(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】液体を脱気するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240611BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
A61M1/16 165
B01D19/00 101
(21)【出願番号】P 2020525878
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2018080605
(87)【国際公開番号】W WO2019092101
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】102017126136.2
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ペータース アルネ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー ジェローム
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/137178(WO,A1)
【文献】特開平02-243161(JP,A)
【文献】特開2008-168078(JP,A)
【文献】特開2004-334405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
B01D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を脱気するための装置であって、
1又は2以上の脱気システム、を含み、
前記脱気システムは、第1の脱気チャンバと、第2の脱気チャンバと、液体ストアと、ポンプと、該液体ストアを該第1の脱気チャンバに接続する供給配管とを有し、
前記ポンプは、吸入側で前記第1の脱気チャンバにかつ圧力側で前記第2の脱気チャンバに接続され、
前記脱気システムは、遮断することができて前記2つの脱気チャンバを互いに接続する戻り配管を更に有し、
装置が、第1の作動モードで及び第2の作動モードで前記脱気システムを作動させるように構成されたコントローラを含み、
前記脱気システムは、前記第1の作動モードでは、前記ポンプが液体を前記第1の脱気チャンバから離れるように誘導し、かつそれを脱気された液体のための取り出しユニットに供給するように接続され、
前記脱気システムは、前記第2の作動モードでは、液体が前記第2の脱気チャンバから前記第1の脱気チャンバまで前記戻り配管を通じて戻されるように接続され
、
前記1又は2以上の脱気システムは、並列に接続された第1の脱気システム及び第2の脱気システムを含み、
前記コントローラは、前記第1の脱気システムが前記第1の作動モードで作動され、前記第2の脱気システムが前記第2の作動モードで同時に作動され、かつ逆も同様であるように、前記第1の脱気システム及び第2の脱気システムが交互に作動されるように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ポンプは、前記吸入側で前記第1の脱気チャンバに直接的又は間接的に接続され、かつ前記圧力側で前記第2の脱気チャンバに又は前記取り出しユニットに直接的又は間接的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記ポンプが両方の作動モードにおいて搬送モードで作動されるように構成され、又は
前記ポンプは、前記第1の作動モードでのみ搬送モードで作動されるが、前記第2の作動モードで作動されない、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の脱気チャンバ及び第2の脱気チャンバは、前記液体が重力に起因して又は前記ポンプの搬送パワーに起因して該第2の脱気チャンバから該第1の脱気チャンバの中に前記戻り配管を通して搬送されるように互いに対して配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の装置。
【請求項5】
前記2つの脱気チャンバは、空間的に互いに分離され、又は該2つの脱気チャンバを互いに分離する隔壁を有する共通構成内に配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のうちの1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の脱気チャンバだけが前記液体ストアに接続され、又は
両方の脱気チャンバが前記液体ストアに接続される、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載の装置。
【請求項7】
液体レベルを検出するためのレベルセンサが、前記第1の脱気チャンバに及び/又は前記第2の脱気チャンバに存在し、
前記コントローラは、レベルセンサが始動した時に前記第1の作動モードから前記第2の作動モードに又は該第2の作動モードから該第1の作動モードに切り換えるように構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項
6のうちの1項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
7のうちの1項に記載の装置が液体を脱気する方法であって、
前記コントローラが、液体が、前記第1の作動モードでは前記第1の脱気チャンバから引き出され、かつ脱気された液体のための取り出しユニットに供給されるように前記装置を制御し、
前記コントローラが、液体が、前記第2の作動モードでは前記第2の脱気チャンバから前記第1の脱気チャンバの中に誘導して戻されるように前記装置を制御する、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記コントローラは、液体が、前記第1の作動モードでは、前記ポンプを用いて前記第1の脱気チャンバから前記第2の脱気チャンバを通じて又は該第2の脱気チャンバを除外して前記取り出しユニットまで搬送されるように制御する、ことを特徴とする請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記コントローラは、前記第1の作動モードから前記第2の作動モードへの切り換えが、前記第1の脱気チャンバ内の液体レベルが限界値を割り込む及び/又は前記第2の脱気チャンバ内で限界値を超える時に行われるように制御する、ことを特徴とする請求項9又は請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第2の作動モードから前記第1の作動モードへの切り換えが、前記第2の脱気チャンバ内の液体レベルが限界値を割り込む及び/又は前記第1の脱気チャンバ内で限界値を超える時に行われるように制御する、ことを特徴とする請求項
8から請求項
10のうちの1項に記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラは、脱気された液体が、前記第1の作動モードでのみ又は該第1の作動モード及び前記第2の作動モードの両方で前記取り出しユニットに供給されるように制御する、ことを特徴とする請求項
8から請求項
11のうちの1項に記載の方法。
【請求項13】
両方の脱気チャンバが、該2つの脱気チャンバを互いに分離する隔壁を有する共通構成ユニット内に配置され、前記第1の作動モードで開かれて前記第2の作動モードで閉じられるバルブ又は別の遮断要素が該隔壁に設けられることを特徴とする請求項
8から請求項
12のうちの1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を脱気するための方法及び装置と本発明によって提供される液体の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
薬液及び特に透析液を調製するのに液体を使用することは従来技術から公知であり、回転ポンプ又はインペラーポンプのような非閉塞型ポンプが、これらの液体を搬送するのに頻繁に使用される。これらのポンプは、いくつかの利点を有する。しかし、それらには、気泡がポンプの内部に集まる可能性があるという欠点があり、それによってポンプの搬送パワーが低下し、例えばキャビテーションによって潜在的にポンプに損傷が引き起こされる可能性があり、これは、ポンプの使用寿命を縮める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、この問題がもはや生じない又は僅かな程度で生じるだけである液体を調製するための装置及び方法を提供することが本発明の根本的な目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置により、及び請求項9の特徴を有する方法により解決される。
【0005】
以下で脱気チャンバとも呼ぶ2つの空気分離チャンバが好ましくは使用され、チャンバの一方は、好ましくは水圧的にポンプの上流に位置付けられ、他方は、好ましくは水圧的にポンプの下流に位置付けられる。
【0006】
脱気チャンバの各々は、好ましくは、大気圧等化のためのそれぞれのバルブを有する。
【0007】
脱気チャンバは、第2の脱気チャンバから第1の脱気チャンバまで液体が流れることができるように戻り配管で互いに接続される。この戻り配管は、好ましくは、それを遮断かつ開放することができる遮断手段、例えば、バルブ又はホースクランプなどを有する。
【0008】
本発明による液体を脱気するための装置は、脱気システムを含み、脱気システムは、第1の脱気チャンバと、第2の脱気チャンバと、液体ストアと、ポンプと、液体ストアを第1の脱気チャンバに接続する供給配管とを有し、ポンプは、吸入側で第1の脱気チャンバにかつ圧力側で第2の脱気チャンバに接続され、脱気システムは、遮断することができて2つの脱気チャンバを互いに接続する戻り配管を更に有する。装置は、脱気システムを第1の作動モード及び第2の作動モードで作動させるように構成された制御及び調整ユニットのようなコントローラを更に有し、脱気システムは、ポンプが第1の脱気チャンバから離れるように液体を誘導し、かつそれを脱気された液体のための取り出しユニットに供給するように第1の作動モードでは接続され、脱気システムは、液体が第2の脱気チャンバから第1の脱気チャンバまで戻り配管を通して戻されるように第2の作動モードでは接続される。
【0009】
第1の作動モードは、すなわち、ポンプ、好ましくは非閉塞型ポンプが、少なくとも部分的に脱気された液体を第1の脱気チャンバから直接的又は間接的に吸い込み、かつこの液体を取り出しユニットまで直接的又は間接的に搬送することを特徴とする。この取り出しユニットは、例えば、分配器、又は配管、容器などであるか、又は同じく薬液、特に透析液を調製することができる装置であるとすることができる。装置は、与えられた液体から透析液を調製するための手段を有する透析機とすることができる。
【0010】
脱気は、第1の脱気チャンバで行われ、かつ任意的には同じく液体が第1の脱気チャンバに流入する前に既に行われ、すなわち、液体が液体ストアから第1の脱気チャンバの中に流れるか又は液体がポンプによって吸い込まれる供給配管内で既に行われている。液体の改善された脱気を生成する圧力降下を達成する制限器をこの目的に対して供給配管に配置することができる。
【0011】
本発明による装置によって又は本発明による方法によって調製される液体は、好ましくはRO水のような水である。
【0012】
ポンプは、吸入側で第1の脱気チャンバに直接的又は間接的に、かつ圧力側で第2の脱気チャンバに直接的又は間接的に接続することができる。例えば、第1の作動モードではポンプが吸入側で第1の脱気チャンバから直接的に液体を吸い込むこと、又は第2の脱気チャンバを通じて第1の脱気チャンバからのように間接的に液体を吸い込むことが想定される。
【0013】
ポンプは、取り出しユニットまで直接的に、又は同じく例えばポンプが最初に第2の脱気チャンバの中に搬送して液体がそこから取り出しユニットまで移動するように間接的に搬送するという規定を圧力側で定めることができる。
【0014】
本発明の更に別の実施形態では、コントローラは、ポンプが両方の作動モードで搬送モードで作動するように、又はポンプが第1の作動モードだけで搬送モードで作動するが第2の作動モードでは作動しないように構成されるという規定が定められる。「搬送モード」は、ポンプが、ポンプが明らかに同様に作動中であるが取り出しユニットまで液体が搬送されない巡回流れではない液体が取り出しユニットまで搬送される正味の搬送を生成するように理解されるものとする。
【0015】
第1及び第2の搬送チャンバは、第2の作動モードでの重力に起因して液体が戻り配管を通して第2の脱気チャンバから第1の脱気チャンバの中に移動するように又はこれがポンプの搬送パワーに起因して行われるように互いに対して配置されるように想定される。
【0016】
更に別の実施形態では、2つの脱気チャンバは、互いから空間的に別々に配置することができる。
【0017】
しかし、それらが、2つの脱気チャンバを互いから分離する隔壁を有する共通構成内に配置される場合も、本発明によって網羅される。隔壁は、バルブによって又は別の遮断ユニットによって開閉することができる。
【0018】
本発明の更に別の実施形態では、第1の脱気チャンバだけが液体ストアに接続される。この場合では、第2の脱気チャンバと液体ストアの間に流体連通はない。
【0019】
しかし、コントローラによって事前設定された作動モードに依存して第1又は第2の脱気チャンバが液体ストアと流体連通するように両方の脱気チャンバが液体ストアに接続される又は接続可能であるという場合も本発明によって網羅される。
【0020】
取り出しユニットへの脱気された液体のほぼ連続的又は完全に連続的な供給を可能にするために、並列に接続された2つの脱気システムを設けることができ、コントローラは、第1の脱気システムが第1の作動モードで作動し、第2の脱気システムが同時に第2の作動モードで作動し、かつ逆も同様であるように、脱気システムが交互に作動するように構成される。2つの脱気システムは、同一又は同じく異なるとすることができる。
【0021】
脱気チャンバの両方は、好ましくは、脱気チャンバ内のレベルを測定することができる又はレベルに対する限界値の少なくとも超過又は割り込みを検出することができる少なくとも1つのレベルセンサを有する。
【0022】
コントローラは、レベルセンサが始動した時に第1から第2の作動モードに又は第2から第1の作動モードに切り換わるように構成することができる。コントローラは、好ましくは、それが、第1の脱気チャンバのレベルセンサが限界値を割り込む及び/又は第2の脱気チャンバ内でレベルセンサが限界値を超える時に第1から第2の作動モードに切り換わる及び/又はレベルセンサが第1の脱気チャンバ内で限界値を超える及び/又は第2の脱気チャンバ内で限界値を割り込む時に第2から第1の作動モードに切り換わるように設計される。
【0023】
本発明は、更に請求項9の特徴を有する方法に関する。
【0024】
第1の作動モードでは、液体は、第1の脱気チャンバから引き出され、かつ脱気された液体のための取り出しユニットに供給され、第2の作動モードでは、液体は、第2の脱気チャンバから第1の脱気チャンバの中に誘導して戻されるという規定が相応に定められる。
【0025】
これに関して、第1の作動モードでは、液体は、ポンプを用いて第1の脱気チャンバから第2の脱気チャンバを通じて取り出しユニットまで搬送することができ、又は液体は、第1の脱気チャンバから直接的に(第2の脱気チャンバの関与なしで)取り出しユニットまで又は第2のチャンバまで搬送することができる。
【0026】
第1の作動モードから第2の作動モードへの切り換えは、好ましくは、第1の脱気チャンバでの液体レベルが限界値を割り込む時、及び/又は第2の脱気チャンバ内で液体レベルが限界値を超える時に行われる。
【0027】
第2の作動モードから第1の作動モードへの切り換えは、好ましくは、第2の脱気チャンバでの液体レベルが限界値を割り込む時、及び/又は第1の脱気チャンバ内で液体レベルが限界値を超える時に行われる。
【0028】
脱気された液体は、第1の作動モードでのみ又は第1及び第2の作動モードの両方で取り出しユニットに供給されることが想定される。
【0029】
本発明の更に別の実施形態では、両方の脱気チャンバは、2つの脱気チャンバを互いに分離する隔壁を有する共通構成内に配置されるという規定が定められ、第1の作動モードで開かれて第2の作動モードで閉じられるバルブ又は別の遮断要素が隔壁に設けられる。
【0030】
本発明は、更に、薬液を調製するための特に透析液を調製するための請求項1~8のうちの1項に記載の装置の使用に又は請求項9~14のうちの1項に記載の方法に関する。
【0031】
用語「a」及び「one」は、要素のうちの厳密に1つを指すとは限らず、これがたとえ可能な実施形態を表すが、同じく複数の要素を指定することができてもそうであることをこの時点で注意されたい。複数形の使用も、同様に当該要素の単数での存在を含み、逆に、単数形も複数の当該要素を含む。
【0032】
図面に示す実施形態を参照して本発明の更に別の詳細及び利点をより詳細に以下に解説する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】異なる作動モードでの第1の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図2】異なる作動モードでの第1の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図3】異なる作動モードでの第1の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図4】異なる作動モードでの第1の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図5】異なる作動モードでの第2の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図6】異なる作動モードでの第2の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図7】異なる作動モードでの第2の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図8】異なる作動モードでの第2の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図9】異なる作動モードでの第3の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図10】異なる作動モードでの第3の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図11】異なる作動モードでの第3の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図12】異なる作動モードでの第3の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図13】異なる作動モードでの第3の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【
図14】異なる作動モードでの第3の実施形態の本発明による装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図15は、本発明による装置の単純な図を示している。
【0035】
装置は、2つの脱気又は空気分離チャンバ1、2を含み、チャンバの一方は、ポンプ4の水圧的に上流に位置付けられ、チャンバの一方は、ポンプ4の水圧的に下流に位置付けられる。
【0036】
貯蔵容器3を補給するための補充コネクタは、図に示されていない。
【0037】
空気分離チャンバは、本発明のフレームワーク内では代表する方式で脱気チャンバ又は単にチャンバとも以下で呼ぶ。
【0038】
両方のチャンバ1、2の各々は、大気圧等化のためにその上部にバルブ5、6を有し、かつ戻り配管を通してそこに位置付けられたバルブ7によって互いに接続される。用語「バルブ」は、本発明のフレームワーク内ではあらゆる望ましい遮断部材を代表するものである。それは、例えば、ホースクランプ又はバルブなどとすることができる。
【0039】
液体からの空気分離は以下のように実行される:
【0040】
液体は、貯蔵容器3から又は供給配管を通じて、任意的に制限器9を通じて脱気される。空気/水混合物は、空気分離チャンバ1の中に移動する。非閉塞型ポンプ4は、脱気された液体をそこから第2の空気分離チャンバ2の中に搬送する。チャンバ2は、開放空気分離バルブ6を有するポンプ4を使用して充填することができる。チャンバ2は、ポンプ4の圧力側に位置付けられる。
【0041】
貯蔵容器3から第1のチャンバ2の中への液体の搬送は、好ましくは、ポンプ4によって発生された真空を使用して行われる。これは、
図15に示す実施形態だけでなく好ましい実施形態においても一般的に適用される。
【0042】
両方のチャンバは、超音波センサ、伝導度センサなどのような液体レベルを検出するための手段を有する。
【0043】
第1のチャンバ1での液体のレベルは、ポンプ4による搬送に起因して低下する。それが特定のレベルを割り込む場合に、両方のチャンバは、バルブ7で接続され、かつバルブ5及び6を通じて大気に開かれる。これは、チャンバ1での液体レベルの上昇及びチャンバ2での液体レベルの減少を生じる。
【0044】
この処理では、ポンプ4は、実際にチャンバ2の中への搬送が行われないように抑制され、又は完全にオフに切り換えられ、又は接続配管を用いて開いたバルブ8と流体接続される。チャンバ1が十分に充填された場合に、戻り作動は、バルブ7を閉じることにより、及びポンプ4の通常の搬送作動に切り換えることによって終了される。ポンプ4は、この時点で再び第1のチャンバ1から第2のチャンバ2の中に液体を搬送する。
【0045】
更に別のバルブは、好ましくは、上述の2段方法(脱気作動-戻り作動)又は少なくとも戻り作動、すなわち、第2の作動モードが稼働している間に透析機の水圧ユニットのような装置の隣接部品から
図15に示す脱気装置を切り離すために、
図15に参照番号なしで右端に示す第2のチャンバ2の流出配管に位置付けられる。
【0046】
図1は、液体を脱気するための装置100に関するより詳細な実施形態を示している。
【0047】
装置は、第1のチャンバ110と第2のチャンバ118を含み、チャンバ110は、ポンプ114の水圧的に上流に、すなわち、ポンプ114の吸入側に位置付けられ、第2のチャンバ118は、ポンプ114の水圧的に下流に、すなわち、ポンプ114の圧力側に位置付けられる。
【0048】
ポンプ114は、その吸入側で配管112を使用してチャンバ110に接続され、かつその圧力側で配管116を使用してチャンバ118に接続される。バルブ138が配置されてポンプ114の圧力側をその吸入側に接続する接続配管140が更に設けられる。
【0049】
両方のチャンバの各々は、抽気バルブ134、128を有し、それを通じてチャンバ110、118は、大気に対して開くことができ、従って通気することができる。
【0050】
図1から更に見ることができるように、2つのチャンバ110、118は、戻り配管132を通じて互いに直接に接続される。バルブ130は、配管132に位置付けられる。
【0051】
チャンバ110、118は、レベルセンサ136(第1のチャンバでの)及び124、126(第2のチャンバでの)を更に有する。チャンバ内のレベル又は特定のレベル限界値の超過又は割り込みは、これらのレベルセンサを用いて検出することができる。チャンバ110は、単に1つのレベルセンサ136を有し、一方でチャンバ118には、垂直方向に互いに離間した2つのレベルセンサ124、126が備えられる。
【0052】
第1のチャンバは、制限器106が位置付けられた配管104、108を通じて貯蔵容器102に流入側で接続される。
【0053】
第2のチャンバ118は、流出配管120に、すなわち、バルブ122が配置された本発明による取り出しユニットに接続される。脱気された流体は、開いたバルブ122を有するこの配管を通って流れ、かつ使用及びサービス、例えば、透析液の調製に利用される。
【0054】
図示のバルブの全ては、必要に応じてかつ作業サイクルに従って開閉することができる。
【0055】
ポンプ114は、好ましくは、回転ポンプ、インペラーポンプなどのような非閉塞型ポンプである。
【0056】
液体からの空気分離の方法は、以下のように実行される:
【0057】
図2は、脱気作動を示し、
図3は、脱気作動に続く戻り作動を示している。脱気は、すなわち、2段で、好ましくはバッチ作動で、すなわち、非連続的に行われる。
【0058】
図での破線は、閉じた配管を示し、実線は、開いた配管を示している。
【0059】
【0060】
液体は、貯蔵容器102から配管104を通って第1のチャンバ110に流入し、そうすることで既に脱気されている。脱気処理は、任意的に存在する制限器によって支援される。空気/水混合物は、空気分離チャンバ110の中に、すなわち、その脱気バルブ134が閉じている第1のチャンバの中に移動する。
【0061】
接続配管内、すなわち、戻り配管内のバルブ130も同様に閉じられる。ポンプ114は、脱気された液体を第1のチャンバ110から空気分離チャンバ118の中に、すなわち、第2のチャンバの中に搬送し、そこの脱気バルブ128は、第2のチャンバ118が通気されるように大気に対して開いている。これは、好ましくは、図示しないポンプによって又は重力によって液体が第2のチャンバ118から能動的に取り出される時に該当する。これに該当しない場合に、バルブ128は、ポンプ114が液体を第2のチャンバ118の中に搬送する時に閉じたままに留まることができ、第2のチャンバ118にこうして得られた過剰圧力は、配管120を通じて液体を搬送するのに使用することができる。
【0062】
ポンプ114の接続配管140は、バルブ138を閉じることによって閉鎖される。
【0063】
脱気された液体の一部は、使用するために配管120を通じて例えば透析液を調製するための装置まで供給される。配管120のバルブ122は、脱気作動中に開いている。脱気性能、すなわち、第2のチャンバ118内の脱気された液体の量が必要であるよりも高い、すなわち、配管120を通した放出量よりも高い場合に、上側レベルセンサ124は、脱気作動の中断をトリガすることができる。これに代えて、第2のチャンバ118から第1のチャンバ110の中への液体の戻りは、現在進行している作動において、すなわち、稼働しているポンプ114を用いて行うことができ、配管132は、この場合は開いている。この原理は、搬送がポンプによって第2のチャンバ118から能動的に行われる時、又は重力が配管120による放出に対して十分である時、及び脱気された液体の供給が第2のチャンバ118からの正味の引き出しよりも大きい時にのみ使用される又は機能する。
【0064】
図2による脱気作動は、第1のチャンバ110のレベルセンサ136が始動した時、すなわち、第1のチャンバ110内の液体のレベルがレベルセンサ136まで下がった時に終了される。
【0065】
図3は、次に続く戻り作動、すなわち、第2の作動モードを示している。ポンプ114は、バルブ138を開くことによって配管が開かれるという意味で接続される。従って、第1のチャンバから第2のチャンバの中への正味の搬送はなく又は実質的に正味の搬送はない。従って、配管112及び116には、流れないか又は無視できる程度に流れる。液体は、
図2に従って貯蔵容器102から第1のチャンバ110への液体の流入を生成する真空をポンプが第1のチャンバ110内に発生しないので、破線に示すようにこのように同じく配管104及び108内を流れず又は実質的に流れない。
【0066】
配管120は、バルブ122によって閉じられ、すなわち、消費者への脱気された液体の引き出しは行われない。配管132又はそのバルブ130は開いているので、脱気された液体は、第2のチャンバから第1のチャンバの中に流れて戻る。抽気器128及び138は、この処理では開いている。
【0067】
第2のチャンバから第1のチャンバの中への戻りは重力によって生じる。この目的でポンプが使用されるこの場合も、本発明によって一般的に網羅される。
【0068】
液体レベルは、第2のチャンバ118で下降し、第1のチャンバ110で上昇する。戻り作動の終了は
図4に示されており、第2のチャンバ118の液体レベルが下側レベルセンサ126に到達することを特徴とする。
【0069】
続いて、全ての配管とポンプ114は、脱気作動に、すなわち、
図2に示す第1の作動モードに再度切り換えられる。
【0070】
図1~4による装置は、好ましくは非連続的に作動し(「バッチ脱気」)、すなわち、脱気された液体は、連続的に配管120を通して抽出のために供給されず、むしろバッチ式でのみ供給される。
【0071】
しかし、脱気された液体の連続的な供給も、本発明によって網羅される。この目的に対して
図5~8を参照する。
【0072】
図1~4に関して説明したような2つの同一脱気システムをこの目的で並列に設け、
図5~8の同じ参照番号は、
図1~4と同じか又は機能的に同じ部品を示し、一方の脱気システム(以下では「脱気システムaと呼ぶ)の部品を添え字aで標記し、他方の脱気システム(以下では「脱気システムbと呼ぶ)の部品を添え字bで標記する。システム全体は200で表される。
【0073】
図5から見ることができるように、第1のチャンバ110aも110bも、同じ貯蔵容器102にそれぞれ接続され、そこから脱気する液体を得る。2つの第2のチャンバ118a及び118bの流出配管は、更に同じ流出配管に通じており、そこで脱気された液体が更に別の使用に供給される。
【0074】
第1のチャンバ110a及び110bと共通ポンプ114の間に各々が配置されたバルブ137a及び137bと、共通ポンプ114と第2のチャンバ118a及び118bの間に各々が配置されたバルブ139a及び139bは、両方の脱気システムaとbの間で切り換えるのに役立つ。
【0075】
2つの脱気システムa及びbは、脱気された液体を常に交互に開いたバルブ122a又は122bを使用して更に別の使用のために配管に引き出すことができるように交互に作動され、すなわち、脱気が一方の脱気システムで行われる(第1の作動モード)場合に、戻りが他方のシステムで行われ(第2の作動モード)、逆も同様である。
【0076】
図6は、脱気が脱気システムaで行われ、脱気された液体が開いたバルブ122aを有する配管120aを通じて供給される状態を示している。この目的のためにポンプ114は、開いたバルブ137a及び閉じたバルブ137bを使用して第1のチャンバ110aから第2のチャンバ118aの中に液体を搬送する。脱気システムb内のバルブは全て閉じられるので、脱気も第2のチャンバから第1のチャンバの中への戻りもそこでは行われない。
【0077】
第1のチャンバ110aのレベルがレベルセンサ136aに到達すると直ぐに、脱気システムaで戻り配管132aを開くことによって戻りが始まり、脱気システムbではバルブ137b、139b、及び122bを開くことによって脱気が始まる。これを
図7に示している。バルブ122aは閉じられるので、脱気された液体は、第2のチャンバ118bからだけ供給される。
【0078】
図8に示すように、脱気システムbの第1のチャンバでの液体レベルがレベルセンサ136bに到達した状態で、脱気システムaで脱気が行われ、バルブ122aを開くことによって脱気された液体の供給が行われ、かつ脱気システムbでは閉じたバルブ122b及び開いたバルブ130bを使用して第2のチャンバ118bから第1のチャンバ110bの中への戻りが行われる
図8に示す状態への切り換えが行われる。バルブ137a及び139aは更に開かれ、バルブ137b及び139bは閉じられる。
【0079】
脱気システムa内のレベルがレベルセンサ136aに到達した状態で、再び
図7に従う状態への切り換えが行われる。
【0080】
脱気された液体は、並列に配置された脱気システムa、bの作動の変更に起因して、常に流出部に、すなわち、バルブ122a/122bの下流の取り出しユニットに供給することができる。
【0081】
図9~14は、本発明による脱気システム300の更に別の実施形態を示している。
【0082】
図9は、第1のチャンバ110a及び第2のチャンバ110bを有する本発明のシステムの設計を示し、これらのチャンバは、バルブ111が配置された隔壁109で互いに分離される。
図9から見ることができるように、第2のチャンバは、第1のチャンバの上方に位置付けられる。
【0083】
両方のチャンバ110a、110bは、それぞれの制限器106a、106bが好ましくは配置された配管104a、104b、108a、108bを通じて貯蔵容器102に接続される。更に、バルブ105は、第2のチャンバに至る配管に配置される。ポンプは、第2のチャンバ110bの中に開く吸入配管112と、分岐117に至る、すなわち、取り出しユニットに至る圧力配管116とに接続される。脱気された液体の更に別の使用のために右を向いたコネクタが、この分岐から出ている。このコネクタは、例えば、透析液を調製するための装置に、又は透析機に接続することができる。
【0084】
更に別の配管が、分岐117から出て貯蔵容器に戻り(配管131)、更に別の配管が、分岐117から出て第1のチャンバ110aに戻る(バルブ130を有する配管132)。
【0085】
参照番号124aは、第1のチャンバ110a内のレベルセンサを示し、参照番号124b及び126bは、第2のチャンバ110b内のレベルセンサを示している。
【0086】
図10による状態(脱気の第1のフェーズ-第1の作動モード)では、ポンプ114は、閉じたバルブ105を使用して配管104a及び制限器106aと共に配管108aを通じて第1の脱気チャンバ110aの中に搬送する。ポンプ114が発生させた流体接続された脱気チャンバ内の真空はこの目的に役立つ。円で示す気体と液体(点)は、配管108aを通じて分離される方式で第1の脱気チャンバに入る。
【0087】
ポンプは、脱気された液体を第2の脱気チャンバ110bから分岐117まで搬送する。液体の一部は、透析液の調製のような用途に利用され、液体の異なる部分は、戻り配管131を通じて貯蔵容器102内に搬送して戻される。
【0088】
戻り配管132は、バルブ130によって遮断される。第2の脱気チャンバ110bへの吸入分岐104b、108bは、バルブ105によって遮断される。
【0089】
図11に示すように開いたバルブ111によって接続された脱気チャンバ内のレベルがセンサ124bのレベルを割り込む場合に、脱気作動の第2のフェーズ及び従って同じく戻り作動(第2の作動モード)が開始される。
【0090】
この第2のフェーズを
図12に再現している。バルブ11は閉じられ、従って、2つの脱気チャンバを互いに流体的に分離する。戻り配管132は、バルブ130を開くことにより開かれ、貯蔵容器102から第2の脱気チャンバ110bへの吸入分岐104b、108bは、バルブ105を開くことにより開かれる。
【0091】
ポンプ114は、第2の脱気チャンバ110bから液体を搬送し、液体は、貯蔵容器から配管104b、108bを通じて第2の脱気チャンバ110bに吸い込まれる。第2の脱気チャンバ110bは、ポンプ114の搬送により徐々に空にされ、それまでは戻り配管131を通じて貯蔵容器に戻されていた脱気された液体の一部は、この時点で開かれた戻り配管132を通じて第1の脱気チャンバ110a内に誘導されて戻される。置換されて出された空気は、破線矢印に従って吸入分岐104a及び108aを通じて逃れ、かつ貯蔵容器102内の気泡の形態で示されている。これに代えて又はこれに加えて、図示しない脱気バルブが使用される。
【0092】
第1の脱気チャンバ110aのレベルセンサ124aが、それがこの時点で相応に又はほぼ充填されたために始動した場合に、脱気作動の第2のフェーズは終わる。その間に、第2の脱気チャンバ110bは、ポンプ114の作動によって更に空にされる。
【0093】
レベルセンサ124aの始動は、2つの脱気チャンバが再び互いに接続されるようにバルブ111が再び開かれる(
図14参照)という結果を有する。脱気された液体は、この時点で第1の脱気チャンバ110aからバルブ111を通じて第2のチャンバ110bに流入し、かつそれを充填する。戻り配管132は、バルブ130を閉じることにより遮断され、使用に至らなかった部分は、配管131を通じて貯蔵容器102の中に流れて戻る。
図10による状態でのように、第2のチャンバまでの吸入分岐104b及び108bは遮断され、互いに接続されたチャンバ内の真空は、貯蔵容器102から吸入分岐104a及び108aを通じて第1のチャンバ110aの中に流体を吸い込む。
【0094】
脱気された液体は、連続的な作動又は半連続的な作動が存在するように、
図10による作動モードでかつ
図13による作動モードでその両方で分岐117に供給される。
【符号の説明】
【0095】
1 脱気又は空気分離チャンバ
3 貯蔵容器
4 ポンプ
5 バルブ
9 制限器