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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240611BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240611BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240611BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240611BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240611BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L21/28 Z
H01L29/50 M
H01L29/78 371
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020151455
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045717
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】福本 敦之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】有隅 修
(72)【発明者】
【氏名】文 帆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴之
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0144285(US,A1)
【文献】特開2015-177002(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0076210(US,A1)
【文献】特開2020-141008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H01L 21/28
H01L 29/417
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、ソース線を含む配線層と、
前記配線層上で複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、
前記積層体内に設けられたセル膜と、
前記積層体内で前記セル膜と対向する半導体膜と、
前記配線層内で前記ソース線と接するとともに前記積層体内で前記半導体膜と接する拡散膜と、を備え、
前記拡散膜は不純物を含み、前記拡散膜の上端部が、前記複数の導電層の中で最下層の導電層よりも高い位置にあ
前記拡散膜に対向し、前記不純物を含む第1コア絶縁膜と、
前記第1コア絶縁膜上で前記半導体膜に対向し、前記不純物の濃度が前記第1コア絶縁膜よりも低い第2コア絶縁膜と、をさらに備える、半導体装置。
【請求項2】
前記ソース線が金属を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体膜が、前記不純物の濃度が前記拡散膜よりも低いノンドープドシリコンを含むチャネル膜である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
基板上に、第1絶縁膜を含む配線層を形成し、
前記配線層上に、複数の第1絶縁層と複数の第2絶縁層とが交互に積層された積層体を形成し、
前記第1絶縁膜および前記積層体を貫通するホールを形成し、
前記ホール内にセル膜を形成し、
前記ホール内に前記セル膜と対向する半導体膜を形成し、
前記ホールの底部に、不純物を含み、上端部が前記複数の第1絶縁層の中で最下層の第1絶縁層よりも高い位置にある第1コア絶縁膜を埋め込み、
前記不純物を前記第1コア絶縁膜から前記半導体膜の一部に拡散することによって、拡散膜を形成し、
前記第1コア絶縁膜上に、前記半導体膜と対向する第2コア絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜を、前記拡散膜に接するソース線に置換し、
前記第1絶縁層を導電層に置換する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元構造のメモリセルアレイを有する半導体装置には、複数の電極層を含む積層体と、この積層体を貫通するチャネル膜とが設けられている。このような半導体装置の構造に関して、チャネル膜の側壁を、積層体の下に設けられたソース線に直接コンタクトさせたDSC(Direct Strap Contact)構造が知られている。また、チャネル膜は、ゲート誘導ドレインリーク(GIDL:Gate-Induced Drain Leakage)によりホールを生み出す。ホールが十分蓄積されると、データが消去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-165178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記DSC構造を有する半導体装置では、ソース線にリン(P)等の不純物がドーピングされている。上記GIDLの発生時に、この不純物は、チャネル膜に拡散する。このとき、チャネル膜への不純物の拡散距離の未達成、または不純物の拡散距離のばらつきといった事態が起こり得る。このように不純物の拡散範囲が不安定になると、データ消去の性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の実施形態は、不純物の拡散範囲を安定させることが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る半導体装置は、基板と、基板上に設けられ、第1膜を含む配線層と、配線層上で複数の第1層と複数の第2層とが交互に積層された積層体と、積層体内に設けられたセル膜と、積層体内でセル膜と対向する半導体膜と、配線層内で第1膜と接するとともに積層体内で半導体膜と接する拡散膜と、を備える。拡散膜は不純物を含み、拡散膜の上端部が、複数の第1層の中で最下層の第1層よりも高い位置にある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。
図2図1に示す切断線A-Aに沿った断面の一部を示す図である。
図3図2の一部を拡大した断面図である。
図4A】基板上に回路層および配線層を積層する工程を示す断面図である。
図4B】配線層上に積層体を形成する工程を示す断面図である。
図4C】ホールを形成する工程を示す断面図である。
図4D】ホール内にセル膜を成膜する工程を示す断面図である。
図4E】拡散膜を成膜する工程を示す断面図である。
図4F】拡散膜の一部エッチングする工程を示す断面図である。
図4G】半導体膜を成膜する工程を示す断面図である。
図4H】スリットを形成する工程を示す断面図である。
図4I】絶縁層を選択的にエッチングする工程を示す断面図である。
図4J】導電層およびソース線を形成する工程を示す断面図である。
図4K】ホールおよびスリットに絶縁膜を埋め込む工程を示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る半導体装置の要部の断面図である。
図6A】セル膜の内側に半導体膜を成膜する工程を示す断面図である。
図6B】半導体膜の内側に第1コア絶縁膜を成膜する工程を示す断面図である。
図6C】第1コア絶縁膜の一部をエッチングする工程を示す断面図である。
図6D】第1コア絶縁膜をアニールする工程を示す断面図である。
図6E】ホールに第2コア絶縁膜を埋め込む工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。以下の実施形態では、3次元構造のメモリセルアレイを有する半導体装置を説明する。この半導体装置は、データの消去および書き込みを電気的に自由に行うことができ、電源を切っても記憶内容を保持することができるNAND型不揮発性半導体記憶装置である。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。図1に示す半導体装置1は、基板10と、回路層20と、配線層30と、積層体40と、複数の柱状部50と、を備える。以下の説明では、基板10に平行な方向であって相互に直交する2方向をX方向およびY方向とする。また、基板10に垂直な方向であって、X方向およびY方向に対して直交する方向をZ方向とする。Z方向は、積層体40の積層方向でもある。
【0010】
基板10は、例えばシリコン基板である。基板10上には、回路層20が設けられている。回路層20は、柱状部50に設けられたメモリセルの周辺回路を有する。この周辺回路には、メモリセルの駆動に用いられるトランジスタなどが配置されている。回路層20上には配線層30が設けられている。配線層30は、柱状部50と電気的に接続されるソース線を有する。配線層30上には、積層体40が設けられている。
【0011】
積層体40は、SGD41と、セル42と、SGS43と、を有する。SGD41は、積層体40の上層部に位置し、複数のドレイン側選択ゲート電極を有する。SGS43は、積層体40の下層部に位置し、複数のソース側選択ゲート電極を有する。セル42は、SGD41とSGS43との間に位置し、複数のワードラインを有する。
【0012】
複数の柱状部50は、X方向およびY方向に千鳥配置されている。また、各柱状部50は、配線層30内および積層体40内をZ方向に延びている。
【0013】
図2は、図1に示す切断線A-Aに沿った断面の一部を示す図である。ここで、図2を参照して配線層30、積層体40および柱状部50の構造について説明する。
【0014】
まず、配線層30の構造について説明する。配線層30では、ソース線301が、絶縁層302と絶縁層303との間に形成されている。ソース線301は、例えばタングステン(W)等の金属、ポリシリコン、またはリン等の不純物をドーピングしたアモルファスシリコンである。絶縁層302および絶縁層303は、例えば酸化シリコン(SiO)を含む。
【0015】
次に、積層体40の構造について説明する。図2に示すように、積層体40では、平板状の複数の導電層401と複数の絶縁層402とがZ方向に交互に積層されている。導電層401は、タングステン等を含むメタル膜と、窒化チタン(TiN)等を含むバリアメタル膜と、を有する。このバリアメタル膜は、メタル膜と絶縁層402との間に形成される。一方、絶縁層402は酸化シリコンを含む。絶縁層402によって、複数の導電層401が絶縁分離される。
【0016】
複数の導電層401のうち、SGD41に形成された導電層401が、上述したドレイン側選択ゲート電極である。また、セル42に形成された導電層401が、上述したワードラインである。さらに、SGS43に形成された導電層401が、上述したソース側選択ゲート電極である。
【0017】
次に、柱状部50の構造について説明する。図2に示す柱状部50は、セル膜51と、半導体膜52と、コア絶縁膜53と、拡散膜54と、を有する。セル膜51、半導体膜52、およびコア絶縁膜53は、積層体40に形成されている。拡散膜54は、配線層30および積層体40に形成されている。
【0018】
図3は、図2の一部を拡大した断面図である。図3に示すように、セル膜51は、ブロック絶縁膜511、電荷蓄積膜512、およびトンネル絶縁膜513から成る積層膜である。ブロック絶縁膜511およびトンネル絶縁膜513は、例えば酸化シリコンを含む。電荷蓄積膜512は、例えば窒化シリコン(SiN)を含む。なお、ブロック絶縁膜511、電荷蓄積膜512、およびトンネル絶縁膜513の材料には、高誘電率絶縁膜(High-k)材料を用いることもできる。
【0019】
本実施形態に係る半導体装置1では、セル膜51と各導電層401との交点が、縦型トランジスタとなる。縦型トランジスタのうち、SGD41の導電層401(ドレイン側選択ゲート電極)とセル膜51との交点は、ドレイン側選択トランジスタである。また、SGS43の導電層401(ソース側選択ゲート電極)とセル膜51との交点は、ソース側選択トランジスタである。さらに、セル42の導電層401(ワードライン)とセル膜51との交点は、メモリセルである。ドレイン側選択トランジスタ、メモリセル、およびソース側選択トランジスタは、直列に接続されている。
【0020】
半導体膜52は、トンネル絶縁膜513に対向する。半導体膜52は、リン濃度が拡散膜54よりも低いノンドープドアモルファスシリコンを含む。半導体膜52は、ゲート誘導ドレインリーク(GIDL:Gate-Induced Drain Leakage)によりホールを生み出すチャネル膜である。GIDLは、ドレインとゲートに逆方向の電圧を印加した際に生じる。ホールが十分蓄積されると、電荷蓄積膜512に蓄積された電荷、すなわちデータが消去される。
【0021】
コア絶縁膜53は、半導体膜52に対向する。コア絶縁膜53は、例えば酸化シリコンを含む。
【0022】
図2に戻って、拡散膜54は、ソース線301と接するとともに半導体膜52に接する。拡散膜54では、リン(P)が不純物としてアモルファスシリコンに含まれている。拡散膜54は、SGS43まで突出している。すなわち、拡散膜54の上端部は、最下層の導電層401よりも高い位置にある。なお、拡散膜54には、リン等のシリコンの導電型がn+型となる不純物の代わりに、n-型となる不純物またはP-型となる不純物が含まれていてもよい。
【0023】
以下、図4A図4Kを参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造工程を説明する。
【0024】
まず、図4Aに示すように、基板10上に回路層20および配線層30aを順次に積層する。回路層20および配線層30aは、通常用いられる方法で形成できるため、詳細な説明を省略する。なお、配線層30aでは、絶縁膜301aが絶縁層302と絶縁層303との間に形成される。この絶縁膜301aは、窒化シリコンを含む第1絶縁膜の一例であり、後述する工程でソース線301に置換される。
【0025】
次に、図4Bに示すように、配線層30a上に積層体40aを形成する。積層体40aは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)またはALD(Atomic Layer Deposition)によって形成することができる。積層体40aでは、複数の絶縁層401aと複数の絶縁層402とがZ方向に交互に積層されている。各絶縁層401aは、第1絶縁層の一例であり、例えば窒化シリコンを含む。絶縁層401aは、第2絶縁層の一例であり、後述する工程で、導電層401に置換される。
【0026】
次に、図4Cに示すように、柱状部50の配置場所に、例えばRIE(Reactive Ion Etching)によってホール60を形成する。ホール60は、積層体40aと、配線層30の絶縁層303および絶縁膜301aをZ方向に貫通し、絶縁層302で終端する。
【0027】
次に、図4Dに示すように、ホール60内にセル膜51を成膜する。具体的には、図3に示すブロック絶縁膜511、電荷蓄積膜512、およびトンネル絶縁膜513を、この順番で連続的に成膜する。
【0028】
次に、図4Eに示すように、例えばCVDによって、セル膜51の内側に拡散膜54を成膜する。拡散膜54は、リンをドーピングしたアモルファスシリコンを用いて成膜される。このとき、ホール60の底部は、細くなっているため、この底部が拡散膜54によって埋め尽くされる。
【0029】
次に、図4Fに示すように、拡散膜54の一部をコンフォーマルにエッチングする。その結果、拡散膜54のうち、ホール60の底部に埋め込まれた部分が残り、他の部分が除去される。拡散膜54のエッチングは、CDE(Chemical Dry Etching)等のドライエッチングであってもウェットエッチングであってもよい。
【0030】
ドライエッチングの場合、例えば、107Pa(800mtorr)の圧力条件下で三フッ化窒素(NF)と酸素(O)を含む混合ガスを導入することによって、拡散膜54をエッチングすることができる。一方、ウェットエッチングの場合、例えば、トリメチル-2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMY)を薬液として用いることによって、拡散膜54をエッチングすることができる。
【0031】
また、拡散膜54のエッチングは、等方性エッチングであっても異方性エッチングであってもよい。特に異方性エッチングの場合には、拡散膜54のエッチング量、換言するとホール60の底部に残す拡散膜54の高さを制御することができる。本実施形態では、拡散膜54の上端部は、積層体40aの最下層の絶縁層401aよりも高い位置に制御される。
【0032】
次に、図4Gに示すように、セル膜51の内側および拡散膜54上に半導体膜52を成膜する。半導体膜52は、例えばCVDによって形成されたノンドープドアモルファスシリコン膜である。
【0033】
次に、数工程を経て、図4Hに示すように、例えばRIEによってスリット61を形成する。スリット61も、ホール60と同様に、積層体40aと、配線層30の絶縁層303および絶縁膜301aをZ方向に貫通し、絶縁層302で終端する。
【0034】
次に、図4Iに示すように、スリット61を用いて絶縁層401aおよび絶縁膜301aを選択的にエッチングする。このエッチングには、例えばリン酸溶液が薬液して用いられる。また、このエッチングでは、セル膜51のうち、絶縁膜301aと接する部分が除去される。その結果、拡散膜54が露出する。
【0035】
次に、図4Jに示すように、絶縁層401aの除去箇所に導電層401を形成するとともに、絶縁膜301aの除去箇所にソース線301を形成する。これにより、ソース線301が拡散膜54に接するので、ソース線301は拡散膜54を介して半導体膜52と電気的に接続される。
【0036】
次に、図4Kに示すように、ホール60内にコア絶縁膜53を埋め込む。また、スリット61内に絶縁膜62を埋め込む。絶縁膜62は、例えば酸化シリコンを含む。最後に、積層体40の上面に残っている不要な膜を除去する。これにより、図2に示す半導体装置1が完成する。
【0037】
以上説明した本実施形態によれば、リンを含む拡散膜54がホール60の底部に埋め込まれる。また、この拡散膜54は、積層体40のSGS43までせり上がった構造を有する。そのため、GIDLの発生時に、リンの拡散距離が確保され、拡散距離のばらつきが低減される。これにより、リンの拡散範囲が安定するので、データ消去の性能を向上させることが可能となる。
【0038】
また、本実施形態では、拡散膜54を形成することによって、ソース線301にリン等の不純物をドーピングする必要がなくなる。そのため、ソース線301を金属で形成することができる。この場合、ソース線301内にシリコンのシームが残存するといった事態を回避できるため、装置の信頼性が向上する。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る半導体装置の要部の断面図である。上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0040】
図5に示す半導体装置2は、第1コア絶縁膜53aおよび第2コア絶縁膜53bを備える点で第1実施形態と異なる。第1コア絶縁膜53aは、拡散膜54と対向する。第1コア絶縁膜53aには、拡散膜54と同じ濃度のリンが不純物として含まれている。
【0041】
一方、第2コア絶縁膜53bは、半導体膜52と対向する。第2コア絶縁膜53bのリン濃度は、第1コア絶縁膜53aのリン濃度よりも低い。
【0042】
以下、図6A図6Eを参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造工程を説明する。なお、ホール60内にセル膜51を形成するまでの工程は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0043】
セル膜51の成膜後、図6Aに示すように、例えばCVDによって、セル膜51の内側に半導体膜52を成膜する。半導体膜52は、例えばアモルファスシリコン膜である。
【0044】
次に、図6Bに示すように、例えばALDによって、半導体膜52の内側に第1コア絶縁膜53aを成膜する。第1コア絶縁膜53aは、リンをドーピングした酸化シリコンを用いて成膜される。このとき、ホール60の底部は、細くなっているため、第1コア絶縁膜53aによって埋め尽くされる。
【0045】
次に、図6Cに示すように、第1コア絶縁膜53aをコンフォーマルにエッチングする。その結果、第1コア絶縁膜53aのうち、ホール60の底部に埋め込まれた部分が残り、他の部分が除去される。
【0046】
第1コア絶縁膜53aのエッチングは、CDE等のドライエッチングであってもウェットエッチングであってもよい。また、第1コア絶縁膜53aのエッチングは、等方性エッチングであっても異方性エッチングであってもよい。異方性エッチングの場合には、第1コア絶縁膜53aのエッチング量、換言するとホール60の底部に残す第1コア絶縁膜53aの高さを制御することができる。本実施形態では、第1コア絶縁膜53aの上端部は、積層体40aの最下層の絶縁層401aよりも高い位置に制御される。
【0047】
次に、例えば1000℃よりも高い温度条件下で第1コア絶縁膜53aをアニールする。これにより、第1コア絶縁膜53aに含まれたリンの一部が、半導体膜52へ拡散する。その結果、図6Dに示すように、半導体膜52のうち、第1コア絶縁膜53aに対向する部分が、リンを含んだ拡散膜54に変化する。
【0048】
次に、図6Eに示すように、ホール60に第2コア絶縁膜53bを埋め込む。第2コア絶縁膜53bは、リン濃度が第1コア絶縁膜53aよりも低いノンドープの酸化シリコンを含む。
【0049】
その後、第1実施形態と同様に、スリット61(図4J参照)を形成し、スリット61を用いて絶縁層401aを導電層401へ置換するとともに、絶縁膜301aをソース線301に置換する。また、絶縁膜301aに対向するセル膜51をエッチングしてソース線301と拡散膜54とを直接的に接続する。これにより、図5に示す半導体装置2が完成する。
【0050】
以上説明した本実施形態によれば、リンを含む第1コア絶縁膜53aが予めホール60の底部に埋め込まれている。この第1コア絶縁膜53aをアニールすることによって、リンが半導体膜52に拡散して、拡散膜54が形成される。この拡散膜54も、第1実施形態と同様に、積層体40のSGS43までせり上がった構造を有する。そのため、GIDLの発生時に、リンの拡散距離が確保され、拡散距離のばらつきが低減される。これにより、リンの拡散範囲が安定するので、データ消去の性能を向上させることが可能となる。
【0051】
また、本実施形態においても、ソース線301および半導体膜52にそれぞれ接する拡散膜54が形成されるため、ソース線301にリン等の不純物をドーピングする必要がなくなる。そのため、ソース線301を金属で形成すると、シリコンのシーム残存といった事態を回避できるため、装置の信頼性が向上する。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1、2:半導体装置
10:基板
30:配線層
40:積層体
51:セル膜
52:半導体膜
53a:第1コア絶縁膜
53b:第2コア絶縁膜
54:拡散膜
301:ソース線
401:導電層
402:絶縁層
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E