(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】人力駆動車用の電子装置、および、人力駆動車用のドライブユニット
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20240611BHJP
B62J 45/413 20200101ALI20240611BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20240611BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240611BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240611BHJP
H01F 38/18 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
B62M6/55
B62J45/413
G08C17/00 B
H02J50/12
H02J7/00 P
H01F38/18 Q
(21)【出願番号】P 2020219514
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高荷 敏行
(72)【発明者】
【氏名】花房 清夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 一良
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/108153(WO,A1)
【文献】特開2019-211819(JP,A)
【文献】特開2019-033650(JP,A)
【文献】国際公開第2015/108152(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377724(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109591946(CN,A)
【文献】特開2006-156597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/55
B62J 45/413
G08C 17/00
H02J 50/12
H02J 7/00
H01F 38/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の電子装置であって、
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板に設けられる第1コイルと、
前記第2基板に設けられ、前記第1コイルと磁気的に結合する第2コイルと、
前記第1基板に設けられ、検出対象の動きに伴って変化する磁気に応じた信号を出力する第1センサと、
前記第1基板に設けられ、前記第1コイルと前記第1センサとの間に少なくとも一部が配置される磁気シールドと、を備える、電子装置。
【請求項2】
前記磁気シールドは、前記第1基板に埋め込まれる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記第1基板の厚み方向において、第1基板面と、第2基板面と、を有し、
前記第2基板は、前記第2基板の厚み方向において、第3基板面と、少なくとも一部が前記第2基板面と対向する第4基板面と、を有し、
前記第1センサは、前記第1基板面に実装される、請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第1コイルは、前記第2基板面、または、前記第1基板面と前記第2基板面との間に配置され、
前記磁気シールドは、前記第1コイルと前記第1基板面との間に配置される、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記第1基板の厚み方向から見て、磁気シールドは、前記第1コイルの全体に重なるように形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1基板の厚み方向から見て、前記磁気シールドの第1部分は、前記第1コイルの内周面よりも内側に配置される、請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記第1基板の厚み方向から見て、前記磁気シールドの第2部分は、前記第1コイルの外周面よりも外側に配置される、請求項5または6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記第1基板は、前記第1基板の厚み方向に延びる第1貫通孔を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第1コイルは、前記第1貫通孔を囲むように配置される、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記磁気シールドは、前記第1貫通孔を囲むように配置される、請求項8または9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第1センサは、前記第1貫通孔に近接して設けられる、請求項8から10のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項12】
前記第1貫通孔は、回転体が配置可能に構成され、
前記検出対象は、前記回転体に設けられる磁石を含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項13】
前記第1センサは、前記回転体の回転状態に応じた信号を出力するように構成される、請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記検出対象に設けられ、前記回転体の歪みを検出するように構成される第2センサをさらに含み、
前記第2センサは、前記第2基板に電気的に接続され、前記第1コイルおよび第2コイルを介して電力が供給される、請求項12に記載の電子装置。
【請求項15】
前記第1基板に設けられ、前記第1コイルに電気的に接続される第1通信部と、
前記第2基板に設けられ、前記第2コイルおよび前記第2センサに電気的に接続され、前記第1通信部と通信するように構成される第2通信部と、を含む、請求項14に記載の電子装置。
【請求項16】
前記第1基板と前記第2基板とは、相対回転可能に構成され、
前記第1基板は、前記人力駆動車のフレームに対して相対回転不能に設けられる、請求項1から15のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項17】
前記磁気シールドは、金属材料を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項18】
人力駆動車用のドライブユニットであって、
請求項1から17のいずれか一項に記載の電子装置と、
人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える、ドライブユニット。
【請求項19】
人力駆動車用のドライブユニットであって、
請求項12から15のいずれか一項に記載の電子装置と、
人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える、ドライブユニット。
【請求項20】
前記回転体は、前記人力駆動車のクランク軸を含む、請求項19に記載のドライブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の電子装置、および、人力駆動車用のドライブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示される電子装置では、第1基板に設けられる第1コイルと第2基板に設けられる第2コイルとが磁気的に結合する。特許文献1の電子装置では、第1コイルおよび第2コイルによって発生する磁気の影響を回避する必要があるので、第1コイルおよび第2コイルの近傍に磁気を検出するセンサを配置しにくく、小型化が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、小型化しやすい人力駆動車用の電子装置、および、小型化しやすい人力駆動車用の電子装置を備える人力駆動車用のドライブユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う電子装置は、人力駆動車用の電子装置であって、第1基板と、第2基板と、前記第1基板に設けられる第1コイルと、前記第2基板に設けられ、前記第1コイルと磁気的に結合する第2コイルと、前記第1基板に設けられ、検出対象の動きに伴って変化する磁気に応じた信号を出力する第1センサと、前記第1基板に設けられ、前記第1コイルと前記第1センサとの間に少なくとも一部が配置される磁気シールドと、を備える。
第1側面の電子装置によれば、磁気シールドの少なくとも一部を第1コイルと第1センサとの間に配置することによって、第1コイルによって発生する磁気の第1センサへの影響が抑制される。第1コイルが設けられる第1基板に第1センサが設けられるので、電子装置を小型化しやすい。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の電子装置において、前記磁気シールドは、前記第1基板に埋め込まれる。
第2側面の電子装置によれば、磁気シールドが第1基板に埋め込まれるため、磁気シールドが安定して第1基板に設けられる。
【0007】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面の電子装置において、前記第1基板は、前記第1基板の厚み方向において、第1基板面と、第2基板面と、を有し、前記第2基板は、前記第2基板の厚み方向において、第3基板面と、少なくとも一部が前記第2基板面と対向する第4基板面と、を有し、前記第1センサは、前記第1基板面に実装される。
第3側面の電子装置によれば、第1基板の厚み方向において、第2基板面と反対側の第1基板面に第1センサが実装されるため、第1基板のうち、第2基板に設けられる第2コイルから遠い位置に第1センサを配置できる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の電子装置において、前記第1コイルは、前記第2基板面、または、前記第1基板面と前記第2基板面との間に配置され、前記磁気シールドは、前記第1コイルと前記第1基板面との間に配置される。
第4側面の電子装置によれば、磁気シールドが第1コイルと第1基板面との間に配置されるため、第2基板面、または、第1基板面と第2基板面との間に配置される第1コイルの磁気の第1センサへの影響を好適に抑制できる。
【0009】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の電子装置において、前記第1基板の厚み方向から見て、磁気シールドは、前記第1コイルの全体に重なるように形成される。
第5側面の電子装置によれば、第1基板の厚み方向から見て、磁気シールドが第1コイルの全体に重なるように形成されるため、第1コイルの磁気の第1センサへの影響を好適に抑制できる。
【0010】
本開示の第5側面に従う第6側面の電子装置において、前記第1基板の厚み方向から見て、前記磁気シールドの第1部分は、前記第1コイルの内周面よりも内側に配置される。
第6側面の電子装置によれば、第1基板の厚み方向から見て、磁気シールドの第1部分が第1コイルの内周面よりも内側に配置されるため、第1コイルの磁気の第1センサへの影響をさらに好適に抑制できる。
【0011】
本開示の第5または第6側面に従う第7側面の電子装置において、前記第1基板の厚み方向から見て、前記磁気シールドの第2部分は、前記第1コイルの外周面よりも外側に配置される。
第7側面の電子装置によれば、第1基板の厚み方向から見て、磁気シールドの第2部分が第1コイルの外周面よりも外側に配置されるため、第1コイルの磁気の第1センサへの影響をさらに好適に抑制できる。
【0012】
本開示の第1から第6側面のいずれか1つに従う第8側面の電子装置において、前記第1基板は、前記第1基板の厚み方向に延びる第1貫通孔を有する。
第8側面の電子装置によれば、第1貫通孔に検出対象を配置できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の電子装置において、前記第1コイルは、前記第1貫通孔を囲むように配置される。
第9側面の電子装置によれば、第1コイルが第1貫通孔を囲むように配置されるため、第1コイルの配置に必要な第1基板の面積を削減できる。
【0014】
本開示の第8または第9側面に従う第10側面の電子装置において、前記磁気シールドは、前記第1貫通孔を囲むように配置される。
第10側面の電子装置によれば、磁気シールドが第1貫通孔を囲むように配置されるため、第1貫通孔まわりにおける全周に磁気シールドを配置できる。
【0015】
本開示の第8から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の電子装置において、前記第1センサは、前記第1貫通孔に近接して設けられる。
第11側面の電子装置によれば、第1センサが第1貫通孔に近接して設けられるため、第1貫通孔の内部に設けられる検出対象の動きを好適に検出できる。
【0016】
本開示の第8から第11側面のいずれか1つに従う第12側面の電子装置において、前記第1貫通孔は、回転体が配置可能に構成され、前記検出対象は、前記回転体に設けられる磁石を含む。
第12側面の電子装置によれば、検出対象が第1貫通孔に配置される回転体に設けられるため、第1センサは第1貫通孔に配置される回転体の動きを検出できる。
【0017】
本開示の第12側面に従う第13側面の電子装置において、前記第1センサは、前記回転体の回転状態に応じた信号を出力するように構成される。
第13側面の電子装置によれば、第1センサによって、回転体の回転状態を検出できる。
【0018】
本開示の第12側面に従う第14側面の電子装置において、前記検出対象に設けられ、前記回転体の歪みを検出するように構成される第2センサをさらに含み、前記第2センサは、前記第2基板に電気的に接続され、前記第1コイルおよび第2コイルを介して電力が供給される。
第14側面の電子装置によれば、第1コイルおよび第2コイルを介して第2センサに電力を供給できるため、検出対象に電源を設けなくてもよい。
【0019】
本開示の第14側面に従う第15側面の電子装置において、前記第1基板に設けられ、前記第1コイルに電気的に接続される第1通信部と、前記第2基板に設けられ、前記第2コイルおよび前記第2センサに電気的に接続され、前記第1通信部と通信するように構成される第2通信部と、を含む。
第15側面の電子装置によれば、第1通信部および第2通信部によって、第2センサが検出する信号を第1基板に送信できる。
【0020】
本開示の第1から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の電子装置において、前記第1基板と前記第2基板とは、相対回転可能に構成され、前記第1基板は、前記人力駆動車のフレームに対して相対回転不能に設けられる。
第16側面の電子装置によれば、第1基板および第2基板を、人力駆動車において相対回転する部分に好適に配置できる。
【0021】
本開示の第1から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の電子装置において、前記磁気シールドは、金属材料を含む。
第17側面の電子装置によれば、磁気シールドを簡易に形成できる。
【0022】
本開示の第18側面に従うドライブユニットは、人力駆動車用のドライブユニットであって、第1から第17側面のいずれか1つに記載の電子装置と、人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える。
第18側面のドライブユニットによれば、電子装置を小型化しやすいので、ドライブユニットを小型化したり、軽量化したりしやすくなる。
【0023】
本開示の第19側面に従う電子装置は、人力駆動車用のドライブユニットであって、第12から第15側面のいずれか1つに記載の電子装置と、人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える。
第19側面のドライブユニットによれば、電子装置を小型化しやすいので、ドライブユニットを小型化したり、軽量化したりしやすくなる。
【0024】
本開示の第19側面に従う第20側面のドライブユニットにおいて、前記回転体は、前記人力駆動車のクランク軸を含む。
第19側面のドライブユニットによれば、第1センサによって、人力駆動車のクランク軸の動きを検出できる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の人力駆動車用の電子装置、および、人力駆動車用のドライブユニットは、小型化しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態の人力駆動車用の電子装置、および、人力駆動車用のドライブユニッを含む、人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態の人力駆動車用のドライブユニットの斜視図。
【
図3】
図2の人力駆動車用のドライブユニットの平面図。
【
図4】
図2の人力駆動車用のドライブユニットの断面図。
【
図5】
図4の人力駆動車用の電子装置およびその周辺を拡大して示す断面図。
【
図6】
図5の第1基板を第2基板面側から見た平面図。
【
図8】
図5の第1基板を第1基板面側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態>
図1から
図9を参照して、実施形態の人力駆動車用のドライブユニット30、および、人力駆動車用の電子装置80について説明する。人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力Hによって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力Hのみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力Hだけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(E-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車として説明し、電動アシスト自転車の一例をマウンテンバイクとして説明する。
【0028】
人力駆動車10は、ドライブユニット30に電力を供給するバッテリ12をさらに含む。バッテリ12は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ12は、ドライブユニット30の制御装置32に電力を供給するように構成される。バッテリ12は、好ましくは、制御装置32と電気ケーブルまたは無線通信装置を介して通信可能に接続される。バッテリ12は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によってドライブユニット30の制御装置32と通信可能である。
【0029】
好ましくは、ドライブユニット30は、クランク軸34まわりに設けられる。好ましくは、ドライブユニット30は、クランク軸34を支持するベース部42を備える。ベース部42は、人力駆動車10の車体に取り付けられる。ドライブユニット30は、電子装置80と、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ44と、を備える。ドライブユニット30は、減速機46をさらに備える。ベース部42は、例えば、ドライブユニット30のハウジングを構成する。
【0030】
ベース部42は、人力駆動車10のフレームに設けられる。ベース部42は、例えば、フレームに着脱可能に取り付けられる。ベース部42は、少なくとも1つの取付部42Aを有する。少なくとも1つの取付部42Aは、例えば、ベース部42の外周部に設けられる。少なくとも1つの取付部42Aは、それぞれ、孔および雌ねじ部の少なくとも1つを含む。好ましくは、孔および雌ねじ部は、クランク軸34の回転軸線CAに平行な方向に延びる。少なくとも1つの取付部42Aおよびフレームにボルトが係合することによって、ベース部42がフレームに取り付けられる。ベース部42は、他の部材を介してフレームに取り付けられてもよい。
【0031】
好ましくは、ベース部42は、第1ハウジング42Xおよび第2ハウジング42Yを含む。第1ハウジング42Xは、ベース部42の第1側壁部40Aを含む。第2ハウジング42Yは、ベース部42の第2側壁部40Bを含む。第1ハウジング42Xと第2ハウジング42Yとは、例えば、ボルト等によって互いに取り付けられる。第1ハウジング42Xおよび第2ハウジング42Yは、収容空間42Zを形成する。好ましくは、モータ44は、収容空間42Zに配置される。本実施形態において、ベース部42は、金属によって形成される。ベース部42を形成する金属は、例えば、アルミニウム合金、または、マグネシウム合金を含む。ベース部42は、合成樹脂によって形成されてもよい。
【0032】
モータ44は、ベース部42に設けられる。モータ44は、電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。モータ44は、第1回転体14に回転力を伝達するように構成される。モータ44は、出力軸48と、ロータ50と、ステータ52とを有する。出力軸48は、予め定める方向Aに延び、予め定める方向Aの第1端部48Aにフリーエンドを有する。ロータ50は、出力軸48に固定される。ステータ52は、ロータ50に対向する。
【0033】
出力軸48は、予め定める方向Aにおいて、第1端部48Aとは反対側の第2端部48Bを備える。予め定める方向Aのうち、出力軸48の第1端部48Aから第2端部48Bに向かう方向を第1方向A1とする。予め定める方向Aのうち、出力軸48の第2端部48Bから第1端部48Aに向かう方向を第2方向A2とする。好ましくは、モータ44は、ラジアルギャップ型のモータである。好ましくは、モータ44は、インナロータ型のモータである。モータ44は、アウタロータ型のモータであってもよい。モータ44は、アキシャルギャップ型のモータであってもよい。
【0034】
モータ44は、少なくとも1つのモータ軸受45をさらに含む。少なくとも1つのモータ軸受45は、第1モータ軸受45Aと、第2モータ軸受45Bとを含む。第1モータ軸受45Aは、予め定める方向Aにおける出力軸48の第1端部48Aと、予め定める方向Aにおける出力軸48の第2端部48Bと、の間の中間部を回転可能に支持する。第2モータ軸受45Bは、出力軸48の第2端部48Bを回転可能に支持する。好ましくは、第1モータ軸受45Aは、ラジアルベアリングを含む。好ましくは、第2モータ軸受45Bは、ラジアルベアリングを含む。
【0035】
第1モータ軸受45Aは、内輪と、外輪と、内輪および外輪の間に配置される複数の転動体とを含む。第2モータ軸受45Bは、内輪と、外輪と、内輪および外輪の間に配置される複数の転動体とを含む。第1モータ軸受45Aの内輪の内径は、第2モータ軸受45Bの内輪の内径よりも大きい。第1モータ軸受45Aの外輪の外径は、第2モータ軸受45Bの外輪の外径よりも大きい。第2モータ軸受45Bは、第2側壁部40Bの内面部に形成される凹部43Aに支持される。
【0036】
減速機46は、ベース部42に設けられ、モータ44の駆動力を第1回転体14に伝達するように構成される。第1回転体14は、例えば、フロントスプロケットである。好ましくは、ドライブユニット30は、出力部54をさらに備える。減速機46は、ベース部42の収容空間42Zに配置される。出力部54は、第1回転体14が接続される接続部54Aを有し、減速機46に接続される。出力部54は、予め定める方向Aに延びる回転軸線C1まわりに回転するように構成される。
【0037】
好ましくは、ドライブユニット30は、クランク軸34をさらに備える。クランク軸34は、ベース部42に設けられ、予め定める方向Aに延びる。クランク軸34には、人力駆動力が入力される。クランク軸34は、少なくとも予め定める第1回転方向R1に回転する場合に、出力部54に人力駆動力を伝達するように出力部54に接続される。好ましくは、クランク軸34と、出力部54とは、同軸に設けられる。好ましくは、クランク軸34の外周部に設けられる。クランク軸34は、好ましくは、金属によって形成される。本実施形態では、クランク軸34は、中空軸によって形成される。クランク軸34は、中実軸によって形成されてもよい。
【0038】
ベース部42には、第1孔42Bおよび第2孔42Cが形成される。第1孔42Bは、第1側壁部40Aに形成される。第2孔42Cは、第2側壁部40Bに形成される。クランク軸34は、クランク軸34の延びる方向において、第1端部34Aおよび第2端部34Bを有する。クランク軸34は、第1孔42Bおよび第2孔42Cを通過して、ベース部42の収容空間42Zからベース部42の外部に突出する。第1端部34Aは、第1孔42Bからベース部42の外部に露出する。第2端部34Bは、第2孔42Cからベース部42の外部に露出する。
【0039】
出力部54の少なくとも一部は、第1端部34Aのまわりに配置される。出力部54の少なくとも一部は、第1孔42Bに配置され、接続部54Aがベース部42の外部に露出する。出力部54は、実質的に円筒形状を有する。好ましくは、出力部54は、金属によって形成される。接続部54Aは、予め定める方向Aにおいて、出力部54の第1端部54Cに設けられる。接続部54Aは、第1端部54Cの外周部に設けられる。接続部54Aは、例えば、スプライン溝を有する。第1端部54Cの内周部には、接続部54Aに第1回転体14が接続される状態において、予め定める方向Aへの第1回転体14の移動を規制するロックリングが結合するように構成される雌ねじが形成される。出力部54の第1端部54Cは、ベース部42に形成される第1孔42Bを通過して、ベース部42の収容空間42Zから外部に突出する。好ましくは、接続部54Aは、ベース部42に含まれるハウジングの外部に配置される。
【0040】
本実施形態において、出力部54は、クランク軸34と一体に回転するように構成される。出力部54は、少なくともクランク軸34が予め定める第1回転方向R1に回転する場合に、クランク軸34と一体に回転するように構成される。本実施形態では、出力部54は、クランク軸34が予め定める第1回転方向R1に回転する場合に、クランク軸34と一体に回転し、かつ、クランク軸34が予め定める第1回転方向R1とは反対の予め定める第2回転方向R2に回転する場合にも、クランク軸34と一体に回転する。
【0041】
例えば、クランク軸34の外周部および出力部54の内周部の一方は、少なくとも1つの凸部を有し、クランク軸34の外周部および出力部54の内周部の他方は、少なくとも1つの凸部と係合する、少なくとも1つの凹部を有する。本実施形態では、クランク軸34の外周部に第1セレーションが形成され、出力部54の内周部に第1セレーションと嵌合する第2セレーションが形成される。第1セレーションは、第2セレーションに圧入されてもよく、接着剤によって固定されてもよい。
【0042】
出力部54は、第1ワンウェイクラッチを介してクランク軸34に接続されてもよい。第1ワンウェイクラッチは、ローラクラッチ、爪式クラッチ、または、スプラグクラッチを含む。第1ワンウェイクラッチは、クランク軸34が予め定める第1回転方向R1に回転する場合に、出力部54がクランク軸34と一体に回転するように構成される。第1ワンウェイクラッチは、出力部54は、クランク軸34が予め定める第2回転方向R2に回転する場合に、クランク軸34と出力部54との相対回転を許容するように構成される。
【0043】
減速機46は、モータ44の回転速度を減速して、第1回転体14にモータ44の駆動力を伝達するように構成される。本実施形態では、減速機46は、モータ44の回転速度を2段階において減速して第1回転体14にモータ44の駆動力を伝達するように構成される。減速機46は、複数の歯車を含んでいてもよく、一対のプーリーおよびベルトを含んでいてもよく、遊星歯車機構を含んでいてもよく、一対のスプロケットおよびチェーンを含んでいてもよい。
【0044】
好ましくは、ドライブユニット30は、第2ワンウェイクラッチ78をさらに備える。第2ワンウェイクラッチ78は、減速機46または、減速機46と出力部54との間に設けられる。第2ワンウェイクラッチ78は、クランク軸34が予め定める第1回転方向R1に回転し、かつモータ44が停止している場合に、クランク軸34の回転力がモータ44に伝達されないように、クランク軸34と、減速機46のうちの出力部54に取り付けられる歯車68との相対回転を許容するように構成される。第2ワンウェイクラッチ78は、例えば、ローラクラッチ、スプラグ式クラッチ、および、爪式クラッチの少なくとも1つを含む。
【0045】
制御装置32は、制御部33を含む。制御部33は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部33は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御装置32は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。
【0046】
制御装置32は、収容空間42Zに配置される。制御装置32は、回路基板32Aを含む。回路基板32Aは、収容空間42Zに配置される。回路基板32Aは、回路基板32Aの実装面が予め定める方向Aに実質的に直交するように配置される。予め定める方向Aから見て、回路基板32Aは、ステータ52の少なくとも一部と重なるように配置される。ステータ52は、複数のコイルを含む。ステータ52は、複数のコイルが電気的に接続される複数の接続端子を含む。複数の接続端子は、予め定める方向Aに沿って延び、回路基板32Aに電気的に接続される。
【0047】
制御装置32は、好ましくは、モータ44の駆動回路36をさらに備える。駆動回路36と、制御部33とは、例えば同一の回路基板32Aに設けられてもよい。駆動回路36は、インバータ回路を含む。駆動回路36は、バッテリ12からモータ44に供給される電力を制御する。駆動回路36は、制御部33と、導電線、電気ケーブルまたは無線通信装置などを介して接続される。駆動回路36は、制御部33からの制御信号に応じてモータ44を駆動させる。
【0048】
本実施形態では、電子装置80は、制御装置32の回路基板32Aとは別体に設けられる。電子装置80は、クランク軸34の近傍に配置される。電子装置80は、収容空間42Zに配置される。電子装置80は、第1基板82と、第2基板84と、第1コイル86と、第2コイル88と、第1センサ90と、磁気シールド92と、を備える。
【0049】
好ましくは、第1基板82と第2基板84とは、相対回転可能に構成される。第1基板82は、人力駆動車10のフレームに対して相対回転不能に設けられる。好ましくは、第1基板82は、ベース部42に対して相対回転不能に設けられる。好ましくは、第1基板82は、ベース部42の内壁部に取り付けられる。第1基板82の外周部には、少なくとも1つの貫通孔82Xが形成される。貫通孔82Xにボルトが挿入されることによって、第1基板82がベース部42に固定される。第1基板82は、別の部材を介してベース部42に取り付けられてもよい。第1基板82は、電気コネクタおよび電気ケーブルの少なくとも1つを介して、回路基板32Aと電気的に接続される。第1基板82は、回路基板32Aと単一部材として、回路基板32Aと一体に形成されていてもよい。
【0050】
第1基板82は、第1基板82の厚み方向B1において、第1基板面82Aと、第2基板面82Bと、を有する。第1基板面82Aと、第2基板面82Bと、の少なくとも1つは、絶縁性樹脂によってモールドされていてもよい。第2基板84は、第2基板84の厚み方向B2において、第3基板面84Aと、少なくとも一部が第2基板面82Bと対向する第4基板面84Bと、を有する。第3基板面84Aと、第4基板面84Bとの少なくとも1つは、絶縁性樹脂によってモールドされていてもよい。
【0051】
好ましくは、第1基板82の厚み方向B1において、第2基板面82Bから第4基板面84Bまでの距離は、0.5ミリメートル以上、かつ、5ミリメートル以下である。好ましくは、第1基板82の厚み方向B1の厚さは、0.5ミリメートル以上、かつ、4ミリメートル以下である。好ましくは、第2基板84の厚み方向B2の厚さは、0.5ミリメートル以上、かつ、4ミリメートル以下である。
【0052】
好ましくは、第1基板82は、第1基板82の厚み方向B1に延びる第1貫通孔82Cを有する。好ましくは、第2基板84は、第2基板84の厚み方向B2に延びる第2貫通孔84Cを有する。第1基板82の厚み方向B1から見て、第1貫通孔82Cおよび第2貫通孔84Cは、円形に形成される。第1基板82および第2基板84は、第1貫通孔82Cおよび第2貫通孔84Cが同心になるように配置される。好ましくは、第2基板84は、回転体22と一体回転するように、回転体22に設けられる。回転体22には第2基板84を支持する基板ホルダが設けられる。基板ホルダは、回転体22の回転軸心に垂直な方向に第2基板84が平行に配置されるように、第2基板84を保持する。基板ホルダは、回転体22に固定される。第2貫通孔84Cの外径は、第1貫通孔82Cの外径よりも小さい。
【0053】
第1貫通孔82Cは、回転体22が配置可能に構成される。第2貫通孔84Cは、回転体22が配置可能に構成される。好ましくは、第1貫通孔82Cの中心軸心および第2貫通孔84Cの中心軸心は、クランク軸34の回転軸線CAと実質的に一致する。好ましくは、回転体22は、人力駆動車10のクランク軸34を含む。本実施形態では、回転体22は、クランク軸34および出力部54を含む。第1貫通孔82Cには、クランク軸34の一部分および出力部54の一部分が配置される。第2貫通孔84Cには、クランク軸34の一部分および出力部54の一部分が配置される。
【0054】
第1センサ90は、第1基板82に設けられ、検出対象20の動きに伴って変化する磁気に応じた信号を出力する。第1センサ90は、磁気センサを含む。磁気センサは、例えばホールICを含む。好ましくは、検出対象20は、回転体22に設けられる磁石20Aを含む。磁石20Aは、回転体22の外周部に設けられる。磁石20Aは、例えば、リング状に形成される。磁石20Aは、回転体22の外周部の周方向において、2つ以上に分割されてもよい。磁石20Aは、回転体22の外周部の周方向において1つのみ設けられてもよい。好ましくは、第1センサ90は、回転体22の回転状態に応じた信号を出力するように構成される。第1センサ90は、第1センサ90を通過する磁気の変化に応じた信号を検出することによって、回転体22の回転状態を検出する。
【0055】
好ましくは、第1センサ90は、第1基板面82Aに実装される。第1センサ90は、表面実装によって第1基板面82Aに設けられる。好ましくは、第1センサ90は、第1貫通孔82Cに近接して設けられる。第1センサ90は、例えば、第1貫通孔82Cに最も近い第1センサ90の端部が、第1基板82の厚み方向B1から見て、第1貫通孔82Cに重なる位置、または、第1貫通孔82Cを規定する第1基板82の内壁部に重なる位置に配置される。磁石20Aの一部は、第1貫通孔82Cに配置される。磁石20Aの一部は、第1基板82の第2基板面82Bを含む平面と、第2基板84の第4基板面84Bを含む平面との間に配置されてもよい。第1センサ90は、クランク軸34の回転軸線CAに垂直な方向において、磁石20Aと重なる位置に配置される。
【0056】
第1センサ90が検出する信号は、制御装置32の制御部33に送信される。第1センサ90と制御装置32の制御部33とは、有線接続されていてもよく、無線接続されていてもよい。第1センサ90には、制御装置32を介してバッテリ12の電力が供給されていてもよい。電子装置80は、第1センサ90に電力を供給する電源を備えていてもよい。
【0057】
第1コイル86は、第1基板82に設けられる。第1コイル86は、第2基板面82B、または、第1基板面82Aと第2基板面82Bとの間に配置される。好ましくは、第1基板82は、プリント配線基板である。本実施形態では、第1基板82は、多層プリント配線基板である。第1コイル86は、第1基板82の内部に形成される。第1コイル86の第1基板面82A側の面は樹脂材料によって覆われる。第1コイル86は、第1基板82を形成する工程において、配線を形成する工程と同様に形成される。
【0058】
好ましくは、第1コイル86は、第1貫通孔82Cを囲むように配置される。第1コイル86は、第1基板82の厚み方向B1から見て、円環形状を有する。
【0059】
第2コイル88は、第2基板84に設けられ、第1コイル86と磁気的に結合するように構成される。第2コイル88は、第4基板面84Bに設けられてもよく、第2基板84に埋め込まれていてもよい。本実施形態では、第1コイル86および第2コイル88は、磁気共鳴によって第1コイル86から第2コイル88に、電力が供給されるように構成される。第1コイル86および第2コイル88は、電磁誘導によって第1コイル86から第2コイル88に、電力が供給されるように構成されてもよい。好ましくは、第2コイル88は、第2貫通孔84Cを囲むように配置される。好ましくは、第2コイル88は、第2基板84の厚み方向B2から見て、円環形状を有する。好ましくは、第1コイル86および第2コイル88は、実質的に同一形状および同一寸法を有する。
【0060】
好ましくは、電子装置80は、検出対象20に設けられ、回転体22の歪みを検出するように構成される第2センサ94をさらに含む。第2センサ94は、例えば、歪センサを含む。歪センサは、人力駆動力によってクランク軸34に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。歪センサは、歪ゲージを含む。第2センサ94は、回転体22または回転体22と一体に回転するように回転体22に取り付けられる部材に取り付けられる。本実施形態では、第2センサ94は、出力部54の外周部に取り付けられる。クランク軸34と出力部54との間に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、第2センサ94はクランク軸34と第1ワンウェイクラッチとを接続する部材に設けられる。クランク軸34と第1ワンウェイクラッチとを接続する部材は、出力部54と同様に、円筒形状を有する。
【0061】
第2センサ94は、第2基板84に電気的に接続され、第1コイル86および第2コイル88を介して電力が供給される。好ましくは、電子装置80は、第1通信部96と、第2通信部98と、を含む。第1通信部96は、第1基板82に設けられ、第1コイル86に電気的に接続される。第2通信部98は、第2基板84に設けられ、第2コイル88および第2センサ94に電気的に接続され、第1通信部96と通信するように構成される。第2センサ94によって検出される回転体22の歪みは、第2通信部98および第1通信部96を介して、制御装置32の制御部33に送信される。本実施形態では、第1通信部96および第2通信部98は、第1コイル86および第2コイル88間の磁気共鳴を利用して、通信を実行する。第1通信部96は、第1コイル86および第2コイル88間の磁気共鳴によって、第2通信部98に電力を供給する。
【0062】
好ましくは、第2基板84は、第2コイル88によって受信される交流電力を、直流電力に変換する整流回路と、整流回路に電気的に接続されるコンデンサと、を有する。第1通信部96および第2通信部98は、ICチップを含む電子回路によって構成される。第1通信部96および第2通信部98は、それぞれ変調回路および復調回路を含む。第1通信部96に含まれる電子部品の少なくとも一部は、第1基板面82Aに実装される。第1通信部96に含まれる電子部品の一部は、第2基板面82Bに実装されてもよい。第2通信部98に含まれる電子部品の少なくとも一部は、第3基板面84Aに実装される。第2通信部98に含まれる電子部品の一部は、第4基板面84Bに実装されてもよい。
【0063】
磁気シールド92は、第1基板82に設けられ、第1コイル86と第1センサ90との間に少なくとも一部が配置される。好ましくは、磁気シールド92は、金属材料を含む。好ましくは、磁気シールド92は、第1基板82に埋め込まれる。磁気シールド92は、第1コイル86と第1基板面82Aとの間に配置される。磁気シールド92は、第1基板82を製造する工程において形成される金属層である。磁気シールド92は、好ましくは、銅によって構成される。磁気シールド92は、金によって構成されてもよい。好ましくは、磁気シールド92は、予め定める周波数の電磁波を低減できる材料によって構成される。予め定める周波数は、例えば、第1コイル86および第2コイル88によって発生する電磁波に特有の周波数を含む。予め定める周波数は、例えば、5Mヘルツ以上、かつ、15Mヘルツ以下である。予め定める周波数は、例えば、7Mヘルツ以上、かつ、9Mヘルツ以下である。好ましくは、磁気シールド92は、第1貫通孔82Cを囲むように配置される。
【0064】
図9では、第1基板82の磁気シールド92を含む断面において、第1コイル86の位置が破線によって示され、第1センサ90の位置が、仮想線によって示される。好ましくは、第1基板82の厚み方向B1から見て、磁気シールド92は、第1コイル86の全体に重なるように形成される。好ましくは、第1基板82の厚み方向B1から見て、磁気シールド92の第1部分92Aは、第1コイル86の内周面86Aよりも内側に配置される。好ましくは、第1基板82の厚み方向B1から見て、磁気シールド92の第2部分92Bは、第1コイル86の外周面86Bよりも外側に配置される。
【0065】
好ましくは、人力駆動車10は、車速センサ16をさらに含む。車速センサ16は、人力駆動車10の車速Vに関する情報を検出するように構成される。本実施形態では、車速センサは、人力駆動車10の少なくとも1つの車輪の回転速度に関する情報を検出するように構成される。車速センサ16は、人力駆動車10の車速に関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、車輪に設けられる磁石を検出するように構成されてもよく、ディスクブレーキに設けられるスリットを検出するように構成されてもよく、光学センサなどを含んで構成されてもよく、GPS(Global Positioning System)受信機を含んで構成されてもよい。車速センサ16は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御装置32の制御部33に接続される。
【0066】
制御装置32の制御部33は、第1センサ90、第2センサ94、および、車速センサ16の少なくとも1つの出力に応じてモータ44を駆動する。例えば、制御装置32の制御部33は、第2センサ94によって検出される人力駆動力に応じてモータ44の出力を変更する。例えば、制御装置32の制御部33は、第1センサ90によって出力されるクランク軸34の回転速度に応じて、モータ44の出力を変更する。例えば、制御装置32の制御部33は、車速センサ16の出力に応じて、車速が予め定める車速以上になる場合、モータ44の駆動を停止する。
【0067】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の電子装置および人力駆動車用のドライブユニットが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の電子装置および人力駆動車用のドライブユニットは、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0068】
・ドライブユニット30は、人力駆動車10のハブに設けられてもよい。この場合、ドライブユニット30は、車輪に推進力を付与するように構成されるハブモータであってもよい。ハブモータは、前輪に設けられてもよく、後輪に設けられてもよい。
【0069】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0070】
10…人力駆動車、20…検出対象、20A…磁石、22…回転体、30…ドライブユニット、34…クランク軸、44…モータ、80…電子装置、82…第1基板、82A…第1基板面、82B…第2基板面、82C…第1貫通孔、84…第2基板、84A…第3基板面、84B…第4基板面、86…第1コイル、86A…内周面、86B…外周面、88…第2コイル、90…第1センサ、92…磁気シールド、92A…第1部分、92B…第2部分、94…第2センサ、96…第1通信部、98…第2通信部。