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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20240611BHJP
【FI】
A01G9/02 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020197058
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085398
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷川 斗南
(72)【発明者】
【氏名】西尾 直浩
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-018077(JP,A)
【文献】特開2019-136029(JP,A)
【文献】特開2020-110074(JP,A)
【文献】特開昭55-003786(JP,A)
【文献】特開2020-089279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14 - 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培床と、植物栽培床の上方に位置する上面板と、植物栽培床の前後左右に配置した側板と、送風手段とを備え、
植物栽培床と、上面板と、各側板で、栽培空間を形成しており、
送風手段は、送風チューブであり、栽培空間の上方に設けてあり、複数の吹出孔を送風チューブ上面に径方向に有し、複数の方向から上面板に向けて送風しており、送風手段からの風が植物へ間接的に流れることを特徴とする植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培装置の栽培空間の空気を循環するため、送風するファンを設けていた。
【0003】
しかし、植物の育成により影響を与えない植物栽培装置が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、植物の育成に悪い影響を与えることなく、栽培空間内の空気を循環できる植物栽培装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、植物栽培床と、植物栽培床の上方に位置する上面板と、植物栽培床の前後左右に配置した側板と、送風手段とを備え、植物栽培床と、上面板と、各側板で、栽培空間を形成しており、送風手段は、送風チューブであり、栽培空間の上方に設けてあり、複数の吹出孔を送風チューブ上面に径方向に有し、複数の方向から上面板に向けて送風しており、送風手段からの風が植物へ間接的に流れることを特徴とする植物栽培装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、上方に向けて送風した風が上面板に当たった後、栽培空間内を流れるので、送風手段からの風が植物に直接あたらないから、植物の育成に与える悪影響を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態にかかる植物栽培装置の斜視図である。
図2図1に示す植物栽培装置であって、前側板を除いて示す正面図である。
図3図1に示す植物栽培装置であって、左側板を除いて示す左側面図である。
図4図2に示す植物栽培装置の上から2段目を拡大して示す図であり、前側板を除いて示す正面図である。
図5図1に示す植物栽培装置であって、上面板を除いて示す平面図である。
図6図4に示すA部の平面図である。
図7図6に示すE-E断面図である。
図8】左側板の取り付け手順を示す正面図である。
図9】本発明の第2実施形態にかかる植物栽培装置であって、前側板を除いて示す正面図である。
図10図11に示すF-F断面図である。
図11】本発明の第2実施形態にかかる植物栽培装置であって、上面板を除いて示す平面図である。
図12図9に示すB部を拡大して示す図である。
図13図10に示すC部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、まず図1図8を参照して第1実施形態について説明する。
図1に示すように、植物栽培装置1は、支柱3と、支柱3、3間に架設した横枠(架設材)5と縦枠(架設材)6で、箱型形状に組み立ててある。この植物栽培装置1には、上下に5段1a、1b、1c、1d、1eの各段に植物栽培床7を設けてあり、各植物栽培床7の上方に栽培空間9を形成している。
植物栽培装置1の各段1a、1b、1c、1d、1eは、同じ構成であるが、図1では、上から3段目1cでは、各側板11a、11b、11c、11d(後述する)を省略して示している。また、図1では、各側板11a、11cをハッチングで示している。
【0009】
図3及び図4に、一点鎖線で抜き出して示すように、横枠5と縦枠6は、それぞれ縦断面がコ字形状を成し、コ字の開口を内側(内周側)に向けて配置している。また、横枠5よりも縦枠6は小さい形状であり、横枠5のコ字の開口内に縦枠6を収めてネジで固定してある。
横枠5、5間には、縦枠6と平行に配置した縦桟8(図4参照)が間隔を開けて複数架設されている。
【0010】
図4に示すように、植物栽培装置1の各段には、上述した植物栽培床7と、植物栽培床7の上方に位置する上面板10と、植物栽培床7の前側に配置した前側板11a(図1参照)、後側に配置した後側板11b、左側(正面から見て左側)に配置した左側板11c、右側(正面から見て右側)に配置した右側板11dと、送風ファン(送風手段)13aとを備えており、植物栽培床7と、上面板10と、各側板11a、11b、11c及び11dで、栽培空間9を形成している。上面板10は、栽培空間9の上方に複数並べて設けてある。
図5に示すように、植物栽培床7は、平面視長四角形状を成しており、各段には横枠5と平行に2つ並んで設けてある。植物栽培床7は、下の段の横枠5、縦枠6及び縦桟8の上に載置されており、左端部は左側板11cより左側に突設してあり、右側端は右側板11dより右側に突設して設けている。
また、植物栽培床7には、野菜等の植物Pが栽培されている。
【0011】
図4に示すように、上面板10は、縦枠6と縦桟8の下面に固定してあり、横枠5の下端部5aとの間に隙間を開けて設けてある。上面板10は、栽培空間9の上側に設けられている。
【0012】
前側板11a(図5参照)、後側板11b、左側板11c及び右側板11dは、栽培空間9の側面側に設けてあり、横枠5と縦枠6の外周面に間隔を開けて固定したフック21に掛け吊るしてある。
図8に示すように、各側板11a、11b、11c、11dは、上部に孔12(図中破線で示す)が形成してあり、孔12をフック21に通して吊り下げてある。
【0013】
図4に示すように、送風ファン13aは、栽培空間9の上方に設けてあり、矢印K1に示すように、上面板10に向けて送風している。第1実施形態では、送風ファン13aから直上に向けて送風している。
送風ファン13aは、水平方向の羽根16が設けてあり、羽根16の回転により、上に向けて送風している。
図5に示すように、送風ファン13aは、縦枠6の中央位置で横枠5の長手方向に沿って一列に互いに間隔を開けて並べてある。
【0014】
図6及び図7を参照して、送風ファン(送風手段)13aの取り付けについて説明する。
各送風ファン13aは、取付材17を介して、栽培空間9に設けてある横枠(架設材)5、5間に取り付けてある。
取付材17には、送風ファン13aが左右のブラケット15、15で吊り下げるようにして取り付けてある(図7参照)。取付材17は、この実施形態では、2本のフラットバーで構成してあり、取付材17の前後の端部17a、17aを対応する横枠5の下端部5aに載置して、横枠5、5間に架設してある。
各ブラケット15は略Z形状を成しており、互いに対向する側に突設した下端部15aに送風ファン13aがねじで固定してあり、互いに対向する側と反対側に突設した上端部15bを取付材17にねじで固定してある。
また、横枠5、5間には、複数の照明部材(架設材)23が縦方向に間隔をあけて架設されている。照明部材23は、LED照明であり、栽培空間9内を照らしている。
【0015】
次に、本実施形態に係る植物栽培装置1の作用効果について説明する。
図4に示すように、送風ファン(送風手段)13aは、図中矢印K1で示すように、上面板10に向けて送風しており、上面板10に当たった風は、矢印K2で示すように、向きを変えて栽培空間9内を流れるので、送風ファン13aからの風が植物に直接あたらないから、植物の育成に与える悪影響を防止できる。
また、送風ファン13aから送風された風K1は、上面板10に当たった後、そのまま栽培空間9内に向かう風K2や、更に前側板11aや後側板11b、左側板11c、右側板11dにそれぞれ当たって栽培空間9に向かう風K3もあり、各風K2,K3は栽培空間9内で更にぶつかり合い、弱められて、緩やかな乱流の風K4となって栽培空間9内を流れ、これにより、自然な風の流れを得ることができるので、植物に優しい。
【0016】
図2及び図3に示すように、植物栽培装置1は、上下方向に複数の栽培空間9を有し、それぞれの栽培空間9に送風ファン13aが設けてあるから、複数の栽培空間9で植物の育成に与える悪影響を防止できる。
図6及び7に示すように、送風ファン13は、取付材17を介して、栽培空間9内に設けてある横枠(架設材)5に取り付けてあるので、既設の植物栽培装置1に簡単に後付けできる。
【0017】
図8に示すように、前側板11a、後側板11b、左側板11c及び右側板11dは、それぞれ、横枠5と縦枠6の外周面に間隔を開けて固定したフック21に掛け吊るしてあるので、取付けが容易にできる。
【0018】
以下に、本発明の他の実施の形態について説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付して、その部分の詳細な説明を省略する。
図9図13を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図9及び図11に示すように、第2実施形態に係る植物栽培装置1は、送風手段が送風チューブ13bであり、送風チューブ13bに設けた吹出孔14(図12参照)から上面板10に向けて送風している。第2実施形態では、送風チューブ13bは吹出孔14から直上に向けて送風している。吹出孔14から吹き出す風は、送風チューブ13bの真上に吹き出す風の他に、送風チューブ13b内を流れる風に沿って斜め前方や、流れの反力を受けて斜め後方や、その他に斜め左右に吹き出す風もある。
送風チューブ13bは、各段1a、1b、1c、1d、1eの栽培空間9の上方に配置してあり、一端を送風装置25に接続してあり他端は封止してある。各送風チューブ13bは、各段1a、1b、1c、1d、1e毎に横枠5と平行に等間隔で3本設けてある。
【0019】
図13に示すように、送風チューブ13bは、吊下具27で縦桟8に吊り下げて、栽培空間9の上方に設けている。吊下具27は、略U字形状を成す弾性変形可能な金属棒材でできており、U字の上端部を互いに離れる側に曲げて係合部27aとしてある。係合部27aを上面板10、10間から挿入して、縦桟8の形成した孔に挿通して縦桟8に係止している。
吊下具27を縦桟8に取り付けるときには、図13に二点鎖線で示すように、係合部27a、27aを互いに引き寄せて幅を狭くし、縦桟8の孔に合わせて係合部27a、27aを弾性力で戻すことで、係合する。
その他の構成は、上述した第1実施形態と同様である。
【0020】
図12及び図13に示すように、この第2に実施形態によれば、送風チューブ13bは栽培空間9の上方に設けてあり、吹出孔14から上面板10に向けて風K1で送風しているので、第1実施形態と同様に、図中矢印で示すように、栽培空間9内を流れるので、送風チューブ13bからの風K1が植物に直接あたらないから、植物の育成に与える悪影響を防止できる。
また、送風チューブ13bから送風された風K1は、上面板10に当たった後、そのまま栽培空間9内に向かう風K2や、更に前側板11aや後側板11b、左側板11c、右側板11dにそれぞれ当たって栽培空間9に向かう風K3(図10参照)もあり、各風K2,K3は栽培空間9内で更にぶつかり合い、弱められて、緩やかな乱流の風K4となって栽培空間9内を流れ、これにより、自然な風の流れを得ることができるので、植物に優しい。
図13に示すように、送風チューブ13bは、吊下具27で、縦桟8に係合して吊り下げているので、設置が簡単にできる。
植物栽培装置1の各段1a、1b、1c、1d、1eには、共通の送風装置25から段毎に設けた送風チューブ13bに一度に送風できる。
【0021】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
第1実施形態において、送風ファン(送風手段)13aは、各段1a、1b、1c、1d、1e毎に一列に配置したが、これに限らず、2列や3列等の複数の列で配置しても良いし、列状に配置することに限らず、平面視において千鳥状に配置しても良い。
第2実施形態において、送風チューブ(送風手段)13bは、各段1a、1b、1c、1d、1e毎に3本配置したが、1本又は2本等であっても良い。
送風ファン13aは、縦桟8や照明部材23等の植物栽培装置1に設置している他の架設材に取り付けても良い。同様に、送風チューブ13bも照明部材23等の植物栽培装置1に設置している他の架設材に取り付けても良い。また、吹出孔14から吹き出す風は、送風チューブ13bの直上にのみ吹き出すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 植物栽培装置
7 植物栽培床
9 栽培空間
10 上面板
11a 前側板
11b 後側板
11c 左側板
11d 右側板
13a ファン(送風手段)
13b 送風チューブ(送風手段)
K1 送風手段から上面板に向けて吹き出された風
K2 上面板に当たった後の風
K3 側板に当たって栽培空間に向かう風
K4 栽培空間を穏やかに流れる風
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13