2は、巻回が完了したと判断することができる。巻回が完了したと判断した場合は一連の処理を終了し、そうでない場合はステップS11に戻る。
【0093】
図9は、同巻線装置1が行う検査動作の一例を示すフローチャートである。
【0094】
(ステップS21)制御部2は、主軸11を停止させる。この場合、主軸11は、所定の第1姿勢で停止される。
【0095】
(ステップS22)制御部2は、位置変更機構17を動作させて、非接触センサ16を第1位置にセットする。そして、非接触センサ16により、巻線装置1の表面形状の計測を行う。
【0096】
(ステップS23)制御部2は、主軸11を90度回転させて停止させる。この場合、主軸11は、所定の第2姿勢で停止される。
【0097】
(ステップS24)制御部2は、位置変更機構17を動作させて、非接触センサ16を第2位置にセットする。そして、非接触センサ16により、巻線装置1の表面形状の計測を行う。
【0098】
(ステップS25)制御部2は、主軸11を90度回転させて停止させる。この場合、主軸11は、所定の第3姿勢で停止される。
【0099】
(ステップS26)制御部2は、位置変更機構17を動作させて、非接触センサ16を第1位置にセットする。そして、非接触センサ16により、巻線装置1の表面形状の計測を行う。
【0100】
(ステップS27)制御部2は、主軸11を90度回転させて停止させる。この場合、主軸11は、所定の第4姿勢で停止される。
【0101】
(ステップS28)制御部2は、位置変更機構17を動作させて、非接触センサ16を第2位置にセットする。そして、非接触センサ16により、巻線装置1の表面形状の計測を行う。
【0102】
(ステップS29)制御部2は、今回の検出機会の計測結果(ステップS22,S24,S26,S28の各計測結果)において、異常値が検出されたか否かを判断する。いずれか1回以上の計測において異常値が検出された場合には、ステップS30に進む。そうでない場合には、検査動作を終了し、上位の処理に戻る。
【0103】
(ステップS30)制御部2は、不具合フラグをセットする。その後、上位の処理に戻る。
【0104】
なお、フローチャートにおける各処理の順番はこれに限られない。例えば、各姿勢における計測を行うために、主軸11より先に非接触センサ16の位置が変更されるようにしてもよいし、主軸11と非接触センサ16とを同時に回転させたり変位させたりしてもよい。また、完全に主軸11を停止させなくてもよい。検出器会毎に、どの姿勢での検出が行われるかが異なっていてもよい。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態において、巻線装置1は、検査装置15を有しており、巻回中の巻線20で巻回不良が発生したことを自動的に検出することができる。人手を要さずに、線乗りエラー等の発生を容易にかつ確実に検出することができ、省力化することができる。また、エラーの見落としを防止し、確実に検出することができるため、効率的に、高品質の巻線20を製造することができる。巻回不良が発生した場合には、自動的に巻戻し動作等の検出時動作を行うことができ、さらに省力化を進め、かつ、効率的に巻線20の製造を行うことができるようになる。
【0106】
(その他)
【0107】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0108】
上述の実施の形態において、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【0109】
巻線装置は、例えば1つの主軸に設けられた2以上のボビンのそれぞれに、それぞれ供給源から供給された線条材料を巻き付けることができるように構成されていてもよい。この場合、各ボビンについて検出を行うための非接触センサを設けるようにしてもよい。複数の非接触センサは、1つの位置変更機構により同時に変位するように構成されていてもよいし、個々が独立した位置変更機構により変位するように構成されていてもよい。また、この場合、各供給源から供給される線条材料の搬送経路上においてローラ対で線条材料を挟むことができるように、2以上の巻戻し装置が配置されていることが好ましい。
【0110】
検査装置は、必ずしも巻線装置に用いられるものに限られない。主軸に線状材料を巻き付けた構成を有する種々の装置において、主軸に巻き付けられた線条材料の表面形状に対応する情報を取得するために、検査装置を広く用いることが可能である。ここで主軸とは、線条材料が巻き付けられている部位であればよく、上述の巻線装置に設けられているような構成のものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上のように、本発明にかかる巻線装置は、ボビンに巻いた線条材料の不良巻回状態が発生したことを確実に検出することができるという効果を有し、巻線装置等として有用である。
【符号の説明】
【0112】
1 巻線装置、2 制御部、10 巻回部、11 主軸、15 検査装置、16 非接触センサ、17 位置変更機構、21 ボビン、L 線条材料、M マスク領域、R 計測領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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